説明

プリンタのカード供給装置

【課題】 送出ローラとカード間におけるスリップ等の不具合を回避し、カードの汚れ防止及び送出動作の安定化を図るとともに、カードホッパ部に大量のカードを余裕をもって収容可能にする。
【解決手段】 少なくともカードホッパ部2の下方に配して当該カードホッパ部2に収容されたカード群Coの最下部のカード(最下部カード)Cdを一枚ずつ印刷部3に送出可能な送出ローラ4rを有するカード送出機構4と、カードホッパ部2に収容されたカード群Coにおける所定高さに位置するカードCよりも上方のカード群(上カード群)Couを保持して下方に付加される荷重を低減し又は当該保持を解除可能な上カード群保持機構5と、最下部カードCdをカードホッパ部2から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は上カード群保持機構5を制御して上カード群Couを保持する制御部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカードを積層状態に収容するカードホッパ部からカードを一枚ずつ印刷部に供給するプリンタのカード供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードの印刷を主目的としたカード印刷機は知られており、例えば、特許文献1には、印字機構部のサーマルヘッドによるカードへの押圧力をサーマルヘッド押圧力制御部によって制御できるようにしたサーマルプリンタが開示され、また、特許文献2には、第1駆動部に設けられた駆動モータにより、ホッパー部にその短辺を進行方向にして搬送できるように装填されたカードを一枚ずつ切り出して、それを印字ユニット部に搬送し、第2駆動部に設けられた駆動モータにより、印字ユニット部にカードを供給するとともに、印字ユニット部に熱転写フィルムを給排し、ホッパー部と印字ユニットとの間にローラ搬送に替えて簡便な搬送手段を配設させたカード印刷機が開示されている。
【0003】
ところで、カードは、一般の印刷用紙に比べてサイズが小さいとともに、厚みがあり、また、材質も紙以外の材質(プラスチック等)で形成される場合も多いため、一般の印刷用紙に比べて、特にカードの供給系(カード供給装置)をカードに適合するように構成する必要がある。このため、上述した特許文献1及び2をはじめ、この種のカード印刷機では、複数のカードを積層状態に収容するホッパ部の下端に一枚のカードが通るゲート(送出口)を設け、最下部に位置するカードの下面に当接させた送出ローラを回転させることによりホッパ部から一枚ずつカードを送出して印刷部に供給するカード供給装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−314885号公報
【特許文献2】特開平10−16186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のカード印刷機に備えるカード供給装置は、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、カードをホッパ部の下端から送出する構成のため、最下部に位置するカードには積層状態の複数のカード(カード群)の全荷重が付加されることになる。したがって、付加される全荷重の大きさが所定の水準を越えた場合、最下部に位置するカードとその上のカード群との摩擦が増加するため、送出ローラとカード間にスリップが発生しやすくなり、カードに汚れや傷等を生じたり、送出動作(送出パラメータ)の不安定化を招く要因となる。
【0007】
第二に、カードをホッパ部の下端から送出する構成のため、ホッパ部に収容するカードの数量が所定の枚数を越えた場合には、最下部に位置するカードに過大な荷重が付加されることになり、カードが送出されないエラー(ミスフィード)を生じる。結局、ホッパ部に収容できるカードの数量が制限され、大量のカードを収容できない。この結果、カードをホッパ部に投入する頻繁な補給作業が必要となるなど、作業能率の低下要因となる。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したカード供給装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、積層状態の複数のカードC…(カード群Co)を収容するカードホッパ部2からカードCを一枚ずつ印刷部3に供給するプリンタPのカード供給装置1を構成するに際して、少なくともカードホッパ部2の下方に配して当該カードホッパ部2に収容されたカード群Coの最下部のカード(最下部カード)Cdを一枚ずつ印刷部3に送出可能な送出ローラ4rを有するカード送出機構4と、カードホッパ部2に収容されたカード群Coにおける所定高さに位置するカードCよりも上方のカード群(上カード群)Couを保持して下方に付加される荷重を低減し又は当該保持を解除可能な上カード群保持機構5と、最下部カードCdをカードホッパ部2から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は上カード群保持機構5を制御して上カード群Couを保持する制御部6とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、上カード群保持機構5は、制御部6により制御される回転駆動部11と、この回転駆動部11により回転するカム部12p,12qと、上カード群Couの両側を把持可能な一対の把持体部13p,13qと、カム部12p,12qに追従する追従部14p,14qの変位を一対の把持体部13p,13qに伝達可能な一対の伝達機構部15p,15qとを備えて構成できる。