プラズマディスプレイの表示方法
【課題】
プラズマディスプレイにおいて、2ライン同時スキャン方式、フレーム変調方式、さらにディザ方式を併用した場合に特定の表示データを表示すると、本来と異なる色付きの表示となり画質低下を招く。
【解決手段】
同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の点灯パターンが特定パターンである場合に、サブフィールド対の双方の点灯パターンを所定の点灯パターンに変換し、ディザ方式と前記フレーム変調方式とを適用して表示する。
プラズマディスプレイにおいて、2ライン同時スキャン方式、フレーム変調方式、さらにディザ方式を併用した場合に特定の表示データを表示すると、本来と異なる色付きの表示となり画質低下を招く。
【解決手段】
同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の点灯パターンが特定パターンである場合に、サブフィールド対の双方の点灯パターンを所定の点灯パターンに変換し、ディザ方式と前記フレーム変調方式とを適用して表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド(以下SFと称す)方式を用いたプラズマディスプレイの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは発光と非発光の中間の階調表現を行うことが難しい。このため図1のように、1フィールドの画像を発光輝度の異なる複数のSFの組合せで画像を表示するSF方式(フレーム時分割表示方法とも言う)が用いられる。
【0003】
同図において各SFは、各電極の壁電荷を初期化するリセット期間、表示データに基づいて壁電荷状態を形成するアドレス期間、そして実際にセルを点灯させるサステイン期間、の3つで構成されており、各SF毎に異なるサステイン期間(=輝度の重み付け、すなわちサステインパルス数)をもたせ、その組合せ方により中間調表現を行う。
【0004】
SF方式を適用するにあたって必要とされる階調数は、低輝度時の表現力や疑似輪郭対策の観点から、最低256階調(SF数にして8SF)とされている。
【0005】
一例として、1フィールドを8SFで構成し、各SFに2の巾乗の重みをもたせた場合について説明する。この場合、各SFは各々20、21、22、…、27、即ち、1、2、4、…、128の輝度(=階調)を表現することができるので、これらを組合せて0〜255段階の輝度を表示させることができる。
【0006】
一方、プラズマディスプレイの画質向上には、一般的に画像の表示階調数の増加と高輝度化が必要とされている。
【0007】
SF方式において表示階調数を増やすためには、SF数を増やせばよい。しかし、各SFには一定時間含まれるアドレス期間があることと、それらを1フィールド時間に納めなければならないため、SF数をむやみに増やすことはできない。一方、輝度を高めるためには、1フィールド中のサステイン数も確保しなければならない。このように、表示階調数の増加と高輝度化はお互いにトレードオフの関係にあり、これがSF方式による画質向上の際の問題点となっている。
【0008】
そこで、SF数を落とすことなく輝度を向上させるために、n(nは2以上の整数)ラインを同時にアドレスすることでアドレス期間を短縮し、その分をサステイン期間に割り当てるというnライン同時スキャン方式が考案された。しかしこの方式では、複数ラインを同時にアドレスする為、表示解像度が低下してしまう。そのため、全てのSFで複数ライン同時スキャンを行うのではなく、1フィールド中のいくつかのSFだけにnライン同時スキャンを適用することで、解像度の低下を抑えつつ輝度を向上させ、総合的な画質向上を実現させる技術が下記特許文献1開示されている。
【0009】
図2はその一例で、2ライン同時スキャン方式をSF2とSF3だけに適用した例を示す。SF2とSF3のスキャンを2ライン同時に行うことで、それぞれのアドレス期間を通常駆動時の半分とし、削減したアドレス期間をSF1〜3のサステイン期間増加に振り分けている。
【0010】
また、表示階調数を増加させて表示品質を向上させる技術としてフレーム変調方式がある。これは1フレームを構成する時間的に連続した一対のフィールド(奇数フィールド、偶数フィールド)毎に異なった点灯パターンを用いて1枚の画像を表示する方式で、奇数フィールドと偶数フィールドの階調数を合成した平均値を最終的な階調数とできるため、点灯パターンを一種類に固定した場合よりも表示可能な階調数を増やすことができる。
【0011】
【特許文献1】特開2000−347616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記したフレーム変調方式の副作用として、2つのパターンの違いが人間の目にフリッカーとして見えるようになるモーションノイズの問題がある。モーションノイズは、奇数フィールドと偶数フィールドの点灯パターンの重み付けが大きい上位SF間で異なる場合に感知され、その影響を抑えるためにディザ方式が併用される。図3に多階調化で用いられるディザパターンの一例として、千鳥状ディザパターンを示す。
