説明

プッシュボタンのぐらつき防止構造

【課題】プッシュボタンの中心軸が、ロータリーエンコーダの中心軸から傾きにくくて、確実にスイッチを入れることができるプッシュボタンのぐらつき防止構造を提供すること。
【解決手段】プッシュボタンに、ロータリーエンコーダ320の回転部330の軸方向の一端側に位置する被押圧部と、回転部330の内周面に間隔をおいて位置して被押圧部の中央側からスイッチの方に軸方向に延在するスイッチ押圧部500と、スイッチ押圧部500から回転部330の内周面の方に延在して、その内周面に軸方向に摺動可能に接触すると共に、周方向に互いに間隔をおいて位置する複数のぐらつき防止部404と、回転部330の内周面に固定された固定部407と、スイッチ押圧部500と固定部407とを連結すると共に、可撓性を有する可撓性連結部497とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュボタンのぐらつき防止構造に関し、特に、電子レンジや、蒸気調理器等の加熱調理器に使用すれば好適なプッシュボタンのぐらつき防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクトスイッチを押圧するプッシュボタンのぐらつき防止構造としては、プッシュボタンの背面側に圧縮コイルスプリングを介在させて、プッシュボタンの押し下げ操作を解除したときの復帰が、その圧縮コイルスプリングのバネ力によってなされるように構成したものがある。
【0003】
このプッシュボタンのぐらつき構造は、プッシュボタンの軸部を付勢するバネを必要とするため、組み立て作業効率を良くすることが困難で、また、別部品としてのバネを必要とするため、製造コストを低く抑制することが難しいという課題がある。
【0004】
また、従来、上記作業効率および製造コストの課題を改善できるプッシュボタンのぐらつき防止構造としては、特開2005−197070号公報に記載されているものがある。
【0005】
このプッシュボタンのぐらつき防止構造は、ロータリーエンコーダ部と、プッシュスイッチ部とを一体に組み込み、上記ロータリーエンコーダ部は、ロータリーツマミを回転操作することで、その電気的出力を変化させるようになっている一方、プッシュスイッチ部は、プッシュボタンを押し下げ操作することで、プッシュスイッチをオン状態にするようになっている。
【0006】
また、このプッシュボタンのぐらつき防止構造は、ロータリーエンコーダ部に弾性変形可能な弾性部を一体に設け、この弾性部をプッシュボタンへ摺動可能に接触させることにより、プッシュボタンを付勢するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−197070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記プッシュボタンのぐらつき防止構造は、弾性部の弾性変形を利用して、プッシュボタンの旧位置への復帰を行うようにしているから、別部材としてのバネを必要とすることがなくて、部品点数の削減、組み立ての容易化および製造コストの低減を達成することができる。
【0009】
しかしながら、上記従来のプッシュボタンのぐらつき構造では、ユーザーがプッシュボタンを押した際、回路基板のタクトスイッチを押すための中心軸(回路基板の法線方向)に対して、プッシュボタンの中心軸が傾くことがあり、プッシュボタンがぐらつく場合がある。また、プッシュボタンの押圧される部分に起因して、スイッチが、入ったり、入らなかったりすることがある。また、この課題は、プッシュボタンが大きい場合にいっそう顕著になる。
【0010】
そこで、本発明の課題は、プッシュボタンの中心軸が、ロータリーエンコーダの中心軸から傾きにくくて、ユーザーが押圧する部分によらず確実にスイッチを入れることができるプッシュボタンのぐらつき防止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、プッシュボタンのぐらつき防止構造は、
静止部と、この静止部に対して回転自在な筒状の回転部とを有するロータリーエンコーダと、
上記回転部の内周面の内側に、上記静止部に対して静止した状態で位置するスイッチを押圧するためのプッシュボタンと
を備え、
上記プッシュボタンは、
