説明

プラスチックおよび表面コーティングにおける高濃度のポリ不飽和脂肪酸を含む油の使用

乾性油として、インク組成物およびコーティング組成物においての使用を含む種々の適用において使用するための高濃度のポリ不飽和脂肪酸を有する油組成物を記載する。中に含まれる脂肪酸の二重結合が実質的にエポキシド化されており、種々のハロゲン化ポリマー組成物の可塑剤および熱安定剤として使用する油組成物を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾性油としてならびにインクおよび他のコーティング組成物中で有用な油組成物、ならびにハロゲン化ポリマーの可塑剤および熱安定剤として有用なエポキシド化油組成物に指向される。
【0002】
背景
可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)の最も重要な物理的特徴の中には、可撓性および柔軟性がある。これらの物理的特徴は、PVC樹脂にそれをPVC樹脂に添加した後に可塑剤として作用する1またはそれを超える材料とを混ぜ合わせることによって達成する。可塑剤は、それを加えたマトリクスから蒸発しない高沸点液体であるが、むしろプラスチック敷布および膜の可撓性は保存する。産業工程において現在利用されている大部分のPVC可塑剤は、石油由来のフタレートおよびベンゾエート化合物である。フタル酸ジオクチル(DOP)およびフタル酸ジアリル(DAP)はPVCの一次可塑剤として通常使用されている石油由来化合物の例である。
【0003】
石油由来可塑剤は一次可塑剤としては有効であるが、幾つかの重要な限界に付される。非−再生可能な供給源に由来することに加えて、石油由来PVC可塑剤は、原油の価格および入手可能性における変動に起因して、製造するのが高価になる場合がある。さらに、DOPのような石油由来可塑剤は、ヒト内分泌活性を破壊することが疑われている(Modern Plastics, 1998年1月, p35を参照されたい)。
【0004】
エポキシド化ダイズ油(ESO)を安定剤としてPVC処方に加えることができる。ESOは一般的に安全であると認識されており、従って、医療および食品適用ならびに玩具用に意図されるプラスチック処方で特に価値が高い。エポキシド化アマニ油も商業的に使用されているが、そのより高い費用に起因してあまり一般的には使用されていない。幾つかのエポキシド化植物油は可塑剤として市販されているが、ESOは10phrよりも上方のレベルでPVCとの融和性が制限される。
【0005】
乾性油は薄層として適用した場合に空気から容易に酸素を吸収し、重合して、比較的丈夫な弾力性のある膜を形成する有機液体である。乾性油は、通常、かかる天然油または種々の合成樹脂中のそれらの脂肪酸の組み合わせとして含まれる、アマニ油、キリ油、ダイズ油、トール油、脱水ヒマシ油などのような復活可能な資源からの天然物である。乾燥能力は不飽和脂肪酸、とりわけ場合によってはグリセリドの形態や対応するカルボン酸としてのリノール酸およびリノレン酸の存在によるものである。
【0006】
印刷インクは顔料用のキャリアーとしてビヒクルを利用する。ビヒクルは、顔料表面の空気を置換することによって顔料を濡らすことが要求され、顔料を基板に当ててそこに保持することに寄与し、インク膜の最終的な光沢、設置および種々の他の特性に大きく寄与する。典型的に、かかるビヒクルは溶媒、植物油、樹脂(液体および硬質の両方)から製造され、共溶媒、流動性モディフィアー、乾燥剤および抗酸化剤のような他の成分を含み得る。ペースト状印刷インクに最も普通に利用されるビヒクルは、主溶媒としての石油留出物をベースとしている。溶媒として石油留出物を含有するインクは、非再生可能な資源を含有し、硬化および乾燥プロセスの間に有機蒸気を放出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の種々の態様には、乾性油としての、インク組成物およびコーティング中の油組成物の使用、およびハロゲン化ポリマー用の可塑剤および熱安定剤としてのエポキシド化油組成物の使用が含まれる。
【0008】
種々の態様のうちの1は、顔料および加熱処理油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、油組成物中に少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該油組成物は植物由来である。
【0009】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化せず、該加熱処理した油組成物は植物由来である。
【0010】
もう1の態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該油組成物は非−動物供給源由来である。
【0011】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化せず、該加熱処理した油組成物は非−動物供給源由来である。
【0012】
もう1の態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該油組成物は遺伝子改変種子由来である。
【0013】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化せず、該加熱処理した油組成物は遺伝子改変種子由来である。
【0014】
いまだもう1の態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である。
【0015】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化せず、該加熱処理した油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である。
【0016】
さらなる態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0017】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化しない。
【0018】
もう1の態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0019】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化しない。
【0020】
いまだもう1の態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の該油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む。
【0021】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化しない。
【0022】
さらなる態様は、顔料および加熱処理した油組成物を含むインク組成物であり、加熱処理前の油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【0023】
好ましくは、加熱処理は、加熱処理した油組成物が、加熱処理した油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含むように油組成物を実質的に変化しない。
【0024】
いまだもう1の態様は、顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は植物由来である。
【0025】
いまだもう1の態様は、顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は非−動物供給源由来である。
【0026】
さらなる態様は、顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は遺伝子改変種子由来である。
【0027】
いまだもう1の態様は、顔料、油組成および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である。
【0028】
さらなる態様は、顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0029】
もう1の態様は、顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0030】
いまだもう1の態様は、顔料、油組成および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む。
【0031】
さらなる態様は、顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であり、油組成物は、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【0032】
もう1の態様は、インクまたはその少なくとも1の表面上のコーティングを含む印刷基板または基板にインクまたはコーティングを印刷することを含む印刷方法であり、インクまたはコーティングは、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む。
【0033】
さらなる態様は、インクまたはその少なくとも1の表面上のコーティングを含む印刷基板または基板にインクまたはコーティングを印刷することを含む印刷方法であり、インクまたはコーティングは、油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約0.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含み、ステアリドン酸はトランスジェニック植物供給源由来である。
【0034】
いまだもう1の態様は、インクまたはその少なくとも1の表面上のコーティングを含む印刷基板または基板にインクまたはコーティングを印刷することを含む印刷方法であり、インクまたはコーティングは、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む。
【0035】
種々の態様のうちの1は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は植物由来である。
【0036】
種々の態様のうちのもう1は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は非−動物供給源由来である。
【0037】
種々の態様のうちのいまだもう1は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は遺伝子改変種子由来である。
【0038】
本発明のさらなる態様は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である。
【0039】
もう1の態様は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0040】
いまだもう1の態様は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0041】
さらなる態様は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む。
【0042】
本発明のもう1の態様は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、組成物中の不飽和脂肪酸または脂肪酸の二重結合は実質的にエポキシド化されており、組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【0043】
本発明のいまだもう1の態様は、ポリ塩化ビニル用の可塑剤としての前記した油組成物の使用である。
【0044】
いまだもう1の態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該乾性油組成物は植物由来である。
【0045】
本発明のいまだもう1の態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該乾性油組成物は非−動物供給源由来である。
【0046】
さらなる態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該乾性油組成物は遺伝子改変種子由来である。
【0047】
いまだもう1の態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該乾性油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である。
【0048】
もう1の態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0049】
本発明のいまだもう1の態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む。
【0050】
もう1の態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む。
【0051】
本発明のさらなる態様は、顔料および乾性油を含む塗料組成物、またはコーティング組成物を基板に適用することを含む基板をコーティングする方法であり、ここに該コーティング組成物は、3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、該乾性油組成物は、乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【0052】
他の目的および特徴は、以下において一部は明らかになり、一部は指摘する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
詳細な記載
高ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)油は、種々の組成物中の添加剤として使用するのに理想的に適するようになる種々のユニークな特徴を有する。例えば、エポキシド化高PUFA油は可塑剤として使用し得る。特に、それは、ポリ塩化ビニル(PVC)用の可塑剤として使用し得る。さらに、高PUFA油は種々のコーティング、特に木製品用のコーティングにおける乾性油として使用し得る。さらに、高PUFA油はインク組成物中で使用し得る。
【0054】
高濃度のポリ不飽和脂肪酸を有する油