【0013】
ここで、時間的に連続した一対のフィールドの各々で同じ発光輝度となるサブフィールド対の点灯パターンに対して、nライン同時スキャン方式にフレーム変調方式とディザ方式とを併用した場合に特定の画像を表示しようとすると、赤、緑、青の何れかのサブピクセルの点灯抜けが生じ画面が色付きになり、画質が低下してしまうと云う問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、各フィールドを発光輝度の異なる複数のサブフィールドで構成し、時間的に連続する一対の奇数フィールドと偶数フィールドで1フレームを形成し、前記複数のサブフィールドの内の少なくとも1つのサブフィールドでnライン(nは2以上の整数)を同時にスキャンする同時スキャン方式を適用するプラズマディスプレイ装置の表示方法であって、ディザ方式とフレーム変調方式とを適用すると共に、前記一対の奇数フィールドと偶数フィールドの各々で同じ発光輝度となる複数のサブフィールド対の内、前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の双方の点灯パターンを所定の点灯パターンに変換し、前記ディザ方式と前記フレーム変調方式とを適用して表示することを特徴とする。ここで、前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の点灯パターンが特定パターンである場合に、前記所定の点灯パターンに変換する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、画質劣化を抑え、表示輝度や表示諧調数の向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る表示方法の実施の形態を、添付図面を参照して詳述する。
【0017】
先ず、図4を用いてディザ処理を説明する。図4において表示しようとしている画像は、大きさが垂直方向2ピクセル×水平方向1ピクセルで、階調がAとBの二種類の繰り返しであり、奇数フィールド(図4(a))と偶数フィールド(図4(b))で、交互に表示するものとする。なお、図中のR,G,Bは各サブピクセルの色(赤、緑、青)を、また、サブピクセル内の文字(A,B,X,Z等)は階調値を示すもので、0は非点灯状態を表す。
【0018】
また、ディザパターンの階調はCで、図4(c)に示すように垂直方向は2ドット、水平方向は1ドットの大きさで千鳥状に配置され、隣り合うセル毎に異なる符号を持つ。なお、以下でのディザパターンの階調は全て±0.5とする。
【0019】
まず、図4(a)、(b)の画像にディザ方式を適用すると、図4(a)’(b)’のようになる。なおここで、演算によって得られた結果(階調数)を便宜的に
Z=A−C,X=B−C,E=A+C,D=B+C と表わすことにする。
【0020】
ここで、実際に表示しようとする画像として、無彩色(グレー表示)で階調だけが異なる画像、例えば、階調がA=0.5,B=0.0,C=0.5とする。この場合には、奇数フィールドと偶数フィールドの各々で同じ発光輝度となるサブフィールド対でのディザ処理された表示(点灯パターン)は図5(a)、(b)のようになる。なおここで、階調が1となるセルは点灯を示し、階調数が0.5もしくは−0.5となるセルは、端数や負の階調は表示できないので、実際には非点灯状態すなわち、階調は0となる。
【0021】
また、実際に表示される画像は、フレーム変調によって二つのサブフィールド対を合成した図5(c)のような、RGB各色のライン全てが同じ階調1で均一な比率で分布した状態の表示、即ち無彩色のままであり、実際の画像に色付きが起こることはない。
【0022】
ところが、上の処理方法に先立って、アドレス期間の短縮のために少なくとも1つのサブフィールドで2ライン同時スキャン方式を適用した場合、以下のような問題が生じる。
【0023】
先と同じ図4(a)(b)のような画像データに対して2ライン同時スキャン処理を行った場合、その結果は図6(a)(b)のようになる。奇数フィールドのEvenラインはOddラインと同じ階調表示になり、偶数フィールドのOddラインはEvenラインと同じ階調表示になる(なお、偶数フィールドの一番上のラインは、ダブルスキャンを行っている為、アドレスのスキャンが行われないので、表示データは無い)。
【0024】
ここで同様に、実際に表示しようとする画像としてA=0.5,B=0.0,C=0.5の無彩色の画像を表示する場合を考えると、ディザ処理後の各フィールドのサブフィールド対の階調は図7(a),(b)となる。さらにフレーム変調よって、実際に表示される画像は図7(c)のようになる。偶数・奇数双方が合成された図7(c)の点灯パターンから明らかなように、Gの表示階調は0、即ち非点灯、その他の色は点灯状態となる。このため、実際に表示されるのは本来の無彩色ではなく、マゼンダの色がついた画像になってしまう。
