説明

プリンタドライバプログラム

【課題】プリンタに自動両面印刷を実行させるのに先だって、印刷用紙の変形や印刷画質に影響のあるパラメータの値の設定を、ユーザの大きな負担なく、短時間にて行うことができる。
【解決手段】文書タイプ毎にそれぞれ対応して、印刷用紙の変形や印刷画質に影響があるパラメータの値を設定して成るパラメータテーブルを用意し、複数の文書タイプの中から、プリンタで印刷しようとする文書のタイプを選択することが可能な選択設定画面を、表示画面上に表示させ、その選択設定画面において、文書のタイプが選択されている場合に、そのタイプに対応するパラメータの値を、パラメータテーブルから読み出して、プリンタに対する自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面印刷を実行することが可能なプリンタを、コンピュータによって制御するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタとして、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、両面印刷を自動的に行うことが可能なプリンタが知られている。
【0003】
このようなプリンタにおいて、自動両面印刷を実行させた場合、従来においては、印刷濃度が濃いと、表面の印刷が終了したところで、インクの濡れによって印刷用紙がU字状に反ってしまい、次に、裏面の印刷が実行されて、その反った印刷用紙の上を印刷ヘッドが移動すると、反った印刷用紙の両端部に印刷ヘッドが当接してしまい、いわゆる擦れが生じてしまう恐れがあった。また、裏面の印刷が実行されて、印刷用紙が反ったままプリンタ内で搬送されると、印刷用紙がジャムを起こしてしまう恐れがあった。
【0004】
また、表面を印刷した後の乾燥時間が短いと、インクの印刷用紙への浸透が不十分となり、裏写りなど、印刷画質が劣化する恐れがあった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−164106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、そのようなプリンタにおいて、自動両面印刷を実行させる場合、印刷すべき文書に応じて(例えば、文字の部分が多いとか、写真の部分が多いとか、印刷濃度が濃くなる傾向にあるとか、など)、予め、印刷濃度や乾燥時間など、印刷用紙の変形や印刷画質に影響のあるパラメータの値を調整しておくことが好ましい。
【0007】
さらに、それらパラメータの値の設定をユーザに全て委ねるのは、ユーザにとって、大きな負担となってしまう。また、そのような調整には、試行錯誤を繰り返す必要があるため、それらパラメータの値の設定に長時間かかってしまうという問題もあった。
【0008】
なお、このような問題は、自動両面印刷を実行する場合に限らず、手動両面印刷を実行する場合においても、発生し得る。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、プリンタに両面印刷を実行させるのに先だって、印刷用紙の変形や印刷画質に影響のあるパラメータの値の設定を、ユーザの大きな負担なく、短時間にて行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明のプリンタ制御プログラムは、両面印刷を実行することが可能なプリンタを、コンピュータによって制御するためのプリンタ制御プログラムであって、
印刷対象となり得る内容を複数のタイプに分け、各タイプにそれぞれ対応して、印刷用紙の変形や印刷画質に影響があるパラメータの値を取得する機能と、
前記各タイプの中から、前記プリンタで印刷しようとする内容のタイプを選択する機能と、
前記タイプが選択されている場合に、そのタイプに対応して取得する前記パラメータの値を、前記プリンタに対する両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定する機能と、
を前記コンピュータに実現させることを要旨とする。
【0011】
このように、本発明のプリンタ制御プログラムでは、印刷対象となり得る内容を複数のタイプに分け、各タイプにそれぞれ対応するパラメータの値を取得しておき、プリンタで印刷しようとする内容のタイプが選択されている場合に、そのタイプに対応するパラメータの値を、プリンタに対する両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定するようにしている。
【0012】
従って、本発明のプリンタ制御プログラムによれば、プリンタに両面印刷を実行させるのに先だって、印刷用紙の変形や印刷画質に影響のあるパラメータの値の設定する際、ユーザは、印刷しようとする内容のタイプを選択するだけでよいため、ユーザにとって、そのようなパラメータの値の設定を、大きな負担なく、しかも、短時間にて行うことができる。
【0013】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記パラメータは、印刷濃度、乾燥時間、印刷ヘッドと前記印刷用紙との間のギャップ、及び主走査の印刷方向のうち、少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0014】
このようなパラメータは、印刷用紙の変形や印刷画質に直接または間接的に影響を与えるパラメータであるからである。
【0015】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記パラメータは、印刷濃度を含み、
印刷濃度が前記印刷設定情報の一部として設定された値を越えないようなインク量にて、前記プリンタが印刷を行うように印刷データを生成する機能を前記コンピュータにさらに実現させるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記パラメータは、乾燥時間、または印刷ヘッドと前記印刷用紙との間のギャップを含み、
表面の印刷と裏面の印刷との間に前記印刷設定情報の一部として設定された値の乾燥時間を確保するように、または、少なくとも裏面の印刷時に前記印刷ヘッドと前記印刷用紙との間に前記印刷設定情報の一部として設定された値のギャップを確保するように、前記プリンタへ指示する機能を前記コンピュータにさらに実現させるようにしてもよい。
【0017】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記タイプをユーザが選択することが可能な選択設定画面を、前記コンピュータの備える表示画面上に表示させる機能を前記コンピュータにさらに実現させると共に、
前記選択設定画面で選択された前記タイプを、前記プリンタで印刷しようとするタイプとして選択するようにしてもよい。