本発明の種々の形態において、以下の油組成物を使用する。これらの油組成物は下記の方法を用いてエポキシド化することができ、または、記載するように種々のコーティング組成物に使用し得る。
【0055】
種々の形態の幾つかにおいて、油組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超える4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む。この形態において、油組成物は遺伝子改変種子由来である。これらの遺伝子改変種子には、アラビドプシス(Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココヤシ、コーン、ワタ、アマ、アマニ、トウモロコシ、パーム核、ラッカセイ、ジャガイモ、ナタネ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリおよび/またはタバコの種子が含まれる。
【0056】
さらに、本発明は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超える4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物に指向され、該組成物はカノーラまたはダイズ由来である。
【0057】
他の種々の形態において、油組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも約5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超える4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、該油組成物は植物由来である。
【0058】
また、本発明は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも約5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超える4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物に指向され、該油組成物は非−動物供給源由来である。
【0059】
組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超える4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超えるリノール酸またはその誘導体を含む油組成物も使用する。
【0060】
幾つかの形態において、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超える4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2重量%以下のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超えるリノール酸またはその誘導体を含む油組成物を使用する。
【0061】
また、他の形態において、本発明の油組成物は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも7.5、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超えるステアリドン酸またはその誘導体を含む。
【0062】
種々の形態において、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれを超えるガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む油組成物を使用する。
【0063】
いまだ他の形態において、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて、4重量%ないし20重量%のアルファ−リノレン酸、4重量%ないし20重量%のガンマ−リノレン酸、および1重量%ないし40重量%のステアリドン酸、またはその誘導体を含む油組成物を使用する。
【0064】
3またはそれを超える二重結合を有する例示的なポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体は、ALA 18:3(n=3)、CLA(共役リノール酸)(18:3)、GLA 18:3 (n=6)、ステアリドン酸(SDA、C18:4)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(EPA;C20:5)、ゴコサペンタエン酸(DPA;C22:5)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびアラキドン酸(AA;C20:4)である。好ましくは、前記した油組成物のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体は、少なくとも1のオメガ−3またはオメガ−6脂肪酸を含み、好ましくはオメガ−3ステアリドン酸(SDA;C18:4)、オメガ−3エイコサテトラエン酸(ETA)、オメガ−3エイコサペンタエン酸(EPA;C20:5)、オメガ−3ドコサペンタエン酸(DPA;C22:5)、オメガ−3ドコサヘキサエン酸(DHA;C22:6)、またはオメガ−6アラキドン酸(AA;C20:4)を含む。
【0065】
このセクションにおいて前記した組成物は、さらにγ−リノレン酸またはその誘導体(C-γ18:3)、またはDH−γ−リノレン酸(C−DH−γ20:3)またはその誘導体を含み得る。
【0066】
さらに、前記した油組成物は、クロスグリ油、ボラージ油、エキウム油、イブニングプリムローズ油、スグリ油、アサ油またはカーラント油以外の植物油に由来し得る。また、油の組成物は、魚(例えば、大型ニシン、サーディン、マグロ、タラ肝、サバまたはニシン)以外の油、藻油または他の海洋性油以外の油に由来し得る。4またはそれを超える二重結合を含む油を生成する藻の群には、Crypthecodinium cohnii、Nitzchia sp、Nannochloropsis、Navicula sp.、Phaedactylum、PorphyridiumおよびSchizochytrium由来の油を含む黄金色植物類、クリトファイト(crytophyte)、珪藻植物および渦鞭毛虫が含まれる(BehrensおよびKyle, 1996: J. Food Lipids, 3: 259-272)が含まれる。
【0067】
さらに、前記した油組成物は、遺伝子改変したアラビドプシス、カノーラ、ニンジン、ココヤシ、コーン、ワタ、アマ、アマニ、トウモロコシ、パーム核、ラッカセイ、ジャガイモ、ナタネ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリおよび/またはタバコに由来し得る。最後に、前記した油の組成物は、非混合油とし得る。
【0068】
油は(混合物のように)混合または関係をもたせて所望の脂肪酸の適当な組み合わせを創って有利なヨー素価(I.V.)または有利な不飽和度を有する組成物を達成し得る。これらの組成物は可塑剤または乾性油に使用し得る。これらの油混合物は、所望の脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリド油またはエステルからの、本明細書に掲載する油の組み合わせから調製し得る。
【0069】
ヒトがΔ6−脱飽和経路を介してリノール酸(18:2)からオメガ−6ポリ不飽和脂肪酸を合成してγ−リノレン酸(18:3)を得ることができることが示された。同様に、同Δ6−デサチュラーゼはα−リノレン酸(18:3)、オメガ−3脂肪酸を、ステアリドン酸(18:4)、そのオメガ−3官能性を保持する脂肪酸に変換し得る。さらに、脂肪酸伸張および脱飽和工程は、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸を生じる。AAおよびEPAの生合成のもう1の経路が幾つかの生物において作動している。そこでは、LAおよびALAが最初に、各々、エイコサジエン酸(EDA、C20:2 ω6)およびエイコサトリエン酸(EtrA、C20:3 ω3)に特異的に伸張する。つづくこれらの生成物のΔ8およびΔ5脱飽和によりAAおよびEPAを得る。
【0070】
DHAおよびEPAは、マロニル−CoA前駆体からポリケチドシンターゼ(PKS)によっても合成し得る(Yazawa, Lipids (1996)31, S297-S300)。
【0071】
最近の報告では、各々、イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)からのΔ9−特異的伸張活性(IgASE1)(Qiら, FEBS Lett. (2002)510, 159-165)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)からのΔ8-デサチュラーゼ(EuΔ8)(WallisおよびBrowse, Arch. Biochem. Biophys. J.(1999)365, 307-316)およびモルチエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)からのΔ5-デサチュラーゼ(MortΔ5)(Michaelsonら, J. Biol. Chem. (1998) 273, 19055-19059)をコードする3の遺伝子の一連のトランスファーおよび発現によるアラビドプシス・タリアーナにおけるポリ不飽和脂肪酸合成のこれらのΔ8−脱飽和経路の再構成、およびトランスジェニック植物における相当量のAAおよびEPAの蓄積が示されている(Qiら,Nature Biotechnol. (2004)22, 739-745)。また、Abbadiら(Plant Cell (2004) 16, 1-15)は、トランスジェニック・タバコ(Nicotiana tabacum)およびアマニ(Linum usitatissimum)におけるω3およびω6ポリ飽和脂肪酸の成功した種子−特異的産生を報告している。Pereiraら(Biochem. J. (2004) 378 (665-671))は、EPAの生合成に関与する新規なω3脂肪酸デサチュラーゼを報告している。前記に示した報告に従って生成した生物からの抽出したポリ不飽和脂肪酸は、本発明に有用である。
【0072】
本発明の種々の油の幾つかは、植物種子組織を含む植物組織から抽出し得る。ポリ不飽和脂肪酸を単離し得る植物には、天然レベルのポリ不飽和脂肪酸を含む植物、ならびに高められたレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するよう遺伝子工学的に設計された植物が含まれる。天然レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する植物の例には、カノーラ、ベニバナおよびアマニのような脂肪種子作物、ならびにアマ、イブニングプリムローズ(Oenothera biennis)、ボリジ(Borago officinalis)およびクロスグリ(Ribes nigrum)、トリコデスマ属(Trichodesma)およびシャゼンムラサキ属(Echium)のような植物が含まれる。ある種のコケ類、例えばヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)は、抽出および精製し得るポリ不飽和脂肪酸を天然に生成することが知られている。もう1の例として、ポリ不飽和脂肪酸組成物(例えば、ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマ−リノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸およびオクタデカテトラエン酸)は、例えば、米国特許第7,241,619;7,211,656;7,189,894;7,070,970;7,045,683;6,858,416;6,677,145;6,683,232;6,635,451;6,566,583;6,459,018;6,432,684;6,355,861;6,075,183;5,977,436;5,972,664;5,968,809;5,959,175;5,689,050;5,614,393;5,552,306;および5,443,974号ならびにWO 02/26946;WO 98/55625;WO 96/21022および米国特許出願番号2006/0265778;2006/0156435;20040078845;20030163845;および20030082754(先行参照は出典明示して本明細書の一部とみなす)の組成物および方法を用いて作製する植物および/または組換え植物(例えば、アラビドプシス、カノーラ、ニンジン、ココヤシ、コーン、ワタ、アマ、アマニ、トウモロコシ、パーム核、ラッカセイ、ジャガイモ、ナタネ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、タバコおよびそれらの混合物を含む)から抽出し得る。
【0073】
他の油組成物は菌類から抽出し得る。ポリ不飽和脂肪酸を単離し得る菌類には、天然レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する菌類ならびに高められたレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するよう遺伝子工学的に設計された菌類が含まれる。例えば、ポリ不飽和脂肪酸を有する油(ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマ−リノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸およびオクタデカテトラエン酸を含む)は、例えば、米国特許第7,241,619;7,211,656;7,189,894;7,070,970;6,858,416;6,677,145;6,635,451;6,607,900;6,566,583;6,432,684;6,410,282;6,355,861;6,280,982;6,255,505;6,136,574;5,972,664;5,968,809;5,658,767;5,614,393;5,376,541;5,246,842;5,026,644;4,871,666;および4,783,408;ならびにWO 02/26946;および米国特許出願番号20040078845;20030163845;および20030082754(先行参照は出典明示して本明細書の一部とみなす)の組成物および方法を用いて作製した菌類および/または組換え菌類(例えば、Saccharomyces (S. cerevisiaeおよびS. carlsbergensisを含む)、カンジダ種(Candida spp.)、Cunninghamella種(C. elegans、C. blakesleegnaおよびC. echinulateを含む)、Lipomyces starkey、Yarrowia lipolytica、Kluyveromyces種、Hansenula種、Aspergillus種、Penicillium種、Neurospora種、Saprolegnia diclina、Trichoderma種、エダケカビ(Thamnidium elegans)、Pichia種、Pythium種(P. ultimum、P. debaryanum、P. irregulareおよびP. insidiosumを含む)、Thraustochytrium aureum、およびMortierella種(M. elongata、M. exigua、M. hygrophila、M. ramanniana、M. ramanniana var. angulispora、M. ramanniana var. nana、M. alpina、M. isabellinaおよびM. vinaceaを含む)から抽出し得る。
