説明

プリンタ装置

【課題】レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構の双方に対する操作性を低下させることなく小型化を実現すること。
【解決手段】上側に開口部が設けられ略箱形状をなすハウジング101a内における正面側にレシートプリンタ機構710を設けるとともに背面側にジャーナルプリンタ機構720を設け、ジャーナル用紙702と比較してオペレーターが取り扱う頻度が高いレシート用紙701をオペレーターが手に取りやすいようにした。また、ジャーナルプリンタ機構720のカバー101cにジャーナル用紙702への接触を可能とする書き込み用開口部107を設けるとともに書き込み用開口部107を通過するジャーナル用紙702の裏面を支持する書き込み台727を設け、ジャーナル用紙702をハウジング101aから取り出すことなく当該ジャーナル用紙702に記録された情報の確認や修正のための筆記などをおこなうことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レシート記録をおこなうレシートプリンタ機構およびジャーナル記録をおこなうジャーナルプリンタ機構を備えたプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レシートを発行するためのレシートプリンタ機構とジャーナル記録をおこなうためのジャーナルプリンタ機構とを備えたプリンタがあった。このようなプリンタは、単一の筐体内にレシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構という2つのプリンタ機構を備えているため、従来、双方のプリンタ機構に対する操作性を低下させることなく小型化を実現するための各種の技術があった。
【0003】
具体的には、従来、たとえば各々が上部ハウジングを備えたレシートプリンタとジャーナルプリンタを、ジャーナルプリンタがレシートプリンタよりも後方に配置されるように直列に配置した状態で下部ハウジングに搭載したプリンタにおいて、レシートプリンタ用の上部ハウジングおよびジャーナルプリンタ用の上部ハウジングをともに下部ハウジングに対しレシートプリンタと反対側となるジャーナルプリンタの後方を中心に旋回するように取りつけるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
また、具体的には、従来、たとえば少なくとも対向側に配置される第1および第2の面ならびに第1および第2の面を結ぶ第3の面を有する筐体を備え、第1の面の内側にジャーナル用のロール紙ホルダーと巻取りスプールを並んで配置し、これらの後部における第3の面の内側にレシート用のロール紙ホルダーを配置し、ジャーナル用のロール紙ホルダーから引き出され印刷される用紙を第1の面に形成された視認窓で確認でき、レシート用のロール紙ホルダーから引き出され印刷される用紙を第3の面に形成された排出口から排出するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【0005】
また、具体的には、従来、たとえば先端にプラテンや紙送りローラと所定の開口部とを備えた開閉フレームが本体フレームに回転可能な状態で取り付けられ、記録紙を巻き取る巻取り軸が本体フレーム側に設けられた支持部に装着され、巻取り軸と干渉することなく開閉フレームの開閉をおこなうことを可能とするとともに、記録紙搬送路などを開放することにより簡単に記録紙ロールや巻取り軸の交換を可能とした技術があった(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
【0006】
また、具体的には、従来、たとえばプリンタの前方から順番にレシート印刷部、レシート印刷用のロール紙の収納部、ジャーナル印刷部、ジャーナル印刷用のロール紙の収納部およびジャーナル印刷済の用紙を巻き取る巻取リールの収納部を一列に配置したプリンタにおいて、印刷後のジャーナル紙の搬送経路の一部がプリンタの外部から目視可能とするようにした技術があった(たとえば、下記特許文献4を参照。)。
【0007】
特許文献4に記載された技術においては、対向配置されたプラテンローラおよびサーマルヘッド基板によってジャーナル印刷部を構成し、レシート印刷部内に搬送されたレシート印刷用のロール紙およびジャーナル印刷部内に搬送されたジャーナル印刷用のロール紙が取り除かれた場合に、ジャーナル印刷部におけるプラテンローラとサーマルヘッド基板との接触を開放できるように構成されていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3329174号公報
【特許文献2】特許第3334704号公報
【特許文献3】特許第3861884号公報
【特許文献4】特許第4126506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の技術は、いずれも、レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構の双方に対する操作性を低下させることなく、プリンタ装置全体の小型化を実現することが困難であるという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構の双方に対する操作性を低下させることなく小型化を実現することができるプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるプリンタ装置は、上側に開口部が設けられ略箱形状をなすハウジングと、前記ハウジング内における正面側に設けられ、ロール状に巻回された長尺状のレシート用紙を保持する第1の用紙保持部と前記レシート用紙に対する記録をおこなう第1の記録部と当該第1の記録部を通過したレシート用紙を任意の位置でカットするカッタ機構とを備えたレシートプリンタ機構と、前記ハウジング内における背面側に設けられ、ロール状に巻回された長尺状のジャーナル用紙を保持する第2の用紙保持部と前記ジャーナル用紙に対する記録をおこなう第2の記録部と当該第2の記録部を通過したジャーナル用紙を巻き取る巻き取り部とを備えたジャーナルプリンタ機構を有するプリンタ装置において、前記開口部における前記第1の用紙保持部の上方を閉塞することで前記レシート用紙を外部に排出する排出口を前記ハウジングとともに形成する第1の閉塞位置または前記ハウジングに対する前記レシート用紙の着脱を可能とする第1の開放位置に位置付けられる第1のカバーと、前記開口部における前記第2の用紙保持部の上方を閉塞する第2の閉塞位置または前記ハウジングに対する前記ジャーナル用紙の着脱を可能とする第2の開放位置に位置付けられる第2のカバーと、前記第2のカバーに設けられ、当該第2のカバーを前記第2の閉塞位置に位置付けた状態で前記ジャーナル用紙への接触を可能とする書き込み用開口部と、前記第2のカバーの内側に設けられ、前記第2の記録部が前記ジャーナル用紙に対する記録をおこなう第3の閉塞位置と前記ハウジングに対する前記ジャーナル用紙の着脱を可能とする第3の開放位置との間を回動可能に軸支されたジャーナルフレームと、前記ジャーナルフレームに設けられ、前記ジャーナル用紙を巻き取る巻き取り軸を保持する巻き取り軸保持部と、前記ジャーナルフレームに設けられ、前記書き込み用開口部を通過するジャーナル用紙の裏面を支持する書き込み台と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、レシート用紙を排出するレシートプリンタ機構がジャーナルプリンタ機構よりも正面側に設けられているため、ジャーナル用紙と比較してオペレーターが取り扱う頻度が高いレシート用紙をオペレーターが手に取りやすい。
【0013】
また、この発明によれば、第2のカバーに書き込み用開口部が設けられているため、ジャーナル用紙をハウジングから取り出すことなく当該ジャーナル用紙に記録された情報の確認や修正のための筆記などをおこなうことができる。
【0014】
さらに、この発明によれば、第1のカバーおよび第2のカバーが開口部を覆うように設けられているため、レシート用紙およびジャーナル用紙のいずれの交換作業においてもハウジングに対して同一方向から作業をおこなうことができ、プリンタ装置の設置に際して交換作業のために確保しておくべき上方の空間を小さくすることができる。
【0015】
同様に、この発明によれば、用紙(レシート用紙あるいはジャーナル用紙)の交換に際しては、第1のカバーおよび第2のカバーのうち該当するカバーのみを開放することで、交換対象となる用紙(レシート用紙あるいはジャーナル用紙)以外の用紙(ジャーナル用紙あるいはレシート用紙)に不用意に接触することを防止するとともに、交換作業位置を正しく案内し、用紙の交換作業の容易化を図ることができる。
【0016】
このように、この発明にかかるプリンタ装置によれば、レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構をオペレーターに対して手前側から奥側へ並べて配置することによって2つのプリンタ機構を備えたプリンタ装置の幅方向の寸法増大を抑えるとともに、2つのプリンタ機構の双方に対して容易かつ確実にアクセスすることができる。
【0017】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記ハウジングの正面に、前記カッタ機構を覆う第4の閉塞位置または前記カッタ機構を露出させる第4の開放位置に位置付けられる第3のカバーを備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第3のカバーを第4の開放位置に位置付ける、すなわち第3のカバーを開くだけで、カッタ機構にアクセスする(カッタ機構に対する操作をおこなう)ことができる。
