プラスチック片の選別装置
【課題】プラスチックのリサイクルにおいて、プラスチック廃材から特定元素を含有するプラスチックを除外し、再利用可能なプラスチックを選別するのに、様々な形状の原材料破砕プラスチック片に対しても高精度な選別が可能となる装置を提供する。
【解決手段】原材料プラスチック片2を所定の厚さにする厚さ調整手段1と、厚さ調整後のプラスチック片3にX線を照射するX線照射手段6と、透過X線を検出するX線検出器7と、透過X線のデータを所定の判別値と比較する非除去対象物3a、除去対象物3bとに判別する判別手段8とその結果に基づいて分別する分離手段9とを備える。
【解決手段】原材料プラスチック片2を所定の厚さにする厚さ調整手段1と、厚さ調整後のプラスチック片3にX線を照射するX線照射手段6と、透過X線を検出するX線検出器7と、透過X線のデータを所定の判別値と比較する非除去対象物3a、除去対象物3bとに判別する判別手段8とその結果に基づいて分別する分離手段9とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチックのリサイクルにおいて、プラスチック廃材から特定元素を含有するプラスチックを除外し、再利用可能なプラスチック片を選別する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックのリサイクルにおいて、分離対象物のプラスチックの厚さをコンベア上で測定してその厚さのデータに基づく補正データと、分離対象物の透過放射線の強度データとを比較判定して選別する技術が示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−279541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1には、分離対象物の厚さによらずに選別する技術として、変位測定計で厚さを測定することが開示されてはいるが、最近のリサイクル加工部門が要求する様々な形状を有する分離対象物の選別に関して、高い選別精度を確保できるものではない。すなわち、変位測定計による測定厚さと実厚さに差が生じて、誤判定をする可能性が大きい。以下に様々な形状の内、或る形状を有する破砕プラスチック片に、従来技術である上記特許文献1を適用した場合の問題点を図14〜図16に基づいて説明する。
【0005】
破砕プラスチック片は、様々な形状があり、図14に示すような破砕プラスチック片20とコンベアベルト13面の間に空間がある破砕プラスチック片20も存在する。
この破砕プラスチック片20にX線発生源6からX線を照射、透過X線を検出器で検出して除去対象物、非除去対象物を区別する。
図15は、図14に示す破砕プラスチック片20を変位測定計で測定した厚さ20aと破砕プラスチック片の実厚さ20bを示す図である。変位計測計はコンベアベルト面13を基準とした表面高さを測定して破砕プラスチック片20の厚さ情報としており、変位測定計で測定した破砕プラスチック片20の測定厚さ20aと破砕プラスチック片の実厚さ20bに差異が生じる。破砕プラスチック片20の実際の特定元素判定基準50と変位測定計で測定した測定厚さ20aによるデータ補正後の特定元素判定基準50aを図16に示す。
変位測定計で測定した測定厚さ20aによるデータ補正後の特定元素判定基準50aは、実際の破砕プラスチック片20の厚さに対する特定元素判定基準50より低くなるため、所定値以上の特定元素を含有する破砕プラスチック片を非除去と判定するので、選別精度は著しく低下する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、破砕プラスチック片の形状に起因する誤判定を防止した特定元素を含有するプラスチック片を選別可能とする装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るプラスチック片の選別装置は、原材料プラスチック片を所定の厚さに調整する厚さ調整手段と、コンベアで搬送される厚さ調整後のプラスチック片にX線を照射するX線照射手段と、照射されたプラスチック片を透過するX線を検出するX線検出器と、検出された透過X線のデータを入力し所定の判別値と比較して厚さ調整後のプラスチック片を、除去対象物と非除去対象物とに判別する判別手段と、その判別結果に基づいてそれぞれに分別する分離手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のような構成を備えたプラスチック片の選別装置であるので、様々な形状を有するプラスチック片が所定の厚さになるよう調整されているので、プラスチック片の形状に起因する誤判定を防止でき、プラスチック片を高精度で選別が可能となり、ひいては再生材料としての使用可能性が高まり、再生の歩留まりの向上や、精度向上に伴う有毒性物質の削減が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による加熱手段付ローラの構成図である。
【図3】実施の形態1によるローラの加熱方法の概略図である。
【図4】実施の形態1による加熱炉の概略図である。