【0025】
そこで本発明では、2ライン同時スキャンを適用するサブフィールド対の点灯パターンが、図4(a)、(b)でA=0.5,B=0.0とする特定パターンとなる場合に、所定のパターンに変換してディザ処理やフレーム変調とを行うように構成する。すなわち、垂直方向2ライン×水平方向1ピクセルを1つの纏まりとして2種類の階調を垂直と水平の両方向に繰り返し、サブフィールド対間でも交互に異なる階調となるような点灯パターンとなる場合に、サブフィールド対の双方を同じ点灯パターン(所定の点灯パターン)に変換する。
【0026】
例えば、2ライン同時スキャンを行うサブフィールド対のみ、図4(a)、(b)でA=B=0.5としてサブフィールド対の双方を点灯状態とする同一の点灯パターンに変換する。そして、C=0.5とするディザ処理や2ライン同時駆動を行って図8(a)、(b)に示すサブフィールド対の点灯パターンを得る。さらにフレーム変調よって、実際に表示される画像は図8(c)のようになるが、RGBの全画素が点灯して点灯抜けが無いため、従来例のような色付き画面があらわれてしまうという副作用を抑えることができる。
【0027】
以上の実施の形態では、サブフィールド対が図4(a)、(b)でA=0.5,B=0.0とする特定パターンとなる場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図9(a)、(b)でA=0.5,B=0.0となるパターンにおいても適用可能である。すなわち、垂直方向1ライン×水平方向1ピクセルを1つの纏まりとして2種類の階調を垂直と水平の両方向に繰り返し、サブフィールド対間でも交互に異なる階調となるような点灯パターンとなる場合においても適用可能である。
【0028】
図9(a)、(b)において、上記した実施の形態と同様に、奇数フィールドと偶数フィールドに図9(c)のディザ処理を行うと、図9(a)’(b)’のようになる。ここで、A=0.5、B=0.0、C=0.5としてディザ処理をすると、図10(a)、(b)に示す点灯パターンとなる。従って、通常の表示においては、合成された見え方は図9(c)に示すように、色付きが無い画像になる。
【0029】
しかしながら、2ライン同時スキャンを行った場合の点灯パターンは図11(a)、(b)のようになり、これにA=0.5、B=0.0、C=0.5としてディザ処理すると、図12(a)、(b)となる。そして、フレーム変調による合成された見え方は図9(c)から明らかなように、単なる色付きだけではなく、非点灯セルが縦方向に並んだ色付きの縦縞表示となってしまい、画質劣化が大きくなってしまう。
【0030】
そこで本発明による第2の実施の形態では、2ライン同時スキャンを適用するサブフィールド対の点灯パターンが、図9(a)、(b)でA=0.5,B=0.0とする特定パターンとなる場合も同様に、2ライン同時スキャンを行うサブフィールド対のみA=B=0.5としてサブフィールド対の双方を点灯状態とする同一の点灯パターンに変換する。そして、C=0.5とするディザ処理や2ライン同時駆動を行って図13(a)、(b)に示すサブフィールド対の点灯パターンを得る。さらにフレーム変調よって、実際に表示される画像は図13(c)のようになり、RGBの全画素が点灯して点灯抜けが無く、色付きの縦縞の表示を抑えることができる。
【0031】
以上の実施の形態では2ライン同時駆動の場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、3ライン以上の複数ライン同時駆動の場合についても適用可能である。
【0032】
また、以上の実施の形態では、A=B=0.5としてサブフィールド対の双方を点灯状態とするように変換する場合について説明したが、A=B=0としてサブフィールド対の双方を消灯状態とするように変換する場合においてもRGBの全画素が点灯して点灯抜けが無く、色付きの表示を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】サブフィールド方式の説明図である。
【図2】2ライン同時スキャン方式の説明図である。
【図3】ディザパターンの一例を示すパターン図である。
【図4】フレーム変調とディザ方式を説明するためのパターン図である。
【図5】図4において、A=0.5,B=0.0としたときのパターン図である。
【図6】図4において、2ライン同時スキャンを行った際のパターン図である。
【図7】図6において、A=0.5,B=0.0のとしたときのパターン図である。
【図8】図6において、A=0.5,B=0.5としたときのパターン図である。
【図9】フレーム変調とディザ方式を適用した際パターン図である。
