説明

プラント監視制御システム

【課題】監視制御画面を表示してプラント装置の監視制御を行う際に、操作者の負荷を軽減し、作業効率を向上することができるプラント監視制御システムを提供する。
【解決手段】プラントを制御する制御装置と、制御装置に接続されプラントの監視操作が行われる監視操作卓とを備えるプラント監視制御システムにおいて、監視操作卓は、入出力装置と、制御装置から取得したプラントの監視データを表示する複数の画面15〜17を格納する記憶装置と、記憶装置が格納している複数の画面15〜17を、入出力装置により設定された任意のレイアウトで表示する表示装置とを備える。記憶装置は、表示装置が表示した複数のレイアウトを記憶する。表示装置は、記憶装置が記憶したレイアウトに従って、複数の画面15〜17を1つの表示領域14で表示する。表示領域14に表示されるレイアウトは、入出力装置により切り替え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラント監視制御システムに関し、より詳細には、プラント監視制御システムにおける監視画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラント監視制御システムでは、グラフィック画面、トレンド画面、計器操作画面などの画面を多数作成し、必要に応じてそれらの画面を表示装置に表示し、プラントの装置の監視制御を行う。操作者は、プラント監視制御システムが生成した画面の中から表示したい画面を指定することができる。
【0003】
表示装置に表示する画面の指定方法には、画面名称の一覧を表示して、その中から操作者が必要な画面を指定する方式、特許文献1に記載の技術のように、画面名称の替わりに画面の縮小表示画像を一覧として表示し、この一覧の中から指定する方式、または特許文献2に記載の技術のように、画面の一覧をタイトル文字列と画面の内容を表すタイトル画像との両方で表示し、この一覧の中から指定する方式がある。
【0004】
また、特許文献3に記載の技術のように、発生したアラームやイベントに関連する画面の一覧を縮小表示した画面を表示して、この画面の中から操作者が必要な画面を選ぶことのできる方式もある。
【0005】
なお、プラントの監視制御に用いる複数の画面の間には関連があることが少なくないため、表示中の画面とこの画面に関連のある画面とを表示装置に同時に表示したい事がある。
【0006】
関連のある画面を同時に表示する方法には、特許文献4に記載の技術のように、画面上のシンボルを指定することで関連する画面を表示する方法、特許文献5に記載の技術のように、画面上のシンボルを指定することでコンテキストメニューを表示し、そこから表示する画面を選択する方法、または特許文献6に記載の技術のように、ある画面を表示した場合に、その画面と同時に表示された実績のある画面を同時表示画面候補として提示し、この中から表示する画面を選択する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−227294号公報
【特許文献2】特開2009−116718号公報
【特許文献3】特開2009−146208号公報
【特許文献4】特開2002−182739号公報
【特許文献5】特開2006−31301号公報
【特許文献6】特開2009−116447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の方法では、ある画面を表示する場合に同時に表示する画面があらかじめ決まっている場合でも、画面を表示するたびに関連する画面を開くための操作が必要になる。
【0009】
また、表示装置に複数の画面を表示するときのレイアウトも、各画面を開くたびに配置して決める必要がある。
【0010】
また、ある画面と同時に表示する画面を変更する場合、表示に関する情報の登録を変更する必要がある。
【0011】
本発明は、従来技術の持つこのような課題を解決し、監視制御画面を表示装置に表示してプラント装置の監視制御を行う際に、操作者の負荷を軽減し、作業効率を向上することができるプラント監視制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるプラント監視制御システムは、以下のような特徴を持つ。
【0013】
プラントを制御する制御装置と、前記制御装置に接続されプラントの監視操作が行われる監視操作卓とを備えるプラント監視制御システムにおいて、前記監視操作卓は、入出力装置と、前記制御装置から取得した前記プラントの監視データを表示する複数の画面を格納する記憶装置と、前記記憶装置が格納している前記複数の画面を、前記入出力装置により設定された任意のレイアウトで表示する表示装置とを備える。前記記憶装置は、前記表示装置が表示した前記レイアウトを記憶する。前記表示装置は、前記記憶装置が記憶した前記レイアウトに従って、前記複数の画面を表示する。
