説明

プリンタ装置

【課題】プリンタヘッドのノズルからインクが正常に吐出される状態であるか否かを正確に検査することにより、印刷品質を向上させたプリンタ装置を提供する。
【解決手段】プリンタ装置Pは、ギャップ調整部33により昇降移動されたプリンタヘッド31の所定の高さ位置を検出する位置センサ42と、位置センサ42により検出されたプリンタヘッド31の所定の高さ位置に基づいて、ガイドレール32に沿ってサブプラテン61が支持するテスト媒体Tの上方位置に移動されたプリンタヘッド31の吐出開口面とテスト媒体Tの表面との間の距離が予め定められた所定の距離となるようにサブプラテン昇降機構80を介してサブプラテン61を昇降移動させる制御を行うコントロールユニット90と、所定の距離を隔ててプリンタヘッド31の吐出開口面から吐出されテスト媒体Tの表面に着弾されたインクの吐着状態からプリンタヘッド31のノズル機能をチェックする検査手段とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタヘッドに形成されたノズルからインクが正確に吐出されるか否かをチェックする機能を備えたプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体に対してプリンタヘッドを相対移動させながら、プリンタヘッドの下面に形成されたノズルからインクを吐出させて、印刷媒体に所望のパターンで付着させて印刷を施すプリンタ装置(インクジェットプリンタ)が知られている。このようなプリンタ装置にあっては、プリンタヘッドのノズル内でインクが固化してノズル詰まりを起こしたり、印刷媒体表面に付着している塵埃等がインクの持つ接着力を受けてノズル開口に付着したりすることがある。これによりノズルから印刷媒体に向けてインクを正確に吐出させることができない状態に陥って、印刷媒体表面の所望の位置とは異なる位置にインクが着弾し、印刷媒体表面に印刷された文字や線図中の一部にインクのドットが存在しないドット抜けが発生して、印刷不良を引き起こす虞があった。
【0003】
そこで、印刷媒体表面に印刷を行う前にノズル機能をチェックする技術として、例えば特許文献1には、プリンタヘッドをサブプラテンに支持されたテスト媒体上方を移動させながら、プリンタヘッドの下面に並ぶノズルから吐出させたインクをテスト媒体表面に着弾させ、このテスト媒体表面に印刷されたテストパターン(ドットの配列)に基づいてドット抜けが存在するか否かを検査する技術が開示されている。このような構成によれば、印刷媒体への印刷前にプリンタヘッドのノズル機能を予めチェックすることができるため、事前にノズル機能に異常があると判定された場合には、ノズルから印刷とは関係のないインクを吐出させるフラッシング動作等を行ってノズル内で固化していたインクを一気に吐き出すことでノズルの機能を正常な状態に回復させて、印刷不良の発生を未然に防止することができる。
【特許文献1】特開2002−172804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなプリンタ装置においては、薄いものから分厚いものまでの様々な種類の印刷媒体の表面に印刷をできる構造をしており、印刷対象たる印刷媒体の厚さに合わせてプリンタヘッドの位置する高さを調整することにより、ノズルの吐出開口面が並ぶプリンタヘッドの下面と、それに対向するプラテンに支持された印刷媒体の表面との間の距離が目標となるギャップに適正調整されるようになっている。しかしながら、ノズル機能のチェックを行う上で、印刷対象の印刷媒体とノズル機能のチェックに用いられるテスト媒体とは厚さや材質などが相違するため、印刷媒体との間のギャップが適正調整されたプリンタヘッドによってテスト媒体へのテストパターン印刷を行うこととすると、プリンタヘッドの下面とテスト媒体の表面との間の距離が近接し過ぎた状態になったり、離れ過ぎた状態となったりし、テスト媒体の所望の位置にインクを正確に着弾させることが困難となっていた。したがって、このようにテスト媒体に印刷されたテストパターンに基づいてインクのドット抜けの有無を検査しても、ノズル機能の良否を正確に検査することができないため、結果的に、プリンタ装置における印刷品質を低下させてしまうという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、プリンタヘッドのノズルからインクが正常に吐出される状態であるか否かを正確に検査し、印刷不良が発生するのを未然に防止することにより、印刷品質を向上させたプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るプリンタ装置は、印刷媒体を支持する印刷媒体支持部(例えば、実施形態におけるプラテン10)と、印刷媒体支持部の上方に位置して設けられたガイドレール部材に往復移動自在に取り付けられて、下方に向けて形成されたノズルの吐出開口面からインクを吐出するプリンタヘッドと、プリンタヘッドを印刷媒体支持部に対し昇降移動させるヘッド昇降機構(例えば、実施形態におけるギャップ調整部33)とを有し、印刷媒体支持部に支持された印刷媒体の厚さに応じてヘッド昇降機構によって所定の高さ位置に昇降移動されたプリンタヘッドをガイドレール部材に沿って移動させながら印刷媒体の表面にノズルからインクを吐出することにより印刷を行うように構成されるプリンタ装置において、印刷媒体支持部に隣接してガイドレール