説明

プラズマ切断装置およびプラズマトーチの冷却方法

【課題】プラズマトーチのノズルへ供給される冷却液の流量を増大させ、プラズマトーチの寿命を延ばす。
【解決手段】プラズマトーチ(10)内で、電極(80)に冷却液を供給する電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と、ノズル(88)に冷却液を供給するノズル冷却液水通路(56、70、92、72および68)とが、並列つまり独立な水路として分離され、互いに電気的に絶縁されている。ノズル冷却液通路には、電極冷却液通路よりも大きい流量で冷却水が流される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ切断装置及びプラズマトーチに関わり、特にプラズマトーチを冷却するための技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマトーチの電極およびノズルは高温のプラズマアークに直接さらされる。電極とノズルの高熱による損耗を抑制するために、通常、電極の内側とノズルの外側に冷却水が流されて、電極とノズルが冷却される(特許文献1)。一般に、冷却水は、プラズマ切断装置の外部に設置されたクーラユニットの水タンクからポンプによりトーチに圧送される。トーチ内では、冷却水は、まず、トーチの基端部を通り、電極内部の水通路に入って電極を冷却し、その後、ノズルの外面を包囲する水通路に入ってノズルを冷却する。その後、冷却水は、トーチの基端部を通ってトーチ外へ出て、上記クーラユニットの熱交換器(ラジエータ式あるいはチラー式)に入って放熱し、その後、再び上記水タンクに戻る。このように、冷却水は、クーラユニットから出てトーチ内の電極とノズルを順に通過してクーラユニットへ戻るという1ループの水冷回路を循環する。
【0003】
電極の寿命向上のためには、電極の先端部の耐熱インサート(ハフニウムやジルコニウムのような高融点金属)のできるだけ近傍に、高速に大量の水を流すことが効果的であることが判っている。一般に、トーチ基端部から突き出た冷却水供給パイプが、電極の内部の水通路(電極の基端面から電極先端部の耐熱インサートの直ぐ背後の深さまで延びたブライドホール)内に、その底近傍の深さまで深く挿入されている。その水通路の底面とパイプの先端面との間の隙間を狭くすることで、その水通路の底面を通過する冷却水の流速が上がり、耐熱インサートの冷却の効率がより良くなり、電極の寿命が延びる。この目的のために、電極内部の水通路の底面とパイプの先端面とを相対的に精度良く位置決めするための技術が知られている(特許文献2)。
【0004】
ノズルについても、その冷却効率を改善することでノズルの耐久性が向上することが判っている。この目的のために、ノズルの水冷面積をより広くする技術が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2640707号公報
【特許文献2】米国特許公開第2005/92718号公報
【特許文献3】特開2005−118816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によれば、トーチ内では、電極内の水通路とノズル周囲の水通路とが直列に接続されて完全に一本の通路を構成している。従って、ポンプからトーチに圧送された冷却水は全て、電極内の水通路を流れた後に、ノズル周囲の水通路に流入する。特許文献2で提案されているように、電極内の水通路の底近傍では、非常に狭い隙間を冷却水が通る。それ故、電極内での圧力損失が大きい。一方、ノズル冷却用の水通路での圧力損失は、電極内でのそれに比較して小さい。例えば、或るありふれたトーチの仕様に従えば、電極内の水通路に10リットル/分で水を供給するためには0.7MPa程度の圧力が必要であり、これに対して、ノズル冷却用の水通路に10リットル/分で水を供給するためには0.1MPa程度の圧力で十分である。換言すれば、ノズル冷却用の水通路のみに30リットル/分で冷却水を流しても、その水通路での圧力損失は0.1×3×3=0.9MPa程度にすぎないのに対し、電極内に30リットル/分で水を流したならば、電極内での圧力損失は6.3MPaという非常に大きな値になってしまう。
【0007】
上に例示したような仕様のトーチへ冷却水を圧送するために、最大吐出圧が1MPa(10kg/cm2)程度のポンプが通常使用される。その場合、上述したように、大よそ10リットル/分の流量で水を供給したとき、トーチ内の圧力損失は0.7+0.1=0.8MPa程度であり、これはポンプの最大吐出圧に近い。従って、ノズルとトーチに供給できる水流量の上限は大よそ10リットル/分である。このように、電極とトーチへ供給される冷却水の流量は、互いに等しく、主として電極内での圧力損失により規定される。しかし、熱によるノズルの損耗の影響は、切断品質の劣化に直接的に現れるので、これを抑制するために、ノズルに供給される冷却水流量を増大させたいという要求がある。
【0008】
ポンプの吐出圧を高めれば、水流量が増大し、電極もノズルの寿命が延びる。しかし、ポンプの吐出圧をN倍に増大させたとき、水流量の増大率は、N倍ではなく、Nの1/2乗倍にすぎない。例えば、ポンプの最大吐出圧を2倍に増大させても、水流量の増大率は1.4倍に止まる。他方、トーチにかかる水圧は2倍に増大するから、水漏れを防ぐために、電極とノズルの水シール部の耐圧を2倍以上に強化する必要が生じる。水シール部を強化すると、電極とノズルの交換時の取り外しがより困難となる、という新たな問題が生じる。
【0009】
また、電極とノズル間には電圧が印加される。従って、トーチ内で近接して相互接続された電極内部の水通路とトーチ周囲の水通路には電流が流れる。それが原因で、トーチ内部の金属部品に電気腐食が生じ、それがトーチ全体の寿命を決めている。
