説明

プラスミドDNAの発現増強用凍結乾燥DNA製剤

本発明はプラスミドDNA、塩及び炭水化物を含む組成物から凍結乾燥したDNA製剤であって、前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含むDNA製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスミドDNA、塩及び炭水化物を含む組成物から凍結乾燥したDNA製剤に関するものであって、前記プラスミドDNAはHGF遺伝子又はその変異体を含む。
【背景技術】
【0002】
多くの物質の長期安定性は凍結乾燥した状態において増加するために、凍結乾燥法(Lyophilization)は治療学的物質の好ましい製剤化方法である。しかしながら、凍結乾燥製剤がプラスミドDNA用として選ばれる製剤ではない。ネイキッドDNA(非-複合化プラスミドDNA)を伝達ベクターとして利用した数多くの臨床実験において、好ましい製剤は液状製剤である。
【0003】
凍結乾燥プラスミドDNAが保管に好ましい形態であり得るものの、プラスミドDNAの凍結乾燥製剤は遺伝子の発現効率を減少させるものと見なされてきた。凍結乾燥は分子周囲の水和層(hydration sphere)を取り除く。DNAの場合、DNAに最も強固に結合されたヌクレオチド一対当り約20個の水分子が存在するものと見られ、これは低温冷却時にも氷型(ice like)構造を形成しない。相対湿度0%において吸湿性塩を利用したDNA脱水の際、5又は6個の水分子しか残らない。このように、凍結乾燥は長期保管される間DNAの安定性を増加させることができるものの、凍結乾燥の初期過程の間、おそらくDNAの2次構造の変化又は金属汚染物質のような反応性元素を通じて若干の損傷を誘発することもあり得る。したがって、凍結乾燥したプラスミドDNAの遺伝子発現効率の減少に対する可能性のあるメカニズムは、プラスミドに対する重大な変化を通じてであるはずである。
【0004】
ポクソン(Poxon)らの文献[Pharmaceutical Development andTechnology 5:115-122 (2000)]では、プラスミドDNA(pRL-CMV)の凍結乾燥が統計的に意味のある感染効率の損失を招くことを立証した。感染活性を測定する生物機能性の分析は、プラスミドDNAの活性が溶液内に残っている対照群プラスミドと比較して凍結乾燥後に75%以上損失したことを立証した。ポクソンらはEDTA緩衝液中に保管された非-治療学的プラスミド、すなわち、レニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase)を発現するpRL-CMVの減少した試験管内(in vitro)感染活性を改善するために炭水化物を使用したが、ポクソンらは生体内(in vivo)において疾病の治療または予防のための凍結乾燥ネイキッドDNA製剤の用途を提起しはしなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、遺伝子の発現効率に影響を及ぼさない安定した凍結乾燥製剤が当分野において求められている。本発明は発現した遺伝子の生物学的活性を保存するだけでなく、ある場合には生物学的活性を向上させることが可能な、プラスミドDNAの凍結乾燥製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、凍結乾燥DNA製剤に関するものである。本発明の一様態において、DNA製剤は凍結乾燥前にプラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、前記プラスミドDNAはHGF遺伝子又はその変異体を含む。本発明の別の様態において、前記DNA製剤は凍結乾燥する。本発明の別の様態において、凍結乾燥DNA製剤は再構成される。
【0007】
一実施様態において、本発明のDNA製剤の炭水化物は単糖類、オリゴ糖類又は多糖類、例えばスクロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、アラビノース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、プラクトース、グルコン酸、ソルビトール、マンニトール、メチルα-グルコフィラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、エリトロース、トレオース、アロース、アルトロース、グロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガソース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンノロン酸、クルコサミン、ガラクトサミン、ニューラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクトロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギナン、カラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルーラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、シクロデキストリン、プストラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、澱粉である。
【0008】
本発明の特定の実施様態において、前記炭水化物はスクロースまたはマンニトールである。
【0009】
別の実施様態において、本発明のDNA製剤の炭水化物は約0.05乃至約30%、約0.1%乃至約15%、約0.2%乃至約10%、約0.5%乃至 5%、約0.75%乃至3%、約0.8%乃至2%、及び約 0.8%乃至1.5%からなる群より選ばれる量で存在する。特定の実施様態において、前記炭水化物はスクロース又はマンニトールである。特定の別の実施様態において、DNA製剤の炭水化物は約1.1%の量で存在する。
【0010】
別の実施様態において、前記DNA製剤の塩はNaCl及びKClからなる群より選ばれる。また、別の実施様態において、前記DNA製剤の塩は約0.01%乃至10%、約0.1%乃至5%、約0.1%乃至 4%、約0.5%乃至2%、約0.8%乃至1.5%、及び約 0.8%乃至1.2%(w/v)からなる群より選ばれた量で存在する。特定の実施様態において、前記DNA製剤の塩は約0.9%(w/v)の量で存在する。
【0011】
別の実施様態において、本発明のプラスミドDNAはHGF遺伝子又はその変異体を含む。特定の実施様態において、前記HGF遺伝子は哺乳動物のHGF遺伝子又はその変異体である。追加の実施様態において、前記HGF遺伝子はヒトのHGF遺伝子又はその変異体である。本発明の特定の様態において、前記HGF遺伝子はハイブリッド(hybrid)HGF遺伝子、例えばHGF cDNA及び固有の、又は外来のイントロン或いはその断片(例えば、ヒトHGF遺伝子の固有のイントロン4又はその断片)を含むハイブリッドHGF遺伝子である。特定の実施様態において、前記ハイブリッドHGF遺伝子は、HGF-X2(配列番号:13)、HGF-X3(配列番号:14)、HGF-X6(配列番号:8)、HGF-X7(配列番号:9)又はHGF-X8(配列番号:10)を含む。追加の実施様態において、ハイブリッドHGF遺伝子を含むプラスミドDNAは、pCK-HGF-X2、pCK-HGF-X3、pCK-HGF-X6、pCK-HGF-X7、pCK-HGF-X8、pCP-HGF-X2、pCP-HGF-X3、pCP-HGF-X6、pCP-HGF-X7及びpCP-HGF-X8からなる群より選ばれ、前記HGF-X2、HGF-X3、HGF-X6、HGF-X7及びHGF-X8はそれぞれ配列番号:13-14及び8-10に該当する。
【0012】
前記凍結乾燥DNA製剤は、プラスミドDNAの発現を維持したり、又は向上させる。特定の様態において、前記凍結乾燥DNA製剤は、発現した蛋白質の向上した生物学的活性を提供する。本発明の別の特定様態において、前記プラスミドDNAの向上した発現又は前記発現された蛋白質の向上した生物学的活性は、製剤内の炭水化物の存在によるものである。特定の実施様態において、このような炭水化物はスクロース又はマンニトールである。
【0013】
本発明は再構成された凍結乾燥プラスミドDNA製剤を、やはり提供する。特定の実施様態において、前記凍結乾燥DNAは薬学的に許容可能な溶液内に再構成される。追加の実施様態において、前記薬学的に許容可能な溶液は、水、PBS、TE、トリス緩衝液及び生理食塩水からなる群より選ばれる。
【0014】
別の実施様態において、前記再構成された凍結乾燥製剤のプラスミドDNAは、最終濃度が約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約50ng/mL、約100ng/mL、約250ng/mL、約500ng/mL、約1 μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約300μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約700μg/mL、約800μg/mL、約900μg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5 mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、又は約30mg/mLである。別の実施様態において、前記再構成された凍結乾燥製剤のプラスミドDNAの最終濃度は、約1ng/mL乃至約30mg/mLである。特定の様態において、前記再構成された凍結乾燥製剤のプラスミドDNAの最終濃度は約100μg/mL乃至約2.5mg/mLである。追加の様態において、前記再構成された凍結乾燥製剤のプラスミドDNAの最終濃度は、約500μg/mL乃至約1mg/mLである。
【0015】
また、本発明は、凍結乾燥肝細胞成長因子(Hepatocyte growth factor; HGF)DNA製剤から再構成された組成物を投与することを含む、対象内において虚血性疾患又は肝疾患を治療又は予防する方法であって、この際前記DNA製剤がプラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含むことを特徴とする方法に関するものである。特定の様態において、前記凍結乾燥HGFのDNA製剤から再構成された組成物は、直接注入することにより投与される。
【0016】