【0014】
好ましくは、前記記憶装置は、複数の前記レイアウトを記憶し、前記表示装置は、前記記憶装置が記憶した複数の前記レイアウトのうちの1つに従って、前記複数の画面を表示可能である。
【0015】
好ましくは、前記記憶装置は、複数の前記レイアウトを記憶し、前記表示装置は、前記記憶装置が記憶した複数の前記レイアウトのうちの1つに従って、前記複数の画面を1つの表示領域で表示する。前記表示領域に表示される前記レイアウトは、前記入出力装置により切り替え可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるプラント監視制御システムにより、必要な監視制御画面を表示装置に表示する際の操作量が削減できる。これにより操作者の負荷を軽減し、作業の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例によるプラント監視制御システムのシステム構成図である。
【図2】表示装置の表示例を示す図である。
【図3】記憶装置に格納された画面情報を示す図である。
【図4】縮小画面表示処理の概略図である。
【図5】画面表示処理の概略図である。
【図6】画面切り替えタブ13aに対応する画面表示領域の表示例である。
【図7】画面切り替えタブ13bに対応する画面表示領域の表示例である。
【図8】記憶装置に格納する画面表示情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるプラント監視制御システムの概要を説明する。本プラント監視制御システムは監視操作卓を備え、監視操作卓は、表示装置と演算装置と記憶装置と入出力装置とを備える。入出力装置には、主にマウスなどのポインティングデバイスが用いられる。なお、以下の説明において、画面とは、プラントの監視制御に用いるグラフィック画面、トレンド画面、計器操作画面など、表示装置に表示される監視制御画面のことを指す。
【0019】
本プラント監視制御システムでは、表示装置の表示領域を、画面の一覧を表示する一覧表示領域と画面を表示する画面表示領域とに分割する。画面表示領域には、複数の画面を表示することができる。
【0020】
演算装置は、記憶装置から画面の情報を取得し、取得した画面の一覧を表示装置の一覧表示領域に表示する。操作者は、入出力装置を用いて、一覧表示領域に表示された画面の一覧から表示したい画面を選択する。演算装置は、操作者が選択した画面を記憶装置から取得し、画面表示領域に表示する。
【0021】
操作者は、入出力装置を用いて、画面表示領域に表示されている画面を画面表示領域の中で自由に移動させて、画面の表示位置を変更することができる。
【0022】
また、記憶装置は、画面表示領域に表示する画面のレイアウトを複数種類保持することができる。表示する画面のレイアウトは、入出力装置を用いて切り替えることができる。画面のレイアウトとは、表示する画面の数や種類と、画面表示領域の中での画面の表示位置のことである。
【0023】
以下、本発明によるプラント監視制御システムの実施例を、図面を用いて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施例によるプラント監視制御システムのシステム構成図である。本実施例のプラント監視制御システムは、監視操作卓1、制御LAN2、制御装置3、プラント機器4を備える。制御装置3は、プラント機器4を制御し、監視操作卓1とは制御LAN2により接続されている。制御装置3は、プラント機器4からプラント情報を取得する。このプラント情報は、制御LAN2を介して監視操作卓1に送信される。また、監視操作卓1での操作は、制御LAN2を介して制御装置3に送信される。このようにして、監視操作卓1によりプラントの監視制御が行われる。
【0025】
監視操作卓1は、演算装置1a、表示装置1b、記憶装置1c、マウス1d、及びキーボード1eを備える。マウス1d及びキーボード1eは、入出力装置である。プラント機器4は、例えば、反応缶4a、タンク4b、及びバルブ4cから構成される。表示装置1bには、監視制御画面が表示され、制御装置3から取得したプラントの監視データなどのデータが表示される。
【0026】
本実施例のプラント監視制御システムでは、監視制御画面の一例として、グラフィック画面、トレンド画面、計器操作画面を表示するものとする。これらの画面情報は、記憶装置1cに格納されている。
【0027】
図3は、記憶装置1cに格納された画面情報を示す図である。画面情報20は、インデックス番号21、タイトル文字列22、及び画面23から構成される。各画面23は、それぞれに対応するタイトル文字列22とインデックス番号21と共に、記憶装置1cに格納されている。タイトル文字列22は、各画面23に付けられたタイトルを表す。インデックス番号21は、各画面23に対してユニークな番号とし、記憶装置1cに格納されている画面を検索するためのキーとして使用する。