【0018】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記選択設定画面において、前記タイプが選択されている場合に、そのタイプに対応して取得する前記パラメータの値を前記選択設定画面内に表示させ、変更を受け付ける機能を前記コンピュータにさらに実現させるようにしてもよい。
【0019】
このように、選択された内容のタイプに対応するバラメータの値を表示させることにより、特定のモード(ユーザがこれらパラメータの値を自由に設定することができるモード)において、ユーザ自身で、これらパラメータの値を直接設定しようとする場合に、表示されていたパラメータの値を参考にして、自分の望む値を設定することができるようになる。
【0020】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記選択設定画面とは異なる画面としてパラメータ値表示用画面を、前記コンピュータの備える表示画面上に表示させる機能と、前記選択設定画面において、前記タイプが選択されている場合に、そのタイプに対応して取得する前記パラメータの値を、前記パラメータ値表示用画面内に表示させ、変更を受け付ける機能と、を前記コンピュータにさらに実現させるようにしてもよい。
【0021】
このように、パラメータの値を表示させるパラメータ値表示用画面を、選択設定画面とは異なる画面とすることによって、選択設定画面を、別の用途、例えば、印刷品質の選択画面として用いることもできる。
【0022】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記選択設定画面においてなされる前記タイプの選択は、前記プリンタで印刷する際の印刷品質の選択も兼ねるようにしてもよい。
こうすることによって、選択設定画面を用いて、プリンタで印刷する際の印刷品質の選択も行うことができる。
【0023】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記パラメータ値表示用画面において、前記両面印刷用の印刷設定情報の一部として、ユーザによって変更されたパラメータの値を設定するか、前記選択設定画面にて選択された前記タイプに対応するパラメータの値を設定するか、の選択を受け付ける機能を前記コンピュータにさらに実現させるようにしてもよい。
【0024】
このように構成することによって、両面印刷を行う際に、パラメータ値表示用画面において、例えば、「選択設定画面にて選択されたタイプに対応するパラメータの値を設定する」を選択すれば、両面印刷用の印刷設定情報の一部として、選択設定画面にて選択されたタイプに対応するパラメータの値が設定されることになる。従って、選択設定画面とは、別に、パラメータ値表示用画面において、複数のタイプの中から所望のタイプを選択し得るような構成を採る必要がないため、選択設定画面において選択することが可能なタイプと、パラメータ値表示画面において選択することが可能なタイプとが乱立して、ユーザが混乱するような事態を避けることができる。
【0025】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記プリンタに対する前記両面印刷の開始が指示された場合に、前記両面印刷用の印刷設定情報に基づいて前記プリンタを制御し、前記プリンタに前記両面印刷を実行させる機能を前記コンピュータにさらに実現させることが好ましい。
【0026】
これにより、設定したパラメータの値を含む両面印刷用の印刷設定情報に基づいて、プリンタに両面印刷を実行させることができるため、両面印刷時における擦れやジャムの発生を防止できるとともに、印刷画質の劣化を抑制することができる。
【0027】
本発明のプリンタ制御プログラムにおいて、前記タイプは、前記印刷対象となり得る内容の含む、印刷すべき写真と印刷すべき文字との少なくとも一方の量に基づいたものであってもよい。
【0028】
なお、本発明は、上記したプリンタドライバプログラムなどのプログラム発明の態様に限ることなく、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。さらには、そのプログラムを実現するための装置発明としての態様や方法発明としての態様で実現することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成:
A−2.実施例の動作:
A−2−1.文書タイプに基づくパラメータの設定:
A−2−2.パラメータに基づく自動両面印刷:
A−2−3.ユーザ設定モード:
A−3.実施例の効果:
B.第2の実施例:
B−1.実施例の動作:
B−2.実施例の効果:
C.変形例:
【0030】
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成:
図1は本発明の第1の実施例としてのプリンタドライバプログラムを備えたコンピュータとプリンタから成る印刷システムを示すブロック図である。
【0031】
図1に示す印刷システムは、プリンタ100とコンピュータ200によって構成されており、このうち、プリンタ100は、用紙の給紙を行うために、前面に設けられた前面給紙口102と、背面に設けられた背面給紙口104と、自動両面印刷を行う際に、印刷用紙を搬送したり裏返したりすることが可能な自動両面印刷用紙送り機構106と、を備えている。
【0032】
一方、コンピュータ200は、コンピュータプログラムに従って種々の処理や制御を行うためのCPU250と、上記コンピュータプログラムを記憶したり、処理中に得られたデータなどを記憶したりするためのメモリ252と、各種周辺装置との間でデータなどのやり取りを行うためのI/O部254と、キーボードやポインティングデバイスなどから成り、ユーザからの指示などを入力するための入力装置256と、CRTや液晶ディスプレイなどから成り、画像などを表示するためのモニタ258と、ネットワークカードなどから成り、ネットワークを介して他の装置と通信を行なうための通信装置260と、画像データなどを格納するためのハードディスク装置262と、上記コンピュータプログラムなどの書き込まれたCD−ROM264を読み取るためのCD−ROMドライブ装置266と、を備えている。また、このうち、メモリ252は、上記コンピュータプログラムとして、アプリケーションプログラム302やプリンタドライバプログラム304などを記憶しており、上記データとして、自動両面印刷を行う際に用いるパラメータテーブル306や印刷設定情報308などを記憶している。
【0033】
CPU250は、メモリ252に記憶された上記コンピュータプログラムのうち、アプリケーションプログラム302を読み出して実行することにより、アプリケーションとして機能し、プリンタドライバプログラム304を読み出して実行することにより、プリンタドライバとして機能する。
【0034】