【図5】実施の形態1による厚さ調整手段の配置図である。
【図6】実施の形態1によるX線発生源6とX線検出器7の配置図である。
【図7】実施の形態1によるプラスチック片の選別装置の重要性を説明する図である。
【図8】実施の形態2によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図9】実施の形態2による加熱手段付ローラの構成図である。
【図10】実施の形態2による厚さ調整手段の構成図である。
【図11】実施の形態3によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図12】実施の形態3による水平方向回転式スライサの構成図である。
【図13】実施の形態4によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図14】従来の破砕プラスチック片の厚さ測定方法を示す図である。
【図15】従来の破砕プラスチック片の実厚さと測定厚さを示す図である。
【図16】従来の破砕プラスチック片の実際の特定元素判定基準と測定厚さによるデータ補正後の特定元素判定基準を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段1は2つのローラ1a間の隙間に種々の厚さを有する原材料である直径相当で5〜15mm程度の原材料プラスチック片2を通過させて所定の厚さとなるよう厚さを均一にする機構を備えたものである。
図1において、2つのローラ1a間の隙間に前記種々の厚さを有する原材料プラスチック片2を通過させて所定の厚さとなるようほぼ均一化する厚さ調整手段1と、所定の厚さにほぼ均一化された厚さ調整後のプラスチック片3(以下、プラスチック片3と称す)を堆積し、ベルトコンベア5に無作為に供給するホッパ4と、X線検出器7を通過する時と分離部9を通過する時のプラスチック片3の位置ズレを防止するために、プラスチック片3を落ち着かせて搬送するベルトコンベア5と、X線を照射するX線照射手段6と、照射したX線がプラスチック片3を透過した透過X線を検出するX線検出器7と、検出した透過X線の強度データに基づいてプラスチック片3を判別する判別手段8と、判別結果に基づいてプラスチック片3を分別する分離手段9と、分離手段9で分離した非除去対象物3a、除去対象物3bのプラスチック片をそれぞれ格納する格納容器10a、10bとで構成されている。判別手段8は、X線検出器7で検出した強度データと、設定されている任意の判別値とを比較して、除去対象物3b、非除去対象物3aを判別して分離手段9に信号を送る。
尚、ベルトコンベア5上のプラスチック片3はベルトコンベア5の搬送速度で空中に投げ出され、除去対象物3bは、判別手段8からの信号を入力する分離手段9から噴出される圧縮空気によって格納容器10b内に打ち落とされる。
厚さ調整手段1で均一にするプラスチック片3の厚さは、特定元素のX線の吸収率や、特定元素の含有濃度、使用するX線のエネルギー領域によって異なる。例えば、特定元素が臭素の場合、厚さ1〜2mm程度に調整されている。
【0011】
厚さ調整手段1は、2つのローラ1a間の隙間を任意に調整する機構を設けてあり、また、ローラ1aは2個以上のものであってもよい。
図1に示す厚さ調整手段1のローラ1aは、図2に示すように、原材料プラスチック片2を塑性変形させ易くするために原材料プラスチック片2を加熱するためのヒータ1cなどを付加した加熱手段付ローラ1bにしても良い。図2に示す加熱手段のヒータ1cはローラ1b内部に設けているが、図3に示すようにローラ1aの外部に加熱手段1cを設けローラ1aを加熱しても良い。また、厚さ調整手段1の前工程に、図4に示すような原材料のプラスチック片2を加熱する炉12をベルトコンベア5の上に設けても良い。加熱方法は、温風加熱、蒸気加熱、マイクロ波加熱、赤外線ランプ加熱、電熱線加熱、ガス、灯油などが燃焼時に生じる燃焼熱を用いても良い。
厚さ調整手段1の配置は図1に示す以外に、図5に示すようにホッパ4とベルトコンベア5との間に設けても良い。なお、厚さ調整手段1に設定されている所定の厚さ以下の原材料プラスチック片2は、粉状など比較的小さな破片であり、判別手段8での検出が出来ないが、少量のため問題はない。
【0012】
X線照射手段6とX線検出器7は、図6に示すようにコンベア5の進行方向先端部付近の上部および下部に設置し、プラスチック片3がコンベア5の進行方向先端部から空中に送出されたときにX線照射、およびX線検出を検出しても良い。
図1のX線検出器7としては、ライン内や面内のX線強度分布の測定が可能な、例えばX線ラインセンサカメラ、X線イメージングインテンシファイア、X線CCDカメラ、X線シンチレータ、位置感度型比例計数管などを用いる。
以下にこの発明の実施の形態1による原材料プラスチック片2を所定の厚さにほぼ均一化して調整されたプラスチック片3とすることの重要性について、図7に基づいて説明する。例えば、図7(a)のようなL型の原材料破砕プラスチック片の場合、特許文献1による変位測定計では、厚さが測定箇所によって異なり、判定結果が実体と異なる。
