説明

ブロック塀用フェンス体

【課題】 フェンス体と隣接するブロック塀の端部に端部ブロックを用いなくても、外観を悪化することなくブロック塀にフェンス体を取付けることができると共に、ブロック壁面に生じる雨染を防ぐことのできるブロック塀用フェンス体を提供する。
【解決手段】 フェンス体1の周囲にブロック塀Hの端面H1を覆い隠す枠体11を設け、枠体11内に格子体を配設し、格子体を形成する格子部材12の前後方向における厚みがブロック塀Hの厚みと略同じとし、該枠体11をブロック塀Hの端面H1に重合して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブロック塀に連設固定するフェンス体であって、ブロック塀に形成した開口部またはブロック塀の上部あるいは側端部に固定して使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロック塀の中間位置に形成した切欠部、あるいはブロック塀の上部に取付けたフェンス体が知られている。
【0003】
特許文献1には、ブロック塀の中間位置に切欠部を形成し、この切欠部に固定したブロックフェンスが開示されている。特許文献1のブロックフェンスは、フェンス本体の周囲に横枠、縦枠を配設し、この横枠、縦枠から支持脚あるいは水平保持部材を突出させ、支持脚、水平保持部材をブロック塀の端面に埋め込んだものである。そして、横枠、縦枠がブロック塀切欠部の端面から一定の間隔を設けた状態とし、フェンス本体がブロック塀に固定される。
【0004】
さらに、特許文献2には、ブロック塀の上部に設置するフェンスが開示されている。特許文献2のフェンスは、フェンス体の下部に断面コ字状の壁取付部を設け、この壁取付部をブロック塀の上部に嵌合してフェンス体を取付けたものである。
【0005】
通常ブロックには、端面に鉄筋を通す貫通孔あるいは窪みが形成された基本ブロックと、端面に貫通孔等が露出しない端部ブロックとがある。基本ブロックによって端部を除いた主要部を形成し、端部ブロックによって主要部の回りの端部が仕上げられ、ブロック塀が形成される。
【0006】
特許文献1,2においては、フェンス体とブロック塀の端面との間に一定の距離を置いているので、フェンス体の周囲に基本ブロックを配設したのでは、貫通孔等が目視され、外観の悪化を招く。従って、フェンス体の周囲には、貫通孔等が端面に露出しない端部用ブロックが用いられる。
【0007】
一般的に化粧ブロックにおいては、基本ブロックよりも端部ブロックの方が化粧面積が大きいため高価となり、端部ブロックの数が増えると、ブロック塀のコストアップを招く。さらに、ブロック塀を施工する際に基本ブロックと端部ブロックを適当数用意しておかなければならず、施工作業が煩雑となるものであった。
また、端部ブロックの上面に雨水が降り注ぎ、この雨水は端部ブロックの表面を伝って流れ落ちるため、端部ブロックの表面に雨染が発生し、外観の悪化を招くものであった。
【0008】
【特許文献1】実開昭57−139553号公報
【特許文献2】特開2001−90397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、フェンス体と隣接するブロック塀の端部に端部ブロックを用いなくても、外観を悪化することなくブロック塀にフェンス体を取付けることができると共に、ブロック壁面に生じる雨染を防ぐことのできるブロック塀用フェンス体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、このような事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ブロック塀に連設固定されるフェンス体であって、フェンス体の周囲にブロック塀の端面を覆い隠す枠体を設け、該枠体をブロック塀の端面に重合して固定したことによって、所期の目的を達成したものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、枠体はブロック塀の端面の厚みより大きな幅を有することにより、ブロック塀の表面に鏝塗り化粧材等を塗布する際、フェンス体周囲における塗面の端部処理を簡単に行なうことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、枠体はブロック塀の端面に外嵌する断面略コ字状としたことにより、ブロック塀に対するフェンス体