また、本発明は、(a)プラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、このとき前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含む、DNA製剤を製造する段階、及び(b)前記DNA製剤を凍結乾燥する段階を含む、凍結乾燥HGFのDNA製剤を製造する方法に関するものである。
【0017】
凍結乾燥の過程は、本発明のDNA製剤を零下の温度(例えば、-10℃乃至-50℃)で凍結させ、引き続き前記DNA製剤を約20℃乃至約30℃以下の温度で漸次加熱することを含む、少なくとも一回の乾燥工程で処理することを含み、この際、前記凍結乾燥は約50乃至100時間行われる。本発明の追加の様態において、凍結乾燥方法は、(a)プラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、この際前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含む、液状のDNA製剤を形成する段階、(b)前記DNA製剤の溶液を約-10℃乃至-50℃の温度で凍結されるまで冷却する段階、(c)前記DNA製剤を約20℃乃至30℃の温度で加熱して乾燥させる段階、(d)回収されたDNA製剤の総重量を基準として約0.1重量%乃至約5重量%の水を含む凍結乾燥DNA製剤の組成物を回収する段階を含む。
【0018】
特定の実施様態において、前記DNA製剤は(a)約-50℃以上乃至約0℃未満の温度で約30 乃至約50時間、及び(b)約0℃以上乃至約30℃以下の温度で約20乃至約50時間を含む条件下で漸進的に凍結乾燥され、このとき(a)の最低温度は約-50℃乃至約-30℃であり、(b)の最高温度は約20℃乃至約30℃である。一様態において、前記DNA製剤は-50℃で4時間、-40℃で12時間、-30℃で6時間、-20℃で6時間、-10℃で6時間、0℃で 6時間、10℃で6時間及び30℃で24時間の条件下で漸進的に凍結乾燥される。また、別の様態において、前記DNA製剤は5℃で1分、-50℃で2時間、-40℃で6時間、-35℃で3時間、-30℃で6時間、-25℃で3時間、-20℃で3時間、-15℃で3時間、-10℃で6時間、-5℃で3時間、0℃で6時間及び30℃で17時間の条件下で漸進的に凍結乾燥される。別の様態において、前記DNA製剤は5℃で1分、-10℃で1分、-20℃で1分、-30℃で1分、-50℃で1分、-50℃で2時間、-45℃で6時間、-40℃で3時間、-35℃で6時間、-30℃で3時間、-25℃で6時間、-20℃で3時間、-15℃で6時間、-10℃で3時間、-5℃で 6時間、0℃で12時間、10℃で3時間、20℃で6時間及び30℃で 29時間の条件下で漸進的に凍結乾燥される。
【0019】
本発明は前記において説明した、凍結乾燥した核酸製剤又は再構成された凍結乾燥核酸製剤に関するものであって、前記核酸はHGF又はその変異体をコードするRNAである。
【0020】
本発明の前記及び別の目的並びに特性は、添付の図面とともに本発明の下記説明により明確にされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は様々な製剤の試験管内HGF発現を比較した棒グラフを示したものである。HGF発現の水準は、スクロース0.25%(レーン3)、1.1%(レーン4)、5%(レーン5)、10%(レーン6)又は20%(レーン7)、或いはマンニトール1.2%(レーン8)、4.85%(レーン9)又は10% (レーン10)とともに、0.9%のNaCl中に最終DNA濃度0.5 mg/mLで製剤化された凍結乾燥プラスミドDNApCK-HGF-X7に形質転換させた293T細胞から分離された培養上澄液中においてELISAを利用して測定した。陰性対照群(レーン1)及び非-凍結乾燥DNA(レーン2)を利用した対照群反応を比較のために使用した。
【図2】図2は、非-凍結乾燥及び凍結乾燥pCK-HGF-X7の生体内HGF発現を比較した棒グラフを示したものである。0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7(NL-HGF-X7)、又は1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7)100μgを頚骨筋を介してマウスに注射した。7日後にマウスを犠牲にし、筋組織溶解物中においてELISAを利用してHGF発現の水準を測定した。陰性対照群(レーン1)、0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7(NL-HGF-X7;レーン2)、及び1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7;レーン3)に対するHGF発現の水準が示されている。
【図3】図3は、虚血性心臓疾患のブタモデルを利用した実験過程を模式図として示したものである。NL-HGF-X7は、0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7である。L-HGF-X7は1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7である。
【図4】図4は、心筋灌流(myocardial perfusion)に対する非-凍結乾燥及び凍結乾燥pCK-HGF-X7の効果を示す棒グラフを図示化したものである。虚血性心臓疾患のブタモデルを利用した場合の心筋灌流の基準対比増加率(%)を示した。ブタにプラスミド単独(pCK;レーン1)、0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7(NL-HGF-X7;レーン2)、及び1.1%のスクロース及び0.9%のNaClともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7;レーン3)を注射した結果を示した。
【図5】図5は壁肥厚化(wall-thickening)に対する非-凍結乾燥及び凍結乾燥pCK-HGF-X7の効果を示す棒グラフを図示化したものである。虚血性疾患ブタモデルを利用した場合の、左心室の注射された虚血性境界域における細胞壁の肥厚化に対する基準対比増加率(%)を示した。前記ブタにプラスミド単独(pCK;レーン1)、0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7(NL-HGF-X7;レーン2)、及び1.1%のスクロース及び0.9のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7;レーン3)を注射した結果を示した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
用語“DNA”又は“核酸”或いは“核酸断片”は、ポリヌクレオチド又は構造体(construct)内に存在する少なくとも一つの任意の核酸セグメント(segment)、例えば、DNA又はRNAの断片を示す。核酸又はその断片は線状(例えば、mRNA)又は円形(例えば、プラスミド)だけでなく、二本鎖または単鎖の形態で提供され得る。“分離された(isolated)”核酸又はポリヌクレオチドはこれらの元来の環境から除去された核酸分子、DNA又はRNAを意図する。例えば、ベクターに含まれている組換えポリヌクレオチドは本発明の目的のために分離されたものと見なされる。また、分離されたポリヌクレオチドは異種宿主細胞内において維持される組換えポリヌクレオチド、又は溶液中で(部分的に、又は相当に)精製されたポリヌクレオチドを含む。分離されたRNA分子は、本発明のポリヌクレオチドの生体内又は試験管内RNA転写物(transcript)を含む。本発明による分離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成的に製造されたこのような分子をさらに含む。
【0023】
本願において使用された“コーディング領域(coding region)”は、アミノ酸に翻訳されるコドンとして構成された核酸の一部である。“停止コドン(stop codon)(TAG, TGA又はTAA)”は、アミノ酸に翻訳されなくてもコーディング領域の一部として見なされるが、任意のフランキング配列(flanking sequence)、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写終結因子等は、コーディング領域の一部と見なされない。本発明の少なくとも2個の核酸又は核酸断片は、単一のポリヌクレオチド構造体内に、例えば単一プラスミド上に、又は分離された(separate)ポリヌクレオチド構造体内に、例えば分離された(相違する)プラスミド上に存在し得る。また、任意の核酸又は核酸断片は、単一のHGFポリペプチド又は断片、誘導体又はその変異体をコードすることができるか、或いは少なくとも一つのポリペプチドをコードすることができ、例えば、一つの核酸が少なくとも二つのポリペプチドをコードすることができる。また、核酸はプロモーターのような調節要素、リボソーム結合部位又は転写終結因子を含み得るか、或いはHGFコーディング領域に融合された異種のコーディング領域、例えば分泌性シグナルペプチド又は異種機能性領域のような特化された要素或いはモチーフをコードすることができる。
【0024】
DNAの場合、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、一般的にポリペプチド-コーディング核酸断片と作動可能に連関しているプロモーター及び/又はその他の転写或いは翻訳調節要素を含む。前記作動可能な連関は、遺伝子生成物(例えば、ポリペプチド)をコードする核酸断片が遺伝子生成物の発現を調節配列の影響又は調節下に置くことができるように、少なくとも一つの調節配列と連関している場合である。
【0025】
本発明のDNAポリヌクレオチドは、円形の、又は線状化されたプラスミド或いはベクター、又はその他の線状DNAであり得、これらはまた、非-感染性であるか、非-統合性であり得る(即ち、脊椎動物細胞のゲノム内に統合されない)。線状化されたプラスミドは以前は円形であったが、例えば、制限エンドヌクレァーゼを利用した切断により線形化されたプラスミドである。本願において使用された用語のプラスミド及びベクターは、互換的に使用することができる。
【0026】
用語“凍結乾燥DNA”は高真空下の凍結状態において、急速冷凍及び脱水を通じて乾燥された形態に製造された任意のDNAを指す。“凍結乾燥化”又は“凍結乾燥”は、溶液を凍結及び乾燥させる工程を指す。凍結乾燥DNAは、しばしば滅菌蒸留水を添加することにより即時に使用することができるように製造される。
【0027】