この際、把持体部13p,13qには、カード群Coに対する当接面に滑止めの凹凸模様部Dp,Dqを設けたゴムブロック13pg,13qgを用いることができるとともに、把持体部13p,13qと伝達機構部15p,15q間にはスプリング16p…を介在させることができる。また、伝達機構部15p,15qには、追従部14p,14qの少なくとも変位方向を変換して把持体部13p,13qを上カード群Couに対して斜め上方に変位させる運動変換機構17p,17qを設けることができる。一方、カード供給装置1には、カードホッパ部2におけるカードC…の収容量を検出する収容量検出部18と、この収容量検出部18の検出結果に対応して把持体部13p,13qを変位させる変位量を変更する変位量変更部19を設けることができるとともに、カード群Coの最上部のカードCuの上に載置可能であって上下にスライド自在に支持されたウェイト20wを有するウェイト機構20を設けることができる。さらに、カード送出機構4には、一枚のカードCのみが通過可能なゲート4oを形成するゲート規制体4mと、このゲート規制体4mを昇降させることによりゲート4oの開口高さをカードC…の厚さに対応して変更可能なゲート調整機構4sを設けることができる。なお、印刷部3には熱転写印刷部3tを用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係るカード供給装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) カードCをカードホッパ部2から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は上カード群保持機構5を制御して上カード群Couを保持するようにしたため、カードCをカードホッパ部2から送出する際には、当該カードCに付加されるカード群Coの荷重を低減して送出環境(送出パラメータ)の最適化を図ることができる。これにより、送出ローラ4rとカードC間で発生するスリップ等の不具合を回避し、カードCの汚れや傷等の防止及び送出動作の安定化を図ることができる。
【0013】
(2) カードホッパ部2に収容された上カード群Couを保持して下方に付加される荷重を低減し又は当該保持を解除可能な上カード群保持機構5を設けたため、最下部カードCdに過大な荷重が付加されて当該最下部カードCdが送出されないエラー(ミスフィード)を排除できる。したがって、カードホッパ部2に大量(例えば、100〜200枚)のカードC…を余裕をもって収容でき、もって、カードC…をカードホッパ部2に投入する頻繁な補給作業の削減、更には作業能率の向上を図ることができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、上カード群保持機構5を、制御部6により制御される回転駆動部11と、この回転駆動部11により回転するカム部12p,12qと、上カード群Couの両側を把持可能な一対の把持体部13p,13qと、カム部12p,12qに追従する追従部14p,14qの変位を一対の把持体部13p,13qに伝達可能な一対の伝達機構部15p,15qにより構成すれば、カード群Coの両側を一対の把持体部13p,13qにより保持可能になるため、カード群Coに対する保持の確実化及び動作の安定化を図ることができる。
【0015】
(4) 好適な態様により、把持体部13p,13qとして、カード群Coに対する当接面に滑止めの凹凸模様部Dp,Dqを設けたゴムブロック13pg,13qgを用いれば、ゴムブロック13pg,13qgの凹凸模様部Dp,Dqをカード群Coの両側に圧接させることができるため、上カード群Couを確実かつ安定に保持できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、把持体部13p,13qと伝達機構部15p,15q間にスプリング16p…を介在させれば、把持体部13p,13qがカード群Coに当接した場合であっても、スプリング16p…の弾性機能により、カード群Coが傷付く等の不具合を回避できるとともに、上カード群Couをより確実かつ安定に保持できる。
【0017】
(6) 好適な態様により、伝達機構部15p,15qに、追従部14p,14qの少なくとも変位方向を変換して把持体部13p,13qを上カード群Couに対して斜め上方に変位させる運動変換機構17p,17qを設ければ、上カード群Couに対して、水平方向の押圧力に加え、垂直方向への押圧力により上カード群Couを適度に浮かせることができ、より確実な荷重低減(除去を含む)を図ることができる。
【0018】
(7) 好適な態様により、カード供給装置1に、カードホッパ部2におけるカードC…の収容量を検出する収容量検出部18と、この収容量検出部18の検出結果に対応して把持体部13p,13qを変位させる変位量を変更する変位量変更部19を設ければ、カードC…の収容量に対応して把持体部13p,13qによるカード群Coに対する押圧力を変更できるため、収容量が多い(重い)場合には、大きい押圧力によりカード群Coを確実に保持できるとともに、収容量が少ない(軽い)場合には、小さい押圧力によりカード群CoにおけるカードCの無用な変形等を防止できる。
【0019】
(8) 好適な態様により、カード群Coの最上部のカードCuの上に載置可能であって上下にスライド自在に支持されたウェイト20wを有するウェイト機構20を設ければ、積層状態におけるカードC…の浮き上がりを防止できるため、カードCの確実かつ円滑な送出を行うことができる。
【0020】
