説明

プラズマディスプレイ用部材の製造方法

【課題】同時焼成の際に高コストの熱処理を行わずに生産性の高い高品位のプラズマディスプレイを提供する。
【解決手段】ガラス基板上に金属微粉末と感光性有機成分を含む感光性導電ペーストを用いて感光性導電ペースト塗布膜パターンを形成し、該感光性導電ペースト塗布膜パターンに紫外線を照射した後、該感光性導電ペースト塗布膜パターンを覆うようにガラス粉末と有機成分を含む誘電体層形成用ペーストを塗布して誘電体層形成用ペースト塗布膜を形成し、該感光性導電ペースト塗布膜パターンと該誘電体層形成用ペースト塗布膜を同時に焼成することによって電極および誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い生産性が得られるプラズマディスプレイ用部材の製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは次世代大型ディスプレイとして注目を集めており、高精細なプラズマディスプレイを低コストで安定して生産する技術が強く望まれている。そのようなプラズマディスプレイを構成する部材において、大きなコストを占める部材として背面板が挙げられる。背面板は少なくとも基板上に形成されたストライプ状の電極、電極を覆う誘電体層、誘電体層上に電極にほぼ平行に設けられたストライプ状の隔壁ならびに隔壁間に設けられた赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体層から構成される。また、最近ではストライプ状の主隔壁と垂直方向に補助隔壁が設けられた格子状の隔壁を有するものも多い。ストライプ状、格子状いずれの形状の隔壁を有する背面板においても、電極パターンおよび隔壁パターンの形成に感光性ペースト法を用いることで、高精細な背面板が安定して生産できるようになってきたが、さらなる低コスト化が依然として望まれている。従来、背面板製造工程では、パターン化した導電ペースト塗布膜、誘電体層形成用ペースト塗布膜、パターン化した隔壁形成用ペースト塗布膜および蛍光体ペースト塗布膜の各層を形成する工程の度に、それぞれの材料を焼成し、各ペースト中に含まれるバインダーポリマー等の有機成分を除去し、無機成分を焼結することによって無機成分のみからなる電極、誘電体層、隔壁、蛍光体層を形成していた。すなわち、背面板の製造工程では、最低でも4回の焼成工程が必要であり、生産性が低く、高コストの原因となっていた。また、焼成工程が多いことによって、ガラス基板の熱による寸法変化が大きくなるという問題を生じていた。さらに、電極に銀を使用した場合には、焼成工程が多いことによって銀のマイグレーションが進行し、パネルの信頼性が低下する要因となっていた。
【0003】
そこで、導電ペースト塗布膜、誘電体層形成用ペースト塗布膜、隔壁形成用ペースト塗布膜、蛍光体ペースト塗布膜のうちのいくつかを同時に焼成するという同時焼成プロセスが検討されてきた。例えば無機粉末の作業点を電極、誘電体、隔壁、蛍光体の順に高くすることにより、電極パターン、誘電体ペースト塗布膜、隔壁パターンの3つを同時に焼成する方法が記載されている(特許文献1参照)。しかし、この方法では電極パターニング後のキュア(加熱)工程が必須となり、生産性を落とすだけでなくコストの上昇につながるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−331650
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、かかる問題点を解消し、生産性が高く、低コストに高精細なプラズマディスプレイ用部材を安定して得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、ガラス基板上に金属微粉末と感光性有機成分を含む感光性導電ペーストを用いて感光性導電ペースト塗布膜パターンを形成し、該感光性導電ペースト塗布膜パターンに紫外線を照射した後、該感光性導電ペースト塗布膜パターンを覆うようにガラス粉末と有機成分を含む誘電体層形成用ペーストを塗布して誘電体層形成用ペースト塗布膜を形成し、該感光性導電ペースト塗布膜パターンと該誘電体層形成用ペースト塗布膜を同時に焼成することによって電極および誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、生産性が高く、低コストに高精細なプラズマディスプレイ用部材を安定して得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明によるプラズマディスプレイ用部材の製造方法について、背面板を例にとって、順に説明する。
【0009】
本発明のプラズマディスプレイ用部材に用いる基板としては、ソーダガラスの他にPDP用の耐熱ガラスを用いることができる。このガラス基板上に、銀、ニッケル、アルミニウム、クロム、銅などの金属微粉末および感光性有機成分を含む感光性導電ペーストを用い、アドレス電極を形成するための感光性導電ペースト塗布膜パターンを形成する。形成する方法としては、導電ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、感光性導電ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去して金属パターンを形成するフォトリソグラフィー法を用いることができる。中でも高精細な感光性導電ペースト塗布膜を安定して得るためにはフォトリソグラフィー法が好ましい。
【0010】
