説明

プラズマディスプレイ装置用の両面接着部材及びそれを備えたプラズマディスプレイ装置

【課題】プラズマディスプレイ装置用の両面接着部材及びそれを備えたプラズマディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルと、プラズマディスプレイパネルの一面に配置され、プラズマディスプレイパネルを支持するシャーシベースと、プラズマディスプレイパネルとシャーシベースとの間に配置されるものであって、一面はプラズマディスプレイパネルに付着され、他面はシャーシベースに付着される両面接着部材と、を備え、両面接着部材は、プラズマディスプレイパネルと接着される第1接着層、シャーシベースと接着される第2接着層、及び第1接着層と第2接着層との間に接着結合されるものであって、第1接着層及び第2接着層よりせん断応力が小さな母材層を備えることを特徴とするプラズマディスプレイ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ装置用の両面接着部材及びそれを備えたプラズマディスプレイ装置に関し、さらに詳細には、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)がシャーシベースに支持されるように配置されたプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材及びそれを備えたプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ装置は、ガス放電現象を利用して画像を表示する平板ディスプレイ装置であって、薄型化が可能であり、広視野角を有する高画質の大画面を具現できて、最近、大型平板ディスプレイ装置として注目されている。プラズマディスプレイ装置には、ガラス基板で構成されたPDP及び前記PDPを支持するためのシャーシベースが備えられている。
【0003】
図1に示されたものは、一般的なPDPの支持構造についての概略的な断面図である。図面を参照すれば、PDP11は、前面基板12と背面基板13とで構成されており、前記背面基板13の背面には、熱伝導シート14が付着されている。PDP11は、一般的にアルミニウムのような金属材料で製作されたシャーシベース15によって支持される。前記シャーシベース15は、その後側に前記PDP11を駆動させる少なくとも一つ以上の回路基板17を支持する。
【0004】
PDP11は、両面接着テープ16を利用してシャーシベース15の前面に付着される。前記両面接着テープ16は、熱伝導シート14に対応する部分を回避しつつ、横及び縦方向に延びる。すなわち、両面接着テープ16と熱伝導シート14とは、相互に重ならないように配置され、両面接着テープは、所定間隔で配置される。
【0005】
この場合、前記両面接着テープ16は、単一素材からなる単一層を有し、その一表面に前記PDP11と接着される第1接着面16aを有し、前記一表面の反対表面に前記シャーシベース15と接触する第2接着面16bを有する。
【0006】
最近では、環境規制政策の一つとして、前記プラズマディスプレイ装置の廃棄が制限される趨勢であり、これを満足するために、プラズマディスプレイ装置のリペア性が切実に要求される。したがって、通常のガラスからなる前面基板12及び背面基板13を備えたプラズマディスプレイ装置と、通常の金属からなるシャーシベース15とを分離処分する必要がある。
【0007】
しかし、このような両面接着テープ16は、高いせん断応力を有し、単一層に形成されることによって、前記両面接着テープ16によって相互結合したPDP11及びシャーシベース15は、容易に脱着されず、これを脱着させるための別途の装備が必要であり、脱着作業に長時間がかかるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、PDPとシャーシベースとの間を容易に分離させうる構造を有するプラズマディスプレイ装置用の両面接着テープ及びそれを備えたプラズマディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の望ましい実施形態によるプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材は、第1接着層と、第2接着層と、母材層と、を備える。第1接着層の反対側には、第2接着層が形成され、前記第1接着層と第2接着層との間には、母材層が接触結合される。この場合、母材層は、前記第1接着層及び第2接着層よりせん断応力が小さい。
【0010】
前記母材層は、多孔性物質からなることが望ましく、また、前記母材層は、発泡素材からなりうる。
【0011】
前記第1接着層及び第2接着層は、アクリルまたはシリコン材質の接着剤でありうる。
【0012】
一方、本発明の実施形態によるプラズマディスプレイ装置は、PDPと、シャーシベースと、両面接着部材と、を備える。PDPを通じて画像が具現される。シャーシベースは、前記PDPの一面に配置され、前記PDPを支持する。両面接着部材は、前記PDPと前記シャーシベースとの間に配置されるものであって、一面は、前記PDPに付着され、他面は、前記シャーシベースに付着される。前記両面接着部材は、前記PDPと接着される第1接着層、前記シャーシベースと接着される第2接着層、及び前記第1接着層と第2接着層との間に接着結合されたものであって、前記第1接着層及び第2接着層よりせん断応力が小さな母材層を備える。
【0013】
前記母材層は、その熱伝導度が少なくとも0.1W/mK以上であることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材は、高い垂直応力を有して、PDPとシャーシベースとを堅固に結合させる一方、せん断応力を所定以下にして、分離回収時に前記PDPとシャーシベースとを容易に分離させうることによって、その分離時間が短縮し、リペア特性に優れ、結果的に、環境規制にも適している。