上記回転部の軸方向の一端側に位置して、上記軸方向の一端側からの押圧力を受ける被押圧部と、
上記回転部の上記内周面に間隔をおいて位置すると共に、上記被押圧部の中央側から上記スイッチの方に上記軸方向に延在するスイッチ押圧部と、
上記スイッチ押圧部から上記回転部の上記内周面の方に延在して、上記内周面に上記軸方向に摺動可能に接触し、かつ、周方向に互いに間隔をおいて位置して、上記内周面に対する上記スイッチ押圧部の径方向のぐらつきを防止する複数のぐらつき防止部と、
上記回転部の上記内周面に固定された固定部と、
上記スイッチ押圧部と、上記固定部とを連結すると共に、可撓性を有する可撓性連結部と
を有し、
上記押圧力による上記可撓性連結部の撓みによって、上記スイッチ押圧部が上記固定部に対して上記軸方向の上記スイッチ側に相対移動することを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、スイッチ押圧部から上記回転部の上記内周面の方に延在して、内周面に軸方向に摺動可能に接触すると共に、周方向に互いに間隔をおいて位置する複数のぐらつき防止部を有しているから、このぐらつき防止部で、上記スイッチ押圧部を回転部の内周面に対して支持できて、回転部の内周面に対してサポートできる。したがって、上記ぐらつき防止部で、上記回転部の内周面に対するスイッチ押圧部の径方向の移動を抑制できて、プッシュボタンの中心軸に対するロータリーエンコーダの中心軸の傾きを抑制できるから、ユーザーが押圧する部分によらず確実にスイッチを入れることができる。
【0013】
また、本発明によれば、周方向に間隔をおいて位置する複数のぐらつき防止部が、内周面に接触する構成であるから、回転部の内周面に対して相対回転することを抑制できる。
【0014】
また、一実施形態では、
上記可撓性連結部は、上記ぐらつき防止部の上記軸方向の上記被押圧部側とは反対側に位置し、
上記各ぐらつき防止部は、上記被押圧部および上記スイッチ押圧部の両方につながる平板状のリブであり、
上記リブの上記径方向の外方の端面の全面は、上記回転部の上記内周面に接触し、
上記リブの上記軸方向の長さは、上記リブの上記スイッチ押圧部から上記回転部の上記内周面までの長さよりも長い。
【0015】
上記実施形態によれば、各ぐらつき防止部は、上記被押圧部および上記スイッチ押圧部につながる平板状のリブであって、上記リブの上記径方向の外方の端面の全面が、上記回転部の上記内周面に接触し、かつ、上記リブの上記軸方向の長さは、上記リブの上記スイッチ押圧部から上記回転部の上記内周面までの長さよりも長いから、ぐらつき防止部と、回転部の内周面との接触を線接触にすることができて、軸方向の長い範囲に亘って、スイッチ押圧部の傾きを防止することができる。したがって、スイッチ押圧部がぐらつくことがない。
【0016】
また、上記実施形態によれば、ぐらつき防止部が、リブであって、ぐらつき防止部と、内周面との接触面積が小さいから、ぐらつき防止部の軸方向の摺動が円滑になる。
【0017】
また、上記実施形態によれば、ぐらつき防止部が、平板状のリブであるから、ぐらつき防止部の材料コストを低減できて、プッシュボタンのぐらつき防止構造の製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプッシュボタンのぐらつき防止構造によれば、プッシュボタンの中心軸が、ロータリーエンコーダの中心軸から傾きにくくて、ユーザーが押圧する部分によらず確実にスイッチを入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の蒸気調理器の外観を示す斜視図である。
【図2】上記蒸気調理器の概略構成図である。
【図3】ロータリーエンコーダを示す斜視図である。
【図4】プッシュボタンを示す斜視図である。
【図5】回路基板上に装着されたロータリーエンコーダおよびロータリーエンコーダの所定位置に固定された状態のプッシュボタンを示す模式斜視図である。
【図6】図5において、プッシュボタンにおける、回転部と被押圧部との間の部分を、プッシュボタンの軸方向に垂直な平面で切断したものを、回路基板の上方から見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態の蒸気調理器を正面側から見たときの斜視図である。
