説明

ブームスプレーヤ

【課題】ブームの操作を簡略化し、作業性を向上させることができるブームスプレーヤを提供する。
【解決手段】ブーム5がセンターブーム部6とサイドブーム部7とを備え、センターブーム部はブームスプレーヤの左右方向に延び、サイドブーム部はセンターブーム部の端部にブームスプレーヤの側部に沿う閉位置と左右方向に延びる開位置とに変更可能に回動自在に設けられているとともに、その長手方向に伸縮自在なスライドブームからなるブームスプレーヤ1Aであって、サイドブーム部が回動して閉位置から開位置になったことを検出し、サイドブーム部を伸張させて縮小状態から伸張状態にする油圧モータ37を作動させる開センサ装置と、サイドブーム部が縮小して伸張状態から縮小状態になったことを検出し、サイドブーム部を回動させて開位置から閉位置にする油圧シリンダ39を作動させる縮センサ装置とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるスライド式のブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
スライド式のブームスプレーヤとしては、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。図7は、このトラクタ搭載型のスライド式ブームスプレーヤを斜め後方から見た斜視図である。農業用トラクタTは、前後左右のタイヤYにより圃場を走行自在であり、屋根付き運転室Uを備えている。ブームスプレーヤ1は、農業用トラクタTの後部の三点リンクを介して農業用トラクタTの後部に分離自在に取り付けられる。ブームスプレーヤ1の搭載時において、ブームスプレーヤ1の薬液タンク2は、農業用トラクタTの真後ろに位置する。この薬液タンク2内には所定量の薬液が貯留される。ポンプ3は、農業用トラクタTの後部のPTOを介して伝達されて来る動力により駆動され、薬液タンク2内の薬液を吸入し、ノズルパイプ4の方へ吐出する。
【0003】
ブーム5は、センターブーム部6とサイドブーム部7とを備えている。センターブーム6は、フレーム構造をしており、薬液タンク2の後部に設けられたブーム取付フレーム8に、先端側が右方向に向く位置と左方向に向く位置とに変更可能に水平回動自在に設けられている。サイドブーム部7は、センターブーム部6の先端側に、農業用トラクタTの側部に沿う閉位置(非作業位置)と、農業用トラクタの左右方向に延びる開位置(作業位置)とに変更可能に回動自在に設けられている。このサイドブーム部7は、伸縮自在なスライドブームからなる。ノズルパイプ4は、サイドブーム部7に設けられ、該サイドブーム部7に沿って延び、複数個のノズルを等間隔に装備し、ポンプ3から圧送されて来る薬液は、ノズルパイプ4を経て各ノズルから噴射されるようになっている。ブームスプレーヤ1は、農業用トラクタTの搭載状態から解除されたときに、センタースタンド9とブームスタンド10とにより、起立状態を保つようになっている。
【0004】
図8は、農業用トラクタに搭載されたブームスプレーヤを上方から見たときのブーム5の各種動作を示す図である。移動、格納時等の非作業時は、サイドブーム部7がセンターブーム部6に対して90°前方へ折り曲げられ、農業用トラクタTの右側部に沿って延びる閉位置とされる。他方、作業時の開位置では、サイドブーム部7がセンターブーム部6と略一直線状になり、農業用トラクタTの側方へ水平に延びた位置になる。そして、農業用トラクタTを走行しつつ、農業用トラクタTの右方の作物へ薬液を散布するときは、サイドブーム部7が農業用トラクタTの右方へ水平に突き出す右位置になり、一方農業用トラクタTの左方の作物へ薬液を散布するときは、サイドブーム部7が農業用トラクタTの左方へ水平に突き出す左位置になる。サイドブーム部7は、伸縮自在であり、長さの増大した伸張位置と長さの縮小した縮小位置とを変更可能である。
【0005】
図8では、ブーム5の動作の内、サイドブーム部7が平面視において90°回動して開位置と閉位置とを切替える開動作と閉動作、センターブーム部6が平面視において180°回動(ターン)して左位置と右位置とを切替える左旋回動作と右旋回動作、およびサイドブーム部7が伸縮して伸長位置と縮小位置とを切替える伸長動作と縮小動作が示されている。なお、開動作、閉動作、左旋回動作、および右旋回動作に先立って、サイドブーム部7が縮小位置に切替えられ、それら動作中、サイドブーム部7は、縮小位置に保持される。
【0006】
図9は、農業用トラクタTの後方から見たときのブーム5の上下運動を示す図である。ブーム5のサイドブーム部7は、先端側を基端側に対して上昇および下降させる上昇動作および下降動作をする。これにより、開位置のサイドブーム部7の上下の角度を変えることができ、トラクタTの走行路に対して防除対象が傾斜している場合、その傾斜にブーム5を合わせることができる。また、移動、格納時等の非作業時には、閉位置のサイドブーム部7をトラクタT側に設置したブーム受けに支持するが、その時の高さ調整のために開位置のサイドブーム部7の上下の角度を変える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−69896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このスライド式のブームスプレーヤのブームの作動は、近年、キャビントラクタが急速に普及していることから、電動アクチュエータあるいは電動式の油圧バルブを介した油圧アクチュエータを装備し、トラクタの運転席近くに設けられたスイッチボックスで操作するものが主流となりつつある。