【0010】
従って、本発明の目的は、プラズマトーチのノズルへ供給される冷却液の流量を、増大させることにある。
【0011】
別の目的は、プラズマトーチの寿命を延ばすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面に従えば、電極とノズルを有するプラズマトーチと、前記プラズマトーチへ冷却液を供給するための冷却液供給装置とを備えたプラズマ切断装置において、前記プラズマトーチが、前記冷却液供給装置からの冷却液を前記電極へ提供する電極冷却液通路と、前記冷却液供給装置からの冷却液を前記ノズルへ提供するノズル冷却液通路とを有し、前記冷却液供給装置からの冷却液の流れの少なくとも一部が前記電極冷却液通路と前記ノズル冷却液通路とに分かれるように、前記電極冷却液通路の少なくとも一部と前記ノズル冷却液通路の少なくとも一部が、並列に存在しているプラズマ切断装置が提供される。
【0013】
本発明のプラズマ切断装置では、プラズマトーチの電極冷却液通路の少なくとも一部とノズル冷却液通路の少なくとも一部とが、並列に、つまり独立して、存在している。換言すれば、プラズマトーチの電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが完全に一本の通路を構成するように直列接続されてはいない。このような並列つまり独立な2つの冷却液通路をもつ構成により、電極へ供給される冷却液の流れの少なくとも一部とノズルに供給される冷却液の流れの少なくとも一部は互いに独立し、電極とノズルにそれぞれに特有の流量で冷却液を供給することができる。そのため、従来技術より容易に、ノズルへの冷却液の流量を増大させることが可能である。
【0014】
一つの実施形態では、プラズマトーチ内で、電極冷却液通路の全体とノズル冷却液通路の全体とが、プラズマトーチ内で互いに分離され独立に存在している。この場合、電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが、プラズマトーチ内で互いに電気的に絶縁されていてよい。これにより、プラズマトーチの電気腐食の問題が低減される。
【0015】
他方、別の実施形態では、電極冷却液通路の一部とノズル冷却液通路の一部とが接続されている。後者の場合であっても、電極冷却液通路の少なくとも一部とノズル冷却液通路の少なくとも一部が並列つまり独立に存在するので、電極とノズルにそれぞれに特有の流量で冷却液を供給することができる。
【0016】
プラズマトーチの電極冷却液通路とノズル冷却液通路とは、別個の異なる入口を有していてもよいし、あるいは、一つの共通の入口を有していてもよい。また、電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが、別個の異なる出口を有していてもよいし、あるいは、一つの共通の出口を有していてもよい。電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが別個の異なる入口を有する場合、それら別個の入口がプラズマトーチ外で相互接続されてもよいし、されなくてもよい。同様に、電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが別個の異なる出口を有する場合、それら別個の出口がプラズマトーチ外で相互接続されてもよいし、されなくてもよい。
【0017】
好適な一つの実施形態では、プラズマトーチの電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが、別個の異なる入口を有し、冷却液供給装置は、第1の冷却液出口と、前記第1の冷却液出口とは別の第2の冷却液出口とを有し、そして、前記第1の冷却液出口が前記電極冷却液通路の入口へ電極冷却液供給管により接続され、前記第2の冷却液出口が前記ノズル冷却液通路の入口へ、前記電極冷却液供給管とは別のノズル冷却液供給管により接続される。このように、プラズマトーチ内だけでなく、プラズマトーチ外でも、電極へ冷却液を供給するための電極冷却液供給管と、ノズルへ冷却液を供給するためのノズル冷却液供給管とが別個に設けられることより、電極とノズルにそれぞれの冷却に適した特有の流量で冷却液を供給することが、一層容易である。
【0018】
さらに、上記実施形態では、前記冷却液供給装置が、前記電極を冷却するための第1の冷却液を前記第1の冷却液出口から吐出し、前記ノズルを冷却するための第2の冷却液を前記第2の冷却液出口から吐出し、そして、前記第1の冷却液の流量と前記第2の冷却液の流量とを、別個に設定又は制御する冷却液吐出装置をさらに有する。電極へ供給される第1の冷却液の流量とノズルへ供給される第2の冷却液の流量とを別途に設定又は制御することにより、電極とノズルにそれぞれの冷却に適した特有の流量で冷却液を供給することが、さらに一層容易である。
【0019】
ノズルへ供給される第2の冷却液の流量は、電極へ供給される第1の冷却液の流量より大きい値に設定又は制御されてよい。これにより、ノズルの耐久性が向上し、切断品質の劣化の問題を軽減することができる。
【0020】
さらに、上記実施形態では、プラズマトーチの電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが別個の異なる出口を有し、冷却液供給装置は、第1の冷却液入口と、前記第1の冷却液入口とは別の第2の冷却液入口とを有し、そして、前記第1の冷却液入口が、前記電極冷却液通路の出口へ、電極冷却液戻し管により接続され、前記第2の冷却液入口が前記ノズル冷却液通路の出口へ、前記電極冷却液戻し管とは別のノズル冷却液戻し管により接続される。このように、プラズマトーチ外で、冷却液供給装置から電極とノズルへ冷却液を供給するために、別個の冷却液供給管を用いるだけでなく、電極とノズルから冷却液供給装置へ冷却液を戻すためにも、別個の冷却液戻し管を用いることにより、プラズマトーチ内の電極冷却液通路とノズル冷却液通路とをより一層良好に互いに電気的に絶縁することが容易である。これにより、プラズマトーチの電気腐食の問題をより効果的に改善できる。
