説明

ブースタ

【課題】無給電時でも信号の出力を継続できるブースタを提供すること。
【解決手段】
ブースタ3は、ブースタ入力端子30と、増幅素子31と、増幅素子31により増幅された信号を給電時出力系統と常時出力系統とに分配する分岐器32と、給電時出力系統に分配された信号を出力する給電時出力端子34と、信号を出力する常時出力端子35と、給電時には、ブースタ入力端子30を増幅素子31に接続して当該ブースタ入力端子30に入力された信号を増幅素子31及び分岐器32を介して給電時出力端子34から出力させると共に、常時出力端子35を分岐器32に接続して当該分岐器32により常時出力系統に分配された信号を常時出力端子35から出力させ、無給電時には、ブースタ入力端子30を常時出力端子35に接続して当該ブースタ入力端子30に入力された信号を常時出力端子35から出力させる、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、光通信技術の進展に伴い、光ケーブルを用いた光伝送システムが普及している。この光伝送システムによれば、数10km程度の無中継伝送が可能となるため、伝送システムを容易に広域化できる。この光伝送システムは、概略的には、送信者側に配置した光送信機と、受信者側に配置した光受信機(光終端端末装置、ONU:Optical Network Unit)とを、光ケーブルにて構成された長距離伝送路を介して接続して構成されている。このように構成された光伝送システムにおいて、送信側では、TV信号や告知放送信号が混合された電気信号を光送信機によって光信号に変換し、この光信号を光ケーブルを介して送信する。一方、受信側では、この光信号を光受信機を介して受信してRF信号やFM信号に変換し、これらRF信号をテレビ受像機と告知放送受信機に出力する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−236442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き従来の光伝送システムにおいては、光受信機からテレビ受像機や告知放送受信機に信号を分岐する場合、分岐器における分岐損失を補うために、光受信機と分岐器との間にブースタを接続する必要があった。図6は、従来のブースタを用いた光伝送システムの構成図である。この図6に例示するように、従来は、光受信機102から出力された信号をブースタ103で増幅し、当該ブースタ103により増幅された信号を分岐器104によりテレビ受像機105や告知放送受信機106に分岐していた。
【0005】
ここで、光受信機102としては、従来から、無給電式の光受信機も実用化されている。この無給電式の光受信機は、受信者側の電源供給の有無にかかわらず信号が出力できる光受信機であり、給電時には、外部からの電力供給を受けて動作し、無給電時には、内部のPD(Photo Diode)の起電力により動作することができる光受信機であり、このような無給電式の光受信機を用いることで、無給電時であっても光受信機102から信号を出力させることができる。しかしながら、図6に例示したような従来のブースタ103を用いた光伝送システム101において、無給電時であっても告知放送受信機106からの非常用告知放送を行わせるためには、光受信機102だけでなくブースタ103も動作させる必要がある。このため、ブースタ103用のバックアップ電源107を設けなければならず、設備の設置やメンテナンスに必要なコストが増大する可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、無給電時であっても信号の出力を継続することができるブースタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のブースタは、信号の入力を受ける入力端子と、信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段により増幅された信号を、給電時出力系統と常時出力系統とに分配する分配手段と、前記分配手段により前記給電時出力系統に分配された信号を出力する給電時出力端子と、信号を出力する常時出力端子と、前記増幅手段に対する給電が行われている場合には、前記入力端子を前記増幅手段に接続することで当該入力端子に入力された信号を当該増幅手段及び前記分配手段を介して前記給電時出力端子から出力させると共に、前記常時出力端子を前記分配手段に接続することで当該分配手段により前記常時出力系統に分配された信号を当該常時出力端子から出力させ、前記増幅手段に対する給電が行われていない場合には、前記入力端子を前記常時出力端子に接続することで当該入力端子に入力された信号を当該常時出力端子から出力させる、切り替え手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載のブースタは、請求項1に記載のブースタにおいて、前記分配手段により前記常時出力系統に分配された信号を減衰させる減衰手段を備え、前記切り替え手段は、前記増幅手段に対する給電が行われている場合には、前記常時出力端子を前記減衰手段に接続して当該減衰手段により減衰された信号を当該常時出力端子から出力させる。
【0009】
また、請求項3に記載のブースタは、請求項2に記載のブースタにおいて、前記増幅手段の利得と、前記分配手段の分配損失と前記減衰手段による減衰量との合計値とを、略同一にした。
【発明の効果】
【0010】