【図10】図9において、A=0.5,B=0.0としたときのパターン図である。
【図11】図9において、2ライン同時スキャンを行った際のパターン図である。
【図12】図11において、A=0.5,B=0.0としたときのパターン図である。
【図13】図11において、A=0.5,B=0.5としたときのパターン図である。
【符号の説明】
【0034】
1 リセット期間
2 アドレス期間
3 サステイン期間
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド(以下SFと称す)方式を用いたプラズマディスプレイの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは発光と非発光の中間の階調表現を行うことが難しい。このため図1のように、1フィールドの画像を発光輝度の異なる複数のSFの組合せで画像を表示するSF方式(フレーム時分割表示方法とも言う)が用いられる。
【0003】
同図において各SFは、各電極の壁電荷を初期化するリセット期間、表示データに基づいて壁電荷状態を形成するアドレス期間、そして実際にセルを点灯させるサステイン期間、の3つで構成されており、各SF毎に異なるサステイン期間(=輝度の重み付け、すなわちサステインパルス数)をもたせ、その組合せ方により中間調表現を行う。
【0004】
SF方式を適用するにあたって必要とされる階調数は、低輝度時の表現力や疑似輪郭対策の観点から、最低256階調(SF数にして8SF)とされている。
【0005】
一例として、1フィールドを8SFで構成し、各SFに2の巾乗の重みをもたせた場合について説明する。この場合、各SFは各々20、21、22、…、27、即ち、1、2、4、…、128の輝度(=階調)を表現することができるので、これらを組合せて0〜255段階の輝度を表示させることができる。
【0006】
一方、プラズマディスプレイの画質向上には、一般的に画像の表示階調数の増加と高輝度化が必要とされている。
【0007】
SF方式において表示階調数を増やすためには、SF数を増やせばよい。しかし、各SFには一定時間含まれるアドレス期間があることと、それらを1フィールド時間に納めなければならないため、SF数をむやみに増やすことはできない。一方、輝度を高めるためには、1フィールド中のサステイン数も確保しなければならない。このように、表示階調数の増加と高輝度化はお互いにトレードオフの関係にあり、これがSF方式による画質向上の際の問題点となっている。
【0008】
そこで、SF数を落とすことなく輝度を向上させるために、n(nは2以上の整数)ラインを同時にアドレスすることでアドレス期間を短縮し、その分をサステイン期間に割り当てるというnライン同時スキャン方式が考案された。しかしこの方式では、複数ラインを同時にアドレスする為、表示解像度が低下してしまう。そのため、全てのSFで複数ライン同時スキャンを行うのではなく、1フィールド中のいくつかのSFだけにnライン同時スキャンを適用することで、解像度の低下を抑えつつ輝度を向上させ、総合的な画質向上を実現させる技術が下記特許文献1開示されている。
【0009】
図2はその一例で、2ライン同時スキャン方式をSF2とSF3だけに適用した例を示す。SF2とSF3のスキャンを2ライン同時に行うことで、それぞれのアドレス期間を通常駆動時の半分とし、削減したアドレス期間をSF1〜3のサステイン期間増加に振り分けている。
【0010】
また、表示階調数を増加させて表示品質を向上させる技術としてフレーム変調方式がある。これは1フレームを構成する時間的に連続した一対のフィールド(奇数フィールド、偶数フィールド)毎に異なった点灯パターンを用いて1枚の画像を表示する方式で、奇数フィールドと偶数フィールドの階調数を合成した平均値を最終的な階調数とできるため、点灯パターンを一種類に固定した場合よりも表示可能な階調数を増やすことができる。
【0011】
【特許文献1】特開2000−347616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記したフレーム変調方式の副作用として、2つのパターンの違いが人間の目にフリッカーとして見えるようになるモーションノイズの問題がある。モーションノイズは、奇数フィールドと偶数フィールドの点灯パターンの重み付けが大きい上位SF間で異なる場合に感知され、その影響を抑えるためにディザ方式が併用される。図3に多階調化で用いられるディザパターンの一例として、千鳥状ディザパターンを示す。
【0013】