ここで用いる感光性導電ペーストは、金属粉末と感光性有機成分を必須成分とするものであり、その金属粉末としては少なくとも銀、金、銅、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、鉄、クロム等の金属もしくはこれらを含有する混合物や合金など導電性を有するものであれば特に限定されない。これら金属粉末の粒径は構成される膜厚にもよるが、焼成後の目標膜厚の30%〜80%の範囲内となるような粒径が望まれる。これは粒径が小さくなりすぎると残渣などのパターニング性の低下が挙げられ、粒径が大きくなりすぎると銀同士の接触確率が極端に低下する。有機バインダーとしては、エチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース化合物、メチルメタクリレートやプロピルメタクリレートやブチルメタクリレートを原料モノマーとするアクリル系(共)重合体などを用いることができる。感光性有機成分としては、トリメチロールプロパントリアクリレートやトリエチレングリコールジメタクリレート等のアクリル系モノマーや、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を用いることができる。また、メチルメタクリレートやプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアクリル系モノマーを単独もしくは複数選択して重合させたポリマーを用いても良い。さらに、カルボキシル基やスルホン酸基などの側鎖を有するポリマーやオリゴマーをペースト中に混合することにより、アルカリ水溶液での現像が可能な感光性ペーストとすることができ、好ましい。特に、感光性有機成分として、ラジカル重合性化合物を含むものを好ましく用いることができる。また、上記電極用ペーストの特性を調製するために、有機溶媒や可塑剤、界面活性剤などを添加してもよい。さらに電極用ペースト中にガラス粉末を混合することが、ガラス基板への接着性を向上させることができる点で好ましい。ガラス粉末の例としては、酸化ビスマスと酸化鉛の合計含有量が30〜90重量%のガラス粉末が好ましく挙げられる。ガラス粉末中のこれらの含有量が低くなると溶融温度が上昇してガラス基板への接着力が低下し、含有量が多すぎると水分による劣化を受けやすくなる。以上のペーストを用いて作製した塗布膜パターンの好まれる厚みについて、焼成前では1〜10μm程度の膜厚が好ましい。
【0011】
アドレス電極の厚みが薄すぎると抵抗値が大きくなり正確な駆動が困難となる傾向にあり、厚すぎると材料が多く必要になり、コストが不利になる事や、誘電体と同時焼成を行う際に誘電体層に亀裂が入る問題が生じやすくなる。なお、本発明において同時焼成とは、有機成分と無機成分を含む2以上の層を同時に高温で処理し、対象となる2以上の層から同時に有機成分の除去を行うことを指し、有機成分と無機成分を含む第一の層を焼成し、その後新たに有機成分と無機成分を含む第二の層を設け、焼成後の第一の層および焼成前の第二の層を高温で処理して第二の層のみから有機成分を除去する、いわゆる個別焼成とは異なるものである。アドレス電極の幅は、パネルの特性に応じて適宜決定すればよいが、20〜200μm程度である。さらに、アドレス電極は表示セル(画素の各RGBを形成する領域)に応じたピッチで形成される。通常のプラズマディスプレイパネル(以下PDPという)では100〜500μm、高精細PDPにおいては100〜400μmのピッチで形成するのが好ましい。
【0012】
ここで、本発明における塗布膜パターンへの紫外線照射について詳述する。上述したようにして形成した塗布膜パターンに高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の紫外線ランプの光源を用いて塗布膜パターンに残存するモノマーを硬化させるよう紫外光を照射する。光源の選定としては短波長に強い分光分布を持つものが照射時間に対して良好である。光源は、このような分光分布を有する紫外線ランプを用いてもよいが、紫外線ランプの分光分布を調整する為に波長カットフィルターを用いることが好ましい。これは感光性導電ペースト塗布膜パターン内に残存する未反応の感光性有機成の硬化に寄与しない分光をカットする事で紫外線照射装置内の温度上昇を防ぐ事ができる。モノマーの硬化に寄与しない領域は感光性導電ペースト塗布膜パターンを構成するモノマー・ポリマー・オリゴマー・重合開始剤に影響されるが、主に450nm以上である。紫外線ランプの照射量、積算露光量としては、感光性導電ペースト塗布膜パターンの厚みに依存する。特に、この紫外線照射において、感光性導電ペースト塗布膜パターンに紫外線を照射する際に使用する紫外線照射ランプが、波長280〜345nmの範囲の発光強度が波長345〜385nmの範囲の発光強度の0.3倍以上である紫外線照射ランプを用いることが好ましい。
【0013】
このように紫外線を照射する事で従来、感光性導電ペースト塗布膜パターンと誘電体層形成用ペースト塗布膜の同時焼成を行う場合に必要であった感光性導電ペースト塗布膜パターンの熱キュアが不必要となり、電力削減・CO排出量削減に大きな効果を生むことが出来る。このような処理によって低コストのPDP背面板電極付き基板を形成した。
【0014】