このように、請求項1に記載のブースタによれば、切り替え手段が、増幅手段に対する給電が行われている場合には、入力端子を増幅手段に接続することで当該入力端子に入力された信号を増幅手段及び分配手段を介して給電時出力端子から出力させると共に、常時出力端子を分配手段に接続することで当該分配手段により常時出力系統に分配された信号を常時出力端子から出力させ、増幅手段に対する給電が行われていない場合には、入力端子を常時出力端子に接続することで当該入力端子に入力された信号を常時出力端子から出力させるので、給電の有無に関わらず、ブースタに入力された信号を常に常時出力端子から出力させることができ、無給電時においても告知放送受信機による告知放送を行わせることができる。
【0011】
また、請求項2に記載のブースタによれば、切り替え手段は、増幅手段に対する給電が行われている場合には、常時出力端子を減衰手段に接続して当該減衰手段により減衰された信号を常時出力端子から出力させるので、給電時において常時出力端子から出力される信号のレベルを無給電時と同様のレベルに抑制することができ、告知放送受信機に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず一定に保つことができる。
【0012】
また、請求項3に記載のブースタによれば、増幅手段の利得と、分配手段の分配損失と減衰手段による減衰量との合計値とを、略同一にしたので、給電時において常時出力端子から出力される信号のレベルと無給電時において常時出力端子から出力される信号のレベルとを、確実に一定のレベルに保つことができ、告知放送受信機に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず確実に一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係るブースタを用いた光伝送システムの構成図である。
【図2】ブースタ内の回路図である。
【図3】実施の形態2に係るブースタを用いた光伝送システムの構成図である。
【図4】実施の形態2に係るブースタ内の回路図である。
【図5】図4に示した実施の形態2のブースタの回路構成の変形例を示した回路図である。
【図6】従来のブースタを用いた光伝送システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るブースタの各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、最も簡易に構成されたブースタに係る形態である。
【0016】
(構成)
図1は、実施の形態1に係るブースタを用いた光伝送システムの構成図である。この図1に示すように、光伝送システム1は、光受信機2と1台の告知放送受信機6とを、ブースタ3を介して接続すると共に、光受信機2と複数台のテレビ受像機5とを、ブースタ3及び分配器4を介して接続して構成されている。なお、分配器4、テレビ受像機5、及び告知放送受信機6については、従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。また、光受信機2についても、基本的には従来と同様に構成することができるので、以下では、特に本実施の形態に関連する構成のみを説明し、その他の詳細な説明は省略する。
【0017】
(構成−光受信機)
光受信機2は、無給電式の光受信機であって、PD、アンプ、出力端子を備えて構成されている(いずれも図示省略)。この光受信機2は、当該光受信機2に対して外部電源からの給電が行われている場合には、当該給電された電力を用いて、PDにて光信号を電気信号(以下、RF信号)に変換し、このRF信号からFM信号を取得し、これらRF信号とFM信号を混合して出力端子を介して外部に出力する。また、光受信機2は、当該光受信機2に対して外部電源からの給電が行われていない場合には、PDを無バイアスモードで駆動することにより起電力を発生させ、この電力を用いてRF信号を生成し、このRF信号から取得されたFM信号を出力端子を介して外部に出力する。以下では、光受信機2から出力されるRF信号、FM信号、あるいはこれらの混合信号を、特に相互に区別する必要がない場合には単に「信号」と称する。このような無給電式の光受信機2の具体的な回路構成としては、例えば、特開2010−068195号公報や特開2010−093778号公報に開示されている構成を適用することができる。なお、当該光受信機2に対して外部電源からの給電が行われている場合とは、通常は非停電時を意味し、当該光受信機2に対して外部電源からの給電が行われていない場合とは、通常は停電時を意味するが、後者の場合としては、非停電時であっても、外部電源が故障したり、外部電源と光受信機2との間の電力線が断線したりする場合も含み得る。以下では、対象機器(光受信機2及びブースタ3を含む)に対して電源が供給されている状態を「給電時」と称し、対象機器に対して電源が供給されていない状態をその原因に関わらず「無給電時」と称する。
【0018】
(構成−ブースタ)
ブースタ3は、上流側から入力された信号を下流側に出力するものである。図2は、ブースタ3内の回路図である。この図2に示すように、ブースタ3は、ブースタ入力端子30、増幅素子31、分岐器32、減衰器33、給電時出力端子34、常時出力端子35、第1スイッチ36a、第2スイッチ36b、及び、直流カットコンデンサ37a、37b、37cを備えている。
【0019】
(構成−ブースタ−ブースタ入力端子)
ブースタ入力端子30は、上流側からの信号の入力を受ける入力端子であり、光受信機2の出力端子と同軸ケーブル(図示省略)を介して接続されている。