ここで、時間的に連続した一対のフィールドの各々で同じ発光輝度となるサブフィールド対の点灯パターンに対して、nライン同時スキャン方式にフレーム変調方式とディザ方式とを併用した場合に特定の画像を表示しようとすると、赤、緑、青の何れかのサブピクセルの点灯抜けが生じ画面が色付きになり、画質が低下してしまうと云う問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、各フィールドを発光輝度の異なる複数のサブフィールドで構成し、時間的に連続する一対の奇数フィールドと偶数フィールドで1フレームを形成し、前記複数のサブフィールドの内の少なくとも1つのサブフィールドでnライン(nは2以上の整数)を同時にスキャンする同時スキャン方式を適用するプラズマディスプレイ装置の表示方法であって、ディザ方式とフレーム変調方式とを適用すると共に、前記一対の奇数フィールドと偶数フィールドの各々で同じ発光輝度となる複数のサブフィールド対の内、前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の双方の点灯パターンを所定の点灯パターンに変換し、前記ディザ方式と前記フレーム変調方式とを適用して表示することを特徴とする。ここで、前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の点灯パターンが特定パターンである場合に、前記所定の点灯パターンに変換する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、画質劣化を抑え、表示輝度や表示諧調数の向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る表示方法の実施の形態を、添付図面を参照して詳述する。
【0017】
先ず、図4を用いてディザ処理を説明する。図4において表示しようとしている画像は、大きさが垂直方向2ピクセル×水平方向1ピクセルで、階調がAとBの二種類の繰り返しであり、奇数フィールド(図4(a))と偶数フィールド(図4(b))で、交互に表示するものとする。なお、図中のR,G,Bは各サブピクセルの色(赤、緑、青)を、また、サブピクセル内の文字(A,B,X,Z等)は階調値を示すもので、0は非点灯状態を表す。
【0018】
また、ディザパターンの階調はCで、図4(c)に示すように垂直方向は2ドット、水平方向は1ドットの大きさで千鳥状に配置され、隣り合うセル毎に異なる符号を持つ。なお、以下でのディザパターンの階調は全て±0.5とする。
【0019】
まず、図4(a)、(b)の画像にディザ方式を適用すると、図4(a)’(b)’のようになる。なおここで、演算によって得られた結果(階調数)を便宜的に
Z=A−C,X=B−C,E=A+C,D=B+C と表わすことにする。
【0020】
ここで、実際に表示しようとする画像として、無彩色(グレー表示)で階調だけが異なる画像、例えば、階調がA=0.5,B=0.0,C=0.5とする。この場合には、奇数フィールドと偶数フィールドの各々で同じ発光輝度となるサブフィールド対でのディザ処理された表示(点灯パターン)は図5(a)、(b)のようになる。なおここで、階調が1となるセルは点灯を示し、階調数が0.5もしくは−0.5となるセルは、端数や負の階調は表示できないので、実際には非点灯状態すなわち、階調は0となる。
【0021】
また、実際に表示される画像は、フレーム変調によって二つのサブフィールド対を合成した図5(c)のような、RGB各色のライン全てが同じ階調1で均一な比率で分布した状態の表示、即ち無彩色のままであり、実際の画像に色付きが起こることはない。
【0022】
ところが、上の処理方法に先立って、アドレス期間の短縮のために少なくとも1つのサブフィールドで2ライン同時スキャン方式を適用した場合、以下のような問題が生じる。
【0023】
先と同じ図4(a)(b)のような画像データに対して2ライン同時スキャン処理を行った場合、その結果は図6(a)(b)のようになる。奇数フィールドのEvenラインはOddラインと同じ階調表示になり、偶数フィールドのOddラインはEvenラインと同じ階調表示になる(なお、偶数フィールドの一番上のラインは、ダブルスキャンを行っている為、アドレスのスキャンが行われないので、表示データは無い)。
【0024】
ここで同様に、実際に表示しようとする画像としてA=0.5,B=0.0,C=0.5の無彩色の画像を表示する場合を考えると、ディザ処理後の各フィールドのサブフィールド対の階調は図7(a),(b)となる。さらにフレーム変調よって、実際に表示される画像は図7(c)のようになる。偶数・奇数双方が合成された図7(c)の点灯パターンから明らかなように、Gの表示階調は0、即ち非点灯、その他の色は点灯状態となる。このため、実際に表示されるのは本来の無彩色ではなく、マゼンダの色がついた画像になってしまう。
【0025】
そこで本発明では、2ライン同時スキャンを適用するサブフィールド対の点灯パターンが、図4(a)、(b)でA=0.5,B=0.0とする特定パターンとなる場合に、所定のパターンに変換してディザ処理やフレーム変調とを行うように構成する。すなわち、垂直方向2ライン×水平方向1ピクセルを1つの纏まりとして2種類の階調を垂直と水平の両方向に繰り返し、サブフィールド対間でも交互に異なる階調となるような点灯パターンとなる場合に、サブフィールド対の双方を同じ点灯パターン(所定の点灯パターン)に変換する。