次いで誘電体層形成用ペースト塗布膜形成する。誘電体層形成用ペースト塗布膜はガラス粉末と有機成分を含むガラスペーストを上述の感光性導電ペースト塗布膜パターンを覆うように塗布した後、100℃〜300℃で乾燥することにより形成できる。誘電体層形成用ペーストには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンの少なくとも1種類以上を含有し、かつ熱軟化温度(Ts)が470〜600℃程度のガラス粉末が10〜80重量%含有するペーストを用いることができる。
【0015】
誘電体層形成用ペーストには、ガラス粉末以外に軟化温度が高く焼成時に軟化しないフィラー成分を添加することにより、反射率が高く、輝度の高いPDPを得ることができる。フィラーとしては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が好ましい。
【0016】
これらのガラス粉末およびフィラーと有機バインダーを混練してペーストを作製する。有機バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース化合物、高分子量ポリエーテル、アクリル系樹脂などを使用できる。アクリル系樹脂は焼成後の焼成残渣が少ないため、ポリマーとして好ましく用いることができる。例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレートなどの重合体もしくは共重合体からなるアクリル系樹脂である。また、ポリマーに炭素−炭素2重結合を有する側鎖を導入することは、重合により3次元網目構造を形成する上で非常に好ましい。
モノマーは、特に、熱重合開始剤から発生したラジカルを開始点として3次元網目構造を形成することにより、現像時の耐現像液性が向上し、また焼成時に焼成応力が発生しても亀裂や断線といった欠陥を抑制することができる。このようなモノマーとしてはモノマーとしては、活性な炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、官能基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能または多官能化合物が上げられる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、およびそれらのアルキレンオキサイド変成物などが挙げられるが、これらに限定されない。熱重合開始剤については、有機過酸化物、アゾ化合物から選ばれた少なくとも一種のラジカル重合開始剤を好ましく選択することができる。具体例をあげると、有機過酸化物としては、ジプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。アゾ化合物としては、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシメチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などが挙げられる。バインダーポリマーとモノマーの合計100重量部に対して、熱重合開始剤の含有量は2〜30重量部の範囲である。より好ましい含有量は3〜30重量部の範囲、さらに好ましくは5〜30重量部の範囲である。また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。
【0017】
また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。
【0018】
またガラス粉末以外に、導電性微粒子を添加してもよい。導電性微粒子としては、ニッケル、クロムなどの金属粉末が好ましく、粒子径は1〜10μmが好ましい。
【0019】
誘電体層形成用ペースト塗布膜による誘電体層の厚みは3〜30μmで、誘電体層の厚みが薄すぎるとピンホールが多発する傾向にあり、厚すぎると放電電圧が高くなり、消費電力が大きくなる傾向にある。
【0020】
このようにして設けた感光性導電ペースト塗布膜パターンおよび誘電体層形成用ペースト塗布膜を同時焼成することによって、アドレス電極および誘電体層を有するプラズマディスプレイ用部材を得ることができる。後述の隔壁パターンを含めて、3層を同時に焼成することもできる。
【0021】
本発明の製造方法で製造するプラズマディスプレイ用部材が背面板である場合は、上述の電極および誘電体層に加えて、誘電体層上にストライプ状または格子状の隔壁、ならびに隔壁間に蛍光体層を設ける。
【0022】
次に背面板の隔壁形成について記述する。該隔壁の断面形状は台形や矩形に形成することができる。隔壁の高さは、80μm〜200μmが適している。またピッチ(P)は、100μm≦P≦500μmのものがよく用いられる。また、高精細プラズマディスプレイとしては、隔壁のピッチ(P)が、100μm≦P≦250μmである。
【0023】
隔壁全体の高さの半分の高さにおける幅(半値幅)は、20〜120μm、さらには25〜90μmであることが好ましい。隔壁の半値幅が20μm未満では、隔壁の強度が低くなり、前面板との封着時に隔壁が倒れたりするという問題が生じやすくなる。また120μmを超えると、蛍光体層の形成面積が小さくなるため、プラズマディスプレイパネルとした場合、輝度が低くなる傾向にある。
【0024】
隔壁は、基板上に絶縁性無機成分と有機成分からなるペーストを、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)、金型転写法、リフトオフ法等公知の技術により隔壁および補助隔壁パターンを形成し、焼成することで形成されるが、特に隔壁形成に焼成を伴い、ペーストの有機固形分比の調整が比較的簡単な感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)に対して本発明では好ましい。
