説明

プリテンションバンドを有する上衣、およびその製造方法

本発明は、一般に、上衣に関する。特に、本発明は、プリテンションウェストバンドを有する上衣に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、人の上半身の周りに着用される上衣に関する。特に、本発明は、プリテンションウェストバンドを有する上衣に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャケットまたはジャージ等の上衣は、ウェストおよび襟、また、衣服が袖を有するならば、一対の袖のへりを有する。典型的には、ウェスト、襟、および袖のへりは、上衣を着用する人の周りに、余裕をもって適合する。余裕をもって適合したへりは、空気が、腰、襟、および袖の周りに流入して、衣服と着用者の身体との間で循環することを可能にする。このような空気循環は、温暖な、または温かい天候では、着用者を快適にし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、衣服が、悪天候の間に着用される時には、空気が衣服と着用者の身体との間で循環することを可能にするような、余裕をもって適合したへりは、好ましくない。そのため、悪天候に合わせてデザインされた上衣は、へりをそれ自体の上へ、また着用者の周りに引っ張ること、及び寄せ集めることの少なくともいずれかを行うために、典型的には、引き紐、ベルト、ボタン、またはフック等の固定具を有する。へりをそれ自体の上へ引っ張って、寄せ集めると、寄せ集められたへりと着用者の間に、間隙および通路の少なくともいずれかが形成される。上衣と着用者との間に含まれる温暖な空気は、通路から流出し、また、寒冷な空気が進入する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、両方の先端、対向する上縁および下縁を有する弾性バンドに歪みを付与して維持する工程aと、弾性バンドの歪みを実質的に維持した状態で、弾性バンドの下縁を、上衣の縁部に取り付ける工程bと、両方の先端を、互いに取り付ける工程および上衣に取り付ける工程の少なくとも一方を行なう工程cと、弾性バンドに付与された歪みを取り除いて、プリテンション弾性バンドおよびプリテンション上衣縁を形成する工程dとにより上衣を製造する方法である。好適な実施形態において、工程bおよびcの少なくとも一方における取付けは、縫合、溶着、接着、またはそれらの組み合わせの少なくとも一つによって行われる。
【0005】
上衣は、対向する内面および外面を有しており、且つ、プリテンション弾性バンドは、内面に隣接して配置される。好適には、上衣は、ジャケットまたはジャージである。
上衣の縁部は、ウェスト縁、袖縁、および襟縁の少なくとも一つである。より好適には、プリテンション上衣縁は、実質的に平滑であると共に、しわおよび通路を実質的に備えていない。更により好適には、プリテンション弾性バンドの上縁および下縁は、異なる張力を有する。
【0006】
一実施形態において、プリテンション弾性バンドの上縁の少なくとも特定の部分は、上衣に取り付けられる。好適には、プリテンション弾性バンドの上縁は、上衣の縫合線がプリテンション弾性バンドと交差する一つ以上の部位の周囲において、上衣に取り付けられる。より好適には、プリテンション弾性バンドが、上衣の着用者および上衣の間に配置された時に、着用者とプリテンションバンドとの間にシールを実質的に形成するように、プリテンション弾性バンドには、十分に予め張力が付与される。更により好適には、シールは、プリテンションバンドおよび着用者の間の空気流を実質的に防止する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、対向する内面および外面、ウェスト縁、襟縁、および一対の袖縁を有する上衣本体と、対向する第一上縁および第一下縁、ならびに両方の第一先端を有する第一プリテンション弾性バンドを有する上衣である。第一プリテンション弾性バンドは、ウェスト縁、襟縁、および一対の袖縁のいずれか一つに取り付けられて、第一プリテンション上衣縁を形成し、第一プリテンション弾性バンドは、上衣本体の内面に隣接して配置される。好適な実施形態において、第一プリテンション弾性バンドの第一上縁および第一下縁は、異なる張力を有する。より好適な実施形態において、第一上縁の少なくとも特定の部分は、上衣本体に取り付けられる。上衣は、ジャケットまたはジャージであってよい。
【0008】
好適には、第一プリテンション上衣縁は、上衣のウェスト縁である。より好適には、プリテンション上衣ウェスト縁は、ほぼ平滑であると共に、しわおよび通路を実質的に備えていない。
【0009】
好適には、両方の第一先端は、互いに取り付けられること及び上衣本体に取り付けられることの少なくとも一方を施される。より好適には、第一先端の一方又は両方と第一下縁とは、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる。
【0010】
