説明

プラントの劣化状態評価システムおよび評価方法

【課題】評価手法の高度化に容易かつ柔軟に対応でき、かつユーザ個々の要求に対応できるプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法を提供すること。
【解決手段】 各機器から亀裂・減肉情報を取得するデータ入力手段11と、前記亀裂・減肉情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する亀裂・減肉記録手段と、前記亀裂・減肉情報に基づき運転継続中における亀裂・減肉の成長予測・評価を行う予測・評価手段21,22と、前記予測・評価手段による成長予測・評価の結果を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する成長予測・評価記録手段23と、前記亀裂減肉記録手段、前記成長予測・評価記録手段および前記補修情報記録手段に記録された、亀裂・減肉の記録、運転継続中の亀裂・減肉の成長予測の記録、製造時の記録および補修記録を保管するデータベース手段5と、をそなえたことを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントにおける各機器の状態を評価するためのシステムおよび方法に係わり、とくに劣化状態を評価するものに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントを運転するには、プラント機器の劣化状況を正確に把握しておくことが必要である。そこで、実機プラントでは、定期的に機器に対して亀裂や減肉などの発生状況の点検を実施し、その状態のままで次回の点検まで運転を継続するか、修理を行うかを定める手順を採用している。
【0003】
(社)日本機械学会では、発電用原子力設備に対する検査と評価の方法に関する規格(非特許文献1参照)を定めている。この中では、発見された亀裂に対して、その寸法に応じて、そのまま継続使用するか、または、亀裂進展評価および破壊評価を実施して評価期間中の継続使用の可否を判断するかの手順が定められている。
【0004】
一方、実機プラントの監視・診断・検査・保全に関しては、図13(特許文献1の図8)に示すような構成のシステムがある。この図13において、まず左側のプラント状態の監視データは、各種センサ、モニタ等を利用した監視システム901に取り込まれる。
【0005】
この監視システム901では、現在のプラント状態データを蓄積し、過去のデータと合わせてプラントカルテ902に登録するとともに、状態予測システム903および異常診断システム904に送信する。状態予測システム903では、プラントカルテ902に登録されている相関式を基にして、ある信号の現在の観測値から他の信号の値を予測する。
【0006】
異常診断システム904では、監視システム901から入力した信号の値と状態予測システム903から入力した信号の値とを比較することにより異常を検出し、異常要因の同定と波及事象の評価を行って運転制御情報908を出力する。また、ここで得られた診断結果は、新たな知見としてプラントカルテ902に登録される。
【0007】
次に、図中右側の点検検査結果としては、機器・部材仕様、施工条件、点検・検査結果を検査システム905に入力し、過去のデータと合わせてプラントカルテ902に登録する。劣化因子評価システム906では、機器の材質、応力、水質、組成、加工情報に基づいて劣化や腐食電位を評価する。
【0008】
これらの評価結果を基に、余寿命評価システム907では、亀裂進展挙動と強度劣化挙動とから余寿命評価を行う。そして、余寿命評価システム907では、余寿命が設計寿命より短い場合は水質・応力・環境改善を図るという対策選定を、また余寿命が設計寿命より長い場合には点検頻度を低減するという対策選定を、保全計画情報909として出力する。また、余寿命評価結果は、新たな知見としてプラントカルテ902に登録する。
【非特許文献1】「発電用原子力設備規格 維持規格」,JAME S NA1−2002,日本機械学会.