部材の下方に設けられ、テスト媒体を支持するテスト媒体支持部(例えば、実施形態におけるサブプラテン61)と、テスト媒体支持部を昇降移動自在に保持する支持部昇降機構(例えば、実施形態におけるサブプラテン昇降機構80)と、ヘッド昇降機構により昇降移動されたプリンタヘッドの所定の高さ位置を検出する検出手段(例えば、実施形態における位置センサ42および演算処理部95)と、検出手段により検出されたプリンタヘッドの所定の高さ位置に基づいて、ガイドレール部材に沿ってテスト媒体支持部が支持するテスト媒体の上方位置に移動されたプリンタヘッドの吐出開口面とテスト媒体の表面との間隔が予め定められた所定の距離となるように支持部昇降機構を介してテスト媒体支持部を昇降移動させる制御を行う移動制御手段(例えば、実施形態における昇降移動制御部94および演算処理部95)と、所定の距離を隔ててプリンタヘッドの吐出開口面から吐出されテスト媒体の表面に着弾されたインクの吐着状態からプリンタヘッドのノズル機能をチェックする検査手段(例えば、実施形態における光学センサ70および画像処理部96)とを備えて構成される。
【0007】
なお、上記本発明に係るプリンタ装置において、ガイドレール部材に対してプリンタヘッドの相対移動方向の一端側近傍に配設されて、一端側近傍に移動されたプリンタヘッドの吐出開口面に当接して所定のメンテナンスを行うメンテナンスユニットと、メンテナンスユニットをプリンタヘッドに対して昇降移動自在に保持するキャップ昇降機構とを有し、検出手段は、メンテナンスユニットがキャップ昇降機構によって昇降移動してプリンタヘッドの吐出開口面に当接した高さ位置に基づいて、プリンタヘッドの所定の高さ位置を検出することが好ましい。
【0008】
また、上記キャップ昇降機構が、駆動モータ(例えば、実施形態におけるキャップ駆動モータ56)の回転駆動力によってメンテナンスユニットを昇降移動自在に構成され、検出手段は、メンテナンスユニットが所定の基準位置から吐出開口面との当接位置までに昇降移動する移動距離に応じた駆動モータの駆動制御量に基づいて、プリンタヘッドの所定の高さ位置を検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本発明に係るプリンタ装置は、検査部によりプリンタヘッドのノズル機能をチェックする際に、印刷媒体支持部に支持された印刷媒体の厚さに合わせて高さ調整されたプリンタヘッドの所定の高さ位置を検出手段により検出し、この検出されたプリンタヘッドの高さ位置に基づいて、チェック対象となるテスト媒体の表面とプリンタヘッドの吐出開口面との間が所定の距離を隔てるように移動制御手段が支持部昇降機構を介してテスト媒体支持部を昇降移動させる制御をするように構成されている。この構成によれば、プリンタヘッドのノズルから吐出されるインクをテスト媒体の表面の所望位置に正確に着弾させ、着弾されたインクの吐着状態からプリンタヘッドのノズル機能の良否を正確に検査することができるため、ノズル機能チェックの信頼性が向上する。したがって、印刷不良が発生するのを未然に防止することにより、印刷品質を向上させることができる。
【0010】
また、上記プリンタ装置において、プリンタヘッドの吐出開口面に当接して所定のメンテナンスを行うメンテナンスユニットを設け、メンテナンスユニットがプリンタヘッドの吐出開口面に当接した高さ位置に基づいて、検出手段がプリンタヘッドの所定の高さ位置を検出する構成が好ましい。このように構成した場合、プリンタヘッドに対して、例えば余分なインクや塵埃を吸引等するメンテナンスを行うのと同時に、メンテナンスユニットとプリンタヘッドとの当接位置からプリンタヘッドの所定の高さ位置を正確かつ効率的に検出することができる。
【0011】
さらに、メンテナンスユニットが所定の基準位置から吐出開口面との当接位置までに昇降移動する距離に応じた駆動モータの駆動制御量に基づいて、検出手段がプリンタヘッドの所定の高さ位置を検出することが好ましい。このように構成した場合、簡明かつ低廉な構成でプリンタヘッドの高さ位置を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明を適用したインクジェットプリンタ(以下、プリンタ装置と称する)の一例として、X−Y二軸のうち、一軸を印刷媒体移動、他の一軸をプリンタヘッド移動としたタイプのプリンタ装置Pの概要構成を図1に示し、図1中におけるII−II部分の断面図を図2に示している。なお、以降の説明において、各図に示す矢印方向を上下、左右および前後方向と称して説明する。
【0013】
プリンタ装置Pは、図1および図2に模式的に示すように、外周部がカバー9で覆われて略直方体に形成されており、各機構の取り付けベースとなるフレーム8と、メディアと称される塩ビシート等のシート状の印刷媒体Mに対して印刷等の所定動作を行う印刷ユニット3と、ロール状に巻かれた未加工状態の印刷媒体Mを印刷ユニット3に送り出す送り出し機構4と、印刷ユニット3により描画が終了した印刷媒体Mを巻き取る巻き取り機構5と、印刷ユニット3の左側に隣接して設けられたメンテナンスユニット50およびノズル機能チェックユニット60と、プリンタ装置Pの各部の作動を制御するコントロールユニット90とを主体に構成される。
【0014】