(9) 好適な態様により、カード送出機構4に、一枚のカードCのみが通過可能なゲート4oを形成するゲート規制体4mと、このゲート規制体4mを昇降させることによりゲート4oの開口高さをカードC…の厚さに対応して変更可能なゲート調整機構4sを設ければ、印刷するカードC…の厚さに対応して容易にゲート4oの開口高さを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適実施形態に係るカード供給装置における要部の構成を示す一部断面正面図、
【図2】同カード供給装置を備えるプリンタの全体を示す模式的構成図、
【図3】同カード供給装置を斜め下方から見た斜視図、
【図4】同カード供給装置に備える上カード群保持機構の一部を示す内方向から見た斜視図、
【図5】同カード供給装置に備える上カード群保持機構の一部を示す外方向から見た斜視図、
【図6】同カード供給装置に備えるカードホッパ部及びカード送出機構を示す一部断面正面図、
【図7】同カード供給装置に備える上カード群保持機構のカードの保持を解除した状態を示す一部断面正面図、
【図8】同カード供給装置の動作を説明するためのフローチャート、
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係るカード供給装置1及びこのカード供給装置1を備えるプリンタPの全体構成について、図1〜図7を参照して説明する。
【0024】
図2は、プリンタPの全体構成を示す。プリンタPは、主要構成として、カードCの供給側から、カード供給装置1,印刷部3,デカーラ兼用反転ユニット21,カード排出部22及びコントローラボックス23を備える。例示のプリンタPは熱転写プリンタを構成する。また、印刷対象となるカードCには、一般的なクレジットカード等の各種カードをはじめ、クレジットカードに対して二倍程度の大きさとなる首等から吊下げて使用するネームプレート等の各種カード類を適用できる。
【0025】
カード供給装置1は、本発明の要部を構成するものであり、主要部として、カードホッパ部2,カード送出機構4,上カード群保持機構5及び制御部6を備える。以下、カード供給装置1の各部の構成について具体的に説明する。
【0026】
カードホッパ部2は、平坦な基盤31の上面に配した、左側板部2p,右側板部2q,前板部2f及び後板部2rを備え、内部に複数のカードC…(カード群Co)を積層状態に収容することができる。したがって、上端2uは全面が開放されたカードC…の投入口となる。カードホッパ部2は、少なくとも印刷するカードC…の最大サイズを収容可能に構成し、図6に示すロック解除レバー32を操作することにより、左右の側板部2p,2qを左右方向へスライド変位させることができる。このため、基盤31の下面には、図1及び図3に示すように、各側板部2p,2qを左右方向に連動させ、かつ対称的に変位させる連動機構33を備える。これにより、印刷するカードCの最小サイズから最大サイズまで適応可能となる。
【0027】
また、カードホッパ部2における前部の周辺にはカード送出機構4を配設する。カード送出機構4は、カードホッパ部2の下方に配して当該カードホッパ部2に収容されたカード群Coの最下部のカード(最下部カード)Cdを一枚ずつ印刷部3に送出可能な送出ローラ4rを備える。この場合、カードホッパ部2の内部に臨む基盤31の前寄り位置に開口部34を形成し、この開口部34に送出ローラ4rを収容するとともに、基盤31の下面に配したシャフト35に送出ローラ4rを取付ける。この際、送出ローラ4rの周面上端はカードホッパ部2に収容されたカード群Coにおける最下部カードCdの下面に適度に圧接するように位置選定する。図1及び図3に示す36は基盤31に一体に取付けた鉛直の支持シャーシであり、この支持シャーシ36及び図示を省略した他のシャーシによりシャフト35を回動自在に支持するとともに、シャフト35の一端には送出ローラ用モータ37の回転シャフトを結合する。この送出ローラ用モータ37は制御部6を構成する図1に示すコントローラ41のモータ出力ポートに接続する。さらに、基盤31にはカードCの送出が終了したことを検出するカード送出検出センサ42を配設するとともに、このカード送出検出センサ42はコントローラ41のセンサ入力ポートに接続する。
【0028】
一方、コントローラ41は、プリンタPに係わる制御機能を備え、前述したコントローラボックス23に内蔵する。したがって、少なくともカード供給装置1における送出ローラ用モータ37をはじめ、後述するカム回転用モータ72を駆動制御する機能を備える。コントローラ41は、CPU,メモリ,電源ユニット等を含むコンピュータ機能を備え、カード供給装置1に係わる一連のシーケンス制御を実行するとともに、プリンタPの全体の制御を実行する。このため、これらの制御を実現するための制御プログラムを格納する。特に、最下部カードCdをカードホッパ部2から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は後述する上カード群保持機構5を制御して上カード群Couを保持する機能を備えるとともに、後述する変位量変更部19としての機能を備える。なお、コントローラ41は、パソコン等の汎用コンピュータを利用した外部のコンピュータシステムに接続して使用する。これにより、コンピュータシステムに備えるデータベースから、印刷を行うための各種印刷データ、例えば、ネームカードの場合には、氏名や写真等の各種印刷データがコントローラ41に転送される。
【0029】