“ベクター”は核酸を宿主細胞内にクローニング及び/又は伝達するための任意のビークル(vehicle)を指す。ベクターは付着したセグメントの複製を誘発させるために、別のDNAセグメントがそこに付着しているレプリコン(replicon)であり得る。“レプリコン”は生体内DNA複製の自律的なユニットとして機能する、即ち、自らの調節下で複製することができる任意の遺伝的要素(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を指す。用語“ベクター”は試験管内(in vivo)、生体外(ex vivo)又は生体内(in vivo)において前記核酸を細胞内に導入させるためのビークルを含む。当分野に公知にされた数多くのベクターは、核酸、統合反応要素(incorporate response element)及びプロモーターを遺伝子等内に操作するのに利用され得る。利用可能なベクターは、例えばpBR22又はpUCプラスミド誘導体のようなプラスミド又はブルースクリプト(Bluescript)ベクターを含む。例えば、適切なベクター内に反応要素及びプロモーターに相応するDNA断片を挿入することは、相補的な接合末端を有する選ばれたベクター内に適切なDNA断片を連結することにより行うことができる。これとは別に、DNA分子の末端は酵素的に発現され得るか、またはDNA末端内にヌクレオチド配列(リンカー)を連結することにより任意の部位が製造され得る。そのようなベクターは、細胞の選択を提供する選択可能なマーカー遺伝子を含むように操作され得る。そのようなマーカーは、前記マーカーによりコードされる蛋白質を発現する宿主細胞を確認及び/又は選択することができるようにする。
【0028】
付加的なベクターは、リポプレックス(lipoplex; カチオン性リポソーム-DNA複合体)、ポリプレックス(polyplex; カチオン性重合体-DNA複合体)及び蛋白質-DNA複合体を含む。核酸に加えて、ベクターは少なくとも一種の調節領域、及び/又は核酸伝達結果(ある組織への伝達、発現持続期間等)を選択、測定及び監視するのに有用な選択可能なマーカーをもまた含み得る。
【0029】
用語“プラスミド”は一般的に細胞の主なメカニズムの一部でない遺伝子を運搬し、普通、円形二本鎖DNA分子の形態で存在する染色体外要素を指す。そのような要素は、任意のソース(source)から由来した、自律的複製配列、遺伝子統合配列、ファージ又はヌクレオチド配列、線状、円形又は超螺旋形(supercoil)の単一又は二本鎖DNA又はRNAであり得、ここにおいて数多くのヌクレオチド配列が連結されるか、又は組換えられてプロモーター断片及び選ばれた遺伝子産物のためのDNA配列を適切な3’未翻訳配列とともに細胞内に導入可能な独特の構造体を形成する。本願において使用された用語“プラスミド”は、遺伝物質(即ち、核酸)で構成された構造体を指す。一般的に、プラスミドはバクテリア宿主細胞(例えば、大腸菌(Escherichia coli))で機能する複製の起源、およびプラスミドを含むバクテリア宿主細胞の検出用選択可能なマーカーを含む。
【0030】
本発明のプラスミドは、挿入されたコード配列が真核細胞内において転写され、翻訳され得るように整列された、本願において記述した遺伝要素を含むことが可能である。本願において記述した特定の実施様態において、プラスミドは閉鎖された円形DNA分子である。
【0031】
用語“発現”は、コード配列によりコードされた生成物の生物学的生産を指す。大部分の場合において、コード配列を含むDNA配列は、転写されてメッセンジャーRNA(mRNA)を形成する。引き続き、前記メッセンジャーRNAは翻訳されて関連の生物学的活性を有するポリペプチド生成物を形成する。また、発現過程は、RNA転写生成物に対する追加の加工段階(例えば、イントロンを取り除くためのスプライシング)、及び/又はポリペプチド生成物の翻訳-後加工を含み得る。
【0032】
用語“発現ベクター”は、宿主細胞内に形質転換された後に挿入された核酸配列を発現させることができるようにデザインされたベクター、プラスミド又はビークルを指す。クローニングされた遺伝子、即ち挿入された核酸配列(例えば、HGF遺伝子又はその変異体)は普通プロモーター、最小プロモーター、エンハンサー等のような調節要素の調節下に置かれる。目的とする宿主細胞内において、核酸の発現を推進するのに有用な開始調節領域又はプロモーターは多数であり、当分野の熟練者には判然としている。このような遺伝子の発現を推進することができる事実上任意のプロモーターも発現ベクターにおいて使用することができ、ウイルスプロモーター、バクテリアプロモーター、動物プロモーター、哺乳動物プロモーター、合成プロモーター、構成プロモーター、組織特異的プロモーター、発病又は疾病関連プロモーター、発達特異的プロモーター、誘導性プロモーター及び光調節プロモーター;SV40 早期(SV40)プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus; RSV)の3’長い末端反復(LTR)区域に含まれたプロモーター、アデノウイルス(Ad)のE1A又は主要後期プロモーター(major late promoter; MLP)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)中間早期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、バキュロウイルスIE1プロモーター、伸長因子1α(EF1)プロモーター、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチンC(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーター及び転写調節領域の調節配列、ユビキチンプロモーター(HPRT、ビメンチン、β-アクチン、チューブリン等)、中間フィラメントのプロモーター(デスミン、ニューロフィラメント、ケラチン、GFAP等)、治療学的遺伝子(MDR、CFTR又は要素VIII型等)のプロモーター、発病又は疾病関連プロモーター、組織特異性を示し、遺伝子導入動物において利用されてきたプロモーター(例えば、膵臓小核細胞で活性を示すエラスターゼI遺伝子調節領域)、膵臓β細胞において活性を示すインシュリン遺伝子調節領域、リンパ細胞で活性を示す免疫グロブリン遺伝子調節領域、睾丸、乳房、リンパ及び肥満細胞で活性を示すマウス乳癌ウイルス調節領域、アルブミン遺伝子、肝臓において活性を示すApo AI及びApo AII調節領域、肝で活性を示すα−フェト蛋白質遺伝子調節領域、肝で活性を示すα1-抗トリプシン遺伝子調節領域、骨髄細胞で活性を示すβ-グロビン遺伝子調節領域、脳の希突起膠細胞で活性を示すミエリン塩基性蛋白質遺伝子調節領域、骨格筋において活性を示すミオシン軽鎖-2遺伝子調節領域、及び視床下部で活性を示す生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域、ピルビン酸キナーゼプロモーター、ビリンプロモーター、脂肪酸結合腸蛋白質のプロモーター、平滑筋細胞β-アクチンのプロモーター等を含むが、これに限定されない。また、このような発現配列は、エンハンサー又は調節配列等を追加することにより変形することがある。本発明の発現ベクターの非制限的な例は、pCK(Lee et al., Biochem. Biophys. Res.Commun. 272:230 (2000);国際特許公開第WO2000/040737号)及びpCP(pCDNA3.1、インビトロージェン(Invitrogen)社, USA)を含む。
【0033】
本願において使用された“構造体”は一般的に自然には存在しない組成を示す。構造体は合成技術(例えば、組換えDNAの製造及び発現)、又は核酸或いはアミノ酸用化学的合成技術により製造され得る。また、構造体はその結果物が自然に存在しない形態になるようにした物質を別の物質に添加したり、又は結合させることにより製造することができる。
【0034】
“遺伝子”は、転写単独(例えば、生物活性RNA種)によって、又は転写及び翻訳(例えば、ポリペプチド)によって生産された機能性分子を含む、機能性分子をコードするヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指す。前記用語“遺伝子”は、cDNA及びゲノムDNA核酸を含む。また、“遺伝子”はコード配列の先行配列(5’非-コード配列)及び後行配列(3’非-コード配列)のような調節配列を含む、特定のRNA、蛋白質又はポリペプチドを発現する核酸断片を指す。“天然型遺伝子”は、それ自体の調節配列とともに自然において発見されたもののような遺伝子を指す。“キメラ遺伝子(chimeric gene)”は自然ではともに発見されない調節及び/又はコード配列を含む、天然型遺伝子でない任意の遺伝子を指す。したがって、キメラ遺伝子は別のソースから由来した調節配列及びコード配列、又は同一のソースから由来するものの自然において発見されたものとは異なる方式で配列された調節配列及びコード配列を含み得る。キメラ遺伝子は、別のソースから由来した配列及びコード配列及び/又は別のソースから由来した調節領域を含み得る。“内因性(Endogenous)遺伝子”は有機体のゲノムにおいて、その天然位置に存在する天然型遺伝子を指す。“外来”遺伝子または“異種”遺伝子は、宿主有機体において正常的に発見されはしないものの、遺伝子伝達によって宿主有機体内に導入された遺伝子を指す。外来遺伝子は、非-天然型有機体内に挿入された天然型遺伝子又はキメラ遺伝子を含み得る。“転移遺伝子”は遺伝子の伝達過程を通じて細胞内に導入される遺伝子である。
【0035】
“異種DNA”は細胞内、又は細胞の染色体部位内に正常的には位置しないDNAを指す。前記異種DNAは、細胞に異質的な遺伝子を含み得る。
【0036】
“分離された”又は“生物学的に純粋な”という表現は、天然状態において発見されたときに物質に正常に随伴する生物から実質的に又は必須的に由来した物質を指す。したがって、本発明による分離したペプチドは、好ましくはそれらの本来の環境においてペプチドと正常に連関した物質を含まない。
【0037】
凍結乾燥DNA製剤
本発明のDNA製剤は、凍結乾燥する以前に炭水化物及び塩を含む特定の賦形剤とともに製剤化される。
【0038】
本願において記述したように、診断剤又は治療剤として利用されるDNAの凍結乾燥製剤の安定性は、凍結乾燥前のDNAを安定化量の炭水化物を含む液状溶液を利用して製剤化させることにより増加し得る。
【0039】