印刷ユニット3は、印刷媒体Mを支持するプラテン10、プラテン10に支持された印刷媒体Mを前後に移動させるメディア移動機構20、プラテン10の上方に位置して左右に移動自在に支持され、複数のプリンタヘッド31を保持するキャリッジ30、プラテン10に支持された印刷媒体Mに対してキャリッジ30を左右に相対移動させるキャリッジ移動機構45などが設けられている。
【0015】
プラテン10は、フレーム8に配設されており、プリンタヘッド31による左右帯状の描画領域には、その上面に印刷媒体Mを水平に支持するメディア支持面11が形成されている。
【0016】
メディア移動機構20は、左右に延びる回動軸廻りに回動可能に設けられ上部周面がプラテン10のメディア支持面11に露出して配設された円筒状の送りローラ21と、送りローラ21を回転駆動するローラ駆動モータ23と、送りローラ21の軸端に結合された従動プーリとローラ駆動モータ23の軸端に結合された駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト22と、各々前後に回動自在なピンチローラ26を有し送りローラ21の上方に左右所定間隔をおいて配設された複数のローラアッセンブリ25とを主体に構成される。
【0017】
ローラアッセンブリ25は、ピンチローラ26を送りローラ21に弾性的に係合させたクランプ位置と、ピンチローラ26を送りローラ21の上方に離隔させたアンクランプ位置とに変位設定可能に構成されており、ローラアッセンブリ25をクランプ位置に設定して印刷媒体Mを上下のローラ26,21間に挟み込んだ状態でローラ駆動モータ23を回転駆動することにより、印刷媒体Mが送りローラ21の回転角度に応じた送り量、すなわちコントロールユニット90からローラ駆動モータ23に出力される駆動制御量に応じた送り量で前後に搬送される。なお、図1では、ローラアッセンブリ25をクランプ位置に設定した状態とアンクランプ位置に設定した状態との両方を併記している。
【0018】
キャリッジ30は、送りローラ21と平行に左右に延びてフレーム8に取り付けられたガイドレール32に左右に移動自在に支持されている。ガイドレール32は、直動ガイドあるいはリニアガイドとも称される直動軸受の支持レールであり、このガイドレール32に嵌合支持されたスライドブロック(不図示)にキャリッジ30が固定され、これによりキャリッジ30がプラテン10の上方に左右にスライド移動自在に支持されて、次述するキャリッジ移動機構45により駆動される。なお、キャリッジ30のスライド移動を案内するガイドレール32は、ノズル機能チェックユニット60およびメンテナンスユニット50の上方まで延設されており、キャリッジ30をノズル機能チェックユニット60の上方位置や、メンテナンスユニット50の上方位置(キャッピング位置)まで移動させることができるようになっている。
【0019】
ここで、キャリッジ30近傍の拡大正面図を図3に示す。キャリッジ30には、図3に示すように、プリンタヘッド31の下面と印刷媒体Mの印刷対象面との間の距離を所定ギャップに適正調整するためのギャップ調整部33が設けられている。ギャップ調整部33は、キャリッジ30を印刷媒体Mに対して上下に昇降移動させるキャリッジ昇降機構34と、プリンタヘッド31の下面と印刷媒体Mの印刷対象面との間の印刷加工に最適な距離(所定ギャップ)を呈示する呈示機構37とからなり、キャリッジ昇降機構34は、例えば、送りハンドル35を回動することによりキャリッジ30を上下に延びて設けられたスライドレール36に沿って昇降移動させる送りねじ機構などから構成される。
【0020】
呈示機構37は、キャリッジ30の右側面に設けられた枠部材38、この枠部材38に上下に移動自在に支持されたロッド39、ロッド39に設けられ枠部材38に対して下方に移動させたロッド39の下端部が印刷媒体Mに当接する位置がプリンタヘッド31と印刷媒体Mとの所定ギャップを呈示する位置となるように、当該位置よりもロッド39が下方に移動するのを規制する上ストッパ40a、ロッド39を枠部材38に対して上方に付勢するロッド用バネ41と、ロッド39に設けられロッド用バネ41により上方に付勢されたロッド39が枠部材38に対して一定高さ以上に移動するのを規制する下ストッパ40bなどから構成される。これにより、上ストッパ40aが枠部材38の上端に突き当たる位置までロッド39をロッド用バネ41の付勢力に抗して下方に移動させた状態で、キャリッジ昇降機構34によりキャリッジ30を降下移動させてロッド39の下端部を印刷対象面に当接させることによって、プリンタヘッド31の下面と印刷媒体Mの印刷対象面との間の距離が目的とする所定ギャップとなるように適正調整できるようになっている。
【0021】
キャリッジ移動機構45は、図1に示すように、それぞれガイドレール32の左右の側端近傍に設けられた駆動プーリ46および従動プーリ47、駆動プーリ46を回転駆動するキャリッジ駆動モータ48、駆動プーリ46と従動プーリ47とに掛け渡された無端ベルト状のタイミングベルト49などからなり、キャリッジ30がタイミングベルト49に連結固定されて構成される。キャリッジ駆動モータ48の回転はコントロールユニット90により制御され、コントロールユニット90からキャリッジ駆動モータ48に出力される駆動制御量に応じた送り量でキャリッジ30が左右に移動される。
【0022】