【0021】
本発明の別の側面に従えば、上述した構成のプラズマトーチが提供される。本発明のまた別の側面に従えば、上述した構成の冷却水供給装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プラズマトーチのノズルへ供給される冷却液の流量を、増大させることができる。
【0023】
また、プラズマトーチ内で電極冷却液通路とのノズル冷却液通路とが分離され電気的に絶縁されている場合、プラズマトーチの電気腐食の問題も改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における水冷回路の構成を示す回路図。
【図2】本発明の一実施形態におけるプラズマトーチ内の冷却水通路の構造を示す、プラズマトーチの縦断面図。
【図3】図2に示すプラズマトーチを基端側から見たときの複数の冷却液輸送管の配置を示す図。
【図4】図2のA−A線に沿った断面における、ノズル冷却液インテイク路とノズル冷却液エグゾースト路の断面形状を簡単に示した図。
【図5】本発明の変形実施形態におけるプラズマトーチの冷却液通路の構造を示す、プラズマトーチの縦断面図。
【図6】本発明の別の変形実施形態におけるプラズマトーチの冷却液通路の構造を示す、プラズマトーチの縦断面図。
【図7】本発明のまた別の変形実施形態におけるプラズマトーチの冷却液通路の構造を示す、プラズマトーチの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態にかかるプラズマ切断装置について説明する。プラズマ切断装置は、プラズマトーチを用いてワークピースを切断する装置である。プラズマトーチは着脱可能なる電極とノズルを有し、電極はプラズマアークを発生する役目を持ち、ノズルは、電極の外側に配置されて、プラズマアークを絞ってワークピースに向けて噴射する役目をもつ。以下では、本発明の一実施形態にかかるプラズマ切断装置における特にプラズマトーチの冷却に関わる部分に焦点を絞って、図面を参照しつつ説明を行う。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態にかかるプラズマ切断装置における、プラズマトーチへ冷却液、この実施形態では例えば水(以下、冷却水という)、を供給するための液冷回路を示す。ここで、この液冷回路のトーチ内の部分は図1では図示省略されているが、これは後に図2から図4を参照して詳述する。
【0027】
この液冷回路は、プラズマトーチ10内の電極を冷却するための冷却水が循環する電極液冷回路と、プラズマトーチ10内のノズルを冷却するための冷却水が循環するノズル液冷回路とを有する。そして、電極液冷回路とノズル液冷回路は、それぞれ内の冷却水の流量が実質的に他方内の流量の影響を受けないような態様で(例えば並列に)設けられている。以下、具体的に説明する。
【0028】
図1に示すように、冷却水を蓄積し、冷却水をプラズマトーチ10へ送り出し、そして、プラズマトーチ10から戻ってきた冷却水を冷却して再び送り出すためのクーラユニット20が、プラズマトーチ10の外部に設置される。クーラユニット20は、4本の冷却液輸送管、すなわち、電極冷却液供給管12、電極冷却液戻り管16、ノズル冷却液供給管14およびノズル冷却液戻り管18を介して、プラズマトーチ10と接続される。電極冷却液供給管12は、プラズマトーチ10内の電極を冷却するための水をプラズマトーチ10へ送るための管であり、電極冷却液戻り管16は、電極を冷却し終わった冷却水をクーラユニット20へ戻すための管である。ノズル冷却液供給管14は、プラズマトーチ10内のノズルを冷却するための水をプラズマトーチ10へ送るための管であり、ノズル冷却液戻り管18は、ノズルを冷却し終わった冷却水をクーラユニット20へ戻すための管である。後に詳述するように、プラズマトーチ10内では、電極へ冷却水を提供する電極冷却液通路と、ノズルへ冷却水を提供するノズル冷却液通路とが、従来のように直列接続されて完全に一本の通路を構成する(つまり、双方の通路の流量が等しくならざるを得ない)のではなく、電極冷却液通路の全体とノズル冷却液通路の全体とが完全に分離された独立の通路として設けられている。従って、電極冷却液供給管12からプラズマトーチ10に供給された冷却水は全て、プラズマトーチ10内の電極冷却液通路のみを流れてから、電極冷却液戻り管16へ出る。他方、ノズル冷却液供給管14からプラズマトーチ10に供給された冷却水は全て、ノズル冷却液通路のみを流れてから、ノズル冷却液戻り管18へ出る。それ故、電極とノズルへ、それぞれの冷却に適した特有の流量で冷却水を供給することができる。
【0029】
クーラユニット20は、プラズマトーチ10へ供給されるべき冷却水をクーラユニット20外へ吐出するための2つの別個の冷却液出口27と31を有し、また、プラズマトーチ10から排出された冷却水をクーラユニット20内へ戻すための2つの別個の冷却液入口35と33を有する。また、クーラユニット20内には、冷却水を蓄える冷却液タンク22があり、2本の冷却液出力管28と24が冷却液タンク22の水中部分から外へ出ている。第1の冷却液出力管24の出口は、第1のポンプ26の冷却液入口に接続され、第1のポンプ26の冷却液出口は、クーラユニット20の第1の冷却液出口27に接続され、そして、第1の冷却液出口27に、電極冷却液供給管12の入口が接続される。第2の冷却液出力管28の出口は、第2のポンプ30の冷却液入口に接続され、第2のポンプ30の冷却液出口は、クーラユニット20の第2の冷却液出口31に接続され、そして、第2の冷却液出口31に、ノズル冷却液供給管14の入口に接続される。また、電極冷却液戻り管16の出口が、クーラユニット20の第1の冷却液入口33に接続され、そして、ノズル冷却液戻り管18の出口が、クーラユニット20の第2の冷却液入口35に接続される。クーラユニット20の第1と第2の冷却液入口33と35は、クーラユニット20内にて、一本の第1の共通冷却液戻り管32の入口に接続され、この第1の共通冷却液戻り管32の出口は熱交換器34の入口に接続され、熱交換器34の出口は第2の共通冷却液戻り管36の入口に接続され、そして、第2の共通冷却液戻り管36の出口は水タンク22内の水面上方に開口する。