ブームを操作するスイッチには、左右または上下の2方向に操作するスイッチ(2方向スイッチ)や、操作方向が十字方向に設けられた十字スイッチなどが用いられる。このようなスイッチを用いたスイッチボックスには、例えば、図10に示すように、左右の2つの十字スイッチ11、12を備えているものがある。このスイッチボックス13を用いて、ブームを操作するには、次にように行う。
【0009】
すなわち、ブーム5を格納位置(非作業位置)から散布位置(作業位置)にするには、まず、左の十字スイッチ11を表示「上」側に傾動させて、サイドブーム部7の先端側を基端側に対して少し上昇させ、これにより格納状態のサイドブーム部7をトラクタTのブーム受けから外す。
次いで、右側の十字スイッチ12を表示「開」側に傾動させて、サイドブーム部7を回動させ、これによりサイドブーム部7を開位置にする。
次いで、左側の十字スイッチ11を表示「伸」側に傾動させて、サイドブーム部7を伸張させ、これによりサイドブーム部7を伸張位置にする。
次いで、十字スイッチ11を表示「下」側または「上」側に傾動させて、サイドブーム部7の先端側を基端側に対して下降または上昇させ、これによりサイドブーム部7の上下の角度を作物に合わせて調整する。
ブーム5を散布位置から格納位置にするには、逆の操作を行う。
【0010】
しかしながら、このようなスライド式のブームスプレーヤにあっては、ブーム5を格納位置から散布位置にするには、左の十字スイッチ11を操作した後、右の十字スイッチ12を操作し、その後左の十字スイッチ11を操作する必要があるので、左右の十字スイッチ11,12を持ち替える必要があるとともに、スイッチの操作回数も多く、ブーム操作が煩雑であるという問題がある。
【0011】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、ブームの操作を簡略化し、作業性を向上させることができるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のブームスプレーヤ(1A)は、ブーム(5)がセンターブーム部(6)とサイドブーム部(7)とを備え、前記センターブーム部(6)は、ブームスプレーヤ(1A)の左右方向に延び、前記サイドブーム部(7)は、前記センターブーム部(6)の端部にブームスプレーヤ(1A)の側部に沿う閉位置と左右方向に延びる開位置とに変更可能に回動自在に設けられているとともに、その長手方向に伸縮自在なスライドブームからなるブームスプレーヤ(1A)であって、前記サイドブーム部(7)が回動して閉位置から開位置になったことを検出し、前記サイドブーム部(7)を伸張させて縮小状態から伸張状態にする第1のアクチュエータ(37)を作動させる第1のセンサ装置(51)と、前記サイドブーム部(7)が縮小して伸張状態から縮小状態になったことを検出し、前記サイドブーム部(7)を回動させて開位置から閉位置にする第2のアクチュエータ(39)を作動させる第2のセンサ装置(61)とが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明においては、第1のセンサ装置が設けられているので、サイドブーム部が回動して閉位置から開位置になると、第1のアクチュエータが作動してサイドブーム部を伸張させて縮小状態から伸張状態にする。したがって、ブームを非作業状態から作業状態にする際に、すなわちサイドブーム部を閉位置から開位置に回動してから、サイドブーム部を縮小状態から伸張状態に伸張する際に、サイドブーム部の伸張動作を開始させる操作を省略することができて、作業性を向上させることができる。
また、第2のセンサ装置が設けられているので、サイドブーム部が縮小して伸張状態から縮小状態になると、第2のアクチュエータが作動してサイドブーム部を回動させて開位置から閉位置にする。したがって、ブームを作業状態から非作業状態にする際に、すなわちサイドブーム部を伸張状態から縮小状態に縮小してから、サイドブーム部を開位置から閉位置に回動する際に、サイドブーム部の回動動作を開始させる操作を省略することができて、作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載のブームスプレーヤは、ブーム(5)がセンターブーム部(6)とサイドブーム部(7)とを備え、前記センターブーム部(6)は、ブームスプレーヤ(1A)の左右方向に延び、前記サイドブーム部(7)は、前記センターブーム部(6)の端部にブームスプレーヤ(1A)の側部に沿う閉位置と左右方向に延びる開位置とに変更可能に回動自在に設けられているとともに、その長手方向に伸縮自在なスライドブームからなるブームスプレーヤであって、前記サイドブーム部(7)が閉位置から開位置に回動動作していることを検出し、前記サイドブーム部(7)を伸張させて縮小状態から伸張状態にする第1のアクチュエータ(37)を作動させる第1のセンサ装置と、前記サイドブーム部(7)が伸張状態から縮小状態に縮小動作していることを検出し、前記サイドブーム部(7)を回動させて開位置から閉位置にする第2のアクチュエータ(39)を作動させる第2のセンサ装置とが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明においては、第1のセンサ装置が設けられているので、サイドブーム部が閉位置から開位置に回動動作していると、第1のアクチュエータが作動してサイドブーム部を伸張させて縮小状態から伸張状態にする。したがって、ブームを非作業状態から作業状態にする際に、すなわちサイドブーム部を閉位置から開位置に回動するとともに、サイドブーム部を縮小状態から伸張状態に伸張する際に、サイドブーム部の伸張動作を開始させる操作を省略することができて、作業性を向上させることができる。
