説明

プリンタ複合機

【課題】画像を読取るスキャナ機能を有するプリンタ複合機において、ADF用モータとフラットベッド用モータを共用化できると共に小型化を実現できる。
【解決手段】プリンタ複合機1は、画像読取センサ6と、ADFローラ7と、フラットベッド9と、画像読取センサ6を搭載して走行可能なセンサ走行体10とを備える。センサ走行体10は、画像読取センサ6を搭載して走行する走行プレート21と、モータ22とを有する。センサ走行体10は、モータ22の駆動力により、フラットベッド9に載置された原稿用紙の画像を読取るための走行(矢印A方向への走行)と、ADFローラ7により給送される原稿用紙の画像を読取るためのADF読取位置への移動(矢印B方向への旋回)が可能である。ADFローラ7は、センサ走行体10がADF読取位置にあるときに、モータ22の駆動力が伝達されて回転し、原稿用紙を給送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に画像を記録するプリンタ機能に加え、用紙に記録されている画像を読取るスキャナ機能を有するプリンタ複合機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント機能に加えスキャナ機能を有するプリンタ複合機において、画像読取センサに対してADF(Auto document feeder)により原稿用紙(画像が記録されている用紙をいう)を移動させて、原稿用紙の画像を読取るADFスキャン機能と、フラットベッドに載置された原稿用紙に対して画像読取センサを移動させて、原稿用紙の画像を読取るフラットベッドスキャン機能の両方の機能を有するものがある。このようなプリンタ複合機では、記録用紙(画像を記録するための用紙をいう)に画像を記録する記録ヘッドを駆動するためのキャリア用モータ、記録用紙を記録ヘッドに給送するAF(Auto Feeder)を駆動するためのAF用モータ、ADFスキャン時にADFを駆動するためのADF用モータ、及びフラットベッドスキャン時に画像読取センサを移動させるためのフラットベッド用モータの合計4つのモータが搭載されている。
【0003】
また、ラインセンサを搭載したキャリッジを原稿載置板の下方において自走させるようにしたイメージスキャナが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、原稿を給送するための駆動機構と画像読取ユニットを移動させるための駆動機構を別々の電磁クラッチを介して共用駆動モータに接続し、電磁クラッチのオン、オフを切換えることにより、1つの共用駆動モータで原稿の給送と画像読取ユニットの移動を行うようにした画像読取装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−331510号公報
【特許文献2】特開平5−307293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のプリンタ複合機においては、プリント機能、ADFスキャン機能、及びフラットベッドスキャン機能を実現するために、キャリア用モータ、AF用モータ、ADF用モータ、及びフラットベッド用モータの合計4つのモータを搭載しており、このため、高価になっていた。そこで、モータを共用することが考えられるが、プリンタ複合機の全体が大型化することなく、すなわちプリンタ複合機の小型化を図りつつ、モータを共用することが要望されている。なお、上述した特許文献1及び特許文献2に開示の内容を適用したとしても、上記の課題を解決することはできない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ADF用モータとフラットベッド用モータを共用化できると共に小型化を実現できるプリンタ複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、記録用紙に画像を記録する記録ヘッドと、記録用紙を記録ヘッドに給送するAF(Auto Feeder)と、AFにより給送される記録用紙が装填されるAF用ペーパレストと、原稿用紙の画像を読取る画像読取センサと、原稿用紙を画像読取センサ上を通過するように給送するADF(Auto document feeder)と、ADFにより給送される原稿用紙が装填されるADF用ペーパレストと、原稿用紙が載置されるフラットベッドと、画像読取センサが搭載されフラットベッドに沿って走行可能なセンサ走行体とを備え、記録用紙に画像を記録するプリンタ機能に加え原稿用紙の画像を読取るスキャナ機能を有するプリンタ複合機において、センサ走行体は、フラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るときは、原稿用紙の長手方向にスキャン(フラットベッドスキャンという)して画像読取センサにより原稿画像を読取り、ADFは、該ADFによる原稿用紙の給送方向がセンサ走行体のフラットベッドスキャン方向とは直交する方向となるように設置されており、センサ走行体は、ADFにより給送される原稿用紙の画像を読取るときは、フラットベッドスキャン時とは直交する位置姿勢に移動するものであり、センサ走行体は、画像読取センサを搭載して走行する走行プレートと、該走行プレートが自走するための駆動力を発生するモータと、モータの駆動力により回転する作動ギアと、モータ及び作動ギアを保持して走行プレートに対して移動自在に支持されるブラケットと、ブラケットを初期位置に保持する走行プレートとブラケットとの間に介在されるスプリングと、ブラケットを初期位置からスプリングの弾性力に抗して移動させるソレノイドと、ソレノイドによりブラケットが初期位置から移動されたときに走行プレートから鉛直方向に進出される軸部材とを有し、ブラケットが初期位置にあるときに、作動ギアが噛合し、該作動ギアがモータにより駆動されることにより、フラットベッドスキャン走行させる走行用ラックギアと、ブラケットがソレノイドにより移動されることにより、軸部材が走行プレートから進出したときに、軸部材が挿入されて軸受する軸受部と、軸部材が軸受部に挿入された状態で、作動ギアが噛合し、該作動ギアがモータにより駆動されることにより、センサ走行体を軸受部を中心として水平面内で略90°回転させてADFにより給送される原稿用紙の画像読取位置に移動させる移動用ラックギアと、センサ走行体が水平面内で略90°回転された位置にあるときに、作動ギアが噛合し、該作動ギアがモータにより駆動されることにより回転して、その回転をADFに伝達するADF用ギアとを備え、ADFは、ADF用ギアに噛合されて、該ADF用ギアの回転により回転して原稿用紙を給送する給紙ローラを有して成り、1つのモータにより、画像読取センサの走行及びADFによる原稿用紙の給送を行うようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明は、記録用紙に画像を記録する記録ヘッドと、記録用紙を記録ヘッドに給送するAF(Auto Feeder)と、AFにより給送される記録用紙が装填されるAF用ペーパレストと、原稿用紙の画像を読取る画像読取センサと、原稿用紙を画像読取センサ上を通過するように給送するADF(Auto document feeder)と、ADFにより給送される原稿用紙が装填されるADF用ペーパレストと、原稿用紙が載置されるフラットベッドと、画像読取センサが搭載されフラットベッドに沿って走行可能なセンサ走行体とを備え、記録用紙に画像を記録するプリンタ機能に加え原稿用紙の画像を読取るスキャナ機能を有するプリンタ複合機において、センサ走行体は、画像読取センサを搭載して走行する走行プレートと、該走行プレートが自走するための駆動力を発生するモータとを有し、モータの駆動力により、フラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るための走行及びADFを駆動するためのADF駆動位置への移動が可能であり、ADFは、ADF駆動位置へ走行体が移動されたときに、モータの駆動力が伝達されて原稿用紙を給送する給紙ローラを有して成り、1つのモータにより、画像読取センサの走行及びADFによる原稿用紙の給送を行うようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のプリンタ複合機において、センサ走行体は、フラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るときは、原稿用紙の長手方向にスキャン(フラットベッドスキャンという)して画像読取センサにより原稿画像を読取り、ADFは、該ADFによる原稿用紙の給送方向がセンサ走行体のフラットベッドスキャン方向とは直交する方向となるように設置されており、センサ走行体は、ADFにより給送される原稿用紙の画像を読取るときは、フラットベッドスキャン時とは直交する位置姿勢に移動するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、ADFを駆動するためのADF用モータを画像読取センサを走行させるためのフラットベッド用モータと共用でき、また、ADF用のモータドライバも抹消できる。これにより、低コストで従来と同様の機能を実現できる。しかも、センサ走行体をADFにより給送される原稿用紙の画像読取位置へ移動させる構成を採用することにより、ADFやADF用ペーパレストの配置を従来と同様にでき、機器が大型化することなく、従来と同様のデザインのプリンタ複合機を実現できる。また、ADFによる原稿用紙の給送方向がフラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るときのセンサ走行体の走行方向と直交するため、機器が横長な形状になることを抑えて、コンパクトな大きさのプリンタ複合機を実現できる。
【0010】
請求項2の発明によれば、ADFを駆動するためのADF用モータを画像読取センサを走行させるためのフラットベッド用モータと共用でき、また、ADF用のモータドライバも抹消できる。これにより、低コストで従来と同様の機能を実現できる。しかも、センサ走行体をADFを駆動するためのADF駆動位置へ移動させる構成を採用することにより、ADFやADF用ペーパレストの配置を従来と同様にでき、機器が大型化することなく、従来と同様のデザインのプリンタ複合機を実現できる。
【0011】
請求項3の発明によれば、ADFによる原稿用紙の給送方向がフラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るときのセンサ走行体の走行方向と直交するため、機器が横長な形状になることを抑えて、コンパクトな大きさのプリンタ複合機を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態によるプリンタについて図面を参照して説明する。図1、図2(a)(b)、図3(a)(b)は、プリンタ複合機の構成を示す。プリンタ複合機1は、記録用紙(画像を記録するための用紙をいう)2aに画像を記録するプリンタ機能に加え、原稿用紙(画像が記録されている用紙をいう)2bの画像を読取るスキャナ機能を有するものである。