【0026】
例えば、2ライン同時スキャンを行うサブフィールド対のみ、図4(a)、(b)でA=B=0.5としてサブフィールド対の双方を点灯状態とする同一の点灯パターンに変換する。そして、C=0.5とするディザ処理や2ライン同時駆動を行って図8(a)、(b)に示すサブフィールド対の点灯パターンを得る。さらにフレーム変調よって、実際に表示される画像は図8(c)のようになるが、RGBの全画素が点灯して点灯抜けが無いため、従来例のような色付き画面があらわれてしまうという副作用を抑えることができる。
【0027】
以上の実施の形態では、サブフィールド対が図4(a)、(b)でA=0.5,B=0.0とする特定パターンとなる場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図9(a)、(b)でA=0.5,B=0.0となるパターンにおいても適用可能である。すなわち、垂直方向1ライン×水平方向1ピクセルを1つの纏まりとして2種類の階調を垂直と水平の両方向に繰り返し、サブフィールド対間でも交互に異なる階調となるような点灯パターンとなる場合においても適用可能である。
【0028】
図9(a)、(b)において、上記した実施の形態と同様に、奇数フィールドと偶数フィールドに図9(c)のディザ処理を行うと、図9(a)’(b)’のようになる。ここで、A=0.5、B=0.0、C=0.5としてディザ処理をすると、図10(a)、(b)に示す点灯パターンとなる。従って、通常の表示においては、合成された見え方は図9(c)に示すように、色付きが無い画像になる。
【0029】
しかしながら、2ライン同時スキャンを行った場合の点灯パターンは図11(a)、(b)のようになり、これにA=0.5、B=0.0、C=0.5としてディザ処理すると、図12(a)、(b)となる。そして、フレーム変調による合成された見え方は図9(c)から明らかなように、単なる色付きだけではなく、非点灯セルが縦方向に並んだ色付きの縦縞表示となってしまい、画質劣化が大きくなってしまう。
【0030】
そこで本発明による第2の実施の形態では、2ライン同時スキャンを適用するサブフィールド対の点灯パターンが、図9(a)、(b)でA=0.5,B=0.0とする特定パターンとなる場合も同様に、2ライン同時スキャンを行うサブフィールド対のみA=B=0.5としてサブフィールド対の双方を点灯状態とする同一の点灯パターンに変換する。そして、C=0.5とするディザ処理や2ライン同時駆動を行って図13(a)、(b)に示すサブフィールド対の点灯パターンを得る。さらにフレーム変調よって、実際に表示される画像は図13(c)のようになり、RGBの全画素が点灯して点灯抜けが無く、色付きの縦縞の表示を抑えることができる。
【0031】
以上の実施の形態では2ライン同時駆動の場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、3ライン以上の複数ライン同時駆動の場合についても適用可能である。
【0032】
また、以上の実施の形態では、A=B=0.5としてサブフィールド対の双方を点灯状態とするように変換する場合について説明したが、A=B=0としてサブフィールド対の双方を消灯状態とするように変換する場合においてもRGBの全画素が点灯して点灯抜けが無く、色付きの表示を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】サブフィールド方式の説明図である。
【図2】2ライン同時スキャン方式の説明図である。
【図3】ディザパターンの一例を示すパターン図である。
【図4】フレーム変調とディザ方式を説明するためのパターン図である。
【図5】図4において、A=0.5,B=0.0としたときのパターン図である。
【図6】図4において、2ライン同時スキャンを行った際のパターン図である。
【図7】図6において、A=0.5,B=0.0のとしたときのパターン図である。
【図8】図6において、A=0.5,B=0.5としたときのパターン図である。
【図9】フレーム変調とディザ方式を適用した際パターン図である。
【図10】図9において、A=0.5,B=0.0としたときのパターン図である。
【図11】図9において、2ライン同時スキャンを行った際のパターン図である。
【図12】図11において、A=0.5,B=0.0としたときのパターン図である。
【図13】図11において、A=0.5,B=0.5としたときのパターン図である。
【符号の説明】
【0034】
1 リセット期間
2 アドレス期間