【0019】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記第1の記録部が、前記第1のカバーに設けられた第1のプラテンと、前記第1のカバーが前記第1の閉塞位置に位置付けられている状態で前記第1のプラテンに対向する第1の記録ヘッドを備え、前記第2の記録部が、前記ジャーナルフレームに設けられた第2のプラテンと、前記ジャーナルフレームが前記第3の閉塞位置に位置付けられている状態で前記第2のプラテンに対向する第2の記録ヘッドを備えたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、第1のカバーを第1の開放位置に位置付ける、すなわち第1のカバーを開くだけで、第1の記録ヘッドから第1のプラテンを離間させることができる。
【0021】
また、この発明によれば、第2のカバーを第2の開放位置に位置付ける、すなわち第2のカバーを開いた後にジャーナルフレームを開くだけで、第2の記録ヘッドから第2のプラテンを離間させることができる。
【0022】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記カッタ機構が、前記第1のカバーに取り付けられた固定刃と、前記ハウジング側に設けられ前記第1のカバーが前記第1の閉塞位置に位置付けられている状態で前記固定刃と対峙するとともに前記固定刃に対して往復動自在に設けられた可動刃を備えたことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、第1のカバーを第1の開放位置に位置付ける、すなわち第1のカバーを開くだけで、固定刃と可動刃とを分離させることができる。
【0024】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーが、ともに、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーにおける背面側を回転支点として前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記第1のカバーの回転支点は前記第2のカバーよりも前方に位置することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第1のカバーおよび第2のカバーがともに後部を回転支点としてハウジングに回動可能に軸支されるように設けられているため、レシート用紙およびジャーナル用紙のいずれの交換作業においてもハウジングに対して同一方向から作業をおこなうことができ、プリンタ装置の設置に際して交換作業のために確保しておくべき上方の空間を小さくすることができる。
【0026】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記第2のカバーが前記書き込み用開口部を開閉可能に取り付けられた窓部材を備え、前記窓部材は透明な部材で形成されていることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、ジャーナル用紙に書き込みをおこなう際には窓部材を開け、書き込みをおこなう必要がないときは窓部材を閉めた状態とすることができる。
【0028】
また、この発明によれば、窓部材が透明な材料で形成されているので、窓部材を閉めた状態でもジャーナル用紙の状態を視認することができる。
【0029】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーが、それぞれ、前記第1の閉塞位置および前記第2の閉塞位置に位置付けられている状態で、前記ハウジングの設置面からの高さが前記正面側よりも前記背面側の方が高くなるように前記設置面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、レシートプリンタよりも背面側にあるジャーナルプリンタの視認性を確保することができる。
【0031】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記巻き取り軸が、前記設置面からの高さが、前記第1の閉塞位置に位置付けられた状態の前記第1のカバーと同等位置あるいは前記第1のカバーよりも高い位置に設けられていることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、第2のカバーを第2の開放位置に位置付けた状態においては、巻き取り軸に巻き取られたジャーナル用紙が、第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバーよりもハウジングの外側に飛び出した状態となる。
【0033】
また、この発明にかかるプリンタ装置は、上記の発明において、前記第2の用紙保持部が、前記設置面からの高さ方向における前記巻き取り軸よりも低い位置において前記ジャーナル用紙を保持することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、ハウジング内の背面側において、未記録のジャーナル用紙と巻き取られたジャーナル用紙とがハウジングの設置面からの高さ方向に沿って略並列した状態となるため、未記録のジャーナル用紙と記録済みの巻き取られたジャーナル用紙とを保持するためにレシートプリンタ機構よりも大型となるジャーナルプリンタ機構を備えたプリンタ装置の、レシートプリンタ機構とジャーナルプリンタ機構との配列方向における大型化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明にかかるプリンタ装置によれば、レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構の2つのプリンタ機構を備えたプリンタ装置の幅方向の寸法増大を抑えるとともに、2つのプリンタ機構の双方に対して容易かつ確実にアクセスすることができるので、レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構の双方に対する操作性を低下させることなく小型化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その1)である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その2)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その3)である。
【図4】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その4)である。
【図5】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その5)である。
【図6】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その6)である。
【図7】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その7)である。
【図8】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その8)である。
【図9】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その9)である。
【図10】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その10)である。
【図11】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その11)である。
【図12】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その12)である。
【図13】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その13)である。
【図14】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その14)である。
【図15】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その15)である。
【図16】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その16)である。
【図17】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その17)である。
【図18】この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図(その18)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0038】
まず、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置の構成について説明する。図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7および図8は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を示す説明図である。
【0039】
図1においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を斜め上方から見た状態を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を正面から見た状態を示している。図3においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を、当該プリンタ装置の正面に正対した場合に右側となる側(右側方)から見た状態を示している。図4においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を、当該プリンタの正面に正対した場合に左側となる側(左側方)から見た状態を示している。
【0040】
図5においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を上方(図2における紙面上側)から見た状態を示している。図6においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置を下方(図2における紙面下側)から見た状態を示している。図7においては、図2におけるE−E断面を、プリンタ装置100の正面に正対した場合に右側となる側(右側方)から見た状態を示している。図8においては、図7の一部を拡大して示している。