また、第2のセンサ装置が設けられているので、サイドブーム部が伸張状態から縮小状態に縮小動作していると、第2のアクチュエータが作動してサイドブーム部を回動させて開位置から閉位置にする。したがって、ブームを作業状態から非作業状態にする際に、すなわちサイドブーム部を伸張状態から縮小状態に縮小するとともに、サイドブーム部を開位置から閉位置に回動する際に、サイドブーム部の回動動作を開始させる操作を省略することができて、作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載のブームスプレーヤ(1A)は、請求項1または請求項2に記載のブームスプレーヤ(1A)において、前記第1のアクチュエータ(37)および前記第2のアクチュエータ(39)はそれぞれ、前記第1のセンサ装置(51)および前記第2のセンサ装置(61)の作動の有無に関わらずに、独立して作動できるようになっていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明においては、第1のセンサ装置の作動の有無に関わらずに、第1のアクチュエータが独立して作動できるようになっているので、サイドブーム部が縮小状態と伸長状態の間の状態になっている場合に、第1のアクチュエータを独立して作動させて、サイドブーム部を伸張させることができる。
また、第2のセンサ装置の作動の有無に関わらずに、第2のアクチュエータが独立して作動できるようになっているので、サイドブーム部が開位置と閉位置の間の位置している場合に、第2のアクチュエータを独立して作動させて、サイドブーム部を回動させて閉動作させることができる。
【0018】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のブームスプレーヤによれば、第1のセンサ装置および第2のセンサ装置が設けられているので、ブームの操作を簡略化することができて、作業性を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るブームスプレーヤを示す図であって、前方から見た図である。
【図2】同、左後方から見た斜視図である。
【図3】同、右後方から見た斜視図である。
【図4】図3の要部の斜視図である。
【図5】スイッチボックスの斜視図である。
【図6】スイッチボックスの十字スイッチの動作を示す斜視図である。
【図7】ブームスプレーヤを搭載された農業用トラクタを斜め後方から見た斜視図である。
【図8】農業用トラクタに搭載されたブームスプレーヤを上方から見たときのブームの各種動作を示す図である。
【図9】農業用トラクタに搭載されたブームスプレーヤを後方から見たときのブームの上下運動を示す図である。
【図10】従来のスイッチボックスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の特徴は、ブームのセンサ装置部にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分および相違部分について主に説明し、それ以外の部分については、図7から図9と同一の符号を付してその説明を省略または簡潔化する。
【0022】
図1から図3は本発明の実施の形態に係るトラクタ搭載型のスライド式のブームスプレーヤを示す図であって、図1は前方から見た図であり、図2は左後方から見た斜視図(サイドブーム部は図示せず)であり、図3は右後方から見た斜視図であり、図4は図3の要部の斜視図であり、図5はスイッチボックスの斜視図であり、図6はスイッチボックスの十字スイッチの動作を示す斜視図である。
【0023】
本実施の形態に係るトラクタ搭載型のスライド式ブームスプレーヤ1Aにおいては、薬液タンク2の後部に設けられた支持フレーム21に、ブーム取付フレーム8が油圧シリンダ22により上下移動可能に取り付けられており、これによりブーム取付フレーム8に取り付けられるブーム5を作物の高さに合わせて所望の高さ位置に設定できるようになっている。ブーム取付フレーム8の左右方向中心部には、上下方向に延びる支軸(回動軸)23が設けられおり、この支軸23に、ブーム5のセンターブーム部6の基端部が油圧シリンダ24により水平回動可能に取り付けられており、これによりセンターブーム部6は、その先端側が右方向に向く位置と左方向に向く位置とに変更可能となっている。
【0024】
ブーム5のサイドブーム部7は、スライドブームであって、ブーム本体31と、このブーム本体31の先端部に固定された1段ブーム32と、この1段ブーム32の側部に沿って伸縮する2段ブーム33とを備えている。サイドブーム部7には、該サイドブーム部7に沿って延びるとともに複数個のノズルを等間隔に装備したノズルパイプ(図示せず)が設けられ、ノズルパイプには、該サイドブーム部7に沿って延び、複数個のノズルを等間隔に設けられし、ポンプ3から圧送されて来る薬液は、ノズルパイプを経て各ノズルから噴射(噴霧)されるようになっている。なお、ブーム取付フレーム8の下部にも、ノズルパイプ4が設置されている。
【0025】
ブーム本体31の基端部の上端部は、サイドブーム部7とセンターブーム部6との間に設けられたブラケット34に取り付けられている。すなわち、ブラケット34の上端部には、水平方向に延びる支軸(回動軸)35が設けられており、この支軸35にブーム本体31の基端部の上端部が回動自在に固定されているとともに、ブラケット34の下端部とブーム本体31の先端部の下端部との間に油圧シリンダ36が設けられている。そして、油圧シリンダ36が伸長および縮小すると、サイドブーム部7の先端側が基端側に対して上昇および下降する上昇動作および下降動作をし、これによりサイドブーム部7の上下の角度を変えることができるようになっている。
2段ブーム33は、油圧モータ(第1のアクチュエータ)37が正回転および逆回転することにより、1段ブーム32に対して伸張および伸縮するようになっている。
【0026】