この蒸気調理器は、直方体形状のケーシング101と、加熱室と、開閉扉103と、取手構造104とを備える。上記開閉扉103は、その開閉扉103の下縁を、略中心軸とする、回動を行うことによって、上記加熱室の前面側のドアフレーム120の開口部が開閉されるようになっている。開閉扉103の略中央部には、耐熱ガラス111が配置され、ユーザーが、耐熱ガラス111を通して加熱室内の状態を視認できるようになっている。上記開閉扉103の後面には、耐熱ガラス111を取り囲むように耐熱樹脂製のパッキン(図示せず)が固着されている。
【0022】
上記パッキンは、開閉扉103の全閉時、加熱室の開口部の周縁部に強く押し付けられるようになっている。これにより、開閉扉103と加熱室の開口部の周縁部との間から、加熱室内の水蒸気などが漏れ出るのを防止している。
【0023】
上記ケーシング101の前面の右側には、操作パネルがある。操作パネルには、エンコーダボタンとしてのダイヤル105、決定ボタン106、スタートボタン107、操作ボタン114および液晶表示部108がある。
【0024】
上記ダイヤル105および決定ボタン106は、多目的で使用されるが、例えば、ダイヤル105を適宜回転することで、液晶表示部108に表示される複数の調理メニューから所望の調理メニューを取捨選択することができる。また、上記決定ボタン106で、その所望の調理メニューを決定することができる。
【0025】
また、上記スタートボタン107は、調理をスタートさせる際に使用するようになっている。また、上記操作ボタン114は、取り消しボタン等からなり、取り消しボタンは、調理を取り消す際に使用するようになっている。
【0026】
上記ダイヤル105は、蒸気調理器内部の回路基板に搭載されているロータリーエンコーダ(図1では図示しない)の回転部に係止して、ロータリーエンコーダに回転動力を伝えるようになっている。このようにして、ユーザーがダイヤル105を回す回転速度を測定して、例えば、この情報によって、液晶表示部108での調理メニューの表示方法を適宜、変えるようにしている。
【0027】
また、上記決定ボタン106は、プッシュボタン(図1では図示しない)に嵌め込まれ、そのプッシュボタンの決定ボタン106と反対側の先端部は、上記ロータリーエンコーダの回転部に内嵌されて固定されている。上記プッシュボタンおよび上記ロータリーエンコーダは、プッシュボタンのぐらつき防止構造を構成している。
【0028】
尚、図1において、109は、外周円錐面を有する金属製の環状部材である。この環状部材109は、ドアフレーム120に固定されている。この環状部材109は、ダイヤル105をサポートし、ダイヤル105を径方向に支持する役割を果たしている。また、上記環状部材109は、ユーザーのダイヤル105操作時の手触り感を心地よいものとし、また、蒸気料理器の外観を高級感あふれるものとしている。
【0029】
図2は、上記加熱調理器の概略構成図である。
【0030】
上記加熱調理器は、ケーシング101と、加熱室2と、蒸気を発生させる蒸気発生装置3と、蒸気加熱ヒータ4と、制御装置5とを備える。
【0031】
上記加熱室2は、ケーシング101内に設けられている。また、上記蒸気加熱ヒータ4は、蒸気発生装置3からの水蒸気を加熱して過熱水蒸気にしている。また、制御装置5は、蒸気発生装置3や蒸気加熱ヒータ4などの動作を制御している。尚、上記過熱水蒸気とは、100℃以上の過熱状態にまで加熱された水蒸気を意味している。
【0032】
上記加熱室2は、扉103(図1参照)で開閉される開口部を正面側に有している。また、上記加熱室2の側面、底面および天面は、ステンレス鋼板からなっている。ユーザーは、その開口部を通して、加熱室2に被加熱物10を出し入れするようになっている。上記加熱室2の周囲に、断熱材(図示せず)を配置して、加熱室2内と外部とを断熱している。
【0033】
上記加熱室2内には、加熱室2の底面から所定の間隔をあけて鉄などの金属製あるいはセラミックス製のトレイ6が置かれている。上記トレイ6は、加熱室2の左右の側壁に設けられた下受け棚11により支持されている。上記トレイ6上には、鉄などの金属製の調理網7が載置され、その調理網7の略中央に被加熱物10が置かれるようになっている。こうして、上記被加熱物10が、加熱室2の底面から間隔をあけた状態で加熱室2内に収容されるようになっている。
【0034】
