説明

プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩を含有する徐放性ペレット製剤、その製法及び使用

プラミペキソール及びその薬学的に許容しうる塩より選ばれる有効成分、及び少なくとも1つの放出調節賦形剤を含む徐放性ペレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩を含有する徐放性ペレット製剤、その製法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラミペキソールは、既知のドーパミンD2受容体作動薬である。麦角由来の薬剤、例えば、ブロモクリプチン又はペルゴリドと構造的に異なる。また、完全作動薬であると共にドーパミン受容体のドーパミンD2ファミリーの受容体選択性を有する点で薬理的にユニークである。
プラミペキソールは、化学的には(S)-2-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-6-(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールと呼ばれ、分子式C10H17N3Sと211.33の相対分子質量を有する。化学式は、以下の通りである。
【0003】
【化1】

【0004】
一般に用いられる塩の形は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物である(分子式C10H21Cl2N3OS; 相対分子質量302.27)。プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、白色〜オフホワイトの無味な結晶粉末である。溶融は、296℃〜301℃の範囲で分解が起こる。20%を超える物質が水に可溶であり、メタノールに約8%可溶であり、エタノールに約0.5%可溶であり、ジクロロメタンにほとんど不溶である。プラミペキソールは、1つのキラル中心を有するキラル化合物である。合成の間に中間体の1つのキラル再結晶による合成プロセスから純粋な(S)-エナンチオマーが得られる。
プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、非常に可溶な化合物である。水溶解性は、20mg/mlを超え、緩衝液媒体における溶解性は、一般的にはpH2〜pH7.4で10mg/mlを超える。プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、吸湿性でなく、非常に結晶性である。摩砕によって結晶変態(一水和物)は変化しない。プラミペキソールは、固態において非常に安定であるが、溶液では光感受性である。
プラミペキソール即時放出(IR)錠剤が1997年に米国で最初に認可され、続いて翌年の間に欧州連合(EU)、スイス、カナダ及び南アメリカにおいて、また、東ヨーロッパ、近東及びアジアの国において販売が許可された。
プラミペキソールIR錠剤は、EU及び米国においては初期のパーキンソン病か又は進行したパーキンソン病の徴候や症状の治療にレボドーパと組合わせて必要とされる。IR錠剤は、1日3回服用されなければならない。
薬物動態学的観点から、プラミペキソールIR錠剤は、経口投与後、急速に且つ完全に吸収される。絶対バイオアべイラビリティは90%を超え、最大血漿濃度は1〜3時間以内で起こる。吸収速度は、食事摂取量によって低下するが、全体の吸収の程度ではない。プラミペキソールは、直線的速度論と血漿レベルの相対的に小さい患者間の変化を示す。放出半減期(t1/2[h])は、若者の8時間から年輩者の12時間まで変動する。
一般に知られるように、1つ又は複数の有効成分の放出調節制御は、推奨された毎日の摂取の量を減少させることによって患者の投与方式を簡単にすることを可能にし、患者の服薬遵守を改善し、例えば、高血漿ピークに関連する有害事象を減らす。放出調節製剤は、時間が経つにつれて組込まれた1つ又は複数の有効成分の放出を調節し、制御放出、長時間放出、持続放出、遅延放出、緩放出又は徐放出による製剤を含むので、液剤のような従来の剤形又はすぐに溶解する剤形によって与えられない治療の又は便利さの目的を達成する。
【0005】
医薬製剤から1つ又は複数の有効成分の調節放出又は徐放出は、前記1つ又は複数の有効成分を、物理的又は化学的なからみ合いによって、イオン又は結晶の相互作用によって、複合体形成によって、水素結合又はファンデルワールス力によって共に保持される、粘性の親水性ポリマーの可溶性、部分的に可溶性又は不溶性網目構造である、親水性マトリックスに均一に組込むことによって達成されてもよい。前記親水性マトリックスは、水との接触時に膨張し、それによって保護ゲル層を生成し、1つ又は複数の有効成分が、ポリマーの網目構造による拡散によって、ゲル層の浸食によって、ポリマーの溶解によって、又は前記放出機序の組合わせによって、やがてゆっくりと徐々に連続して放出される。
しかしながら、プラミペキソール二塩酸塩の場合のように薬剤が相対的に高い溶解性を有するものである場合、調節放出、徐放出又は持続放出特性と処理特性の適切な組み合わせを有する剤形を配合することが難しいことがわかった。
プラミペキソールの放出制御医薬組成物を提供する従来技術に記載される多くの方法がある。
国際出願第2004/010997号には、親水性ポリマーを含むマトリックスに分散されたプラミペキソールの水溶性塩及び引張強さが少なくとも約0.15kN cm-2、好ましくは少なくとも約0.175kN cm-2、より好ましくは少なくとも約0.2kN cm-2のデンプンを錠剤を表す固体部分に含む経口的に送達可能な錠剤の形の持効性医薬組成物が記載されている。その開示は、高速打錠操作の間に充分な硬度を得る組成物を提供すること、特にコーティング層の適用の間に浸食に抵抗することに集中している。好ましい実施態様によれば、(a)錠剤の質量で約35%〜約50%の量のHPMC型2208及び(b)錠剤の質量で約45%〜約65%の量の0.8の固体部分の引張強さが少なくとも約0.15kN cm-2の糊化前デンプンを含むマトリックスに分散された、約0.375、0.75、1.5、3又は4.5mgの量でプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含むコアを有する経口的に送達可能な錠剤の形の医薬組成物であって、前記コアが錠剤の質量の約2%〜約7%を構成するコーティングに実質的に封入され、前記コーティングがエチルセルロースベースの疎水性又は水不溶性成分及びエチルセルロースベース成分の質量で約10%〜約40%の量のHPMCベースのポア形成成分を含む、前記医薬組成物が提供される。
【0006】
更に、国際出願第2004/010999号には、治療的に有効な量のプラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩及び少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤含む経口的に送達可能な医薬組成物であって、前記組成物が(a)平均で約20%以下のプラミペキソールが標準溶出試験に組成物を置いた2時間後以内に溶解される試験管内放出プロファイル; 及び(b)平均20%の吸収に達する時間が約2時間を超え及び/又は平均40%の吸収に達する時間が約4時間を超える一回量を健康な成人のヒトに経口投与した後の生体内プラミペキソール吸収プロファイルの少なくとも1つを示す、前記医薬組成物が開示されている。しかしながら、実際の使用において、放出調節又は放出制御プロファイルが毎日一回の適用に設計されたあらゆる製剤が上記の要求を満たし、このようなプロファイルをどのように調整するかが存在していないと思われる。全ての実施例は、錠剤に関し、被覆ペレットに関するものでない。
マトリックスシステムによる生体内吸収プロファイルは、消化管の移動時間の差のためにしばしば非常に変化しうる。ペレットのような多粒子徐放性製剤は、胃腸管に分配するので、吸収速度と程度の変動の減少を示す。更に、同じ徐放性ペレット型の異なる量をカプセルに充填することによって異なる服用強度を簡単に達成させることができる。再現可能な吸収がプラミペキソールによって必須であると共に広範囲の治療用量強度があるので、これらの特性によって前述の予め記載された実施例よりプラミペキソール徐放性ペレットがかなりの利点を与える。
それ故、本発明の目的は、カプセルに充填することができ且つ1日1回の経口投与に適するプラミペキソール又はその薬学的に許容できる塩の徐放性ペレット製剤を提供することである。更に目的は、カプセルに充填されてもよく、1日の長さの治療効果を与えるのに適切であり、且つ患者が単回の1日量でそれらの症状を治療することを可能にし、また、pH値と依存している又は独立している選ばれた放出プロファイルに従って有効成分の放出プロファイルを調整することを可能にするプラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩を含むペレット製剤を提供することである。更にまた、ペレット製剤を製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