ブラッケット34の基端部は、センターブーム部6の先端部に取り付けられている。すなわち、ブラケット34の基端部とセンターブーム部6の先端部とは、上下に延びる上下一対の支軸38、38が設けられており、これらの支軸38、38によりブラケット34の基端部とセンターブーム部6の先端部とが回動自在に固定されているとともに、ブラケット34の前側とセンターブーム部6の前側(薬液タンク2側)との間に油圧シリンダ(第2のアクチュエータ)39が設けられている。そして、油圧シリンダ39が伸長および縮小すると、ブラケット34が支軸38、38を中心に後側および前側に水平回動し、これによりサイドブーム部7がセンターブーム部6に対して約90°前方へ折り曲げられ、農業用トラクタTの右側部に沿って延びる閉位置(非作業位置)と、サイドブーム部7がセンターブーム部6と略一直線状になり、農業用トラクタTの側方へ水平に延びた位置になる開位置(作業位置)とに変更可能になっている。
上記油圧シリンダ22、24、36、39および油圧モータ37は、支持フレーム21に取り付けられた油圧バルブ41により作動を制御されるようになっている。
【0027】
センターブーム部6の先端部とブラケット34の基端部との間には、開センサ装置(第1のセンサ装置)51が設けられている。この開センサ装置51は、センターブーム部6の先端部に先端方向に突出するように設けられた開センサ52と、ブラケット34の基端部に基端側に突出するように設けられた作動レバー(作動部材)53とを備えている。開センサ52には下方に突出する検出部52aを備えており、この検出部52aを作動レバー53が押すことにより、開センサ52が作動し、これにより油圧シリンダ39を伸長させる(したがってサイドブーム部7を開動作させる)油圧バルブ41の「開」のポートを閉じるとともに、2段ブーム33を伸張させる(したがってサイドブーム部7を伸張させる)ように油圧モータ37を回転させる油圧バルブ41の「伸」のポートを開けるようになっている。したがって、開センサ52が作動すると、サイドブーム部7の開動作が停止すると同時にサイドブーム部7の伸張動作が開始するようになっている。
【0028】
また、センターブーム部6の先端部とブラケット34の基端部との間には、ストッパ55が設けられている。このストッパ55は、センターブーム部6の先端部に先端側に突出するように設けられた上下一対のストッパボルトからなるもので、サイドブーム部7が開くようにブラケット34が回動した際に、このストッパ55に当接して、サイドブーム7がセンターブーム部6と略一直になるようになっている。
【0029】
一方、サイドブーム部7には、縮センサ装置(第2のセンサ装置)61が設けられている。この縮センサ装置61は、ブーム本体31の側部に設けられた縮センサ62と、2段ブーム33の基端部に基端側に突出するように設けられた作動レバー(作動部材)63とを備えている。縮センサ62には下方に突出する検出部62aを備えており、この検出部62aを作動レバー63が押すことにより、縮センサ62が作動し、これにより2段ブーム33を縮小させる(したがってサイドブーム部7を縮小させる)ように油圧モータ37を回転させる油圧バルブ41の「縮」のポートを閉じるとともに、油圧シリンダ39を縮小させる(したがってサイドブーム部7を閉動作させる)油圧バルブ41の「閉」のポートを開けようになっている。したがって、縮センサ62が作動すると、サイドブーム部7の縮小動作が停止すると同時にサイドブーム部7の開動作が開始するようになっている。
【0030】
図5に示す操作盤(操作部)としてのスイッチボックス71は、トラクタの運転席近くに設置され、運転席の運転者(作業者)から操作可能になっている。このスイッチボックス71の裏面側には磁石が固定されており、その磁石の吸着力により、トラクタの運転席近くに設置された操作盤固着パネルに分離自在に固定される。スイッチボックス71は、四角箱状に形成されており、四角形の表面の盤面72には、その中央部に十字スイッチ(スイッチ)73が設けられ、この十字スイッチ73を周囲を取り囲むようにして、上下または左右の2方向に操作する6個の2方向スイッチ74、75、76、77、78、79が設けられている。また、スイッチボックス71の側面には、スイッチボックス71の電源スイッチ80が設けられている。
【0031】
盤面72の中央部の十字スイッチ73は、ブーム5のサイドブーム部7を動作させるスイッチであり、盤面72から直立し、傾動可能となっている。十字スイッチ73を上側(盤面72の文字および/または図による表示(以下、単に表示という。)「上」側)および下側(表示「下」側)に傾動させるとそれぞれ、サイドブーム部7の先端側が基端側に対して上昇および下降するようになっている。また、十字スイッチ73を右側(表示「開→伸」側)に傾動させると、サイドブーム部7を閉位置から拡開動作させて開位置にし、その後サイドブーム部7を伸張するようになっている。また、十字スイッチ73を左側(表示「閉←縮」側)に傾動させると、サイドブーム部7を伸張位置から縮小動作させて縮小位置にし、その後サイドブーム部7を縮閉するようになっている。十字スイッチ73は傾動動作を止めて手を離すと、直立位置に戻り、サイドブーム部7の各動作を停止するようになっている。
【0032】
盤面72の左上の2方向スイッチ74は、回転灯のスイッチであり、左側(表示「OFF」側)および右側(表示「ON」側)に操作することによりそれぞれ、回転灯のOFF(消灯)およびON(点灯)を行うようになっている。盤面72の右上の2方向スイッチ75は、薬液通路のメインコックのスイッチであり、左側(表示「停止」側)および右側(表示「噴霧」側)に操作することによりそれぞれ、メインコックの閉(停止)および開(噴霧)を行うようになっている。盤面72の左下の2方向スイッチ76は、ポンプにより圧送される薬液の圧力を変更するスイッチすなわち調圧弁を操作するスイッチであり、左側(表示「低」側)および右側(表示「高」側)に操作することによりそれぞれ、調圧弁を低圧状態および高圧状態に変更するようになっている。2方向スイッチ76は、スイッチが直立位置では、調圧弁を圧力が抜ける(ほぼ大気圧になる)状態にするようになっている。