3 サステイン期間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各フィールドを発光輝度の異なる複数のサブフィールドで構成し、時間的に連続する一対の奇数フィールドと偶数フィールドで1フレームを形成し、前記複数のサブフィールドの内の少なくとも1つのサブフィールドでnライン(nは2以上の整数)を同時にスキャンする同時スキャン方式を適用するプラズマディスプレイ装置の表示方法であって、
ディザ方式とフレーム変調方式とを適用すると共に、
前記一対の奇数フィールドと偶数フィールドの各々で同じ発光輝度となる複数のサブフィールド対の内、前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の双方の点灯パターンを所定の点灯パターンに変換し、前記ディザ方式と前記フレーム変調方式とを適用して表示することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項2】
前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の点灯パターンが特定パターンである場合に、前記所定の点灯パターンに変換することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項3】
前記所定の点灯パターンは、全てのセルで点灯状態とするパターンであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項4】
前記所定の点灯パターンは、全てのセルで消灯状態とするパターンであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項5】
前記特定パターンは、垂直方向1ライン×水平方向1ピクセル、或いは垂直方向2ライン×水平方向1ピクセルを1つの纏まりとして2種類の階調を垂直と水平の両方向に繰り返し、且つ前記サブフィールド対間でも交互に異なる階調となるようなパターンであることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項1】
各フィールドを発光輝度の異なる複数のサブフィールドで構成し、時間的に連続する一対の奇数フィールドと偶数フィールドで1フレームを形成し、前記複数のサブフィールドの内の少なくとも1つのサブフィールドでnライン(nは2以上の整数)を同時にスキャンする同時スキャン方式を適用するプラズマディスプレイ装置の表示方法であって、
ディザ方式とフレーム変調方式とを適用すると共に、
前記一対の奇数フィールドと偶数フィールドの各々で同じ発光輝度となる複数のサブフィールド対の内、前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の双方の点灯パターンを所定の点灯パターンに変換し、前記ディザ方式と前記フレーム変調方式とを適用して表示することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項2】
前記同時スキャン方式を適用するサブフィールド対の点灯パターンが特定パターンである場合に、前記所定の点灯パターンに変換することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項3】
前記所定の点灯パターンは、全てのセルで点灯状態とするパターンであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項4】
前記所定の点灯パターンは、全てのセルで消灯状態とするパターンであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【請求項5】
前記特定パターンは、垂直方向1ライン×水平方向1ピクセル、或いは垂直方向2ライン×水平方向1ピクセルを1つの纏まりとして2種類の階調を垂直と水平の両方向に繰り返し、且つ前記サブフィールド対間でも交互に異なる階調となるようなパターンであることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載のプラズマディスプレイ装置の表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−164865(P2010−164865A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8369(P2009−8369)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(599132708)日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(599132708)日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】
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