驚くべきことに、プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩を1日1回徐(又は緩徐)放出ペレットとしての製剤に用いることができ、2つの代替製剤成分がpH値と依存している又は独立している異なるタイプの放出速度を可能にすることを見出した。
本発明の一実施態様は、プラミペキソール及びその薬学的に許容しうる塩より選ばれる有効成分、及び少なくとも1つの放出調節賦形剤を含む徐放性ペレットに関する。
好ましくは、本発明は、徐放性ペレットであって、好ましくは脂質、ワックス、及び水不溶性ポリマーの群より選ばれる、少なくとも1つの放出調節賦形剤によって形成されるマトリックスの中に有効成分が組込まれている、前記ペレットに関する。
また、コア及びコーティングを含む徐放性ペレットであって、少なくとも1つの放出調節賦形剤がコーティングに組込まれている、前記ペレットが好ましい。
また、徐放性ペレットであって、有効成分がコアに組込まれている、前記ペレットが好ましい。
また、徐放性ペレットであって、コーティングが少なくとも第1層及び第1層を取り囲んでいる第2層を含み、第1層が有効成分を含み、第2層が、好ましくはエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びアンモニオメタクリレートコポリマーより選ばれる、少なくとも1つの放出調節賦形剤を含む、前記ペレットが好ましい。
徐放性ペレットであって、第2層が更に、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールより選ばれる、少なくとも1つの水溶性賦形剤を含む、前記ペレットが最も好ましい。
徐放性ペレットであって、第2層が更に、好ましくはメタクリル酸コポリマー型A及びBより選ばれる、腸溶コーティングポリマーを含む、前記ペレットが特に好ましい。
徐放性ペレットであって、第2層が約10〜約85wt.%の腸溶コーティングポリマー及び約15〜約75wt.%の水不溶性ポリマーを含む、前記ペレットが特に好ましい。
徐放性ペレットであって、コアがサッカリド、例えば、サッカロース、デンプン、セルロース、及びセルロース誘導体、好ましくはミクロクリスタリンセルロースを含む、前記ペレットが更に特に好ましい。
【0008】
実施態様においては、更に、本発明は、
- 不活性ペレットコア
- プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩及び任意に1以上の液状結合剤及び他の賦形剤を含む有効成分層である第1層; 及び- 第1層上に施される第2層であって、第2層が
(a) 少なくとも1つの水不溶性ポリマー及び任意にポアフォーマ、得られたペレットはpH非依存性試験管内放出特性を有する又は
(b) pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物、得られたペレットはpH6.8までの酸性pH値でゼロ次数に近い試験管内放出特性、6.8より高いpHで加速された放出、7.3より高いpH更に加速された放出を有する、
を含む徐放性コーティングである、前記第2層
を含む徐放性ペレット製剤に関する。
“層”という表現は、コーティング又は膜又は(部分的に又は完全に)医薬業界に用いられる材料を取り囲み規定された厚みを有するあらゆる種類を含む最も広い意味に理解されなければならない。
不活性ペレットコア及び有効成分の第1層を用いる代わりに、ペレットは、湿式押出し又は溶融押し出しプロセスにおいて賦形剤と共に有効成分の押出しによって形成することができる。
経口投与に意図した本発明による徐放性製剤a)及びb)は、製剤の試験管内放出特性とタイミングが、好ましくは毎日一回の適用で、所望の生体内血漿プロファイルを達成するのに最も適切であることを選び評価することを可能にする。それ故、2つの異なる製剤成分がペレットのために開発された。2つの製剤成分は、異なる放出速度型を有し、異なるpH依存が利用できる。これらの代替製剤は、徐放性ドラッグデリバリーによって患者がそれらの症状を単回の1日量で治療することを可能にするので患者に有益であり、それによって、患者便利さや服薬遵守が高められる。
【0009】
上文に又は以下に用いられる“試験管内放出特性”という用語は、試験管内実験の通常用いられる液媒体の種類において得られる放出特性に関し、徐放性製剤から有効成分の放出は、即ち、例えば、試験管内溶解媒体において、体液又は人工体液においても、更に特に胃腸液において起こり得る。
本発明の構成において“徐”放出という用語は、即時放出とは対照的に、有効成分が時間が経つにつれて徐々に連続して、しばしばより緩く又はより速く、pH値と依存して又は独立して遊離されることを理解されなければならない。特に、用語は、緩放出と同じ意味で用いられる徐放出の定義に従い、製剤が経口服用直後に有効成分の総量を放出せず、また、製剤が投薬頻度の減少を可能にすること意味する。緩徐放出性又は徐放性剤形は、持続性、徐放性、又は調節放出剤形と同意語として用いられる。好ましくは徐放出剤形は、従来の剤形として存在するものと比較して(例えば、溶液又は迅速な薬剤放出の従来の固体剤形として)、投薬頻度が少なくとも1/2の減少又は患者服薬遵守又は治療性能の著しい増加を可能にする。
本発明を教示によれば、異なる試験管内放出特性を示す2種類の徐放性ペレット製剤が利用できる。2種類は、同一構造、即ち、不活性ペレットコア及び第1とその上にこの順序で適用される第2の層を有し、第1層はプラミペキソール又はその薬学的に許容できる塩及び任意に結合剤及び更に賦形剤を含む有効成分層を示し、第2層は水不溶性ポリマーとポアフォーマか又は腸溶コーティングポリマー、即ち、胃液に対して抵抗するポリマーと非溶解水膨潤ポリマーの混合物を含む機能的コーティングを示す。
本発明によれば、a)として上で定義された第2層を有するペレット製剤が“製剤a)”として理解され、b)として上で定義された第2層を有するペレット製剤が“製剤b)”として理解されるが、不活性ペレットコア及び製剤a)とb)の第1層組成物は同じことである。
本発明の徐放性ペレット製剤a)は、水不溶性ポリマーを、好ましくは第2層におけるポアフォーマと適用することにより、指数関数的(1次)試験管内放出特性が生じ、これは広くpH値と独立している。本発明の徐放性ペレット製剤b)は、pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物を適用し、得られた層はpH6.8までの酸性pH値で長時間にわたってゼロ次数近くの試験管内放出特性、6.8より高いpHで加速された放出、7.3より高いpHで更に加速した放出を有する。薬剤の主部分のゼロ次数近くの放出に加えて、薬剤の主部分は、薬剤放出がかなりになるまでと、薬剤の主部分が放出された後、漸近線が達するまで放出プロファイルが平らになることによって、更に或る遅れ時間を特徴とする。これにより、シグモイドプロファイル、即ち、s形溶解プロファイルが生じる。
【0010】
ゼロ次数に近い試験管内放出特性は、ほとんど一定の上り勾配を有する曲線を意味する。
本発明の交互ペレット製剤a)とb)双方に存在する不活性ペレットコアは、サッカリド、好ましくは多糖類、セルロース又はセルロース誘導体、デンプン及び/又はワックスを含む。コアがサッカリド、好ましくは多糖類、又はセルロース、特に好ましくはサッカロース又はミクロクリスタリンセルロースからなるか又は本質的になる場合が好ましい。ミクロクリスタリンセルロースが最も好ましい。コアのサイズは、0.1〜3.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmの篩分級物であってもよい。
コアがミクロクリスタリンセルロースからなるか又は本質的になる不活性ペレットの場合には、その上に適用される第2層の厚みが他のコア材料の使用と比較して、例えば、コアがサッカロースから構成される場合にはかなりの程度まで減少させることができることがわかった。それ故、放出制御高分子剤の量及び全体の噴霧容積並びにコーティング分散液又は溶液を適用するプロセス時間をかなり減少させることができるが、有効成分の放出プロファイルを維持させることができる。関連した利点は、用いられる賦形剤と溶媒材料の量を減少させること、プロセス時間を減少させること及び実施態様がコストを抑えることである。
“本質的になる”という表現は、言及した必須の成分に加えて、他成分の存在を原則として除外しないという意味で理解され、後者は賦形剤であり得、その存在は製剤の不可欠な性質に影響しない。
本発明のペレット製剤a)及びb)によれば、プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩及び任意に1以上の結合剤及び更に賦形剤を含む不活性コアペレット上に第1層又はコーティングが施される。第1層又はコーティングの厚みは、通常は0.5〜25μm、好ましくは1〜5μmである。