この実施の形態1では、図7(b)に示すように原材料破砕プラスチック片の厚さを所定の厚さにほぼ均一化(例えばt3=2mm)することで、X線の吸収が臭素起因のものに限定される。また、図7(c)に示すような形状の原材料破砕プラスチック片の場合でも、図7(d)の如く、所定の厚さとなるようほぼ均一化されるので、図7(c)のb−a>図7(d)のb’−a’となり、このような形状でもX線の吸収が臭素起因のものに限定されることになる。
一方、所定の厚み以下のプラスチック片は、X線の吸収が少ないため、臭素を含有していても、センサが検出できないことがあるが、しかし、そのようなプラスチック片は少量であることと、再利用の際には基準濃度以下になることから特に問題はない。
このように厚さ均一化はプラスチック片の厚さをなるべく均一化し、どの測定箇所でも同様の結果を得るためのものである。
この構成によれば、ホッパ4の上方に設けられている厚さ調整手段1によって原材料プラスチック片2の厚さをほぼ均一化した厚さ調整後のプラスチック片3にすることができる。したがって、プラスチック片3の厚さに起因する誤判定を防止でき、特定含有元素を含むプラスチック片3を高い精度で選別が可能となる。尚、ベルトコンベア5は必ずしもベルト式に限るものでなくてもよい。
【0013】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段は図8に示すように、ローラ1aとベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、原材料プラスチック片2を所定の厚さにほぼ均一化する機構である。このローラ1aとベルトコンベア5間の隙間Cを任意に調整する機構を設けても良い。なお、上記以外は実施の形態1の図1と同一であるので説明省略する。
図8の厚さ調整手段1は図9に示すように、原材料プラスチック片2を塑性変形させ易くするために原材料プラスチック片2を加熱するためのヒータなどを付加した加熱手段付ローラ1bとベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、所定の厚さに均一化する構成にしても良い。
また図10に示すように、原材料プラスチック片2を塑性変形させ易くするために搬送中から原材料プラスチック片2を加熱するヒータなどの熱源を用いた加熱手段14を付加したベルトコンベア5aと、ローラ1a間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、プラスチック片3を所定の厚さに均一化する構成にしても良い。
【0014】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段1は図11に示すようにホッパ4の下方のベルトコンベア5上に設けられており、原材料プラスチック片2を切断するための刃を設けたスライサ16と、ベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、原材料プラスチック片2を所定の厚さにほぼ均一化されたプラスチック片3を得る。このスライサ16とベルトコンベア5間の隙間Cを任意に調整する機構を設けても良い。
送り機構17は原材料プラスチック片2を隙間Cに誘導する機能と、スライサ16で均一な厚さにされなかった原材料プラスチック片2を回収して、再び隙間Cに誘導する機構を備えている。
カバー18は、原材料プラスチック片を回収する送り機構17のガイドである。スライサ16の刃数は1枚で記載しているが、多段式でも良い。またスライサ17は、固定であるが、図12に示すように水平方向に回転させても良い。また、刃の形状はこれに限定されない。
【0015】
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段は図13に示すようにホッパ4の後方のベルトコンベア5上に設けられており、原材料プラスチック片2を叩くもしくは原材料プラスチック片2に圧力または衝撃を加えて原材料プラスチック片2をほぼ均一な厚さに調整するプレス付加手段あるいは衝撃付加手段21と、ベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、プラスチック片3の厚さをほぼ均一化する。プレス付加手段21あるいは衝撃付加手段21とベルトコンベア5間の隙間Cを任意に調整することで、プラスチック片3の厚さは任意に調整可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 厚さ調整手段、1a ローラ、1c 加熱手段、2 原材料プラスチック片、
3 厚さ調整後のプラスチック片、3a 非除去対象物、3b 除去対象物、
5 コンベア、6 X線照射手段、7 X線検出器、8 判別手段、9 分離手段、