【0033】
盤面72の右下の2方向スイッチ77は、ブーム5のセンターブーム部6を平面視において180°回動(ターン)させて左位置と右位置とを切替える左旋回動作と右旋回動作を行うためのスイッチであり、左側(表示「左」側)および右側(表示「右」側)に操作することによりそれぞれ、センターブーム部6を左および右に位置させるようになっている。盤面72の左中の2方向スイッチ(スイッチ)78は、ブーム5のサイドブーム部7を動作させるスイッチであり、上側(表示「伸」側)および下側(表示「閉」側)に操作することによりそれぞれ、サイドブーム部7を伸張および閉位置にするようになっている。盤面72の右中の2方向スイッチ79は、ブーム5のセンターブーム部6を動作させるスイッチであり、上側(表示「高」側)および下側(表示「低止」側)に操作することによりそれぞれ、センターブーム部6の上下の位置を高くおよび低くするようになっている。2方向スイッチ77、78、79は、スイッチが直立位置では、センターブーム部6あるいはサイドブーム部7の動作が停止するようになっている。
【0034】
なお、スイッチボックス71は、その盤面72が上下方向に位置するように設置せずに、たとえば盤面72が水平方向に位置するように設置してもよい。この場合には、たとえば、十字スイッチ73等を上側または下側に操作するのを前側または後側に操作するようにするとよい。
【0035】
このトラクタ搭載型のスライド式のブームスプレーヤ1Aにおいて、ブーム5を格納位置(非作業位置)から散布位置(作業位置)にするには、次のようにする。
まず、スイッチボックス71の十字スイッチ73を上側(表示「上」側)に傾動させる。そうすると、油圧バルブ41の「上昇」のポートが開いて、油圧シリンダ36が伸長し、これによりブーム5のサイドブーム部7の先端側が基端側に対して少し上昇する。その後、十字スイッチ73の傾動を止めると、十字スイッチ73が直立状態に戻る(直立状態に積極的に戻してもよい)。そうすると、油圧バルブ41の「上昇」のポートが閉じて、油圧シリンダ36の伸長が停止し、これによりサイドブーム部7の上昇が停止する。これにより、格納状態のサイドブーム部7がトラクタTのブーム受けから外れる。
【0036】
次いで、十字スイッチ73を右側(表示「開→伸」側)に傾動させる。そうすると、油圧バルブ41の「開」のポートが開いて、油圧シリンダ39が伸長し、これによりサイドブーム部7が回動して開いていく。そして、サイドブーム部7が開位置になると、開センサ装置51が作動する。すなわち、サイドブーム部7が開位置になると、ブラケット34に設けられた作動レバー53がセンターブーム部6に設けられた開センサ52の検出部52aを押し、これにより開センサ52が作動する。開センサ52が作動すると、油圧バルブ41の「開」のポートが閉じて、油圧シリンダ39の伸長が停止するとともに、油圧バルブ41の「伸」のポートが開いて、2段ブーム33を伸張させるように油圧モータ37が回転を開始する。したがって、開センサ装置51が作動すると、サイドブーム部7の開動作が停止すると同時に、サイドブーム部7の伸張動作が開始するようになっている。その後、油圧モータ37が回転することにより、サイドブーム部7が伸張する。その後、十字スイッチ73の傾動を止めると、十字スイッチ73が直立状態に戻る(直立状態に積極的に戻してもよい)。そうすると、油圧バルブ41の「伸」のポートが閉じて、油圧モータ37の回転が停止し、これによりサイドブーム部7の伸張が停止する。
なお、十字スイッチ73を右側(表示「開→伸」側)に傾動させて、まだサイドブーム部7が回動途中であってサイドブーム部7が完全に開位置になっていない途中の状態で、十字スイッチ73の傾動を止め、十字スイッチ73が直立状態になると、油圧バルブ41の「開」のポートが閉じて、油圧シリンダ39の伸長が停止し、これによりサイドブーム部7の開動作が途中で停止する。
【0037】
次いで、十字スイッチ73を下側(表示「下」側)に傾動させる。そうすると、油圧バルブ41の「下降」のポートが開いて、油圧シリンダ36が縮小し、これによりサイドブーム部7の先端側が基端側に対して下降する。その後、十字スイッチ73の傾動を止めると、十字スイッチ73が直立状態に戻る(直立状態に積極的に戻してもよい)。そうすると、油圧バルブ41の「下降」のポートが閉じて、油圧シリンダ36の縮小が停止し、これによりサイドブーム部7の下降が停止する。その後、十字スイッチ73を上側(表示「上」側)または下側(表示「下」側)に傾動させて、サイドブーム部7の先端側を基端側に対して上昇または下降させ、これによりサイドブーム部7の上下の角度を作物に合わせて調整する。
【0038】
一方、散布位置(作業位置)から格納位置(非作業位置)にするには、次のようにする。
まず、十字スイッチ73を上側(表示「上」側)に傾動させる。そうすると、油圧バルブ41の「上昇」のポートが開いて、油圧シリンダ36が伸長し、これによりサイドブーム部7の先端側が基端側に対して上昇する。その後、十字スイッチ73の傾動を止めると、十字スイッチ73が直立状態に戻る(直立状態に積極的に戻してもよい)。そうすると、油圧バルブ41の「上昇」のポートが閉じて、油圧シリンダ36の伸長が停止し、これによりサイドブーム部7の上昇が停止する。
【0039】