【0041】
図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7および図8において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置100は、略長方体形状をなすケーシング101を備えている。ケーシング101の正面側には、操作部102が設けられている。この実施の形態においては、プリンタ装置100を設置面に設置した状態において、オペレーターに対して手前側を正面側とし、オペレーターに対して奥側を背面(後面)側とする。
【0042】
操作部102は、プリンタ装置100に対する各種の操作を受け付ける操作キー、プリンタ装置100の状態を示すLEDランプなどを備えている。また、ケーシング101の正面には、プリンタ装置100の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ103が設けられている。
【0043】
ケーシング101は、上方を開放する開口部を備え略箱形状をなすハウジング101aと、ハウジング101aにおける開口部を開放可能に閉塞する第1のカバー101bおよび第2のカバー101cと、を備えている。第1のカバー101bは、第2のカバー101cよりもハウジング101aにおける正面側に設けられている。
【0044】
第1のカバー101bは、ハウジング101aに対して回動可能に連結されている。第1のカバー101bは、ハウジング101aに対する連結位置を支点として、開口部における正面側の一部を閉塞する第1の閉塞位置(たとえば図1を参照)と、当該正面側の一部を開放する第1の開放位置(たとえば図9を参照)と、の間でハウジング101aに対して回動可能とされている。
【0045】
第1のカバー101bは、第1のカバー101bの回動支点が第2のカバー101cよりも前方(正面側)に位置する状態でハウジング101aに連結されている。これにより、第1のカバー101bと第2のカバー101cとをそれぞれ独立して開閉することができる。
【0046】
具体的には、たとえば第1のカバー101b(あるいは第2のカバー101c)が開放されている場合には第2のカバー101c(あるいは第1のカバー101b)の開閉ができないなどのように、いずれか一方のカバー(第1のカバー101bあるいは第2のカバー101c)の状態によって他方のカバー(第2のカバー101cあるいは第1のカバー101b)の開閉が制限されることを防止することができ、プリンタ装置100に対するメンテナンスなどの作業に際する高い作業性を確保することができる。
【0047】
また、第1のカバー101bは、第1の閉塞位置に位置付けられている状態において、第3のカバー101dとともに排出口104を形成する。第3のカバー101dは、ハウジング101aに設けられている。排出口104は、ケーシング101内側とケーシング101の外側とを連通し、ケーシング101内に収容されているレシート用紙701をケーシング101の外部に排出する。
【0048】
レシート用紙701は、感熱発色性を備えた記録媒体であって、長尺状をなしている。ハウジング101a内におけるレシート用紙701は、ロール状に巻回された状態で収容されている。レシート用紙701は、第1のカバー101bが第1の開放位置に位置付けられている状態において、ハウジング101aに対して着脱可能とされる。
【0049】
また、第1のカバー101bは、磁性部材105を備えている。磁性部材105は、軟磁性体金属材料からなる板形状をした部材で、第1のカバー101bにおける外側の上面に設けられている。磁性部材105には、マグネットなどを吸着させることができる。このため、たとえば10000円紙幣、5000円紙幣、2000円紙幣および1000円紙幣などの紙幣を磁性部材105に重ね、紙幣が重ねられた状態の磁性部材105にマグネットを吸着させることによって、磁性部材105とマグネットとによって紙幣を固定することができる。これにより、現金決済における金銭授受に際して、顧客から受け取った紙幣を、オペレーターが視認しやすい第1のカバー101bの上面に仮保持することができる。
【0050】
第2のカバー101cは、ハウジング101aに対して回動可能に連結されている。第2のカバー101cは、ハウジング101aに対する連結位置を支点として、開口部における背面側の一部分を閉塞する第2の閉塞位置(たとえば図1を参照)と、当該背面側の一部を開放する第2の開放位置(たとえば図9を参照)と、の間でハウジング101aに対して回動可能とされている。ハウジング101aの開口部は、第1のカバー101bが第1の閉塞位置に位置付けられるとともに第2のカバー101cが第2の閉塞位置に位置付けられている状態において閉塞される。
【0051】
第2のカバー101cは、第2の開放位置に位置付けられている状態において、ハウジング101aに対するジャーナル用紙702の着脱を可能とする。ジャーナル用紙702は、感熱発色性を備えた記録媒体であって、長尺状をなしている。ハウジング101a内におけるジャーナル用紙702は、ロール状に巻回された状態で収容されている。
【0052】
ジャーナル用紙702は、ハウジング101a内において、レシート用紙701よりも背面側に収容されている。また、記録がなされる前のジャーナル用紙702は、鉛直方向において、レシート用紙701よりも下側(プリンタ装置100の設置面側)に保持されている。具体的には、記録がなされる前のジャーナル用紙702は、当該ジャーナル用紙702の下端位置が、レシート用紙701の下端位置よりも下側(プリンタ装置100の設置面側)となるように保持されている。
【0053】
ハウジング101a内には、レシートプリンタ機構710とジャーナルプリンタ機構720とが設けられている。レシートプリンタ機構710は、ハウジング101a内において、ジャーナルプリンタ機構720よりも正面側に設けられている。レシートプリンタ機構710は、第1の用紙保持部711と第1の記録部712とカッタ機構713とを備えている。
【0054】
第1の用紙保持部711は、ロール状に巻回された状態のレシート用紙701を保持する。第1の用紙保持部711は、ロール状に巻回された状態のレシート用紙701を、鉛直方向下側から支える曲面部を備えている。ロール状に巻回された状態のレシート用紙701は、外周側から引き出されながら消費される。レシート用紙701は、消費されるにともない、徐々に外径寸法を小さくしながら、自重によって第1の用紙保持部711が備えた曲面部の下端に収まるように移動する。
【0055】
第1の用紙保持部711は、第1の用紙保持部711におけるレシート用紙701の残量を検出するレシート残量検出機構を備えていてもよい。レシート残量検出機構は、たとえば光電センサを用いて実現することができる。レシート残量検出機構については、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0056】
第1の記録部712は、第1のプラテン(図9における符号901を参照)と第1の記録ヘッド714とを備えている。第1のプラテン901は、第1のカバー101bに設けられている。第1の記録ヘッド714は、ハウジング101a側に設けられており、第1のカバー101bが第1の閉塞位置に位置付けられている状態で第1のプラテン901に対向する。第1の記録部712は、第1の記録ヘッド714と第1のプラテン901とが対向している状態において、第1の記録ヘッド714と第1のプラテン901との間に搬送されたレシート用紙701に対して記録をおこなう。
【0057】
この実施の形態において、第1の記録ヘッド714は、サーマル方式の記録をおこなう。第1の記録ヘッド714は、たとえばレシート用紙701の幅方向にライン状に配列された複数の発熱素子を備え、各発熱素子に対して選択的に通電し、各発熱素子を選択的に発熱させることによって文字、記号、所定のロゴマーク、その他の画像などの記録をおこなう。サーマル方式の記録をおこなう第1の記録ヘッド714および当該第1の記録ヘッド714の制御方法については、公知の各種技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0058】
第1の記録部712は、固形インクを塗布したインクリボンをサーマル方式のプリントヘッドによって加熱することによって昇華させたインクを、レシート用紙701に転写させる熱昇華方式の記録をおこなうものであってもよい。また、第1の記録ヘッド714は、サーマル方式の記録に代えて、他の記録方式によって記録をおこなうものであってもよい。
【0059】
具体的には、第1の記録ヘッド714は、たとえば感圧発色性を備えたレシート用紙701に対して記録をおこなうインパクトドット記録方式により記録をおこなうものとすることができる。この場合、レシート用紙701と第1の記録ヘッド714との間にインクリボンを介在させ、インクリボンの色層をレシート用紙701に転写することによって記録をおこなうものであってもよい。
【0060】
第1のプラテン901は、レシート用紙701の幅方向(図7における紙面表裏方向)を軸心方向とする略円柱形状をなす。第1のプラテン901の軸の一端には、図示を省略するギアが取り付けられている。このギアは、ハウジング101a側に設けられた図示を省略する第1のプラテン901用のモータの駆動力が伝達されることによって回転する。第1のプラテン901は、第1のプラテン901用のモータの駆動力が伝達されるギアの回転にともなって回転する。
【0061】
第1のプラテン901は、第1の用紙保持部711から排出口104に搬送されるレシート用紙701を間にして第1の記録ヘッド714に対向し、レシート用紙701を当該レシート用紙701の裏面(記録面とは反対側の面)側から支持する。また、第1のプラテン901は、軸心回りに回転することによって、記録がなされたレシート用紙701を、第1の用紙保持部711側から排出口104側へ搬送する。
【0062】