12 加熱炉、16 スライサ、100 プラスチック片の選別装置。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチックのリサイクルにおいて、プラスチック廃材から特定元素を含有するプラスチックを除外し、再利用可能なプラスチック片を選別する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックのリサイクルにおいて、分離対象物のプラスチックの厚さをコンベア上で測定してその厚さのデータに基づく補正データと、分離対象物の透過放射線の強度データとを比較判定して選別する技術が示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−279541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1には、分離対象物の厚さによらずに選別する技術として、変位測定計で厚さを測定することが開示されてはいるが、最近のリサイクル加工部門が要求する様々な形状を有する分離対象物の選別に関して、高い選別精度を確保できるものではない。すなわち、変位測定計による測定厚さと実厚さに差が生じて、誤判定をする可能性が大きい。以下に様々な形状の内、或る形状を有する破砕プラスチック片に、従来技術である上記特許文献1を適用した場合の問題点を図14〜図16に基づいて説明する。
【0005】
破砕プラスチック片は、様々な形状があり、図14に示すような破砕プラスチック片20とコンベアベルト13面の間に空間がある破砕プラスチック片20も存在する。
この破砕プラスチック片20にX線発生源6からX線を照射、透過X線を検出器で検出して除去対象物、非除去対象物を区別する。
図15は、図14に示す破砕プラスチック片20を変位測定計で測定した厚さ20aと破砕プラスチック片の実厚さ20bを示す図である。変位計測計はコンベアベルト面13を基準とした表面高さを測定して破砕プラスチック片20の厚さ情報としており、変位測定計で測定した破砕プラスチック片20の測定厚さ20aと破砕プラスチック片の実厚さ20bに差異が生じる。破砕プラスチック片20の実際の特定元素判定基準50と変位測定計で測定した測定厚さ20aによるデータ補正後の特定元素判定基準50aを図16に示す。
変位測定計で測定した測定厚さ20aによるデータ補正後の特定元素判定基準50aは、実際の破砕プラスチック片20の厚さに対する特定元素判定基準50より低くなるため、所定値以上の特定元素を含有する破砕プラスチック片を非除去と判定するので、選別精度は著しく低下する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、破砕プラスチック片の形状に起因する誤判定を防止した特定元素を含有するプラスチック片を選別可能とする装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るプラスチック片の選別装置は、原材料プラスチック片を所定の厚さに調整する厚さ調整手段と、コンベアで搬送される厚さ調整後のプラスチック片にX線を照射するX線照射手段と、照射されたプラスチック片を透過するX線を検出するX線検出器と、検出された透過X線のデータを入力し所定の判別値と比較して厚さ調整後のプラスチック片を、除去対象物と非除去対象物とに判別する判別手段と、その判別結果に基づいてそれぞれに分別する分離手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のような構成を備えたプラスチック片の選別装置であるので、様々な形状を有するプラスチック片が所定の厚さになるよう調整されているので、プラスチック片の形状に起因する誤判定を防止でき、プラスチック片を高精度で選別が可能となり、ひいては再生材料としての使用可能性が高まり、再生の歩留まりの向上や、精度向上に伴う有毒性物質の削減が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による加熱手段付ローラの構成図である。
【図3】実施の形態1によるローラの加熱方法の概略図である。
【図4】実施の形態1による加熱炉の概略図である。
【図5】実施の形態1による厚さ調整手段の配置図である。
【図6】実施の形態1によるX線発生源6とX線検出器7の配置図である。
【図7】実施の形態1によるプラスチック片の選別装置の重要性を説明する図である。
【図8】実施の形態2によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図9】実施の形態2による加熱手段付ローラの構成図である。
【図10】実施の形態2による厚さ調整手段の構成図である。
【図11】実施の形態3によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図12】実施の形態3による水平方向回転式スライサの構成図である。
【図13】実施の形態4によるプラスチック片の選別装置の構成を示す図である。
【図14】従来の破砕プラスチック片の厚さ測定方法を示す図である。
【図15】従来の破砕プラスチック片の実厚さと測定厚さを示す図である。
【図16】従来の破砕プラスチック片の実際の特定元素判定基準と測定厚さによるデータ補正後の特定元素判定基準を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段1は2つのローラ1a間の隙間に種々の厚さを有する原材料である直径相当で5〜15mm程度の原材料プラスチック片2を通過させて所定の厚さとなるよう厚さを均一にする機構を備えたものである。