【特許文献1】特許第3147586号公報「プラントの監視診断方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の第1の課題は、点検結果の評価が迅速にできない可能性があることである。実機プラントの点検において、亀裂や減肉が発見された場合に、当該プラントおよび類似プラントにおけるそれ以前の点検結果との比較およびそれ以前の点検時に行った亀裂・減肉の予測との比較を迅速に実施し、今回の点検の結果を評価する必要がある。
【0010】
通常、このような点検および評価は内容が専門的であり、プラントユーザが実施することが困難であるために、専門の保全サービス会社が実施し、保全サービス会社から書類により報告される形を取り、点検時の生データおよび評価のモデルなどは保全サービス会社にプラント個々に独自の非標準的で特殊な記述方法で保管される。
【0011】
しかし、今回の点検結果との定量的な比較を行いたい場合、書類の形または非標準的で特殊な記述方法で記述され保存された既存の点検結果および評価結果を用いると、専用の特殊な手段または特殊な解釈方法無しでは、点検時の生データおよび評価のモデルなどの情報を完全に再現できず、情報が不足するために精度良い評価ができない可能性がある。
【0012】
従来のプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の第2の課題は、点検結果の評価の精度が不十分な点である。点検結果に基づき、将来の亀裂の進展および減肉の進捗を評価する必要があるが、評価には製造時の溶接記録および運用時の補修記録との突き合わせが必要になる。これらのデータは、施工会社に非標準的な特殊な記述方法で記述されて保存されており、ユーザが入手しても専用の特殊な手段または特殊な解釈方法無しにこれを評価に用いることが困難であるため、高精度の評価ができない可能性がある。
【0013】
従来のプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の第3の課題は、過去の点検結果の蓄積による将来の亀裂・減肉の成長の予測精度向上が図れない可能性があることである。毎回の点検で発見された亀裂・減肉の経時的変化を観察し、他の同様な条件のプラントのデータとの統計的な比較により、当該プラントの個性を抽出し、亀裂進展および減肉の成長予測の精度を向上できる。
【0014】
しかし、個々のプラントユーザが独自の非標準的で特殊な記述方法で保管する点検記録のみでは、複数のプラントの点検記録を比較することが困難となり、統計的処理を行うにはデータが不足して精度を十分向上できない可能性がある。
【0015】
従来のプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の第4の課題は、点検結果の評価に当り適切な評価ツールの選択が困難なことにある。点検で発見された亀裂・減肉の影響に当っては、評価とその後の補修に要する費用を削減するために、
(1)簡易で迅速に評価できるものの、低精度であるため保守側想定をせざるを得ず、補修範囲が広くなって費用が高めになる手法、
(2)精度が高く将来のリスクを現実的に想定でき補修範囲を現実的に評価できるが、費用と時間を要する詳細手法、
の何れかを選択する必要がある。
【0016】
しかし、このような選択は、蓄積された過去の評価データとの比較により実施するものであるため、個々のプラントユーザが保管する点検記録および評価経験のみでは判断が困難であり、費用と時間とを要する詳細手法を採用せざるを得ない。
【0017】
従来のプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の第5の課題は、点検結果の評価に当って、科学技術の進歩による改良が迅速に反映できない点にある。点検結果の評価には高度なシミュレーション解析手法が用いられることが多いが、これは日々改良が加えられており、これが点検評価に反映されることが望ましい。
【0018】
しかしながら、プラントの劣化状態評価システムが独自の非標準的な特殊な記述方法を採用していると、このような高度なシミュレーション解析手法を組み込むには専門的知識を必要とするため、個々のプラントユーザにとって人的および経済的な負担が大きく、問題がある。
【0019】
従来のプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の第6の課題は、点検結果および評価結果の一貫性を確保することが困難なことである。同一ユーザの複数のプラントの同類の機器に対する毎回の点検および評価結果は、同様の記述内容で保管され、同様の手法で実施されることが望ましい。
【0020】
しかしながら、点検および評価結果の保管方法ならびに評価手法を長期間に亘り統一的に運用することは、個々のプラントユーザにとって人的および経済的な負担が大きく、問題がある。
【0021】
本発明は上述の点を考慮してなされたものであり、相互交換可能な製造、補修、点検および評価の記録を有し、保管した記録を相互に容易に評価に活用でき、複数の評価手法に対応でき、評価手法の高度化に容易かつ柔軟に対応でき、かつユーザ個々の要求に対応できるプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的達成のため、本発明は、
プラントにおける各機器の劣化状態を評価するプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記各機器から亀裂・減肉情報を取得するデータ入力手段と、