【0025】
感光性ペースト法で用いる感光性隔壁形成用ペーストは、無機微粒子と感光性有機成分を主成分とするものであり、形成された隔壁の焼成前の有機成分の組成は30〜70重量%、好ましくは35〜65%の範囲内で構成されることが望ましい。これは有機成分の含有率を下げると露光によるパターニング能力、及び隔壁形状が不安定となり、また含有率を上げると焼成による熱収縮によって断線の発生率が急激に増えてしまう為である。
【0026】
次に隔壁形成用感光性ペーストの無機成分、有機成分について詳述する。
【0027】
まず感光性隔壁形成用ペーストに用いる無機微粒子としては、ガラス、セラミック(アルミナ、コーディライトなど)などを用いることができる。特に、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、または、アルミニウム酸化物を必須成分とするガラスやセラミックスが好ましい。
【0028】
無機微粒子の粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、体積平均粒子径(D50)が、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜5μmである。D50を10μm以下とすることで、表面凸凹が生じるのを防ぐことができる。また、1μm以上とすることで、ペーストの粘度調整を容易にすることができる。さらに、比表面積0.2〜3m/gのガラス微粒子を用いることが、パターン形成において、特に好ましい。
【0029】
隔壁は、好ましくは熱軟化温度の低いガラス基板上にパターン形成されるため、無機微粒子として、熱軟化温度が350℃〜600℃のガラス微粒子を60重量%以上含む無機微粒子を用いることが好ましい。また、熱軟化温度が600℃以上のガラス微粒子やセラミック微粒子を添加することによって、焼成時の収縮率を抑制することができるが、その量は、40重量%以下が好ましい。用いるガラス微粒子としては、焼成時にガラス基板にそりを生じさせないためには線膨脹係数が50×10−7〜90×10−7、更には、60×10−7〜90×10−7のガラス微粒子を用いることが好ましい。ガラス微粒子としては、ケイ素および/またはホウ素の酸化物を含有したガラスが好ましく用いられる。酸化ケイ素は、3〜60重量%の範囲で配合されていることが好ましい。3重量%以上とすることで、ガラス層の緻密性、強度や安定性が向上し、また、熱膨脹係数を所望の範囲内とし、ガラス基板とのミスマッチを防ぐことができる。また、60重量%以下にすることによって、熱軟化温度が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
【0030】
酸化ホウ素は、5〜50重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨脹係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上することができる。50重量%以下とすることでガラスの安定性を保つことができる。
【0031】
さらに、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛のうちの少なくとも1種類を合計で5〜50重量%含有させることによって、ガラス基板上にパターン加工するのに適した温度特性を有するガラスペーストを得ることができる。特に、酸化ビスマスを5〜50重量%含有するガラス微粒子を用いると、ペーストのポットライフが長いなどの利点が得られる。
【0032】
ビスマス系ガラス微粒子としては、次の組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化ビスマス :10〜40重量%
酸化ケイ素 : 3〜50重量%
酸化ホウ素 :10〜40重量%
酸化バリウム : 8〜20重量%
酸化アルミニウム:10〜30重量%
【0033】
また、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち、少なくとも1種類を3〜20重量%含むガラス微粒子を用いてもよい。アルカリ金属酸化物の添加量は、20重量%以下、好ましくは、15重量%以下にすることによって、ペーストの安定性を向上することができる。上記3種のアルカリ金属酸化物の内、酸化リチウムがペーストの安定性の点で、特に好ましい。
【0034】
リチウム系ガラス微粒子としては、例えば次に示す組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化リチウム : 2〜15重量%
酸化ケイ素 :15〜50重量%
酸化ホウ素 :15〜40重量%
酸化バリウム : 2〜15重量%
酸化アルミニウム: 6〜25重量%
【0035】
また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛のような金属酸化物と酸化リチウム,酸化ナトリウム、酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有するガラス微粒子を用いれば、より低いアルカリ含有量で、熱軟化温度や線膨脹係数を容易にコントロールすることができる。
【0036】
