説明

プリンタおよび電子機器

【課題】用紙の印字面が紫外線やその他の要因で変色等を来たすことを防止できるプリンタを提供する。
【解決手段】印字がなされたロール紙520を排紙口に向けて案内する排紙構成は、排紙口の手前に延び、排紙口に向けて案内されるロール紙520を支持する支持路67と、排紙口に向けて案内されるロール紙520を支持路67に対向する側に押圧する弾性を備えるブレード96とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS端末等の電子機器に用いられ、ロール紙に印刷を行う小型のプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプリンタは、構造が簡素であり、小型化、ローコスト化、およびメインテナンスの簡便化に有利であるため、多岐に亘る電子機器、例えば、レシートを発行するPOS端末や、チケットまたはクーポンの発券機などに使用されている。
【0003】
それらのうち、レシート印刷を行うレシートプリンタは、例えば特許文献1に開示されており、印字がなされたロール紙を適当な位置(長さ)で自動的に切断するための切断構成を有している。
【0004】
一方、チケット印刷やクーポン印刷を行うチケットプリンタは、チケット一枚分に対応した所定の位置(長さ)毎に予めミシン目が入ったロール紙を用いるものであり、例えば特許文献2に開示されているように、プリンタの用紙排出口に設けられた手切り用カッタを有している。そして、印字がなされたロール紙は、ミシン目が位置するように排紙され、ユーザによって手で切り取られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−310512号公報
【特許文献2】特開2002−361959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、チケット用紙は、レシート用紙よりも印刷、排出の頻度が低く、その端部がプリンタ内部にて、排紙口を臨んでいる時間が長い。このため、チケット用紙の印字面が、紫外線やその他の要因で変色等を来たす虞がある。
【0007】
それ故、本発明の課題は、用紙の印字面が紫外線やその他の要因で変色等を来たすことを防止できるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ロール紙を繰り出しつつ紙面に対して印字を行う印字部と、印字がなされたロール紙を排紙口に向けて案内する排紙構成と、前記排紙口に向けて案内されたロール紙を切断する切断構成とを有するチケット用のプリンタにおいて、前記切断構成は、前記排紙口に設けられ、刃先に押し付けられたロール紙を切断する手切り用カッタを有し、前記排紙構成は、前記排紙口の手前に延び、前記排紙口に向けて案内されるロール紙を支持する支持路と、前記排紙口に向けて案内されるロール紙を前記支持路に対向する側に押圧する弾性を備えるブレードとを有することを特徴とするプリンタが得られる。
【0009】
本発明によればまた、前記プリンタを備えていることを特徴とする電子機器が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるプリンタは、用紙の印字面が紫外線やその他の要因で変色等を来たすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るプリンタの基本構成を示す断面図である。
【図2】図1に示された基本構成にレシートプリンタ用の構成が加えられた、本発明のプリンタの関連構成としてのレシートプリンタの構成を示す断面図である。
【図3】図1に示された基本構成にチケットプリンタ用の構成が加えられた、本発明の実施例によるチケットプリンタの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるプリンタは、ロール紙を繰り出しつつ紙面に対して印字を行う印字部と、印字がなされたロール紙を排紙口に向けて案内する排紙構成と、排紙口に向けて案内されたロール紙を切断する切断構成とを有している。
【0013】
特に、本発明によるプリンタにおいて、切断構成は、排紙口に設けられ、刃先に押し付けられたロール紙を切断する手切り用カッタを有している。また、排紙構成は、排紙口の手前に延び、排紙口に向けて案内されるロール紙を支持する支持路と、排紙口に向けて案内されるロール紙を支持路に対向する側に押圧する弾性を備えるブレードとを有している。
【0014】
さらに、手切り用カッタが、上カバーおよび下カバーの少なくとも一方に一体的に形成されており、上カバーおよび下カバーの少なくとも一方を介して上フレームおよび下フレームの少なくとも一方に搭載されるものであってもよい。
【実施例】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0016】
[基本構成(共通構成)]
プリンタは、例えば、POS端末やチケット発券機等の電子機器に組み込まれるか、あるいはPOS端末やチケット発券機等の電子機器に付随してスタンドアロンに用いられるプリンタである。尚、POS端末であっても、コンビニエンスストア等に設置されるものは、レシートプリンタとチケットプリンタとの両方を一台の端末に組み込んでいるものもある。本プリンタは、こうした使用形態であってもよい。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るプリンタの基本構成を示している。
【0018】
図1を参照すると、本プリンタは、基本構成として、ロール紙が装填される下フレーム10と、下フレーム10を開放自在に覆蓋する上フレーム20と、下フレーム10に搭載され、ロール紙を繰り出すプラテン30と、プラテン30の周面上の紙面に対して印字を行う例えばサーマルタイプの印字ヘッド40と、本プリンタの動作を司る下フレーム10内に組み込まれた制御基板50とを有している。
【0019】