本実施例では、図1に示すように、メモリ252に記憶された上記コンピュータプログラムは、記録媒体であるCD−ROM264に記録された形態で提供され、CD−ROMドライブ装置266により読み取られることによって、コンピュータ内に取り込まれる。取り込まれたコンピュータプログラムは、ハードディスク装置262に転送され、その後、起動時などにメモリ252に転送される。あるいは、読み取られたコンピュータプログラムは、ハードディスク装置262を介さず、直接、メモリ252に転送するようにしても良い。
【0035】
このように、本実施例では、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する「記録媒体」としてCD−ROMを利用することを述べたが、その他にも、フレキシブルディスクや光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0036】
また、コンピュータプログラムは、このような記録媒体に記録された形態での提供の他、ネットワークを介して、コンピュータプログラムを供給するプログラムサーバ(図示せず)にアクセスし、プログラムサーバからPCに取り込むようにしても良い。
【0037】
また、上記コンピュータプログラムの一部は、オペレーティングシステムプログラムによって構成するようにしても良い。
【0038】
A−2.実施例の動作:
A−2−1.文書タイプに基づくパラメータの設定:
図1において、メモリ252には、前述したとおり、データとして、自動両面印刷を行う際に用いるパラメータテーブル306と印刷設定情報308が記憶されている。このうち、パラメータテーブル306は、印刷対象となり得る文書の内容を複数のタイプに分け、各タイプ毎にそれぞれ対応して、印刷用紙の変形や印刷画質に影響があるパラメータの値を設定している。本実施例では、印刷対象となり得る文書を、その内容に従って、「文字」,「文字/写真」,「写真」の3つのタイプに分けている。このうち、「文字」タイプは、大半が文字で構成されているような文書を言い、「写真」タイプは、大半が写真で構成されているような文書を言い、「文字/写真」タイプは、それらの中間で、文字と写真が概ね同じような割合にて構成されているような文書を言う。すなわち、各タイプは、印刷すべき写真と印刷すべき文字との少なくとも一方の量に基づいて分けられている。また、本実施例では、自動両面印刷の際に、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータとして、印刷濃度と、乾燥時間(追加乾燥時間)と、を採用している。ここで、乾燥時間とは、表面の印刷終了から裏面の印刷開始まで待機時間のうち、基準待機時間(一定)を除いた時間を言う。例えば、基準待機時間がPconst(秒)で、乾燥時間がQ(秒)であるとすると、表面の印刷終了から裏面の印刷開始まで待機時間は、Pconst+Q(秒)となる。
【0039】
図2は図1におけるパラメータテーブル306の内容の一例を示す説明図である。図2に示すように、パラメータテーブル306には、「文字」,「文字/写真」,「写真」の3つのタイプ毎に、それぞれ、パラメータとして、印刷濃度(%)と、乾燥時間(秒)と、が設定されている。
ちなみに、文字の印刷ではその線の上にインクをのせるだけであるため、印刷濃度は比較的薄いものとなる。写真の印刷ではその写真の領域に面でインクをのせるために、印刷濃度は比較的濃いものとなる。
【0040】
一方、印刷設定情報308は、プリンタ100において印刷を行う際に用いられる印刷設定情報である。特に、自動両面印刷を行う際には、自動両面印刷用の印刷設定情報として、上記した印刷濃度(%)や乾燥時間(秒)が含まれる。
【0041】
さて、図1において、ユーザが、入力装置256を操作して、プリンドライバを起動すると、プリンタドライバは、モニタ258の画面上に図3に示すような印刷設定画面を表示する。
【0042】
図3はモニタ258の画面上に表示される印刷設定画面の一例を示す説明図である。図3に示すように、その印刷設定画面400において、「ページ設定」タブには、設定項目として、「両面印刷」項目402があり、この「両面印刷」項目402には、さらに、サブ項目として「自動」項目404,「手動」項目406があり、その他には、「濃度調整」ボタン408が付いている。
【0043】
そこで、ユーザが、プリンタ100において自動両面印刷を行おうとして、入力装置256を操作し、「両面印刷」項目402のチェックボックスにチェックを付して、「自動」項目404のラジオボタンをオンすると、プリンタドライバは、印刷設定情報308に、自動両面印刷が設定されたことを記憶すると共に、「濃度調整」ボタン408を、グレーアウトの状態から選択可能な状態に変更させる。
【0044】
そこで、次に、ユーザが、自動両面印刷を行う際に、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータを設定しようとして、入力装置256を操作し、「濃度調整」ボタン408をクリックすると、プリンタドライバは、印刷設定画面400の上に重なるように、自動両面濃度調整画面500をポップアップで表示させる。
【0045】
図4〜図6はそれぞれモニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の一例を示す説明図である。図4〜図6に示すように、その自動両面濃度調整画面500には、設定項目として、「文書タイプ」項目502や「濃度調整」項目520などがあり、その他に、「OK」ボタン540などがある。このうち、「文書タイプ」項目502には、前述したとおり、「文字」タイプ504と、「文字/写真」タイプ506と、「写真」タイプ508と、があり、それぞれ、アイコンと共に、表示されている。なお、本実施例では、ユーザが、印刷濃度や乾燥時間の各値を自由に設定することができるモードとして、ユーザ設定モードが設けられており、「文書タイプ」項目502には、そのモードの選択を表す「ユーザ設定」項目510も存在する。但し、図4〜図6では、その項目510は、グレーアウト表示となっている。一方、「濃度調整」項目520には、サブ項目として、「印刷濃度」項目522と「追加乾燥時間」項目532があり、それらには、レベルメータ524,534と、調整つまみ426,536と、設定値表示窓528,538と、それぞれ設けられている。
【0046】
そこで、ユーザが、プリンタ100で今から自動両面印刷しようとする文書が「文字」タイプに属すると判断して、入力装置256を操作し、「文書タイプ」項目502の中から、図4に示すように、「文字」タイプ504のラジオボタンをオンすると、プリンタドライバは、メモリ252に格納された図2に示すパラメータテーブル306を参照して、「文字」タイプに対応する、印刷濃度の値(−20%)と、乾燥時間の値(0秒)をそれぞれ取得して、それらに基づいて、「濃度調整」項目520の表示内容に反映させる。具体的には、「印刷濃度」項目522のレベルメータ524において、「−20」の位置に調整つまみ426を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓528に「−20」を表示させる。また、「追加乾燥時間」項目532のレベルメータ534において、「0」の位置に調整つまみ436を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓538に「0」を表示させる。