上記加熱室2の左右の側壁には、下受け棚11よりも上側に位置する中受け棚12と、中受け棚12よりも上側に位置する上受け棚13とが設けられている。上記中受け棚12および上受け棚13も、下受け棚11と同様に、トレイ6を支持することが可能である。
【0035】
上記蒸気発生装置3は、蒸気発生部39と、給水タンク40と、水加熱ヒータ41と、電磁弁49とを有している。上記給水タンク40は、蒸気発生部39に供給する水を収容するようになっている。また、上記水加熱ヒータ41は、蒸気発生部39内に設置され、蒸気発生部39内に溜まった水を加熱して蒸発させるようになっている。尚、上記水加熱ヒータ41は、シーズヒータを渦巻状に巻いたものである。
【0036】
上記電磁弁49が開放すると、給水タンク40内の水が蒸気発生部39内に流入し、また、電磁弁49が閉鎖すると、給水タンク40から蒸気発生部39への水の移動できなくなる。また、上記蒸気発生部39には、水位センサ(図示せず)が設けられており、この水位センサの検出値に応じて、電磁弁49が開閉するようになっている。
【0037】
上記給水タンク40は、蒸気発生部39に対して着脱可能となっており、正面側からケーシング101外に取り出せるようになっている。上記蒸気発生部39の底部には、排水弁42が取り付けられている。この排水弁42に、排水経路14の一方の端部が接続されている。上記排水経路14の他方の端部は、つゆ受け9上に位置している。上記つゆ受け9は、ケーシング101に着脱可能となっており、正面側からケーシング101外に取り出せるようになっている。
【0038】
また、上記加熱室2の一方の側面においては、上受け棚13と中受け棚12との間に、循環吸気口15が設けられている。そして、上記加熱室2の上面には、蒸気加熱ヒータ4に対向するように第1噴出口16が設けられている。さらに、上記加熱室2の他方の側面には、第2,第3噴出口17,18が設けられている。上記第2噴出口17は、上受け棚13と中受け棚12との間に位置している。一方、第3噴出口18は、中受け棚12と下受け棚11との間に位置している。上記循環吸気口15、第1噴出口16、第2噴出口17および第3噴出口18により、加熱室2内の空間と、循環経路8内の空間とが互いに連通するようになっている。
【0039】
上記循環経路8は、一端部が循環吸気口15に接続されていると共に、他端部が第2噴出口17および第3噴出口18に接続されている。循環吸気口15近傍の循環ファン19は、循環吸気口15から加熱室2内の水蒸気を吸い込み、蒸気加熱ヒータ4に向けて吹き出す。そして、上記水蒸気が、蒸気加熱ヒータ4で加熱されて過熱水蒸気となった後、第1噴出口16および第2,第3噴出口17,18から、加熱室2内に向かって噴出するようになっている。
【0040】
また、上記循環経路8の循環吸気口15近傍の部分は、蒸気放出経路20を介して蒸気発生部39に接続されている。これにより、蒸気発生部39で発生した水蒸気が、蒸気放出経路20を流れて循環経路8に入り、循環吸気口15からの水蒸気と合流して蒸気加熱ヒータ4へ向かって流れるようになっている。また、上記加熱室2内の余剰な蒸気が、第1,第2排気口21,22から加熱室2外に流れ出るようになっている。
【0041】
上記第1排気口21には、排気経路23の一端部が接続されている。また、上記排気経路23の他端部は、エジェクタ24を形成している。また、上記第1排気口21は、排気ダンパ25で開閉可能になっている。
【0042】
上記第2排気口22には、排気チューブ26の一端部が接続されている。また、上記排気チューブ26の他端部は、排気経路23に接続されている。これにより、排気チューブ26内の蒸気が、排気経路23内の蒸気と合流して、エジェクタ24からケーシング101外に出ることができるようになっている。また、上記エジェクタ24からケーシング101外へ向かう蒸気が、希釈空気経路27および吸込ダクト28からの空気と混ざって希釈できるようになっている。
【0043】
上記希釈空気経路27は、エジェクタ24内に挿入された一端部と、ファンケーシング29に接続さている他端部とを有する。このファンケーシング29内の排気希釈ファン30は、エジェクタ24へ空気を送るようになっている。また、上記ファンケーシング29は、給気経路31を介して給気口32に接続されている。上記給気口32は、給気ダンパ33で開閉可能になっている。また、上記ケーシング101内には、マイクロ波を発生するマグネトロン52も設置されている。