カッタ機構713は、位置が固定された固定刃801と、第1の用紙保持部711から排出口104に搬送されるレシート用紙701を間にして固定刃801に対峙する位置に設けられた可動刃802と、を備えている。固定刃801は、第1のカバー101bに設けられている。これにより、固定刃801は、第1のカバー101bが第1の開放位置に位置付けられている状態においては可動刃802から離間する。
【0063】
可動刃802は、第1のカバー101bが第1の閉塞位置に位置付けられている状態において、固定刃801と対峙するとともに、固定刃801に対して往復動自在に設けられている。可動刃802は、往復動する際に、自身の記録媒体搬送方向における上流側の面を、固定刃801の記録媒体搬送方向における下流側の面に擦りつけるようにして摺動する。
【0064】
これにより、可動刃802は、当該可動刃802の移動方向が往動方向から復動方向に変化する際に、レシート用紙701の搬送方向(第1の用紙保持部711から排出口104に向かう方向)において、固定刃801の下流側と重畳する。可動刃802は、往復動する際に、上記のように摺動することによって、固定刃801との間に挿入されたレシート用紙701を、当該固定刃801と共働して切断する。これにより、第1の記録部712において記録がなされたレシート用紙701を、カッタ機構713によって任意の長さでカットすることができる。
【0065】
可動刃802は、可動刃駆動用のモータ803の駆動力が伝達されることによって往復動する。可動刃802および可動刃駆動用のモータ803は、可動刃802を収納する収納部804などとともにユニット化され、可動刃駆動ユニット805を構成している。可動刃駆動ユニット805における収納部804は、たとえば、可動刃802の突出を許容する開口を備え、可動刃802を収納可能な空間を形成する略箱状の部材によって実現することができる。
【0066】
可動刃駆動ユニット805には、可動刃駆動用のノブや軸(いずれも図示を省略する)が設けられている。可動刃駆動用のノブや軸は、オペレーターなどによって外部から操作された場合に回転し、回転方向に応じて可動刃802を往動あるいは復動させる。可動刃駆動用のノブや軸は、たとえば、固定刃801と可動刃802との間においてレシート用紙701が詰まることによって切断動作が停止して以降の記録動作の継続が不可能な状態、いわゆるカッタジャムが発生した場合に操作される。
【0067】
可動刃駆動ユニット805は、ハウジング101a側(ハウジング101aあるいはハウジング101a内に収容された本体フレームなど)に設けられている。また、可動刃駆動ユニット805は、ハウジング101a側に対して、取り外し可能(着脱可能)に設けられている。これにより、可動刃802が摩耗した場合や可動刃駆動用のモータ803などの機構部が劣化した場合は、可動刃駆動ユニット805を交換することによって、可動刃802および可動刃駆動用のモータ803を容易に交換することができる。
【0068】
カッタ機構713は、レシート用紙701を切断した後、固定刃801から離反する方向に可動刃802を移動させ、固定刃801と可動刃802との間に隙間を形成する。これにより、レシートプリンタ機構710における次回の記録が可能な状態とされる。上記の第3のカバー101dは、第1のカバー101bよりもハウジング101aにおける正面側に設けられている。また、第3のカバー101dは、ハウジング101aに対して回動可能に連結されている。
【0069】
第3のカバー101dは、ハウジング101aに対する連結位置を支点として、可動刃駆動ユニット805を覆う第4の閉塞位置と、カッタ機構713を露出させる第4の開放位置との間で回動可能とされている。第3のカバー101dが第4の開放位置に位置付けられた状態においては、可動刃駆動ユニット805がハウジング101aの外部に対して開放される。
【0070】
上述した可動刃駆動用のノブや軸は、第3のカバー101dを第4の開放位置に位置付けた状態において操作が可能となる。可動刃駆動ユニット805は、第3のカバー101dが第4の開放位置に位置付けられた状態において、ハウジング101aに対して脱着することが可能とされる。
【0071】
第3のカバー101dは、ハウジング101aの設置面方向に向かって凹んだ凹部106を備えている。凹部106は、凹部106の深さが正面側ほど深くなる形状とされている(図8を参照)。たとえば可動刃駆動ユニット805の交換作業に際しては、オペレーターの手指を凹部106に引っかけることによって、閉塞位置に位置付けられている第3のカバー101dを容易に開放位置に位置付け、可動刃駆動ユニット805を露出させることができる。
【0072】
また、凹部106は、たとえば500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨などのコイン類を保持する受け皿として機能する。これにより、現金決済における金銭授受に際して、顧客から受け取ったコイン類を、オペレーターが視認しやすい第3のカバー101dの上面に仮保持することができる。
【0073】
また、プリンタ装置100における正面側に設けられている第3のカバー101dに凹部106が設けられているため、凹部106に載置されたコイン類をオペレーターが回収する際には、第3のカバー101dの正面側の縁(端)部分を利用してコイン類を容易に取り扱うことができる。
【0074】
レシートプリンタ機構710においては、第1のカバー101bが第1の閉塞位置に位置付けられた状態において、第1の用紙保持部711から第1の記録部712およびカッタ機構713を経由して排出口104に至るレシート用紙搬送経路が形成される。第1の用紙保持部711に保持されているロール状のレシート用紙701は、外周側から引き出されてレシート用紙搬送経路中を搬送される。
【0075】
ジャーナルプリンタ機構720は、第2の用紙保持部721と第2の記録部722と巻き取り部723とを備えている。また、ジャーナルプリンタ機構720は、ジャーナルフレーム724を備えている。ジャーナルフレーム724は、第2のカバー101cの内側に設けられ、支軸724aを介してハウジング101aに連結されている。
【0076】
ジャーナルフレーム724は、ハウジング101aに対する連結位置を回動中心として、ハウジング101aに対して回動可能に軸支されている。より具体的に、ジャーナルフレーム724は、略コの字形状をなし、両端部がハウジング101aに対して回動可能に軸支されている。
【0077】
ジャーナルフレーム724は、ハウジング101aに対して軸支された位置(支軸724a)を支点として、第2の記録部722がジャーナル用紙702に対する記録をおこなう際に位置付けられる第3の閉塞位置(たとえば図7、図18を参照)と、ハウジング101aに対するジャーナル用紙702の着脱を可能とする第3の開放位置(たとえば図9、図13を参照)と、の間でハウジング101aに対して回動可能とされている。
【0078】
第2の用紙保持部721は、ハウジング101a内における背面側に設けられ、ロール状に巻回された状態のジャーナル用紙702を保持する。第2の用紙保持部721は、ロール状に巻回された状態のジャーナル用紙702を、鉛直方向下側から支える曲面部を備えている。
【0079】
ロール状に巻回された状態のジャーナル用紙702は、外周側から引き出されながら消費される。ジャーナル用紙702は、消費されるにともない、徐々に外径寸法を小さくしながら、自重によって第2の用紙保持部721が備えた曲面部の下端に収まるように移動する。
【0080】
第2の用紙保持部721は、第2の用紙保持部721におけるジャーナル用紙702の残量を検出するジャーナル残量検出機構を備えていてもよい。ジャーナル残量検出機構は、たとえば光電センサを用いて実現することができる。ジャーナル残量検出機構については、上記のレシート残量検出機構と同様に公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0081】
第2の記録部722は、第2のプラテン(図9における符号902を参照)と第2の記録ヘッド725とを備えている。第2のプラテン902は、ジャーナルフレーム724に設けられている。第2の記録ヘッド725は、ハウジング101a側に設けられており、第2のカバー101cが第2の閉塞位置に位置付けられている状態で第2のプラテン902に対向する。より詳細には、第2の記録ヘッド725は、ジャーナルフレーム724が第3の閉塞位置に位置付けられている状態において第2のプラテン902に対向する。
【0082】
第2の記録部722は、第2の記録ヘッド725と第2のプラテン902とが対向している状態において、第2の記録ヘッド725と第2のプラテン902との間に搬送されたジャーナル用紙702に対して記録をおこなう。この実施の形態において、第2の記録ヘッド725は、サーマル方式の記録をおこなう。第2の記録ヘッド725は、第1の記録ヘッド714と同様に、サーマル方式の記録をおこなうものに限らず、その他の方式によって記録をおこなうものであってもよい。
【0083】
第2のプラテン902は、ジャーナル用紙702の幅方向(図7における紙面表裏方向)を軸心方向とする略円柱形状をなす。第2のプラテン902の軸の一端には、図示を省略するギアが取り付けられている。このギアは、ハウジング101a側に設けられた図示を省略する第2のプラテン902用のモータの駆動力が伝達されることによって回転する。第2のプラテン902は、第2のプラテン902用のモータの駆動力が伝達されるギアの回転にともなって回転する。
【0084】
第2のプラテン902は、第2の用紙保持部721から巻き取り部723側に向かって搬送されるジャーナル用紙702を間にして第2の記録ヘッド725に対向し、ジャーナル用紙702を当該ジャーナル用紙702の裏面側から支持する。また、第2のプラテン902は、軸心回りに回転することによって、記録がなされたジャーナル用紙702を、第2の用紙保持部721側から巻き取り部723側へ搬送する。
【0085】
巻き取り部723は、第2の記録部722によって記録がなされたジャーナル用紙702を巻き取る巻き取り軸723aを備えている。巻き取り軸723aは、ジャーナル用紙702の先端部分(長手方向における端部)を把持する、図示を省略する把持機構を備えている。