一実施形態において、第一上縁は、上衣縫合線が第一プリテンション弾性バンドに交差する一つ以上の位置の略周囲において、上衣本体に取り付けられる。
好適な実施形態において、第一プリテンション弾性バンドが上衣本体の着用者と上衣本体との間に配置された時に、着用者と第一プリテンションバンドとの間に実質的にシールを形成するように、第一プリテンション弾性バンドには予め十分に張力が付与される。より好適な実施形態において、シールは、第一プリテンションバンドと着用者との間の空気流を実質的に防止する。
【0011】
任意で、上衣は、第二プリテンション弾性バンドを有する。第二プリテンション弾性バンドは、対向する第二上側および下側縁と、両方の第二先端とを有する。第二プリテンション弾性バンドは、襟縁および袖縁のうちの一方に取り付けられて、第二プリテンション上衣縁を形成する。第二プリテンション弾性バンドは、上衣本体の内面に隣接して配置される。両方の第二先端は、互いに取り付けられること及び上衣本体に取り付けられることの少なくとも一方を施される。好適には、第二先端の一方または両方と、第二下縁とは、縫合、溶着、接着およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる。好適には、第一プリテンション弾性バンドは、上衣本体のウェスト縁に隣接して配置される。
【0012】
別の任意の実施形態において、上衣は、対向する第三上縁および第三下縁と、両方の第三先端とを有する第三プリテンション弾性バンドを有する。好適には、第一プリテンション弾性バンドは、上衣本体のウェスト縁に隣接して配置され、第二プリテンション弾性バンドは、襟縁および袖縁のうちの一方に隣接して配置され、第三プリテンション弾性バンドは、第三プリテンション上衣縁を形成するために、襟縁および袖縁のうちの他方に取り付けられる。第三プリテンション弾性バンドは、上衣本体の内側に隣接して配置される。両方の第三先端は、互いに取り付けられること及び上衣本体に取り付けられることの少なくとも一方を施される。好適には、第三先端の一方又は両方と、第三下縁とは、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる。
【0013】
本発明の更に別の実施形態は、ジャケットである。ジャケットは、ジャケット本体およびプリテンション弾性バンドを有する。ジャケット本体は、対向する内面および外面、ウェスト縁、襟縁、および一対の袖縁を有する。プリテンション弾性ウェストバンドは、対向する上側および下側縁と、両方の先端とを有する。プリテンション弾性ウェストバンドは、ウェスト縁に取り付けられて、実質的に谷部および隆起が存在しない実質的に平滑なプリテンションジャケットウェスト縁を形成する。更に、プリテンション弾性ウェストバンドは、ジャケット本体の内面に隣接して配置される。プリテンション弾性ウェストバンドの両方の先端は、互いに取り付けられること及びジャケット本体に取り付けられることの少なくとも一方を施される。プリテンション弾性ウェストバンドの上縁および下縁は、異なる張力を有する。更に、プリテンション弾性バンドが、ジャケットの着用者とジャケット本体との間に配置された時に、着用者とプリテンションバンドとの間に実質的にシールを形成するように、プリテンション弾性バンドには予め十分に張力が付与される。好適には、シールは、プリテンションウェストバンドおよび着用者の間における空気流を実質的に防止する。
【0014】
好適な実施形態において、プリテンション弾性ウェストバンドの先端および下縁は、縫合、溶着、接着、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる。より好適な実施形態において、プリテンション弾性ウェストバンドの上縁の少なくとも特定の部分は、ジャケットの縫合線がプリテンション弾性ウェストバンドに交差する一つ以上の位置の略周囲において、ジャケット本体に取り付けられる。
【0015】
これらの効果および他の効果は、本明細書に含まれる一つまたは複数の発明の開示から明らかになる。
本明細書において、単数で示されている用語は、その存在物の一つまたはそれより多くについて言及している。そのため、単数で示される用語は、本明細書において、「一つまたはそれより多く」や「少なくとも一つ」と示された用語と相互に入れ替えて用いられることができる。また注目することとして、「を含む」、「を備える」、および「を有する」という用語も、相互に入れ替えて用いられることができる。
【0016】
本明細書において、「少なくとも一つ」、「一つまたはそれより多く」、および「および/または」は、接続的および離接的の両方で実施される無制約の表現である。例えば、「A、BおよびCの少なくとも一つ」、「A、BまたはCの少なくとも一つ」、「A、BおよびCの一つまたはそれより多く」、「A、BまたはCの一つまたはそれより多く」、および「A、B、およびCの少なくともいずれか」という表現各々は、A単独、B単独、C単独、AおよびBを合わせたもの、AおよびCを合わせたもの、BおよびCを合わせたもの、またはA、BおよびCを合わせたものを意味する。