【0044】
図3は、ロータリーエンコーダ320を示す斜視図である。
【0045】
上記ロータリーエンコーダ320は、回路基板300に装着されて固定されている。上記ロータリーエンコーダ320は、筒状の静止部341と、筒状の回転部330を有する。上記静止部341は、回転基板300に対して固定されている。上記静止部341は、回転基板300に対して静止している。また、上記回転部330は、筒状の静止部341の内周面側に、静止部341に対して、軸方向に相対移動不可である一方、周方向に回転自在に内嵌されている。上記回転部330の軸方向の長さは、静止部341の長さよりも長くなっている。上記回転部330には、ダイヤル105が外嵌されて固定されるようになっている。
【0046】
上記ダイヤル105と、回転部330とを係合して、ダイヤル105の回転動力を、回転部330に伝達するようになっている。
【0047】
一方、上記回転部330の内周面側には、決定ボタン106(図1参照)が嵌め込まれるプッシュボタンの軸方向の一端側の先端部が、内嵌されて固定されるようになっている。
【0048】
上記回転部330の径方向の内方には、図示しないタクトスイッチが回路基板300に静止した状態で位置している。このタクトスイッチを、以下に説明するプッシュボタンで押圧することにより、スイッチを入れるようになっている。
【0049】
図4は、上記決定ボタン106が嵌め込まれるプッシュボタンの斜視図である。
【0050】
上記プッシュボタン400は、被押圧部402、スイッチ押圧部、5つのぐらつき防止部404、固定部407および可撓性連結部を有する。
【0051】
上記被押圧部402は、略筒部材の一端のみが塞がれたような形状を有し、軸方向の他方側のみが開口したような形状を有している。上記被押圧部402の他端側に開口する凹部には、決定ボタン106(図1参照)が外嵌により嵌め込み固定されるようになっている。上記被押圧部402は、切欠き409を有している。この切欠き409は、被押圧部402の剛性を弱めて、被押圧部402の剛可撓性を大きくするために設けられている。この切欠き409によって、被押圧部402に決定ボタン106を確実かつ堅固に固定することができるようになっている。
【0052】
上記スイッチ押圧部は、被押圧部402の底面部411の決定ボタン106側とは反対側の平面につながっている。上記スイッチ押圧部は、被押圧部の上記平面の中央側から軸方向に延在している。
【0053】
上記各ぐらつき防止部404は、平面状のリブからなっている。上記ぐらつき防止部404は、被押圧部402の底面部411の決定ボタン106側とは反対側の平面につながると共に、上記スイッチ押圧部につながっている。上記各平板状のリブは、その軸方向の長さが、リブの軸方向に垂直な方向の長さよりも長くなっている。
【0054】
上記固定部407は、ロータリーエンコーダ320の回転部330(図3参照)の内周面に内嵌されて固定されるようになっている。上記固定部407は、アーチ状の部分423を有している。このアーチ状の部分423は、固定部407の周方向の剛性を大きくする役割を果たしている。上記固定部407は、二つの外爪415を有する。上記各外爪415は、固定部407の径方向の外方の面からレ字状に径方向の外方かつ軸方向の被押圧部402側に屈曲している。この外爪415を、回転部330(図3参照)の内周面に係合することにより、固定部407を、回転部330に相対移動不可に固定するようになっている。
【0055】
上記可撓性連結部は、上記スイッチ押圧部と、固定部407とを連結している。上記可撓性連結部は、可撓性に富んだ材料からなっている。上記可撓性連結部は、弾性を有し、弾性変形が可能になっている。上記可撓性連結部は、押圧力が付加されると、撓む一方、その押圧力がなくなると、元の形状に戻るようになっている。
【0056】
図4に示すように、上記ぐらつき防止部404は、固定部407に対して軸方向に間隔をおいて位置している。ユーザーが決定ボタン106に押圧力を与えると、上記可撓性連結部が変形して、これに伴って、上記スイッチ押圧部が、ぐらつき防止部404が固定部407に近づくように軸方向に移動して、上記スイッチ押圧部がタクトスイッチを押圧するようになっている。