【0020】
(構成−ブースタ−増幅素子)
増幅素子31は、信号を増幅する増幅手段であり、当該増幅素子31の入力端子(図示省略)が第1スイッチ36a及び直流カットコンデンサ37aを介してブースタ入力端子30と接続される。この増幅素子31としては、例えば電界効果トランジスタ等の公知の増幅素子を用いることができる。
【0021】
(構成−ブースタ−分岐器)
分岐器32は、増幅素子31により増幅された信号を、直流カットコンデンサ37bを介して給電時出力端子34に至る給電時出力系統と、減衰器33、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35に至る常時出力系統とに分配する分配手段であり、当該分岐器32の入力端子(図示省略)が増幅素子31の出力端子(図示省略)に接続されている。なお、本実施の形態1では、図2に示すように、分岐器32の送電系統は、給電時出力系統が幹線系統となっており、常時出力系統が分岐線系統となっている。この分岐器32としては、公知の分岐器を用いることができる。なお、分岐器32に代えて、分配器を用いてもよい。
【0022】
(構成−ブースタ−減衰器)
減衰器33は、分岐器32により常時出力系統に分岐された信号を減衰させる減衰手段であり、当該減衰器33の入力端子(図示省略)が分岐器32の常時出力系統側の出力端子(図示省略)に接続されている。この減衰器33による減衰量は、増幅素子31の利得と、分岐器32の分岐損失と当該減衰器33による減衰量との合計値とが、略同一になるように設定されている。この減衰器33としては、公知の減衰器を用いることができる。
【0023】
(構成−ブースタ−給電時出力端子)
給電時出力端子34は、分岐器32により給電時出力系統に分岐された信号を出力するものであり、直流カットコンデンサ37bを介して分岐器32の給電時出力系統側の出力端子に接続されている。
【0024】
(構成−ブースタ−常時出力端子)
常時出力端子35は、信号を出力するものであり、直流カットコンデンサ37cを介して第2スイッチ36bに接続されている。
【0025】
(構成−ブースタ−第1スイッチ、第2スイッチ)
第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bは、ブースタ3内の回路の接続を切り替える切り替え手段である。この内、第1スイッチ36aは、直流カットコンデンサ37aを介してブースタ入力端子30に接続され、当該ブースタ入力端子30の接続先を、増幅素子31の入力端子(図示省略)と第2スイッチ36bとの間で切り替える。また、第2スイッチ36bは、直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35に接続され、当該常時出力端子35の接続先を、減衰器33の出力端子(図示省略)と第1スイッチ36aとの間で切り替える。これらの第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bとしては、例えば、機械式スイッチ、電気機械式スイッチ、半導体スイッチ等、公知のスイッチを用いることができる。また、これらの第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bの切り替えは、ユーザやメンテナンス者が任意のタイミングで手動で行えるようにしてもよく、あるいは、ブースタ3に対する給電状況に応じて自動的に行われるようにしてもよい。
【0026】
(構成−ブースタ−直流カットコンデンサ)
直流カットコンデンサ37aは、第1スイッチ36aへの直流成分の流入をカットするコンデンサであり、直流カットコンデンサ37bは、給電時出力端子34への直流成分の流入をカットするコンデンサであり、直流カットコンデンサ37cは、常時出力端子35への直流成分の流入をカットするコンデンサである。
【0027】
(動作)
次に、このように構成されたブースタ3の動作について説明する。まず、給電時には、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを図2の点線の状態に切り替えて、ブースタ入力端子30を増幅素子31に接続することで、ブースタ入力端子30に入力された信号を増幅素子31及び分岐器32を介して給電時出力端子34から出力させると共に、常時出力端子35を減衰器33を介して分岐器32に接続することで、分岐器32により常時出力系統に分岐され、さらに減衰器33により減衰された信号を常時出力端子35から出力させる。給電時には増幅素子31に電力が供給されていることから、ブースタ入力端子30に入力された信号は、直流カットコンデンサ37a、及び第1スイッチ36aを介して増幅素子31に入力され、当該増幅素子31によって増幅される。そして、増幅素子31によって増幅された信号は分岐器32で給電時出力系統と常時出力系統とに分岐される。この内、給電時出力系統に分岐された信号は、直流カットコンデンサ37bを介して給電時出力端子34から出力され、分配器4で分配されて、各テレビ受像機5に入力される。一方、常時出力系統に分岐された信号は、減衰器33により減衰され、直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35から出力される。常時出力端子35から出力された信号は、告知放送受信機6に入力される。この結果、テレビ受像機5によるテレビ受像と、告知放送受信機6による告知放送が可能になる。