【0017】
前述は、本発明の幾つかの態様への理解を促すための本発明の簡単な要約である。この要約は、本発明および様々な実施形態の拡張的概説ではなく、また排他的概説でもない。本発明の鍵となる要素または重要な要素を限定するものではなく、また、本発明の権利範囲を記載するものでもないが、以下に示される詳細な説明への導入として、簡単な形態で本発明の一部の概念を表すものである。当然のことながら、上述され、または以下に詳細に説明される特徴の一つ、またはそれより多くを単独で、または組み合わせて利用するような本発明の他の実施形態が可能である。
【0018】
図面は、本発明の幾つかの例を説明するために、本明細書に組み入れられ、本明細書の一部をなす。これらの図面は、本明細書の説明と合わせて、本発明の原則を説明する。図面は、本発明が、どのように製造され、どのように使用されるかの好適な例および代替例を示し、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による上衣を示す平面図。
【図2】図1の実施形態による上衣のへりを示す平面図。
【図3】図2の実施形態を示す断面図。
【図4】図1、図2、図3、および図5の実施形態による弾性バンドを示す平面図。
【図5】本発明の別の実施形態による上衣の製造方法を示す図。
【図6】着用者と接触している図2の上衣を示す断面図。
【図7A】図1の選択的な実施形態を示す図。
【図7B】明瞭化のために、構成要素105が省略されている図7Aの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
更なる特徴および効果が、本発明の様々な実施形態に関する以下の詳細な説明及び図面から明らかになる。
図1〜図4、図6および図7Aに示される上衣100は、袖縁108を有する一対の袖106と、襟縁102と、ウェスト縁104と、対向する外面118および内面122とを備えている。特別好適ではない実施形態において、一対の袖106は省略される。図7Aおよび図7Bにおいて、上衣100は、上衣100の背部172の周囲で延びる尾部171をさらに備えている。背部172は、着用者の背側の周囲に配置され、前部173は、着用者の前側の周囲に配置される。前部173および背部172は、対向した関係にある。
【0021】
上衣100は、人の上半身において、肩および腰の間、およびその周囲に着用される任意の衣服であり得る。襟縁102は、着用者の首領域の周囲に配置され、袖106は、着用者の腕の周囲に配置され、ウェスト縁104は、着用者の腰領域の周囲に配置される。袖106は、袖丈を有する。袖丈は、様々であってよい。従って、袖縁108は、着用者の二頭筋領域、肘領域、前腕領域、及び手首領域のいずれか一つの周囲に配置されることができる。上衣100は、ジャケット、ジャージ、シャツ、ブラウス、ベスト、コート、及びセータのいずれか一つを構成する。好適な実施形態において、上衣100は、ジャージまたはジャケットの一方である。好適には、襟縁102、ウェスト縁104、および袖縁108に、へりが縫われている。
【0022】
上衣100は、襟縁102、ウェスト縁104、袖縁108の少なくとも一つの周囲において、プリテンション弾性バンド111を有する。好適な実施形態において、上衣100は、少なくともウェスト縁104の周囲に、プリテンション弾性バンド111を有する。上衣100が尾部を有する場合には、ウェスト縁104は、尾部171の周囲に延びる。
【0023】
プリテンション弾性バンド111は、残留張力を有する弾性バンド110を備える。弾性バンド110は、両方の先端120、対向する上縁114および下縁116を有しており、弾性バンド幅115を有する。
【0024】
上衣について詳細に説明する前に、一つ以上のプリテンション弾性バンドを有する上衣の製造方法150(図5)を説明する。
工程152において、歪みが、弾性バンドに付与される。歪みは、機械、装置、または機器によって機械的に、或いは、人の手によって付与され得る。弾性バンドは、織物状弾性材料、不織状弾性材料、押出し加工弾性材料、および鋳込み加工弾性材料の一つを含む。
【0025】
本明細書において、「弾性材料」という用語は、材料を、少なくとも一方向において、その歪み前の長さの少なくとも約1.25倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍に伸長させるように歪みが付与された時に伸長可能であり、かつ、歪みが取り除かれた時に、その歪み前長さのわずか約1.00倍、わずか約1.005倍、わずか約1.01倍、わずか約1.02倍、わずか約1.03倍、わずか約1.04倍、わずか約1.05倍の歪み後長さまで復帰可能である材料を含む。
【0026】