プリンタヘッド31は、プラテン10のメディア支持面11と対向するキャリッジ30の下面側に設けられており、プラテン10に支持された印刷媒体Mの厚さに応じてギャップ調整部33によりプリンタヘッド31の下面が印刷媒体Mの印刷対象面に対して所定ギャップを隔てるように適正調整される。プリンタヘッド31の配置構成には種々の構成形態があり適宜な構成を用いることができるが、本実施形態では、各々微細なインク粒を吐出する多数のノズルが前後方向に直線状に整列したノズル列が二列平行に並んで形成され、プリンタヘッド31を、左右に4つ並べて計8列のノズル列を配置したヘッド構成を例示する。なお、このプリンタヘッド31の下面にインク粒が吐出されるノズルの吐出開口面が形成されている。
【0023】
このように構成される印刷ユニット3の左側に隣接して、プリンタヘッド31のノズルから正常にインクが吐出される状態を保持するためのメンテナンスユニット50と、テスト媒体Tに印刷したテストパターンに基づきプリンタヘッド31のノズル機能の良否をチェックするノズル機能チェックユニット60とが配設されている。
【0024】
メンテナンスユニット50は、図1に示すように、複数のプリンタヘッド31と同じ間隔で左右に並ぶ複数のゴムキャップ52が配設されたキャップ本体51、およびキャップ本体51をプリンタヘッド31に対して上下に移動させるキャップ昇降機構53などから構成されており、キャリッジ30がキャリッジ移動機構45によりガイドレール32の左端部(キャップ位置)まで移動したときにおいて、ゴムキャップ52がプリンタヘッド31と上下に対向するようになっている。
【0025】
ここで、メンテナンスユニット50の昇降動作の状態を示す模式図を図4に示す。キャップ昇降機構53は、図4(A)に示すように、キャップ本体51を降下移動させる付勢力をキャップ本体51に付与するためのキャップ用バネ54、このキャップ用バネ54の付勢力に抗してキャップ本体51を上昇移動させる偏心カム55、および偏心カム55を回転駆動するキャップ駆動モータ56などから構成される。キャップ本体51はキャップ用バネ54から常時下方に付勢され、キャップ本体51の底面と偏心カム55の外周部とが当接するようになっており、キャップ駆動モータ56を回転駆動することにより、キャップ本体51が偏心カム55の回転角度(コントロールユニット90から出力される駆動制御量)に応じた移動量で昇降移動される。このため、図4(B)に示すように、プリンタヘッド31をキャリッジ移動機構45によりメンテナンスユニット50上方のキャップ位置まで移動させ、キャップ本体51をキャップ昇降機構53により所定の高さ(ヘッド封止位置)まで移動させることにより、プリンタヘッド31下面の吐出開口面がゴムキャップ52で覆われて封止される状態となる。これにより、プリンタヘッド31のノズルから下方に臨むインクが乾燥するのを防止することができる。また、ゴムキャップ52によって密閉されたプリンタヘッド31の吐出開口面を吸引ポンプ(不図示)等により負圧にして、乾燥されつつあったインクや塵埃等を吸引する(取り除く)とともに、インク供給源(不図示)により新たに供給されたインクで満たされるようにすることで、プリンタヘッド31のノズルから正常にインクが吐出される状態にする。
【0026】
キャップ本体51がゴムキャップ52によりプリンタヘッド31の下面(吐出開口面)を封止できるヘッド封止位置に位置するか否かは、位置センサ42により検出される。位置センサ42は、キャリッジ30の左側面に設けられた透過型のフォトセンサ43と、キャップ本体51の上面から上方に突出して設けられたプレート状の遮蔽板44とからなり、フォトセンサ43からの検出光を遮蔽板44が遮断することによりキャップ本体51がプリンタヘッド31の下面を封止可能なヘッド封止位置に位置することを検出する。位置センサ42からはキャップ本体51がヘッド封止位置に位置するか否かを示す検出信号がコントロールユニット90に出力されるようになっている。
【0027】
また、キャップ本体51の右方には、キャップ昇降機構53によるキャップ本体51の昇降移動の最下位置(基準位置)を検出するためのリミットスイッチ等からなる第1下限検出センサ59が設けられている。
【0028】
ここで、図1中のV−V部分におけるノズル機能チェックユニット60の側面断面部を図5に示す。ノズル機能チェックユニット60は、テスト媒体Tを支持するサブプラテン61、テスト媒体Tをサブプラテン61上に供給したり、サブプラテン61からテスト媒体Tを排出したりするテストメディア移動機構63、プリンタヘッド31から吐出されテスト媒体Tの印刷対象面に着弾されたインク滴のドット抜け(インクのドットが存在すべき箇所にインクのドットが存在しない状態)等を検出する光学センサ70、サブプラテン61をプリンタヘッド31に対して上下に昇降移動させるサブプラテン昇降機構80などを主体に構成される。
【0029】
サブプラテン61は、プラテン10の左脇部に並べて設けられており、その上面にテスト媒体Tの印刷対象となる部分を水平に支持する略矩形状のテストメディア支持面62が形成されている。
【0030】
テストメディア移動機構63は、ロール状に巻かれた未加工状態のテスト媒体Tを送り出すロール支持部64、テストパターン印刷が終了したテスト媒体Tを巻き取る巻き取り部65、左右に延びる円筒状の送りローラ66、この送りローラ66を回転駆動する電動モータ(不図示)、送りローラ66の上方に回動自在に設けられた押さえローラ67などからなり、テスト媒体Tを送りローラ66と押さえローラ67との間に挟み込んだ状態で電動モータを回転駆動することにより、テスト媒体Tが送りローラ66の回転角度(コントロールユニット90から出力される駆動制御量)に応じた送り量で前後に搬送される。