【0086】
ジャーナル用紙702の先端を巻き取り軸723aによって把持した状態で巻き取り軸723aが回転することにより、記録がなされたジャーナル用紙702を巻き取り軸723aに巻き取ることができる。把持機構については、公知の各種の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0087】
巻き取り軸723aには、図示を省略するギア列が連結されており、第2のプラテン902用のモータの駆動力が伝達されることによって第2のプラテン902とともに当該第2のプラテン902と同一方向に回転する。巻き取り軸723aは、第2のプラテン902用のモータとは別のモータの駆動力が伝達されることによって回転するものであってもよい。
【0088】
巻き取り軸723aは、巻き取り軸723aのハウジング101aの設置面からの高さが、第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bの高さよりも高くなる位置に設けられている。これにより、第1のカバー101bを第1の閉塞位置に位置付けるとともに、第2のカバー101cを第2の開放位置に位置付けた状態においては、巻き取り軸723aに巻き取られたジャーナル用紙702が、第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bよりもハウジング101aの外側に飛び出した状態となる。これにより、巻き取り軸723aに巻き取られたジャーナル用紙702を、プリンタ装置100の正面側から容易に視認することができる。
【0089】
巻き取り軸723aは、ハウジング101aの設置面からの高さが第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bの高さよりも高くなる位置に限るものではなく、ハウジング101aの設置面からの高さが第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bの高さと同等となる位置に設けられているものであってもよい。
【0090】
具体的には、巻き取り軸723aは、第1のカバー101bを第1の閉塞位置に位置付けるとともに第2のカバー101cを第2の開放位置に位置付けた状態において、巻き取り軸723aに巻き取られたジャーナル用紙702が、第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bよりもハウジング101aの外側に飛び出した状態となればよい。
【0091】
上述した第2の用紙保持部721は、ハウジング101aの設置面からの高さ方向における巻き取り軸723aよりも低い位置においてジャーナル用紙702を保持している。これにより、ハウジング101a内の背面側において、未記録のジャーナル用紙702と巻き取られたジャーナル用紙702とがハウジング101aの設置面からの高さ方向に沿って略並列した状態となる。
【0092】
第2のカバー101cには、書き込み用開口部107が設けられている。書き込み用開口部107は、第2のカバー101cを板厚方向に貫通している。書き込み用開口部107は、第2のカバー101cを第2の閉塞位置に位置付けた状態において、ジャーナル用紙702への外部からの接触を可能とする。書き込み用開口部107を設けることにより、具体的には、たとえば第2のカバー101cを開閉することなくジャーナル用紙702への書き込みなどが可能となる。
【0093】
また、第2のカバー101cは、書き込み用開口部107を開放可能に閉塞する窓部材108を備えている。窓部材108は、第2のカバー101cに対して回動可能に軸支されている。窓部材108は、第2のカバー101cに対して回動することによって、書き込み用開口部107を介してのジャーナル用紙702への書き込みを可能とする開放位置、あるいは、書き込み用開口部107を閉塞する閉塞位置に位置付けられる。
【0094】
窓部材108は、光学的に透明な材料を用いて形成された透明な部材とされている。窓部材108が透明な材料で形成されているため、窓部材108を閉塞位置に位置付け、書き込み用開口部107を閉塞した状態においてもジャーナル用紙702の状態(正常に記録され搬送されているか、など)やジャーナル用紙702に記録された情報などを視認することができる。窓部材108は、ジャーナル用紙702の状態やジャーナル用紙702に記録された情報を、オペレーターが視認可能な程度の透明性を備えていればよい。このため、窓部材108は、無色透明であってもよく、着色されていてもよい。
【0095】
ジャーナルプリンタ機構720においては、第2のカバー101cが第2の閉塞位置に位置付けられた状態において、第2の用紙保持部721から第2の記録部722を経由して巻き取り部723に至るジャーナル用紙搬送経路が形成される。第2の用紙保持部721に保持されているロール状のジャーナル用紙702は、外周側から引き出されてジャーナル用紙搬送経路中を搬送される。
【0096】
上記のジャーナルフレーム724には、巻き取り軸保持部726および書き込み台727が設けられている。巻き取り軸保持部726は、上記の巻き取り部723を構成する巻き取り軸723aを保持する。巻き取り軸保持部726は、ジャーナルフレーム724に設けられた板状部材726aと、当該板状部材726aに設けられたフック部726bと、によって実現されている。
【0097】
フック部726bは、板状部材726aの上端部からプリンタ装置100の設置面側に向かって当該板状部材726aの一部を切り欠くことによって形成されている。フック部726bは、巻き取り軸723aの軸心方向における両端部すなわちジャーナル用紙702の幅方向における両側に設けられている。
【0098】
これにより、巻き取り軸723aを安定に保持することができ、ジャーナル用紙702を確実に巻き取ることができる。フック部726bは、巻き取り軸723aの両端部を、鉛直方向下側から支持している。すなわち巻き取り軸723aは、鉛直方向上側からフック部726bに載せられた状態で支持されている。これにより、巻き取り軸723aの着脱を容易におこなうことができる。
【0099】
また、フック部726bは、板状部材726aの一部を略U字形状に切り欠くことによって形成されている。フック部726bがなす円弧(湾曲)部分は、巻き取り軸723aの外周面に沿った曲率で屈曲している。この形状によって、フック部726bは、巻き取り軸723aの両端部を、鉛直方向下側および側方から支持している。これにより、巻き取り軸723aの着脱の容易性を確保しつつ、巻き取り部723における巻き取り軸723aの位置の安定化を図り、巻き取り部723における巻き取り軸723aのがたつきを防止することができる。
【0100】
第2の用紙保持部721は、巻き取り部723すなわち巻き取り軸723aよりも鉛直方向における下方に設けられている。また、第2の記録部722における第2の記録ヘッド725と第2のプラテン902との対向位置は、巻き取り部723すなわち巻き取り軸723aよりも鉛直方向における下方に設けられている。このため、巻き取り軸723aに対しては、当該巻き取り軸723aに巻き付けられるジャーナル用紙702によって加えられる張力によって、巻き取り軸723aを鉛直方向における下方に引っ張る力が作用している。
【0101】
上述したように、フック部726bは巻き取り軸723aの両端部を鉛直方向下側および側方から支持しているため、ジャーナル用紙702によって鉛直方向における下方に引っ張る力によって、フック部726bにおける巻き取り軸723aを鉛直方向における下方に付勢する力が作用する。これによって、フック部726bにおける巻き取り軸723aの位置を安定化することができる。
【0102】
巻き取り軸723aに巻き取られたジャーナル用紙702は、第2のカバー101cが第2の開放位置に位置付けられている状態において、ジャーナルプリンタから取り外すことができる。そして、第2の用紙保持部721に保持されたジャーナル用紙702は、第2のカバー101cが第2の開放位置に位置付けられるとともに、ジャーナルフレーム724が第3の開放位置に位置付けられている状態において、ジャーナルプリンタ機構720から取り外すことができる。
【0103】
また、第2の用紙保持部721に保持されたジャーナル用紙702は、その径によっては、ジャーナルフレーム724が第3の閉塞位置に位置付けられている状態においてもジャーナルプリンタ機構720から取り外すことができる。
【0104】
書き込み台727は、ジャーナルフレーム724が第3の閉塞位置に位置付けられている状態で、ジャーナル用紙702の裏面側を支持する。この実施の形態においては、情報が記録される面をジャーナル用紙702の表面とし、当該表面とは反対側の面を裏面とする。書き込み台727は、少なくとも、ジャーナル用紙702の裏面側に位置付けられる部分に平面部727aを備えている。
【0105】
この平面部727aは、ジャーナルフレーム724が第3の閉塞位置に位置付けられるとともに第2のカバー101cが第2の閉塞位置に位置付けられている状態において、書き込み用開口部107に対向する。平面部727aの面積は、書き込み用開口部107と同等あるいは書き込み用開口部107よりも広い。平面部727aは、第2のカバー101c(書き込み用開口部107)に対して、ジャーナル用紙702の搬送が可能な程度の隙間をあけて対峙している。
【0106】
書き込み台727は、平面部727aによってジャーナル用紙702を支持することによって、オペレーターによるジャーナル用紙702に対する書き込み(筆記)を受け付ける。このとき、平面部727aが第2のカバー101c(書き込み用開口部107)に対して、ジャーナル用紙702の搬送が可能な程度の隙間をあけて対峙しているため、確認や書き込み対象とする箇所の検索に際してジャーナル用紙702を容易に紙送りできるとともに、書き込みに際してジャーナル用紙702が弛んでしまったり、筆記によってジャーナル用紙702が損傷したりすることを防止することができる。
【0107】