また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど、特に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛を添加することにより、加工性を改良することができるが、熱軟化温度、熱膨脹係数の点からは、その含有量は、40重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以下である。
【0037】
感光性有機成分としては、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうちの少なくとも1種類から選ばれた感光性成分を含有することが好ましく、更に、必要に応じて、光重合開始剤、光吸収剤、増感剤、有機溶媒、増感助剤、重合禁止剤を添加する。
【0038】
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、単官能または多官能性の(メタ)アクリレート類、ビニル系化合物類、アリル系化合物類などを用いることができる。これらは1種または2種以上使用することができる。
【0039】
感光性オリゴマー、感光性ポリマーとしては、炭素−炭素2重結合を有する化合物のうちの少なくとも1種類を重合して得られるオリゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際に、これらのモノマーの含有率が、10重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他の感光性のモノマーと共重合することができる。ポリマーやオリゴマーに不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、または、これらの酸無水物などが挙げられる。こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマー、もしくは、オリゴマーの酸価(AV)は、50〜180の範囲が好ましく、70〜140の範囲がより好ましい。以上示したポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性ポリマーや感光性オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
【0040】
光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5重量%の範囲で添加される。重合開始剤の量が少な過ぎると、光感度が低下する傾向にあり、光重合開始剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなり過ぎる傾向にある。
【0041】
光吸収剤を添加することも有効である。紫外光や可視光の吸収効果が高い化合物を添加することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。光吸収剤としては、有機系染料からなるものが好ましく用いられる、具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないので、光吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でも、アゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機系染料の添加量は、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜1重量%である。添加量が少なすぎると、光吸収剤の添加効果が減少する傾向にあり、多すぎると焼成後の絶縁膜特性が低下する傾向にある。
【0042】
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。増感剤を感光性ペーストに添加する場合、その添加量は、感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少な過ぎると光感度を向上させる効果が発揮されない傾向にあり、増感剤の量が多過ぎると、露光部の残存率が小さくなる傾向にある。
【0043】
有機溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチルラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0044】
感光性ペーストは、通常、上記の無機微粒子や有機成分を所定の組成になるように調合した後、3本ローラーや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0045】
次いで主隔壁と補助隔壁を有する格子状隔壁を形成する場合に好ましく適用する、塗布から露光までの2種類の方法を示す。
【0046】
第1の方法は補助隔壁の高さが主隔壁の高さより低い場合に好ましく適用される。まず乾燥・焼成による収縮分を考慮して補助隔壁高さに相当する厚みの感光性隔壁形成用ペーストを塗布、乾燥し、補助隔壁に対応した透光パターンを有するフォトマスクを、アドレス電極と透光パターンが垂直となるように配置し、露光する。
【0047】
次いで、乾燥・焼成による収縮分を考慮して1層目との合計で主隔壁の高さに相当する厚みとなるように、補助隔壁パターンが露光された感光性隔壁形成用ペースト塗布膜上に感光性隔壁形成用ペーストを塗布、乾燥し、主隔壁に対応する直線状のストライプのパターンを有するフォトマスクをアドレス電極と透光スリットが平行となるように配置し再び露光する。
【0048】