【0031】
光学センサ70は、テストメディア移動機構63によりサブプラテン61上の印刷領域から排出されたテスト媒体Tが通過する通路の上方に配設された発光素子71および受光素子72からなり、発光素子71から出射される検査光を、テストパターンが印刷されたテスト媒体Tに反射させて、受光素子72により受光されるようになっている。受光素子72により捉えられたテストパターンの像は画像信号に光電変換され、この受光素子72に電気的に接続されたコントロールユニット90によってテスト媒体Tの表面に印刷されたテストパターンのドット抜けを画像処理により検出可能になっており、これにより、プリンタヘッド31のノズル機能の良否をチェックすることができるようになっている。なお、これら発光素子71および受光素子72の周囲は、サブプラテン61に設けられテスト媒体Tを通過させる開口部74が形成されたセパレータ73によって覆われており、外乱光の侵入が防止されている。
【0032】
サブプラテン昇降機構80は、サブプラテン61を降下移動させる付勢力をサブプラテン61に付与するためのサブプラテン用バネ81、サブプラテン用バネ81の付勢力に抗してサブプラテン61を上昇移動させる偏心カム82、および偏心カム82を回転駆動するサブプラテン駆動モータ83などから構成される。サブプラテン61はサブプラテン用バネ81から常時下方に付勢され、サブプラテン61の底面と偏心カム82の外周部とが当接するようになっており、サブプラテン駆動モータ83を回転駆動することにより、サブプラテン61が偏心カム82の回転角度(コントロールユニット90から出力される駆動制御量)に応じた移動量で昇降移動される。このため、プリンタヘッド31の高さ位置に合わせて、サブプラテン61をサブプラテン昇降機構80により昇降移動させることで、プリンタヘッド31の下面とサブプラテン61に支持されたテスト媒体Tの印刷対象面との間の距離をテストパターン印刷に最適な距離に調整することができるようになっている。
【0033】
また、サブプラテン61の右方には、サブプラテン昇降機構80によるサブプラテン61の昇降移動の最下位置(リファレンス位置)を検出するためのリミットスイッチ等からなる第2下限検出センサ84が設けられている。
【0034】
ここで、プリンタ装置Pの概要ブロック図を図6に示す。コントロールユニット90は、プリンタ装置Pの各部の作動を制御する制御プログラムが書き込まれたROM91、印刷媒体Mに描画する加工プログラム等を一時記憶するRAM92、RAM92から読み込まれた印刷プログラムや操作パネル97から入力された操作信号等について演算処理を行い、制御プログラムに従って各部の作動を制御する制御部93、プリンタ装置Pの作動状態等を表示する表示パネルおよび各種操作スイッチが設けられた操作パネル97などを備え、メディア移動機構20による印刷媒体Mの前後移動、キャリッジ移動機構45によるキャリッジ30の左右移動、プリンタヘッド31の各ノズルからのインク吐出などを制御する。
【0035】
ところで、プリンタ装置Pにおいて用いられる印刷対象の印刷媒体Mとノズル機能チェック用のテスト媒体Tとは、厚さや材質などが相違するため、印刷媒体Mとのギャップが適正調整されたプリンタヘッド31を用いてテスト媒体Tへのテストパターン印刷を行うこととすると、テスト媒体Tの所望の位置にインクを正確に着弾させることができず、その結果、このテスト媒体Tに印刷されたテストパターンに基づいてドット抜けの有無をチェックしても、正確な判定ができないという問題がある。そこで、プリンタ装置Pでは、印刷媒体Mに合わせてギャップが適正調整されたプリンタヘッド31の位置する高さに関わらず、このプリンタヘッド31の下面とテスト媒体Tの印刷対象面とが一定になるようにコントロールユニット90の制御部93が各部の作動を制御するように構成される。
【0036】
コントロールユニット90の制御部93は、ノズル機能チェックユニット60とメンテナンスユニット50との所定の作動を制御するための昇降移動制御部94、演算処理部95、および画像処理部96などを備えている。
【0037】
昇降移動制御部94は、操作パネル97から入力された操作信号等に基づいてモータ回転のための駆動パルス信号を出力し、キャップ駆動モータ56の回転駆動によるキャップ本体51の昇降移動や、サブプラテン駆動モータ83の回転駆動によるサブプラテン61の昇降移動を制御する。また、昇降移動制御部94は、第1下限検出センサ59からのオン信号を受信することでキャップ駆動モータ56によるキャップ本体51の降下移動を最下位置(基準位置)で停止させたり、第2下限検出センサ84からのオン信号を受信することでサブプラテン駆動モータ83によるサブプラテン61の降下移動を最下位置(リファレンス位置)で停止させる制御をするとともに、位置センサ42からの検出信号を受信することでキャップ駆動モータ56によるキャップ本体51の上昇移動をプリンタヘッド31の下面を封止するための所定のヘッド封止位置で停止させる制御をする。
【0038】