【0030】
電極液冷回路は、冷却液タンク22、第1冷却液出力管24、第1ポンプ26、電極冷却液供給管12、トーチ10内部の電極冷却液通路、電極冷却液戻り管16、第1共通冷却液戻り管32、熱交換器34及び第2共通冷却液戻り管36から構成され、そこでは、冷却水はこれらの構成要素をこの順序で流れ且つ循環する。また、ノズル液冷回路は、冷却液タンク22、第2冷却液出力管28、第2ポンプ30、ノズル冷却液供給管14、トーチ10内部のノズル冷却液通路、ノズル冷却液戻り管18、第1共通冷却液戻り管32、熱交換器34及び第2共通冷却液戻り管36から構成され、そこでは、冷却水はこれらの構成要素をこの順序で流れ且つ循環する。
【0031】
電極液冷回路は、電極に供給される冷却水の流量が電極冷却用に予め設定された目標流量になるように、動作する。ノズル水冷回路は、ノズルに供給される冷却水の流量がノズル冷却用に予め設定された目標流量になるように、動作する。後の説明から分かるように、電極冷却用の目標流量よりも、ノズル冷却用の目標流量の方が大きい。さらに、クーラユニット20には、電極液冷回路に流れる(つまり電極に供給される)冷却水の流量を検出する第1流量センサ34と、ノズル液冷回路に流れる(つまりノズルに供給される)冷却水の流量を検出する第2流量センサ36と、第1流量センサ34で検出された流量が電極冷却用に予め設定された最低流量を下回ったか、第2流量センサ36で検出された流量がノズル冷却用に予め設定された最低流量を下回ったときに、アラーム発生などの所定の異常処理を行なう流量監視装置38とを設けられる。
【0032】
図1に点線で示すように、2以上のプラズマトーチ10と40が存在してもよい。この場合に、それら異なるプラズマトーチ10と40が、一つの同じクーラユニット20に並列接続されてよい。そのような一つのクーラユニット20は、異なるプラズマトーチ10と40に共用される1つの冷却液タンクと、異なるプラズマトーチ10と40の電極とノズルにそれぞれ割り当てられた複数のポンプとを備えてよい。変形例として、異なるプラズマトーチ10と40が、それぞれ、別個の異なるクーラユニット20に接続されてもよい。
【0033】
図2は、プラズマトーチ10内の冷却液通路の構造を示す、プラズマトーチ10の中心軸に沿った縦断面図である。
【0034】
図2に示すように、合成樹脂のような絶縁材料製の円筒形のアウタースリーブ50があり、アウタースリーブ50の内側に、金属製のインナースリーブ52が嵌めこまれている。アウタースリーブ50は、例えば、熱可塑性のエポキシ樹脂などで作られ、金属製のインナースリーブ52を包み込む形で例えば樹脂注入成形型により造形される。アウタースリーブ50とインナースリーブ52の基端部には、その外側から、金属製の4本の冷却液輸送管54、58、62および66が差し込まれて固定されている。これらの冷却液輸送管54、58、62および66は、具体的には、プラズマトーチ10内にノズル冷却用の冷却水を取り入れるためのノズル冷却水インテイク管54、プラズマトーチ10内に電極冷却用の冷却水を取り入れるための電極冷却液インテイク管58、プラズマトーチ10外へ電極冷却用の冷却水を排出するための電極冷却液エグゾースト管62、および、プラズマトーチ10外へノズル冷却用の冷却水を排出するためのノズル冷却液エグゾースト管66である。ノズル冷却液インテイク管54と電極冷却液インテイク管58とは別個の入口を有する。ノズル冷却液インテイク管54の入口には入口継手53が設けられ、この入口継手53に、クーラユニット20から来るノズル冷却液供給管14(図1)の出口が接続される。電極冷却液インテイク管58の入口には入口継手57が設けられ、この入口継手57に、クーラユニット20から来る電極冷却液供給管12(図1)の出口が接続される。電極冷却液エグゾースト管62とノズル冷却液エグゾースト管66とは、別個の出口を有する。電極冷却液エグゾースト管62の出口には出口継手61が設けられ、この出口継手61に、クーラユニット20へ行く電極冷却液戻り管16の入口が接続される。ノズル冷却液エグゾースト管66の出口には、出口継手65が設けられ、この出口継手65に、クーラユニット20へ行くノズル冷却液戻り管18(図1)の入口が接続される。
【0035】
図3は、プラズマトーチ10をその基端側から見たときの上述した各種導水管の配置を示すものである。図3に示すように、プラズマトーチ10の外部から来るノズル冷却液供給管14、電極冷却液供給管12、電極冷却液戻り管16及びノズル冷却液戻り管18は、やはり外部から来るプラズマガス供給管100およびアシストガス供給管104とともに、プラズマトーチ10の中心軸を中心とした円にほぼ沿って配置される。これに対し、ノズル冷却液インテイク管54、電極冷却液インテイク管58、電極冷却液エグゾースト管62およびノズル冷却液エグゾースト管66のインナースリーブ52の基端部に結合された部分は、プラズマトーチ10の中心軸を通る径線にほぼ沿って配置されている。そこで、これらの管の一部、例えば、電極冷却液インテイク管58および電極冷却液エグゾースト管62は、それぞれ、インナースリーブ52外の部分にて屈曲してから、電極冷却液供給管12および電極戻り管16と接続される(しかし、図2では、これらの管の屈曲形状は図示省略されている)。なお、プラズマガス供給管100およびアシストガス供給管104は、それぞれ、プラズマトーチ10内のプラズマガスインテイク管102およびアシストガスインテイク管106に接続される(図2では、図示省略)。