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置100における各部の位置関係について説明する。図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17および図18は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置100を示す説明図である。
【0108】
図1〜図8においては第1のカバー101bおよび第2のカバー101cがともに閉塞されていた状態のプリンタ装置100を示していたのに対し、図9、図10および図13においては、第1のカバー101bが第1の開放位置に位置付けられるとともに第2のカバー101cが第2の開放位置に位置付けられ、さらに第3のカバー101dが開放位置に位置付けられている状態のプリンタ装置100を示している。図11、図12、および図14〜図18においては、第1のカバー101bが第1の開放位置に位置付けられるとともに第2のカバー101cが第2の開放位置に位置付けられ、第3のカバー101dが閉塞位置に位置付けられている状態のプリンタ装置100を示している。
【0109】
図9、図10、図11、図12および図13においては、レシート用紙701をレシートプリンタ機構710にセットするとともに、ジャーナル用紙702をジャーナルプリンタ機構720にセットした状態を示している。具体的に、図9においては、プリンタ装置100を斜め上方から見た状態を示している。図10においては、プリンタ装置100を、当該プリンタ装置100の正面に正対した場合に右側となる側(右側方)から見た状態を示している。図11においては、プリンタ装置100を正面から見た状態を示している。図12においては、プリンタ装置100を背面から見た状態を示している。図13においては、図11におけるG−G断面を、プリンタ装置100の正面に正対した場合に右側となる側(右側方)から見た状態を示している。
【0110】
図14、図15、図16、図17および図18においては、ジャーナル用紙702が巻き取り部723に巻き取られた状態を示している。図14においては、プリンタ装置100を斜め上方から見た状態を示している。図15においては、プリンタ装置100を、当該プリンタ装置100の正面に正対した場合に右側となる側(右側方)から見た状態を示している。図16においては、プリンタ装置100を正面から見た状態を示している。図17においては、プリンタ装置100を上方(図16における紙面上側)から見た状態を示している。図18においては、図17におけるH−H断面を、プリンタ装置100の正面に正対した場合に右側となる側(右側方)から見た状態を示している。
【0111】
図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17および図18において、ジャーナルプリンタ機構720における第2の用紙保持部721に保持された状態のジャーナル用紙702は、レシートプリンタ機構710における第1の用紙保持部711に保持された状態のレシート用紙701よりも、プリンタ装置100の設置面に近い位置すなわち低い位置に位置付けられる。図9における符号901は第1のプラテンを示しており、符号902は第2のプラテンを示している。
【0112】
第1の用紙保持部711に対するレシート用紙701のセット方法、および、第2の用紙保持部721に対するジャーナル用紙702のセット方法は、いずれも投げ込み式と称され、記録対象とする媒体(レシート用紙701あるいはジャーナル用紙702)を簡易にセットすることができる。投げ込み式と称されるセット方法においては、記録対象とする媒体(レシート用紙701あるいはジャーナル用紙702)を、該当する保持部に落とし込むことによってセットが完了する。
【0113】
この実施の形態のプリンタ装置100においては、第1のカバー101bは第1の用紙保持部711のみの開閉をおこない、第2のカバー101cは第2の用紙保持部721のみの開閉をおこなう。このため、第1の用紙保持部711および第2の用紙保持部721を、それぞれ独立して開放することができる。
【0114】
すなわち、この実施の形態のプリンタ装置100においては、レシート用紙701あるいはジャーナル用紙702のセット(交換)に際しては、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cのうち該当するカバーのみを操作して、第1の用紙保持部711あるいは第2の用紙保持部721のみを開放することができる。これによって、第1の用紙保持部711と第2の用紙保持部721とが隣り合っている場合にも各用紙をセットする位置を誤らせることなく、投げ込み式による用紙のセット作業の容易性を維持することができる。
【0115】
これにより、特に、オペレーターから見て遠い位置となる、ハウジング101aにおける背面側にジャーナルプリンタ機構720を設けた場合にも、当該ジャーナルプリンタ機構720に対するジャーナル用紙702のセット作業の容易性を維持することができる。
【0116】
レシートプリンタ機構710において、第1の記録ヘッド714と第1のプラテン901との間においてレシート用紙701が詰まる用紙ジャムや、固定刃801と可動刃802との間においてレシート用紙701が詰まるカッタジャムなどが発生する場合がある。このような用紙ジャムやカッタジャムが発生した場合は、以降の記録動作の継続が不可能な状態となる。
【0117】
この実施の形態のプリンタ装置100においては、レシートプリンタ機構710において用紙ジャムが発生した場合に、オペレーターに対して、第1のカバー101bを開放させる。また、この実施の形態のプリンタ装置100においては、カッタジャムが発生した場合に、オペレーターに対して、第3のカバー101dを開放させる。
【0118】
プリンタ装置100においては、レシートプリンタ機構710においてジャムが発生しやすいレシート用紙搬送経路中にセンサを設け、このセンサからの出力信号に基づいて用紙ジャムあるいはカッタジャムの発生を検出し、発生したジャムの位置に応じて該当するカバーを開放させるようにしてもよい。この場合、具体的には、たとえば用紙ジャムおよびカッタジャムに応じて点灯するLEDランプをそれぞれ設け、用紙ジャムおよびカッタジャムが発生した場合には該当するLEDランプを点灯することによって開放させるカバーを案内することができる。
【0119】
なお、プリンタ装置100においては、レシートプリンタ機構710における用紙ジャムの発生時に、開放させるカバーを指定するものに限らない。この場合、たとえばレシートプリンタ機構710において用紙ジャムあるいはカッタジャムが発生すると、用紙ジャムあるいはカッタジャムが発生したことのみを案内するLEDランプを点灯するように構成することができる。
【0120】
第1の記録部712においては、第1のプラテン901が第1のカバー101bに設けられている。このため、第1のカバー101bを第1の開放位置に位置付けるだけで、第1の記録ヘッド714と第1のプラテン901とを離間させることができ、レシートプリンタ機構710において用紙ジャムの原因となるレシート用紙701を取り除くための作業スペースを容易に確保することができる。
【0121】
これによって、レシートプリンタ機構710において用紙ジャムの原因となるレシート用紙701を容易に除去することができる。用紙ジャムの原因となるレシート用紙701を除去した後は、第1のカバー101bを第1の閉塞位置に位置付けるだけで第1の記録ヘッド714と第1のプラテン901とを対向させることができ、レシートの発行にかかる処理に迅速に復帰することができる。
【0122】
カッタ機構713においては、固定刃801が第1のカバー101bに設けられるとともに可動刃802が固定刃801の下流側に重なる構成であるため、可動刃802が収納部804から飛び出した状態でカッタジャムが発生した場合、固定刃801が可動刃802によって押さえつけられた状態となる。このため、カッタジャムが発生した場合は、第3のカバー101dを第4の開放位置に位置付け、可動刃駆動用のノブや軸を回転させることによって、固定刃801から可動刃802を離反させる。
【0123】
固定刃801から可動刃802を離反させることによりカッタジャムの原因となるレシート用紙701を取り除くための隙間を確保することができる。第3のカバー101dを第4の開放位置に位置付け、固定刃801から可動刃802を離反させることによって、カッタジャムの原因となるレシート用紙701を取り除くことができる場合は、当該レシート用紙701を取り除いた後、第3のカバー101dを第4の閉塞位置に位置付けることにより、レシートの発行にかかる処理に復帰することができる。
【0124】
第3のカバー101dを第4の開放位置に位置付け、固定刃801から可動刃802を離反させた状態では、カッタジャムの原因となるレシート用紙701を完全に取り除くことができない場合は、第1のカバー101bを第1の開放位置に位置付け、上記の用紙ジャムと同様にして、カッタジャムの原因となるレシート用紙701を除去する。カッタジャムの原因となるレシート用紙701を除去した後は、第1のカバー101bを第1の閉塞位置に位置付けるとともに、第3のカバー101dを第4の閉塞位置に位置付ける。これによって、レシートの発行にかかる処理に復帰することができる。
【0125】
ジャーナル機構において、第2の記録ヘッド725と第2のプラテン902との間においてジャーナル用紙702が詰まる用紙ジャムが発生した場合は、以降の記録動作の継続が不可能な状態となる。この実施の形態のプリンタ装置100においては、ジャーナル機構において用紙ジャムが発生した場合に、オペレーターに対して、第2のカバー101cを開放させる。
【0126】
つぎに、ジャーナルフレーム724を第3の開放位置に位置付ける。これにより、第2の記録ヘッド725から第2のプラテン902を離間させることができ、ジャーナルプリンタ機構720において用紙ジャムの原因となるジャーナル用紙702を取り除くための作業スペースを容易に確保することができる。
【0127】
これによって、ジャーナルプリンタ機構720において用紙ジャムの原因となるジャーナル用紙702を容易に除去することができる。用紙ジャムの原因となるジャーナル用紙702を除去した後は、ジャーナルフレーム724を第3の閉塞位置に位置付けるとともに、第2のカバー101cを第2の閉塞位置に位置付ける。これにより、第2の記録ヘッド725と第2のプラテン902とを対向させることができ、ジャーナルの記録にかかる処理に迅速に復帰することができる。