演算処理部95は、ギャップ調整部33により高さ調整されたプリンタヘッド31の下面の位置する高さを演算処理して求める。具体的には、キャップ本体51が所定のヘッド封止位置に位置することで位置センサ42から検出信号を受信すると、演算処理部95は、キャップ昇降機構53によるキャップ本体51の最下位置(基準位置)から所定のヘッド封止位置までの移動距離、すなわち、第1下限検出センサ59によるオフ信号を受信してから位置センサ42による検出信号を受信するまでの間のキャップ駆動モータ56の回転量(駆動制御量)に応じた移動距離からキャップ本体51の位置を算出し、これにより、同一面内でキャップ本体51(ゴムキャップ52)の上面により封止されるプリンタヘッド31の下面の位置する高さを求めることができる。
【0039】
また、演算処理部95は、前述のようにして求められたプリンタヘッド31の下面の位置する高さの情報と、RAM92に予め記憶(設定)されたテスト媒体Tの厚さや、テストパターン印刷に最適なプリンタヘッド31の下面とテスト媒体Tの印刷対象面との間の標準的な距離(ギャップ)の情報などから、テストパターン印刷においてプリンタヘッド31の下面に対して上記標準的な距離を隔てるようなサブプラテン61のテストメディア支持面62が位置すべき最適な高さを演算し、サブプラテン昇降機構80によるサブプラテン61の最下位置(リファレンス位置)から当該最適高さ位置までの昇降移動に必要な距離に応じたサブプラテン駆動モータ83の回転量(駆動制御量)を算出する。この演算処理部95において求められたサブプラテン駆動モータ83の回転量(駆動制御量)に基づいて、昇降移動制御部94はこの駆動制御量に応じた駆動パルス信号をサブプラテン駆動モータ83に出力し、サブプラテン61をプリンタヘッド31に対してテストパターン印刷に最適な高さの位置に昇降移動させる制御が行われる。
【0040】
画像処理部96は、光学センサ70から入力されたテストパターンの画像信号に基づいて、テスト媒体Tに吐着されたインクの吐着状態を画像処理して、テスト媒体Tに描画されたテストパターンにドット抜けが存在するか否かを検査する。これによりプリンタヘッド31のノズル機能の良否をチェックすることができ、プリンタヘッド31によって印刷媒体Mに描画される文字、図形、画像等の一部にドット抜け等が生じる現象を未然に防止することができる。
【0041】
以上、プリンタ装置Pの全体構成について説明したが、以下において、プリンタ装置Pを用いて印刷媒体Mに印刷を施すときの各構成部材の作動について説明する。
【0042】
印刷媒体Mは、プラテン10上を後方から前方に搬送されるようにプリンタ装置Pに取り付けられており、上下のローラ21,26間に挟み込まれた状態で前方に搬送される。このとき、インクを吐出するプリンタヘッド31の下面と印刷媒体Mの印刷対象面との間の距離は、ギャップ調整部33により印刷媒体Mの厚さに応じた所定ギャップとなるように適正調整される。そして、プラテン10上に位置する印刷媒体Mに対して、ガイドレール32に沿ってキャリッジ30を左右に往復移動させながら、各プリンタヘッド31のノズルからインクを吐出させて所望のパターンで印刷媒体Mに付着させる。次いで、印刷媒体Mを所定ピッチだけ前方に搬送した後、再びキャリッジ30を左右に往復移動させながらインクを吐出させることが繰り返し行われる。そして、印刷が施された印刷媒体Mは、前方に搬送され巻き取り機構4により巻き取られることによって、プリンタ装置Pにおける印刷媒体Mへの一連の印刷が施される構成となっている。
【0043】
以上、印刷媒体Mに印刷を施す際の各構成部材の作動について説明したが、以下において、プリンタヘッド31のノズル機能チェックを行う際の各構成部材の作動について説明する。なお、従来技術においても述べたように、例えば、インクがプリンタヘッド31のノズル内で硬化してノズル詰まりが発生するような場合には、プリンタヘッド31から正常にインクが吐出されず印刷媒体Mに描画された文字、図形、画像等の一部にドット抜けが生じて印刷不良を引き起こす虞がある。このような印刷不良の発生を未然に防止するために、ノズル機能のチェックが行われる。なお、ノズル機能のチェックは印刷媒体Mへの印刷不良を防止するためにも印刷媒体Mに印刷を施す前の段階で行われることが好ましく、以降の説明では、事前にノズル機能のチェックが行われる場合を例示して説明する。
【0044】
ノズル機能のチェックを行うときには、まず、テスト媒体Tを支持するサブプラテン61と、メンテナンスユニット50のキャップ本体51とを、それぞれの最下位置に位置させておく。そして、キャリッジ移動機構45によりキャリッジ30を左右移動させて、プリンタヘッド31をプラテン10に支持された印刷媒体Mの印刷対象面に対向する上方位置に位置させる。次いで、プリンタヘッド31の高さ位置を、ノズルチェック後に印刷される印刷媒体Mに対応させるため、呈示機構37においてロッド39を上ストッパ40aが枠部材38の上端に突き当たる下方位置で保持した状態のまま、このロッド39の下端部が印刷媒体Mの印刷対象面に当接するまでキャリッジ昇降機構34によりキャリッジ30全体を下方に移動させることにより、プリンタヘッド31の下面と印刷媒体Mの印刷対象面との間の距離が目的とする所定ギャップとなるように適正調整する。
【0045】