【0074】
いまだ他の油組成物は、微生物から抽出することができる。ポリ不飽和脂肪酸を単離し得る微生物には、天然レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する微生物ならびに高められたレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するよう遺伝子工学的に設計された微生物が含まれる。かかる微生物には、細菌およびシアノバクテリアが含まれる。例えば、ポリ不飽和脂肪酸を有する油(ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマ−リノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸およびオクタデカテトラエン酸を含む)は、例えば、米国特許第7,189,894;7,070,970;6,858,416;6,677,145;6,635,451;6,607,900;6,566,583;6,432,684;5,972,664;5,614,393;および5,552,306号、ならびにWO 02/26946;および米国特許出願番号20040078845;20030180898;20030163845;および20030082754(先行参照は出典明示して本明細書の一部とみなす)の組成物および方法を用いて作製した、例えばE. coli、Cyanobacteria、LactobacillusおよびBacillus subtilisを含む微生物および/または組換え微生物から抽出し得る。
【0075】
さらに、油組成物は藻から抽出し得る。ポリ不飽和脂肪酸を単離し得る藻には、天然レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する藻ならびに高められたレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するよう遺伝子工学的に設計された藻が含まれる。天然レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する藻の例には、Phaeodactylum tricornutum、Crypthecodinium cohnii、Pavlova、Isochrysis galbanaおよびThraustochytriumが含まれる。例えば、ポリ不飽和脂肪酸を有する油(ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマ−リノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸およびオクタデカテトラエン酸を含む)は、例えば、米国特許第7,070,970;7,045,683;6,986,323;6,727,373;6,607,900;6,566,583;6,255,505;6,136,574;5,972,664;5,968,809;5,547,699;および5,407,957号;および米国特許出願番号20030180898;および20030163845(先行参照は出典明示して本明細書の一部とみなす)の組成物および方法を用いて作製した藻および/または組換え藻から抽出し得る。
【0076】
前記した油組成物を調製するためには、一般的には以下の工程を用いて種子油を加工する:調製、裂皮(cracking)および剥被、コンディショニング、ミル、薄片化または圧縮、抽出、ゴム質除去、清澄、漂白および脱臭。これらの各工程は、後記でより詳細に論じる。この議論は各工程の最近の商業的方法を詳細にする。当業者であれば、工程を合し、異なる順番で使用し、その他修飾し得ることを知っているであろう。
【0077】
一般的に、調製工程には、石、泥、枝木、蠕虫、昆虫、金属片、および種子の収穫および保存の間に収集された他の屑を除去する初期種子浄化法が含まれる。前記した外来物は、その化学的安定性に負の影響を及ぼす化合物を含有することによって最終種子油の品質に影響を及ぼし得る。好ましくは、低下したレベルのクロロフィルを有する成熟した破壊されていない種子は適当に乾燥し、低下したレベルの遊離脂肪酸を有するものを使用する。
【0078】
調製工程の後、種子は裂皮および剥被する。裂皮および剥被は当該技術分野でよく知られている種々の方法で行い得る。例えば、種子は、種子破砕器を用いて裂皮および剥被し得、それは機械的に種子を破壊し、外殻を放出し、幾分かの微粉を生成する。裂皮後、外殻および微粉は剥被器によって種子の実質から分離し得る。1の態様において、剥被器は、外殻および種子の間の密度差によって種子の実質から外殻を分離し得;外殻は種子の実質よりもより稠密でない。例えば、吸引は裂皮した種子の実質から外殻を分離する。剥被は、抽出した種子の実質のタンパク質濃度を高めながら、粗製の繊維含量を減少する。所望により、剥被の後、外殻をふるいにかけて種子の裂皮で発生した微粉を回収し得る。回収した後、微粉はコンディショニングの前に種子の実質に戻し、または、それを抽出器に直接的に加えることができる。
【0079】
種子を裂皮したら、種子の実質の酸素暴露は所望により最小限化し得、それは油酸化を減少し、油品質を改善する。さらに、つづいて開示する油種子加工の各工程において酸素暴露の最小限化を独立して行い得ることは、当業者によって理解されるであろう。
【0080】
種子を裂皮および剥被したら、それをコンディショニングしてさらなる加工の前に種子の実質を柔軟にする。さらに、コンディショニングは、オイルボディーの破裂を促進する。薄片化、粉砕または他の製粉技術の観点からのさらなる加工は、このステージで種子の実質を柔軟にすることによって容易になる。一般的に、種子の実質は、6−14重量%の水分レベルに達するために水分が除去または添加される。水分を除去する場合、このプロセスはトースティングまたは乾燥と呼び、水分を添加する場合、このプロセスはクッキングまたはテンパリングと呼ぶ。典型的には、種子の実質は、種子の実質の水分含量の調整の方向に依存して、乾燥または湿潤であるスチームとともに40−90℃まで加熱する。幾つかの例において、コンディショニング工程は、高いPUFAレベルを有する種子については、酸素暴露を最小限化する条件下または低温で行う。
【0081】
種子の実質をコンディショニングしたら、それを所望の粒径まで製粉するか、または所望の表面積に薄片化し得る。ある種の場合において、薄片化または製粉は、酸素暴露を最小限化する条件下で行う。薄片化または製粉を行って種子の実質の表面積を増大し、また、オイルボディーを破裂させ、それによってより効率的な抽出を容易ならしめる。多くの製粉技術が適当であり、当該技術分野でよく知られている。製粉の方法および潰した種子の粒径を選択する場合に考慮することは、限定されるものではないが、種子の油含量および種子の実質または種子の抽出の望ましい効率しだいである。種子の実質を薄片化する場合、薄片は典型的には約0.1ないし約0.5mm厚;約0.1ないし約0.35mm厚;約0.3ないし約0.5mm厚;または約0.2ないし約0.4mm厚である。
【0082】
所望により、種子の実質を製粉した後に、それを圧縮することができる。典型的に、種子の実質の油含量が種子の約30重量%よりも大きい場合は種子の実質を圧縮する。しかしながら、より高いまたは低い油含量を有する種子を圧縮することができる。種子の実質は、例えば液圧式プレスまたは機械的スクリュにおいて圧縮し得る。典型的に、種子の実質は、作業の投入時に約55℃未満に加熱する。圧縮した場合、種子の実質中の油はスクリーンを介して圧縮し、収集し、濾過する。収集した油は第1の圧縮油である。圧縮後からの種子の実質は種子ケーキと呼び;種子ケーキは油を含み、溶媒抽出に付すことができる。
【0083】
製粉、薄片化または任意の圧縮の後、種子の実質または種子ケーキを溶媒と接触させることによって、それらから油を抽出し得る。好ましくは、n−ヘキサンまたはイソ−ヘキサンを抽出プロセスにおける溶媒として使用する。典型的に、溶媒は油と接触させる前に脱気する。この抽出は種々の方法で行うことができ、それらは当該技術分野でよく知られている。例えば、抽出はバッチまたは連続プロセスとし得、望ましくは連続式向流法である。連続式向流法においては、種子の実質と接触した溶媒は油を溶媒に浸出させ、搾りかす(すなわち、溶媒−固形物)が減少する濃度のミセルと接触しつつ、ますますより濃縮したミセル(すなわち、溶媒−油)を提供する。抽出後、溶媒を当該技術分野でよく知られているようにミセルから除去する。例えば、蒸留、ロータリーエバポレーターまたはライジングフィルムエバポレーターおよびスチームストリッパーを溶媒の除去に使用することができる。溶媒を除去した後、粗製油が残存溶媒を含んでいる場合、それを約60mmHgの減圧下で約95℃で加熱することができる。
【0084】
上記の加工した粗製油は、水和可能および水和不可能なホスファチドを含む。したがって、粗製油は脱ガム化し、ホスファチド濃度に依存して水を添加し、ついで約40℃から約75℃にほぼ5−60分間加熱することによって水和可能なホスファチドを除去する。所望により、リン酸および/またはクエン酸を添加して、水和不可能なホスファチドを水和可能なホスファチドに変換し得る。リン酸およびクエン酸は金属錯体を形成し、それはホスファチドに結合した金属イオン(金属錯体形成ホスファチドは水和不可能)の濃度を減少し、したがって、水和不可能なホスファチドを水和可能なホスファチドに変換する。所望により、水と共に加熱した後、粗製油および水の混合物を遠心して油および水を分離し、つづいて水和可能なホスファチドを含有する水層を取り出す。一般的に、リン酸および/またはクエン酸をゴム質除去工程で添加する場合、約1重量%ないし約5重量%;好ましくは約1重量%ないし約2重量%;より好ましくは約1.5重量%ないし約2重量%を用いる。この工程は、所望により、酸化を最小限化し、したがって油品質を最大化するために、水およびリン酸と油とを接触させて酸素を除去する前にそれらを脱気することによって行う。
【0085】
さらに、粗製油は遊離脂肪酸(FFA)を含み、これは化学的(例えば、苛性)精製工程によって除去し得る。FFAが塩基性物質(例えば、苛性)と反応すると、それらは水性溶液に抽出し得るカルボン酸塩または石鹸を形成する。したがって、粗製油は約40ないし75℃に加熱し、NaOHを攪拌しながら添加してほぼ10ないし45分間反応させる。その後、加熱を続けながら攪拌を中止し、中和した油を処理して石鹸を除去する。この油を、水層が中性pHのものとなるまで油を水洗することによって、または中和した油をシリカまたはイオン交換物質で処理することによって処理する。油は約95℃および約10mmHgで乾燥する。幾つかの場合において、苛性溶液はそれを油に接触させる前に脱気する。
【0086】
別法として、化学的精製によって油からFFAを除去するよりも、FFAは物理的精製によって除去し得る。例えば、油は脱臭の間に物理的に精製し得る。物理的精製を行う場合、FFAは低圧および比較的高温で行う真空蒸留によって油から除去する。一般的に、FFAはトリグリセリドよりも低い分子量を有し、したがって、FFAは一般的により低い沸点を有し、沸点の差に基づいて、脱臭剤から揮発物を掃引するための共沸またはキャリアーガスとして用いる窒素または水蒸気ストリッピング(steam stripping)の助けを介してトリグリセリドから分離することができる。
【0087】
典型的に、化学的精製よりも物理的精製を行う場合、油加工条件を修飾して同様の最終生成物規格を達成する。例えば、水性酸性溶液をゴム質除去工程で使用する場合、化学的精製工程で除去などし得る高濃度の水和不可能なホスファチドに起因して、高濃度の酸(例えば、約100%にのぼるより高濃度、好ましくは約50%ないし約100%より高濃度)が必要となり得る。また、より多量の漂白物質(例えば、約100%にのぼる多量、好ましくは約50ないし約100%の多量)を使用する。
【0088】
漂白する前に、クエン酸(50重量%溶液)を約0.01重量%ないし約5重量%でゴム質除去した油および/または化学的に精製した油に添加し得る。ついで、この混合物を約35℃ないし約65℃の温度および約1mmHgないし約760mmHgの圧力にて約5ないし約60分間加熱し得る。
【0089】
ゴム質除去した油および/または化学的に精製した油は吸収プロセス(例えば、漂白)に付して、苛性精製工程または他の加工工程で形成した過酸化物、酸化産物、ホスファチド、ケラチノイド(keratinoid)、クロルフィロイド(chlorphyloid)、カラーボディー、金属および残存石鹸を除去する。漂白プロセスは、ゴム質除去した油または化学的に精製した油を約0.1mmHgないし約200mHgの減圧下で加熱し、前記した種(例えば、中性土(一般的には、天然クレイまたはフラー土と命名されている)、酸活性化土、活性化クレイおよびシリケート)および濾過助剤を除去するのに適当な漂白物質を添加し、その際に混合物を約75−125℃に加熱し、漂白物質をゴム質除去した油および/または化学的に精製した油と約5−50分間接触する。精製した油と接触させる前に、漂白物質は脱気しておくことが有利な場合がある。使用する漂白物質の量は、約0.25重量%ないし約3重量%、好ましくは約0.25重量%ないし約1.5重量%、およびより好ましくは約0.5重量%ないし約1重量%である。加熱した後、漂白した油または精製し漂白した油を濾過および脱臭する。