工程154において、弾性バンドは、上衣の内面上において、襟縁、ウェスト縁、及び一方または両方の袖縁のいずれか一つの略周囲に配置される。弾性バンドは、対向する上縁および下縁、ならびに両方の先端を有する。さらに具体的に言うと、弾性バンドの下縁は、襟縁、ウェスト縁、及び一方または両方の袖縁のいずれか一つの略周囲に配置される。一実施形態において、工程152および154は、実質的に同時に行われてよい。即ち、歪みは、襟縁、ウェスト縁、及び一方または両方の袖縁のいずれか一つの周囲の内面上に弾性バンドを配置する工程の大部分または全部でなくても少なくとも一部の間に実質的に弾性バンドへ付与されて良い。別の実施形態において、工程152は、工程154の前に、または後に行われてよい。
【0027】
工程156において、弾性バンドは、弾性バンドへ付与された歪みを維持した状態で、上衣に取り付けられる。弾性バンドへ付与された歪みは、弾性バンドの上衣への取り付けの際に、弾性バンドを、その歪み前長さの約1.01倍から約2.0倍まで、その歪み前長さの約1.05倍から約1.75倍まで、その歪み前長さの約1.05倍から約1.50倍まで、その歪み前長さの約1.05倍から約1.25倍まで、その歪み前長さの約1.10倍から約1.25倍まで、十分に伸長させる。
【0028】
好適な実施形態において、弾性バンドの下縁は、襟縁、ウェスト縁、及び一方の袖縁のいずれか一つの略周囲に取り付けられる。下縁は、縫合、溶着、接着剤または糊等による接着、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つによって、上衣に取り付けられる。
【0029】
好適な実施形態において、下縁は、縫合によって、上衣に取り付けられる。より好適な実施形態において、弾性バンドを上衣に取り付ける接合部は、弾性バンド幅内に含まれ、接合部は、下縁の周囲の弾性バンド幅のわずか約5パーセント、下縁の周囲の弾性バンド幅のわずか約10パーセント、下縁の周囲の弾性バンド幅のわずか約15パーセント、下縁の周囲の弾性バンド幅のわずか約20パーセントの一つの幅を有する。
【0030】
工程158において、弾性バンドの両方の先端は、上衣に取り付けられること及び互いに取り付けられることの少なくとも一方を施される。両方の先端は、縫合、溶着、接着剤または糊等による接着、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つによって、上衣に取り付けられること及び互いに取り付けられることの少なくとも一方を施される。好適には、両方の先端は、縫合によって、上衣に取り付けられること及び互いに取り付けられることの少なくとも一方を施される。
【0031】
一実施形態において、工程156は、工程158の前または後に行われる。別の実施形態において、工程156および158は、実質的に略同時に行われる。
工程160において、弾性バンドを上衣に取り付けた後に、弾性バンドに付与された歪みが取り除かれて、プリテンション弾性バンド、ならびにプリテンション襟バンド、プリテンションウェストバンド、及びプリテンション袖バンドの一つを形成する。弾性バンドがある程度の歪みを有する状態で、上衣へ弾性バンド下縁を取り付けることは、(付与された歪みが取り除かれた時に)上衣がある程度の歪みを維持することを可能にし、それによって、プリテンション弾性バンドが形成されるが、これに限定されない。プリテンション弾性バンドは、異なる張力を有する上縁および下縁を有する。弾性バンドが付与された歪みを有する状態で、上縁および下縁の両方ではなく、下縁を上衣へ取り付けることは、付与された歪みが取り除かれた時に、上縁および下縁の間に、異なる張力をもたらす。上縁および下縁の間における張力の差は、以下(a)及び(b)の少なくとも一方に依存する。(a)は、取付工程156の間に弾性バンドに付与された歪みであり、(b)は、上衣100の特性を維持する剛性および張力の少なくとも一方である。
【0032】
好適な実施形態において、工程160で歪みが取り除かれる時に、形成されたプリテンション襟バンド、プリテンションウェストバンド、及びプリテンション袖バンドの一つが、襟縁、ウェスト縁、及び袖縁自体にしわが実質的に存在しないように、取付工程156の間に弾性バンドに付与された歪みと、上衣の特性を維持する剛性および張力の少なくとも一方との平衡が十分に調整される。即ち、プリテンション襟バンド、プリテンションウェストバンド、およびプリテンション袖バンドの少なくとも一つには、着用者およびプリテンションバンドの間に実質的に気密なシールを形成するために、それぞれのプリテンションバンドおよび上衣の着用者の間に、間隙および通路の少なくとも一方が実質的に存在しないか、完全に存在しない。
【0033】
限定されないが、着用者およびプリテンションバンドの間における気密シールは、上衣への弾性バンド上縁の取り付け部の全部ではなくても少なくとも殆どを除去することにより、増強され得る。好適には、弾性バンド幅の上部の少なくとも約90パーセントは、上衣への任意の取り付け部を備えず、弾性バンド幅の上部の少なくとも約95パーセントは、上衣への任意の取り付け部を備えず、弾性バンド幅の上部の少なくとも約99.99パーセントが、上衣への任意の取り付け部を備えず、弾性バンド幅の上部の少なくとも約100パーセントが、上衣への任意の取り付け部を備えていない。