そして、プリンタヘッド31のギャップ調整が行われた後、キャリッジ30をキャリッジ移動機構45によりメンテナンスユニット50上方のキャッピング位置まで移動させるとともに、メンテナンスユニット50のキャップ本体51をキャップ昇降機構53により上昇移動させる。このキャップ本体51の上昇移動に伴って、プリンタヘッド31に設けられたフォトセンサ43の検出光をキャップ本体51に設けられた遮蔽板44が遮断する位置まで到達したところで、キャップ本体51が所定のヘッド封止位置に位置することを位置センサ42(フォトセンサ43)が検出し、この検出信号に基づいてコントロールユニット90の昇降移動制御部94がキャップ本体51の上昇移動をこのヘッド封止位置で停止させる制御をする。これにより、キャップ本体51のゴムキャップ52がヘッド封止位置においてプリンタヘッド31の下面を覆うように封止して、プリンタヘッド31の吐出開口面近傍におけるインクの乾燥等を防止したり、ノズル内の余分なインクや塵埃等を取り除くことで、このノズルから正常にインクが吐出される状態を保持することができる。
【0046】
このとき、コントロールユニット90の演算処理部95では、キャップ昇降機構53によってキャップ本体51がヘッド封止位置に到達するまでの移動量をキャップ駆動モータ56の回転量(駆動制御量)に基づいて演算し、この求めた移動量からプリンタヘッド31の下面の位置する高さを算出する。このため、プリンタヘッド31の下面の高さ位置を簡明な構成で効率的に検出することができる。
【0047】
さらに、演算処理部95は、このように求められたプリンタヘッド31の下面の高さや、RAM92に予め設定されたテスト媒体Tの厚み等の情報などを基にして、サブプラテン61が支持するテスト媒体Tの印刷対象面がプリンタヘッド31の下面からテストパターン印刷に最適なギャップとなるようなサブプラテン61の位置すべき高さを演算し、サブプラテン61が最下位置(リファレンス位置)から上記の高さ位置まで移動するのに必要な距離に応じたサブプラテン駆動モータ83の回転量(駆動制御量)を算出する。そして、演算処理部95で求められたこの回転量(駆動制御量)に応じた送り量でサブプラテン駆動モータ83が回転制御されることにより、偏心カム82を介してサブプラテン61が上昇移動し、テスト媒体Tの印刷対象面とプリンタヘッド31の下面とが目的とする距離を隔てて位置するように調整される。これにより、印刷対象たる印刷媒体Mの厚さに応じてプリンタヘッド31の位置する高さが変動されても、これに応じてテスト媒体Tを支持するサブプラテン61を所望の高さ位置に調整する制御が行われることで、プリンタヘッド31の下面とテスト媒体Tの印刷対象面との間隔がテストパターン印刷のための最適な距離に適正調整されるため、テスト媒体Tへのインクの着弾位置が不安定となることが防止される。
【0048】
次いで、テスト媒体Tに対して、ガイドレール32に沿ってキャリッジ30を左右に往復移動させながら、各プリンタヘッド31のノズルからインクを吐出させることにより、所望のテストパターンでテスト媒体Tにインクを着弾させる。その後、テストメディア移動機構63により、テストパターンが印刷されたテスト媒体Tをサブプラテン61の印刷領域から前方に排出し、セパレータ73の開口部74を通過させて、セパレータ73内で左右に配設された発光素子71と受光素子72との下方位置に送り込む。そして、発光素子71からの検査光をテストパターンが印刷されたテスト媒体Tで反射させて、この反射光を受光素子72で受けることによりテストパターンの像が撮像される。そして、受光素子72で光電変換された画像信号に基づいてコントロールユニット90の画像処理部96によりテスト媒体Tに印刷されたテストパターンのドット抜けの有無が判定され、プリンタヘッド31のノズル機能の良否がチェックされる。
【0049】
このとき、前述したように、テスト媒体Tへのテストパターン印刷の際には、このテスト媒体Tを支持するサブプラテン61を所望高さ位置に調整する制御が行われることで、プリンタヘッド31から吐出されるインクをテスト媒体Tに正確に着弾させることができるため、ノズル機能の良否を正確にチェックすることができる。
【0050】
そして、光学センサ70によりテスト媒体Tに印刷されたテストパターンにドット抜けの有無が確認されると、ノズル機能のチェックが終了する。その結果、ノズル機能に異常があることが判明された場合には、プリンタヘッド31のノズルにおいて乾燥して固化しつつあるインクや塵埃等をメンテナンスユニット50によって取り除いたり、ノズルから印刷とは関係のないインクを吐出(フラッシング)等させて、そのノズルからインクが正常に吐出できる状態に回復させる。一方、ノズル機能が正常であることが確認された場合には、その後、キャリッジ30をサブプラテン61上方のキャッピング位置からガイドレール32に沿って右方に移動させ、印刷媒体Mに対して印刷を開始させる。
【0051】
このように構成されたプリンタ装置Pによれば、プリンタヘッド31のノズル機能をチェックする際に、印刷対象となる印刷媒体Mの厚さに合わせてギャップ調整されたプリンタヘッド31の位置する高さに応じて、チェック対象たるテスト媒体Tの印刷対象面とプリンタヘッド31の下面との間の距離が適正調整されるようにテスト媒体Tを支持するサブプラテン61を昇降移動させる制御が行われる。これにより、プリンタヘッド31から吐出されるインクをテスト媒体Tに正確に着弾させてテストパターンを印刷し、プリンタヘッド31のノズル機能の良否を正確にチェックすることができるため、印刷不良が発生するのを未然に防止して、プリンタ装置Pによる印刷品質を向上させることができる。
【0052】
なお、以上説明した実施形態では、ギャップ調整部33が手動の送りねじ機構を用いたキャリッジ昇降機構34とロッド39の手動調整により所定ギャップを呈示する呈示機構37とからなる構成を例示したが、例えば、キャリッジ昇降機構を電動式にしたり、呈示機構を検出センサ等の電子式とする構成でもよい。