【0047】
また、ユーザが、自動両面印刷しようとする文書が「文字/写真」タイプに属すると判断して、入力装置256を操作し、「文書タイプ」項目502の中から、図5に示すように、「文字/写真」タイプ506のラジオボタンをオンすると、プリンタドライバは、同様に、図2に示すパラメータテーブル306を参照して、「文字/写真」タイプに対応する、印刷濃度の値(−40%)と、乾燥時間の値(0秒)をそれぞれ取得して、それらに基づいて、「濃度調整」項目520の表示内容に反映させる。具体的には、「印刷濃度」項目522のレベルメータ524において、「−40」の位置に調整つまみ426を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓528に「−40」を表示させる。また、「追加乾燥時間」項目532のレベルメータ534において、「0」の位置に調整つまみ436を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓538に「0」を表示させる。
【0048】
さらに、ユーザが、自動両面印刷しようとする文書が「写真」タイプに属すると判断して、入力装置256を操作し、「文書タイプ」項目502の中から、図6に示すように、「写真」タイプ508のラジオボタンをオンすると、プリンタドライバは、同様に、図2に示すパラメータテーブル306を参照して、「写真」タイプに対応する、印刷濃度の値(−50%)と、乾燥時間の値(50秒)をそれぞれ取得して、それらに基づいて、「濃度調整」項目520の表示内容に反映させる。具体的には、「印刷濃度」項目522のレベルメータ524において、「−50」の位置に調整つまみ426を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓528に「−50」を表示させる。また、「追加乾燥時間」項目532のレベルメータ534において、「50」の位置に調整つまみ436を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓538に「50」を表示させる。
【0049】
ユーザが、こうして、「文書タイプ」項目502の中から、何れかのタイプ506のラジオボタンをオンした上で、さらに、入力装置256を操作して、「OK」ボタン540をクリックすると、プリンタドライバは、取得した印刷濃度及び乾燥時間の値を、メモリ252内に格納された印刷設定情報308の一部、すなわち、自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定する。それと同時に、プリンタドライバは、自動両面濃度調整画面500を閉じる。
【0050】
A−2−2.パラメータに基づく自動両面印刷:
次に、ユーザが、入力装置256を操作して、アプリケーションから印刷開始を指示すると、プリンタドライバによる制御の下、プリンタ100は、自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定した印刷濃度の値(以下、印刷濃度設定値という)及び乾燥時間の値(以下、乾燥時間設定値という)に基づいて、自動両面印刷を実行する。
【0051】
図7は図1の印刷システムにおいて実行される自動両面印刷処理の流れを示すフローチャートである。図7に示す処理が開始されると、プリンタドライバは、メモリ252内に格納された印刷設定情報308から、印刷濃度設定値を取得し(ステップS102)、それをプリンタドライバ内の色処理モジュール(図示せず)に渡す(ステップS104)。色処理モジュールでは、アプリケーションで形成されたカラー画像データの解像度(即ち、単位長さ当りの画素数)を印刷解像度に変換し、色変換ルックアップテーブルを参照しつつ、各画素ごとに、RGB画像データを、プリンタ100が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換し、色変換された多階調データに対し、ハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。ここで、色変換ルックアップテーブルは、RGB画像データを入力とし、上記複数のインク色の多階調データを出力とするものであり、色処理モジュールは、先に渡された印刷濃度設定値を、この色変換ルックアップテーブル内の各値を決定する際に用いるデューティ制限値の係数として利用する(ステップS106)。ここで、デューティ制限値とは、印刷用紙の単位面積当たりに使用可能なインク量に関する制限値である。このようなデューティ制限値としては、各インク毎の制限値と、2種類のインクのインク量の合計値に対する制限値と、全インクのインク量の合計値に対する制限値などが含まれる。このように、印刷濃度設定値をこのようなデューティ制限値の係数として利用することにより、印刷濃度設定値は、インク各色についてハーフトーン処理を行う際に、濃度として反映される(ステップS108)。つまり、印刷濃度が印刷設定値を越えないようなインク量にて、プリンタ100が印刷を行うように印刷データが生成される。続いて、プリンタドライバ内のラスタライザ(図示せず)が、記録モードに従った処理を行って、印刷濃度設定値を最終的にラスタコマンドに反映させる(ステップS110)。次に、プリンタドライバは、印刷設定情報308から、乾燥時間設定値を取得し(ステップS112)、それを印刷コマンドに設定する(ステップS114)。その後、プリンタドライバは、プリンタ100に対し、自動両面印刷開始を指示し、印刷コマンドと、ラスタコマンドと、をそれぞれ送付する(ステップS116)。
【0052】
プリンタ100は、印刷開始の指示を受けて、印刷コマンド及びラスタコマンドを受け取ると、それらコマンドに従って、まず、表面の印刷を開始する(ステップS118)。そして、プリンタ100は、印刷コマンドから乾燥時間設定値を取得し、表面印刷終了後の待ち時間として設定する(ステップS120)。そして、プリンタ100は、表面の印刷が終了したら、内部にあるタイマ(図示せず)を用いて計時し、設定した待ち時間が経過するまで待機する(ステップS122)。その後、待ち時間を経過したら、プリンタ100は、今度は、裏面の印刷を開始する(ステップS124)。こうして、裏面の印刷が終了したら、図7に示す一連の自動両面印刷処理が完了する。
【0053】
このように、本実施例では、自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定された印刷濃度設定値は、プリンタドライバ内の色処理モジュールでの処理の際に用いられ、乾燥時間設定値は、プリンタ100での処理の際に用いられ、自動両面印刷に反映される。