さらに、カード送出機構4は、一枚のカードCのみが通過可能なゲート4oを形成するゲート規制体4mと、このゲート規制体4mを昇降させることによりゲート4oの開口高さをカードCの厚さに対応して変更可能なゲート調整機構4sを備える。一般に、カードC…には、厚さが、1〔mm〕,0.7〔mm〕などの異なる厚さを有する複数種類のカードC…が存在する。このため、前板部2fの下端に、少なくとも印刷するカードC…の最大厚さのカードCが通過可能な開口を形成するとともに、この開口に対して上からゲート規制体4mを臨ませている。これにより、ゲート4oの下端は基盤31の上面により規制されるとともに、上端はゲート規制体4mにより規制される。したがって、ゲート調整機構4sを構成するに際しては、ゲート規制体4mを前板部2fに上下方向へスライド自在に取付け、かつゲート規制体4mに支持シャフト51を貫通させて取付けるとともに、この支持シャフト51の両側に一対のカム52p,52qを取付け、このカム52p,52qを基盤31の上面に当接させる。この場合、カム52p,52qは円盤状に形成し、カム52p,52qの中心から径方向にオフセットした位置に支持シャフト51を取付けるとともに、支持シャフト51の一端に手動操作可能なハンドル(又は他の回転駆動部から回転が伝達されるギア)53を取付ける。これにより、ハンドル53を回し操作すれば、カム52p,52qが回転し、ゲート規制体4mを昇降させることができる。即ち、ゲート4oの開口高さをカードCの厚さに対応して変更することができる。このため、カードC…の種類に対応してハンドル53の位置(角度)を予め設定しておくことが望ましい。このように、カード送出機構4に、一枚のカードCのみが通過可能なゲート4oを形成するゲート規制体4mと、このゲート規制体4mを昇降させることによりゲート4oの開口高さをカードC…の厚さに対応して変更可能なゲート調整機構4sを設ければ、印刷するカードC…の厚さに対応して容易にゲート4oの開口高さを変更できる利点がある。
【0030】
他方、カードホッパ部2には、カード群Coの最上部のカード(最上部カード)Cuの上に載置可能であって上下にスライド自在に支持されたウェイト20wを有するウェイト機構20を付設する。この場合、ウェイト機構20は、基盤31の上面から起設した支持ポスト54と、この支持ポスト54に一方側をスライド自在に装填した水平支持板55と、この水平支持板55の他方側であって、下面側に配したローラ状のウェイト20wとを備えて構成する。このウェイト20wは、回動自在に支持されるとともに、支持ポスト54を支点に旋回するウェイト20wの回動軸は、この旋回方向に対して直角方向となるため、ウェイト20wにより最上部カードCuがズレてしまう等の不具合を回避できる。水平支持板55は、非使用時又はカード投入時に、図6に仮想線で示す位置、即ち、支持ポスト54の上端付近であって、90〔゜〕回動変位させた位置(ホームポジション)にリリースできる。したがって、使用する際には、水平支持板55をカードホッパ部2の内部側へ90〔゜〕回動変位させれば、水平支持板55は、上下及び回動方向へ変位自在となり、ウェイト20wをカード群Coの最上部カードCuの上に載せることができる。よって、このようなウェイト機構20を設ければ、積層状態におけるカードC…の浮き上がりを防止できるため、カードCの確実かつ円滑な送出を行うことができる利点がある。
【0031】
一方、カードホッパ部2には、本発明に従って、上カード群保持機構5を付設する。上カード群保持機構5は、カードホッパ部2に収容されたカード群Coにおける所定高さに位置するカードCよりも上方のカード群(上カード群)Couを保持して、下方に付加される荷重を低減(除去を含む)し、又はその保持を解除可能にする機能を備えている。したがって、上カード群保持機構5は、コントローラ41により制御される回転駆動部11と、この回転駆動部11により回転するカム部12p,12qと、上カード群Couの両側を把持可能な一対の把持体部13p,13qと、カム部12p,12qに追従する追従部14p,14qの変位を一対の把持体部13p,13qに伝達可能な一対の伝達機構部15p,15qとを備えている。このような構成を採用することにより、カード群Coの両側を一対の把持体部13p,13qにより保持可能になるため、カード群Coに対する保持の確実化及び動作の安定化を図ることができる。
【0032】
上カード群保持機構5は、支持シャーシ36等により回動自在に支持されたカムシャフト71を備え、このカムシャフト71に左右一対のカム部12p,12qを取付ける。各カム部12p,12qはローラ(円盤)状に形成し、各カム部12p,12qの中心から径方向にオフセットした位置にカムシャフト71を貫通させて取付ける。そして、カムシャフト71の一端と、回転駆動部11を構成するステッピングモータ等を用いたカム回転用モータ72の回転シャフトを、回転伝達機構11tを介して回転伝達可能に接続する。また、基盤31の下面であって、左側板部2p及び右側板部2qの下方には、それぞれブラケット73p及び73qを取付ける。各ブラケット73p,73qはコの字形に折曲し、中間面を相対向させて配する。さらに、各ブラケット73p,73qの内側には、コの字形に折曲した可動体74p,74qをそれぞれ収容する。この際、図4及び図1に示すように、可動体74p,74qの中間面の両側に位置する一対の端面間に、上下一対の係合ピン75p…,75q…を貫通させて取付け、各係合ピン75p…,75q…の両端をそれぞれ可動体74p,74qの端面から外方へ突出させる。他方、各係合ピン75p…,75q…に対向するブラケット73p,73qにおける中間面の両側に位置する一対の端面には、斜め(例えば、水平に対して45〔゜〕前後)に傾斜したガイド長孔76p…,76q…を形成し、各ガイド長孔76p…,76q…に各係合ピン75p…,75q…をそれぞれ係合させる。そして、一本の追従部シャフト77を、各ブラケット73p,73q及び各可動体74p,74qを貫通させて取付けるとともに、追従部シャフト77の両端に、ローラ(円盤)状の追従部14p,14qを取付け、各追従部14p,14qの周面を、各カム部12p,12qの周面に当接させる。また、各可動体74p,74qには、追従部シャフト77が挿通する円孔部を設けるとともに、各ブラケット73p,73qには追従部シャフト77が挿通し、かつ上下方向の変位を許容する上下に長い長孔部を形成する。以上の、各ブラケット73p,73q、各可動体74p,74q及び各係合ピン75p…,75q…は、運動変換機構17p,17qを構成するとともに、各ブラケット73p,73q、各可動体74p,74q、各係合ピン75p…,75q…及び各追従部14p,14qは、伝達機構部15p,15qを構成する。