次いで、十字スイッチ73を左側(表示「閉←縮」側)に傾動させる。そうすると、油圧バルブ41の「縮」のポートが開いて、2段ブーム33を縮小させるように油圧モータ37が回転し、2段ブーム33を縮小していく(したがって、サイドブーム部7が縮小していく)。そして、サイドブーム部7が縮小位置になると、縮センサ装置61が作動する。すなわち、サイドブーム部7が縮小位置になると、2段ブーム33に設けられた作動レバー63がブーム本体31に設けられた縮センサ62の検出部62aを押し、これにより開センサ62が作動する。縮センサ62が作動すると、油圧バルブ41の「縮」のポートが閉じて、2段ブーム33を縮小が停止するとともに、油圧バルブ41の「閉」のポートが開いて、油圧シリンダ39が縮小を開始する。したがって、縮センサ装置61が作動すると、サイドブーム部7の縮小動作が停止すると同時に、サイドブーム部7の閉動作が開始するようになっている。その後、油圧シリンダ39が縮小することにより、サイドブーム部7が縮小する。その後、十字スイッチ73の傾動を止めると、十字スイッチ73が直立状態に戻る(直立状態に積極的に戻してもよい)。そうすると、油圧バルブ41の「閉」のポートが閉じて、油圧シリンダ39の縮小が停止し、これによりサイドブーム部7の回動による閉動作が停止する。
なお、十字スイッチ73を左側(表示「閉←縮」側)に傾動させて、まだ2段ブーム33が縮小途中であって2段ブーム33が完全に縮小位置になっていない途中の状態で、十字スイッチ73の傾動を止め、十字スイッチ73が直立状態になると、油圧バルブ41の「縮」のポートが閉じて、油圧モータ37が回転が停止し、これにより2段ブーム33の縮小動作が途中で停止する。
【0040】
次いで、十字スイッチ73を下側(表示「下」側)に傾動させる。そうすると、油圧バルブ41の「下降」のポートが開いて、油圧シリンダ36が縮小し、これによりサイドブーム部7の先端側が基端側に対して少し下降する。その後、サイドブーム部7がトラクタTのブーム受けに支持されたのを確認してから、十字スイッチ73の傾動を止めると、十字スイッチ73が直立状態に戻る(直立状態に積極的に戻してもよい)。そうすると、油圧バルブ41の「下降」のポートを閉じられて、油圧シリンダ36の縮小が停止し、これによりサイドブーム部7の下降が停止する。
【0041】
なお、2方向スイッチ78は、次のような場合に使用する。
すなわち、上述のサイドブーム部7の操作において、サイドブーム部7の長さを最大時よりも短くして使用するために、十字スイッチ73を右側(表示「開→伸」側)に傾動させて、サイドブーム部7を閉位置から拡開動作させて開位置にし、その後サイドブーム部7を伸張する際に、サイドブーム部7が完全に伸張していない前に、十字スイッチ73の傾動を止めて、サイドブーム部7の伸張を途中で停止させた場合や、あるいは十字スイッチ73を左側(表示「閉←縮」側)に傾動させて、サイドブーム部7を伸張状態から縮閉動作させて閉じる際に、サイドブーム部7が完全に縮小する(最小時)前に、十字スイッチ73の傾動を止めて、サイドブーム部7の縮小を途中で停止させた場合に、サイドブーム部7を伸張するために使用する。この場合には、2方向スイッチ78を上側(表示「伸」側)に操作する。そうすると、油圧バルブ41の「伸」のポートが開いて、2段ブーム33を伸張させるように油圧モータ37が回転し、これによりサイドブーム部7が伸張する。その後、2方向スイッチ78が直立位置になると、油圧バルブ41の「伸」のポートが閉じて、油圧モータ37の回転が停止し、これによりサイドブーム部7の伸張が停止する。
【0042】
また、サイドブーム部7の開閉位置が開位置または閉位置ではなく途中の位置になっている場合、すなわち、十字スイッチ73を右側(表示「開→伸」側)に傾動させて、サイドブーム部7を閉位置から拡開動作させて開位置にし、その後サイドブーム部7を伸張する際に、サイドブーム部7を閉位置から拡開動作させている途中に十字スイッチ73の傾動を止めた場合や、あるいは十字スイッチ73を左側(表示「閉←縮」側)に傾動させて、サイドブーム部7を伸張状態から縮閉動作させて閉じる際に、サイドブーム部7が完全に縮閉する前に、十字スイッチ73の傾動を止めた場合に、サイドブーム部7をさらに縮閉するために使用する。この場合には、2方向スイッチ78を下側(表示「閉」側)に操作する。そうすると、油圧バルブ41の「閉」のポートが開いて、油圧シリンダ39が縮小し、これによりサイドブーム部7が縮閉する。その後、2方向スイッチ78が直立位置になると、油圧バルブ41の「閉」のポートが閉じて、油圧シリンダ39の縮小が停止し、これによりサイドブーム部7の縮閉が停止する。
【0043】
また、2方向スイッチ79は、センターブーム部6の上下の位置を高くまたは低くして、ブーム5の高さを変更するために用いるものであって、2方向スイッチ79を上側(表示「高」側)および下側(表示「低」側)に操作することによりそれぞれ、油圧バルブ41の「高」および「低」のポートが開いて、油圧シリンダ22を縮小および伸張し、これによりブーム取付フレーム8が上昇および下降し、したがってブーム取付フレーム8に固定されたセンターブーム部6が上昇および下降する。2方向スイッチ78が直立位置になると、油圧バルブ41の「高」または「低」のポートが閉じて、油圧シリンダ22の縮小または伸長が停止し、これによりセンターブーム部6の上昇または下降が停止する。
【0044】
また、2方向スイッチ77は、センターブーム部6を平面視において180°回動(ターン)させて左位置と右位置とを切替える左旋回動作と右旋回動作を行い、ブーム5の左右の位置を変更するために用いるものであって、2方向スイッチ77を左側(表示「左」側)および右側(表示「右」側)に操作することによりそれぞれ、油圧バルブ41の「左」および「右」のポートが開いて、油圧シリンダ24を伸長および縮小し、これによりセンターブーム部6が左旋回および右旋回する。2方向スイッチ77が直立位置になると、油圧バルブ41の「左」または「右」のポートが閉じて、油圧シリンダ24の伸長または縮小が停止し、これによりセンターブーム部6の左旋回動作または右旋回動作が停止する。