【0036】
再び図2を参照して、アウタースリーブ50の壁内には、その基端面から先端面へと、2本の冷却液通路路70と72が貫通している。一方の冷却液通路(以下、近接ノズル冷却液インテイク路という)70の入口は、ノズル冷却液インテイク管54内の冷却液通路(以下、末端ノズル冷却液インテイク路という)56の出口に接続し、他方の冷却液通路(以下、近接ノズル冷却液エグゾースト路という)72の出口は、ノズル冷却液エグゾースト管66内の冷却液通路(以下、末端ノズル冷却液エグゾースト路という)68の入口に接続する。
【0037】
アウタースリーブ50の先端面の内側部分上に、金属製のノズル88が着脱可能に固定される。アウタースリーブ50の先端部分に、シールドキャップ90が外嵌されかつ着脱可能に固定される。シールドキャップ90は、ノズル88のほぼ全体を外側から包囲する。ノズル88の外面とシールドキャップ90の内面との間の空間が、そこを流れる冷却液がノズル88の外面に直接接するノズル冷却液ジャケット路92を構成する。ノズル冷却液ジャケット路92の入口は、近接ノズル冷却液インテイク路70の出口に接続し、ノズル冷却液ジャケット路92の出口は、近接ノズル冷却液エグゾースト路72の入口に接続する。
【0038】
図4は、図2のA−A線に沿った断面における、近接ノズル冷却液インテイク路70と近接ノズル冷却液エグゾースト路72の断面形状を簡単に示したものである。図4に示すように、近接ノズル冷却液液インテイク路70と近接ノズル冷却液エグゾースト路72のそれぞれの断面形状は、プラズマトーチ10の中心軸を中心とした円に沿って延びた長円形であり、それにより、プラズマトーチ10の外径を出来るだけ拡大させずに、それぞれの冷却液通路70と72の断面積をできるだけ大きくすることができる。なお、図4中の参照番号108と110は、それぞれ、プラズマガス通路とアシストガス通路を示している。
【0039】
再び図2を参照して、インナースリーブ52の先端部分に、金属製の電極80が着脱可能に固定される。インナースリーブ52の先端部に外嵌されたセラミックのような耐熱性の絶縁筒76が、電極80とノズル88の間の電気絶縁を確実にする。電極80の内部は空洞であり、その空洞は電極80の基端部で開口して、インナースリーブ52の内部空間に連通する。電極冷却液挿入管78が、インナースリーブ52の内部空間内に、インナースリーブ52と同心に配置される。電極冷却液挿入管78の入口は、インナースリーブ52の基端部に固定され、そこで、電極冷却液インテイク管58の出口に接続される。電極冷却液挿入管78の前方部分は、電極80内の空洞内に深く差し込まれて、電極冷却液挿入管78の出口が、電極80の先端部の耐熱インサート82の直ぐ背後の位置で開口する。電極冷却液挿入管78の内側空間が、冷却水を電極80の先端部の近傍へ導くための通路(以下、近接電極冷却液インテイク路という)84を構成する。近接電極冷却液インテイク路84の入口は、電極冷却液インテイク管58内の冷却液通路(以下、末端電極冷却液インテイク路という)60の出口に接続する。
【0040】
電極冷却液挿入管78の外面と電極80の内面との間の空間が、そこを流れる冷却水が電極80の内面に直接接する電極冷却液コア路85を構成する。電極冷却液挿入管78の外面とインナースリーブ52の内面との間の空間が、電極冷却液コア路85から冷却液を排出するための通路(以下、近接電極冷却液エグゾースト路)86を構成する。電極冷却液コア路85の入口は、耐熱インサート82の直ぐ背後の位置にて、近接電極冷却液インテイク路84の出口に接続し、電極冷却液コア路85の出口は、電極80の基端部の位置にて、電極冷却液エグゾースト路86の入口に接続する。電極冷却液エグゾースト路86の出口は、インナースリーブ52の基端部の位置にて、電極冷却液エグゾースト管62内の冷却液通路(以下、末端電極冷却液エグゾースト路という)64の入口に接続する。
【0041】
上記構造を持つプラズマトーチ10において、電極を冷却するための電極冷却液通路は、末端電極冷却液インテイク路60、近接電極冷却液インテイク路84、電極冷却液コア路85、近接電極冷却液エグゾースト路86および末端電極冷却液エグゾースト路64から構成され、この順序でこれらの通路に冷却水が流れる。他方、ノズルを冷却するためのノズル冷却液通路は、末端ノズル冷却液インテイク路56、近接ノズル冷却液インテイク路70、ノズル冷却液ジャケット路92、近接ノズル冷却液エグゾースト路72および末端ノズル冷却液エグゾースト路68から構成され、この順序でこれらの通路に冷却水が流れる。プラズマトーチ10内において、上記の電極冷却液通路と、上記のノズル冷却水通路とは、相互間の接続がなく、完全に独立した別の水路として分離されており、電気的にも互いに絶縁されている。従って、電極用の冷却水の流量と、ノズル用の冷却水の流量は、それぞれの冷却水通路での圧力損失と、それぞれのポンプ26と30(図1)からの水圧とに基づいて、互いに独立して決まる、固有の値になることができる。従来のように、一方の冷却液通路での圧力損失が、他方の冷却液通路での流量を制限してしまうことがない。とりわけ、電極冷却液通路での圧力損失は、ノズル冷却液通路でのそれに比べて遥かに大きいのであるが、ノズル冷却液通路の流量は、電極冷却液通路での圧力損失の影響を受けないので、ノズル用の冷却水を従来より大量に流すことが可能である。
【0042】