の位置決めを簡単に行なうことができ、ブロックの端面を確実に覆い隠すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、枠体内に格子体が配設され、格子体を形成する格子部材の前後方向における厚みがブロック塀の厚みと略同じとしたので、ブロック塀と一体感のあるフェンス体とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のブロック塀用フェンス体によれば、フェンス体の周囲にブロック塀の端面を覆い隠す枠体を設け、該枠体をブロック塀の端面に重合させたので、フェンス体の周りに基本ブロックを配置しても、基本ブロックの貫通孔等を覆い隠すことができ、高価な端部ブロックを用いなくても美観を損ねることなくブロック塀の施工コストを抑えることができる。
また、フェンス体の枠体によってブロック塀の端面が覆い隠されているので、ブロック塀の端面に雨水が降り注ぐのを防ぎ、ブロック塀の表面に発生する雨染を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき説明する。
図1乃至図3は本発明ブロック塀用フェンス体の第一実施例であり、フェンス体1は複数の基本ブロックBを積み上げて形成したブロック塀Hの切欠部Xの位置に配設されている。フェンス体1は矩形状に枠組みされた枠体11と、枠体11内に配設された格子体を形成する複数の縦格子部材12とから構成されている。枠体11と縦格子部材12は、共にアルミニウム製形材によって形成されている。枠体11は断面略コ字状を呈しており、フェンス体1の周囲を形成するブロック塀1の端面H1に外嵌している。よって、図1に示したとおり、フェンス体1の周囲に隣接する基本ブロックBの貫通孔B1、即ちブロック塀Hの端面H1は、枠体11によって覆い隠される。
【0016】
ブロック塀Hの上端とフェンス体1の上端には、笠木2が架設され、ブロック塀Hの上端面H2とフェンス体1の上端面13を覆い隠している。なお、笠木2もアルミニウム製形材によって形成されている。
フェンス体1の横方向の長さは、ブロックB二個分の長さと略等しく、高さもブロックB二個分の高さと略等しく形成されている。フェンス体1の大きさは任意の大きさとすることができるが、ブロック塀Hに連設固定するものなので、施工作業性の点においてブロックBの整数倍となる長さ、高さに形成することが好ましい。
【0017】
本実施例フェンス体1の枠体11は断面略コ字状を呈し、ブロック塀Hの端面H1に外嵌しているので、ブロック塀Hに対するフェンス体1の位置決めを簡単に行なうことができる。また、縦格子部材12の幅はブロック塀Hの厚みと略同じとしているので、フェンス体1はブロック塀Hと一体的な外観を呈するものである。
【0018】
フェンス体1をブロック塀Hに固定する方法としては、フェンス体1の枠体11にブロックBの貫通孔B1に挿入するアンカー部材を設け、貫通孔B1内に挿入したアンカー部材をモルタルを用いて固定する方法、あるいは枠体11の外周中央位置に突条を形成し、これをモルタルによってブロック塀Hの端面H1に固定する方法等が挙げられる。
【0019】
次に図4乃至図6は本発明ブロック用フェンス体の第二実施例である。なお、第二実施例において第一実施例と同じ部分については同一符号を用い、その説明は省略する。第二実施例において第一実施例と異なる点は、枠体11の断面形状である。第一実施例においては断面略コ字状としてブロック塀Hの端面H1に外嵌していたのに対し、第二実施例においては、断面略C字状であり、枠体11はブロック塀Hの端面H1に外嵌せず、枠体11の外側面をブロック塀Hの端面H1に外接させた点である。
【0020】
第一実施例のようにブロック塀Hの端面H1に外嵌する構成であれば、化粧ブロックのように表面に凹凸模様が形成されていると、凹部が形成された箇所では枠体11とブロックBの表面に隙間が発生し、凸部が形成された箇所においては、ブロック塀Hの端面H1に外嵌できないなどの不具合が生じる可能性がある。
しかしながら、第二実施例のフェンス体1であれば、ブロック塀Hの端面H1に外嵌せず、重合するだけなので、化粧ブロック表面の凹凸模様に関係無く、ブロック塀Hの端面H1を確実に覆い隠すことができる。
【0021】
枠体11の幅はブロック塀Hの端面H1の幅と略同じとすれば、ブロック塀との段差が生じないので、一体的な外観とすることができるが、ブロック塀の端部に露出する貫通孔B1が覆い隠されるのであれば、ブロック塀Hの幅より小さくても構わない。