【0028】
一方、無給電時には、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを図2の実線の状態に切り替えて、ブースタ入力端子30を常時出力端子35に接続することで、ブースタ入力端子30に入力された信号を常時出力端子35から出力させる。この場合、ブースタ入力端子30に入力された信号は、直流カットコンデンサ37a、第1スイッチ36a、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して、常時出力端子35から出力される。常時出力端子35から出力された信号は、告知放送受信機6に入力される。この結果、無給電時においても、告知放送受信機6による告知放送が可能になる。
【0029】
特に、減衰器33による減衰量は、増幅素子31の利得と、分岐器32の分岐損失と当該減衰器33による減衰量との合計値とが、略同一になるように設定されている。従って、給電時において、直流カットコンデンサ37a、第1スイッチ36a、増幅素子31、分岐器32、減衰器33、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35から出力される信号の出力レベルと、無給電時において、増幅素子31、分岐器32、及び減衰器33がバイパスされ、直流カットコンデンサ37a、第1スイッチ36a、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35から出力される信号の出力レベルとが、一定のレベルに保たれる。これにより、告知放送受信機6に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず一定に保つことができる。
【0030】
なお、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを、ユーザやメンテナンス者が手動で切り替える構成としている場合には、給電時と無給電時における第1スイッチ36aと第2スイッチ36bの手動切り替えの操作忘れ等を防止するため、告知放送受信機6からユーザに対して、当該告知放送受信機6に対する外部電源からの電源の供給状態に応じて、ユーザに対する注意喚起を音声や表示により出力してもよい。例えば、告知放送受信機6の図示しない制御部は、当該告知放送受信機6に対する外部電源からの電源の供給状態を監視しており、電源が所定時間以上遮断された場合であって、かつ、自己に対して上流側から所定レベル以上の信号が入力されなくなった場合には、停電等が発生したものの、ユーザが第1スイッチ36aや第2スイッチ36bの手動切り替えを忘れているために信号の入力がない可能性が高いとし、「第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを無給電側に切り替えて下さい」のような音声メッセージを出力したり、同様の文字メッセージを図示しない液晶パネル等に表示したり、図示しないスイッチ確認要求灯の如き所定の表示灯を点灯又は点滅させたりすることで、ユーザに対する注意喚起を行ってもよい。また、その後、電源が所定時間以上継続して供給された場合には、ユーザが第1スイッチ36aや第2スイッチ36bの手動切り替えを忘れないようにするため、「第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを給電側に切り替えて下さい」のような音声メッセージを出力したり、同様の文字メッセージを液晶パネル等に表示したり、スイッチ確認要求灯の如き所定の表示灯を点灯又は点滅させたりすることで、ユーザに対する注意喚起を行ってもよい。
【0031】
(効果)
このように実施の形態1によれば、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを切り替えることにより、給電時には、ブースタ入力端子30を増幅素子31に接続することで、ブースタ入力端子30に入力された信号を増幅素子31及び分岐器32を介して給電時出力端子34から出力させると共に、常時出力端子35を分岐器32に接続することで、分岐器32により常時出力系統に分岐された信号を常時出力端子35から出力させる。また、無給電時には、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを切り替えることにより、ブースタ入力端子30を常時出力端子35に接続することで、ブースタ入力端子30に入力された信号を常時出力端子35から出力させる。従って、給電の有無に関わらず、ブースタ3に入力された信号を常に常時出力端子35から出力させることができ、無給電時においても告知放送受信機6による告知放送を行わせることができる。
【0032】
また、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを切り替えることにより、給電時には、常時出力端子35を減衰器33に接続することで、減衰器33により減衰された信号を常時出力端子35から出力させるので、給電時において常時出力端子35から出力される信号のレベルを無給電時と同様のレベルに抑制することができ、告知放送受信機6に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず一定に保つことができる。
【0033】