【0028】
図2は、表示装置1bの表示例を示す図である。表示装置1bには、一覧表示領域11、縮小画面表示領域12、画面切り替えタブ13a〜13d、画面表示領域14が表示される。図2の表示例は、画面表示領域14に、グラフィック画面15、トレンド画面16、及び計器操作画面17を表示している。後述するように、画面表示領域14での画面のレイアウト(表示する画面の数、種類、位置)は、操作者が自由に決定することができる。
【0029】
演算装置1aは、記憶装置1cに格納されている画面情報20から各画面のタイトル文字列22を読み出し、表示装置1bの一覧表示領域11に表示する。
【0030】
図4を用いて、縮小画面表示領域12に縮小画面を表示する手順を説明する。図4は、縮小画面表示処理の概略図である。縮小画面とは、画面表示領域14に表示する前に、確認のために、記憶装置1cに格納されている画面23を縮小して表示する、いわゆるプレビュー画面である。先に述べたように、一覧表示領域11には、各画面のタイトル文字列22が表示されている。
【0031】
まず、操作者は、マウス1dで一覧表示領域11のタイトル文字列をクリックする。すると、演算装置1aは、クリックされたタイトル文字列に対応する画面23を、記憶装置1cに格納された画面情報20の中から検索する。そして、検索した画面の縮小画像を作成し、縮小画面表示領域12に表示する。
【0032】
図5を用いて、画面表示領域14に画面を表示する手順を説明する。図5は、画面表示処理の概略図である。一覧表示領域11には、各画面のタイトル文字列22が表示されているものとする。
【0033】
まず、操作者は、一覧表示領域11のタイトル文字列を、マウス1dで画面表示領域14にドラッグアンドドロップする。すると、演算装置1aは、ドラッグアンドドロップしたタイトル文字列に対応する画面23を、記憶装置1cに格納された画面情報20の中から検索する。そして、検索した画面を画面表示領域14に表示する。また、画面表示領域14に表示する画面の位置(座標)及び大きさは、マウス1dを使って自由に変更することができる。
【0034】
画面表示領域14に画面を表示するときは、ドラッグアンドドロップの替わりに、一覧表示領域11のタイトル文字列をマウス1dでダブルクリックしてもよい。操作者がタイトル文字列をダブルクリックすると、演算装置1aは、ダブルクリックしたタイトル文字列に対応する画面23を、記憶装置1cに格納された画面情報20の中から検索し、画面表示領域14に表示する。
【0035】
図5に示した手順を複数回行うことにより、画面表示領域14に、複数の画面を表示することができる。複数の画面に対しても、画面表示領域14に表示する位置(座標)及び大きさを、マウス1dを使って自由に変更することができる。このようにして、操作者は、画面表示領域14の画面のレイアウトを設定することができる。
【0036】
図2に示したように、表示装置1bには、画面切り替えタブ13a〜13dが表示されている。画面表示領域14は、画面切り替えタブ13a〜13dのそれぞれに対応したレイアウト(表示する画面の数、種類、位置)に従って、異なるレイアウトで画面を表示することが可能である。操作者は、画面切り替えタブ13a〜13dをマウス1dでクリックすることにより、画面表示領域14に表示する画面のレイアウトを変更することができる。
【0037】
図6は、画面切り替えタブ13aに対応する画面表示領域14を表示している例である。操作者が画面切り替えタブ13bをマウス1dでクリックすると、画面表示領域14に表示する画面を、画面切り替えタブ13bに対応するものに変更することができる。図7は、画面切り替えタブ13bに対応する画面表示領域14を表示している例である。このように、操作者は、画面切り替えタブ13a〜13dをクリックするだけで、画面表示領域14の表示を切り替えることができる。
【0038】
画面切り替えタブ13a〜13dには、それぞれ表示内容を表す名称を付けることができる。図6、図7に示した例では、画面切り替えタブ13aには「反応缶」、画面切り替えタブ13bには「重合缶」と名称が付けられている。画面切り替えタブ13a〜13dに名称を付けるには、例えば、操作者がキーボード1eで名称を入力する。画面切り替えタブ13a〜13dの名称の変更も、同様の方法で可能である。
【0039】