有効成分としてプラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩は、患者の所望の治療に適したあらゆる量で存在することができる。プラミペキソールの好ましい塩は、二塩酸塩、最も好ましくは一水和物の形である。通常の量は、約0.1〜約5mgのプラミペキソール塩である。好ましい実施態様によれば、例えば、0.524mgの無水塩基に対応する0.750mgのプラミペキソール二塩酸塩一水和物が、カプセルに充填されるか又は錠剤に圧縮される全てのペレットが所望の服用強度を与えることを考慮するして本発明による徐放性カプセル又は錠剤の製剤に用いられる。好ましくは、徐放性ペレットは硬カプセルに充填されるが、更に賦形剤と共にペレットを錠剤に圧縮することも可能である。
【0011】
しかしながら、治療に適した有効成分の他のいかなる量もプラミペキソール又は塩の量、即ち、1つのカプセルに存在するペレットの整数が、1〜小さい複数、例えば、1〜約4の一度に投与されるカプセルで1日量を与えるに充分である唯一の条件によって用いることができる。好ましくは、最大の1日量が単一カプセルで送達される。1カプセルにつき約0.1〜約10mg、又は組成物の質量で約0.05%〜約5%の、プラミペキソール二塩酸塩一水和物の等価物として表されるプラミペキソール塩の量が、一般には適切である。1カプセルにつき好ましくは約0.2〜約6mgの量、より好ましくは約0.3〜約5mgの量を存在させる。1カプセルにつき個々の投薬量には、例えば、0.375、0.5、0.75、1.0、1.5、3.0、4.5mgのプラミペキソール二塩酸塩一水和物が含まれる。治療的に有効な量を構成する量は、治療されている症状、前記症状の重篤度、治療されている患者によって変動する。
第1層に存在する1つ又は複数の結合剤は、医薬業界で用いられるあらゆる適切な1つ又は複数の液状結合剤であってもよい。実施例は、水との接触時に膨張し接着することができる親水性ポリマーである。ポリマーの粘度は、好ましくは1〜1,000mPa.s(20℃における2%水溶液の見掛け粘度)の範囲にある。このようなポリマーの例は、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース; ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース; ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース; カルボキシアルキルセルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース; カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、例えば、カルボキシメチルセルロース; カルボキシアルキルアルキルセルロース、例えば、カルボキシメチルエチルセルロース; カルボキシアルキルセルロースエステル; 他の天然、半合成、又は合成多糖類、例えば、アルギン酸、そのアルカリ金属及びアンモニウム塩、カラゲナン、ガラクトマンナン、トラガカントゴム、寒天、アラビアゴム、グアガム、キサンタンガム、デンプン、ペクチン、例えば、カルボキシメチルアミロペクチンナトリウム、キチン誘導体、例えば、キトサン、ポリフルクタン、イヌリン; ポリアクリル酸及びその塩; ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリレートコポリマー; ポリビニルアルコール; ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー; ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合わせ; ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーである。
【0012】
好ましい結合剤は、多糖類、特にセルロース誘導体、より好ましくはセルロースエーテル誘導体である。最も好ましいセルロースエーテル誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースである。
ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの異なる粘度グレードは、市販されている。本発明の液状結合剤として用いられる好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度グレードは、約3mPa.s〜約1,000mPa.sの範囲にあり、特に約3mPa.s〜約20mPa.sの範囲にあり、好ましくは約4mPa.s〜約18mPa.sの粘度グレード(20℃における2%水溶液の見掛け粘度)、例えば、hypromellose 2910(DOW、アントワープ、ベルギー)である。
1,500mPa.s(20℃における1%水溶液の見掛け粘度)より低い粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース、特に約75〜約150mPa.s(5%水溶液)の範囲の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース、好ましくは300〜600mPa.s(10%水溶液)、例えば、Klucel EFO(Hercules、ウィルミントン、米国)が好ましい。
好ましくは、本発明のペレット製剤a)及びb)の第1層の結合剤の量は、0〜約30質量%、好ましくは約10〜20質量%の範囲にある。また、結合剤の組合わせを用いることができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、代替物a)及びb)の徐放性ペレット製剤の第1層は、ヒドロキシプロピルセルロース、プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含み又はそれらからなる。ヒドロキシプロピルセルロースの量は、好ましくは1〜30、特に好ましくは5〜25、最も好ましくは10〜20質量%の範囲にある。賦形剤の量は、好ましくは1〜40、特に好ましくは2〜25、最も好ましくは5〜15質量%の範囲にある。
プラミペキソール又はその塩、及び1つ又は複数の結合剤のほかに、本発明の製剤a)及びb)の第1層又はコーティングは、製剤の製造及びコーティング特性を促進するために、任意に賦形剤、即ち、薬学的に許容しうる配合剤を含むこともできる。これらの配合剤は、例えば、流動促進剤、粘着防止剤、結着剤、造粒剤、固化防止剤、潤滑剤を含む。当該技術において既知の従来の他の賦形剤もまた含み得る。
【0013】
噴霧プロセスの間の製造を改善するために、また、相互にペレットの粘着及びピッキングを防止するために滑剤や粘着防止剤が使用し得る。適切な滑剤としては、コロイド二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム等が挙げられる。好ましい実施態様においては、タルクは、流動促進剤/粘着防止剤として第1層の質量で約25%まで、好ましくは5%〜約15%の量で含まれる。
本発明によれば、放出調節剤として、脂質、ワックス及び水不溶性ポリマーを用いることができる。適切なワックスとしては、脂肪酸エステル及び脂肪アルコール又はステロール、並びにそれらの誘導体及び機能的類似体が挙げられる。通常は、脂肪酸部分の鎖長が炭素原子少なくとも約8個、より典型的には炭素原子少なくとも約12個である。ワックスは室温で塑性固体であるが、非常にしばしばかなり低い融点、例えば、約80〜100℃未満を有する。ワックスは、通常は固体脂肪より幾分脆く、よりグリース状でない。最近は、この定義と化学的に異なるが性質が同様の化合物がワックスと呼ばれている。これらのワックス又は機能的類似体も本発明に従って用いることができる。潜在的に適切なワックス及びワックス類似体の例としては、サラシミツロウやミツロウ、カルナウバロウ、ミクロクリスタリンワックス、鯨ロウ、カンデリラロウ、飽和脂肪酸エステル、サトウキビワックス、パラフィンワックス、キャスターワックス、ワックス混合物、例えば、非イオン又はアニオン乳化ワックス、セチルエステルワックス、ラノリンが挙げられる。現在好ましいワックスは、特に、ミツロウ、カルナウバロウ、飽和脂肪酸エステル、ミクロクリスタリンワックスである。
適切な脂質としては、グリセリド及び他の天然脂質、例えば、リン脂質、スフィンゴ脂質、セラミド、ステロール、ステロイド、及びカロテノイドと同様の性質を有する親油性化合物又は天然又は合成由来の混合物が挙げられる。脂質は、室温で固体又は液体であってもよく、液態で粘性であってもよい。好ましくは、本発明を行うために用いられる脂質は、液体脂質が混合物、例えば、固体脂質又はワックスとの混合物で用いることができるとしても、室温で固体である。有効を見出すことができる脂質の例としては、飽和又は不飽和脂肪酸のモノ-、ジ-及びグリセリド、例えば、任意に水和又は部分的に水和された植物油(例えば、落花生油、ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、パーム油、大豆油)、食用脂、硬質脂肪、ベヘン酸グルセリル、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル; 脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、リノレイン酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸; 脂肪アルコール、例えば、前記脂肪酸に対応するもの、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、パルミチルアルコール; ソルビタン又はポリオキシエチレンで変性されるグリセリド、脂肪酸、又は脂肪アルコール; リン脂質、例えば、レシチン又はホスファチジルコリンが挙げられる。