第2の方法は、補助隔壁と主隔壁の高さが同じ場合に好ましく適用される。まず収縮分を考慮した主隔壁および補助隔壁の高さに相当する厚みの感光性ペーストを塗布、乾燥し、透光ストライプ同士が直交するパターンを有する格子状のフォトマスクを、アドレス電極と一方の透光スリットが平行となるように配置する。
【0049】
これらの2種の方法において、感光性隔壁形成用ペーストを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどを用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0050】
また、塗布後の乾燥は、通風オーブン、ホットプレート、IR炉などを用いることができる。
【0051】
露光で使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。
【0052】
現像は、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行う。現像は、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行うことができる。
【0053】
現像液は、感光性ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液や炭酸ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0054】
次に、現像により得られた隔壁パターンは焼成炉にて焼成される。前述の感光性導電ペースト塗布膜パターンおよび誘電体層形成用ペースト塗布膜を含めた3層を同時に焼成することも可能である。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃が良い。 次いで所定のアドレス電極と平行方向に形成された隔壁間に、R(赤)G(緑)B(青)各色に発光する蛍光体層を形成する。蛍光体層は、蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗着させ、乾燥し、必要に応じて焼成することにより形成することができる。
【0055】
蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗着させる方法としては、スクリーン印刷版を用いてパターン印刷するスクリーン印刷法、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出するディスペンサー法、また、蛍光体ペーストの有機バインダーとして前述の感光性を有する有機成分を用いた感光性ペースト法により各色の蛍光体ペーストを所定の場所に塗着させることができるが、コストの理由からスクリーン印刷法、ディスペンサー法が本発明では好ましく適用される。
【0056】
塗着させた蛍光体層を必要に応じて、400〜550℃で焼成することにより、本発明のプラズマディスプレイ用部材である背面板を作製することができる。
【0057】
またこのような製造方法は背面板のみならず前面板にも適用できる。前面板の作製に用いる場合は、まずガラス基板上に走査電極、維持電極、および遮光層を形成する。電極を形成する方法としては、導電ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、感光性導電ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去して金属パターンを形成するフォトリソグラフィー法を用いることができる。こうして得られた電極パターンにUV照射によるキュアを行い、次に誘電体ペーストをスクリーン印刷法やスリットダイコート法によって塗布し、誘電体層を形成し、前記電極パターンと誘電体層を同時に焼成する。得られた基板に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層を真空蒸着法によって形成させ、前面板を作製する。こうして得られた基板は誘電体層に亀裂が入ることなく作製する事ができる。
【0058】
このような方法により得られた背面板と前面板とを対向配置し、周辺部をフリットガラス等の封着部材を用いて封着後、前面板と背面板との間の放電空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入することによりパネルが完成する。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明について実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。なお、実施例、比較例中の濃度(%)は重量%である。
【0060】
(比較例1、参考例1〜3、実施例1〜7)