【0034】
更に、弾性バンドの上縁および下縁の異なる張力の一方または両方、および上衣への弾性バンド上縁の取り付け部が存在しないことにより、上縁は、上衣から離間するように傾斜する。上縁は、特定の傾斜角度だけ、上衣から離間するように傾斜する。傾斜角度は、約5度から約45度、約10度から約40度、約10度から約30度、約10度から約20度の角度を有する。別の実施形態において、傾斜角度は、約15度から約40度、または約15度から約30度の間の角度を有する。
【0035】
方法150は、更に、任意で選択可能な工程159を含んでよい。任意工程159において、弾性バンド上縁の周囲の一つ以上の位置は、上衣に取り付けられる。一つ以上の位置は、縫合、溶着、接着剤または糊等による接着、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つによって、上衣に取り付けられる。好適には、一つ以上の位置は、プリテンション弾性バンドが、上衣内の縫合線と交差する位置付近に、実質的に配置される。より好適には、上縁は、プリテンション弾性バンドが、縫合線の一つと交差する位置付近において、上縁を上衣に縫合することにより、上衣に取り付けられる。より好適には、上縁が上衣に取り付けられる位置の数は、約13個未満、約12個未満、約11個未満、約10個未満、約9個未満、約8個未満、約7個未満、約6個未満、約5個未満、約4個未満、約3個未満、約2個未満、約1個未満の一つである。
【0036】
一実施形態において、任意工程159は、工程156および158の一方または両方の前、または後のいずれかに行われる。別の実施形態において、任意工程159は、工程160の前又は後のいずれかに行われる。
【0037】
図6に示される実施形態を参照すると、上衣100は、プリテンション襟バンド103、プリテンションウェストバンド105、およびプリテンション袖バンド109の少なくとも一つの周囲において、一つ以上の実質的に気密なシール132を有する。例証によって限定されないが、図2、図3、および図6は、接合部112によって上衣100に取り付けられたプリテンションバンド111を示す。一つ以上の気密シール132は、上衣100および着用者の間に含まれる任意の温暖な空気を実質的に保持する。更に、実質的に気密なシール132は、寒冷な空気が流入して、上衣100および着用者の間に含まれる温暖な空気の温度が低下することを実質的に防止する。
【0038】
好適な実施形態において、プリテンション弾性バンド111によって形成された気密シール132は、プリテンション襟バンド103、ウェストバンド105、および袖バンド109の少なくとも一つの周囲において、しわおよび通路の少なくとも一方を実質的に備えていない。しわおよび通路の少なくともいずれかが存在しないことは、上衣100および着用者の間に含まれる温暖な空気が流出すると共に、寒冷な空気が進入する機会を実質的に減少させる。
【0039】
更に、しわおよび通路が存在しないことは、より美的に魅力があり、より清潔で、且つ引き締まって見える上衣100をもたらす。また、密接で堅牢に固定された固定システムが存在しないことにより、過度に締め付けない上衣100を可能にする。締め付けない上衣100は、実質的により行動的な衣服であり、着用者が、より行動的に、且つより楽しく活動に参加することを可能にする。
【0040】
本発明の多くの変形例および修正例が用いられてよい。本発明の特定の特徴が、他の特徴を提供することなく、提供されることが可能である。例えば、上衣100は、プリテンション襟バンド103、プリテンションウェストバンド105、一対のプリテンション袖バンド109を含んでよい。別の実施形態において、上衣100は、プリテンション襟バンド103、プリテンションウェストバンド105、またはそれらの組み合わせを備える。
【0041】
本発明は、様々な実施形態、構成、または態様において、実質的に本明細書に記載されているような構成要素、方法、工程、システム、および装置の少なくとも一つを含んでおり、本発明の様々な実施形態、構成、態様、副次的組み合わせ、およびその小集合を含む。当業者は、本開示を理解した後に、いかにして、本発明を製造し、かつ使用するかを理解できる。本発明は、様々な実施形態、構成、および態様において、本明細書に図示あるいは説明されていない要素を備えていない機器及び工程を提供することを含み、或いは、本発明の様々な実施形態、構成、または態様において、例えば、性能を向上させ、簡易化し、実施費用を減少させ、或いはそれらの組み合わせのために、上述の機器または工程に用いられた要素を備えていない場合も含む。
【0042】