【0014】
適切な水不溶性ポリマーは、本発明による製剤のために下で定義される水不溶性ポリマーを含むことができる。
ペレット製剤に更に含まれてもよい任意の配合剤には、有効な結合特性と造粒特性を有する、ポリビドン; デンプン; アラビアゴム; ゼラチン; 海草誘導体、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びカルシウム; セルロース、好ましくはミクロクリスタリンセルロース、セルロース誘導体、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような物質を挙げることができる。
本発明のペレット製剤a)によれば、第2層は第1層上に施され、第2層の機能層は少なくとも1つの水不溶性ポリマー及び好ましくはポアフォーマを含む徐放性コーティング又は膜コーティングであり、得られたペレットはpH非依存性試験管内放出特性を有する。それ故、第2層は、ポアを有する非可溶性拡散ラッカーであり、ペレット製剤a)の指数関数的(1次)放出プロファイルが生じ、いずれが、実際にpH非依存性試験管内放出特性を有する。pH非依存性である放出特性は、放出特性が異なるpH媒体においてほとんど同じことであることを意味する。
本発明による水不溶性ポリマーは、溶媒の1,000部に1部未満、好ましくは溶媒の10,000部に約1部未満可溶である水溶解性を有するポリマーとして定義される。
ペレット製剤a)による放出制御第2層、コーティング又は膜は、セルロースポリマーのような1以上の疎水性又は水不溶性ポリマー、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、アクリル酸又はメタクリル酸又はそのエステルのポリマー又はコポリマー、例えば、アンモニオメタクリレートコポリマー、B型等を含む。エチルセルロースが特に好ましい。
疎水性又は水不溶性成分、好ましくはエチルセルロースは、ミクロクリスタリンセルロースペレットが上記の通りに用いられるとすれば、全体としてペレットの典型的には質量で約1%〜約25%、好ましくは3%〜約10%を構成する。糖ペレットが用いられる場合には、より多量のエチルセルロースが必要になり得る。
【0015】
第2層は、1以上のポアフォーマ、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなより水溶性のポリマー、ポリビニルピロリドンやポリエチレングリコールのような非常に水溶性のポリマー、又は他の水溶性賦形剤、例えば、ラクトースやマンニトールを含有することができる。特に好ましいポアフォーマは、ポリエチレングリコール(例えば、Macrogol 6000)である。ポアフォーマの量は、層、コーティング又は膜の適切には40質量パーセントまで、好ましくは25質量%までである。ポリエチレングリコールのようなポアフォーマは、可塑剤としても役に立つ。即ち、可塑剤及び/又はポアフォーマとしてのこのような賦形剤の機能は、明らかに区別することができない。
第2層は、任意に、上述の薬学的に許容しうる賦形剤を更に含有することができ、好ましくは可塑剤、色素及び粘着防止剤が用いられる。特に好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコール(例えば、Macrogol 6000)、トリアセチン、トリエチルシトレートである。可塑剤の量は、層、コーティング又は膜の、適切には25質量パーセントまでである。粘着防止剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウムを使用し得る。
製剤a)による徐放性ペレット製剤は、pH非依存性である。それ故、食品が直面することがある服用-ダンピングに関連した欠点が避けられる。供給された患者の食品関連の服用-ダンピングの問題は、その内容について、従って、摂取された製剤について胃、また、胃腸管の異なるpH領域によって加えられる機械的力のような多くの因子によるものであり得る。胃腸管が直面するpH値が胃腸管の領域だけでなく、食品の摂取にもよって変動するので、徐放性製剤は、好ましくは放出制御プロファイルを与えなければならず、特に、患者が絶食しているか又は食事状態にあるかにかかわらず服用-ダンピングを避けなければならない。
それ故、本発明による経口徐放性製剤a)は、薬剤血漿濃度又は完全な服用-ダンピングにおける望ましくない変動を避けるために、胃腸管を通る方向に沿って薬物動態学的放出プロファイルを保持し、特に、胃腸管の異なる領域における服用-ダンピングを避ける。
交互ペレット製剤b)は、異なる第2層又は機能的膜コーティング組成物以外の製剤a)について定義されたものと不活性ペレットコアと第1層組成物に関して同じ構造を有する。従って、製剤b)の第2層は、pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物から含むか又は本質的になり、得られたペレットはpH6.8までの酸性pH値の試験管内放出特性においてゼロ次数に近く、6.8より高いpHで放出が加速され、7.3より高いpHで放出が更に加速される。
【0016】
pH依存性腸溶コーティングポリマーは、好ましくはアニオンポリマー、より好ましくは5.5より高いpH値で、好ましくは7.0より高いpH値で可溶なアニオンカルボン酸アクリルポリマーである。アニオンポリマーとは、pHによって解離した後に陰イオン基を有するポリマーを意味する。本発明のためにこのようなポリマーは、5.5より高いpHで、好ましくは7.0より高いpHで可溶性でなければならない。好ましくは、アニオンカルボン酸アクリルポリマーは、部分的にメチルエステル化メタクリル酸ポリマーより選ばれる。適切な部分的にメチルエステル化したメタクリル酸ポリマーは、Eudragit L及びEudragit Sの名前で販売され、好ましくはEudragit S100及びL100が用いられる。
水不溶性、pH非依存性膨潤ポリマーは、好ましくは第四級アンモニウム置換アクリルポリマーより選ばれる。このようなポリマーは、約5質量パーセントと約10質量パーセントのアンモニウム置換を有するそれぞれEudragit RS及びEudragit RLの名前で販売されている。好ましくは、Eudragit RS 100が用いられる。
層又は膜コーティングがアニオンカルボン酸アクリルポリマーのような腸溶コーティングポリマーを層又はコーティングの10〜85質量パーセントの量で及び第四級アンモニウム置換アクリルポリマーより選ばれる水不溶性pH非依存性膨潤ポリマーを層又はコーティングの15〜75質量パーセントの量で含む場合には特に好ましい。調製において処理されるポリマーの量と比率によっては、放出プロファイルは、放出速度、即ち、例えば、溶解される薬剤が50%のレベルに達する時間に関して及びpH依存性の程度に関して調整され得る。一般に、第四級アンモニウム置換アクリルポリマーよりアニオンカルボン酸アクリルポリマー、例えば、Eudragit S 100の過剰量が、6.8より高いpHで所望の加速した溶解特性を達成するために必要とされる。
第2層、コーティング又は膜の厚みは、通常は5〜80μm、好ましくは20〜60μmである。
本発明の製剤b)による第2機能層は、小腸を通過する時間がむしろ一定であるという事実を利用し、前記時間は約2〜5時間である。本発明によれば、幽門における酸性から中性までのpHの変化は、層の物理的条件を変え且つ最後には活性物質の加速した放出を引き起こす引き金機構として使われる。それ故、製剤は、小腸で、また、腸系の下部で、優先的に大腸、即ち、結腸でその薬剤内容物の大部分を放出する。製剤b)による層又はコーティングによって、プラミペキソールの放出又はその薬学的に許容しうる塩の放出が、腸の下部で、即ち、より高い生理的pHの状態によって加速されることができ、それによってバイオアべイラビリティの消失が減少し、典型的には、より短い胃腸管の移動時間の状況におけるpH非依存性放出システムにより変動の増大が見られる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様によれば、ポア形成成分は、製剤b)の第2層又は膜コーティングに存在することができる。ポア形成成分は、水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくはヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれてもよい。ポア形成成分は、第2層におけるポリマー混合物の質量で典型的には約1%〜約25%、好ましくは約2%〜約10%の量で存在する。