特に、増幅素子31の利得と、分岐器32の分岐損失と当該減衰器33による減衰量との合計値とを、略同一にしたので、給電時において常時出力端子35から出力される信号のレベルと無給電時において常時出力端子35から出力される信号のレベルとを、確実に一定のレベルに保つことができ、告知放送受信機6に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず確実に一定に保つことができる。
【0034】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、給電時出力端子を複数備える形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0035】
(構成)
図3は、実施の形態2に係るブースタ3を用いた光伝送システム1の構成図である。この図3に示すように、光伝送システム1は、光受信機2と1台の告知放送受信機6とを、ブースタ3を介して接続すると共に、光受信機2と複数台のテレビ受像機5とを、ブースタ3を介して接続して構成されている。
【0036】
(構成−ブースタ)
図4は、実施の形態2に係るブースタ3内の回路図である。この図4に示すように、ブースタ3は、実施の形態1における分岐器32に代えて分配器38を備えていると共に、複数の給電時出力端子34a、34b、34c、34dを備えている。
【0037】
(構成−ブースタ−分配器)
分配器38は、増幅素子31により増幅された信号を、給電時出力系統と常時出力系統とに分配する分配手段であり、当該分配器38の入力端子(図示省略)が増幅素子31の出力端子(図示省略)に接続されている。なお、本実施の形態2では、図4に示すように、分配器38は出力を5系統に分配する5分配器となっており、増幅素子31から直流カットコンデンサ37b、37d、37e、37fを介して4つの給電時出力端子34a、34b、34c、34dに至る各系統が給電時出力系統、増幅素子31から減衰器33、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35に至る系統が常時出力系統となっている。この分配器38としては、公知の分配器を用いることができる。
【0038】
(構成−ブースタ−減衰器)
減衰器33は、分配器38により常時出力系統に分配された信号を減衰させる減衰手段であり、当該減衰器33の入力端子(図示省略)が分配器38の常時出力系統の出力端子に接続されている。この減衰器33による減衰量は、増幅素子31の利得と、分配器38の分配損失と当該減衰器33による減衰量との合計値とが、略同一になるように設定されている。この減衰器33としては、公知の減衰器を用いることができる。
【0039】
(構成−ブースタ−給電時出力端子)
給電時出力端子34a、34b、34c、34dは、分配器38により給電時出力系統に分配された信号を出力するものであり、直流カットコンデンサ37b、37d、37e、37fを介して分配器38の給電時出力系統の出力端子に接続されている。本実施の形態2では、4つの給電時出力端子34a、34b、34c、34dが設けられている。
【0040】
(動作)
次に、このように構成されたブースタ3の動作について説明する。まず、給電時には、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを図4の点線の状態に切り替えて、ブースタ入力端子30を増幅素子31に接続することで、ブースタ入力端子30に入力された信号を増幅素子31及び分配器38を介して各給電時出力端子34a、34b、34c、34dから出力させると共に、常時出力端子35を減衰器33を介して分配器38に接続することで、分配器38により常時出力系統に分配され、さらに減衰器33により減衰された信号を常時出力端子35から出力させる。給電時には増幅素子31に電力が供給されていることから、ブースタ入力端子30に入力された信号は、直流カットコンデンサ37a、及び第1スイッチ36aを介して増幅素子31に入力され、当該増幅素子31によって増幅される。そして、増幅素子31によって増幅された信号は分配器38で給電時出力系統と常時出力系統とに分配される。この内、給電時出力系統に分配された信号は、直流カットコンデンサ37b、37d、37e、37fを介して各給電時出力端子34a、34b、34c、34dから出力され、各テレビ受像機5に直接入力される。一方、常時出力系統に分配された信号は、減衰器33により減衰され、直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35から出力される。常時出力端子35から出力された信号は、告知放送受信機6に入力される。この結果、テレビ受像機5によるテレビ受像と、告知放送受信機6による告知放送が可能になる。
【0041】
一方、無給電時には、第1スイッチ36a及び第2スイッチ36bを図4の実線の状態に切り替えて、ブースタ入力端子30を常時出力端子35に接続することで、ブースタ入力端子30に入力された信号を常時出力端子35から出力させる。この場合、ブースタ入力端子30に入力された信号は、直流カットコンデンサ37a、第1スイッチ36a、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して、常時出力端子35から出力される。常時出力端子35から出力された信号は、告知放送受信機6に入力される。この結果、無給電時においても、告知放送受信機6による告知放送が可能になる。
【0042】