【0090】
漂白した油または精製し漂白した油を脱臭して、強い臭いを有する化合物および香料ならびに残存している遊離脂肪酸を除去する。油の色は、高温で加熱漂白することによってさらに減少し得る。脱臭は、バッチ攪拌糟反応器、流下液膜蒸発器、拭き取り式膜蒸発器、充填カラム脱臭器、トレイ型脱臭器およびループ式反応器のようなバッチおよび連続脱臭ユニットを含む種々の技術によって行い得る。典型的には、連続脱臭法が好ましい。一般的に、脱臭条件は、約160ないし約270℃および約0.002ないし約1.4kPaで行う。連続法、特に油を横断させるための連続トレイを有する連続脱臭剤については、約170℃ないし約265℃の温度で2時間までの滞留時間;約170℃ないし約265℃の温度にて2時間までの滞留時間;約240℃ないし約250℃の温度にて約30分間までの滞留時間が好ましい。脱臭条件は、揮発化合物を除去するためにキャリアガスを使用し得る(例えば、蒸気、窒素、アルゴン、または油の安定性または品質を低下させないいずれか他の気体)。
【0091】
さらに、化学的精製よりも物理的精製を使用する場合、脱臭工程の間により多量のFFAが除去され、脱臭剤条件を修飾して遊離脂肪酸の除去を促進する。例えば、温度を25℃上昇し;油は約165℃ないし約300℃の範囲の温度で脱臭し得る。特に、油は、約250℃ないし約280℃または約175℃ないし約205℃の範囲の温度にて脱臭し得る。また、脱臭剤中の油の保持時間は約100%まで増加する。例えば、保持時間は約1、5、10、30、60100、110、120、130、150、180、210または240分未満の範囲にし得る。また、脱臭剤圧力は、約3x10-4、1x10-3、5x10-3、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または0.1kPa未満まで低下し得る。脱臭工程は精製され、漂白され、脱臭された(RBD)油を生じる。
【0092】
所望により、RBD油は、部分水素化によっておよび/または安定剤を添加することによってまたは油の安定性および品質を維持することを支援する微小成分の除去および分解を最小限化することによって安定化し得る。部分水素化は、油中に含まれる脂肪酸の二重結合の数を減少し、したがって油の化学反応性を低下させることによって油を安定化する。しかしながら、部分水素化は、望ましくないトランス−脂肪酸の濃度を増加し得る。
【0093】
安定剤は、一般的に、酸化の間に形成されるフリーラジカルを遮断するよう作用する。より安定なフリーラジカルになるかまたは転位して安定な分子になる、安定剤によるフリーラジカルの遮断は、より多くの脂肪酸ユニットを酸化し得る非常に反応性の高いフリーラジカルの濃度が減少することに起因して油の酸化を鈍化する。
【0094】
上記の各工程について、各工程における酸素への暴露は所望により最小限化され、熱への暴露は所望により最小限化され、UV光への暴露は所望により最小限化され、所望により、加工の前、間または後に安定剤を種子の実質または種子油に添加した。本発明の油を調製するこれらおよび他の方法の改善点は、(出典明示して本明細書の一部とみなす)2005年11月4日に出願された「Processes for Preparation of Oil Components」なる発明の名称の米国特許出願番号11/267,810に記載され、例示されている。
【0095】
可塑剤/熱安定剤
可塑剤は、これらのプラスチックを軟化して望ましい可撓性を提供するプラスチックの添加剤である。可塑剤はポリマー鎖の間にそれ自体を埋め込むことによって作動し、それを離し(「自由体積」の増加)、したがってプラスチックのガラス転移点を顕著に低下し、それを柔軟にする。ポリ塩化ビニル(PVC)のようなプラスチックについては、添加する可塑剤が多ければ多いほどその低温可撓温度は低下するであろう。
【0096】
可塑化PVCおよび非可塑化PVCは種々の適用のために使用する。一般的に剛直なPVCとして知られている実質的に可塑化していないPVCは、化学物質に対する高い耐性が要求されるパイプ作業、管および同様の適用に使用する。可塑化されたPVCは、膜、敷布、ケーブル被覆、成形、静止物、コンベアベルト、玩具およびホースを含む膨大な適用に広く有用である。可塑化PVCは皮革の代わりに置換することもでき、衣類および種々の家具の織物として使用し得る。
【0097】
熱安定剤はPVC処方において必要になる。なぜなら、典型的な押出し加工温度では、PVCポリマーが不安定なベータ水素原子からの塩酸の遅い排出を受けるからである。このことは、単離された二重結合の形成、それにつづく暗色の共役ポリエンの形成を生じる迅速なアリル活性化脱ハロゲン化水素の形成につながる。制御しない場合、この分解は自触媒である。
【0098】
可塑剤および熱安定剤のレベルは、百分の一またはphrで定量化する。種々の適用の典型的な処方は、Handbook of Plasticizers(George Wypych編, ChemTec Publishing, 2004)に記載されている。例えば、フローリング適用用の基本欧州仕上塗り処方には、44phrの可塑剤および2.4phrのエポキシド化ダイズ油ならびにスズ安定剤(pg421)が含まれる。より可撓性を要求する適用のためには、より高レベルの可塑剤を処方に含める。例えば、IV管および血液バッグのような可撓性医療製品について、Wypychは120phrの可塑剤(トリ-2-エチルヘキシル トリメリテート)および5phrのエポキシド化ダイズ油ならびに他の微量成分を挙げている。
【0099】
未修飾の植物油はたいていポリ塩化ビニル樹脂と不融和性である。しかしながら、エポキシド化ダイズ油のようなある種の植物油の修飾した誘導体はPVC樹脂と融和性であり、石油ベースの可塑剤に対する選択肢を与える。さらに、植物油は復活可能な供給源に由来し、生理学的障害に対する可能性または組成物中で可塑剤を必要とする生成物と接触した個人を傷害する可能性を生じそうにない。
【0100】
エポキシド化ダイズ油は高レベルでPVC樹脂マトリクスとほとんど相溶性を有しない。典型的に、エポキシド化ダイズ油が全組成物の5-15%を超える場合、エポキシド化ダイズ油はPVC樹脂と相溶しない。一次可塑剤はPVCマトリクスの50%までを表す場合があるため、有用な油は修飾して、油の有利な高温安定化特性を維持しながらPVC樹脂との相溶性を顕著に改善しなければならない。
【0101】
本発明の油組成物は幾つかの理由のためにエポキシド化する。第1に、典型的な植物油の脂肪酸エステルはPVC樹脂と最小限で相溶性である(すなわち、最小限で溶解する)。しかしながら、これらの化合物は、その長鎖脂肪酸基をエポキシド化するとPVCと相溶性になる。本発明においては、実質的に完全なエステル化および実質的に十分なエポキシド化による油組成物とPVC樹脂との相溶性を高めることが、PVC樹脂またはマトリクスにおけるこの物質の低い移動および浸出比率を生じる。
【0102】
油組成物可塑剤をエポキシド化するさらなる理由は、エポキシド官能性がPVCマトリクスの熱安定性に顕著に寄与することである。市販されているエポキシド化ダイズ油は、典型的に、PVC樹脂中で約2ないし5%の濃度で使用し、PVCマトリクス中の一次熱安定剤と考えられるある種の金属塩または有機安定剤(典型的にフェノール)と組み合わせる二次熱安定剤として使用する。最新の産業処方においては、種々のフタル酸化合物が一次可塑剤として作用しているが熱安定性には寄与せず、一方エポキシド化ダイズ油はその熱安定化機能のみのために含まれている。
【0103】
前記した油組成物は、典型的には不活性雰囲気中、酸樹脂の存在下で油とギ酸および過酸化水素とを合することによってエポキシド化し得る。油中の脂肪酸の二重結合のエポキシド化は時間をかけて行い、好ましくは反応完了時に油組成物中の二重結合は実質的にエポキシド化されている。
【0104】
本発明は典型的に単独で一次可塑剤として有用であり、一次可塑剤および熱安定剤の両方として二重の役割も行う油組成物を提供する。別の形態において、金属塩をさらに添加して熱安定性を高め得る。本発明の植物油またはダイズ油に由来する可塑剤をPVCマトリクス重量の15%を超える、好ましくは20%を超えるおよび最も好ましくは約30%を超える濃度のPVC樹脂と混ぜた場合、これらの物質は有効な一次可塑剤および熱安定剤である。本発明の可塑剤の上限はPVCマトリクス重量の約150%である。これらの物質は、金属石鹸と組み合わせて、これらの物質によってもたらされる高エポキシド濃度に起因して熱安定剤として非常に有効である。典型的に、物質は金属塩と組み合わせないで使用することができ、それでもなお有効な熱安定剤である。
【0105】
本発明の可塑化ポリ塩化ビニル樹脂の組成物は、前記した可塑剤に加えて、必要により種々の種類の添加剤を用いて処方化し得る。例えば、高温安定性、平滑潤滑性、耐候性などのような特定の改善に寄与する添加剤の例には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カドニウムなどのような金属石鹸、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、安定剤としてのジラウリン酸ジブチルスズ、ジマレイン酸ジブチルスズ、ジ−n−オクチルスズ メルカプチド、ジメチルスズ メルカプチドなどのような有機スズ化合物、およびステアリン酸ブチルのようなエステル、エチレンビスステアリン酸アミドのような脂肪族酸アミド、滑剤としてのステアリン酸およびポリエチレンワックスのような高級脂肪酸、フィラー、抗酸化剤、紫外線吸収剤、静電気防止剤、防曇剤、顔料、染料、架橋助剤などが含まれる。
【0106】
本明細書中で用いる「ポリ塩化ビニル」(PVC)なる用語は、当業者に知られている塩化ビニルのホモ−およびコポリマー樹脂を包含することを意図する。一般的にいえば、塩化ビニルのコポリマー(酢酸ビニル、プロピレン、エチレン、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチルおよび他のエチレン性不飽和モノマーのようなモノマーを含む)は包含することを意図する。本明細書中で用いる「ポリ塩化ビニル」なる用語は、当業者に知られている塩化ビニルのホモ−およびコポリマー樹脂を包含することを意図する。一般的にいえば、塩化ビニルのコポリマー(約20%にのぼる酢酸ビニル、プロピレン、エチレン、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチルおよび他のエチレン性不飽和モノマーのようなモノマーを含む)を包含することを意図する。
【0107】
乾性油
乾性油とは、空気に一定の時間暴露した後に強靱な固形膜に硬化する油である。乾性油というが、該油は水または他の溶媒の蒸発を介して硬化するのではなく、環境から酸素を吸収する化学反応(酸化)によって硬化する。乾性油は油性塗料および多くのワニスの鍵となる成分である。幾つかの通常使用される乾性油には、アマニ油、キリ油、ケシの実油、シソ油およびウォールナッツオイルが含まれる。
【0108】
油の「乾燥」、固まりまたはより適当には硬化とは、自動酸化の形態の発熱反応の結果である。このプロセスにおいて、酸素が炭化水素鎖を酸化し、一連の化学反応を開始させる。結果として、油は隣接する分子の間で重合し、架橋し、および結合を形成し、ポリマーネットワークを生じる。概念的には、このネットワークは、ランダムに連結する個々の鎖の結合力のある塊への融合、ワニスおよび塗料の場合は固形膜へ融合を介して形成する。時間が経過すると、このネットワークはさらなる変化を受け得る。ネットワーク中のある種の官能基はイオン化し、系からのネットワークは非極性共有結合によって結合されてこれらの官能基と顔料に存在する金属イオンとの間のイオン性力によって支配されるものに転移する。
【0109】
植物油は、末端カルボキシル基を有する長鎖炭化水素である脂肪酸のグリセリンエステルからなる。油の自動酸化においては、酸素が、場合によってはアリル水素の部位(二重結合に近接する炭素原子上の水素)において、炭化水素鎖を攻撃する。これはフリーラジカル、非常に反応性にする不対電子を有する物質を生成する。一連の付加反応が結果として起こる。各工程はさらなるフリーラジカルを生成し、ついでそれはさらなる重合に携わる。フリーラジカルが衝突し、それらの不対電子が結合して新しい結合を形成するとプロセスは最終的に終わる。重合ステージは数日ないし数週間にわたって行い、膜を触れるように乾燥する。
【0110】
本発明の油組成物は非常に不飽和であるため、それは乾性油として使用し得る。典型的に、これらの油は100重量%までの濃度でコーティング組成物(例えば、塗料、ワニスほか)中で使用する。種々の処方において、コーティング組成物は低濃度の顔料および他の添加剤を含み得る。これらの処方において、乾性油の濃度はそれに従って減少する。
【0111】
種々の形態において、乾性油は煮沸し、それは酸素のバブリングで油を加熱して油をプレ酸化することによって乾燥プロセスの速度を速める。酸化触媒、典型的にはナフテン酸金属も、硬化を加速するために添加し得る。
【0112】
標準試験条件下で、前記した油組成物は煮沸しない場合でもよく進行する。また、0.08%のコバルト(ナフテン酸コバルトのような)、非煮沸の20%ステアリドン酸を添加することによって、油組成物はコバルトおよびマンガンで促進した市販の煮沸アマニ油と同様の時間で乾燥する。
【0113】
これらの乾性油はアルキド塗料の成分として使用し得る。アルキド(ポリエステル)塗料は当該技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第4,299,742号でBelderらによって教示されている。これらのアルキド塗料は、例えば:(1)45重量%ないし85重量%の乾性油成分、または前記した油組成物中に見出される脂肪酸のような不飽和脂肪酸成分、(2)10重量%ないし30重量%のプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのようなポリオール、(3)10重量%ないし25重量%のフタル酸またはその無水物、マレイン酸またはその無水物などのようなポリカルボン酸、(4)水ベースの塗料が望ましい場合はアルキレンオキサイド、および(5)好適な懸濁剤および溶媒を含み得る。
【0114】
