説明

ブロー成形薄肉容器

【課題】栓体のサイズに係わりなく容器を簡単に開封できるブロー成形薄肉容器を提案する。
【解決手段】内容物の注出に従って充填空間の減容を可能とする薄肉の胴体1を備えたブロー成形薄肉容器において、前記胴体1の上端角部に、前記充填空間につながる通路2aを有し破断予定線3に沿う栓体2bの切断、分離にて該通路2aを開通させて充填空間内の内容物を排出する注出部2を設け、前記栓体2に、折り畳み、折り曲げ等の収納状態にて一体成形されそれを伸長させ該栓体2bを引っ張ることにより該栓体2bを破断予定線3に沿って切断、分離するリング状の把手4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の注出に従い充填空間の減容を可能としたブロー成形薄肉容器に関するもので、容器の開封をより簡便に行うことを目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやリンス、液体石鹸、化粧料等を入れる容器の分野では、資源の有効活用、ゴミの減量化を図る観点から薄肉の容器が多用されるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−352328号公報
【0003】
従来のこの種の容器は、注出部に予めノッチや破断予定線が設けられており、容器胴体側を把持して栓体部分に捻りを加え、該ノッチや破断予定線に沿って該栓体を切断、分離して開封していたが、該栓体部分はサイズが小さいために、とくに手が濡れているような場合に把持しにくくなり開封しづらいところに問題を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、容器を開封する際に生じていた上記のような従来の不具合を解消できる新規なブロー成形薄肉容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内容物の注出に従って充填空間の減容を可能とする薄肉の胴体を備えたブロー成形薄肉容器であって、
前記胴体の上端角部に、前記充填空間につながる通路を有し破断予定線に沿う栓体の切断、分離にて該通路を開通させて充填空間内の内容物を排出する注出部を設け、
前記栓体に、収納状態にて一体成形され、それを伸長させ該栓体を引っ張ることにより該栓体を破断予定線に沿って切断、分離するリング状の把手を設けたことを特徴とするブロー成形薄肉容器である。
【0006】
前記リング状の把手は、栓体の周壁の少なくとも2箇所に一体的に連結する連結部を有するものがとくに有利に適合する。
【発明の効果】
【0007】
ブロー成形の際に注出部の栓体に折り畳みや折り曲げ等の収納状態で把手を形成しておき、容器を開封するに当たって該把手をリング状に伸長させることが可能なので、サイズの大小にかかわりなく栓体を簡単に切断、分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従うブロー成形薄肉容器(合成樹脂製)である。図における1は内容物の充填空間を区画形成する容器の胴体である。この胴体1は厚さが薄くなっており内容物の注出度合にしたがって充填空間を減容させることができるようになっている。
【0009】
また、2は胴体1の上端角部に設けられた注出部である。この注出部2は充填空間につながる通路2aを有しており、その先端には、天面凹部tとこの凹部tにつながる周壁tからなる栓体2bが設けられている。
【0010】
3は切り込み等によって薄肉に形成された破断予定線、4は折り畳みの収納状態にて一体成形されたリング状の把手である。この把手4は栓体2bの周壁tの2箇所に一体的に連結する連結部4aを有しており、図2にその要部を拡大して示す如く、該把手4を伸長させてそれをつかんで栓体2bを引っ張ることにより破断予定線3に沿って該栓体2bを切断、分離することができるようになっている。
【0011】
上記の構成になる容器においては、栓体2bのサイズが小さく把持しにくくても把手4をつかんで栓体2bを引っ張ることができるので容器の開封が容易になる。
【0012】
図3は本発明にしたがう容器の他の実施例を要部について示した図である。把手4は上掲図1では折り畳みの収納状態で一体成形した場合について示したが、栓体2bの天面凹部tに沿って湾曲させた収納状態で一体成形したものであってもよく、この点については限定されない。また、連結部4aについては、2箇所あるいはそれ以上設けることができる。
【0013】
栓体2bとしては、天面凹部tを有しない図4に示すような形状のものも適用できるが、このように栓体2bの先端が凸状になっているものでは、収納状態において把手4が側方に張り出てしまうことが懸念されるので、該把手4の収納領域を確保するために天面凹部tを設けるのが最もよく、この場合、図5に示す如くパリソンの径Dが小さくできる利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0014】
容器を簡単に開封できるブロー成形薄肉容器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に従うブロー成形薄肉容器の実施の形態を示した図である。
【図2】容器の開封状況を示した図である。
【図3】本発明に従うブロー成形薄肉容器の他の実施の形態を要部について示した図である。
【図4】本発明に従うブロー成形薄肉容器の他の実施の形態を要部について示した図である。
【図5】本発明に従うブロー成形薄肉容器の側面を示した図である。
【符号の説明】
【0016】
1 胴体
2 注出部
2a 通路
2b 栓体
3 破断予定線
4 把手
4a 連結部
t 天面凹部
t 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の注出に従って充填空間の減容を可能とする薄肉の胴体を備えたブロー成形薄肉容器であって、
前記胴体の上端角部に、前記充填空間につながる通路を有し破断予定線に沿う栓体の切断、分離にて該通路を開通させて充填空間内の内容物を排出する注出部を設け、
前記栓体に、収納状態にて一体成形され、それを伸長させ該栓体を引っ張ることにより該栓体を破断予定線に沿って切断、分離するリング状の把手を設けたことを特徴とするブロー成形薄肉容器。
【請求項2】
前記リング状の把手は、栓体の周壁の少なくとも2箇所に一体的に連結する連結部を有する、請求項1記載のブロー成形薄肉容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−99305(P2007−99305A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288332(P2005−288332)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】