【0053】
なお、以上説明した実施形態では、インクジェットプリンタの一例として、X−Y二軸のうち、一軸を印刷媒体移動、他の一軸をプリンタヘッド移動としたタイプのプリンタ装置を示したが、本発明は他のインクジェットプリンタ、例えば、印刷媒体を保持したテーブルに対してX軸キャリッジおよびY軸キャリッジがX−Y方向に移動するヘッド移動タイプ等のプリンタ装置についても同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るプリンタ装置の概略構成を示す正面視で示す模式図である。
【図2】図1中のII−II部分を示した側面断面図である。
【図3】上記プリンタ装置におけるキャリッジ周辺を正面視で示す模式図である。
【図4】上記プリンタ装置におけるメンテナンスユニットの昇降動作の状態を示す模式図であり、(A)は基準位置に位置する状態を示し、(B)はヘッド封止位置に位置する状態を示す。
【図5】図1中のV−V部分を示した側面断面図である。
【図6】上記プリンタ装置における概要ブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
M 印刷媒体
P プリンタ装置
T テスト媒体
10 プラテン(印刷媒体支持部)
30 キャリッジ
31 プリンタヘッド
32 ガイドレール(ガイドレール部材)
33 ギャップ調整部(ヘッド昇降機構)
42 位置センサ(検出手段)
50 メンテナンスユニット
53 キャップ昇降機構
56 キャップ駆動モータ(駆動モータ)
60 ノズル機能チェックユニット
61 サブプラテン(テスト媒体支持部)
70 光学センサ(検査手段)
80 サブプラテン昇降機構(支持部昇降機構)
90 コントロールユニット
93 制御部
94 昇降移動制御部(移動制御手段)
95 演算処理部(検出手段、移動制御手段)
96 画像処理部(検査手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を支持する印刷媒体支持部と、
前記印刷媒体支持部の上方に位置して設けられたガイドレール部材に往復移動自在に取り付けられて、下方に向けて形成されたノズルの吐出開口面からインクを吐出するプリンタヘッドと、
前記プリンタヘッドを前記印刷媒体支持部に対し昇降移動させるヘッド昇降機構とを有し、
前記印刷媒体支持部に支持された前記印刷媒体の厚さに応じて前記ヘッド昇降機構によって所定の高さ位置に昇降移動された前記プリンタヘッドを前記ガイドレール部材に沿って移動させながら前記印刷媒体の表面に前記ノズルからインクを吐出することにより印刷を行うように構成されるプリンタ装置において、
前記印刷媒体支持部に隣接して前記ガイドレール部材の下方に設けられ、テスト媒体を支持するテスト媒体支持部と、
前記テスト媒体支持部を昇降移動自在に保持する支持部昇降機構と、
前記ヘッド昇降機構により昇降移動された前記プリンタヘッドの前記所定の高さ位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記プリンタヘッドの前記所定の高さ位置に基づいて、前記ガイドレール部材に沿って前記テスト媒体支持部が支持する前記テスト媒体の上方位置に移動された前記プリンタヘッドの前記吐出開口面と前記テスト媒体の表面との間隔が予め定められた所定の距離となるように前記支持部昇降機構を介して前記テスト媒体支持部を昇降移動させる制御を行う移動制御手段と、
前記所定の距離を隔てて前記プリンタヘッドの前記吐出開口面から吐出され前記テスト媒体の表面に着弾されたインクの吐着状態から前記プリンタヘッドのノズル機能をチェックする検査手段とを備えて構成されることを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記ガイドレール部材に対して前記プリンタヘッドの相対移動方向の一端側近傍に配設されて、前記一端側近傍に移動された前記プリンタヘッドの前記吐出開口面に当接して所定のメンテナンスを行うメンテナンスユニットと、
前記メンテナンスユニットを前記プリンタヘッドに対して昇降移動自在に保持するキャップ昇降機構とを有し、
前記検出手段は、前記メンテナンスユニットが前記キャップ昇降機構によって昇降移動して前記プリンタヘッドの前記吐出開口面に当接した高さ位置に基づいて、前記プリンタヘッドの前記所定の高さ位置を検出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記キャップ昇降機構が、駆動モータの回転駆動力によって前記メンテナンスユニットを昇降移動自在に構成され、
前記検出手段は、前記メンテナンスユニットが所定の基準位置から前記吐出開口面との当接位置までに昇降移動する移動距離に応じた前記駆動モータの駆動制御量に基づいて、前記プリンタヘッドの前記所定の高さ位置を検出するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−46944(P2010−46944A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214082(P2008−214082)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】