非常に不飽和な乾性油が他のビニル性モノマーと共にフリーラジカルホモ重合または共重合に関与する場合、有用なコーティング、インク、シーラントまたは接着剤が形成する。重合は、意図する使用に応じて溶媒の不存在下で(バルクで)、溶液または水性エマルション中で行い得る。したがって、例えば、前記した非常に不飽和な乾性油がその場で重合および硬化する無溶媒型のインクである場合は、バルク重合が好ましい。バルク重合のいまだもう1の適用は、無溶媒型のコーティング、シーラントまたは接着剤処方における反応性希釈剤としてであろう。非常に不飽和の乾性油を用いて製造したエマルションコポリマーは、塗料、インク、シーラントおよび接着剤を含む適用範囲で有用である。これらの系における非常に不飽和な乾性油の存在は、通常の条件で酸化的に硬化して溶媒および水耐性ならびに低い臨界膜形成温度を提供する能力を付与する。
【0115】
インク組成物および印刷物
本発明の1の態様は、本明細書に記載する油組成物を含有するインクまたはコーティング組成物に指向される。新聞を含む種々の印刷適用に好適なインクは本明細書に記載する油組成物を用いて処方化し得るが、油の粘度を高めることが望ましい。種々の炭化水素樹脂を添加して粘度を高め得る。別法として、油を加熱処理し(または粘性を増し)、油の二重結合を反応させて不飽和脂肪酸をオリゴマー形成することによって粘度を高めることができる。
【0116】
インク組成物の形態は粘性を増していない油を含み、樹脂を含めて粘度を高めることができ、インク組成物は、インク組成物の全重量に基づいて約30重量%ないし約65重量%の油組成物を含む。このインク組成物は、さらに、インク組成物の全重量に基づいて約5重量%ないし約30重量%の顔料を含み得る。また、このインク組成物は、さらに、インク組成物の全重量に基づいて約15重量%ないし約30重量%の炭化水素樹脂を含み得る。幾つかの例において、SDAダイズ油は典型的な市販のダイズ油よりも迅速に乾燥するため好ましい。
【0117】
前記した油組成物の成分に加えて、インク組成物は顔料、染料、界面活性剤、ワックス、結合剤、濃化剤、安定剤、架橋剤および当該技術分野で知られている他の添加剤のような従来の印刷インク組成物の典型的な成分も含み得る。特に、組成物は樹脂を含み得る。樹脂は、印刷インクの粘着性、膜一体性、および凝集特性に寄与する。典型的な印刷インク樹脂はロジン由来の樹脂であり、特に、ロジンおよび修飾ロジンのエステル、合成ロジン修飾炭化水素樹脂、環化ゴム、ギルソン鉱由来の樹脂、およびそれらの組み合わせである。当業者によって理解されるように、印刷インク組成物に利用されるべき特定の樹脂の選択は、最終製品、例えば、印刷材料の望ましい性質に基づいてなされるであろう。
【0118】
本発明の印刷インクビヒクル用の樹脂は、ロジン、特にロジンのエステル、より特にフェノール性修飾ロジンのエステル、ロジン付加物のエステルおよび二量化ロジンのエステル、最も特にフェノール性修飾ロジンのエステル由来のものである。これらの樹脂はすべて市販されており、例えば、フェノール性修飾ロジンのエステルは、商標PENTALYN 802A(Hercules Inc.)、KRUMBHAAR K-2300(Lawter International, Inc.)およびSETALIN F-340(Akzo Coatings Inc.)の下で入手可能である。ロジン付加物のエステルは、商標PENTALYN G、PENTALYN XおよびPENTREX 816(すべてHercules Inc.から)およびKRUMBHAAR K-333(Lawter International, Inc.)の下で入手可能であり、一方、二量化ロジンのエステルは商標PENTALYN K(Hercules Inc.)の下で入手可能である。
【0119】
インク組成物はゲル化剤のような流動モディフィアーも含んで、印刷インクの霧化特性(misting property)を下げるのを援助し、印刷インクをより迅速に据え付けるのにならびにインクの流動特性を制御することに寄与する。かかるゲル化剤は、典型的にはアルミニウムの有機金属化合物またはポリアミド樹脂である。インク組成物用の好ましいゲル化剤はアルミニウムの有機金属であり、特にアルミニウム石鹸、アルミニウムアルコキシドまたはオキシアルミニウムアシレート、最も好ましくはオキシアルミニウムオクタノエートのようなオキシアルミニウムアシレートである。インク組成物でゲル化剤を利用する場合、組成物は望ましくは不活性雰囲気下で製造し、ゲル化剤は溶媒で希釈し、予め希釈したゲル化剤をインク組成物の他の成分に徐々に添加する。
【0120】
インク組成物が加熱処理した油を含む場合、インク組成物は、インク組成物の全重量に基づいて約70重量%ないし約94重量%の加熱処理油組成物を含む。このインク組成物は、さらに、インク組成物の全重量に基づいて約4重量%ないし約30重量%の顔料を含む。熱で粘性を増した油から処方化したインクの調製および望ましい特性は、米国特許第5,122,188号でErhanおよびBagbyによって記載されている。油組成物は、約300℃ないし約335℃の温度で加熱することによって加熱処理し得る。実施例で記載するように、ほぼ20重量%のステアリドン酸を含有する油の使用は、従来のダイズ油を用いる場合よりもより短時間および/またはより低温で熱による粘性の増大が起こることを可能にし、より明るい色の生成物を生じる。黒インクの場合、カーボンブラック(Cabot Corp.からのElftexカーボンブラックのような)を顔料として使用し得、約1重量%までに安定剤(好ましくは、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン))をインク組成物に添加し得る。ErhanおよびBagbyによれば、ブラックオフセットニュース(black offset news)用の粘度は約13ないし約24ポアズであり、ブラックレターインク用は約5ないし約12ポアズである。顔料濃度を低下して許容し得るインクの粘着性および粘度を維持する場合、印刷インクビヒクルの粘度は高めるべきである。オフセットインク用のタック値は約3.5ないし約4.8g-mであり、凸版インク用は約2.6ないし約3.4g-mである。非常に不飽和な油であるSDAダイズ油は幾つかの例においてかかるインクに好ましい。それは従来のダイズ油よりもより迅速に(またはより低温で)粘度が増大するからである。
【0121】
インク組成物には安定剤を添加して、ビヒクルおよび印刷インクの両方の早々の剥がれ(skinning)を防ぐ自己酸化を遅らせ得る。
【0122】
1またはそれを超える乾燥触媒を添加して、インク組成物の酸化乾燥を助け得る。かかる乾燥触媒は、好ましくは油に良好な溶解性を有する金属カルボキシレートまたはアルコキシドであり、特にコバルトおよびマンガン金属化合物である。金属の乾燥触媒は市販されている。好ましい触媒は、Borchers, Langenfeld, Germanyから販売されている10%金属を含有する鉱油中の金属アルコキシドの溶液(3.75%Co+6.25%Mn)であるOcta Soligen 36のような、油相溶性溶媒に溶解したコバルトおよびマンガン化合物の混合物である。
【0123】
本明細書に記載するインク組成物は、本明細書に記載する成分を混合して均一な混合物を形成することによる従来の方法で調製し得る。特に、油組成物および顔料がインク組成物の主成分である場合、油組成物および顔料を一緒に混合し、種々の任意の添加剤(例えば、乾燥触媒、ゲル化剤など)を混合物に添加してよく混合する。油組成物、樹脂および顔料がインク組成物の主成分である場合には、油組成物および樹脂を混合し、樹脂の軟化点まで加熱し得る。樹脂および組成物を十分に混合したら、攪拌しながら染料を添加し得る。
【0124】
SDAを含むインク組成物は、リソグラフィー印刷、オフセットリソグラフィー印刷、グラビア印刷、オフセットグラビア印刷、活版印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、枚葉紙印刷または凹版印刷のような種々の印刷方法での使用に好適である。好ましくは、本明細書中に記載するインク組成物はオフセットリソグラフィー印刷に使用する。
【0125】
インク組成物を用いる印刷方法は、さらに、当該技術分野で知られている硬化プロセスを含み得る。この硬化プロセスは、印刷したインク膜を加熱することを含み得る。この硬化または加熱は、例えばUV照射、電子線照射などのような照射硬化も含み得る。また、インク組成物は、さらに、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤は、LeachおよびPierce、pp.643-650によって記載されている。典型的な光重合開始剤は、ベンゾフェノン、ベンゾインまたはアセトフェノンの誘導体である。
【0126】
印刷方法または印刷物に使用する基板は、セルロース性基板とし得る。他の例において、基板はポリマー膜とし得る。基板がセルロース性基板である場合、それは紙製とし得、それは再生した繊維とし得、それは織った基板または織っていない基板とし得る。ある種の例において、印刷基板は新聞用紙である。
【0127】
種々の印刷方法および印刷物の幾つかにおいては、印刷は基板の上に不連続膜を沈積することを含み得る。基板上に不連続膜が存在する場合、膜はハーフトーン画像を創り出し得る。他の場合において、印刷はさらに基板上に複数のインクまたはコーティングを適用することを含み得る。これらの複数のインクまたはコーティングは、複数の色を含み得る。複数のインクまたはコーティングは、少なくとも1の着色インクおよび少なくとも1のオーバープリントワニスも含み得る。ある種の例において、印刷方法または印刷物はオーバープリントワニスを有する。
【0128】
種々の例において、インク組成物はEB硬化インク、ハイブリッドインク、UV硬化型インク、高温セットインクまたは低温セットインクとし得る。好ましくは、インク組成物は、新聞用紙インクである。これらの型のインク組成物は、米国特許第5,178,673; 6,200,372; 6,646,025; 5,552,467; および6,730,153号; 米国特許公開番号2006/0079607; 2007/0289488; 2007/0275258; および2007/0263060; ならびにWO 06/042038に記載されている。加熱硬化型インクおよび処方は、The Printing Ink Manual, 第5版, R.H. LeachおよびR.J. Pierce編, Springer, Dordrecht, the Netherlands, 2007, pp. 390-431で論じられている。
【0129】
インク組成物は、酸化作用によって定着し、ついで乾燥するペースト印刷インクを製造するのに使用し得る。かかるインクをセルロース性基板(例えば、紙)のような多孔質の基板に印刷する場合、運ぶ作用によって溶媒が基板に浸透するにつれて定着が起き、固形物、特に樹脂および顔料を基板の表面に残す。その時、インク膜は、インク組成物の成分中に存在する酸化基の酸化を介して乾燥する。かかる酸化基には炭素−炭素二重結合および炭素−酸素二重結合のような不飽和結合(アルデヒドおよびケトン)ならびにカルボン酸基およびヒドロキシル基が含まれる。
【0130】
定義
油の脂肪酸の二重結合の総数の少なくとも50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれを超えるものがエポキシド化された場合、油組成物は実質的にエポキシド化される。好ましくは、二重結合の総数の少なくとも75%がエポキシド化された場合、油は実質的にエポキシド化される。
【0131】
本発明は詳細に記載しているので、添付する特許請求の範囲に規定する本発明の範囲から逸脱することなしに修飾および変形が可能であることは明らかであろう。
【0132】
実施例
以下の非−限定的な例を提供して本発明をさらに説明する。
実施例1:ガンマ−リノレン酸(GLA)に富むカノーラ油のエポキシド化
【0133】
ギ酸および酸性形態のイオン交換樹脂により触媒したガンマ−リノレン酸(GLA)に富むカノーラ油のエポキシド化を行った。カノーラ油を適当なカノーラ種子から抽出し、前記した条件を用いて加工した。4の同様の反応を行った。オキシランの酸素値は、酢酸中のHBrを用いた滴定につづくAOCS Official Method Cd 9-57(1997年に再承認)によってよって決定した。
【0134】
GLAカノーラの脂肪酸組成は以下のとおりであった。
C14:0=0.07%
C16:0=4.71%
C16:1=0.21%
C18:0=3.57
C18:1=29.7%
C18:2=25.41%
C18:3 n6=30.64%
C18:3 n3=1.3%
C20:0=1.1%
C20:1=0.9%
C22:0=0.5%
【0135】
以下の手法では実験Bを記載しているが、反応時間および触媒レベルにおけるわずかな変形を除いて同様に4のすべての実験を行った。これらの変形および得られた油のオキシランの酸素濃度を表に掲載する。2の実験においては、一晩実験を行った後にオキシランのレベルを決定した。反応の最初のステージにおいて、Dowex C-211 H+形、16-50メッシュの球形ビーズ(J.T. Baker, 受領時は湿っていた)をブフナー漏斗中、脱イオン水で濯ぎ、窒素でパージした24''Hg真空下、80℃にて一晩乾燥した。125.4gのGLAカノーラ油、5.0gの88%ギ酸(Fisher Scientific)、74gの50% H2O2(1.4当量)および12.0gの乾燥樹脂ビーズを攪拌子を備えた250mLジャケット付きビーカーに添加した。混合物を窒素雰囲気下で一晩攪拌しながら、冷却剤(30℃)を循環した。温度は25分で32℃に達した。攪拌しながら15時間後には温度は31℃となり、橙色の反応混合物を粗い熔融ブフナー漏斗で濾過し、ついで200mlの水中の30gのNaClの溶液と一緒に分離漏斗に添加した。フラスコを振盪し、水層を排水し、油層をオキシランの酸素分析のために遠心する少量を除いてジャケット付きビーカーに戻した。
【0136】
反応の第2のステージにおいては、樹脂触媒をエポキシド化油と一緒にジャケット付きビーカーに戻し、35℃の冷却剤を循環した。50% H2O2(37g、0.7当量)および88%ギ酸(5.0g)を添加し、混合物を窒素雰囲気下で磁気攪拌した。25分後に温度は38.5℃でピークとなり、1.5時間後に37℃まで低下し、4時間後に36℃まで低下した。35.7℃の温度で6時間後に、粘度が上昇しているようであり、色が退色していた。この時点において、反応混合物を200mlの水中の30gのNa2HPO4・7H2Oの溶液を含有する濾過フラスコに濾過した。分離漏斗を用いて水層を分離し、無色の油相を4000rpmで20分間遠心にかけた。
【0137】
【表1】