【0054】
A−2−3.ユーザ設定モード:
ところで、モニタ258の画面上に、図4〜図6の何れかの自動両面濃度調整画面500が表示されている場合に、ユーザが、印刷濃度または乾燥時間の値を変更しようとして、入力装置256を操作し、調整つまみ426または536を移動させると、プリンタドライバは、「文書タイプ」項目502において、「ユーザ設定」項目510をグレーアウト表示から選択可能な表示に変更すると共に、「ユーザ設定」項目510のラジオボタンをオンさせて、前述したユーザ設定モードに移行させる。
【0055】
図8はモニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の他の例を示す説明図である。ユーザ設定モードに移行すると、ユーザは、入力装置256を操作して、調整つまみ426または536を移動させることにより、印刷濃度の値や乾燥時間の値をそれぞれユーザが欲するとおりに自由に設定することができる。
【0056】
A−3.実施例の効果:
以上説明したように、本実施例によれば、プリンタ100に自動両面印刷を実行させるのに先だって、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータである印刷濃度や乾燥時間の値の設定する際に、ユーザは、自動両面濃度調整画面500において、「文字」,「文字/写真」,「写真」の3つのタイプの中から、印刷しようとする文書に対応するタイプを選択するだけよいため、ユーザにとって、そのような印刷濃度や乾燥時間の値の設定を、大きな負担なく、しかも、短時間にて行うことができる。
【0057】
また、設定される印刷濃度や乾燥時間の値は、それぞれ、その文書タイプに対応する自動両面印刷に適した値となっているので、これら設定した値を含む自動両面印刷用の印刷設定情報に基づいて、プリンタ100に自動両面印刷を実行させることにより、自動両面印刷時における擦れやジャムの発生を防止できるとともに、印刷画質の劣化を抑制することができる。
【0058】
さらに、本実施例では、自動両面濃度調整画面500において、「文字」,「文字/写真」,「写真」の3つのタイプの中から、何れかのタイプを選択した場合に、そのタイプに対応する印刷濃度や乾燥時間の値が明示的に表示されるので、ユーザが、ユーザ設定モードにおいて、これら印刷濃度や乾燥時間の値を直接設定しようとする場合に、表示されていた印刷濃度や乾燥時間の値を参考にして、自分の望む値を設定することができるようになる。
【0059】
B.第2の実施例:
上記した第1の実施例では、自動両面印刷を行う際に、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータを設定する目的で、自動両面濃度調整画面において、印刷品質の項目に、「文字」タイプ504や、「文字/写真」タイプ506や、「写真」タイプ508など、複数の文書タイプを表示するようにしていた。
【0060】
しかしながら、プリンタドライバによっては、プリンタ100で印刷を行う際に、印刷品質を選択する目的で、例えば、印刷設定画面において、複数の文書タイプを表示する場合がある。そのような場合において、印刷設定画面に表示される複数の文書タイプ以外に、第1の実施例において用いたような、自動両面濃度調整画面に表示される複数の文書タイプが、別途存在すると、ユーザは、両者の文書タイプが、それぞれ、どのような目的で用いられるものなのかを理解できず、混乱して、設定操作に支障をきたす恐れがある。
【0061】
そこで、本発明の第2の実施例では、そのように、印刷品質を選択する目的で、印刷設定画面において、複数の文書タイプを表示するような場合においても、自動両面印刷を行う際に、ユーザが混乱することなく、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータの設定を行い得るようにする。
なお、本実施例の構成は、図1に示した第1の実施例の構成と基本的に同じであるため、その説明は省略する。
【0062】
B−1.実施例の動作:
本実施例では、印刷対象となり得る文書を、印刷品質の観点から、その内容に従って、「ドラフト」,「テキスト」,「テキスト&イメージ」,「フォト」,「ベストフォト」の5つのタイプに分けている。
さて、図1において、ユーザが、入力装置256を操作して、プリンドライバを起動すると、プリンタドライバは、モニタ258の画面上に図9に示すような印刷設定画面を表示する。
【0063】
図9はモニタ258の画面上に表示される印刷設定画面の「メイン」タブの一例を示す説明図である。図9に示すように、その印刷設定画面600において、「メイン」タブ601には、設定項目として、「クォリティオプション(Quality Option)」項目602など多数の項目がある。このうち、「クォリティオプション」項目602には、前述したとおり、「ドラフト」タイプ604と、「テキスト」タイプ606と、「テキスト&イメージ」タイプ608と、「フォト」タイプ610と、「ベストフォト」タイプ612があり、それぞれ、アイコンと共に、表示されている。
【0064】
そこで、ユーザが、プリンタ100で今から印刷を行うに当たり、その印刷品質を設定する目的で、「クォリティオプション」項目602の中から、所望のタイプを選択する。具体的には、ユーザは、例えば、印刷しようとする文書が「テキスト」タイプに属すると判断して、入力装置256を操作し、「クォリティオプション」項目602の中から、図9に示すように、「テキスト」タイプ604のラジオボタンをオンする。すると、プリンタドライバは、「テキスト」タイプに対応する、印刷品質に関わるパラメータの値を取得して、メモリ252内に格納された印刷設定情報308の一部として設定する。
【0065】
その後、ユーザが、入力装置256を操作して、アプリケーションから印刷開始を指示すると、プリンタドライバによる制御の下、プリンタ100は、印刷設定情報の一部として設定した印刷品質に関わるパラメータの値に基づいて、印刷を実行する。
【0066】
一方、自動両面印刷の場合、本実施例では、第1の実施例の場合と同様に、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータとして、印刷濃度と、乾燥時間(追加乾燥時間)と、を採用している。このため、図1におけるメモリ252に格納されたパラメータテーブル306には、図9に示した「クォリティオプション」項目602における選択肢に従って、「ドラフト」,「テキスト」,「テキスト&イメージ」,「フォト」,「ベストフォト」の5つのタイプ毎に、それぞれ、パラメータとして、印刷濃度(%)と、乾燥時間(秒)と、が設定されている。
【0067】
そこで、ユーザが、プリンタ100において自動両面印刷を行おうとして、入力装置256を操作し、印刷設定画面600において、「ページレイアウト」タブ701を選択すると、図10に示すような内容が表示される。