【0015】
これと共に、PDPから発生する熱を外部またはシャーシベースに円滑に伝達でき、ノイズも低減させうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の望ましい実施形態による両面接着部材を備えたプラズマディスプレイ装置の一例を示す斜視図、図3は、図2のIII−III線に沿う両面接着部材の構造を示す断面図である。
【0018】
図2及び図3を参照すれば、本発明の望ましいプラズマディスプレイ装置100は、PDP120と、前記PDP120を支持するシャーシベース140と、両面接着部材160と、を備える。
【0019】
前記PDP120は、前面基板121と、前記前面基板121に対向して結合する背面基板122と、を備える。ここに、図面には示されていないが、隔壁と、維持電極対と、アドレス電極と、蛍光体層と、を備え、前記電極の間に発生するプラズマ放電を利用して画像を具現する。
【0020】
前記PDP120の後方には、シャーシベース140が配置され、前記PDPとシャーシベースとは、両面接着部材160によって結合する。
【0021】
また、前記シャーシベース140の背面には、回路部150が配置されうるが、この回路部は、ロジック基板、電源基板及びロジックバッファ基板など複数の回路基板からなり、前記PDP120を駆動する機能を果す。前記回路部150は、前記PDP120の電極と信号伝達部材170とによって連結される。
【0022】
前記PDP120と前記シャーシベース140との間には、熱伝導シート130が介在されうる。この場合、特に、図3に示したように、前記熱伝導シート130の一面が前記PDP120に付着されて前記PDP120から発生する熱を外部またはシャーシベース140側に伝達する機能を果す。前記熱伝導シート130の他面は、シャーシベース140と接触されてもよく、図3に示したように、接触されなくてもよい。
【0023】
本発明の望ましい実施形態によるプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材160は、特に、図3に示したように、第1接着層161と、第2接着層162と、母材層165と、を備える。第1接着層161の前面161aは、PDP120に接着される。第2接着層162の背面162bは、前記シャーシベース140と接着される。すなわち、第1接着層161及び第2接着層162は、テープの機能を果し、この場合、前記第1接着層161及び第2接着層162は、アクリルまたはシリコン材質の接着剤でありうる。
【0024】
母材層165は、前記第1接着層161と第2接着層162との間に形成されたものであって、その前面165aが前記第1接着層161の背面161bと接触結合し、母材層の背面165bが前記第2接着層162の前面162aに接着結合され、前記第1接着層161及び第2接着層162より小さなせん断応力を有する。すなわち、母材層165は、前記第1接着層161及び第2接着層162よりせん断力により容易に組織が破壊される物質であることが望ましい。
【0025】
したがって、プラズマディスプレイ装置100において、PDP120とシャーシベース140とを分離させる必要がある場合、特に、図4に示したように、前記第1接着層161及び第2接着層162より小さなせん断応力を有する前記母材層165にせん断力を加えることによって、前記一つの母材層165を二層に分離させて簡単にPDPとシャーシベースとを分離させうる。この場合、前記母材層165にせん断力を加える手段Knとしては、ナイフなどが利用されうる。
【0026】
この場合、前記母材層165は、垂直引っ張りまたは垂直圧縮には強い物質からなることが望ましい。これと共に、前記母材層165は、前記第1接着層161と第2接着層162との間の接着力を高めるために一定の弾性を有することが望ましい。この場合、前記両面接着部材160に備えられた母材層165は、少なくとも前記シャーシベース140とPDP120との間の間隔を制御できる機能を有さねばならず、したがって、弾性が過度に大きくないことが望ましい。
【0027】
これと共に、前記両面接着部材160は、前記PDP120から発生する熱を外部またはシャーシベース140側に熱伝達できることが望ましく、このために、前記両面接着部材160の熱伝導度が0.1W/mK以上となるように母材層165が形成されうる。
【0028】
このような機能を果すためには、前記母材層165が多孔性物質からなることが望ましい。すなわち、多孔性物質である場合、せん断力が発生する時に容易に分離され、組織の中央部に小さな孔が形成されることによって所定の弾性力を有することができ、その小さな孔を通じて外部への熱伝導性も向上するためである。この場合、前記母材層165は、発泡素材からなることがさらに望ましい。
【0029】
また、図2及び図3を再び参照すれば、母材層165を備えた両面接着部材160が使われれば、PDP120から発生するノイズ低減効果も得られる。すなわち、PDP120の前面基板121と背面基板122との間には、放電のためにガスが封じ込まれるが、前記PDP120のエッジでは、このようなガスの圧力による空隙が発生することが知られている。この状態でPDP120が駆動すれば、前記空隙では、振動とそれによるノイズとが発生するが、それがシャーシベース140にそのまま伝えられて、背面ノイズを誘発させる。しかし、本発明のように、両面接着部材160の母材層165が多孔性物質からなることによって、PDP120の側面での隔壁の端部において生じる振動を母材層165が吸収して、パネルのノイズを低減させる。すなわち、前記PDP120でのノイズ/振動が母材層165の小さな孔によって外部と接触してエネルギーが消耗されると同時に、前記母材層165の緩衝によって吸収されることによってエネルギーが消耗されて、ノイズが低減する。