これらの基本構成は、後述するレシートプリンタ用の構成と、チケットプリンタ用の構成とに共通に用いられる。このことを換言すれば、本発明によるプリンタは、レシートプリンタおよびチケットプリンタをそれぞれ構成することが可能な汎用性を有している。
【0020】
さて、本プリンタは、印字がなされたロール紙を切断する切断構成として、レシートプリンタ用の構成と、チケットプリンタ用の構成とを選択的に有している。
【0021】
本プリンタはまた、下フレーム10および上フレーム20の前方を覆蓋するフロントカバー構成として、レシートプリンタ用の構成と、チケットプリンタ用の構成とを選択的に有している。
【0022】
本プリンタはさらに、ロール紙を排紙口に向けて案内する排紙構成として、レシートプリンタ用の構成と、チケットプリンタ用の構成とを選択的に有している。
【0023】
したがって、本プリンタの組立においては、レシートプリンタおよびチケットプリンタのどちらを組み立てる際にも、まずは図1に示された基本構成を組み立てておき、その後の工程において、切断構成、フロントカバー構成、排紙構成を、レシートプリンタ用またはチケットプリンタ用に選択的に、組み立てればよい。
【0024】
[レシートプリンタ(関連構成)]
図2は、図1を参照して説明した本プリンタの基本構成にレシートプリンタ用の構成を加えてレシートプリンタを本発明のチケットプリンタの関連構成として組み立てて、使用する場合の構成を示している。尚、図中、符号510は、レシート用のロール紙を示している。
【0025】
図2を参照すると、本プリンタにおいて、印字ヘッド40によって印字済みのレシート用のロール紙510を切断するレシートプリンタ用の切断構成は、上フレーム20に搭載される固定刃81と、ロール紙510を挟んで固定刃81に対向するように下フレーム10に搭載され、駆動源によって駆動されてロール紙510を切断する可動カッターユニット82とを有している。
【0026】
可動カッターユニット82には、基準孔が形成されており、基準シャフト821がこの基準孔と下フレーム10に形成された基準孔(図1中、符号103)とに亘って挿通されることにより、下フレーム10に対して正確に位置決めされた状態で搭載される。また、可動カッターユニット82は、図2には示されていないが歯車を有している。この歯車は可動カッターユニット82が下フレーム10に搭載された時に下フレーム10に搭載されている駆動源の歯車(図示せず)と噛み合う。この結果、駆動源による駆動力が可動カッターユニット82に伝達される。
【0027】
さらに、本プリンタにおいて、下フレーム10および上フレーム20の前方を覆蓋するレシートプリンタ用のフロントカバー構成は、下フレーム10に取り外し自在に装着される第1の下カバー61と、上フレーム20に取り外し自在に装着される第1の上カバー71とを有している。第1の下カバー61の端部とこれに対向する第1の上カバー71の端部とにより、印字がなされたロール紙510を排出するレシートプリンタ用の第1の排紙口63が規定されている。第1の上カバー71には、防塵や防水のために第1の排紙口63を塞ぐフラップ91が取り付けられている。フラップ91は、軽量で、柔軟性を有する素材から成り、ロール紙510の排出を妨げることはない。
【0028】
さらにまた、本プリンタにおいて、ロール紙510を排紙口63に向けて案内するレシートプリンタ用の排紙構成は、可動カッターユニット82と第1の下カバー61の端部(第1の排紙口63)との間に延びるように第1の下カバー61に形成された第1の支持路62を有している。第1の支持路62上を通って第1の排紙口63から排出されるロール紙510は、フラップ91によって、第1の支持路62に僅かに押圧され、撓みが矯正される。
【0029】
レシートプリンタ用の排紙構成はさらに、第1の下カバー61の第1の支持路62に対向するように第1の上カバー71に設けられ、第1の支持路62上におけるロール紙510の盛り上がりに基づいて用紙ジャムを検出するジャムセンサを有している。このジャムセンサは、第1の上カバー71に設けられた、例えば投光素子と受光素子とからなる光学式センサ(図示せず)と、第1の支持路62上におけるロール紙510の盛り上がりに応じて変位するように第1の上カバー71に可動に取り付けられた用紙ガイド73とを有している。そして、用紙ガイド73が変位したときに投光素子から受光素子に向かう検出光が遮光または通光することにより、第1の支持路62上におけるロール紙510の用紙ジャムを検出し、プリンタの動作を停止するように構成されている。
【0030】
尚、本例においては、切断構成とフロントカバー構成とが下フレーム10や上フレーム20に対して個別に取り付けられているが、フロントカバー構成、切断構成、さらには排紙構成が単一のユニットとして一体に構成されていてもよい。即ち、固定刃81が、第1の上カバー71に搭載されており、第1の上カバー71を介して上フレーム20に搭載される一方、可動カッターユニット82が、第1の下カバー61に搭載され、第1の下カバー61を介して下フレーム10に搭載されるものであってもよい。
【0031】
[チケットプリンタ(本発明)]
図3は、図1を参照して説明した本プリンタの基本構成にチケットプリンタ用の構成を加えてチケットプリンタを本発明の実施例として組み立てて、使用する場合の構成を示している。尚、図中、符号520は、チケット用のロール紙を示している。チケット用のロール紙520には、チケット一枚分に対応した所定の位置(長さ)毎に予めミシン目が入っており、後述する手切り用カッタによって容易にチケット一枚分が切断できるようになっている。
【0032】
図3を参照すると、本プリンタにおいて、印字ヘッド40によって印字済みのチケット用のロール紙520を切断するチケットプリンタ用の切断構成は、上フレーム20に搭載される手切り用カッタ86を有している。尚、手切り用カッタは、下フレームもしくは上下フレームに搭載されてもよい。
【0033】
さらにまた、本プリンタにおいて、ロール紙520を排紙口63に向けて案内するチケットプリンタ用の排紙構成は、下フレーム10に取り外し自在に装着される第2の下カバー66と、上フレーム20に取り外し自在に装着される第2の上カバー76とを有している。第2の下カバー66の端部とこれに対向する第2の上カバー76の端部とにより、印字がなされたロール紙520を排出するチケットプリンタ用の第2の排紙口68が規定されている。第2の下カバー66には、防塵や防水のために第2の排紙口68を塞ぐブレード96が取り付けられている。ブレード96は、軽量で、弾性を有する素材から成り、ロール紙524の排出を妨げることはない。
【0034】
本実施例においては、手切り用カッタ86は、第2の上カバー76の端部に一体的に形成されている。したがって、手切り用カッタ86は、第2の上カバー76を介して上フレーム20に搭載されている。
【0035】
さらにまた、本プリンタにおいて、ロール紙520を排紙口68に向けて案内するチケットプリンタ用の排紙構成は、プラテン30と第2の下カバー66の端部(第2の排紙口68)との間に延びるように第2の下カバー66に形成された第2の支持路67を有している。第2の支持路67上を通って第2の排紙口68から排出されるロール紙520は、ブレード96によって、第2の上カバー76の第2の支持路67に対向する部分に対して僅かに押圧され、撓みが矯正される。これと共に、チケット用のロール520のおもて面が常に第2の上カバー76にほぼ密着することになる。この結果、レシート程よりも印刷、排出の頻度が低く、第2の排紙口68を端部が臨んでいる時間が長いチケット用のロール520の印字面が紫外線やその他の要因で変色等を来たすことが防止される。
【0036】
尚、本実施例においては、切断構成とフロントカバー構成とがユニット化された上で下フレーム10や上フレーム20に対して取り付けられているが、本発明はこれに限らず、フロントカバー構成、切断構成、排紙構成が個別に下フレーム10や上フレーム20に取り付けられてもよい。
【0037】
また、本プリンタは、レシートプリンタおよびチケットプリンタをそれぞれ構成することが可能な汎用性を有している。このため、次のような効果を奏する。従来、レシートプリンタとチケットプリンタとは、それらの切断構成が異なるため、切断構成が搭載される下フレームや上フレーム等を含むプリンタ本体も、異なる部品を用いた別の設計であった。このため、プリンタの組み立てラインや部品の納入計画も別であった。これに対し、本発明によるプリンタは、レシートプリンタとチケットプリンタとで共通の構成を有し、合理的に組み立てや部品納入計画を立てることができ、生産性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上、本発明について好ましい実施例に即して説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、サーマルプリンタ以外の印刷形式のプリンタ、例えばインクヘッドを持つプリンタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 下フレーム
20 上フレーム
30 プラテン
40 印字ヘッド
50 制御基板
61 第1の下カバー
62 第1の支持路
63 第1の排紙口
66 第2の下カバー
67 第2の支持路
68 第2の排紙口
71 第1の上カバー
73 用紙ガイド
76 第2の上カバー
81 固定刃
82 可動カッターユニット
91 フラップ
96 ブレード
103 基準孔
510、520 ロール紙
821 基準シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を繰り出しつつ紙面に対して印字を行う印字部と、印字がなされたロール紙を排紙口に向けて案内する排紙構成と、前記排紙口に向けて案内されたロール紙を切断する切断構成とを有するチケット用のプリンタにおいて、
前記切断構成は、前記排紙口に設けられ、刃先に押し付けられたロール紙を切断する手切り用カッタを有し、
前記排紙構成は、前記排紙口の手前に延び、前記排紙口に向けて案内されるロール紙を支持する支持路と、前記排紙口に向けて案内されるロール紙を前記支持路に対向する側に押圧する弾性を備えるブレードとを有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
ロール紙が装填される下フレームと、前記下フレームを開放自在に覆蓋する上フレームと、前記下フレームおよび前記上フレームの前方を覆蓋すると共に前記排紙口を規定するフロントカバー構成とをさらに有し、
前記フロントカバー構成は、前記下フレームに取り外し自在に装着される下カバーと、前記上フレームに取り外し自在に装着される上カバーとを有する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記手切り用カッタは、前記上カバーおよび前記下カバーの少なくとも一方に一体的に形成されており、該上カバーおよび該下カバーの少なくとも一方を介して前記上フレームおよび前記下フレームの少なくとも一方に搭載される請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載されたプリンタを備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−178168(P2011−178168A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83118(P2011−83118)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2007−199583(P2007−199583)の分割
【原出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】