本発明の前述の記載は、説明を目的として提示されている。前述の記載は、本発明を、本明細書に開示される一つまたは複数の形態に限定するものではない。例えば、前述の発明の詳細な説明において、本発明の様々な特徴は、開示を整理する目的で、一つまたはそれより多くの実施形態、構成、または態様において、分類分けされている。本発明の実施形態、構成、または態様の特徴は、上記に説明されたもの以外の代替の実施形態、構成、または態様において組み合わされてよい。本開示方法は、特許請求の範囲に記載の発明が、各請求項に明確に記載されるよりも多くの特徴を必要とするものではない。むしろ、特許請求の範囲が示すように、本発明態様は、単一の先に開示された実施形態、構成、または態様の全ての特徴に満たないものにある。従って、以下の請求項は、これにより、この詳細な説明に組み入れられ、各請求項は、本発明の個別の好適な実施形態として、独立している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両方の先端、対向する上縁および下縁を有する弾性バンドに歪みを付与して維持する工程aと、
前記弾性バンドの前記歪みを実質的に維持した状態で、前記弾性バンドの下縁を、上衣の縁部に取り付ける工程bと、
前記両方の先端を、互いに取り付ける工程及び前記上衣に取り付ける工程の少なくとも一方を行なう工程cと、
前記弾性バンドに付与された前記歪みを取り除いて、プリテンション弾性バンドおよびプリテンション上衣縁を形成する工程dとを備える方法。
【請求項2】
前記上衣の縁部は、ウェスト縁、袖縁、及び襟縁の少なくとも一つである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程bおよび前記工程cの少なくとも一方は、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付ける工程を備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プリテンション上衣縁は、ほぼ平滑であるとともに、しわおよび通路を実質的に備えていない請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プリテンション弾性バンドの上縁および下縁は、異なる張力を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記上衣は、対向する内面と外面とを備え、前記プリテンション弾性バンドは前記内面に隣接して配置される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プリテンション弾性バンドの上縁の少なくとも特定の部分は前記上衣に取り付けられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プリテンション弾性バンドの上縁は、前記上衣の縫合線が前記プリテンション弾性バンドに交差する一つ以上の部位の略周囲において、前記上衣に取り付けられる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プリテンション弾性バンドが前記上衣の着用者と前記上衣との間に配置された時に、前記着用者と前記プリテンション弾性バンドとの間に実質的にシールを形成するように、前記プリテンション弾性バンドには予め十分に張力が付与される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シールは、前記プリテンション弾性バンドと前記着用者との間の空気流を実質的に防止する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記上衣はジャケット又はジャージである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
対向する内面および外面、ウェスト縁、襟縁、ならびに一対の袖縁を有する上衣本体と、
対向する第一上縁および第一下縁、ならびに両方の第一先端を有する第一プリテンション弾性バンドとを備える上衣であって、前記第一プリテンション弾性バンドは、前記ウェスト縁、前記襟縁、及び前記一対の袖縁のいずれか一つに取り付けられて、第一プリテンション上衣縁を形成し、前記第一プリテンション弾性バンドは、前記上衣本体の内面に隣接して配置される上衣。
【請求項13】
前記両方の第一先端は、互いに取り付けられること及び前記上衣本体に取り付けられることの少なくとも一方を施され、前記第一先端の一方又は両方と、前記第一下縁とは、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる請求項12に記載の上衣。
【請求項14】
前記第一上縁および前記第一下縁は異なる張力を有する請求項12に記載の上衣。
【請求項15】
前記第一上縁の少なくとも特定の部分は前記上衣本体に取り付けられる請求項12に記載の上衣。
【請求項16】
前記第一上縁は、上衣縫合線が前記第一プリテンション弾性バンドに交差する一つ以上の部位の略周囲において、前記上衣本体に取り付けられる請求項15に記載の上衣。
【請求項17】