前記亀裂・減肉情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する亀裂減肉記録手段と、
前記亀裂・減肉情報に基づき運転継続中における亀裂・減肉の成長予測・評価を行う予測・評価手段と、
前記予測・評価手段による成長予測・評価の結果を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する成長予測・評価記録手段と、
前記機器の製造時情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する製造時情報記録手段と、
前記プラントの運用開始後の補修情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する補修情報記録手段と、
前記亀裂減肉記録手段、前記成長予測・評価記録手段および前記補修情報記録手段に記録された、亀裂・減肉の記録、運転継続中の亀裂・減肉の成長予測の記録、製造時の記録および補修記録を保管するデータベース手段と、
をそなえたことを特徴とするプラントの劣化状態評価システム、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上述のように、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録された成長予測・評価、製造時情報および補修情報をデータベースとして持つようにしたため、保管した製造、補修、点検および評価の記録を相互に容易に評価に活用できる。このため、複数の評価手法に対応できるとともに、評価手法の高度化に容易かつ柔軟に対応でき、しかもユーザ個々の要求にも対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るプラントの劣化状態評価システムおよび評価方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施形態1】
【0025】
図1は、本発明の実施形態1を示している。この実施形態1は、次の要素1ないし6、すなわち、
亀裂・減肉情報11を、点検記録標準化記述システム12によって標準化された相互交換可能な記述に変換する点検記録記述システム1、
製造記録、補修記録および点検記録からなる入力データ25を成長予測用計算機21に取り込み、成長予測・評価モデルおよび評価方法22にしたがって亀裂・減肉の評価を行い、評価結果24を評価結果標準化記述システム23により標準化された相互交換可能な記述に変換する亀裂・減肉成長予測システム2、
製造記録31を、製造記録標準化記述システム32によって標準化された相互交換可能な記述に変換する製造記録記述システム3、
補修記録41を、補修記録標準化記述システム42によって標準化された相互交換可能な記述に変換する補修記録記述システム4、
これらの記録を保管するデータベース5、および
ユーザが入出力を行うユーザ入出力端末6、
がオンラインで結合されたものである。
【0026】
このように構成された実施形態1において、点検記録記述システム1において、点検により得られた亀裂・減肉情報11は、点検記録標準化記述システム12によって標準化された相互交換可能な記述方法で記述され、オンラインによってデータベース5に送られる。
【0027】
また、データベース5には、製造記録記述システム3における製造記録31が製造記録標準化記述システム32により標準化された上で、オンラインによって送られてくる。同様に、補修記録記述システム4における補修記録41が補修記録標準化記述システム42により標準化されて、オンラインによって送られてくる。さらに、端末6からユーザが必要に応じて入力したデータが送られてくる。これら点検記録11、製造記録31および補修記録41が、相互交換可能な記述方法で記述され、オンラインによってデータベース5に送られて格納される。
【0028】
このため、亀裂・減肉成長予測システム2は、データベース5から製造記録、補修記録および点検記録からなる入力データ25を成長予測用計算機21に取り込み、成長予測・評価モデルおよび評価方法22にしたがって亀裂・減肉の評価を行い、評価結果24を評価結果標準化記述システム23により標準化された相互交換可能な記述に変換する。変換結果は、オンラインによって端末6に出力することができる。
【0029】
このような構成により、標準化された相互交換可能な記述方法による入力を用いて、亀裂・減肉の評価を実施するため、過去の点検記録を容易に読み出すことができ、亀裂・減肉の成長予測を精度良く行える。
【実施形態2】
【0030】
図2は、本発明の実施形態2を示している。なお、実施形態1と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
この実施形態2は、複数のデータベース51および52が設置されており、これらをデータベース接続切り離しシステム50でシステムに接続したり、またはシステムから切り離したりすることが任意にできるようになっている。
【0032】
これによって、2つのデータベース51,52のうちで評価に必要なデータベースのみをシステムに接続することができる。このため、亀裂・減肉成長予測システム2が、亀裂・減肉成長を迅速に評価できる。
【0033】
なお、この実施形態2は、データベースの数が2個である場合に対応しているが、データベースの数はそれ以上であってもよい。
【実施形態3】
【0034】
図3は、本発明の実施形態3を示している。なお、実施形態1と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