【0068】
図10はモニタ258の画面上に表示される印刷設定画面の「ページレイアウト」タブの一例を示す説明図である。図10に示すように、「ページレイアウト」タブ701には、設定項目として、「両面印刷(Double-Side Printing)」項目702があり、この「両面印刷」項目702には、さらに、サブ項目として、「濃度調整(Density Control)」ボタン708が付いている。
【0069】
そして、ユーザが、入力装置256を操作し、「両面印刷」項目702のチェックボックスにチェックを付すと、プリンタドライバは、印刷設定情報308に、自動両面印刷が設定されたことを記憶すると共に、「濃度調整」ボタン708を、グレーアウトの状態から選択可能な状態に変更させる。
【0070】
次に、ユーザが、自動両面印刷を行う際に、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータを設定しようとして、入力装置256を操作し、「濃度調整」ボタン708をクリックすると、プリンタドライバは、印刷設定画面600の上に重なるように、自動両面濃度調整画面800をポップアップで表示させる。
【0071】
図11はモニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の一例を示す説明図である。図11に示すように、その自動両面濃度調整画面800には、設定項目として、上部に、クオリティオプションに従うか、ユーザ設定を行うかの選択項目があり、中央部に、「濃度調整」項目820があり、下部に、「OK」ボタン840などがある。本実施例では、自動両面印刷における印刷濃度や乾燥時間の設定に関するモードとして、図9に示した「クォリティオプション」項目602にてユーザが選択したタイプに従って設定を行うクォリティオプション従属モードと、ユーザが自由に設定することができるユーザ設定モードと、がそれぞれ設けられている。そのため、選択項目には、クォリティオプション従属モードを選択するための「クオリティオプションに従う」項目802と、ユーザ設定モードを選択するための「ユーザ設定」項目804と、があり、それぞれ、アイコンと共に、表示されている。但し、図11では、「ユーザ設定」項目804は、グレーアウト表示となっている。一方、「濃度調整」項目820には、図4〜図6に示した自動両面濃度調整画面の場合と同様に、サブ項目として、「印刷濃度」項目822と「追加乾燥時間」項目832があり、それらには、レベルメータ824,834と、調整つまみ826,836と、設定値表示窓828,838と、それぞれ設けられている。
【0072】
そこで、ユーザが、プリンタ100で今から自動両面印刷しようとする文書が、図9に示した「クォリティオプション」項目602において既に設定したタイプ(すなわち、「テキスト」タイプ)に属すると判断した場合、入力装置256を操作し、図11に示すように、選択項目の中から、「クオリティオプションに従う」項目802のラジオボタンをオンする。すると、プリンタドライバは、メモリ252に格納されたパラメータテーブル306を参照して、例えば、「テキスト」タイプに対応する、印刷濃度の値(−20%)と、乾燥時間の値(0秒)をそれぞれ取得して、それらに基づいて、「濃度調整」項目820の表示内容に反映させる。具体的には、「印刷濃度」項目822のレベルメータ824において、「−20」の位置に調整つまみ826を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓828に「−20」を表示させる。また、「追加乾燥時間」項目832のレベルメータ834において、「0」の位置に調整つまみ836を移動して表示させ、かつ、設定値表示窓838に「0」を表示させる。
【0073】
ユーザが、こうして、図11に示す選択項目の中から、「クオリティオプションに従う」項目802のラジオボタンをオンした上で、さらに、入力装置256を操作して、「OK」ボタン840をクリックすると、プリンタドライバは、取得した印刷濃度及び乾燥時間の値を、メモリ252内に格納された印刷設定情報308の一部、すなわち、自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定する。それと同時に、プリンタドライバは、自動両面濃度調整画面800を閉じる。
【0074】
その後、ユーザが、入力装置256を操作して、アプリケーションから印刷開始を指示すると、プリンタドライバによる制御の下、プリンタ100は、自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定した印刷濃度の値及び乾燥時間の値に基づいて、自動両面印刷を実行する。なお、本実施例において、図1の印刷システムにおいて実行される自動両面印刷処理については、第1の実施例の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0075】
従って、本実施例においても、自動両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定された印刷濃度設定値は、プリンタドライバ内の色処理モジュールでの処理の際に用いられ、乾燥時間設定値は、プリンタ100での処理の際に用いられ、自動両面印刷に反映される。
【0076】
ところで、モニタ258の画面上に、図11に示す自動両面濃度調整画面800が表示されている場合において、ユーザが、今から自動両面印刷をしようとする文書が、「クォリティオプション」項目602において既に設定したタイプ(すなわち、「テキスト」タイプ)と異なるタイプに属すると判断した場合には、次のような処理を行えばよい。すなわち、ユーザは、入力装置256を操作し、図9に示した印刷設定画面600の「メイン」タブ601に戻り、「クォリティオプション」項目602の中から、その文書が属すると思われる所望のタイプに選択し直し、その上で、入力装置256を操作し、図11に示す自動両面濃度調整画面800において、選択項目の中から、「クオリティオプションに従う」項目802のラジオボタンをオンするようにすればよい。
【0077】
一方、モニタ258の画面上に、図11に示す自動両面濃度調整画面800が表示されている場合に、ユーザが、印刷濃度または乾燥時間の値を変更しようとして、入力装置256を操作し、調整つまみ826または836を移動させると、プリンタドライバは、選択項目において、「ユーザ設定」項目804をグレーアウト表示から選択可能な表示に変更すると共に、「ユーザ設定」項目804のラジオボタンをオンさせて、前述したユーザ設定モードに移行させる。
【0078】
ユーザ設定モードに移行すると、ユーザは、入力装置256を操作して、調整つまみ826または836を移動させることにより、印刷濃度の値や乾燥時間の値をそれぞれユーザが欲するとおりに自由に設定することができる。