【0057】
図5は、回路基板300上に装着されたロータリーエンコーダ320およびロータリーエンコーダ320の所定位置に固定された状態のプッシュボタン400を示す模式斜視図である。
【0058】
図5に示すように、プッシュボタン400の凹部480には、二つの筒状の部分、すなわち、第1筒状部461および第2筒状部462が収容されている。上記第1筒状部461および第2筒状部462は、被押圧部402と一体になっている。上記第1筒状部461および第2筒状部462は、被押圧部402の底面部411(図4参照)につながって、その底面部411と一体になった状態で、その底面部411を通過して、上記タクトスイッチの方に軸方向に延在している。上記第1筒状部461および第2筒状部462は、プッシュボタン400のスイッチ押圧部の一部を構成している。
【0059】
図5に示すように、ユーザーからの押圧力を受けていない状態で、ロータリーエンコーダ320の回転部330と、被押圧部402とは、軸方向に間隔をおいて位置している。ユーザーから押圧力を受けた状態で、被押圧部402が回路基板300側に沈み込むことにより、上記スイッチ押圧部が、タクトスイッチを押圧するようになっている。
【0060】
図6は、図5において、プッシュボタン400における、回転部330と被押圧部402との間の部分を、プッシュボタン400の軸方向に垂直な平面で切断したものを、回路基板300の上方から見たときの図である。尚、図6においては、回路基板300の図示を省略している。
【0061】
図6に示すように、上記スイッチ押圧部500は、第1筒状部461、第2筒状部462および接続部463を有し、接続部463は、第1筒状部461の外周面と、第2筒状部462の外周面とを接続している。
【0062】
上記第1筒状部461の内周面の内径は、第2筒状部462の内周面の内径よりも大きくなっている。図示しないLEDからの光が、第1筒状部461の内周面の内方を通過するようになっている。この光は、決定ボタン106(図1参照)上に描かれている決定という文字を浮かび上がらせるのに使用されるようになっている。一方、第2筒状部462は、上記タクトスイッチを押圧する部分を構成している。
【0063】
図6に示すように、リブからなる上記5つのぐらつき防止部404は、回転部330の周方向に互いに間隔をおいて位置している。上記各ぐらつき防止部404は、スイッチ押圧部500から回転部330の内周面の方に延在して、その内周面に軸方向に摺動可能に接触している。上記リブ状の各ぐらつき防止部404は、径方向の外方の端面の全面が、回転部330の内周面に接触している。
【0064】
図6において、497は、上記可撓性連結部を示している。上記可撓性連結部497は、第1部分498と、第2部分499とからなっている。図6に示すように、上記可撓性連結部497は、ユーザーからの押圧力が存在していない状態で、ぐらつき防止部404の軸方向の被押圧部402側とは反対側に位置している。上記第1部分498は、固定部407のアーチ状の部分423の周方向の一端部と、第2筒状部462の外周面とを連結している。また、上記第2部分499は、固定部407のアーチ状の部分423の周方向の他端部と、第2筒状部462の外周面とを連結している。
【0065】
上記構成において、このプッシュボタンのぐらつき防止構造は、ユーザーから付与される押圧力によって、可撓性連結部497が撓むことにより、ぐらつき防止部404が回転部330の内周面上を軸方向に摺動すると共に、スイッチ押圧部500が回転部330(すなわち、固定部407)に対して軸方向にタクトスイッチ側に移動するようになっている。このように、上記可撓性連結部497を撓ませて、スイッチ押圧部500を固定部407の方に軸方向に相対移動させることにより、スイッチ押圧部500の第2筒状部462で上記タクトスイッチを押圧して、上記タクトスイッチをオンにするようになっている。
【0066】
また、ユーザーからの押圧力がなくなると、可撓性連結部497が撓む前の元の状態に戻ることにより、スイッチ押圧部500が、可撓性連結部497が撓む前の位置に戻るようになっている。
【0067】