本発明のDNA製剤の炭水化物は、単糖類、オリゴ糖又は多糖類、例えばスクロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、アラビノース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、プラクトース、グルコン酸、ソルビトール、マンニトール、メチルα-グルコフィラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、エリトロース、トレオース、アロース、アルトロース、グロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガソース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンノロン酸、クルコサミン、ガラクトサミン、ニューラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクトロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギナン、カラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルーラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、シクロデキストリン、プストラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、澱粉であり得る。
【0040】
一つの様態において、前記炭水化物はマンニトール又はスクロースである。
【0041】
凍結乾燥前の炭水化物溶液は、水単独のうち炭水化物の形態であり得、又はバッファが含まれることもある。前記バッファの例は、PBS、HEPES、TRIS又はTRIS/EDTAを含む。一般的に前記炭水化物溶液は、前記DNAと約0.05%乃至約30%のスクロース、一般的に0.1%乃至約15%のスクロース、例えば、0.2%乃至約5%、10%又は15%のスクロース、好ましくは約0.5%乃至約10%のスクロース、1%乃至5%のスクロース、1%乃至3%のスクロース、及び最も好ましくは約1.1%のスクロースとの最終濃度に配合される。
【0042】
本発明のDNA製剤の塩は、NaCl又はKClである。特定の様態において、前記塩はNaClである。追加の様態において、前記DNA製剤の塩は約0.001%乃至約10%、約0.1%乃至5%、約0.1%乃至約4%、約0.5%乃至2%、約0.8%乃至1.5%、及び約0.8%乃至1.2%(w/v)からなる群より選ばれた量である。特定の実施様態において、前記DNA製剤の塩は約0.9%(w/v)の量である。
【0043】
本発明のDNA製剤において、DNAの最終濃度は約1ng/mL乃至約30ng/mLのプラスミドである。例えば、本発明の製剤は約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約50ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、約1 μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約800μg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5 mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL又は約30mg/mLのプラスミドの最終濃度を有し得る。本発明の特定の実施様態において、前記DNAの最終濃度は約100μg/mL乃至約2.5mg/mLである。本発明の特定の実施様態において、前記DNAの最終濃度は、約0.5mg/mL乃至1mg/mLである。
【0044】
本発明のDNA製剤は、当業界に公知にされた標準の条件下で凍結乾燥される。本発明のDNA製剤の凍結乾燥方法は、(a)DNA製剤(例えば、プラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含むDNA製剤)が入っている容器(例えば、バイアル(vial))を凍結乾燥機内にロードさせる段階において、ここで前記凍結乾燥が約5℃乃至約-50℃の出発温度を有する段階;(b)前記DNA製剤を零下の温度(例えば、-10℃乃至-50℃)で冷却した段階、及び(c)前記DNA製剤を実質的に乾燥させる段階を含む。本発明のDNA製剤の凍結乾燥条件(例えば、温度及び期間)は、凍結乾燥変数(例えば、使用された凍結乾燥機の形態、使用されたDNAの量及び使用された容器の大きさ)に影響を及ぼす因子を考慮して、当業界の通常の熟練者により調節され得る。
【0045】
前記凍結乾燥DNA製剤が入っている容器は、封印された後、多様な温度(例えば、常温乃至約-180℃、好ましくは約2-8℃乃至約-80℃、より好ましくは約-20℃乃至約-80℃、及び最も好ましくは約-20℃)において延長された期間の間貯蔵され得る。特定の様態において前記凍結乾燥DNA製剤は、好ましくは約2-8℃乃至約-80℃の範囲で6ヶ月以上の期間、目立った活性の現象なしに安定している。また安定した貯蔵プラスミドDNA製剤は、研究又はプラスミド-基盤の治療用途に使用される前に長期間の間安定した形態で貯蔵されたプラスミドDNAと同じである。貯蔵期間は、数ヶ月、1年、5年、10年、15年又は20年以下であり得る。好ましくは、前記製剤は約3年以上の期間の間安定である。
【0046】
HGFプラスミドDNA
本発明は、凍結乾燥DNA製剤を提供し、その際に前記DNA製剤は凍結乾燥前にプラスミドDNAを含み、前記プラスミドDNAはHGF遺伝子又はその変異体を含む。
【0047】
肝細胞成長因子(HGF)は、分散因子(scatter factor)又はヘパトポイエチン-Aとしても知られたヘパリン結合糖蛋白質である。ヒトHGFをコードする内因性遺伝子は、染色体7q21.1に位置し、18個のエクソンと17個のイントロンを含み、配列番号:1のヌクレオチド配列を有する(Seki T., et al., Gene 102:213-219(1991))。約6kbの転写物がHGF遺伝子から転写され、これから728個のアミノ酸からなるポリペプチドHGF前駆体(配列番号:2)が合成される。同じように、723個のアミノ酸からなるdHGF前駆体のポリペプチドがHGF遺伝子の選択的スプライシングにより、やはり合成される。生物学的に不活性である前駆体は、血清内でプロテアーゼにより硫黄化結合されたヘテロダイマーの活性形態に転換され得る。前記ヘテロダイマーにおいて、高分子量を有するα鎖は、プラスミノーゲンの前活性化ぺプチド領域のように4個のクリングル(kringle)領域及びN-末端へアピンループ(hairpin loop)を形成する。約80個のアミノ酸からなる三重硫黄化結合されたループ構造のクリングル領域は、蛋白質-蛋白質の相互作用に重要な役割を果たすことができる。低分子量β鎖は、不活性セリン-プロテアーゼ製領域を形成する。723個のアミノ酸からなるdHGFは、α鎖の最初のクリングル領域において5個のアミノ酸(即ち、F、L、P、S及びS)が結実したポリペプチドである。
【0048】
中胚葉由来細胞から分泌されたHGFは、多様な生物学的機能、例えば、1)表皮細胞を管構造に誘導、2)試験管内及び生体内において内皮細胞から血管新生刺激、3)抗-細胞死滅活性に起因した肝及び腎臓の再生、4)腎臓、卵巣及び精巣の器官活性、5)骨形成調節、6)赤血球造血前駆細胞の成長及び分化促進、及び7)ニューロンの軸索突起発芽のような機能を有する(Stella, M.C. and Comoglio, P.M., TheInternational Journal of Biochemistry & Cell Biology 31:1357-1362(1999))。このような多様な機能に基づいてHGF又はHGFをコードする遺伝子、又はその変異体は、虚血性疾患又は肝疾患を治療するための治療剤として開発され得る。実際に、生体内においてHGFはHGF又はdHGFとして存在し得るため、HGF及びdHGFの同時発現は治療効果を極大化させるために重要である。遺伝子治療用としてHGF及びdHGFを高い活性で同時に発現することができるハイブリッドHGF遺伝子は、本発明のプラスミドDNA製剤において有利に使用することが可能なHGF変異体である。
【0049】
前記ハイブリッドHGF遺伝子は、国際特許出願公開第WO 03/078568号及び米国特許公開第2005/0079581A1号に記載されており、これらそれぞれの内容は、本願において参考に引用される。ハイブリッドHGF遺伝子は、HGF cDNA内のエクソン4及び5の間に本来又は外来イントロンを挿入することにより製造される。前記ハイブリッドHGF遺伝子はHGF cDNAよりも高い発現効率を有し、HGF及びdHGF(deleted variant HGF;結実変異HGF)の2種の異型を同時に発現させる。
【0050】
用語“HGFのアイソフォーム”は、すべての対立変異体を含み、動物において自然に生産されるHGFアミノ酸配列に80%以上同一の(例えば、90%又は95%以上同一の)アミノ酸配列を有する任意のHGFポリペプチドを指す。一実施様態において、前記用語は細胞増殖活性を有するものと知られたアイソフォームを指す。HGFのアイソフォームはf1HGF、dHGF、NK1、NK2及びNK4(例えば、配列番号:2乃至6に相応する)、及びこの変異体(例えば、NK2変異体、配列番号: 11及び12)を含むが、これに限定されない。
【0051】
用語“f1HGF”は動物、例えば哺乳動物の全長HGF蛋白質を指し、例えばヒトHGFのアミノ酸1-728(配列番号:2)である。
【0052】
用語“dHGF”は動物、例えば哺乳動物においてHGF遺伝子の選択的スプライシングにより製造されたHGF蛋白質の結実変異体を指し、例えば、全長HGF配列からα鎖の最初のクリングル領域において5個のアミノ酸(F、L、P、S及びS)が結実して723個のアミノ酸(配列番号:3)からなるヒトHGFである。
【0053】
用語“NK1”は動物、例えば哺乳動物、例えばヒト由来のN-末端ヘアピンループ及びクリングル領域からなるHGFのアイソフォームを指す。
【0054】
用語“NK2”は動物、例えば哺乳動物、例えばヒト由来のN-末端ヘアピンループ及びクリングル1並びにクリングル2領域からなるHGFのアイソフォームを指す。
【0055】
用語“NK4”は動物、例えば哺乳動物、例えばヒト由来のN-末端ヘアピンループ及びクリングル1、クリングル2、クリングル3及びクリングル4領域からなるHGFのアイソフォームを指す。
【0056】