【0079】
B−2.実施例の効果:
以上説明したように、本実施例によれば、印刷品質を設定する目的で、図9に示す印刷設定画面600の「メイン」タブ601において、「クォリティオプション」項目602として、複数の文書タイプを表示する場合においても、自動両面印刷を行う際には、図11に示す自動両面濃度調整画面800において、選択項目として、クオリティオプションに従うか、ユーザ設定を行うかの項目しかないため、ユーザが混乱することなく、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータである印刷濃度や乾燥時間の値を設定することができる。
【0080】
また、プリンタ100に自動両面印刷を実行させるのに先だって、印刷濃度や乾燥時間の値の設定する際に、ユーザは、図9に示す印刷設定画面600の「メイン」タブ601において、「ドラフト」,「テキスト」,「テキスト&イメージ」,「フォト」,「ベストフォト」の5つのタイプの中から、印刷しようとする文書に対応するタイプを選択し、図11に示す自動両面濃度調整画面800において、「クオリティオプションに従う」項目802を選択するだけよいため、ユーザにとって、そのような印刷濃度や乾燥時間の値の設定を、大きな負担なく、しかも、短時間にて行うことができる。
【0081】
また、設定される印刷濃度や乾燥時間の値は、それぞれ、その文書タイプに対応する自動両面印刷に適した値となっているので、これら設定した値を含む自動両面印刷用の印刷設定情報に基づいて、プリンタ100に自動両面印刷を実行させることにより、自動両面印刷時における擦れやジャムの発生を防止できるとともに、印刷画質の劣化を抑制することができる。
【0082】
さらに、本実施例では、図9に示す印刷設定画面600において、「ドラフト」,「テキスト」,「テキスト&イメージ」,「フォト」,「ベストフォト」の5つのタイプの中から、何れかのタイプを選択し、図11に示す自動両面濃度調整画面800において、「クオリティオプションに従う」項目802を選択した場合に、そのタイプに対応する印刷濃度や乾燥時間の値が明示的に表示されるので、ユーザが、ユーザ設定モードにおいて、これら印刷濃度や乾燥時間の値を直接設定しようとする場合に、表示されていた印刷濃度や乾燥時間の値を参考にして、自分の望む値を設定することができるようになる。
【0083】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0084】
上記した実施例では、自動両面印刷の際に、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるパラメータとして、印刷濃度と、乾燥時間と、を採用していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プリンタ100として、印刷ヘッドと印刷用紙とのギャップ(ペーパーギャップあるいはプラテンギャップ)を調整可能なプリンタを用いる場合に、そのギャップを、そのようなパラメータとして用いるようにしてもよい。さらに、プリンタ100における主走査の印刷方向(双方向印刷か単方向印刷か)を、そのようなパラメータとして用いるようにしてもよい。
【0085】
双方向印刷か単方向印刷かによって、インクの濡れ具合やインクの印刷用紙への浸透具合が変わるため、このパラメータも、印刷用紙の変形や印刷画質に影響を与えるからである。
さらに、印刷ヘッドと印刷用紙とのギャップの大きさを大きくすることによって、印刷用紙が変形したとしても擦れが生じにくくなるため、このパラメータも、印刷画質に影響を与えるからである。但し、そのような値のギャップは、少なくとも裏面の印刷時において、印刷ヘッドと印刷用紙との間に確保されればよい。
【0086】
なお、このような印刷ヘッドと印刷用紙との間のギャップや、主走査の印刷方向を、上記したパラメータとして用いる場合、これらパラメータは、プリンタドライバによって、印刷設定情報から取得された後、乾燥時間の場合と同様に、印刷コマンドに設定された上で、プリンタ100に送付され、プリンタ100での処理の際に用いられることになる。
【0087】
また、上記した第1の実施例では、文書タイプを「文字」,「文字/写真」,「写真」の3つのタイプに分けるようにし、第2の実施例では、印刷品質を選択する目的で、文書タイプを「ドラフト」,「テキスト」,「テキスト&イメージ」,「フォト」,「ベストフォト」の5つのタイプに分けるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、文書の内容に応じて、他の分類方法を用いるようにしてもよい。
【0088】
また、上記した実施例では、自動両面印刷を実行する場合を対象としていたが、本発明はこれに限るものではなく、手動両面印刷を実行する場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施例としてのプリンタドライバプログラムを備えたコンピュータとプリンタから成る印刷システムを示すブロック図である。
【図2】図1におけるパラメータテーブル306の内容の一例を示す説明図である。
【図3】モニタ258の画面上に表示される印刷設定画面の一例を示す説明図である。
【図4】モニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の一例を示す説明図である。
【図5】モニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の一例を示す説明図である。
【図6】モニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の一例を示す説明図である。
【図7】図1の印刷システムにおいて実行される自動両面印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例としてのプリンタドライバプログラムにおいて、モニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の他の例を示す説明図である。
【図9】モニタ258の画面上に表示される印刷設定画面の「メイン」タブの一例を示す説明図である。
【図10】モニタ258の画面上に表示される印刷設定画面の「ページレイアウト」タブの一例を示す説明図である。
【図11】モニタ258の画面上に表示される自動両面濃度調整画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0090】
100...プリンタ
102...前面給紙口
104...背面給紙口
106...自動両面印刷用紙送り機構
200...コンピュータ
250...CPU
252...メモリ
254...I/O部
256...入力装置
258...モニタ
260...通信装置