【0033】
さらに、一方の可動体74pにおける中間面の上部は、ガイド長孔76p…の傾斜方向と同方向となるように傾斜させて形成するとともに、その内方に、ガイド長孔76p…の傾斜方向に対して直角になるように傾斜した支持プレート78pを固定する。そして、この支持プレート78pの上面にコイルスプリング等を用いたスプリング16p,16pの一端を固定するとともに、スプリング16p,16pの他端には把持体部13pを取付ける。把持体部13pはL形に折曲したベースプレート79pと、このベースプレート79pに保持されるゴムブロック13pgからなり、ベースプレート79pの下面にスプリング16p,16pの他端を固定する。ゴムブロック13pgは、後述する上カード群Couに当接可能な鉛直方向に平行となる当接面を有し、この当接面に、図4に示すような滑止めの凹凸模様部Dpを設ける。例示の凹凸模様部Dpは断面が鋸形となる凹溝と凸条の組合わせである。また、基盤31及び左側板部2pには、可動体74p及び把持体部13pの挿通及び変位を許容する切欠空間2poを形成する。以上、一方の可動体74p側について説明したが、他方の可動体74q側においても一方の可動体74p側に対して左右対称に構成する点を除き同様に構成することができる。なお、2qoは、基盤31及び右側板部2qに形成することにより、可動体74q及び把持体部13qの挿通及び変位を許容する切欠空間を示す。
【0034】
このように、把持体部13p…と伝達機構部15p…間にはスプリング16p…を介在させたため、把持体部13p…がカード群Coに当接した場合であっても、スプリング16p…の弾性機能により、カード群Coが傷付く等の不具合を回避できるとともに、カード群Coをより確実かつ安定に保持できる利点がある。また、把持体部13p,13qとして、カード群Coに対する当接面に滑止めの凹凸模様部Dp…を設けたゴムブロック13pg…を用いたため、ゴムブロック13pg…の凹凸模様部Dp…をカード群Coの両側に圧接させることができ、上カード群Couを確実かつ安定に保持できる利点がある。さらに、伝達機構部15p…には、追従部14p…の少なくとも変位方向を変換して把持体部13p…をカード群Coに対して斜め上方に変位させる運動変換機構17p…設けたため、カード群Coに対して、水平方向の押圧力に加え、垂直方向への押圧力により、把持体部13p…よりも上側のカード群(上カード群Cou)を適度に浮かせることができ、より確実な荷重低減(除去を含む)を図ることができる利点がある。
【0035】
また、この上カード群保持機構5に対して、カードホッパ部2におけるカードC…の収容量を検出する収容量検出部18と、この収容量検出部18の検出結果に対応して把持体部13p,13qを変位させる変位量を変更する変位量変更部19を付設する。この場合、収容量検出部18は、図1に示すように、一方の側板部2qにおける異なる高さの位置、即ち、低位置,中間位置及び高位置の三つの位置に取付けることにより、それぞれカード群Coの最上部の高さを検出するカードセンサ18d,18m及び18uを備える。なお、カードセンサ18d,18m及び18uは、カード群Coの最上部の高さを検出できるものであれば、その種類は問わない。したがって、光学的センサ等の非接触センサであってもよいし、レバー等を突出させたリミットスイッチ等であってもよい。カードセンサ18d,18m及び18uは、図1に示すように、コントローラ41のセンサ入力ポートに接続する。これにより、コントローラ41は変位量変更部19として機能する。したがって、コントローラ41は、カードセンサ18d,18m及び18uの検出結果に対応し、カードC…の収容量が多い場合には、ステッピングモータを用いたカム回転用モータ72の回転角、即ち、把持体部13p,13qの変位量を大きくしてカード群Coに対する押圧力を大きくするとともに、カードC…の収容量が少ない場合には、把持体部13p,13qの変位量を小さくしてカード群Coに対する押圧力を小さくする。よって、このような構成を採用すれば、カードC…の収容量に対応して把持体部13p,13qによるカード群Coに対する押圧力を変更できるため、収容量が多い(重い)場合には、大きい押圧力によりカード群Coを確実に保持できるとともに、収容量が少ない(軽い)場合には、小さい押圧力によりカード群CoにおけるカードCの無用な変形等を防止できる。
【0036】