特に好ましいポア形成成分は、約150〜約700mPa.s、好ましくは200〜600mPa.sの範囲の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロースであり、例えば、Klucel系、例えば、Klucel EF又はLF(Hercules、ウィルミントン、米国)より選ばれる。
ポリマーポア形成成分は、拡散ポアを形成し、酸からアルカリ媒体への変化によって水和の加速と層又は膜コーティングの再緩衝化特性の変化が生じ、pH>7.3範囲における有効成分プラミペキソール又はその塩に対する層又はコーティングの透過性の加速が生じる。
それ故、ポア形成成分の存在によって、放出特性が加速されるという利点が更に得られ、更に急速になる。即ち、第2層の作用がかなり増強される。
好ましい実施態様によれば、徐放性ペレット製剤は、以下の組成を有する。
不活性ペレットコア:
サッカロース又はミクロクリスタリンセルロース 90〜100質量%
賦形剤(1つ又は複数) 0〜10質量%
第1層:
プラミペキソール又はその塩 50〜100質量%
結合剤(1つ又は複数) 0〜30質量%
賦形剤(1つ又は複数) 0〜50質量%
第2層:
水不溶性ポリマー(1つ又は複数) 50〜99質量%
賦形剤(1つ又は複数) 1〜50質量%
又は
pH依存性腸溶コーティングポリマー 10〜85質量%
pH依存性水膨潤ポリマー 15〜75質量%
の混合物
賦形剤(1つ又は複数) 1〜50質量%
【0018】
第1及び第2の層又はコーティングは、プラミペキソール又はプラミペキソール塩の放出速度の最適制御を得るためにできるだけ均一な厚みで適用されなければならない。
ペレットが押出しによって形成される場合には、以下の組成が最も適切である。
湿式押出し:
ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース又はデンプンを充填と許容しうるカプセルサイズの再現性に関してペレットの適切な数において薬剤の必要な量を送達する割合でプラミペキソールと混合する。水のみ又は水含有結合剤、例えば、ポビドン又はメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを添加することよって押出しが達成される。所望の放出速度を達成するために、ラクトース、ミクロクリスタリンセルロース、デンプン等の他の賦形剤を添加することができる。
溶融押出し:
溶融押出しは、40〜120℃の融点を有する親水性か又は親油性化合物によって達成される。適切な例は、ポリエチレングリコール2000 - 10000、ポロキサマー188、カルナウバロウ、硬化ヒマシ油、ステアリルアルコール、セチルアルコール及びそれらの混合物である。所望の放出速度を達成するために、ラクトース、ミクロクリスタリンセルロース、デンプン等の他の賦形剤を添加することができる。その後、不活性スタータからなるペレットに記載されるラッカーを遅延させることによってこれらのペレットをそれらの上に噴霧される薬剤層でコーティングする。
ある賦形剤は、ラッカーを遅延させずにさえ適切な徐放出を有する押出ペレットを達成するのにも適切である。これらは、親油性ペレット又はカルボポール、アニオンカルボン酸アクリルポリマー、例えば、部分的にメチルエステル化されたメタクリル酸ポリマーに対する、例えば、カルナウバロウ、硬化ヒマシ油及びそれらの混合物である。適切な部分的にメチルエステル化されたメタクリル酸ポリマーは、Eudragit L及びEudragit Sの名前で販売され、好ましくはEudragit S100及びL100が用いられる。
徐放性ペレットは、直径0.2〜3mm、好ましくは0.5〜1.5mm、最も好ましくは0.7〜1.0mmのサイズを有し得る。本発明によれば、ペレットは、好ましくは硬カプセルに充填される。徐放性カプセルは、あらゆるサイズと形状と色を有し得る。例えば、0.75mgの服用強度については、好ましくはサイズ3カプセルが使用し得る。カプセルシェルは、通常はヒドロキシプロピルメチルセルロース(いわゆるHPMC又は植物性カプセル)又はゼラチンから製造される。本発明によるカプセルは、通常は、ペレット、例えば、150を超える徐放性ペレットで充填される。各々のペレットは、不活性(スタータ)コアペレット、有効成分層及び徐放性又は緩徐放出性膜コーティングから構築される。1つのカプセルにおいて、ペレットに含有されるプラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩の量は、好ましくは一度に投与される1日量を与えるのに充分であってもよい。或いは、徐放性ペレットは、充填剤及び結合剤、例えば、ミクロクリスタリンセルロース、カラゲナン、及びアルギン酸塩及び崩壊剤、例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、更に、滑剤及び潤滑剤のような賦形剤混合することができ、錠剤に圧縮される。
【0019】
本発明は、更に、パーキンソン病及びそれと関連づけられた合併症又は障害を治療する医薬組成物を調製するための本発明による徐放性ペレット製剤又はカプセルの使用に関する。
本発明によれば、徐放性ペレット製剤を製造方法であって、
(1)不活性スタータペレットコアを準備する工程;
(2)プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩、任意に結合剤及び更に1つ又は複数の賦形剤を含む第1コーティング組成物の溶液又は分散液を不活性スタータペレットコアに、好ましくはコーティング組成物の溶液/分散液を不活性スタータペレットコアに吹き付けることによって適用し、ここで、プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩の形の有効成分は溶媒に溶解/分散した粉砕されていない又は粉砕された材料として任意の1つ又は複数の結合剤及び1つ又は複数の賦形剤と共に用いられ、不活性スタータペレットコアに吹き付けられるものであり、続いて得られた有効成分ペレットを乾燥させる工程;
(3)機能的コーティング組成物としての第2コーティング組成物の溶液又は分散液を工程(2)で得られた有効成分ペレットに、好ましくはコーティング溶液/分散液を有効成分ペレットに吹き付けることによって適用し、ここで、コーティング組成物はa)少なくとも1つの水不溶性ポリマー又はb)pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物、及び任意の1つ又は複数の賦形剤、及び溶媒を含むものであり、続いて得られた徐放性ペレット(ERペレット = 放出ペレット)を乾燥させる工程
を含む前記方法が提供される。
プロセス工程(2)及び/又はプロセス工程(3)後の任意の手動のふるい分けが、凝集体を除去するために行われてもよい。
本発明の方法に従って使われる溶媒は、適用条件下で蒸発させるのに充分な揮発性を有する溶媒であり、コア又は本体又は調製されたペレットの表面上に溶質の層が残る。アルコール、炭化水素、エステルのような有機溶媒、また、塩素化炭化水素のようなそれらの誘導体を用いることができる。エタノールのようなアルコール又はアルコール/水混合物が特に好ましい。コーティングを適用する方法は、通常は、固体医薬製剤のコーティングに医薬産業において用いられる装置において、好ましくは流動床装置において行うことができる。本方法は、通常は25〜35℃の製造温度で行われるが、温度と圧力の条件は広い限界の中で変動されてもよい。流動床吹き付けプロセスにおいて、入口空気の温度は、適切には約20〜60℃である。
得られた徐放性ペレットを適切なカプセルに充填し、本発明のカプセルを、適切な情報、例えば、投薬と投与の情報、禁忌、予防措置、薬物相互作用、副作用を与える添付文書を付随して容器に包装することができる。カプセルは、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)びんに充填される。びんは、ねじ蓋できつく閉じられ、適切にラベルがつけられる。全てのパッケージング及びラベリング活動は、cGMP規定に従って行われる。
【0020】
図1及び図2を参照すると、製造プロセスの好ましい実施態様がフローチャートによって示され、ここで、実施例1〜5のペレット製剤D、E、F、G、Hの製造が例示的に示されている。図は、有効成分ペレット(第1層; 図1)及び緩徐放出性又は徐放性ペレット(第2又は機能層; 図2)の製造プロセスの詳細なプロセス工程及び行われるプロセス制御を示している。図3は、得られたペレットによるカプセルの充填を示している。
記載される製造プロセスは、全ての種類のプラミペキソール徐放性ペレット及びカプセル、例えば、実施例1〜5の製剤D、E、F、G、Hにあてはまるが、あるプロセス工程において質的及び量的組成物の差がある。
プロセス工程(1)-不活性スタータペレットコア:
本実施態様においては、続いてのコーティングのための出発物質を示すミクロクリスタリンセルロースペレット(Cellets 700)が用いられる。
プロセス工程(2)-有効成分ペレット(第1コーティング):
全ての種類の製剤について薬剤荷重が1%(10mg/g)の同じ有効成分ペレットが機能的膜コーティングの出発物質として役に立つことができる。また、有効成分ペレットにおいて他の薬剤荷重も適切である。
図1における本流れ図によれば、有効成分ペレットは、粉砕されていない品質のプラミペキソール二塩酸塩一水和物(有効成分)の水溶液を、ヒドロキシプロピルセルロース(結合剤)及びタルク(賦形剤)と共にミクロクリスタリンセルロースペレット(コア、Cellets 700)の表面に底部噴霧流動床装置で吹付け-層化することにより製造される。スプレー用懸濁液の遮光は、通常は必要とされる。吹付けが完了した後、ペレットを棚型乾燥機で35℃で1時間乾燥する。乾燥後、凝集体を除去するためにペレットを1.12mmのメッシュサイズスクリーンによって手でふるいにかける。
用いられる工程制御は、
- 有効成分の分析及び
- 乾燥減量
である。
【0021】
プロセス工程(3) - 機能的膜コーティング(第2コーティング):
製剤(D-H)の種類によっては、メタクリル酸コポリマー(B型USP/NF))及びアンモニオメタクリレートコポリマー(B型USP/NF))、又はエチルセルロース、及びタルク、トリアセチン又はトリエチルシトレート及びヒドロキシプロピルセルロース又はマクロゴール6000より選ばれる賦形剤からなるコーティング懸濁液を、有効成分ペレットに底部噴霧流動床装置で吹付ける。用いられる溶媒は、記載された実施態様に従いエタノール96%又はエタノール96%の水との混合物である。吹付けが完了した後、徐放性又は緩徐放出性ペレットを棚型乾燥機において40℃で12〜48時間乾燥する。乾燥後、凝集体を除去するためにペレットを1.12mmのメッシュサイズスクリーンによって手でふるいにかける。
用いられる工程制御は、
- 有効成分分析及び
- 乾燥減量
である。
プロセス工程(4) - カプセル充填(0.75mg服用強度の例で):
適量の乾燥及びふるいにかけたペレットをサイズ3の植物性カプセル(HPMCカプセル)又はゼラチンカプセルに充填して、適切な間欠カプセル充填機を用いて所望の服用強度を得る。適量は、緩徐放出性又は徐放性ペレットのそれぞれのバッチに見られる分析結果から算出される。
用いられる工程制御は、
- 空のカプセルの平均量、
- 充填されたカプセルの量及び
- 閉じられたカプセルの長さ
である。
【0022】
図4を参照すると、本発明によるペレット製剤の放出プロファイルを示すグラフである。ペレットは、不活性ペレットコア、プラミペキソール塩酸塩一水和物及び結合剤を含む第1層及びエチルセルロースから構成される拡散ラッカーである第2層を含有する。ペレットの詳細な組成は、実施例4に示す。ペレットは、本発明による上述の製剤a)に定義される要求を満たすものである。3種類の異なるpH媒体、即ち、人工胃液、n = 3、0.05Mリン酸緩衝液、pH = 6.8、n = 3、酢酸緩衝液、pH = 4.5、n = 3(n…試験した単位の数である)におけるペレット製剤の放出特性を示す。放出された有効成分のパーセント値は、時間(時間)に対してプロットされている。
図4は、前記ペレット製剤がpH値から独立している放出特性を有することを明らかに示している。
図5は、本発明によるペレット製剤の放出プロファイルを示すグラフである。ペレットの詳細な組成を実施例2に示す。ペレット製剤は、pH依存性腸溶コーティングポリマー及びpH非依存性水膨潤ポリマー(Eudragit S100/Eudragit RS 100)から構成される製剤b)による第2層を有する。4種類の異なるpH媒体、即ち、酢酸緩衝液、pH = 4.5、n = 3、0.05Mリン酸緩衝液、pH = 7.5、n = 2、0.05Mリン酸緩衝液、pH = 6.8、n = 3、人工胃液、pH = 1.3、n = 3におけるペレット製剤の放出特性を示す。放出された有効成分のパーセント値は、時間(時間)に対してプロットされている。
図5は、ペレット製剤がpH値と依存している放出特性を有することを明らかに示す。即ち、得られたペレットは、pH6.8までの酸性pH値でゼロ次数に近い試験管内放出特性、及びpH7.5で加速した放出を示す。
図6は、本発明によるペレット製剤の放出プロファイルを示すグラフである。ペレットの詳細な組成を実施例5に示す。ペレット製剤は、pH依存性腸溶コーティングポリマー及びpH非依存性水膨潤ポリマー(Eudragit S100/Eudragit RS 100)から構成され、更にポア形成成分(Klucel EF)及び可塑剤(トリエチルシトレート)を含有する製剤b)による第2層を有する。3種類の異なるpH媒体、即ち、0.05Mリン酸緩衝液、pH = 6.8、n = 3、0.05Mリン酸緩衝液、pH = 6.3、n = 3、0.05Mリン酸緩衝液、pH = 7.3、n = 3におけるペレット製剤の放出特性を示す。放出された有効成分のパーセント値は、時間(時間)に対してプロットされている。
図6は、ペレット製剤がpH値と依存している放出特性を有することを明らかに示している。図5に示されるポア形成成分を含まないペレット製剤と比較して、ポア形成成分の存在と異なる可塑剤の使用により作用がかなり増強され加速される。
【0023】
本発明の利点は多様である。
本発明によれば、異なる試験管内放出プロフィールを示すプラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩を含有する2種類の徐放性ペレットが利用できる。2種類、即ち、不活性スタータペレットコア及び第1層又はコーティングと第2層又は機能膜コーティングがこの順序で施されたものは同一構造を有する。コア及び第1層又はコーティングは同一形態であり、第2層又はコーティングは所望される放出特性を合わせることを可能にする。
本発明の製剤a)によれば、少なくとも1つの水不溶性ポリマーが第2層に存在し、得られたペレットはpH非依存性試験管内放出特性を有する。
本発明の製剤b)によれば、第2層は、pH依存性腸溶コーティングポリマー及びpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物を含み、得られたペレットはpH6.8までの酸性pH値においてゼロ次数に近い試験管内放出特性、6.8より高いpHで加速された放出、7.3より高いpHで更に加速された放出を有する。後者の場合(製剤b)において、ポア形成成分の存在により、更に、ポア形成成分を含まない同じ製剤と比較して放出特性が増強され加速される作用が有意である。
それ故、製剤b)よる層又はコーティングにおいてプラミペキソールの放出又はその薬学的に許容しうる塩の放出程度は、胃腸管の通過、つまり、腸における剤形の滞留時間とより独立することができる。
それ故、患者の要求、症状及び臨床像の所見に応じたオーダーメイドの放出特性、バイオアベイラビリティの個人間変動と個人内変動の減少した所望の放出を選択することが可能である。
不活性ペレットの場合、コアはミクロクリスタリンセルロースからなるか又は本質的になり、第2層の厚みとその上に適用された放出制御賦形剤の量は、例えば、コアがサッカロースから構成される場合には、他のコア材料の使用と比較して非常に減少させることができる。
プラミペキソールの主要な適応症、パーキンソン病は、年齢が進むにつれて更によく見られる病気であり、記憶力の衰えをしばしば伴う。それ故、プラミペキソール又はその塩の徐放出又は緩放出を示す本発明によるペレットは、推奨された毎日の摂取の量を減少させることによって患者の投与方式を簡単にすることを可能にし、特に高齢患者に関連する患者の服薬遵守を改善する。発明の徐放性ペレット製剤は、一度に投与される1日量を与える。治療的に有効な量を構成する量は、治療されている症状、前記症状の重篤度、治療されている患者によって変動する。
更に、全ての種類のプラミペキソール徐放性ペレット及びカプセルにあてはまる製造法が提供される。
ここで、記載した本発明が種々の他の実施態様を行う実施例によって示され、本明細書から当業者に明らかになる。しかしながら、実施例及び説明が単に例示として意図され、本発明を限定するものとしてみなされるべきでないことは明白に示される。
【実施例】
【0024】
以下の実施例において、サイズ3のキャップと本体の白色不透明なヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルを用い、徐放性ペレットで充填した。完全なカプセルは、経口投与されることを意図し、使用前に開かない。実施例におけるプラミペキソールペレットは、0.524mgのプラミペキソール無水遊離塩基に対応する0.75mgのプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含有する。
実施例1
本発明によるプラミペキソール徐放性ペレット(製剤D)の質的及び定量的組成物の一実施態様を表1に示す。
【表1】