262...ハードディスク装置
264...CD−ROM
266...CD−ROMドライブ装置
302...アプリケーションプログラム
304...プリンタドライバプログラム
306...パラメータテーブル
308...印刷設定情報
400...印刷設定画面
402...「両面印刷」項目
404...「自動」項目
406...「手動」項目
408...「濃度調整」ボタン
500...自動両面濃度調整画面
502...「文書タイプ」項目
504...「文字」タイプ
506...「文字/写真」タイプ
508...「写真」タイプ
510...「ユーザ設定」項目
520...「濃度調整」項目
522...「印刷濃度」項目
524,534...レベルメータ
528,538...表示窓
532...「追加乾燥時間」項目
540...「OK」ボタン
600...印刷設定画面
601...「メイン」タブ
602...「クォリティオプション」項目
604...「ドラフト」タイプ
606...「テキスト」タイプ
608...「テキスト&イメージ」タイプ
610...「フォト」タイプ
612...「ベストフォト」タイプ
701...「ページレイアウト」タブ
702...「両面印刷」項目
708...「濃度調整」ボタン
800...自動両面濃度調整画面
802...「クオリティオプションに従う」項目
804...「ユーザ設定」項目
820...「濃度調整」項目
822...「印刷濃度」項目
824,834...レベルメータ
828,838...表示窓
832...「追加乾燥時間」項目
840...「OK」ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面印刷を実行することが可能なプリンタを、コンピュータによって制御するためのプリンタ制御プログラムであって、
印刷対象となり得る内容を複数のタイプに分け、各タイプにそれぞれ対応して、印刷用紙の変形や印刷画質に影響があるパラメータの値を取得する機能と、
前記各タイプの中から、前記プリンタで印刷しようとする内容のタイプを選択する機能と、
前記タイプが選択されている場合に、そのタイプに対応して取得する前記パラメータの値を、前記プリンタに対する両面印刷用の印刷設定情報の一部として設定する機能と、
を前記コンピュータに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記パラメータは、印刷濃度、乾燥時間、印刷ヘッドと前記印刷用紙との間のギャップ、及び主走査の印刷方向のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とするプリンタ制御プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記パラメータは、印刷濃度を含み、
印刷濃度が前記印刷設定情報の一部として設定された値を越えないようなインク量にて、前記プリンタが印刷を行うように印刷データを生成する機能を前記コンピュータにさらに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記パラメータは、乾燥時間、または印刷ヘッドと前記印刷用紙との間のギャップを含み、
表面の印刷と裏面の印刷との間に前記印刷設定情報の一部として設定された値の乾燥時間を確保するように、または、少なくとも裏面の印刷時に前記印刷ヘッドと前記印刷用紙との間に前記印刷設定情報の一部として設定された値のギャップを確保するように、前記プリンタへ指示する機能を前記コンピュータにさらに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記タイプをユーザが選択することが可能な選択設定画面を、前記コンピュータの備える表示画面上に表示させる機能を前記コンピュータにさらに実現させると共に、
前記選択設定画面で選択された前記タイプを、前記プリンタで印刷しようとするタイプとして選択することを特徴とするプリンタ制御プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記選択設定画面において、前記タイプが選択されている場合に、そのタイプに対応して取得する前記パラメータの値を前記選択設定画面内に表示させ、変更を受け付ける機能を前記コンピュータにさらに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項7】
請求項5に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記選択設定画面とは異なる画面としてパラメータ値表示用画面を、前記コンピュータの備える表示画面上に表示させる機能と、
前記選択設定画面において、前記タイプが選択されている場合に、そのタイプに対応して取得する前記パラメータの値を、前記パラメータ値表示用画面内に表示させ、変更を受け付ける機能と、
を前記コンピュータにさらに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記選択設定画面においてなされる前記タイプの選択は、前記プリンタで印刷する際の印刷品質の選択も兼ねることを特徴とするプリンタ制御プログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記パラメータ値表示用画面において、前記両面印刷用の印刷設定情報の一部として、ユーザによって変更されたパラメータの値を設定するか、前記選択設定画面にて選択された前記タイプに対応するパラメータの値を設定するか、の選択を受け付ける機能を前記コンピュータにさらに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちの任意の1つに記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記プリンタに対する前記両面印刷の開始が指示された場合に、前記両面印刷用の印刷設定情報に基づいて前記プリンタを制御し、前記プリンタに前記両面印刷を実行させる機能を前記コンピュータにさらに実現させるプリンタ制御プログラム。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のうちの任意の1つに記載のプリンタ制御プログラムにおいて、
前記タイプは、前記印刷対象となり得る内容の含む、印刷すべき写真と印刷すべき文字との少なくとも一方の量に基づいたものであることを特徴とするプリンタ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−108229(P2008−108229A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90951(P2007−90951)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】