HGFの構造及び機能は広範囲に研究されて来ており、当業界の熟練者は、蛋白質のほとんど全ての生物学的活性を維持するのに重要であり、HGFの任意の配列変異体において好ましくは変更されないか、又は相補的にのみ変更されるHGF配列におけるアミノ酸を認識している。例えば、それぞれが本願の全体として参考に引用された文献(Hartmann et al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA 89:11574 (1992); Lokker et al., EMBO J. 11:2503(1992); Zhou et al., Structure 6:109 (1998); Ultsch et al.,Structure 6:1383 (1998); Shimizu et al., Biochem. Biophys.Res. Commun. 189:1329 (1992);及びYoshiyamaet al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 175:660(1991))を参考にして頂きたい。例えば、N-末端ヘアピンループ及びクリングル1領域は細胞増殖活性のために必要である。生物学的活性に重要でないその他のアミノ酸は、さらに自由に結実及び/又は置換され得る。当業界の熟練者は、前記で引用された文献に記載されているような普遍的な突然変異誘発技術を利用してHGFアイソフォームの変異体を製造することができ、HGFアイソフォームのほとんど全ての生物学的活性を維持する変異体を確認することができる。
【0057】
本来のイントロンを含む、本発明におけるハイブリッドHGF遺伝子の一つの実施様態は、7,113bpの長さであり配列番号:7のヌクレオチド配列を有するものである。
【0058】
ハイブリッドHGF遺伝子は、HGF cDNAのエクソン4及び5の間に、任意に小さい組換え配列が挿入されている本来のイントロン断片を含み得る。ここで、前記本来のイントロン断片を含むハイブリッドHGF遺伝子を“HGF-X”と命名した。ハイブリッドHGF遺伝子の例は、HGF-X2(配列番号:13)、HGF-X3(配列番号:14)、HGF-X6(配列番号:8)、HGF-X7(配列番号:9)、及びHGF-X8(配列番号:10)を含む。
【0059】
投与及び治療方法
上記において記載されているとおり、HGFは多様な生物学的活性を有し、このような多様な機能に基づいてHGF、HGFをコードする遺伝子、又はその変異体は、虚血性疾患或いは肝疾患を治療するための治療剤として開発され得る。本発明において、HGFのDNA製剤は凍結乾燥DNA製剤を再構成した後に投与される。
【0060】
用語“再構成された”又は“再構成”は、保存及び貯蔵のために以前に変形された物質を、例えば再水和(rehydration)によって元来の形態に復旧させることを指すのであって、例えば以前に乾燥及び貯蔵されたDNAプラスミド製剤を液体の状態で復旧させるものである。本発明の凍結乾燥組成物は、投与に適当な、安定して単一で分散した溶液を生産する任意の水溶液において再構成され得る。そのような水溶液は滅菌水、TE、PBS、トリス緩衝液又は生理食塩水を含むが、これに制限されない。
【0061】
本発明の方法において再構成された凍結乾燥DNAの濃度は、伝達される製剤の量、対象の年齢及び体重、伝達方法及び経路、並びに伝達される抗原の免疫原性含む数多くの因子に基づいて調整される。
【0062】
本発明の再構成された凍結乾燥DNA製剤は、経口、又は静脈内、筋肉内、心臓内、心筋内、心膜内、心室内、関節内、血液内、脳内、腎臓内、肝臓内、脾臓内、リンパ内、皮下、腹内、睾丸内、卵巣内、子宮内、胸内、気管内、胸膜内、胸内、硬脳膜内、脊椎内、脊髄内、壁内、絨毛膜内、及び動脈注射又は注入(infusion)のような非経口経路を通じて、或いは直腸、鼻腔、吸入又は眼球内投与を通じて局部的に投与され得る。本発明の特定の実施様態において、伝達方法は筋肉内、静脈内、心室内、脳内又は腎臓内である。
【0063】
本発明の再構成された凍結乾燥DNA製剤の一般的な一日の服用量は、治療される疾患、選ばれた投与経路、個別の患者の年齢、性別及び体重、患者の症状の深刻度を含む多様な関連要素に照らして決定されるべきであることを認めなければならず、単一容量又は分割された容量で投与され得る。したがって、一日の服用量はどのような方式であろうと本発明の範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【0064】
本願において使用された用語として、虚血性疾患又は肝疾患の“治療する”或いは“治療”は、虚血性疾患又は肝疾患の少なくとも一つの症状を緩和させるか、又は虚血性疾患或いは肝疾患の進行を予防するのに十分な量で要素、例えばHGF(例えば、ハイブリッドHGF)又はその変異体を対象に投与することを指す。
【0065】
“虚血性疾患”は、動脈血の流入障害(痙攣又は疾患により動脈が狭くなるのに伴う障害)によって身体部位に(例えば、心臓又は脳)に血液の供給が欠乏することと関連した疾患を指す。虚血性疾患の例は、冠状動脈疾患(CAD)及び末梢動脈疾患(PAD)を含む。
【0066】
用語“肝疾患”は肝が不適切に機能するようにしたり、又は機能を中断させてしまう数多くの疾病或いは疾患に適用される。HGFは肝細胞の増殖を促進させる重要な物質であって、肝再生の間、形質転換生長因子-α及びヘパリン-結合上皮成長因子と協力して作用する。またHGFは、劇症肝炎の動物モデルにおいて抗-細胞死滅効果を通じて肝障害を改善させ、肝硬変症(liver cirrhosis)動物において肝線維症を弱化させる。したがって、HGFは肝再生を誘導するだけでなく、扱い難い肝疾患の患者に対して疾病の進行を抑制し、肝線維症を改善するものと思われる。肝疾患の治療と関連して、本発明の再構成された凍結乾燥DNA製剤は上記で言及したように、伝達方法に応じて投与され得る。特定の実施様態において、肝疾患の治療における伝達方法は静脈内、動脈内又は肝内投与であり得る。
【0067】
本発明の特定の様態において、再構成されたHGFのDNA製剤は少なくとも2個のHGFアイソフォームを含む。前記HGFアイソフォームは予め別途に凍結乾燥するか、又は同一のDNA製剤内において凍結乾燥することができる。このような凍結乾燥アイソフォームは、再構成後に分離して、又は同時に(例えば、同時投与)投与することができるが、HGFの少なくとも二つのアイソフォームを含む分離されて再構成されたプラスミドDNA製剤が投与又は同時投与されるか、或いはHGFの少なくとも二つのアイソフォームに対する遺伝子を含み、HGFの少なくとも二つのアイソフォームに対する遺伝子を発現することができる単一発現プラスミドが投与され得る。例えば、二つのアイソフォームであるf1HGF及びdHGFは二種類の分離されたプラスミドを利用して投与され得る。これとは異なり、f1HGF及びdHGFに対する遺伝子を含む前記二種類の分離されたプラスミドが同時投与に使用され得る。最後にf1HGF及びdHGFの両方に対する遺伝子を含む単一発現プラスミドが投与され得る。本発明の特定の様態において、単一発現プラスミド上のf1HGF及びdHGFは、同一のポリヌクレオチド又は別途のポリヌクレオチドによりコードされる。
【0068】
単一プラスミド上にHGFアイソフォームを発現することができる、少なくとも一つのポリヌクレオチドを含めるためには数多くの接近法がある。これらは、例えば内部リボソーム進入部位(Internal Ribosome Entry Site; IRES)配列、二重プロモーター(dual promoter)/発現カセット(cassette)及び融合蛋白質を含む。上記において議論したように、同一のプラスミド又は二つの異なるプラスミドから発現した少なくとも二種類のアイソフォームは、flHGF、dHGF、NK1、NK2及びNK4からなる群より選ばれるか、又は配列番号:2乃至6からなる群より選ばれる。また、前記少なくとも二種類のアイソフォームは、当分野の熟練者に公知にされた付加的なHGFアイソフォームを含み得る。
【0069】
本発明の特定の様態において、プラスミドDNAは直接細胞内注射を通じて、より好ましくは注射器又はカテーテル(catheter)を用いることにより投与される。カテーテルは組換え遺伝子を生体内に導入するために使用されてきた(参考、例えばE.G. Nabel, et al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA 89, 5157 (1992); E.G. Nabel, et al., Science 249,1285 (1990) ; E.G. Nabel, et al., Science 244, 1342 (1989) ; E.G.Nabel, et al., J. Clin. Invest. 91, 1822 (1993); G..Plautz, et al., Circ. 83,578 (1991); 及び E.G. Nabel, et al., Nature(1993))。カテーテルを用いると、注射器を使用することでは接近し難い細胞内にプラスミドDNAを伝達することができる。
【0070】
前記プラスミドDNAは、動脈内又は静脈内注射を通じて、より好ましくは注射器又はカテーテルを用いることにより投与することができる。例えば、大腿動脈(femoral artery)はプラスミドDNAを心臓に伝達するのに使用され得、門脈(portal vein)はプラスミドDNAを肝臓に伝達するのに使用され得る。
【0071】
本発明のプラスミドDNAの投与は、生体内遺伝子の後続伝達を最適化するために、元の位置(in situ)において標的細胞への遺伝子の伝達を通じて行われる。
【0072】
本発明の実施は、別途に言及しない限り当業界の技術内にある細胞生物学、細胞培養、分子生物学(PCRを含む)、ワクチン学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の一般的な技術を利用することになる。このような技術は、例えば文献(Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed., Sambrook et al., ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press:(1989); DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985); OligonucleotideSynthesis (M. J. Gait ed., 1984); Mullis et al. U.S. Pat. No: 4,683,195; Nucleic AcidHybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); TranscriptionAnd Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Culture OfAnimal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); ImmobilizedCells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide ToMolecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology(Academic Press, Inc., N.Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); MethodsIn Enzymology, Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.), ImmunochemicalMethods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., AcademicPress, London, 1987); and in Ausubel et al., Current Protocols in MolecularBiology, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989))に詳しく説明されている。この文段で引用されたそれぞれの文献は、参考に全体として本願に統合される。