この実施形態3は、亀裂・減肉成長予測システム2には、成長予測・評価モデル/評価手法27および成長予測・評価モデル/評価手法28からなる複数の評価手法を、成長予測・評価法組み込み切り離しシステム26によってシステムに接続したり、あるいはシステムから切り離したりすることが任意にできるようになっている。
【0036】
これによって、2つの成長予測・評価モデル/評価手法27および28のうちで点検対象に適した亀裂・減肉の成長予測・評価法のみをシステムに接続して評価の迅速化を図ることができる。さらに、実施形態3では、成長予測・評価モデル/評価手法をシステムと独立に制作・改良することができるため、科学技術の発展による成長予測・評価モデル/評価手法の進歩を迅速に反映できる特徴を有する。
【0037】
なお、実施形態3は、成長予測・評価モデル/評価手法が2ケースである場合に対応しているが、それ以上のケースではより多数の成長予測・評価モデル/評価手法が存在してもよい。
【実施形態4】
【0038】
図4は、本発明の実施形態4を示している。なお、実施形態1と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。この実施形態4は、データベース5に対して条件を設定して、その条件に合致するデータを抽出できるデータベース検索システム53を備えている。
【0039】
これにより、点検結果の評価に当り、当該プラントの過去のデータのみでなく類似のプラントあるいは類似の点検個所の過去のデータを検索して利用できるようになるため、過去の点検結果の蓄積による将来の亀裂・減肉の成長の予測精度向上を図ることが可能となる。
【実施形態5】
【0040】
図5は、本発明の実施形態5を示している。なお、実施形態1と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0041】
この実施形態5は、実機プラント(A)100内に点検記録記述システム101およびユーザ入出力端末106を設置し、実機プラント(B)200内に点検記録記述システム201およびユーザ入出力端末206を設置し、実機プラント(C)200内に点検記録記述システム301およびユーザ入出力端末306を設置し、プラントメーカ400内に製造記録記述システム403、補修記録記述システム404およびユーザ入出力端末406を設置し、プラントメーカ500内に亀裂・減肉成長予測システム2、製造記録記述システム503およびユーザ入出力端末506を設置し、これらをデータベース5とネットワーク7とによって相互に接続するものである。
【0042】
実施形態5は、複数の異なる場所に必要なシステムを分散して設置しネットワーク7で結合しているために、標準化された相互交換可能な記述方法によるデータの授受が迅速に実施できる。
【0043】
なお、実施形態5は、ネットワークに接続する実機プラントの数が3個所およびプラントメーカの数が2社の場合を示しているが、これ以外の数であってもよい。
【実施形態6】
【0044】
図6は、本発明の実施形態6を示している。なお、実施形態5と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
この実施形態6は、実機プラント(A)100とネットワーク7との間に暗号/復号システム108を、実機プラント(B)200とネットワーク7との間に暗号/復号システム208を、実機プラント(C)300とネットワーク7との間に暗号/復号システム308を、プラントメーカ400とネットワーク7との間に暗号/復号システム408を、プラントメーカ500とネットワーク7との間に暗号/復号システム508を、それぞれ設置している。
【0046】
実施形態6は、標準化された相互交換可能な記述方法によるデータの授受を暗号化してネットワーク7上で取り扱うことができる。このため、ネットワーク7は専用回線である必要が無く一般のインターネットの利用が可能となり、プラントの劣化状態評価システムを安価に構成でき、かつ迅速なデータ授受が可能となる。
【0047】
なお、実施形態6は、ネットワークに接続する実機プラントの数が3個所およびプラントメーカの数が2社の場合を示しているが、これ以外の数であってもよい。
【実施形態7】
【0048】
図7は、本発明の実施形態7を示している。なお、実施形態5と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
この実施形態7は、プラント(B)200にプラントB設置データベース205およびデータベース検索システム253を設置し、プラントメーカ400にシステムの制御端末409を設置し、プラントメーカ500にプラントメーカ設置データベース505、データベース検索システム553およびシステム制御端末509を設置している。
【0050】
実施形態7は、プラント(B)200に設置したプラント設置データベース205に対するデータベース検索システム253およびプラントメーカ500に設置したプラントメーカ設置データベース505に対するデータベース検索システム553を、プラントメーカ400に設置のシステム制御端末409およびプラントメーカ500に設置のシステム制御端末509によって制御することができる。このため、標準化された相互交換可能な記述方法によるデータを管理設置場所に依存することなく取り出すことができ、プラントの劣化状態評価システムの効率的な運用を図ることができる。
【0051】
なお、実施形態7は、ネットワークに接続する実機プラントの数が3個所、プラントメーカの数が2社およびデータベースが2個所に設置される場合を示しているが、これ以外の数であってもよい。