例えば、従来技術に関連して既に説明したように、或るありふれた仕様の従来のプラズマトーチの場合、ポンプの吐出圧が0.8MPaであれば、約10リットル/分が電極用とノズル用の双方の冷却水流量の上限であり、その上限流量を流した場合、電極冷却液通路で約0.7MPaの圧力損失があり、ノズル冷却液通路では約0.1MPaの圧力損失がある。これに対し、各冷却液通路での圧力損失の程度が上記例と同等である本実施形態のプラズマトーチでは、ポンプ26と30の各々の吐出圧が上記例と同じ0.8MPaであれば、電極へは従来の流量の約「8/7の0.5乗」倍である約10.6リットル/分、ノズルへは従来の流量の約「8の0.5乗」倍である28リットル/分で、冷却水を流すことができる。この例から分かるように、特にノズルへの冷却水の水量が明らかに増大するので、ノズルの耐久性が明らかに向上する。一般に、電極とノズルでは、その熱による損耗の影響の現れ方が異なる。すなわち、電極は、使用回数の増加に伴って損耗程度が増していく過程で、最終的に点火不能になる要交換状態に達するまでは、損耗程度に関わらず格別問題なく通常に使用することが可能である。これに対し、ノズルは、使用回数の増加に伴って損耗程度が増していく過程で、常に何らかの損耗がありさえすれば、その損耗程度に応じた程度の切断品質の劣化を生じさせる。ノズルの交換時期は、ユーザが、どの程度の品質劣化まで許容できるかによって決まるから、非常に高い切断品質を必要とする場合には、頻繁にノズルを交換する必要がある。従って、ノズルへ従来より大量の冷却水を供給することでノズルの耐久性が従来より明らかに向上すれば、切断品質の劣化を効果的に抑制し、上記の問題を効果的に改善することができる。
【0043】
また、これも従来技術に関連して既に説明したことであるが、プラズマトーチ内では、電極とノズル間には電圧がかかっているため、プラズマトーチ内で相互接続された電極冷却液通路とノズル冷却液通路とに電流が流れ、これが、トーチ内部品の電気腐食の原因となる。これに対し、本実施形態では、プラズマトーチ10内では、電極冷却液通路とノズル冷却液通路とは、相互接続されておらず、電気的に絶縁されているので、電気腐食の問題がなく、プラズマトーチ10全体の耐久性も向上する。なお、図1に示すように、クーラユニット20内では、電極液冷回路とノズル液冷回路とは相互接続されている。しかし、プラズマトーチ10とクーラユニット20との間の距離は、プラズマトーチ10内の冷却液通路の長さに比較して、桁違いに長い。そのため、クーラユニット20内での冷却液通路の相互接続は、プラズマトーチ10内の電気腐食の原因には実質的にならない。
【0044】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態だけでなく、それに各種の変形を加えた種々の変形実施形態で実施することも可能である。以下に、本発明の変形実施形態の内の一部の幾つかを説明する。
【0045】
図5に示すように、プラズマトーチ10において、ノズル冷却液インテイク管54と電極冷却液インテイク管58とが一つの共通な入口(例えば入口継手119)を有してもよい。例えば、ノズル冷却液インテイク管54と電極冷却液インテイク管58とがそれらの入口近傍部分で一体化されて、一本の共通な冷却液インテイク管120を構成し、その共通な冷却液インテイク管120の入口に入口継手119が設けられる。クーラユニット20から一本の共通な冷却液供給管(図示省略)がプラズマトーチ10に来ており、その共通な冷却液供給管が、入口継手119に接続される。また、プラズマトーチ10において、電極冷却液エグゾースト管62とノズル冷却液エグゾースト管66とが一つの共通な出口(例えば出口継手121)を有してもよい。例えば、電極冷却液エグゾースト管62とノズル冷却液エグゾースト管66とがそれらの出口近傍部分で一体化されて、一本の共通な冷却液エグゾースト管122を構成し、その共通な冷却液エグゾースト管122の出口に出口継手121が設けられる。クーラユニット20から一本の共通な冷却液戻り管(図示省略)がプラズマトーチ10に来ており、その共通な冷却液戻り管の入口が、出口継手121に接続される。
【0046】
また、図6に示すように、プラズマトーチ10内で、接続管130により、電極冷却液通路の一部とノズル冷却液通路の一部とが相互接続されていてもよい。図6に示される変形にと、図5に示された変形とが組み合わされてもよい。また、図7に示すように、プラズマトーチ10において、ノズル冷却液インテイク管54と電極冷却液インテイク管58とは別個の入口(例えば入口継手53と67)を有するが、他方、電極冷却液エグゾースト管62とノズル冷却液エグゾースト管66とが一つの共通な出口(例えば出口継手121)を有してもよい。
【0047】
図5、図6及び図7のいずれに示す変形例であっても、プラズマトーチ10において電極冷却液通路とノズル冷却液通路とが相互接続されてはいるが、従来技術のようにそれらの冷却液通路の全体が直列接続されて完全に一本の水路を構成してはおらず、それぞれの冷却液通路の少なくとも一部が並列につまり独立して存在している。そのため、一方の冷却液通路での圧力損失が他方の冷却液通路での流量に影響を与えることは実質的になく、それぞれの冷却通路の流量を固有の値に設定又は制御することができる。従って、ノズル用の冷却水の流量を従来より増やすことが可能である。ただし、電気腐食の防止の点では、図2に示したようにそれぞれの冷却液通路がプラズマトーチ10内で完全に分離され電気的に絶縁されている構成の方が、図5または図6に示された構成より優れる。
【0048】