【0073】
下記実施例は、本発明を例示するためのものであるだけであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0074】
実施例1:プラスミドの製造
肝細胞成長因子(HGF)蛋白質の発現用として考案されたプラスミドpCK-HGF-X7(WO 03/078568)を本実験で使用した。
【0075】
大腸菌(TOP10、インビトロージェン(Invitrogen)社, USA)をpCK-HGF-X7に形質転換させた後、単一コロニーを分離した。分離されたコロニーを30 μg/mLのカナマイシンを含有するLB培地で培養した。プラスミドDNAをエンドフリープラスミドギガキット(EndoFree plasmid Giga kit(キアゲン(Qiagen)社、USA))を利用して精製し、0.9%の NaClを含有する食塩水中に最終DNA濃度1.0乃至2.0 mg/mLに再懸濁した。
【0076】
実施例2:凍結乾燥
pCK-HGF-X7製剤はスクロース(0.25%、1.1%、5%、10%又は20%(w/v))、或いはマンニトール(1.2%、4.85%又は10%(w/v))とともに0.9%のNaClを含有する食塩水中に最終DNA濃度0.5 mg/mL又は1 mg/mLに製造された。下記の表1A及び1Bは、それぞれスクロース及びマンニトールの比率、及び試験に使用されたpCK-HGF-X7製剤に対する炭水化物/DNA(w/w)の比率を示したものである。
【0077】
【表1A】

【0078】
【表1B】

【0079】
前記懸濁されたプラスミドDNAをプロダクションマスター(Production-Master)凍結乾燥機(C&H 冷却&加熱システム(Cooling & Heating Systems)、大韓民国)で凍結乾燥させた。温度を100mTorrにおいて-50℃で4時間冷却した。 引き続き、温度を 28〜29mTorrにおいて-40℃で12時間、-30℃で6時間、-20℃で6時間、-10℃で6時間、0℃で6時間、10℃で6時間及び30℃で24時間、漸進的に上昇させた。凍結乾燥プラスミドDNAは-20℃で分析前まで維持した。
【0080】
また、前記懸濁されたプラスミドDNAをプロダクションマスター凍結乾燥機(C&H 冷却&加熱システム、大韓民国)で凍結乾燥させた。温度を100mTorrにおいて-5℃で1分及び-50℃で2時間冷却した。引き続き、温度を28〜29mTorrにおいて-40℃で6時間、-35℃で3時間、-30℃で6時間、-25℃で3時間、-20℃で3時間、-15℃で3時間、-10℃で6時間、-5℃で3時間、0℃で6時間、及び30℃で17時間、漸進的に上昇させた。凍結乾燥プラスミドDNAは、-20℃で分析前まで維持した。
【0081】
さらに、前記懸濁されたプラスミドDNAをプロダクションマスター凍結乾燥機(C&H 冷却&加熱システム、大韓民国)で凍結乾燥させた。温度を150mTorrにおいて5℃で1分及び-10℃で1分、-20℃で1分、-30℃で1分及び-50℃で1分間冷却した。温度を150mTorrにおいて-50℃でさらに2時間維持した。引き続き、温度を30mTorrにおいて-45℃で6時間、-40℃で3時間、-35℃で6時間、-30℃で3時間、-25℃で6時間、-20℃で3時間、-15℃で6時間、-10℃で3時間、-5℃で6時間、0℃で12時間、10℃で3時間、20℃で6時間、及び30℃で29時間、漸進的に上昇させた。凍結乾燥プラスミドDNAは、-20℃で分析前まで維持した。
【0082】
上記において製造された凍結乾燥製剤は、下記の実施例3に記述された方法により試験管内の遺伝子発現効率を分析した。製造された製剤の試験管内の分析結果は同一であった。
【0083】
実施例3:プラスミドDNAの試験管内の遺伝子発現効率に対する凍結乾燥効果
1. 物質及び方法
プラスミドDNAの遺伝子発現効率に対する凍結乾燥効果を分析するために、凍結乾燥プラスミドDNAを293T細胞に形質転換させ、HGF発現の水準を測定した。また、対照群としては非-凍結乾燥プラスミドDNAを形質転換させた。
【0084】
(前記の実施例1に記載された)多様な製剤中において、pCK-HGF-X7の4種類の微生物をFuGENE6(ロシュ診断(Roche Diagnostics、ドイツ)(n=5))を利用して1×106 293T細胞を形質転換させた。形質転換以前に、1 mgの凍結乾燥プラスミドDNAは最終濃度0.5 mg/mLで注入するために2 mlの水を用いて再構成した。
【0085】
形質転換の2日後に培養上澄液を得、ヒトHGF ELISAキット(R&Dシステムズ,MN, USA)を利用して、製造者の勧告によりHGF発現を分析した。ELISAの結果は、SPSSプログラム(バージョン13.0,SPSS社(SPSS Inc.), USA)を利用してダネット多重比較検定法により統計学的に分析した。
【0086】
2.結果及び考察
HGF遺伝子発現の結果を図1に示した。以前に報告されたものとは対照的に、凍結乾燥はプラスミドDNAの試験管内遺伝子の発現効率性に影響を及ぼさなかった。多様な製剤中において、1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7のHGF水準は、非-凍結乾燥pCK-HGF-X7の水準に比して相当高かった(p=0.001)(図1)。
【0087】
このような結果は、1.1%のスクロース及び0.9%のNaClを含有する凍結乾燥製剤が非-凍結乾燥製剤に比してpCK-HGF-X7にさらに適合であることを示す。
【0088】
実施例4:非-凍結乾燥及び凍結乾燥pCK-HGF-X7の生体内遺伝子の発現比較分析
1. 物質及び方法
各群当り13匹の5週齢のBALB/cマウス(オス,チャールスリバー(Charles River))を得て食物と水を自由に提供した。前記マウスは実験に使用される前7日間、休息を取るようにした。
【0089】
マウスに0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7(NL-HGF-X7)、又は1.1%のスクロース及び0.9%のNaClにより凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7)100 μgを脛骨筋(tibialis cranialis)を通じて注射し、注射後7日目に犠牲にした。注射前に、凍結乾燥プラスミドDNAを水を利用して最終濃度0.5 mg/mLに再構成した。HGF蛋白質発現の水準を測定するために注射された筋肉を搾出し、筋組織を500μLの細胞溶解緩衝液(50 mMのNaCl, 0.2%のナトリウムドデシルサルフェート、0.5%のナトリウムデオキシコルレート、2%のIGEPAL CA-630、25 mMのトリス-HCl、pH 7.4、1 mMのフェニルメチルスルフォニルクロライド)を利用して16時間の間、4℃で溶解した。溶解物を12,000rpmで5分間遠心分離し、上澄液を集めてヒトHGF ELISAキット(R&Dシステム)を利用してHGF発現を分析した。
【0090】
ELISAの結果をSPSSプログラム(バージョン13.0)を用いてアノーバ及びターキー検定法で統計学的に分析した。
【0091】
2.結果及び考察
1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7)を投与した動物において、平均246 ng/mLのHGF蛋白質が生産されたのに対し、非-凍結乾燥pCK-HGF-X7を投与した動物においては、76 ng/mLのHGFが発現した(図2)。このような結果は、1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7が非-凍結乾燥pCK-HGF-X7に比してさらに効果的にHGF蛋白質を発現することが可能であることを示す(p<0.001)。
【0092】
実施例5:非-凍結乾燥及び凍結乾燥pCK-HGF-X7のブタ虚血性心臓疾患モデルに対する治療学的効果の比較分析
1. 物質及び方法
(1)動物
11匹のヨークシャブタ(Yorkshire pig、オス、28乃至30 kg、ソウル大学病院臨床研究センター)を得て一日に2回ずつ食物を提供し、水を自由に提供した。前記ブタは実験に適用される前7日間、休息を取るようにした。全般的な実験計画を図3に示した。
【0093】
(2)ブタ虚血性心臓疾患モデルの設定
シラジン(2 mg/kg)、ケタミン(20 mg/kg)及びアトロピン(0.05 mg/kg)を各ブタに筋肉内注射をした。20分後に、22ゲージのメディカットシース(22-gauge Medicut sheath)を大腿部動脈(femoral aratery)の表面内に挿入して持続的に血圧検査を行った。チオペンタールナトリウム(10 mg/kg)を静脈内に注射し、口腔を通じて気管内挿管術(endotrachealintubation)を行った。エンフルラン(enflurane)を吸入させ、麻酔を維持させた。手術の間、陽圧換気及び30%〜40%の少量の酸素を維持させた。心電図、酸素状態及び動脈血圧を持続的に検査した。
【0094】
引き続き、左側開胸術(thoracotomy)を行った。左前下行枝冠状動脈(left anterior descending coronary artery;LAD)を破って心臓膜を開封した後に、2%のリドカイン(1 mg/kg)を静脈内に注射し、可能な限り多くの第2対角枝(diagonal branch)を残してLADの下部1/3地点を3分間結紮した。小さい欠片のネラトン(Nelaton (4 Fr))で縫合、支持された5-0 ポリプロピレンを利用して5分間再灌流(虚血・事前条件化)を行った。このような単一の虚血・事前条件化の後に下部LADを結紮し、検査された心電図に対するST-セグメントの低下又は上昇を確認した。結紮15分後にリドカイン(1 mg/kg)をさらに静脈注射し、心臓膜及び開胸術の部位を閉じた。気管内チューブを取り除いて十分な自生呼吸が戻った後に、壁吸引(wall suction)に連結された単一の28 Fr胸チューブを即時に取り除いた。