【実施形態8】
【0052】
図8は、本発明の実施形態8を示している。なお、実施形態1と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
この実施形態8は、データベース5にデータサーバ(データベースアクセス権判定システム)54を設置し、ユーザ個々に設定したアクセス権を判定し、データベースの閲覧内容を制御できる構成となっている。
【0054】
これにより、ユーザ個々のノウハウなどに関連する情報を他のユーザに無制限に公開することなく、必要な情報を公開することが可能となり、過去の点検結果の蓄積を有効に亀裂・減肉の成長評価に生かすことができる。
【実施形態9】
【0055】
図9は、本発明の実施形態9を示している。なお、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
この実施形態9は、亀裂・減肉の成長予測・評価モデル/評価手法22において、データベース5に保管されている当該点検対象に関係のある亀裂・減肉情報55の統計処理26を行ってそのばらつきを求め、次いで不確定性を考慮する成長予測法70により不確定性を含む成長予測曲線71を用いて、成長予測システムへの入力データ25に基づき評価結果の不確定性を定量化した成長予測73を行うことができる。
【0057】
実施形態9により、不確定性を定量化できないためにデータの上限を用いた成長予測72に比較し、不確定性が定量化できることにより精度を向上させた不確定性を定量化した成長予測73を提供することができる。
【実施形態10】
【0058】
図10は、本発明の実施形態10を示している。なお、実施形態3と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
この実施形態10は、亀裂・減肉の成長予測・評価モデル/評価手法22において、成長予測システムの入力データ25およびデータベース5に保管されている亀裂・減肉情報55に基づき、成長予測法選択システム29により最適な評価法を選択し、成長予測・評価手法組み込み切り離しシステム26により、その評価法をシステムに組み込むことができる。
【0060】
これにより、点検対象に応じた最適な評価法を用いることが容易にでき、プラントの劣化状態評価システムの有効性を高めることができる。
【実施形態11】
【0061】
図11は、本発明の実施形態11を示している。なお、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0062】
この実施形態11は、ユーザ入出力端末6から複数の異なるユーザに対してユーザ向け報告書書式61および62を出力でき、常に同一書式の報告書の作成ができるとともに、ユーザ個々に対応できる。
【実施形態12】
【0063】
図12は、本発明の実施形態12を示している。なお、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
この実施形態12は、ユーザ入出力端末6にプラントの劣化状態評価システムが必要とする条件入力に対応した入力条件メニュー63が提示され、ユーザはこれにしたがって条件設定ができるようになっており、容易にプラント劣化状態評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態1のシステム構成を示す構成図。
【図2】本発明の実施形態2のシステム構成を示す構成図。
【図3】本発明の実施形態3のシステム構成を示す構成図。
【図4】本発明の実施形態4のシステム構成を示す構成図。
【図5】本発明の実施形態5のシステム構成を示す構成図。
【図6】本発明の実施形態6のシステム構成を示す構成図。
【図7】本発明の実施形態7のシステム構成を示す構成図。
【図8】本発明の実施形態8のシステム構成を示す構成図。
【図9】本発明の実施形態9のシステム構成を示す構成図。
【図10】本発明の実施形態10のシステム構成を示す構成図。
【図11】本発明の実施形態11のシステム構成を示す構成図。
【図12】本発明の実施形態12のシステム構成を示す構成図。
【図13】従来のプラントの劣化状態評価システムの構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0066】
1 点検記録記述システム
2 亀裂・減肉成長予測システム
3 製造記録記述システム
4 補修記録記述システム
5 データベース
6 ユーザ入出力端末
7 ネットワーク
11 亀裂・減肉情報
12 点検記録標準化記述システム
21 亀裂・減肉成長予測用計算機
22 成長予測・評価モデル/評価手法
23 評価結果標準化記述システム
24 亀裂・減肉成長の評価結果
25 成長予測システムへの入力データ
26 成長予測・評価手法組み込み切り離しシステム
27,28 成長予測・評価モデル/評価手法
29 成長予測・評価法選択システム
31 製造記録
32 製造記録標準化記述システム
41 運用開始後の補修記録
42 補修記録標準化記述システム
50 データベース接続切り離しシステム
51,52 データベース
53 データベース検索システム
54 データサーバ(データベースアクセス権判定システム)
55 データベースに保管されている亀裂・減肉情報
61,62 ユーザA向け報告書書式
63 入力条件メニュー(画面表示)
70 不確定性を考慮した成長予測法
71 不確定性含む成長予測曲線
72 データの上限を用いた成長予測
73 不確定性を定量化した成長予測
100 実機プラントA
101 プラントAにおける点検記録記述システム