表示する画面を切り替えた場合、切り替える前に画面表示領域14に表示されていた画面の情報を、画面表示情報として記憶装置1cに格納する。図8は、記憶装置1cに格納する画面表示情報の例である。画面表示情報には、画面切り替えタブの番号と名称、及び各画面切り替えタブに対応する画面表示領域14に表示している画面の情報が含まれる。画面表示領域14に表示している画面の情報には、画面のインデックス番号21、画面の表示位置の座標、及び画面の幅と高さが含まれる。
【0040】
画面表示情報により、各画面切り替えタブの情報と、各画面切り替えタブに対応する画面表示領域14の画面情報とが、記憶装置1cに記憶される。画面表示情報は、画面切り替えタブ13a〜13dにより画面表示領域14の表示を切り替えるたびに記憶装置1cに格納されて保持されるので、操作者が表示に関する情報の登録を変更する必要はない。
【0041】
ある画面切り替えタブをクリックした場合、記憶装置1cに格納した画面表示情報の中から、その画面切り替えタブに対応する画面表示情報を読み出し、この画面表示情報に基づいて画面表示領域14に各画面を表示する。すなわち、画面表示領域14には、前回表示されていた画面が表示される。従って、操作者は、複数の画面を表示するときのレイアウトを、表示のたびに設定しなくてもよい。
【0042】
本実施例では、画面切り替えタブの数は4つであるが、この数に限られるものではない。また、画面切り替えタブの数を、操作者が変更することも可能である。例えば、マウス1dやキーボード1eを用いて、画面切り替えタブを追加したり削除したりすることもできる。
【0043】
画面表示領域14に表示されている画面の情報は、操作者がマウス1dやキーボード1eを操作することにより、任意のタイミングで記憶装置1cに格納するようにしてもよい。この場合、画面表示領域14に表示されている画面の画面表示情報のみを格納してもよいし、各画面切り替えタブに対応する画面表示領域14に表示する画面の画面表示情報を全て格納してもよい。
【0044】
以上説明したように、本発明によるプラント監視制御システムでは、画面のレイアウトを保存することができるので、操作者は、表示のたびに画面のレイアウトを設定しなくてもよい。従って、表示する画面が複数の場合は特に、操作者の負荷を軽減することができる。また、複数種類の画面のレイアウトを保持することができ、それらの表示を容易に切り替えることができるので、操作者の負荷をさらに軽減し、作業効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…監視操作卓、1a…演算装置、1b…表示装置、1c…記憶装置、1d…マウス、1e…キーボード、2…制御LAN、3…制御装置、4…プラント機器、4a…反応缶、4b…タンク、4c…バルブ、11…一覧表示領域、12…縮小画面表示領域、13a〜13d…画面切り替えタブ、14…画面表示領域、15…グラフィック画面、16…トレンド画面、17…計器操作画面、20…画面情報、21…インデックス番号、22…タイトル文字列、23…記憶装置に格納された画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントを制御する制御装置と、前記制御装置に接続されプラントの監視操作が行われる監視操作卓とを備えるプラント監視制御システムにおいて、
前記監視操作卓は、入出力装置と、前記制御装置から取得した前記プラントの監視データを表示する複数の画面を格納する記憶装置と、前記記憶装置が格納している前記複数の画面を、前記入出力装置により設定された任意のレイアウトで表示する表示装置とを備え、
前記記憶装置は、前記表示装置が表示した前記レイアウトを記憶し、
前記表示装置は、前記記憶装置が記憶した前記レイアウトに従って、前記複数の画面を表示することを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項2】
請求項1記載のプラント監視制御システムにおいて、
前記記憶装置は、複数の前記レイアウトを記憶し、
前記表示装置は、前記記憶装置が記憶した複数の前記レイアウトのうちの1つに従って、前記複数の画面を表示可能なプラント監視制御システム。
【請求項3】
請求項1記載のプラント監視制御システムにおいて、
前記記憶装置は、複数の前記レイアウトを記憶し、
前記表示装置は、前記記憶装置が記憶した複数の前記レイアウトのうちの1つに従って、前記複数の画面を1つの表示領域で表示し、
前記表示領域に表示される前記レイアウトは、前記入出力装置により切り替え可能なプラント監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−118493(P2011−118493A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273028(P2009−273028)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】