図1において、2つのローラ1a間の隙間に前記種々の厚さを有する原材料プラスチック片2を通過させて所定の厚さとなるようほぼ均一化する厚さ調整手段1と、所定の厚さにほぼ均一化された厚さ調整後のプラスチック片3(以下、プラスチック片3と称す)を堆積し、ベルトコンベア5に無作為に供給するホッパ4と、X線検出器7を通過する時と分離部9を通過する時のプラスチック片3の位置ズレを防止するために、プラスチック片3を落ち着かせて搬送するベルトコンベア5と、X線を照射するX線照射手段6と、照射したX線がプラスチック片3を透過した透過X線を検出するX線検出器7と、検出した透過X線の強度データに基づいてプラスチック片3を判別する判別手段8と、判別結果に基づいてプラスチック片3を分別する分離手段9と、分離手段9で分離した非除去対象物3a、除去対象物3bのプラスチック片をそれぞれ格納する格納容器10a、10bとで構成されている。判別手段8は、X線検出器7で検出した強度データと、設定されている任意の判別値とを比較して、除去対象物3b、非除去対象物3aを判別して分離手段9に信号を送る。
尚、ベルトコンベア5上のプラスチック片3はベルトコンベア5の搬送速度で空中に投げ出され、除去対象物3bは、判別手段8からの信号を入力する分離手段9から噴出される圧縮空気によって格納容器10b内に打ち落とされる。
厚さ調整手段1で均一にするプラスチック片3の厚さは、特定元素のX線の吸収率や、特定元素の含有濃度、使用するX線のエネルギー領域によって異なる。例えば、特定元素が臭素の場合、厚さ1〜2mm程度に調整されている。
【0011】
厚さ調整手段1は、2つのローラ1a間の隙間を任意に調整する機構を設けてあり、また、ローラ1aは2個以上のものであってもよい。
図1に示す厚さ調整手段1のローラ1aは、図2に示すように、原材料プラスチック片2を塑性変形させ易くするために原材料プラスチック片2を加熱するためのヒータ1cなどを付加した加熱手段付ローラ1bにしても良い。図2に示す加熱手段のヒータ1cはローラ1b内部に設けているが、図3に示すようにローラ1aの外部に加熱手段1cを設けローラ1aを加熱しても良い。また、厚さ調整手段1の前工程に、図4に示すような原材料のプラスチック片2を加熱する炉12をベルトコンベア5の上に設けても良い。加熱方法は、温風加熱、蒸気加熱、マイクロ波加熱、赤外線ランプ加熱、電熱線加熱、ガス、灯油などが燃焼時に生じる燃焼熱を用いても良い。
厚さ調整手段1の配置は図1に示す以外に、図5に示すようにホッパ4とベルトコンベア5との間に設けても良い。なお、厚さ調整手段1に設定されている所定の厚さ以下の原材料プラスチック片2は、粉状など比較的小さな破片であり、判別手段8での検出が出来ないが、少量のため問題はない。
【0012】
X線照射手段6とX線検出器7は、図6に示すようにコンベア5の進行方向先端部付近の上部および下部に設置し、プラスチック片3がコンベア5の進行方向先端部から空中に送出されたときにX線照射、およびX線検出を検出しても良い。
図1のX線検出器7としては、ライン内や面内のX線強度分布の測定が可能な、例えばX線ラインセンサカメラ、X線イメージングインテンシファイア、X線CCDカメラ、X線シンチレータ、位置感度型比例計数管などを用いる。
以下にこの発明の実施の形態1による原材料プラスチック片2を所定の厚さにほぼ均一化して調整されたプラスチック片3とすることの重要性について、図7に基づいて説明する。例えば、図7(a)のようなL型の原材料破砕プラスチック片の場合、特許文献1による変位測定計では、厚さが測定箇所によって異なり、判定結果が実体と異なる。
この実施の形態1では、図7(b)に示すように原材料破砕プラスチック片の厚さを所定の厚さにほぼ均一化(例えばt3=2mm)することで、X線の吸収が臭素起因のものに限定される。また、図7(c)に示すような形状の原材料破砕プラスチック片の場合でも、図7(d)の如く、所定の厚さとなるようほぼ均一化されるので、図7(c)のb−a>図7(d)のb’−a’となり、このような形状でもX線の吸収が臭素起因のものに限定されることになる。
一方、所定の厚み以下のプラスチック片は、X線の吸収が少ないため、臭素を含有していても、センサが検出できないことがあるが、しかし、そのようなプラスチック片は少量であることと、再利用の際には基準濃度以下になることから特に問題はない。
このように厚さ均一化はプラスチック片の厚さをなるべく均一化し、どの測定箇所でも同様の結果を得るためのものである。
この構成によれば、ホッパ4の上方に設けられている厚さ調整手段1によって原材料プラスチック片2の厚さをほぼ均一化した厚さ調整後のプラスチック片3にすることができる。したがって、プラスチック片3の厚さに起因する誤判定を防止でき、特定含有元素を含むプラスチック片3を高い精度で選別が可能となる。尚、ベルトコンベア5は必ずしもベルト式に限るものでなくてもよい。