次に、プリンタPにおけるカード供給装置1以外の構成について説明する。図1に示すように、カード供給装置1のカード送り方向前方(後段)には印刷部3を配設する。印刷部3は、一次転写ユニット3trと二次転写ユニット3tsを備える熱転写印刷部3tにより構成する。一次転写ユニット3trは、フルカラーのインクリボン81を巻回したリボン供給リール82と、リボン供給リール82から繰出されるインクリボン81を巻取るリボン巻取リール83を有するリボンユニットを備え、このリボン巻取リール83はリボンユニット駆動部により回転駆動される。なお、このリボンユニットはプリンタPの本体に対して着脱(交換)可能である。また、一次転写ユニット3trは、リボン供給リール82から繰出されるインクリボン81に当接して後述する転写シート86に印刷画像を一次転写させるサーマルヘッド85を備える。一方、二次転写ユニット3tsは、透明な転写シート86を繰出す転写シート供給リール87と、カードCの印刷面に転写シート86を所定の圧力及び温度により圧接させて転写シート86の印刷画像をカードCの印刷面に二次転写させる転写ローラ88と、この転写シート86を巻取る転写シート巻取リール89と、転写シート86をガイドする複数のガイドローラを備え、転写シート供給リール87又は転写シート巻取リール89は転写ユニット駆動部により回転駆動される。したがって、転写シート86は正方向(前方向)又は逆方向(後方向)へ選択的に移送可能である。なお、転写ローラ88はヒータを内蔵し、転写ローラ88の表面は所定の温度に加熱される。
【0037】
他方、印刷部3の後方には、デカーラ兼用反転ユニット21を配設する。デカーラ兼用反転ユニット21は、デカール面91dを有する反転盤91と、デカール面91dに圧接するデカールローラ92,93を備え、転写ローラ88によりカール(湾曲)したカードCはデカール面91d上でデカール処理される。また、反転盤91は反転駆動部94により支軸部95を支点に180〔゜〕回転(反転)する。これにより、両面印刷時に、片面印刷されたカードCがデカール面91d上に搬送されたなら、反転盤91が180〔゜〕回転し、逆送によりカードCを印刷部3側に戻すとともに、この後、残りの片面の印刷が行われる。
【0038】
さらに、デカーラ兼用反転ユニット21の前方(後段)にはカード排出部22を配設する。カード排出部22は、一対の排出ローラ96u,96dを有する排出ローラ機構97を備えるとともに、排出ローラ機構97から排出されるカードCを受取る図示を省略した受取トレイを備える。プリンタPにおいて、その他、カードCの搬送経路の適所には搬送ローラ98…を配設する。
【0039】
次に、本実施形態に係るカード供給装置1の動作について、図1〜図7を参照しつつ図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0040】
まず、カードホッパ部2には所要数量(例えば、100〜200枚)のカードC…を収容する。これにより、カードホッパ部2に収容された複数のカードC…(カード群Co)は積層状態となる。なお、カードホッパ部2にカードC…を投入する際には、ウェイト20wをホームポジションにリリースさせ、カードホッパ部2の上端2uを開放する。カードC…の収容が終了したなら、ウェイト機構20の水平支持板55をカードホッパ部2の内部側へ90〔゜〕回動変位させる。これにより、水平支持板55は支持ポスト54に沿ってスライド自在となり、ウェイト20wをカード群Coの最上部カードCuの上に載せることができる。この結果、カード群Coに対して上から適度の押圧力が付加されるため、カードC…の浮上がり等が防止され、カードCの確実かつ円滑な送出が可能となる。他方、ハンドル53を操作し、ゲート規制体4mを昇降させることにより、印刷を行うカードC…の種類に対応したゲート4oの開口高さを設定する。
【0041】
次いで、オペレータがスタートボタンをONにすれば、印刷工程が開始する。なお、スタートボタンのONにより、最初に転写準備が行われる。転写準備では、印刷を行う文字データ及び画像(写真)データを含む印刷データがサーマルヘッド85に供給されるとともに、インクリボン81及び転写シート86が繰り出され、インクリボン81から転写シート86に対して印刷画像が一次転写される。この場合、インクリボン81には、異なる複数の色が順番に並んでいるため、使用する色に対応してインクリボン81が順次送出されるとともに、転写シート86は使用する色に対応する回数だけ往復移動する。そして、一次転写処理が終了したなら転写シート86は二次転写開始位置まで移動する。
【0042】
転写準備の終了により、コントローラ41は、カードセンサ18u,18m及び18dの検出結果からカードホッパ部2におけるカードC…の収容量を読取る(ステップS1)。例示の場合、三つのカードセンサ18u,18m及び18dを備えるため、収容量に対して、「満」「多い」,「中間」,「少ない」の四つの収容量を判別できる。即ち、カードセンサ18u,18m及び18dの全てがON(検出状態)であれば「満」、カードセンサ18uのみがOFF(非検出状態)となり他の全てがONであれば「多い」、カードセンサ18u及び18mがOFFとなり他がONであれば「中間」、カードセンサ18u,18m及び18dの全てがOFFであれば「少ない」の判別を行うことができる。今回、三つのカードセンサ18u,18m及び18dは最初に全てONになるため、「満」と判別される。なお、この際、カードセンサ18u,18m及び18dの全てがOFFになれば、残りのカードC…が少なく、規定量以下になっていることを示すため、必要なアラーム処理を行う(ステップS2,S3)。これにより、オペレータはカードホッパ部2に対してカードC…を補給することができる。
【0043】
一方、変位量変更部19の機能を担うコントローラ41は、把持体部13p,13qを変位させる変位量を「満」に対応して設定する(ステップS4)。この場合、把持体部13p,13qの変位量は、ステッピングモータを用いたカム回転用モータ72の回転角に対応して変化するため、ステッピングモータを駆動するパルス数により設定可能である。即ち、カム回転用モータ72の回転角が大きくなれば、カム12p,12qの回転角も大きくなり、この結果、各把持体部13p,13qの変位量も大きくなるとともに、この変位量に対応して、各把持体部13p,13qによるカード群Coに対する押圧力が大きくなる。したがって、例示の場合、「満」に対応した大きめの変位量(回転角:パルス数)が設定されることになり、この変位量の設定により、コントローラ41はカム回転用モータ72を回転制御する(ステップS5)。