【0045】
このようなブームスプレーヤ1Aにあっては、センターブーム部6とブラケット34との間に開センサ装置51が設けられているので、サイドブーム部7が回動して閉位置から開位置になると、油圧モータ37が作動してサイドブーム部7を伸張させて縮小状態から伸張状態にする。したがって、ブーム5を格納位置(非作業位置)から散布位置(作業位置)にする際に、すなわちサイドブーム部7を閉位置から開位置に回動してから、サイドブーム部7を縮小状態から伸張状態に伸張する際に、十字スイッチ73を右側(表示「開→伸」側)に傾動させるだけでよく、サイドブーム部7の回動動作を開始させるスイッチ操作を省略することができるため、作業性を向上させることができる。
【0046】
また、サイドブーム部7のブーム本体31と2段ブーム33との間に縮センサ装置61が設けられているので、2段ブーム33を縮小し(したがって、サイドブーム部7が縮小して)サイドブーム部7が伸張状態から縮小状態になると、油圧シリンダ39が作動してサイドブーム部7を回動させて開位置から閉位置にする。したがって、ブーム5を散布位置(作業位置)から格納位置(非作業位置)にする際に、すなわちサイドブーム部7を伸張状態から縮小状態に縮小してから、サイドブーム部7を開位置から閉位置に回動する際に十字スイッチ73を左側(表示「閉←縮」側)に傾動させるだけでよく、サイドブーム部7の回動動作を開始させるスイッチ操作を省略することができるため、作業性を向上させることができる。
【0047】
また、開センサ装置51の作動の有無に関わらずに、油圧モータ37が独立して作動できるようになっているので、サイドブーム部7が縮小状態と伸長状態の間の状態になっている場合に、2方向スイッチ78を上側(表示「伸」側)に操作して、油圧モータ37を独立して作動させて、サイドブーム部7を伸張させることができる。
また、縮センサ装置61の作動の有無に関わらずに、油圧シリンダ39が独立して作動できるようになっているので、サイドブーム部7が開位置と閉位置の間の位置している場合に、2方向スイッチ78を下側(表示「閉」側)に操作して、油圧モータ37を独立して作動させて、サイドブーム部7を回動させて閉動作させることができる。
【0048】
また、1つの十字スイッチ73を、上側(表示「上」側)、右側(表示「開→伸」側)、下側(表示「下」側)および左側(表示「閉←縮」側)に傾動させることにより、サイドブーム部7の先端側の上昇、開動作および伸張、先端側の下降、ならびに縮小および閉動作をすることができるので、1つのスイッチ73を操作するだけで、ブーム5の格納位置(非作業位置)から散布位置(作業位置)への変更、および散布位置(作業位置)から格納位置への変更を行うことができ、したがって操作性を向上させることができ、作業性を向上させることができる。また、スイッチの数を減少させることができるので、スイッチボックス(操作盤)71を小型にすることができる。さらには、十字スイッチ73の傾動方向(操作方向)とサイドブーム部7の動きがほぼ同じなので、直観的な操作が可能となり、操作性がさらに良い。
【0049】
なお、前述の実施の形態では、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータとして、油圧モータや油圧シリンダを用いたが、これに代えて、電動モータや空圧シリンダその他のアクチュエータを用いるようにしてもよい。
また、前述の実施の形態では、スイッチとして、2方向スイッチあるいは十字スイッチを用いたが、他の形式のスイッチあるいは操作部としてもよい。
【0050】
また、前述の実施の形態では、サイドブーム部7として2段のスライドブームを用いたが、3段のスライドブーム等を用いるようにしてもよい。
また、前述の実施の形態では、開センサ装置51、縮センサ装置61として、作動部材により押されて作動するものを用いたが、これに代えて、閉位置から開位置に回動したことを検出する他の形式のセンサ装置や、伸張状態から縮小状態に縮小動作したことを検出する他の形式のセンサ装置ようにしてもよい。
【0051】
また、前述の実施の形態では、ブラケット34をサイドブーム部7を別に設けるようにしたが、ブラケット34をサイドブーム部7と一体的に設けるようにしてもよい。この場合、サイドブーム部7の上下動作をする油圧シリンダ36を省略して、上昇サイドブーム部7を閉状態から開状態にすると、サイドブーム部7がセンターブーム部6と一直線の状態になるように構成するようにしてもよい。
【0052】
また、前述の実施の形態では、開センサ装置(第1のセンサ装置)51により、サイドブーム部7が回動して閉位置から開位置になると、油圧モータ(第1のアクチュエータ)37が作動してサイドブーム部7を伸張させて縮小状態から伸張状態にするようにしたが、これに代えて、開センサ装置(第1のセンサ装置)により、サイドブーム部7が閉位置から開位置に回動動作していると、すなわちサイドブーム部7の回動動作中に、油圧モータ(第1のアクチュエータ)37が作動してサイドブーム部7を伸張させて縮小状態から伸張状態にするようにしてもよい。この場合、開センサ装置(第1のセンサ装置)としては、例えば、開センサ装置51において作動レバー(作動部材)53の突出長さを長くして、サイドブーム部7が回動動作しているときに、開センサ52の検出部52aを押して開センサ52を作動させるものを用いたり、あるいは閉位置から開位置に回動動作していることを検出する他の形式のセンサ装置を用いることができる。
【0053】