特に、減衰器33による減衰量は、増幅素子31の利得と、分配器38の分配損失と当該減衰器33による減衰量との合計値とが、略同一になるように設定されている。従って、給電時において、直流カットコンデンサ37a、第1スイッチ36a、増幅素子31、分配器38、減衰器33、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35から出力される信号の出力レベルと、無給電時において、増幅素子31、分配器38、及び減衰器33がバイパスされ、直流カットコンデンサ37a、第1スイッチ36a、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35から出力される信号の出力レベルとが、一定のレベルに保たれる。これにより、告知放送受信機6に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず一定に保つことができる。
【0043】
(効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、複数のテレビ受像機5にブースタ3から信号を直接入力させることができる。これにより、光伝送システム1の構成を一層簡易なものとすることができる。
【0044】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0045】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0046】
(具体的な回路構成について)
ブースタ3の具体的な回路構成としては、上記説明した機能を実現することができる限りにおいて、各実施の形態で例示した回路構成以外にも、公知の回路構成を適用することができる。例えば、図5は、図4に示した実施の形態2のブースタ3の回路構成の変形例を示した回路図である。この図5に示すように、実施の形態2のブースタ3において、増幅素子31と分配器38との間に、さらに分岐器32を設けることとしてもよい。この場合、分岐器32は、増幅素子31により増幅された信号を、分配器38、及び直流カットコンデンサ37b、37d、37e、37fを介して給電時出力端子34a、34b、34c、34dに至るに至る給電時出力系統と、減衰器33、第2スイッチ36b、及び直流カットコンデンサ37cを介して常時出力端子35に至る常時出力系統とに分岐する。このようにブースタ3の回路を構成した場合においても、実施の形態2のブースタ3と同様の機能を実現することができる。
【0047】
また、上述の各実施の形態では、ブースタ3が減衰器33を備える場合を説明したが、減衰器33を省略した構成としてもよい。この場合においても、例えば、増幅素子31の利得を、分岐器32の分岐損失、あるいは分配器38の分配損失と略同一になるように設定することにより、給電時において常時出力端子35から出力される信号のレベルを無給電時と同様のレベルに抑制することができ、告知放送受信機6に入力される信号のレベルを、給電の有無に関わらず一定に保つことができる。
【符号の説明】
【0048】
1、101 光伝送システム
2、102 光受信機
3、103 ブースタ
4、38 分配器
5、105 テレビ受像機
6、106 告知放送受信機
30 ブースタ入力端子
31 増幅素子
32、104 分岐器
33 減衰器
34、34a、34b、34c、34d 給電時出力端子
35 常時出力端子
36a 第1スイッチ
36b 第2スイッチ
37a、37b、37c、37d、37e、37f 直流カットコンデンサ
107 バックアップ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の入力を受ける入力端子と、
信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段により増幅された信号を、給電時出力系統と常時出力系統とに分配する分配手段と、
前記分配手段により前記給電時出力系統に分配された信号を出力する給電時出力端子と、
信号を出力する常時出力端子と、
前記増幅手段に対する給電が行われている場合には、前記入力端子を前記増幅手段に接続することで当該入力端子に入力された信号を当該増幅手段及び前記分配手段を介して前記給電時出力端子から出力させると共に、前記常時出力端子を前記分配手段に接続することで当該分配手段により前記常時出力系統に分配された信号を当該常時出力端子から出力させ、前記増幅手段に対する給電が行われていない場合には、前記入力端子を前記常時出力端子に接続することで当該入力端子に入力された信号を当該常時出力端子から出力させる、切り替え手段と、
を備えるブースタ。
【請求項2】
前記分配手段により前記常時出力系統に分配された信号を減衰させる減衰手段を備え、
前記切り替え手段は、前記増幅手段に対する給電が行われている場合には、前記常時出力端子を前記減衰手段に接続して当該減衰手段により減衰された信号を当該常時出力端子から出力させる、
請求項1に記載のブースタ。
【請求項3】
前記増幅手段の利得と、前記分配手段の分配損失と前記減衰手段による減衰量との合計値とを、略同一にした、
請求項2に記載のブースタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−235345(P2012−235345A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103105(P2011−103105)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】