* 処理の間に除去し、最終製品にない
【0025】
実施例2
本発明によるプラミペキソール徐放性ペレット(製剤E)の質的及び定量的組成物の一実施態様を表2に示す。
【表2】

* 処理の間に除去し、最終製品にない
【0026】
実施例3
本発明によるプラミペキソール徐放性ペレットの質的及び定量的組成物(製剤F)の一実施態様を表3に示す。
【表3】

* 処理の間に除去し、最終製品にない
【0027】
実施例4
本発明によるプラミペキソール徐放性ペレット(製剤G)の質的及び定量的組成物の一実施態様を表4に示す。
【表4】

* 処理の間に除去し、最終製品にない
【0028】
実施例5
本発明による プラミペキソール徐放性ペレットの質的な及び定量的組成物(製剤H)の一実施態様を表5に示す。
【表5】

* 処理の間に除去し、最終製品にない
【0029】
実施例6
実施例1及び2の2つのプラミペキソール徐放性ペレット製剤(製剤D及びE)のバッチ処方を表6に示す。有効成分層化のためのバッチサイズは、1kgであり、活性ペレットの機能的緩徐放出性膜コーティングのためのバッチサイズは、530.748g(製剤D)及び549.600g(製剤E)であり、各々6000カプセルの理論上のバッチサイズに対応する。
【表6】



【表6−2】

* 処理の間に除去し、最終製品にない
** 乾燥物質
【0030】
実施例7
実施例3及び4の2つのプラミペキソールカプセル製剤(製剤F及びG)のためのバッチ処方を表7に示す。有効成分層化のためのバッチサイズは、1kgであり、活性ペレットの機能的緩徐放出性膜コーティングのためのバッチサイズは、480.378g(製剤F)及び492.528g(製剤G)であり、各々6000カプセルの理論上のバッチサイズに対応する。
【表7】

【表7−2】







* 処理の間に除去し、最終製品にない
** 乾燥物質
【0031】
実施例8
実施例5のプラミペキソールカプセル製剤(製剤H)のためのバッチ処方を表8に示す。有効成分層化のためのバッチサイズは、1kgであり、活性ペレットの機能的緩徐放出性膜コーティングのためのバッチサイズは、562.008gであり、6000カプセルの理論上のバッチサイズに対応する。
【表8】





【表8−2】



* 処理の間に除去し、最終製品にない
** 乾燥物質
【0032】
実施例9
湿式押出しによって調製されるペレット
充分な内容均一性を達成するために、9gのミクロクリスタリンセルロースを1gのプラミペキシロールと混合する。次に、この混合物を90gミクロクリスタリンセルロースと混合する。その混合物を充分量の水(又は結合剤溶液)とダイの直径が0.7mmである二軸スクリュー押出機で押出す。得られた押出し物は、400rpmのスフェロナイザで丸くする。乾燥ペレットを篩過した後、0.8-1.1mm分級物を以前の実施例に記載された遅延のために用いる。表9には、湿式押出しのいくつかの実施例が更に示されている。
【表9】

【0033】
実施例10
親水性賦形剤と溶融押出しによって調製されるペレット
充分な内容均一性を達成するために、9gのポリエチレングリコール6000(PEG)を1gのプラミペキソールと混合する。次に、この混合物を50gのPEG 6000と40gのポロキサマー188と混合する。混合物を、フェイスカット造粒機を用いてダイの直径が0.7mmである、54℃での二軸スクリュー押出機で押出して、約1mm部分を得る。これらを400rpm、41℃でスフェロナイザで丸くする。ペレットを篩過し、0.8 - 1.1mmの分級物を以前の実施例に記載されるように遅延のために用いる。表10には、溶融押出しのいくつかの実施例が更に示されている。
【表10】

【0034】
実施例11
疎水性賦形剤と溶融押出しによって調製されるペレット
充分な内容均一性を達成するために、9gのステアリルアルコールを1gのプラミペキソールと混合する。次に、この混合物を90gのステアリルアルコールと混合する。その混合物を、フェイスカット造粒機を用いてダイの直径が0.7mmである、51℃での二軸スクリュー押出機で押出して、約1mmの分級物を得る。これらを、400rpm、41℃でスフェロナイザで丸くする。ペレットを篩過し、0.8 - 1.1mmの分級物を以前の実施例に記載されるように遅延のために用いる。表11には、溶融押出しのいくつかの実施例が更に示されている。
【表11】

【0035】
実施例12
湿式押出しによって調製される徐放性ペレット
充分な内容均一性を達成するために、9gのステアリルアルコールを1gのプラミペキソールと混合する。次に、この混合物を60gのミクロクリスタリンセルロース及び30gのカルボマー971Pと混合する。その混合物を、ダイの直径が0.7mmである、充分量の水(又は結合剤溶液)と二軸スクリュー押出機で押出す。得られた押出し物を400rpmでのスフェロナイザで丸くする。乾燥後、ペレットを篩過し、0.8 - 1.1mmの分級物をカプセルに充填する。表12には、溶融押出しのいくつかの実施例が更に示されている。
【表12】

【0036】
実施例13
溶融押出しによって調製される徐放性ペレット
充分な内容均一性を達成するために、9gの硬化ヒマシ油を1gのプラミペキソールと混合する。次に、この混合物を60gの硬化ヒマシ油及び30gカルナウバロウと混合する。その混合物を、ダイの直径が0.7mmである、充分な水量(又は結合剤溶液)と二軸スクリュー押出機で押出す。得られた押出し物を400rpmでスフェロナイザで丸くする。ペレットを篩過し、0.8 - 1.1mmの分級物をカプセルに充填する。表13には、溶融押出しのいくつかの実施例が更に示されている。
【表13】