【0138】
実施例2:富んだステアリドン酸(SDA)ダイズ油のエポキシド化
実施例1の手法を用いて、11%のSDAを含有するSDAダイズ油をエポキシド化した。使用した油の組成および反応条件を、得られたオキシランの酸素値と一緒に以下の表に記載する。
【0139】
【表2】

【0140】
【表3】

【0141】
実施例3:30%ステアリドン酸(SDA)を有する遺伝子改変ダイズ油のエポキシド化
実施例1と同様の手法によってダイズ油をエポキシド化した。使用した50%のH2O2の量を第1の工程で85gにわずかに増加し、第2の工程で40gにした。他の条件を以下の表に記載し、それは9%のオキシランの酸素レベルが達成され、エポキシド化アマニ油の商業的規格を満たすことも示している。
【0142】
油の組成は以下のとおりであった。
【0143】
【表4】

【0144】
【表5】

【0145】
実施例4:ポリ塩化ビニル処方
ポリ塩化ビニル樹脂を、エポキシド化植物油およびプラスチック膜の調製に使用した処方の他の成分と混合した。以下の表は、フタル酸ジ−イソオクチル(DOP)を用いた処方ならびに対照処方を記載している。
【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【0148】
処方の成分の供給源は以下のとおりであった:PVC樹脂:GEON 471、Avon Lake OhioのPolyOne Corporationからの一般目的樹脂;フタル酸ジオクチル(フタル酸(ビス(2−エチルヘキシル)))、Spectrum Chemical, Gardena, CA, 製品D1049;ステアリン酸カルシウム:Spectrum Chemical, Gardena, CA, 製品C1131(食用供給源から得た固体有機酸の混合物を含み、主に変化し得る比率のステアリン酸カルシウムおよびパルミチン酸カルシウムからなるカルシウムの化合物を記載する);および酸化安定剤:Akcrostab BZ-5043, Akzo Nobel, New Brunswick, NJ。
【0149】
先の実施例で記載したように調製した40、60および100 phr負荷のエポキシド化GLAカノーラおよびSDAダイズ油を用いて膜を調製した。処方に使用した実施例1からのGLAカノーラマスターバッチのオキシランの酸素値は7.74%であった。実施例2からのエポキシド化SDAダイズ油のマスターバッチは7.82%のオキシラン酸素を有すると決定された。PVC樹脂はステアリン酸カルシウムと予め混合した。液体成分であるエポキシド化油、Akcrostab BZ-5043およびフタル酸ジオクチルを別のボトルで合した。固形物および液体を84℃オーブン中で保持し、ミキサーに添加する直前に取り出した。
【0150】
混合は、ジャケット付き混合チャンバーおよびトルク計を備えたReadco 1-quart sigmaミキサー中で行った。エチレングリコールおよび水の91℃の混合物を循環することによってジャケットを加熱した。トルクおよびチャンバーの温度は、Yokogawaデータ獲得モジュールを用いて記録した。混合は混合チャンバー内温度80℃で行った。200gのPVC樹脂および4.0gのステアリン酸カルシウムの混合物を添加し、温度均衡のために40rpmで数分間攪拌した。ついで、液体を一度に添加し、10-14分間混合を続けた。液体を添加した後にトルクが上昇し、ついで安定した。液体が吸収された際に樹脂はけばだったように見え、その場合、より高い可塑剤のレベルは増大したけばだちにつながった。
【0151】
実施例5:プラスチック膜
実施例4で調製した混合粉末(40g)を、内部寸法5インチ四方を有する304ステンレス鉱額縁金型に均一に拡げた。頂部の四角を上面に置き、金型を170℃に設定して加熱したCarver水圧プレスに挿入した。金型は、45klpbの圧力を適用する前にそれが接触するのに極めて熱くなるまで約1分間、プレスに設置した。ブロック温度はこの時点で低下し、ついで再び上昇し始めた。圧縮の間の平均温度はほぼ160℃であった。数グラムの粉末がプレスから噴出したが、膜は常に金型を満たしていた。
【0152】
実施例6:プラスチック膜の機械的特性
実施例5で調製した膜の機械的特性を示す。ドッグボーン・ダイ(dogbone die)を用いて透明な硬化した膜の一部分から試料を切り出した。ドッグボーンはその全長の大部分を通して6.5cm長および1cm幅であり、中央では0.121インチ(3.07mm)まで狭まる。狭い部分の正確な寸法はマイクロメーターを用いて測定した。硬化した膜の機械的特性は、Sintech 1/G引っ張り応力テスターを用いて測定した。各膜は常温にて2回試験した。実施例1および2に記載したフタル酸ジオクチル対照およびエポキシド化GLAおよびSDA油に加えて、同じ11%のSDA油由来であるが7.1%のオキシラン酸素しか含まないもう1の油を同様にして処方化し、試験した。以下の表は、2回試験したプラスチック破壊時の係数および伸張を記載している。
【0153】
【表8】

【0154】
【表9】

【0155】
実施例7:乾性油としてのSDAダイズ油
ASTM法D 1640-95を用いて20%SDAダイズ油と従来のダイズおよびアマニ油とを比較した。方法は、油の薄膜をスライドガラス上にひろげ、それを室内光下、室温の空気に曝すことからなる。実験は組織と並べたフード中で行った。フード中の蛍光は室内光と異なり連続的に点灯しているからである。文献は、約0.1重量%の油中の最終コバルト濃度を有する、所望により1,10-フェナントロリンの添加によって高めてもよい、ナフテン酸コバルト開始剤(受領時に6%のコバルト)の使用を示唆している。W.H. Canty, G.K. WheelerおよびR.R. Myers, Ind. Eng. Chem., 1960, 52, 67-70を参照されてい。ナフテン酸コバルトはAlfa Aesar, ストック番号40387から得た。
【0156】
以下の油を試験した:(1)非ドープウェッソン植物油;(2)新鮮なボトルからのパークス煮沸アマニ油(ラベルはネオデカン酸コバルトおよびマンガン、2−エチルヘキサン酸コバルトおよびマンガンの存在を示した);および(3)20% SDAダイズ油。20% SDAダイズ油は種子から抽出し、前記した条件下で加工し、以下の脂肪酸組成を有していた。
【0157】
【表10】


3の油の幾つかのスライドを調製した。18時間後に、3のアマニ油のスライドは乾燥した。さらに3のアマニ油のスライドを調製した。第2グループのアマニ油試料の結果は以下のとおりであった:
【0158】
【表11】

【0159】
【表12】

【0160】
ウェッソンダイズ油試料はいずれも4日後に乾燥しなかったが、驚くべきことには、1つは7日後にほぼ乾燥した。また、ミネラルスピリッツ中の0.0213gのAlfa Aesarナフテン酸コバルトをSDAダイズ油で1.6657gまで希釈して0.77%Co溶液を得ることにより0.08重量%のCo SDAダイズ油を調製した。混合物は明瞭な紫色であった。SDAダイズ油でさらに希釈して0.04%および0.02%溶液を得た。各混合物の3のスライドを調製した。
【0161】
【表13】

【0162】
20% SDAダイズ油はコバルトでドープし、煮沸することなく市販のアマニ油製品と同様の時間で乾燥した。色はまったく観察されず、SDAダイズは商業価値のある乾性油を処方するのに使用し得ることが示唆された。
【0163】
実施例8:加熱処理SDAダイズ油および市販ダイズ油
500mLの三口フラスコに、簡易窒素および吸引に連結した外部口にバルブアダプターを装備した。ウェッソンダイズ油(208g)および攪拌子を加え、中央の口を熱電対を貫通させたセプタムで密閉した。フラスコは、ガラス綿で断熱した、磁気攪拌子の上面の加熱マントル上に置き、加熱を(攪拌しながら)開始して330℃に設定した。加熱の間に2回、フラスコのガスを抜き、窒素で満たした。ついで、吸引ラインを開口したままであったバルブからの連絡を断ち、安定した窒素流を実験の間にフラスコのヘッドスペースに通過させた。
【0164】
「安定した」後にも温度を300℃と340℃との間で往復させた。周期的に試料を取り出して粘度を試験した。油の色は明るいままであり、バルブを通して排出する蒸気の安定な流れが存在した。
【0165】
【表14】

【0166】
第2の実験は同じプロトコールおよび240gのウェッソンダイズ油を用いて行った。初期温度は41℃であった。コントローラーが作動しなかったが、作動するコントローラーを設置した後に加熱を続けた。開始から2時間、(試料2)、色が顕著に暗くなり始めた。試料6は暗茶色であった。
【0167】
【表15】

【0168】
前記した実験プロトコールは、300℃の設定温度で250gの20重量% SDAダイズ油を用いて繰り返した。20重量% SDAダイズ油は、精製、漂白および脱臭した油であった。加熱処理SDAダイズ油の色は、330℃で粘性を増したウェッソン油よりも遙かに明るかった(淡黄色)。
【0169】
【表16】

【0170】
実施例9:加熱処理油の粘度
第2のウェッソンダイズ油および実施例8からのSDAダイズ油の粘度を、Brookfield DV-IIaデジタル粘度計で測定した。すべての粘度は室温にてスピンドル18を用いて測定した。新しいインクビヒクルの望ましい粘度は、約500ないし約1250cP(センチポイズ)である。20重量% SDA油およびウェッソン油は約3ないし約5時間でこの粘度範囲に達したが、20重量% SDA油はより低い温度で望ましい粘度に到達し、ウェッソン油よりもより明るい色を有する。
【0171】
【表17】