【0044】
そして、設定された変位量まで回転したならカム回転用モータ72を停止制御する(ステップS6,S7)。これにより、図1に示すように、カード群Coの両側、特に、下部付近の両側が各把持体部13p,13qにより保持されると同時に若干上方へ変位する。この結果、カードホッパ部2に収容されたカード群Coにおける所定高さに位置するカードCよりも上方にあるカード群(上カード群Cou)が把持体部13p,13qにより保持され、下方に付加される荷重が低減(除去)される。この場合、保持される上カード群Couよりも下方に残るカードC…の枚数は、5〜10枚程度となるように設定することが望ましい。
【0045】
この後、送出ローラ用モータ37を回転制御する(ステップS8)。これにより、送出ローラ4rが回転し、最下部に位置するカード(最下部カード)Cdが搬送方向に送出される(ステップS9)。この場合、上カード群保持機構5を制御して上カード群Couを保持する処理は、最下部カードCdをカードホッパ部2から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は継続して行う。よって、カードホッパ部2に収容された上カード群Couが、上カード群保持機構5により保持されることにより、下方に付加される荷重が低減(又は除去)されるため、最下部カードCdに過大な荷重が付加されることにより送出できなくなるエラー(ミスフィード)の発生は確実に回避される。そして、最下部カードCdの送出が終了すれば、カード送出検出センサ42により検出され、コントローラ41は送出ローラ用モータ37を停止制御する(ステップS10,S11)。
【0046】
また、この時点で、上カード群Couに対する保持を開始してからのカードC…の送出枚数を監視し、設定枚数(通常は数枚程度)に達したか否かをチェックする。この際、設定枚数に達していない場合には、送出ローラ用モータ37を回転制御し、最下部カードCdを搬送方向に送出する処理を繰り返して行う(ステップS12,S8〜S11)。そして、設定枚数に達すれば、カム回転用モータ72を回転(又は逆回転)制御し、各把持体部13p,13qをカード群Coから離間する方向に変位させるとともに、各把持体部13p,13qがホームポジションとなるリリース位置に達したなら、カム回転用モータ72を停止制御する(ステップS13,S14,S15)。図7に、各把持体部13p,13qをリリース位置まで変位させた状態を示す。この後、次のカードCの送出を行う場合には、コントローラ41は、カードセンサ18u,18m及び18dの検出結果からカードホッパ部2におけるカードC…の収容量を読取り、以下、同様の処理を繰り返して行う(ステップS16,S1〜S15)。
【0047】
よって、このような本実施形態に係るカード供給装置1によれば、カードCをカードホッパ部2から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は上カード群保持機構5を制御して上カード群Couを保持するため、カードCをカードホッパ部2から送出する際には、当該カードCに付加されるカード群Coの荷重を低減して送出環境(送出パラメータ)の最適化を図ることができる。これにより、送出ローラ4rとカードC間で発生するスリップ等の不具合を回避し、カードCの汚れや傷等の防止及び送出動作の安定化を図ることができる。また、カードホッパ部2に収容された上カード群Couを保持して下方に付加される荷重を低減し又は当該保持を解除可能な上カード群保持機構5を設けたため、最下部カードCdに過大な荷重が付加されて当該最下部カードCdが送出されないエラー(ミスフィード)を排除できる。したがって、カードホッパ部2に大量(例えば、100〜200枚)のカードC…を余裕をもって収容でき、もって、カードC…をカードホッパ部2に投入する頻繁な補給作業の削減、更には作業能率の向上を図ることができる。
【0048】
なお、カード供給装置1から送出されたカードCは熱転写印刷部3tに送られ、この熱転写印刷部3tにより印刷画像の転写処理が行われる。この場合、カードCが所定の印刷開始位置に到達すれば、この移動タイミングに合わせて転写シート86が送られ、カードCが転写ローラ88を通過する際に、転写シート86に一次転写されている印刷画像がカードCの印刷面に二次転写(熱転写)される。この際、転写ローラ88により、転写シート86はカードCの印刷面に対して所定の圧力及び温度により圧接する。一方、印刷されたカードCは、この後、デカーラ兼用反転ユニット21に搬送され、デカール面91dによりデカール処理される。そして、片面印刷の場合には、デカール面91d上のカードCはカード排出部22から排出される。他方、両面印刷の場合には、デカーラ兼用反転ユニット21が180〔゜〕回転し、デカール面91d上のカードCは逆方向に戻され、再度、熱転写印刷部3tにより残りの片面の印刷が行われた後、デカーラ兼用反転ユニット21に搬送され、デカール面91dによりデカール処理されるとともに、カード排出部22から排出される。