【0037】
実施例14
ホットメルト造粒/溶融ペレット化によって調製される徐放性ペレット
この方法において有効成分の賦形剤との凝集は、低融点の親油性結合剤、例えばワックス、脂肪、脂肪酸、脂肪酸アルコール、及び更に水溶性ポリマー、例えば、ポロキサマー又はポリエチレングリコールを添加することによって促進される。結合剤は、通常は粉末として他の成分に添加される。結合剤は、混合相中の摩擦によってか又は加熱ジャケットによって生じた熱で液化する。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、ミクロクリスタリンセルロース、及び二塩基性リン酸カルシウムである。塊の融解及び造粒後、得られた塊を冷却し、ふるいにかけ、更に賦形剤と共に錠剤に処理するか又は、ペレットに球形化し、これを更に被覆することができ、カプセルに充填する。
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による製造プロセスの好ましい実施態様のプロセス工程(1)を示すフローチャートであり、ここで、第1層は不活性スタータコアペレットに適用されている。
【図2】本発明による製造プロセスの好ましい実施態様のプロセス工程(2)を示すフローチャートであり、ここで、第2層はペレットの第1層に適用されている。
【図3】本発明による製造プロセスの好ましい実施態様のプロセス工程(3)を示すフローチャートであり、ここで、ペレットはカプセルにおいて充填されている。
【図4】本発明によるペレット製剤の溶解プロファイルを示すグラフであり、ここで、第2層は3種類の異なるpH媒体においてエチルセルロースから構成される拡散ラッカー(製剤a))である。
【図5】本発明によるペレット製剤の溶解プロファイルを示すグラフであり、ここで、第2層は4種類の異なるpH媒体においてEudragit S 100とEudragit RS 100の混合物(製剤b))である。
【図6】本発明によるペレット製剤の溶解プロファイルを示すグラフであり、ここで、第2層は図5において定義された通りあるが、ポア形成成分が3種類の異なるpH媒体において更に存在する(製剤b) + ポア形成成分)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラミペキソール及びその薬学的に許容しうる塩より選ばれる有効成分、及び少なくとも1つの放出調節賦形剤を含む徐放性ペレット。
【請求項2】
有効成分が、好ましくは脂質、ワックス、及び水不溶性ポリマーの群より選ばれる、少なくとも1つの放出調節賦形剤によって形成されるマトリックス内に組込まれる、請求項1記載の徐放性ペレット。
【請求項3】
コア及びコーティングを含み、ここで、少なくとも1つの放出調節賦形剤がコーティングに組み込まれている、請求項1記載の徐放性ペレット。
【請求項4】
有効成分がコアに組み込まれている、請求項3記載の徐放性ペレット。
【請求項5】
コーティングが少なくとも第1層及び第1層を取り囲んでいる第2層を含み、第1層が有効成分を含み、第2層が、好ましくはエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びアンモニオメタクリレートコポリマーより選ばれる、少なくとも1つの放出調節賦形剤を含む、請求項3記載の徐放性ペレット。
【請求項6】
第2層が、更に、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールより選ばれる、少なくとも1つの水溶性賦形剤を含む、請求項5記載の徐放性ペレット。
【請求項7】
第2層が、更に、好ましくはメタクリル酸コポリマーA型及びB型より選ばれる、腸溶コーティングポリマーを含む、請求項5記載の徐放性ペレット。
【請求項8】
第2層が、約10〜約85wt.%の腸溶コーティングポリマー及び約15〜約75wt.%の水不溶性ポリマーを含む、請求項7記載の徐放性ペレット。
【請求項9】
コアが、サッカリド、例えば、サッカロース、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、好ましくは微結晶性セルロースを含む、請求項5記載の徐放性ペレット。
【請求項10】
- 不活性ペレットコア;
- プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩を含み、必要により1以上の液状結合剤及び更に賦形剤を含んでもよい有効成分層である第1層; 及び
- 第1層上に施される第2層であって、
(a) 少なくとも1つの水不溶性ポリマーを含み、必要によりポアフォーマを含んでもよい徐放性コーティングであり、得られたペレットはpH非依存性試験管内放出特性を有する、第2層又は
(b) pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物を含む徐放性コーティングであり、得られたペレットはpH6.8までの酸性pH値でゼロ次数に近い試験管内放出特性、6.8より高いpHで加速された放出、7.3より高いpHで更に加速された放出を有する、第2層
を含む徐放性ペレット製剤。
【請求項11】
不活性ペレットコアが、多糖類、セルロース、セルロース誘導体、デンプン及び/又はワックスを含む、請求項3〜10のいずれか1項に記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項12】
不活性ペレットコアが、サッカロース及び/又は微結晶性セルロース、好ましくは微結晶性セルロースを含む、請求項3〜10のいずれか1項に記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項13】
不活性ペレットコアに層化する薬剤物質によって調製されるペレットの代わりに湿式押出し又は溶融押出し又は溶融造粒によって調製されるプラミペキソールを含有する活性ペレットを用いる徐放性ペレット製剤。
【請求項14】
水不溶性ポリマーが、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート及び誘導体、例えば、第四級アンモニウム置換アクリルポリマー、好ましくはアンモニオメタクリレートコポリマー、B型、及びエチルセルロースからなる群より選ばれ、最も好ましくはエチルセルロースである、請求項2〜10記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項15】
pH依存性腸溶コーティングポリマーが、5.5より高いpH値で、好ましくは7.0より高いpH値で可溶性のアニオンカルボン酸アクリルポリマー、好ましくは部分的メチルエステル化メタクリル酸ポリマーである、請求項10記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項16】
pH非依存性水膨潤ポリマーが、好ましくは約5〜約10質量パーセントのアンモニウム置換を有する第四級アンモニウム置換アクリルポリマーである、請求項10記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項17】
pH依存性腸溶コーティングポリマーがコーティングの10〜85質量%の量で存在し、pH非依存性水膨潤ポリマーがコーティングの15〜75質量%の量で存在する、請求項10、15又は16記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項18】
代替製剤b)による徐放性コーティングが、更にポア形成成分を含有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項19】
ポア形成成分が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれ、好ましくはKlucel系より選ばれたヒドロキシプロピルセルロースである、請求項18記載の徐放性ペレット製剤。
【請求項20】
拡散膜を含まずに徐放出を達成する賦形剤を用いて湿式押出し又は溶融押出し又は溶融造粒によって調製されるプラミペキソール及びその薬学的に許容しうる塩より選ばれる有効成分を含有する徐放性ペレット製剤。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の徐放性ペレット製剤の製造方法であって、
(1)不活性スタータペレットコアを準備する工程;
(2)プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩及び少なくとも1つの結合剤を含み、必要により1つ又は複数の賦形剤を含んでもよい第1コーティング組成物の溶液又は分散液を不活性スタータペレットコアに、好ましくはコーティング組成物の溶液/分散液を不活性スタータペレットコアに吹き付けることによって適用し、ここで、プラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩の形の有効成分は、粉砕されていない材料として用いられ、溶媒に1つ又は複数の結合剤と共に、必要によりさらに1つ又は複数の賦形剤と共に溶解/分散され、不活性スタータペレットコアに吹き付けられ、続いて、得られた有効成分ペレットを乾燥させる工程;
(3)機能的コーティング組成物としての第2コーティング組成物の溶液又は分散液を工程(2)で得られた有効成分ペレットに、好ましくはコーティング溶液/分散液を有効成分ペレットに吹き付けることによって適用し、ここで、コーティング組成物は、a)少なくとも1つの水不溶性ポリマーを含み、必要によりポアフォーマを含んでもよく、又はb)pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーの混合物及び溶媒を含み、必要により1つ又は複数の賦形剤を含んでもよく、続いて、得られた徐放性ペレットを乾燥させる工程; 及び
必要により凝集体を除去するためにプロセス工程(2)及び/又はプロセス工程(3)後に手動のふるい分けを行う工程
を含む、前記方法。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の徐放性ペレット製剤を含有するカプセル。
【請求項23】
カプセル内に存在する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の徐放性ペレット製剤に含有するプラミペキソール又はその薬学的に許容しうる塩の量が、一度に投与される1日量を与えるに充分な量である、請求項22記載のカプセル。
【請求項24】
パーキンソン病及びそれと関連した合併症又は障害を治療する医薬組成物を調製するための請求項1〜20のいずれか1項に記載のペレット製剤又は請求項22又は23記載のカプセルの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−509193(P2008−509193A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525279(P2007−525279)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053609
【国際公開番号】WO2006/015943
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】