また、図1に示された構成例では、電極液冷回路とノズル液冷回路が、それぞれ別のポンプ26と30を有し、且つ一つの冷却液タンク22と一つの熱交換器34を共用しているが、必ずしもそうでなければならないわけではない。変形実施形態として、電極液冷回路とノズル液冷回路がそれぞれ別の熱交換器を有していてもよい。例えば、図1に示された電極冷却液戻り管16とノズル冷却液戻り管18とが相互接続されず完全に分離され、それぞれ別個の熱交換器の入口に接続されていてもよい。逆に、電極液冷回路とノズル液冷回路が一つのポンプを共用してもよい。例えば、図1に示された電極冷却液供給管12とノズル冷却液供給管14とが相互接続されて一つの共通のポンプ(例えばポンプ26)の出口に接続されてもよい。これらのバリエーションのいずれにおいても、電極液冷回路での冷却水の流量と、ノズル液冷回路での冷却水の水量とを、それぞれに特有の値(典型的には異なる値)に設定又は制御することができる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態と幾つかの変形例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態または変形例とは異なる様々な態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 プラズマトーチ
12 電極冷却液供給管
14 ノズル冷却液供給管
16 電極冷却液戻り管
18 ノズル冷却液戻り管
20 クーラユニット
22 冷却液タンク
24 第1の冷却液出力管
26 第1のポンプ
27 第1の冷却液出口
28 第2の冷却液出力管
30 第1のポンプ
31 第2の冷却液出口
32 第1の共通冷却液戻し管
33 第1の冷却液入口
34 熱交換器
35 第2の冷却液入口
36 第2の共通冷却液戻し管
50 アウタースリーブ
52 インナースリーブ
53 入口継手
54 ノズル冷却液インテイク管
56 末端ノズル冷却液インテイク路
57 入口継手
58 電極冷却液インテイク管
60 末端電極冷却液インテイク路
61 出口継手
62 電極冷却液エグゾースト管
64 末端電極冷却液エグゾースト路
65 出口継手
66 ノズル冷却液エグゾースト管
68 末端ノズル冷却液エグゾースト路
70 近接ノズル冷却液インテイク路
72 近接ノズル冷却液エグゾースト路
76 絶縁筒
78 電極冷却液挿入管
80 電極
82 耐熱インサート
84 近接電極冷却液インテイク路
85 電極冷却液コア路
86 近接電極冷却液エグゾースト路
88 ノズル
90 シールドキャップ
92 ノズル冷却液ジャケット路
119 入口継手
120 共通冷却液インテイク管
121 出口継手
122 共通冷却液エグゾースト管
130 接続管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極(80)とノズル(88)を有するプラズマトーチ(10)と、前記プラズマトーチ(10)へ冷却液を供給するための冷却液供給装置(20)とを備えたプラズマ切断装置において、
前記プラズマトーチ(10)が、
前記冷却液供給装置(20)からの冷却液を前記電極(80)へ提供する電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と、
前記冷却液供給装置(20)からの冷却液を前記ノズル(88)へ提供するノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)と
を有し、
前記冷却液供給装置(20)からの冷却液が前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)とに分かれるように、前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)の全体と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)の全体とが、前記プラズマトーチ内で互いに分離されて独立に存在していて、
前記プラズマトーチ(10)の前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)とが、別個の異なる入口(57,53)を有し、
前記冷却液供給装置(20)が、
第1の冷却液出口(27)と、
前記第1の冷却液出口(27)とは別の第2の冷却液出口(31)と
を有し、
さらに、前記プラズマ切断装置が、
前記第1の冷却液出口(27)を前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)の入口(57)へ接続する電極冷却液供給管(12)と、
前記第2の冷却液出口(31)を前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)の入口(53)へ接続する、前記電極冷却液供給管(12)とは別のノズル冷却液供給管(14)と
を備え、
前記冷却液供給装置(20)が、
前記電極(80)を冷却するための第1の冷却液を前記第1の冷却液出口(27)から吐出し、前記ノズル(88)を冷却するための第2の冷却液を前記第2の冷却液出口(31)から吐出し、そして、前記第1の冷却液の流量と前記第2の冷却液の流量とを、別個に設定又は制御する冷却液吐出装置
を有するプラズマ切断装置。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマ切断装置において、
前記冷却液吐出装置は、前記電極冷却液供給管(12)及び前記ノズル冷却液供給管(14)にそれぞれ接続される、別個の異なるポンプ(26、30)を有するプラズマ切断装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプラズマ切断装置において、