【0030】
一方、前記PDP120と前記シャーシベース140との間に熱伝導シート130が介在される場合には、前記両面接着部材160が前記PDP120と前記シャーシベース140との間に前記熱伝導シート130と重ならないように配置されることが望ましい。
【0031】
この場合、前記両面接着部材160の厚さは、熱伝導シート130より厚いこともあるが、これにより、前記PDP120と一面が接着された熱伝導シート130とシャーシベース140との間にギャップが形成されうる。PDP120から発生し、前記熱伝導シート130を通じて前記ギャップへ伝達され熱は、空気の対流現象によって冷却され、または、母材層165を通じて外部に円滑に放出されうる。
【0032】
本発明は、前記実施形態に限定されず、特許請求の範囲で定義された発明の思想及び範囲内で当業者によって変形及び改良されうる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、プラズマディスプレイ装置関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来のPDPの支持構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態によるプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材を備えたプラズマディスプレイ装置を概略的に示す分解斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2の両面接着部材の分離時の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
100 プラズマディスプレイ装置、
120 PDP、
121 前面基板、
122 背面基板、
130 熱伝導シート、
140 シャーシベース、
150 回路部、
160 両面接着部材、
161 第1接着層、
162 第2接着層、
165 母材層、
170 信号伝達部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接着層と、
前記第1接着層の反対側に形成される第2接着層と、
前記第1接着層と第2接着層との間に接触結合されるものであって、前記第1接着層及び第2接着層よりせん断応力が小さな母材層と、を備えたことを特徴とするプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材。
【請求項2】
前記母材層は、多孔性物質からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材。
【請求項3】
前記母材層は、発泡素材からなることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材。
【請求項4】
前記第1接着層及び第2接着層は、アクリルまたはシリコン材質の接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材。
【請求項5】
前記母材層は、その熱伝導度が少なくとも0.1W/mK以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置用の両面接着部材。
【請求項6】
プラズマディスプレイパネルと、
前記プラズマディスプレイパネルの一面に配置され、前記プラズマディスプレイパネルを支持するシャーシベースと、
前記プラズマディスプレイパネルと前記シャーシベースとの間に配置されるものであって、一面は、前記プラズマディスプレイパネルに付着され、他面は、前記シャーシベースに付着される両面接着部材と、を備え、
前記両面接着部材は、前記プラズマディスプレイパネルと接着される第1接着層、前記シャーシベースと接着される第2接着層、及び前記第1接着層と第2接着層との間に接着結合されるものであって、前記第1接着層及び第2接着層よりせん断応力が小さな母材層を備えたことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項7】
前記母材層は、多孔性物質からなることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項8】
前記母材層は、発泡素材からなることを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1接着層及び第2接着層は、アクリルまたはシリコン材質の接着剤であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項10】
前記母材層は、その熱伝導度が少なくとも0.1W/mK以上であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項11】
前記両面接着部材と重ならない位置の前記プラズマディスプレイパネルの背面に接着された一面を有する熱伝導シートをさらに備え、
前記熱伝導シートは、前記両面接着部材の厚さより薄いことを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−328392(P2006−328392A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133316(P2006−133316)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】