【0049】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、上カード群保持機構5は、回転駆動部11により回転するカム部12p,12qを利用したが、カム部12p,12qを利用しない構成であってもよく、要は、上カード群Couを保持し、下方に付加される荷重を低減できる構成であればよい。また、スプリング16p…として、コイルスプリングを例示したが、板バネ等であってもよい。一方、カードホッパ部2におけるカードC…の収容量を検出する収容量検出部18は、三つのカードセンサ18u,18m及び18dを用いた場合を示したが、これらのセンサ数量は任意である。なお、収容量検出部18は、ウェイト機構20における支持ポスト54をリニアスケールとして構成し、この支持ポスト54により水平支持板55の位置(高さ)を連続的に検出することも可能であり、収容量検出部18は、同様の機能を発揮する他の構成により置換できる。さらに、印刷部3として熱転写印刷部3tを例示したが印刷部3のタイプは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るカード供給装置は、複数のカードを積層状態に収容するカードホッパ部からカードを一枚ずつ印刷部に供給する機能を備える各種のプリンタに利用できる。カードは、大きさ,厚さ,材質を問わず、各種カード類を適用できるとともに、プリンタは単独のプリンタであるか他の機器に内蔵するプリンタであるかは問わない。
【符号の説明】
【0051】
1:カード供給装置,2:カードホッパ部,3:印刷部,3t:熱転写印刷部,4:カード送出機構,4r:送出ローラ,4o:ゲート,4m:ゲート規制体,4s:ゲート調整機構,5:上カード群保持機構,6:制御部,P:プリンタ,C…:カード,Co:カード群,Cou:上カード群,Cd:最下部カード,Cu:最上部カード,Dp:凹凸模様部,Dq:凹凸模様部,11:回転駆動部,12p:カム部,12q:カム部,13p:把持体部,13q:把持体部,13pg:ゴムブロック,13qg:ゴムブロック,14p:追従部,14q:追従部,15p:伝達機構部,15q:伝達機構部,16p…:スプリング,17p:運動変換機構,17q:運動変換機構,18:収容量検出部,19:変位量変更部,20:ウェイト機構,20w:ウェイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層状態の複数のカード(カード群)を収容するカードホッパ部からカードを一枚ずつ印刷部に供給するプリンタのカード供給装置において、少なくとも前記カードホッパ部の下方に配して当該カードホッパ部に収容された前記カード群の最下部のカード(最下部カード)を一枚ずつ前記印刷部に送出可能な送出ローラを有するカード送出機構と、前記カードホッパ部に収容された前記カード群における所定高さに位置するカードよりも上方のカード群(上カード群)を保持して下方に付加される荷重を低減し又は当該保持を解除可能な上カード群保持機構と、前記最下部カードを前記カードホッパ部から送出する際における少なくとも送出開始から送出終了までの間は前記上カード群保持機構を制御して前記上カード群を保持する制御部とを備えることを特徴とするプリンタのカード供給装置。
【請求項2】
前記上カード群保持機構は、前記制御部により制御される回転駆動部と、この回転駆動部により回転するカム部と、前記上カード群の両側を把持可能な一対の把持体部と、前記カム部に追従する追従部の変位を前記一対の把持体部に伝達可能な一対の伝達機構部とを備えることを特徴とする請求項1記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項3】
前記把持体部は、前記カード群に対する当接面に滑止めの凹凸模様部を設けたゴムブロックを備えることを特徴とする請求項2記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項4】
前記把持体部と前記伝達機構部間に介在するスプリングを備えることを特徴とする請求項2又は3記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項5】
前記伝達機構部は、前記追従部の少なくとも変位方向を変換して前記把持体部を前記上カード群に対して斜め上方に変位させる運動変換機構を備えることを特徴とする請求項2,3又は4記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項6】
前記カードホッパ部におけるカードの収容量を検出する収容量検出部と、この収容量検出部の検出結果に対応して前記把持体部を変位させる変位量を変更する変位量変更部を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項7】
前記カード群の最上部のカードの上に載置可能であって上下にスライド自在に支持されたウェイトを有するウェイト機構を備えることを特徴とする請求項1記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項8】
前記カード送出機構は、一枚の前記カードのみが通過可能なゲートを形成するゲート規制体と、このゲート規制体を昇降させることにより前記ゲートの開口高さを前記カードの厚さに対応して変更可能なゲート調整機構を備えることを特徴とする請求項1記載のプリンタのカード供給装置。
【請求項9】
前記印刷部は、熱転写印刷部を用いることを特徴とする請求項1記載のプリンタのカード供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−84389(P2011−84389A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240543(P2009−240543)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000214836)長野日本無線株式会社 (140)
【Fターム(参考)】