前記冷却液吐出装置(26,28)が、前記第2の冷却液の流量を、前記第1の冷却液の流量より大きい値に設定又は制御するプラズマ切断装置。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか1項に記載のプラズマ切断装置において、前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)とが、前記プラズマトーチ内で互いに電気的に絶縁されているプラズマ切断装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれか1項に記載のプラズマ切断装置において、
前記プラズマトーチ(10)の前記電極冷却液通路と前記ノズル冷却液通路とが、別個の異なる出口(61,65)を有するプラズマ切断装置。
【請求項6】
請求項5記載のプラズマ切断装置において、
前記プラズマトーチ(10)の前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)の出口(61)と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)の出口(65)とを、前記プラズマトーチ(10)外で相互接続する冷却液通路(18,16,及び32)をさらに有するプラズマ切断装置。
【請求項7】
請求項5記載のプラズマ切断装置において、
前記冷却液供給装置(20)が、
第1の冷却液入口(33)と、
前記第1の冷却液入口(33)とは別の第2の冷却液入口(35)と
を有し、
さらに、前記プラズマ切断装置が、
前記第1の冷却液入口(33)を前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)の出口(61)へ接続する電極冷却液戻し管(16)と、
前記第2の冷却液入口(35)を前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)の出口(65)へ接続する、前記電極冷却液戻し管(16)とは別のノズル冷却液戻し管(18)と
を備えるプラズマ切断装置。
【請求項8】
電極(80)とノズル(88)を有し、冷却液供給装置(20)から冷却液を供給されるプラズマトーチ(10)において、
前記冷却液供給装置(20)からの冷却液を前記電極(80)に提供する電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と、
前記冷却液供給装置(20,12,14)からの冷却液を前記ノズル(88)に提供するノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)と
を備え、
前記冷却液供給装置(20)からの冷却液が前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)とに分かれるように、
前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)の全体と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)の全体とが、前記プラズマトーチ内で互いに分離されて独立に存在していて、
前記プラズマトーチ(10)の前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)とが、別個の異なる入口(57,53)を有し、
前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)の入口(57)へは、前記冷却液供給装置(20,12,14)から前記電極(80)を冷却するための第1の冷却液が供給され、
前記ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)へは、前記冷却液供給装置(20,12,14)から前記ノズル(88)を冷却するため第2の冷却液が供給され、
前記第1の冷却液の流量と、前記第2の冷却液の流量とは、別個に設定又は制御されるプラズマトーチ。
【請求項9】
電極(80)と、ノズル(88)と、冷却液を前記電極(80)に提供する電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と、冷却液を前記ノズル(88)に提供するノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)とを備えたプラズマトーチ(10)を冷却するための装置(20)において、
前記電極冷却液通路(60、84、85、86および64)と接続される第1の冷却液出口(27)と、
ノズル冷却液通路(56、70、92、72および68)と接続される、前記第1の冷却液出口(27)とは別の第2の冷却液出口(31)と
を備えた冷却装置。
【請求項10】
請求項9記載の冷却装置(20)において、
前記電極(80)を冷却するための第1の冷却液を前記第1の冷却液出口(27)から吐出し、前記ノズル(88)を冷却するための第2の冷却液を前記第2の冷却液出口(31)から吐出し、そして、前記第1の冷却液の流量と前記第2の冷却液の流量とを、別個に設定又は制御する冷却液吐出装置(26,28)
をさらに備えた冷却装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−121069(P2012−121069A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26353(P2012−26353)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【分割の表示】特願2007−188513(P2007−188513)の分割
【原出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(394019082)コマツ産機株式会社 (103)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】