このようにすると、ブーム5を非作業状態から作業状態にする際に、すなわちサイドブーム部7を閉位置から開位置に回動するとともに、サイドブーム部7を縮小状態から伸張状態に伸張する際に、サイドブーム部7の伸張動作を開始させる操作を省略することができるため、作業性を向上させることができる。
なお、この場合、サイドブーム部7が開位置になったときに、サイドブーム部がそれ以上に回動しないように規制するストッパ等の規制手段を設けるようにした方がよい。
【0054】
また、前述の実施の形態では、縮センサ装置(第2のセンサ装置)61により、サイドブーム部7が縮小して伸張状態から縮小状態になると、油圧シリンダ(第2のアクチュエータ)39が作動してサイドブーム部7を回動させて開位置から閉位置にするようにしたが、これに代えて、縮センサ装置(第2のセンサ装置)により、サイドブーム部7が伸張状態から縮小状態に縮小動作していると、油圧シリンダ(第2のアクチュエータ)39が作動してサイドブーム部7を回動させて開位置から閉位置にするようにしてもよい。この場合、縮センサ装置(第2のセンサ装置)としては、例えば、縮センサ装置61において作動レバー(作動部材)63の突出長さを長くして、2段ブーム33が縮小動作しているときに、開センサ62の検出部62aを押して開センサ62を作動させるものを用いたり、あるいは伸張状態から縮小状態に縮小動作していることを検出する他の形式のセンサ装置を用いることができる。
【0055】
このようにすると、ブーム5を作業状態から非作業状態にする際に、すなわちサイドブーム部7を伸張状態から縮小状態に縮小するとともに、サイドブーム部7を開位置から閉位置に回動する際に、サイドブーム部7の回動動作を開始させる操作を省略することができるため、作業性を向上させることができる。
なお、この場合、サイドブーム部7が縮小状態になったときに、サイドブーム部がそれ以上に縮小しないように規制するストッパ等の規制手段を設けるようにした方がよい。
【0056】
また、前述の実施の形態では、トラクタ搭載型(式)のブームスプレーヤについて説明したが、本発明はこれに限らず、自走式などの種々のブームスプレーヤに適用することができ、さらにはブームスプレーヤとしての機能のほかに、粒剤散布機能などの他の機能を付加したものにも適用可能であり、また水田や圃場で使用するブームスプレーヤのほかに、ゴルフ場などで使用するブームスプレーヤにも適用可能である。また、1つのスライドブームを備えたいわゆる片腕式のブームスプレーヤのほか、2つのスライドブームを備えたいわゆる両腕式のブームスプレーヤにも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1A ブームスプレーヤ
5 ブーム
6 センターブーム部
7 サイドブーム部
37 油圧モータ(第1のアクチュエータ)
39 油圧シリンダ3(第2のアクチュエータ)
51 開センサ装置(第1のセンサ装置)
61 縮センサ装置(第2のセンサ装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーム(5)がセンターブーム部(6)とサイドブーム部(7)とを備え、前記センターブーム部(6)は、ブームスプレーヤ(1A)の左右方向に延び、前記サイドブーム部(7)は、前記センターブーム部(6)の端部にブームスプレーヤ(1A)の側部に沿う閉位置と左右方向に延びる開位置とに変更可能に回動自在に設けられているとともに、その長手方向に伸縮自在なスライドブームからなるブームスプレーヤ(1A)であって、
前記サイドブーム部(7)が回動して閉位置から開位置になったことを検出し、前記サイドブーム部(7)を伸張させて縮小状態から伸張状態にする第1のアクチュエータ(37)を作動させる第1のセンサ装置(51)と、前記サイドブーム部(7)が縮小して伸張状態から縮小状態になったことを検出し、前記サイドブーム部(7)を回動させて開位置から閉位置にする第2のアクチュエータ(39)を作動させる第2のセンサ装置(61)とが設けられていることを特徴とするブームスプレーヤ(1A)。
【請求項2】
ブーム(5)がセンターブーム部(6)とサイドブーム部(7)とを備え、前記センターブーム部(6)は、ブームスプレーヤ(1A)の左右方向に延び、前記サイドブーム部(7)は、前記センターブーム部(6)の端部にブームスプレーヤ(1A)の側部に沿う閉位置と左右方向に延びる開位置とに変更可能に回動自在に設けられているとともに、その長手方向に伸縮自在なスライドブームからなるブームスプレーヤであって、
前記サイドブーム部(7)が閉位置から開位置に回動動作していることを検出し、前記サイドブーム部(7)を伸張させて縮小状態から伸張状態にする第1のアクチュエータ(37)を作動させる第1のセンサ装置と、前記サイドブーム部(7)が伸張状態から縮小状態に縮小動作していることを検出し、前記サイドブーム部(7)を回動させて開位置から閉位置にする第2のアクチュエータ(39)を作動させる第2のセンサ装置とが設けられていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータ(37)および前記第2のアクチュエータ(39)はそれぞれ、前記第1のセンサ装置(51)および前記第2のセンサ装置(61)の作動の有無に関わらずに、独立して作動できるようになっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブームスプレーヤ(1A)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−158218(P2010−158218A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3640(P2009−3640)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】