106 プラントAにおけるユーザ入出力端末
108 プラントAにおける暗号/復号システム
200 実機プラントB
202 プラントBにおける点検記録記述システム
205 プラントBに設置したデータベース
206 プラントBにおけるユーザ入出力端末
208 プラントBにおける暗号/復号システム
253 プラントBに設置したデータベース検索システム
300 実機プラントC
302 プラントCにおける点検記録記述システム
306 プラントCにおけるユーザ入出力端末
308 プラントCにおける暗号/復号システム
400 プラントメーカ
403 プラントメーカにおける製造記録記述システム
404 プラントメーカにおける補修記録記述システム
406 プラントメーカにおけるユーザ入出力端末
408 プラントメーカにおける暗号/復号システム
409 システム制御端末
500 プラントメーカ
503 プラントメーカにおける製造記録記述システム
505 プラントメーカに設置したデータベース
506 プラントメーカにおけるユーザ入出力端末
508 プラントメーカにおける暗号/復号システム
509 システム制御端末
553 プラントメーカに設置したデータベース検索システム
901 監視システム
902 プラントカルテ
903 状態予測システム
904 異常診断システム
905 検査システム
906 劣化因子評価システム
907 余寿命評価システム
908 運転制御情報
909 保全計画情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントにおける各機器の劣化状態を評価するプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記各機器から亀裂・減肉情報を取得するデータ入力手段と、
前記亀裂・減肉情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する亀裂減肉記録手段と、
前記亀裂・減肉情報に基づき運転継続中における亀裂・減肉の成長予測・評価を行う予測・評価手段と、
前記予測・評価手段による成長予測・評価の結果を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する成長予測・評価記録手段と、
前記機器の製造時情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する製造時情報記録手段と、
前記プラントの運用開始後の補修情報を、標準化された相互交換可能な記述方法によって記録する補修情報記録手段と、
前記亀裂減肉記録手段、前記成長予測・評価記録手段および前記補修情報記録手段に記録された、亀裂・減肉の記録、運転継続中の亀裂・減肉の成長予測の記録、製造時の記録および補修記録を保管するデータベース手段と、
をそなえたことを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。
【請求項2】
請求項1記載のプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記データベース手段は、前記記録を任意に組み込みおよび切り離しできることを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。
【請求項3】
請求項1記載のプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記予測・評価手段による亀裂・減肉の成長予測は、標準化され相互交換可能な書式で記載され、前記システムに任意に組み込みおよび切り離しでき、かつ選択可能であることを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。
【請求項4】
請求項3記載のプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記亀裂・減肉情報を、前記データベース手段に記録された記録と比較評価することにより最適な予測方法を提案する手段をさらに有することを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。
【請求項5】
請求項1記載のプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記データベース手段に記録された記録を検索する検索手段をさらに有することを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。
【請求項6】
請求項1記載のプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記ネットワークにより結合された複数の場所間で前記記録を通信する通信手段をさらに有することを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。
【請求項7】
請求項6記載のプラントの劣化状態評価システムにおいて、
前記ネットワーク上の通信および制御を暗号化および復号化できる手段をさらに有することを特徴とするプラントの劣化状態評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−201844(P2006−201844A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10127(P2005−10127)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】