【0128】
以上説明したように、この実施の形態のプリンタ装置100は、上側に開口部が設けられ略箱形状をなすハウジング101aと、ハウジング101a内における正面側に設けられ、ロール状に巻回された長尺状のレシート用紙701を保持する第1の用紙保持部711とレシート用紙701に対する記録をおこなう第1の記録部712と当該第1の記録部712を通過したレシート用紙701を任意の位置でカットするカッタ機構713とを備えたレシートプリンタ機構710と、ハウジング101a内における背面側に設けられ、ロール状に巻回された長尺状のジャーナル用紙702を保持する第2の用紙保持部721とジャーナル用紙702に対する記録をおこなう第2の記録部722と当該第2の記録部722を通過したジャーナル用紙702を巻き取る巻き取り部723とを備えたジャーナルプリンタ機構720を有している。
【0129】
そして、この実施の形態のプリンタ装置100は、上記のプリンタ装置100において、開口部における第1の用紙保持部711の上方を閉塞することでレシート用紙701を外部に排出する排出口104をハウジング101aとともに形成する第1の閉塞位置またはハウジング101aに対するレシート用紙701の着脱を可能とする第1の開放位置に位置付けられる第1のカバー101bと、開口部における第2の用紙保持部721の上方を閉塞する第2の閉塞位置またはハウジング101aに対するジャーナル用紙702の着脱を可能とする第2の開放位置に位置付けられる第2のカバー101cと、第2のカバー101cに設けられ、当該第2のカバー101cを第2の閉塞位置に位置付けた状態でジャーナル用紙702への接触を可能とする書き込み用開口部107と、第2のカバー101cの内側に設けられ、第2の記録部722がジャーナル用紙702に対する記録をおこなう第3の閉塞位置とハウジング101aに対するジャーナル用紙702の着脱を可能とする第3の開放位置との間を回動可能に軸支されたジャーナルフレーム724と、ジャーナルフレーム724に設けられ、ジャーナル用紙702を巻き取る巻き取り軸723aを保持する巻き取り軸保持部726と書き込み用開口部107を通過するジャーナル用紙702の裏面を支持する書き込み台727と、を備えたことを特徴としている。
【0130】
この実施の形態のプリンタ装置100によれば、レシート用紙701を排出するレシートプリンタ機構710がジャーナルプリンタ機構720よりも正面側に設けられているため、ジャーナル用紙702と比較してオペレーターが取り扱う頻度が高いレシート用紙701をオペレーターが手に取りやすい。これにより、発行されたレシートを顧客に手渡すなどの、レシート発行後の作業がおこないやすく、レシートの発行にかかわる作業性の向上を図ることができる。
【0131】
また、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第2のカバー101cに書き込み用開口部107が設けられているため、ジャーナル用紙702をハウジング101aから取り出すことなく当該ジャーナル用紙702に記録された情報の確認や修正のための筆記などをおこなうことができる。これにより、ジャーナル用紙702をハウジング101aから取り出すことなく、ジャーナル用紙702の状態や当該ジャーナル用紙702における記録内容の確認などを容易におこなうことができる。
【0132】
さらに、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cが開口部を覆うように設けられているため、レシート用紙701およびジャーナル用紙702のいずれの交換作業においてもハウジング101aに対して同一方向から作業をおこなうことができ、プリンタ装置100の設置に際して交換作業のために確保しておくべき上方の空間を小さくすることができる。
【0133】
同様に、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、用紙(レシート用紙701あるいはジャーナル用紙702)の交換に際しては、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cのうち該当するカバーのみを開放することで、交換対象となる用紙(レシート用紙701あるいはジャーナル用紙702)以外の用紙(ジャーナル用紙702あるいはレシート用紙701)に不用意に接触することを防止するとともに、交換作業位置を正しく案内し、用紙の交換作業の容易化を図ることができる。
【0134】
このように、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、レシートプリンタ機構710およびジャーナルプリンタ機構720をオペレーターに対して手前側から奥側へ並べて配置することによって2つのプリンタ機構を備えたプリンタ装置100の幅方向の寸法増大を抑えるとともに、2つのプリンタ機構の双方に対して容易かつ確実にアクセスすることができる。これによって、レシートプリンタ機構710およびジャーナルプリンタ機構720の双方に対する操作性を低下させることなく小型化を実現することができる。
【0135】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、ハウジング101aの正面に、カッタ機構713を覆う第4の閉塞位置またはカッタ機構713を露出させる第4の開放位置に位置付けられる第3のカバー101dを備えたことを特徴としている。この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第3のカバー101dを第4の開放位置に位置付ける、すなわち第3のカバー101dを開くだけで、カッタ機構713にアクセスすることができる。これによって、固定刃801と可動刃802との間にレシート用紙701が詰まることによるカッタジャムが発生した場合に、当該カッタジャムを容易に解除することができる。
【0136】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、第1の記録部712が、第1のカバー101bに設けられた第1のプラテン901と、第1のカバー101bが第1の閉塞位置に位置付けられている状態で第1のプラテン901に対向する第1の記録ヘッド714を備え、第2の記録部722が、ジャーナルフレーム724に設けられた第2のプラテン902と、ジャーナルフレーム724が第3の閉塞位置に位置付けられている状態で第2のプラテン902に対向する第2の記録ヘッド725を備えたことを特徴としている。
【0137】
この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第1のカバー101bを第1の開放位置に位置付ける、すなわち第1のカバー101bを開くだけで、第1の記録ヘッド714から第1のプラテン901を離間させることができる。これによって、たとえば第1の記録ヘッド714と第1のプラテン901との間にレシート用紙701が詰まることによる用紙ジャムが発生した場合に、当該用紙ジャムを容易に解除することができる。
【0138】
また、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第2のカバー101cを第2の開放位置に位置付ける、すなわち第2のカバー101cを開けた後にジャーナルフレーム724を開くだけで、第2の記録ヘッド725から第2のプラテン902を離間させることができる。これによって、たとえば第2の記録ヘッド725と第2のプラテン902との間にジャーナル用紙702が詰まることによる用紙ジャムが発生した場合に、当該用紙ジャムを容易に解除することができる。
【0139】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、カッタ機構713が、第1のカバー101bに取り付けられた固定刃801と、ハウジング101a側に設けられ第1のカバー101bが第1の閉塞位置に位置付けられている状態で固定刃801と対峙するとともに固定刃801に対して往復動自在に設けられた可動刃802を備えたことを特徴としている。
【0140】
この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第1のカバー101bを第1の開放位置に位置付ける、すなわち第1のカバー101bを開くだけで、固定刃801と可動刃802とを分離させることができる。これによって、固定刃801と可動刃802との間にレシート用紙701が詰まることによるカッタジャムが発生した場合に、当該カッタジャムを容易に解除することができる。
【0141】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cが、ともに、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cにおける背面側を回転支点としてハウジング101aに回動可能に軸支され、第1のカバー101bの回転支点は第2のカバー101cよりも前方に位置することを特徴としている。
【0142】
この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cがともに後部を回転支点としてハウジング101aに回動可能に軸支されるように設けられているため、レシート用紙701およびジャーナル用紙702のいずれの交換作業においてもハウジング101aに対して同一方向から作業をおこなうことができる。これにより、作業内容に応じてプリンタ装置100に対するアクセス位置を変える必要がなく、常に同じ位置で作業をおこなうことができるので、プリンタ装置100に対する作業性の向上を図ることができる。
【0143】
また、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、レシート用紙701およびジャーナル用紙702のいずれの交換作業においてもハウジング101aに対して同一方向から作業をおこなうことができるので、プリンタ装置100の設置に際して交換作業のために確保しておくべき上方の空間を小さくすることができる。これにより、プリンタ装置100の周辺の空間を有効に活用することができる。