【0095】
全ての研究計画書(protocol)は、ソウル大学校実験動物運営委員会により承認された。
【0096】
(3)プラスミドの心臓内注射
冠状動脈の結紮後28日目に、再開胸術を施した。27ゲージのインシュリン注射針を用いて、総服用量1 mgの1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7(L-HGF-X7、n=3)、又は0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK-HGF-X7(NL-HGF-X7、n=4)を第2対角枝コースにしたがって線維梗塞領域及び極めて正常な心筋の間に置かれている前外側虚血性境界域(anterolateral ischemic border zone)に注射した。総5ヶ所の部位に注射された。それぞれの部位は0.2 mgのプラスミドDNAにより注射され、注射部位間の間隔は1.5 cmであった。注射前に、凍結乾燥プラスミドDNAを水を用いて最終濃度1 mg/mLに再構成した。対照群には、0.9%のNaClを含有する非-凍結乾燥pCK(n=4)の好ましい量を前外側虚血性境界域に注射した。注射の地点は金属リングを用いて縫合タグで表示しておいた。
【0097】
(4)心臓の単一光子放出電算撮影術
心臓梗塞の手術的誘導後26日目に、プラスミド注射前に、99mTc- MIBIゲート単一光子放出電算撮影術(single photon emission computedtomography; SPECT)(Vertex EPIC, ADAC Labs, CA., USA)を行って基準を設定した。28日後(心臓梗塞の誘導後、54日目)にゲートSPECTを繰り返した。
【0098】
20-セグメントモデルをセグメント分析に利用するように選択した。心底部に相応する6個のセグメントは横膜の弱化又は心臓部位の一部の人工要素により簡単に影響を受けることがあり、また心底部が下部冠状結紮及びプラスミドの注射部位から遠く離れて位置しているため、分析において排除された。
【0099】
心電図ゲーティング法(electrocardiography gating)を通じて設定されたSPECTイメージを自動測定プログラム(AutoQUANT, ADAC Labs, CA., USA)で分析し、任意の関連技術者の操作により可能なバイアス(bias)は取り除かれたものと見なした。
【0100】
セグメント灌流の量は、99mTc-MIBI 吸収を測定して定量化し、最大吸収比率として計算した。測定されたセグメント灌流が70%未満であったとき、低灌流(underperfused)セグメントとして定義を下し、プラスミド伝達の標的として使用した。冠状結紮後にもよく灌流されて残っているセグメントは治療学的血管形成(angiogenesis)に有利でないために、やはり排除した。収縮期段階における壁肥厚化(wall-thickening)ゲートイメージに対する末端拡張期の壁厚の割合として示した。
【0101】
(5)統計
割合の向上として示されたデータを基準と比較した。全てのデータはSPSS(バージョン13.0)を利用して分析した。心臓灌流及びセグメントの壁肥厚化に対する統計学的分析は、対応標本t-検定法(paired-samples Student t-test)を通じて行われた。
【0102】
2.結果
各処理群内において、プラスミドDNAの注入前後に伴うセグメント灌流の変化を比較した。LAD結紮後、26日目に測定されたセグメント灌流の平均基準値は、pCK、NL-HGF-X7及びL-HGF-X7処理群がそれぞれ39.0±14.6%、43.4±13.4%並びに36.9± 16.3%であった。54日目に行われた99mTc-MIBIゲートSPECTは、pCK及びNL-HGF-X7群のセグメント灌流の平均値がそれぞれ37.8±13.9%及び44.0± 14.5%と示され、これは26日目に測定された基準値と相当異なっていることが分かる(pCKのp=0.320及びNL-HGF-X7のp=0.721)。対照的に、L-HGF-X7実験群のセグメント灌流の平均値は41.2± 17.6%であって、基準値(p= 0.003)と比較して相当な増加を示した。基準値からセグメント灌流の増加率の程度を群同士で比較したところ、L-HGF-X7処理群におけるセグメント灌流の増加率はpCK処理群(p=0.003)と比較して14.74%高いのに対し、NL-HGF-X7処理群はpCK処理群(p=0.254)と大して差を示さなかった(図4)。
【0103】
また、各実験群において、DNA投与前後のセグメントの壁肥厚化の変化を比較した。26日目に、セグメントの壁肥厚化の平均値はpCK、NL-HGF-X7及びL-HGF-X7処理群がそれぞれ24.7±16.5%、33.4±15.9%及び16.5±15.9%であり、各群との明らかな差は示されなかった(p=NS)。54日目にセグメントの壁肥厚化の平均値はpCK、NL-HGF-X7及びL-HGF-X7処理群がそれぞれ27.9±18.4%、43.1±11.8%及び30.2±10.7%であった。基準値からセグメントの壁肥厚化に対する増加率の程度を処理群同士で比較したところ、L-HGF-X7処理群における増加率は83.54%であって、NL-HGF-X7(28.99%)と比較した場合相当高かった(図5)。
【0104】
このような結果は、凍結乾燥製剤(L-HGF-X7)の心臓内投与が非-凍結乾燥製剤(NL-HGF-X7)と比較して左心室の注射された虚血性境界領域における地域的な血流及び壁肥厚化を効率的に増加させることが可能であることを示す。これは、理論により連結されるのではなく、発現したHGF-X7の血管形成及び抗線維化活性のためであるものと思われる。
【0105】
3. 要約
セグメント灌流及び壁肥厚化は、非-凍結乾燥pCK及びpCK-HGF-X7処理群と比較して凍結乾燥pCK-HGF-X7処理群において相当増加した。
【0106】
このような結果は、1.1%のスクロース及び0.9%のNaClとともに凍結乾燥したpCK-HGF-X7のブタ心臓内への投与が、非-凍結乾燥pCK-HGF-X7と比較して虚血性心筋における地域的灌流及び壁肥厚化を効率的かつ安全な影響を及ぼし得ることを立証する。
【0107】
本発明は前記特定の実施様態と関連付けて説明されたが、添付の請求の範囲により定義される発明の範疇内において、当該分野の熟練者は本発明を多様に変形、及び変化させることが可能であることを認識しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含むDNA製剤。
【請求項2】
前記炭水化物がスクロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、アラビノース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、プラクトース、グルコン酸、ソルビトール、マンニトール、メチルα-グルコフィラノシド、マルトース、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、エリトロース、トレオース、アロース、アルトロース、グロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガソース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンノロン酸、クルコサミン、ガラクトサミン、ニューラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクトロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギナン、カラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルーラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、プストラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム及び澱粉からなる群より選ばれる単糖類、オリゴ糖類又は多糖類である請求項2に記載のDNA製剤。
【請求項3】
前記炭水化物が約0.05%乃至約30%、約0.1%乃至約15%、約0.2%乃至約10%、約0.5%乃至5%、約0.75%乃至3%、約0.8%乃至2%及び約0.8%乃至1.5%からなる群より選ばれる量で存在する請求項1又は請求項2に記載のDNA製剤。
【請求項4】
前記炭水化物が約0.1%乃至約10%の量で存在する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項5】
前記炭水化物が約1.1%の量で存在する請求項3又は請求項4に記載のDNA製剤。
【請求項6】
前記炭水化物がスクロース及びマンニトールからなる群より選ばれる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項7】
前記塩がNaCl及びKClからなる群より選ばれる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項8】
前記塩が約0.01%乃至10%、約0.1%乃至5%、約0.5%乃至2%、約0.8%乃至1.5%、約0.8%乃至1.2%からなる群より選ばれる量で存在する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項9】
前記DNA製剤の前記塩が約0.9%の量で存在する請求項8に記載のDNA製剤。
【請求項10】
前記HGF遺伝子又はその変異体がflHGF、dHGF、NK1、NK2及びNK4からなる群より選ばれる請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項11】
前記プラスミドDNAがハイブリッド(hybrid)HGF遺伝子を含む請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項12】
前記ハイブリッドHGF遺伝子がHGF-X2、HGF-X3、HGF-X6、HGF-X7及びHGF-X8からなる群より選ばれる請求項11に記載のDNA製剤。
【請求項13】
前記プラスミドDNAがpCK-HGF-X2、pCK-HGF-X3、pCK-HGF-X6、pCK-HGF-X7、pCK-HGF-X8、pCP-HGF-X2、pCP-HGF-X3、pCP-HGF-X6、pCP-HGF-X7及びpCP-HGF-X8からなる群より選ばれる請求項12に記載のDNA製剤。