【0172】
実施例10:加熱処理20重量% SDAダイズ油および市販ダイズ油
実施例8のプロトコールを用いて、20重量% SDAダイズ油および市販のダイズ油の色変化を測定した。ウェッソンダイズ油(250g)を清潔な500mL三口フラスコに添加した。1の口を吸引ラインに連結したバルブアダプターに連結し、他の口をバルブで遮断し得る窒素源に連結した。中央の口を、温度コントローラーに連結した1/8"K-型熱電対を貫通させたセプタムで密閉した。フラスコを磁気攪拌子の上面の加熱マントル上に置き、ガラス綿で防護した。330℃に設定した温度コントローラーで熱を加えた。
【0173】
加熱の間、フラスコを繰り返し排気し、窒素を充填した。反応は、試料を引き抜く場合を除いて減圧下で行った。サンプリングのために、窒素流を確立し、フラスコに陽圧が確立されるようにサンプリングの直前に吸引を遮断した。ついで、吸引バルブアダプターを一時的に取り除き、油の試料をガラスパスツールピペットを用いて回収した。ついで、バルブアダプターを置き換え、フラスコを排気し、窒素を充填した。反応は、活性窒素下、合計245分間続けた。
【0174】
【表18】

【0175】
ついで、20重量% SDAダイズ油を実施例8に記載した手法を用いて330℃で加熱処理した。
【0176】
【表19】

【0177】
20重量% SDA加熱処理油は加熱処理したウェッソンダイズ油よりも顕著に明るい色であり、粘性を高めた油についてSDAダイズの利点が確認された。しかしながら、色は、実施例8において300℃で加熱処理した20重量% SDAダイズ油よりも幾分暗かった。しかし、許容し得る粘度までの加熱処理は迅速であった。
【0178】
330℃で加熱処理したダイズ油の粘度をブルックフィールド粘度計で測定した。
【0179】
【表20】

全ての粘度は、スピンドル34を用いた最終SDA生成物を除いてスピンドル18を用いて室温で測定した。
【0180】
実施例11:新聞インク
12重量%の青色顔料を含有する新聞インクは、SDAおよび従来の(ウェッソン)ダイズ油の両方を用いて以下の処方から調製した。処方の手法を実施例13に記載する。
29% Apollo Colors Phthalo Blue G Flush Color, 42% 顔料(Apollo Colors Inc., Rockdale, IL)
26% LX-2600 樹脂(Neville Chemical, Pittsburgh, PA)
45% SDAまたは従来のダイズ油
【0181】
この処方は12.2重量%の顔料を含み、以下の量のSDAダイズ油および従来のダイズ油を有していた。
【0182】
【表21】

SDAダイズ油インクの乾燥特性は市販のダイズ油の乾燥特性よりも良好であると予想される。
【0183】
実施例12:乾燥触媒を含有するインク処方
油の乾燥は乾燥触媒の添加によって高めることができ;これらの触媒は典型的にはカルボン酸コバルトおよびマンガンである。乾燥触媒はヒートセットインクで使用されている。金属化合物はインクビヒクルの二重結合の架橋を触媒する。ヒートセットインクおよび処方は、The Printing Ink Manual, 第5版, R.H. LeachおよびR.J. Pierce, 編, Springer, Dordrecht, the Netherlands, 2007, pp. 390-431で論じられている。
【0184】
SDAダイズ油はアマニアルキドに代わり、より望ましい特性を提供することが期待される。それは典型的なアマニアルキドインク処方におけるよりもより高濃度で存在し得るからである。樹脂(Neville LX-2600)を添加して粘度を与える。インク処方の他の成分はMPP-620微小化ポリエチレン(Micro Powders Inc., Tarrytown, New York)、ミネラルスピリッツ中の30%の2-エチルヘキサン酸コバルト(OMG, Cleveland, Ohioから6% Cobalt Hex Chemとして入手可能)、およびミネラルスピリッツ中の40%の2-エチルヘキサン酸マンガン(OMG, Cleveland, Ohioから6% Manganese Hex Chemとして入手可能)である。調製した得られた処方は以下のとおりであった。

29.0% Soya Blue Flush Color
26.0% LX-2600 樹脂
2.0% MPP-620 微小化ポリエチレン
0.6% 6% Cobalt Hex-Chem (0.03% Co)
0.9% 6% Manganese Hex-Chem (0.06% Mn)
41.5% SDA ダイズ油(20重量% SDA)
【0185】
実施例13A:市販ダイズ油新聞インク
ウェッソンダイズ油(203.9g)および117.9gのNeville LX-2600樹脂を1リットルのビーカーに添加した。ビーカーを加熱テープおよびガラス綿断熱剤で包み、混合物を熱を加えながらオーバーヘッドスターラーで攪拌した。温度は液体に挿入した温度計でモニターした。混合物を攪拌し、加熱テープに給電しながら45分間空気に曝して温度を140℃とした。樹脂の軟化点であるためその温度を選択した。加熱を減少して温度を135℃に落とし、さらに75分間攪拌を続けて樹脂を確実に完全に溶解した(45分で完全に溶解したようであった)。
【0186】
Apollo Colors Phthalo Blue G Flush Color, 42%顔料, Code BS-2734 (131.8 g)を計量し、連続して攪拌しつつ30分間にわたってバッチに添加した。ついで、攪拌速度を上昇させ、インクを1クォートジャーに移す前にほぼ120℃の温度で攪拌を80分間続けた。
【0187】
インクを一晩落ち着かせ、ついで窒素でパージしつつ20 in.Hg(67.7キロパスカル)の減圧下、70℃で再加熱し、ついでWaring産業用ブレンダーに移した。15分混合した後に、インクを新たな1クォートジャーに移し、オーブンに戻した。
【0188】
実施例13B:20重量% SDAダイズ油新聞インク
ついで、20重量% SDAダイズ油を用いて実施例13Aと実質的に同じ手法によって同じ処方を調製した。それは、精製、漂白および脱臭したSDAダイズ油であった。この油(203.9g)および117.9gのNeville LX-2600樹脂を1リットルビーカーに添加した。ビーカーを加熱テープおよびガラス綿断熱剤で包み、混合物を加熱テープで加熱しながらオーバーヘッドスターラーで攪拌した。ヘッドスペースを窒素で排気した。
【0189】
140℃の温度にて77分後に、樹脂は軟化し、ダイズ油と完全に混ざった。Apollo Colors Phthalo Blue G Flush Color, 42% 顔料, Code BS-2734 (131.8 g)を計量し、攪拌を続けながら10分間にわたってバッチに添加した。ついで、加熱を続け、ヘッドスペースを窒素で排気しながら、攪拌速度をはねることなく達成し得る最速レベルまで上昇させた。1時間攪拌した後に、窒素で排気したWaring産業用ブレンダーの容器にインクを注いだ。インクを15分間混合し、ついで1クォートジャーに移した。ジャーをドライボックスの小室に入れ、穏やかに排気し、ついでアルゴンを充填した。インクのバーピング(burping)により、約150gのインクを回収した。
【0190】
より小さいスケールおよび異なる添加の順番で、この処方に従ってより多量のインクを調製した。Phthalo blue flush (66.8 g)を加熱テープおよび断熱材で包んだ1リットルビーカー中の103.4gの20重量% SDAダイズ油と合した。混合物は窒素雰囲気下で105分間穏やかに攪拌した。加熱により温度を120℃としたが、大部分の輝く色は消失しないままであった。攪拌を増大させ、混合物を145℃まで加熱すると樹脂が軟らかくなった。Neville LX-2600樹脂(59.8g)を5分間にわたって徐々に添加して攪拌機のブレード上で樹脂が塊りになるのを防いだ。
【0191】
攪拌および加熱をさらに20分間続けた。ついで、インクを窒素で排気したWaring産業用ブレンダーの容器に注いだ。インクを15分間混合し、1クォートジャーに移した。
【0192】
実施例13C:20重量% SDAダイズ油ヒートセットインク
ヒートセットインク処方は、コバルトおよびマンガン乾燥触媒を処方プロセスの終期に添加する以外は実施例13Aおよび13Bに記載した新聞インクと同様に調製した。微小化ポリエチレンを早期のステージで樹脂と一緒に添加した。使用した20重量% SDAダイズ油(188.0g)は、実施例13Aおよび13Bで使用したものと同じであり、9.07gのMPP-620微小化ポリエチレンおよび117.9gのNeville LX-2600樹脂を1リットルビーカーに添加した。混合物は140℃の温度の窒素下で攪拌した。
【0193】
攪拌を続けながら、Apollo Colors Phthalo Blue G Flush Color、42%顔料、Code BS-2734 (131.8g)をバッチに6分間にわたって添加した。続けて75分間加熱しながら、窒素排気下ではねないような最大攪拌速度で混合物を攪拌した。Manganese Hex Chem(4.08g)および2.72gのCobalt Hex Chemを添加し、混合物を産業用Waringブレンダーに移す前にさらに5分間攪拌した。ブレンダーの容器は窒素で排気した。
【0194】
20分間混合した後、インクを1クォートジャーに移した。ヘッドスペースを窒素で排気し、ジャーを閉めた。窒素下で混合しており泡が発生しているようではなかったため、このインクを脱気することはしなかった。
【0195】
実施例14:UV−硬化性オーバープリントワニス
UV−硬化性オーバープリントワニスはアルミニウムゲル化剤を含んで粘度を上昇させた。「Manalox(登録商標)730」なる名称でFedChem(Bethlehem, PA)によってイソプロピルオクチル酸エステル中の溶液として販売されている市販のオクト酸をベースとするオキソアルミニウムアシレートを用いてワニスを調製した。アルミニウム含量は8.5重量%であった。水および2-エチルヘキサン酸を添加してゲル化を誘導した。
【0196】
処方は、プレポリマー、トリメチロールプロパントリアシレート(Alfa Aesar)も含んでいた。ベンゾフェノンおよびエチル−4−ジメチルアミノベンゾエートのパッケージを光増感剤として用いた。
【0197】
【表22】