【0013】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段は図8に示すように、ローラ1aとベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、原材料プラスチック片2を所定の厚さにほぼ均一化する機構である。このローラ1aとベルトコンベア5間の隙間Cを任意に調整する機構を設けても良い。なお、上記以外は実施の形態1の図1と同一であるので説明省略する。
図8の厚さ調整手段1は図9に示すように、原材料プラスチック片2を塑性変形させ易くするために原材料プラスチック片2を加熱するためのヒータなどを付加した加熱手段付ローラ1bとベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、所定の厚さに均一化する構成にしても良い。
また図10に示すように、原材料プラスチック片2を塑性変形させ易くするために搬送中から原材料プラスチック片2を加熱するヒータなどの熱源を用いた加熱手段14を付加したベルトコンベア5aと、ローラ1a間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、プラスチック片3を所定の厚さに均一化する構成にしても良い。
【0014】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段1は図11に示すようにホッパ4の下方のベルトコンベア5上に設けられており、原材料プラスチック片2を切断するための刃を設けたスライサ16と、ベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、原材料プラスチック片2を所定の厚さにほぼ均一化されたプラスチック片3を得る。このスライサ16とベルトコンベア5間の隙間Cを任意に調整する機構を設けても良い。
送り機構17は原材料プラスチック片2を隙間Cに誘導する機能と、スライサ16で均一な厚さにされなかった原材料プラスチック片2を回収して、再び隙間Cに誘導する機構を備えている。
カバー18は、原材料プラスチック片を回収する送り機構17のガイドである。スライサ16の刃数は1枚で記載しているが、多段式でも良い。またスライサ17は、固定であるが、図12に示すように水平方向に回転させても良い。また、刃の形状はこれに限定されない。
【0015】
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4によるプラスチック片の選別装置100を示す図である。
厚さ調整手段は図13に示すようにホッパ4の後方のベルトコンベア5上に設けられており、原材料プラスチック片2を叩くもしくは原材料プラスチック片2に圧力または衝撃を加えて原材料プラスチック片2をほぼ均一な厚さに調整するプレス付加手段あるいは衝撃付加手段21と、ベルトコンベア5間の隙間Cに原材料プラスチック片2を通過させることによって、プラスチック片3の厚さをほぼ均一化する。プレス付加手段21あるいは衝撃付加手段21とベルトコンベア5間の隙間Cを任意に調整することで、プラスチック片3の厚さは任意に調整可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 厚さ調整手段、1a ローラ、1c 加熱手段、2 原材料プラスチック片、
3 厚さ調整後のプラスチック片、3a 非除去対象物、3b 除去対象物、
5 コンベア、6 X線照射手段、7 X線検出器、8 判別手段、9 分離手段、
12 加熱炉、16 スライサ、100 プラスチック片の選別装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料プラスチック片を所定の厚さに調整する厚さ調整手段と、コンベアで搬送される前記厚さ調整後のプラスチック片にX線を照射するX線照射手段と、照射されたプラスチック片を透過するX線を検出するX線検出器と、検出された透過X線のデータを入力し所定の判別値と比較して前記厚さ調整後のプラスチック片を、除去対象物と非除去対象物とに判別する判別手段と、その判別結果に基づいてそれぞれに分別する分離手段とを備えたことを特徴とするプラスチック片の選別装置。
【請求項2】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片をローラ間を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項3】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられたローラとの間を、前記原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項4】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられ所定数の刃が設けられたスライサと、前記コンベアとの間を原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項5】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられたプレス付加手段と前記コンベアとの間を、前記原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項6】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられた衝撃付加手段と、前記コンベアとの間を前記原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項7】