枠体11の外側面がブロック塀Hの端面に外接しているが、ブロック塀Hの端面H1と枠体11の外側面との間に数ミリ程度の隙間が生じても、コーキング剤等を充填すれば良い。
【0022】
次に図7は本発明ブロック用フェンス体の第三実施例である。第二実施例と同じ部分については同一符号を用い、その説明は省略する。第三実施例において第二実施例と異なる点は、枠体11の幅W1がブロックBの厚みWBよりも大きく形成した点である。本実施例においては、ブロック塀Hの表面に鏝塗り塗材を塗布する際、枠体11周縁部の塗布仕上げを簡単に行なうことができる。ブロックB表面からの枠体11の突出量は5mm程度とし、ブロック塀Hとフェンス体1の一体感を損なわない程度とすべきである。
【0023】
上記第一乃至三実施例においては、ブロック塀Hの端面H1がフェンス体1の枠体11によって覆い隠されているので、基本ブロックBの貫通孔B1は枠体11によって覆い隠され、外観を良好なものとすることができ、雨水は直接ブロック塀Hの端面H1に降り注がないので、雨染みの発生による美観の低下を抑えることができる。
また、フェンス体1の枠体11をブロック塀Hの端面H1に重合する方法としては、第一実施例のように外嵌したり、第二実施例のように外接する方法等であるが、ブロック塀Hの端面H1が枠体11によって覆い隠すことができるのであれば、種々の方法を採用することができる。フェンス体1の枠体11内部には格子体を配設したが、板状のパネル体を配設しても構わない。
【0024】
図8は本発明ブロック塀用フェンス体の適用例を表わし、(A)はブロック塀Hの上部全域に設けたもの、(B)は離間したブロック塀の間に設けたもの、(C)はブロック塀Hの切欠部に十字格子部材のフェンス体を設けたもの、(D)はブロック塀の端部に門柱として設けたものである。なお、これらのフェンス体1の格子体を形成する格子部材の幅は、ブロック塀Hの幅と略同じにしている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明ブロック塀用フェンス体の取付け状態を表わす分解図
【図2】本発明ブロック塀用フェンス体の取付け状態を表わす全体図
【図3】本発明ブロック塀用フェンス体の取付け状態を表わす横断面図
【図4】本発明ブロック塀用フェンス体の取付け状態を表わす縦断面図
【図5】本発明ブロック塀用フェンス体の第二実施例における取付け状態を表わす横断面図
【図6】本発明ブロック塀用フェンス体の第二実施例における取付け状態を表わす縦断面図
【図7】本発明ブロック塀用フェンス体の第三実施例における取付け状態を表わす縦断面図
【図8】本発明ブロック塀用フェンス体の適用例を表わす正面図
【符号の説明】
【0026】
1 フェンス体
11 枠体
12 格子部材
B ブロック
H ブロック塀
H1 ブロック塀の端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック塀に連設固定されるフェンス体であって、該フェンス体は周囲にブロック塀の端面を覆い隠す枠体を有し、該枠体をブロック塀の端面に重合して固定したことを特徴とするブロック塀用フェンス体。
【請求項2】
枠体はブロック塀の端面の厚みより大きな幅を有することを特徴とする請求項1に記載のブロック塀用フェンス体。
【請求項3】
枠体はブロック塀の端面に外嵌する断面略コ字状としたことを特徴とする請求項1に記載のブロック塀用フェンス体。
【請求項4】
枠体内に格子体が配設され、格子体を形成する格子部材の前後方向における厚みがブロック塀の厚みと略同じとしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のブロック塀用フェンス体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−328774(P2006−328774A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153236(P2005−153236)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【出願人】(000230928)シコク景材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】