【0198】
処方は、500gスケールで20重量%のSDAダイズ油を用いて調製した。対照処方は従来の(ウェッソン)ダイズ油を用いて調製した。手法は以下のとおりである。
【0199】
スケールアップ用のManalox 730の濃度を500gに選択して望ましい粘度を得た。ダイズ油(SDAまたは従来)、アシレート、ベンゾフェノン、Manalox 730およびアミノベンゾエートを、攪拌子を備えた500mL丸底フラスコ中で合し、ベンゾフェノンが溶解するまで50℃油浴中で攪拌した。水および2-エチルヘキサン酸を、磁気攪拌プレート上に置いた非加熱ジャーに添加した。高温の油/アシレート混合物を添加し、攪拌子のスイッチを入れて混合物を1分間攪拌した。直ちに攪拌子を(磁石を用いて)取り出し、混合物を静置してかき混ぜることなく室温でゲル化させた。
【0200】
得られたゲルはほぼ無色でマイルドな臭いを有していた。従来のダイズ油ベース処方は292ポイズの粘度を有していた。
【0201】
本発明の要素またはその好ましい形態(または複数の形態)を導入する場合は、単数または複数の要素が存在することを意味する。「〜を含む」および「〜を有する」なる語句は包含することを意図し、掲載した要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。
【0202】
前記に鑑みれば、本発明の幾つかの目的が達成され、他の有利な結果が達成されるであろう。
【0203】
本発明の範囲から逸脱することなく種々の変化を前記した粒子およびプロセスになし得るため、前記した記載に含まれ、添付図面に示されるすべての事項は説明目的のものであって限定する意味でないと解釈されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料および加熱処理油組成物を含むインク組成物であって、加熱処理前の油組成物は3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、以下のいずれかである該インク組成物:
(a)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は植物由来である;
(b)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は非−動物供給源由来である;
(c)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は遺伝子改変種子由来である;
(d)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である;
(e)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(f)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(g)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む;または
(h)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【請求項2】
少なくとも10重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項1記載のインク組成物。
【請求項3】
少なくとも15重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項1記載のインク組成物。
【請求項4】
少なくとも20重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項1記載のインク組成物。
【請求項5】
少なくとも25重量%の3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項1記載のインク組成物。
【請求項6】
少なくとも30重量%の3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項1記載のインク組成物。
【請求項7】
4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有するポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体が、ステアリドン酸またはその誘導体を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項8】
インク組成物の全重量に基づいて約70重量%ないし約94重量%の加熱処理油組成物を含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
インク組成物の全重量に基づいて約4重量%ないし約30重量%の顔料を含む請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項10】
顔料、油組成物および樹脂を含むインク組成物であって、油組成物は3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、以下のいずれかである該インク組成物:
(a)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は植物由来である;
(b)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は非−動物供給源由来である;
(c)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は遺伝子改変種子由来である;
(d)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である;
(e)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(f)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(g)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む;または
(h)油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【請求項11】
少なくとも10重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項10記載のインク組成物。
【請求項12】
少なくとも15重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項10記載のインク組成物。
【請求項13】
少なくとも20重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項10記載のインク組成物。
【請求項14】
少なくとも25重量%の3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項10記載のインク組成物。
【請求項15】
少なくとも30重量%の3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項10記載のインク組成物。
【請求項16】
4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有するポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体が、ステアリドン酸またはその誘導体を含む請求項10ないし15のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項17】
インク組成物の全重量に基づいて約30重量%ないし約65重量%の油組成物を含む請求項10ないし16のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項18】
インク組成物の全重量に基づいて約5重量%ないし約20重量%の顔料を含む請求項10ないし17のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項19】
インク組成物の全重量に基づいて約15重量%ないし約30重量%の樹脂を含む請求項10ないし17のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項20】
油組成物を含むインクまたはコーティングを用いて基体を印刷することを含む印刷方法であり、油組成物が油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む該印刷方法。
【請求項21】
油組成物を含むインクまたはコーティングを用いて基体を印刷することを含む印刷方法であり、油組成物が油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約0.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含み、ステアリドン酸がトランスジェニック植物供給源由来である該印刷方法。
【請求項22】
油組成物を含むインクまたはコーティングを用いて基体を印刷することを含む印刷方法であり、油組成物が油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む該印刷方法。
【請求項23】
印刷が、リソグラフィー印刷、オフセットリソグラフィー印刷、グラビア印刷、オフセットグラビア印刷、活版印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、枚葉紙印刷または凹版印刷である請求項20ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
印刷がオフセットリソグラフィー印刷である請求項23記載の方法。
【請求項25】
さらに、インクを基体に印刷した後にそのインクを硬化させることを含む請求項20ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
硬化工程がインクを加熱することを含む請求項25記載の方法。
【請求項27】
硬化工程が照射硬化を含む請求項25記載の方法。
【請求項28】
照射硬化がUV照射をインクにあてることを含む請求項27記載の方法。
【請求項29】
硬化工程が電子線照射をインクにあてることを含む請求項27記載の方法。
【請求項30】
硬化工程が、さらに光重合開始剤を含むインクまたはコーティングに光をあてることを含む請求項20ないし29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
印刷工程が基体上にインクの不連続膜を沈積することを含む請求項20ないし30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
不連続膜がハーフトーン画像を含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
印刷工程が、さらに複数のインクまたはコーティングを基体に適用することを含む請求項20ないし32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
複数のインクまたはコーティングが複数の色を含む請求項33記載の方法。
【請求項35】
複数のインクまたはコーティングが少なくとも1の着色インクおよび少なくとも1のオーバープリントワニスを含む請求項33または34記載の方法。
【請求項36】
インクまたはコーティングがオーバープリントワニスを含む請求項20ないし35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
インクまたはコーティングがペースト印刷インクを含む請求項20ないし35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
インクまたはコーティングがEB硬化インク、ハイブリッドインク、UV硬化型インク、高温セットインクまたは低温セットインクである請求項20ないし35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
インクまたはコーティングが新聞用紙インクを含む請求項20ないし38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
請求項20ないし39のいずれか1項に記載の方法によって作成した印刷物。
【請求項41】
少なくとも1の表面にインクまたはコーティングを含む印刷基体であって、インクまたはコーティングは油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む該印刷基体。
【請求項42】
少なくとも1の表面にインクまたはコーティングを含む印刷基体であって、インクまたはコーティングは油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約0.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含み、ステアリドン酸がトランスジェニック植物供給源由来である該印刷基体。
【請求項43】
インクまたはコーティングが油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約2.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む請求項42記載の印刷基体。
【請求項44】
インクまたはコーティングが油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む請求項42記載の印刷基体。
【請求項45】
インクまたはコーティングが油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む請求項42記載の印刷基体。
【請求項46】
インクまたはコーティングが油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約10重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む請求項41または42記載の印刷基体。
【請求項47】
インクまたはコーティングが油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約15重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む請求項41または42記載の印刷基体。
【請求項48】
インクまたはコーティングが油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約20重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む請求項41または42記載の印刷基体。
【請求項49】
少なくとも1の表面にインクまたはコーティングを含む印刷基体であって、インクまたはコーティングが組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも約20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む油組成物を含む該印刷基体。
【請求項50】
インクまたはコーティングが顔料を含む請求項41ないし49のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項51】
基体がセルロース性基体を含む請求項41ないし50のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項52】
セルロース性基体が紙を含む請求項51記載の印刷基体。
【請求項53】
セルロース性基体が再生した繊維を含む請求項51または52記載の印刷基体。
【請求項54】
印刷基体が新聞用紙を含む請求項41ないし53のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項55】
基体がポリマー膜を含む請求項41ないし50のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項56】
基体が織っていない基体を含む請求項41ないし53のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項57】
インクが基体の表面に不連続に配置される請求項41ないし56のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項58】
インクの不連続配置が証印を規定する請求項57記載の印刷基体。
【請求項59】
インクの不連続配置がハーフトーン画像を含む請求項57記載の印刷基体。
【請求項60】
基体が複数の色のインクを含む請求項41ないし59のいずれか1項に記載の印刷基体。
【請求項61】
印刷基体がさらにオーバープリントワニスを含む請求項41ないし60のいずれか1項に記載の印刷物。
【請求項62】
油組成物がダイズ油を含む請求項41ないし61のいずれか1項に記載の印刷物。
【請求項63】
3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であって、組成物中の不飽和脂肪酸または複数の不飽和脂肪酸の二重結合が実質的にエポキシド化され、かつ、以下のいずれかを含む該組成物:
(a)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は植物由来である;
(b)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は非−動物供給源由来である;
(c)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物は遺伝子改変種子由来である;
(d)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である;
(e)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(f)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(g)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む;または
(h)組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【請求項64】
少なくとも10重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項63記載の組成物。
【請求項65】
少なくとも15重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項63記載の組成物。
【請求項66】
少なくとも20重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項63記載の組成物。
【請求項67】
少なくとも25重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項63記載の組成物。
【請求項68】
少なくとも30重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項63記載の組成物。
【請求項69】
ポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体がステアリドン酸またはその誘導体である請求項63ないし68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
組成物中の脂肪酸の少なくとも50%の二重結合がエポキシド化されている請求項63ないし69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
組成物中の脂肪酸の少なくとも75%の二重結合がエポキシド化されている請求項63ないし69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
組成物中の脂肪酸の少なくとも90%の二重結合がエポキシド化されている請求項63ないし69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
ハロゲン化ポリマー樹脂および請求項63ないし72のいずれか1項に記載の油組成物を含むハロゲン化ポリマー組成物。
【請求項74】
ハロゲン化ポリマー樹脂がハロゲン化ポリビニルを含む請求項73記載の組成物。
【請求項75】
ハロゲン化ポリマー樹脂がポリ塩化ビニルを含む請求項73記載の組成物。
【請求項76】
ハロゲン化ポリマー樹脂がポリ塩化ビニルのコポリマーである請求項73記載の組成物。
【請求項77】
コーティング組成物を基体に適用することを含む基体をコーティングする方法であって、コーティング組成物が3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む乾性油組成物を含み、かつ、かつ、乾性油組成物が以下のいずれかを含む該方法:
(a)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物は植物由来である;
(b)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物は非−動物供給源由来である;
(c)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物は遺伝子改変種子由来である;
(d)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である;
(e)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(f)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(g)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む;または
(h)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【請求項78】
乾性油組成物が少なくとも10重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項77記載の方法。
【請求項79】
乾性油組成物が少なくとも15重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項77記載の方法。
【請求項80】
乾性油組成物が少なくとも20重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項77記載の方法。
【請求項81】
乾性油組成物が少なくとも25重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項77記載の方法。
【請求項82】
乾性油組成物が少なくとも30重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項77記載の方法。
【請求項83】
乾性油組成物が煮沸した油でない請求項77ないし82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
乾性油組成物が煮沸した油である請求項77ないし82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
ポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体がステアリドン酸またはその誘導体である請求項77ないし84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
コーティング組成物が塗料、ワニスまたはステインである請求項77ないし85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
コーティング組成物が塗料である請求項86記載の方法。
【請求項88】
コーティング組成物がワニスである請求項86記載の方法。
【請求項89】
顔料および乾性油を含む塗料組成物であって、乾性油組成物は3またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、以下のいずれかである該組成物:
(a)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物は植物由来である;
(b)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物は非−動物供給源由来である;
(c)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物は遺伝子改変種子由来である;
(d)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、乾性油組成物はダイズまたはカノーラ油由来である;
(e)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および少なくとも16.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(f)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも5.5重量%の4またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、14.5重量%未満のパルミチン酸またはその誘導体、および少なくとも3.5重量%のリノール酸またはその誘導体を含む;
(g)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも7.5重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含む;または
(h)乾性油組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に基づいて少なくとも20重量%のガンマ−リノレン酸またはその誘導体を含む。
【請求項90】
さらに、ポリオールおよび可塑剤を含む請求項89記載の塗料組成物。
【請求項91】
可塑剤がポリカルボン酸である請求項90記載の塗料組成物。
【請求項92】
少なくとも10重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を有する請求項89ないし91のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項93】
少なくとも15重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を有する請求項89ないし91のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項94】
少なくとも20重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を有する請求項89ないし91のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項95】
少なくとも25重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を有する請求項89ないし91のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項96】
少なくとも30重量%の少なくとも1のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を有する請求項89ないし91のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項97】
ポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体が、ステアリドン酸またはその誘導体である請求項89ないし91のいずれか1項に記載の塗料組成物。

【公表番号】特表2010−540726(P2010−540726A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527142(P2010−527142)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/077679
【国際公開番号】WO2009/042770
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】