前記厚さ調整手段には、前記原材料プラスチック片の加熱機能が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項8】
前記厚さ調整手段の前段階に、前記原材料プラスチック片を加熱する加熱炉が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項9】
前記コンベアには、前記原材料プラスチック片を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項10】
前記分離手段は、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記コンベアから送り出される前記除去対象物を、圧縮空気を吹き付けて所定の容器に収納することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項1】
原材料プラスチック片を所定の厚さに調整する厚さ調整手段と、コンベアで搬送される前記厚さ調整後のプラスチック片にX線を照射するX線照射手段と、照射されたプラスチック片を透過するX線を検出するX線検出器と、検出された透過X線のデータを入力し所定の判別値と比較して前記厚さ調整後のプラスチック片を、除去対象物と非除去対象物とに判別する判別手段と、その判別結果に基づいてそれぞれに分別する分離手段とを備えたことを特徴とするプラスチック片の選別装置。
【請求項2】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片をローラ間を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項3】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられたローラとの間を、前記原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項4】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられ所定数の刃が設けられたスライサと、前記コンベアとの間を原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項5】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられたプレス付加手段と前記コンベアとの間を、前記原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項6】
前記厚さ調整手段は、前記原材料プラスチック片を搬送するコンベアの上部に設けられた衝撃付加手段と、前記コンベアとの間を前記原材料プラスチック片を通過させることによって、所定の厚さに調整することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項7】
前記厚さ調整手段には、前記原材料プラスチック片の加熱機能が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項8】
前記厚さ調整手段の前段階に、前記原材料プラスチック片を加熱する加熱炉が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項9】
前記コンベアには、前記原材料プラスチック片を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のプラスチック片の選別装置。
【請求項10】
前記分離手段は、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記コンベアから送り出される前記除去対象物を、圧縮空気を吹き付けて所定の容器に収納することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック片の選別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−235203(P2011−235203A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106066(P2010−106066)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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