上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造によれば、上記スイッチ押圧部500からロータリーエンコーダ320の回転部330の内周面の方に延在して、その内周面に軸方向に摺動可能に接触すると共に、周方向に互いに間隔をおいて位置する複数のぐらつき防止部404を有しているから、このぐらつき防止部404で、スイッチ押圧部500を回転部330(図3参照)の内周面に対して支持できて、回転部330の内周面に対してサポートできる。したがって、上記ぐらつき防止部404で、回転部330の内周面に対するスイッチ押圧部500の径方向の移動を抑制できて、プッシュボタン400の中心軸に対するロータリーエンコーダ320の中心軸の傾きを抑制できるから、ユーザーが押圧する部分によらず確実にスイッチを入れることができる。
【0068】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造によれば、周方向に間隔をおいて位置する複数のぐらつき防止部404が、ロータリーエンコーダ320の回転部330の内周面に接触する構成であるから、回転部330の内周面に対して相対回転することを抑制できる。
【0069】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造によれば、各ぐらつき防止部404は、被押圧部402およびスイッチ押圧部500につながる平板状のリブであって、上記リブの径方向の外方の端面の全面が、回転部330の内周面に接触し、かつ、上記リブの軸方向の長さが、そのリブのスイッチ押圧部500から回転部330の内周面までの長さよりも長いから、ぐらつき防止部404と、回転部330の内周面との接触を線接触にすることができて、軸方向の長い範囲に亘って、スイッチ押圧部500の傾きを防止することができる。したがって、スイッチ押圧部500がぐらつくことがない。
【0070】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造によれば、ぐらつき防止部404が、リブであって、ぐらつき防止部404と、回転部330の内周面との接触面積が小さいから、ぐらつき防止部404の軸方向の摺動が円滑になる。
【0071】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造によれば、ぐらつき防止部404が、平板状のリブであるから、ぐらつき防止部404の材料コストを低減できて、プッシュボタンのぐらつき防止構造の製造コストを低減できる。
【0072】
尚、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、ぐらつき防止部404が、周方向に互いに間隔をおいて5つ存在していたが、この発明では、ぐらつき防止部は、周方向に互いに間隔をおいて2、3、4または6以上存在していても良い。
【0073】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、全てのリブ状のぐらつき防止部404において、リブの軸方向の長さが、リブのスイッチ押圧部500から回転部330の内周面までの長さよりも長くなっていたが、この発明では、少なくとも一のリブ状のぐらつき防止部は、リブの軸方向の長さが、リブのスイッチ押圧部から回転部の内周面までの長さよりも短くなっていても良い。
【0074】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、各ぐらつき防止部404が、平板状のリブであったが、この発明では、各ぐらつき防止部は、平板状のリブ状でなくても良い。例えば、この発明では、各ぐらつき防止部は、径方向の断面において略扇状の形状を有して、ロータリーエンコーダの回転部の内周面の周方向の一部に沿って接触するような形状であっても良い。
【0075】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、スイッチ押圧部500が、筒状の部分461,462を有していたが、この発明では、スイッチ押圧部は、筒状の部分を有していなくても良い。この発明では、スイッチ押圧部は、回転部の周方向に間隔をおいて位置すると共に、被押圧部からスイッチの方に軸方向に延在していれば、如何なる形状を有していても良い。