【0144】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、第2のカバー101cが、書き込み用開口部107を開閉可能に取り付けられた窓部材108を備え、当該窓部材108は透明な部材で形成されたことを特徴としている。この実施の形態のプリンタ装置100によれば、ジャーナル用紙702に書き込みを行う際には窓部材108を開け、書き込みを行う必要がないときは窓部材108を閉めた状態とすることができる。これによって、ジャーナルプリンタ機構720に外部から埃、異物が進入することを防止できる。
【0145】
また、この実施の形態のプリンタ装置100によれば、窓部材108が透明な材料で形成されているので、窓部材108を閉めた状態でもジャーナル用紙702の状態を視認することができる。これによって、ジャーナル用紙702の状態や記録内容の確認作業ごとに、いちいち窓部材108を開閉することなく、ジャーナル用紙702の状態や記録内容を容易かつ迅速に確認することができる。
【0146】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、第1のカバー101bおよび第2のカバー101cが、それぞれ、第1の閉塞位置および第2の閉塞位置に位置付けられている状態で、ハウジング101aの設置面からの高さが正面側よりも背面側の方が高くなるように設置面に対して傾斜していることを特徴としている。
【0147】
この実施の形態のプリンタ装置100によれば、レシートプリンタよりも背面側にあるジャーナルプリンタの視認性を確保することができる。これによって、ジャーナルプリンタをレシートプリンタよりも背面側に配置することによって、ジャーナルプリンタに対する作業や操作に際しての作業性や操作性が低下することを抑制することができる。
【0148】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、巻き取り軸723aが、設置面からの高さが、第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bと同等位置あるいは第1のカバー101bよりも高い位置に設けられていることを特徴としている。この実施の形態のプリンタ装置100によれば、第2のカバー101cを第2の開放位置に位置付けた状態においては、巻き取り軸723aに巻き取られたジャーナル用紙702が、第1の閉塞位置に位置付けられた状態の第1のカバー101bよりもハウジング101aの外側に飛び出した状態となる。これによって、巻き取ったジャーナル用紙702の回収作業の容易化を図ることができる。
【0149】
また、この実施の形態のプリンタ装置100は、第2の用紙保持部721が、設置面からの高さ方向における巻き取り軸723aよりも低い位置においてジャーナル用紙702を保持することを特徴としている。この実施の形態のプリンタ装置100によれば、ハウジング101a内の背面側において、未記録のジャーナル用紙702と巻き取られたジャーナル用紙702とがハウジング101aの設置面からの高さ方向に沿って略並列した状態となるため、未記録のジャーナル用紙702と記録済みの巻き取られたジャーナル用紙702とを保持するためにレシートプリンタ機構710よりも大型となるジャーナルプリンタ機構720を備えたプリンタ装置100の、レシートプリンタ機構710とジャーナルプリンタ機構720との配列方向における大型化を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上のように、この発明にかかるプリンタ装置は、レシート記録をおこなうレシートプリンタ機構およびジャーナル記録をおこなうジャーナルプリンタ機構を備えたプリンタ装置に有用であり、特に、レシートプリンタ機構およびジャーナルプリンタ機構の双方に対する高い操作性および小型化が要求されるプリンタ装置に適している。
【符号の説明】
【0151】
100 プリンタ装置
101a ハウジング
101b 第1のカバー
101c 第2のカバー
101d 第3のカバー
104 排出口
701 レシート用紙
702 ジャーナル用紙
710 レシートプリンタ機構
711 第1の用紙保持部
712 第1の記録部
713 カッタ機構
714 第1の記録ヘッド
720 ジャーナルプリンタ機構
721 第2の用紙保持部
722 第2の記録部
723 巻き取り部
724 ジャーナルフレーム
801 固定刃
802 可動刃
901 第1のプラテン
902 第2のプラテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に開口部が設けられ略箱形状をなすハウジングと、
前記ハウジング内における正面側に設けられ、ロール状に巻回された長尺状のレシート用紙を保持する第1の用紙保持部と前記レシート用紙に対する記録をおこなう第1の記録部と当該第1の記録部を通過したレシート用紙を任意の位置でカットするカッタ機構とを備えたレシートプリンタ機構と、
前記ハウジング内における背面側に設けられ、ロール状に巻回された長尺状のジャーナル用紙を保持する第2の用紙保持部と前記ジャーナル用紙に対する記録をおこなう第2の記録部と当該第2の記録部を通過したジャーナル用紙を巻き取る巻き取り部とを備えたジャーナルプリンタ機構を有するプリンタ装置において、
前記開口部における前記第1の用紙保持部の上方を閉塞することで前記レシート用紙を外部に排出する排出口を前記ハウジングとともに形成する第1の閉塞位置または前記ハウジングに対する前記レシート用紙の着脱を可能とする第1の開放位置に位置付けられる第1のカバーと、
前記開口部における前記第2の用紙保持部の上方を閉塞する第2の閉塞位置または前記ハウジングに対する前記ジャーナル用紙の着脱を可能とする第2の開放位置に位置付けられる第2のカバーと、
前記第2のカバーに設けられ、当該第2のカバーを前記第2の閉塞位置に位置付けた状態で前記ジャーナル用紙への接触を可能とする書き込み用開口部と、
前記第2のカバーの内側に設けられ、前記第2の記録部が前記ジャーナル用紙に対する記録をおこなう第3の閉塞位置と前記ハウジングに対する前記ジャーナル用紙の着脱を可能とする第3の開放位置との間を回動可能に軸支されたジャーナルフレームと、
前記ジャーナルフレームに設けられ、前記ジャーナル用紙を巻き取る巻き取り軸を保持する巻き取り軸保持部と、
前記ジャーナルフレームに設けられ、前記書き込み用開口部を通過するジャーナル用紙の裏面を支持する書き込み台と、
を備えたことを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの正面に、前記カッタ機構を覆う第4の閉塞位置または前記カッタ機構を露出させる第4の開放位置に位置付けられる第3のカバーを備えたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記第1の記録部は、前記第1のカバーに設けられた第1のプラテンと、前記第1のカバーが前記第1の閉塞位置に位置付けられている状態で前記第1のプラテンに対向する第1の記録ヘッドを備え、
前記第2の記録部は、前記ジャーナルフレームに設けられた第2のプラテンと、前記ジャーナルフレームが前記第3の閉塞位置に位置付けられている状態で前記第2のプラテンに対向する第2の記録ヘッドを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記カッタ機構は、前記第1のカバーに取り付けられた固定刃と、前記ハウジング側に設けられ前記第1のカバーが前記第1の閉塞位置に位置付けられている状態で前記固定刃と対峙するとともに前記固定刃に対して往復動自在に設けられた可動刃を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプリンタ装置。
【請求項5】
前記第1のカバーおよび前記第2のカバーは、ともに、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーにおける背面側を回転支点として前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記第1のカバーの回転支点は前記第2のカバーよりも前方に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のプリンタ装置。
【請求項6】
前記第2のカバーは、前記書き込み用開口部を開閉可能に取り付けられた窓部材を備え、前記窓部材は透明な部材で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のプリンタ装置。
【請求項7】
前記第1のカバーおよび前記第2のカバーは、それぞれ、前記第1の閉塞位置および前記第2の閉塞位置に位置付けられている状態で、前記ハウジングの設置面からの高さが前記正面側よりも前記背面側の方が高くなるように前記設置面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のプリンタ装置。
【請求項8】
前記巻き取り軸は、前記設置面からの高さが、前記第1の閉塞位置に位置付けられた状態の前記第1のカバーと同等位置あるいは前記第1のカバーよりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のプリンタ装置。
【請求項9】
前記第2の用紙保持部は、前記設置面からの高さ方向における前記巻き取り軸よりも低い位置において前記ジャーナル用紙を保持することを特徴とする請求項8に記載のプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−93115(P2011−93115A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246685(P2009−246685)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】