前記第一プリテンション弾性バンドが前記上衣本体の着用者と前記上衣本体との間に配置された時に、前記着用者と前記第一プリテンション弾性バンドとの間に実質的にシールを形成するように、前記第一プリテンション弾性バンドには予め十分に張力が付与される請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記シールは、前記第一プリテンション弾性バンドと前記着用者との間の空気流を実質的に防止する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ジャケット又はジャージを構成する請求項12に記載の上衣。
【請求項20】
前記第一プリテンション上衣縁は前記ウェスト縁を構成する請求項12に記載の上衣。
【請求項21】
前記プリテンション上衣縁のウェスト縁は、ほぼ平滑であるとともに、しわおよび通路を実質的に備えていない請求項20に記載の上衣。
【請求項22】
前記上衣は、対向する第二上縁および第二下縁、ならびに両方の第二先端を有する第二プリテンション弾性バンドをさらに備え、前記第二プリテンション弾性バンドは、前記襟縁および前記袖縁のうちの一方に取り付けられて、第二プリテンション上衣縁を形成し、前記第二プリテンション弾性バンドは前記上衣本体の内面に隣接して配置され、前記両方の第二先端は、互いに取り付けられること及び前記上衣本体に取り付けられることの少なくとも一方を施され、前記第二先端の一方又は両方と、前記第二下縁とは、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる請求項20に記載の上衣。
【請求項23】
前記上衣は、対向する第三上縁および第三下縁、ならびに両方の第三先端を有する第三プリテンション弾性バンドをさらに備え、前記第三プリテンション弾性バンドは、前記襟縁および前記袖縁のうちの他方に取り付けられて、第三プリテンション上衣縁を形成し、前記第三プリテンション弾性バンドは前記上衣本体の内面に隣接して配置され、前記両方の第三先端は、互いに取り付けられること及び前記上衣本体に取り付けられることの少なくとも一方を施され、前記第三先端の一方又は両方と、前記第三下縁とは、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられる請求項22に記載の上衣。
【請求項24】
対向する内面および外面、ウェスト縁、襟縁、ならびに一対の袖縁を有するジャケット本体と、
対向する上縁および下縁、ならびに両方の先端を有するプリテンション弾性ウェストバンドとを備えるジャケットであって、
前記プリテンション弾性ウェストバンドは、前記ウェスト縁に取り付けられて、実質的に谷部および隆起が存在しない実質的に平滑なプリテンションジャケットウェスト縁を形成し、前記プリテンション弾性ウェストバンドは、前記ジャケット本体の内面に隣接して配置され、前記プリテンション弾性ウェストバンドの両方の先端は、互いに取り付けられること及び前記ジャケット本体に取り付けられることの少なくとも一方を施され、前記プリテンション弾性ウェストバンドの上縁および下縁は異なる張力を有し、前記プリテンション弾性ウェストバンドが前記ジャケットの着用者と前記ジャケット本体との間に配置された時に、前記着用者と前記プリテンション弾性ウェストバンドとの間に実質的にシールを形成するように、前記プリテンション弾性ウェストバンドには予め十分に張力が付与されるジャケット。
【請求項25】
前記先端の一方又は両方と、前記下縁とは、縫合、溶着、接着、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つによって取り付けられ、前記シールは、前記プリテンション弾性ウェストバンドと前記着用者との間の空気流を実質的に防止する請求項22に記載のジャケット。
【請求項26】
前記プリテンション弾性ウェストバンドの上端の少なくとも特定の部分は、ジャケット縫合線が前記プリテンション弾性ウェストバンドに交差する一つ以上の部位の略周囲において、前記ジャケット本体に取り付けられる請求項22に記載のジャケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−530853(P2012−530853A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516312(P2012−516312)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/039046
【国際公開番号】WO2010/148235
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511307568)ダッシュアメリカ インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス アズ パール イズミ ユーエスエイ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DASHAMERICA,INC.d/b/a PEARL IZUMI USA,INC.
【Fターム(参考)】