【請求項14】
前記DNAが約1ng/mL乃至約30mg/mLの濃度で存在する請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項15】
前記DNAが約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約50ng/mL、約100ng/mL、約500ng/mL、約1 μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約800μg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5 mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL又は約30mg/mLのプラスミドの濃度で存在する請求項14に記載のDNA製剤。
【請求項16】
前記DNAが約0.1mg/mL乃至約2.5mg/mLの濃度で存在する請求項14に記載のDNA製剤。
【請求項17】
前記DNA製剤が凍結乾燥したものである請求項1乃至請求項16のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項18】
前記DNA製剤の凍結乾燥が、(a)前記DNA製剤が入っている容器(container)を凍結乾燥機に入れる段階、(b)前記DNA製剤を零下の温度で冷却させる段階、及び(c)前記DNA製剤を乾燥させる段階を含む請求項17に記載のDNA製剤。
【請求項19】
前記凍結乾燥が、(a)約-50℃以上乃至約0℃未満の温度で約30 時間乃至約50時間、及び(b)約0℃以上乃至約30℃以下の温度で約20乃至約50時間を含む条件下で漸進的に行われ、この際(a)の最低温度は約-50℃乃至約-40℃であり、(b)の最高温度は約20℃乃至約30℃である請求項17又は請求項18に記載のDNA製剤。
【請求項20】
前記DNA製剤が薬学的に許容可能な緩衝液内に再構成された請求項17乃至請求項19のいずれかに記載のDNA製剤。
【請求項21】
前記薬学的に許容可能な緩衝液が水、PBS、TE、トリス緩衝液及び生理食塩水からなる群より選ばれる請求項20に記載のDNA製剤。
【請求項22】
凍結乾燥DNA製剤から再構成された組成物を投与することを含む、対象内において虚血性疾患又は肝疾患を治療又は予防する方法であって、この際、前記凍結乾燥DNA製剤がプラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含む方法。
【請求項23】
前記炭水化物がスクロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、アラビノース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、プラクトース、グルコン酸、ソルビトール、マンニトール、メチルα-グルコフィラノシド、マルトース、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、アラビノース、アロース、アルトロース、グロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガソース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンノロン酸、クルコサミン、ガラクトサミン、ニューラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクトロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギナン、カラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルーラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、プストラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム及び澱粉からなる群より選ばれる単糖類、オリゴ糖類又は多糖類である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記炭水化物が約0.05%乃至約30%、約0.1%乃至約15%、約0.2%乃至約10%、約0.5%乃至5%、約0.75%乃至3%、約0.8%乃至2%及び約0.8%乃至1.5%からなる群より選ばれた量で存在する請求項22又は請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記炭水化物が約0.1%乃至約10%の量で存在する請求項22乃至請求項24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記炭水化物が約1.1%の量で存在する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記炭水化物がスクロース及びマンニトールからなる群より選ばれる請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記塩がNaCl及びKClからなる群より選ばれる請求項22乃至請求項27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記塩が約0.01%乃至10%、約0.1%乃至5%、約0.1%乃至4%、約0.5%乃至2%、約0.8%乃至1.5%及び約0.8%乃至1.2%からなる群より選ばれる量で存在する請求項22乃至請求項28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記DNA製剤の前記塩が約0.9%の量で存在する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記HGF遺伝子又はその変異体がflHGF、dHGF、NK1及びNK2からなる群より選ばれる請求項22乃至請求項30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記プラスミドDNAがハイブリッドHGF遺伝子を含む請求項22乃至請求項30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記ハイブリッドHGF遺伝子がHGF-X2、HGF-X3、HGF-X6、HGF-X7及びHGF-X8からなる群より選ばれる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記プラスミドDNAがpCK-HGF-X2、pCK-HGF-X3、pCK-HGF-X6、pCK-HGF-X7、pCK-HGF-X8、pCP-HGF-X2、pCP-HGF-X3、pCP-HGF-X6、pCP-HGF-X7及びpCP-HGF-X8からなる群より選ばれる請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記DNAが約1ng/mL乃至約30ng/mLの濃度で存在する請求項22乃至請求項34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記DNAが約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約50ng/mL、約100ng/mL、約250ng/mL、約500ng/mL、約1 μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約800μg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5 mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL又は約30mg/mLのプラスミドの濃度で存在する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記DNAが約0.1mg/mL乃至約2.5mg/mLの濃度で存在する請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記凍結乾燥DNA製剤が薬学的に許容可能な緩衝液内に再構成される請求項22乃至請求項37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記薬学的に許容可能な緩衝液が水、PBS、TE、トリス緩衝液及び生理食塩水からなる群より選ばれる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記再構成された組成物が、直接注入により投与される請求項22乃至請求項39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
プラスミドDNA、塩及び炭水化物を含み、この際前記プラスミドDNAがHGF遺伝子又はその変異体を含むDNA製剤を製造する段階、及び前記DNA製剤を凍結乾燥して凍結乾燥DNA製剤を製造する段階を含む、凍結乾燥DNA製剤を製造する方法。
【請求項42】
前記DNA製剤の凍結乾燥が、(a)前記DNA製剤が入っている容器を凍結乾燥機に入れる段階、(b)前記DNA製剤を零下の温度に冷却する段階、及び(c)前記DNA製剤を乾燥させる段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記DNA製剤が、(a)約-50℃以上乃至約0℃未満の温度で約30 時間乃至約50時間、及び(b)約0℃以上乃至約30℃以下の温度で約20時間乃至約50時間を含む条件下において漸進的に凍結乾燥され、この際(a)の最低温度は約-50℃乃至約-40℃であり、(b)の最高温度は約20℃乃至約30℃である請求項41又は請求項42に記載の方法。
【請求項44】
請求項41乃至請求項43のいずれかによる凍結乾燥DNA製剤。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−516545(P2011−516545A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503909(P2011−503909)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001831
【国際公開番号】WO2009/125986
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(507348377)ビロメッド カンパニー, リミテッド (6)
【Fターム(参考)】