まず、ガラス基板(42インチ)上に、感光性導電ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、乾燥させた。使用した感光性導電ペーストはバインダー樹脂である40%のメタクリル酸(MAA)、30%のメチルメタクリレート(MMA)および30%のスチレン(St)からなる共重合体にMAAに対して0.4当量のグリシジルメタクリレート(GMA)を付加反応させたポリマーを(12重量部)重合開始剤である4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(3.0重量部)、架橋剤であるトリメチロールプロパントリアクリレー(6重量部)とジプロピレングリコールモノメチルエーテル(20重量部)を50℃に加熱しながら溶解し、続いて、銀微粒子(平均粒子径1.5μm、比表面積0.80m/g、150重量部)および低融点ガラス粉末(ガラス転移点460℃、軟化点495℃、5重量部)を添加し、混練機を用いて混練して作製した。この乾燥膜を露光機にて400mJ/cm(i線基準)で露光した後、2g/lの2−アミノエタノール水溶液にて60秒の現像を行い、電極幅70μm、ピッチ160μmのアドレス電極となる感光性導電ペースト塗布膜パターンを得た。感光性導電ペースト塗布膜パターンの厚みとパターニング後の処理については表1に示す。次いで、アドレス電極が形成されたガラス基板上に、Bi/SiO/Al/ZnO/B=78/14/3/3/2(質量%)からなる体積平均粒子径2μmの低融点ガラス微粒子を60重量部、平均粒子径0.3μmの酸化チタン粉末を10重量部、エチルセルロース15重量部、テルピネオール15重量部からなる誘電体層をスクリーン印刷法により20μmの厚みで形成した。この乾燥膜に、感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により焼成後厚み120μmの隔壁を形成した。この隔壁形成用の感光性ペーストは以下の成分を配合、分散して用いた。
【0061】
ガラス粉末:Bi/SiO/Al/ZnO/B=82/5/3/5/3/2(質量%)からなり、平均粒径2μmのガラス粉末 67重量部
フィラー:平均粒径0.2μmの酸化チタン 3重量部
ポリマー:”サイクロマー”P(ACA250、ダイセル化学工業社製) 10重量部
有機溶剤(1):ベンジルアルコール 4重量部
有機溶剤(2):ブチルカルビトールアセテート 3重量部
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8重量部
光重合開始剤:ベンゾフェノン 3重量部
酸化防止剤:1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 1重量部
有機染料:ベージックブルー26 0.01重量部
チキソトロピー付与剤:N,N’−12−ヒドロキシステアリン酸ブチレンジアミン:0.5重量部
界面活性剤:ポリオキシエチレンセチルエーテル:0.49重量部。
【0062】
これらの電極、誘電体、隔壁が形成された基板を500℃にて15分保持して有機成分を除去し、590℃にて15分間焼成した。昇温速度は4℃/minである。次に、蛍光体層をディスペンサー法にて厚さ15μmに形成し、焼成して背面板を作製した。
【0063】
一方、前面板は、ガラス基板上に、フォトエッチング方によりITO電極を形成した後、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりバス電極パターンを形成した。しかる後、透明誘電体層をスクリーン印刷法により30μmの厚みで形成した。さらに、500nm厚のMgO膜を電子ビーム蒸着法により形成して、放電のための複数の電極を形成した前面板を得た。
【0064】
次に、前面板と背面板を対向配置し、周辺部を封着した後、表示領域内部の排気及びNe95%、Xe5%の混合ガスの封入を行って、種々のプラズマディスプレイパネルを完成させた。そのパネル点灯結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
(比較例1、参考例1〜3)
電極パターニング後、熱処理もUV照射も行わなかった比較例1では誘電体に亀裂が見られた。一方、処理で熱処理を行った参考例1〜3では全ての電極厚みにおいて、不灯の発生はなかった。ただし、これらは200℃という高温での熱処理を必要とする。
【0067】
(実施例1〜7)
また熱処理の代わりとしてUV処理を行った実施例について、電極厚みに応じて適切なUV照射量を与えた実施例では不灯のないパネルを作製する事ができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に金属微粉末と感光性有機成分を含む感光性導電ペーストを用いて感光性導電ペースト塗布膜パターンを形成し、該感光性導電ペースト塗布膜パターンに紫外線を照射した後、該感光性導電ペースト塗布膜パターンを覆うようにガラス粉末と有機成分を含む誘電体層形成用ペーストを塗布して誘電体層形成用ペースト塗布膜を形成し、該感光性導電ペースト塗布膜パターンと該誘電体層形成用ペースト塗布膜を同時に焼成することによって電極および誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
【請求項2】
ガラス基板上に金属微粉末と感光性有機成分を含む感光性導電ペーストを塗布し、乾燥し、パターン露光し、現像することによって前記感光性導電ペースト塗布膜パターンを得る請求項1に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
【請求項3】
前記感光性導電ペースト塗布膜パターンに紫外線を照射する際に使用する紫外線照射ランプが、波長280〜345nmの範囲の発光強度が波長345〜385nmの範囲の発光強度の0.3倍以上である請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。

【公開番号】特開2011−113925(P2011−113925A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271925(P2009−271925)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】