【0076】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、上記可撓性連結部497が、ユーザーからの押圧力が存在していない状態で、ぐらつき防止部404の軸方向の被押圧部402側とは反対側に位置していたが、この発明では、可撓性連結部の一部が、ユーザーからの押圧力が存在していない状態で、ぐらつき防止部の軸方向の被押圧部側とは反対側の先端よりも被押圧部側に位置していても良い。
【0077】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、可撓性連結部497が、二つの一体部材、すなわち、第1部分498と、第2部分499とからなっているたが、この発明では、可撓性連結部は、一または三以上の一体の部材からなっていても良い。要は、可撓性連結部は、スイッチ押圧部と、固定部とを連結すると共に、可撓性を有して撓むことができる部材であれが、離散的に配置されても、一体として配置されても、また、如何なる形状を有していても良い。
【0078】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造では、固定部407が、アーチ状の部分423を有していたが、この発明では、固定部は、アーチ状の部分を有していなくても良い。この発明では、固定部は、ロータリーエンコーダの回転部の内周面に相対移動不可に固定できる形状であれば、如何なる形状であっても良い。
【0079】
また、上記実施形態のプッシュボタンのぐらつき防止構造は、蒸気調理器の一部であった。しかしながら、この発明のプッシュボタンのぐらつき防止構造は、過熱水蒸気を使用しないオーブン、レンジ、オーブンレンジまたはIHクッキングヒータ等の加熱調理器の一部であっても良く、また、過熱水蒸気を使用するオーブン、レンジまたはIHクッキングヒータ等の加熱調理器の一部であっても良い。また、この発明のプッシュボタンのぐらつき防止構造は、各種計測装置の一部であっても良い。
【符号の説明】
【0080】
320 ロータリーエンコーダ
330 回転部
341 静止部
400 プッシュボタン
402 被押圧部
404 ぐらつき防止部
407 固定部
500 スイッチ押圧部
497 可撓性連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部と、この静止部に対して回転自在な筒状の回転部とを有するロータリーエンコーダと、
上記回転部の内周面の内側に、上記静止部に対して静止した状態で位置するスイッチを押圧するためのプッシュボタンと
を備え、
上記プッシュボタンは、
上記回転部の軸方向の一端側に位置して、上記軸方向の一端側からの押圧力を受ける被押圧部と、
上記回転部の上記内周面に間隔をおいて位置すると共に、上記被押圧部の中央側から上記スイッチの方に上記軸方向に延在するスイッチ押圧部と、
上記スイッチ押圧部から上記回転部の上記内周面の方に延在して、上記内周面に上記軸方向に摺動可能に接触し、かつ、周方向に互いに間隔をおいて位置して、上記内周面に対する上記スイッチ押圧部の径方向のぐらつきを防止する複数のぐらつき防止部と、
上記回転部の上記内周面に固定された固定部と、
上記スイッチ押圧部と、上記固定部とを連結すると共に、可撓性を有する可撓性連結部と
を有し、
上記押圧力による上記可撓性連結部の撓みによって、上記スイッチ押圧部が上記固定部に対して上記軸方向の上記スイッチ側に相対移動することを特徴とするプッシュボタンのぐらつき防止構造。
【請求項2】
請求項1に記載のプッシュボタンのぐらつき防止構造において、
上記可撓性連結部は、上記ぐらつき防止部の上記軸方向の上記被押圧部側とは反対側に位置し、
上記各ぐらつき防止部は、上記被押圧部および上記スイッチ押圧部の両方につながる平板状のリブであり、
上記リブの上記径方向の外方の端面の全面は、上記回転部の上記内周面に接触し、
上記リブの上記軸方向の長さは、上記リブの上記スイッチ押圧部から上記回転部の上記内周面までの長さよりも長いことを特徴とするプッシュボタンのぐらつき防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−287535(P2010−287535A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142375(P2009−142375)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】