【0013】
プリンタ複合機1は、記録用紙2aに画像を記録する記録ヘッド3と、記録用紙2aを給送するAF(Auto Feeder)を構成するAFローラ4と、記録用紙2aが装填されるAF用ペーパレスト5と、原稿用紙2bの画像を読取る画像読取センサ6と、原稿用紙2bを給送するADF(Auto document feeder)を構成するADFローラ7と、原稿用紙2bが装填されるADF用ペーパレスト8と、原稿用紙2bが載置されるフラットベッド9と、画像読取センサ6が搭載されフラットベッド9に沿って走行可能なセンサ走行体10と、フラットベッド9を覆うための回動自在なベッドカバー11と、上記各部を支持するベース12とを備える。なお、図2(b)、図3(b)では、ベッドカバー11の図示を省略している。
【0014】
記録用紙2aは、例えばA4サイズのものが用いられ、1枚又は複数枚のものが重ねて、記録用紙2aの長手方向の下端側がベース12のAF用給紙口13に挿入されて、AF用ペーパレスト5に装填される。AFローラ4は、AF用モータ(不図示)により回転され、AF用ペーパレスト5に装填された記録用紙2aを、記録ヘッド3の下方を通してベース12の排紙口14へと給送する。記録用紙2aは、記録用紙2aの長手方向に給送される。記録ヘッド3は、キャリア用モータ(不図示)により記録用紙2aの給送方向と直交する方向に往復動され、AFローラ4により給送される記録用紙2aに画像を記録する。
【0015】
プリンタ複合機1は、原稿用紙2bの画像を読取るスキャナ機能として、フラットベッド9に載置された原稿用紙2bに対して画像読取センサ6を移動させて画像を読取るフラットベッドスキャン機能と、画像読取センサ6に対してADFローラ7により原稿用紙2bを給送して画像を読取るADFスキャン機能とを有している。
【0016】
原稿用紙2bは、例えばA4サイズのものが用いられる。フラットベッドスキャンを行う場合は、1枚の原稿用紙2bがフラットベッド9に載置される。フラットベッド9に載置される原稿用紙2bは、原稿用紙2bの長手方向がAF用ペーパレスト5に装填される記録用紙2aの長手方向と直交する方向(図中矢印A方向)とされる。ADFスキャンを行う場合は、1枚又は複数枚の原稿用紙2bが重ねて、その下端側がベース12のADF用給紙口15に挿入されて、ADF用ペーパレスト8に装填される。ADF用ペーパレスト8に装填される原稿用紙2bは、原稿用紙2bの長手方向がAF用ペーパレスト5に装填される記録用紙2aの長手方向と同じ方向(図中矢印A方向と直交する方向)とされる。フラットベッド9は、透明なガラス板等から成っている。ADF用ペーパレスト8は、AF用ペーパレスト5の上方に配置されている。
【0017】
センサ走行体10は、画像読取センサ6を搭載しており、フラットベッドスキャンを行う場合は、図2(a)(b)に示すように、フラットベッド9に載置される原稿用紙2bの長手方向(図中矢印A方向)に走行する。画像読取センサ6は、CCD等のCIS(Contact Image sensor)が1列に多数配列されたリニアセンサから成り、CISの配列方向はセンサ走行体10の走行方向と直交しており、CISの配列長さ(画像読取幅)は原稿用紙2bの短辺長さと略同じである。
【0018】
また、センサ走行体10は、ADFスキャンを行う場合は、図3(a)(b)に示すように、図中矢印B方向に略90°旋回して、ADFローラ7により給送される原稿用紙2bの画像を読取るためのADF読取位置に移動するようになっている。ADF読取位置は、ADFローラ7を駆動するためのADF駆動位置でもある。センサ走行体10は、ADF読取位置では、フラットベッドスキャン時とは直交する位置姿勢をとる。センサ走行体10は、モータ22を有しており、モータ22の駆動力により、上記走行及び旋回を行うようになっている。センサ走行体10の詳細については後述する。
【0019】
ADFローラ7は、ADFローラ7による原稿用紙2bの給送方向がセンサ走行体10のフラットベッドスキャン時の走行方向(図中矢印A方向)とは直交する方向、すなわちAFローラ4による記録用紙2の給送方向と同じ方向となるように設置されている。原稿用紙2bは、原稿用紙2bの長手方向に給送される。ADFローラ7は、センサ走行体10がADF読取位置にあるときに、センサ走行体10のモータ22の駆動力により回転されるようになっており、ADF用ペーパレスト8に装填された原稿用紙2bを、画像読取センサ6の上方を通してベース12の排紙口14へと給送する。
【0020】
画像読取センサ6は、上述のようにセンサ走行体10に搭載されており、フラットベッドスキャンを行う場合は、センサ走行体10がペーパレスト9に載置された原稿用紙2bの長手方向に走行することにより、原稿用紙2bの長手方向に移動しながら原稿用紙2の画像を読取り、ADFスキャン時は、センサ走行体10がADF読取位置に移動してフラットベッドスキャン時とは直交する位置姿勢をとることにより、ADFローラ7により長手方向に給送される原稿用紙2bの画像を読取る。
【0021】
図4(a)(b)は、上記センサ走行体10の構成を示す。センサ走行体10は、画像読取センサ6を搭載して走行する走行プレート21と、モータ22と、第1〜第3の作動ギア23a〜23cと、モータ22及び第1〜第3の作動ギア23a〜23cを保持するブラケット24とを備える。また、センサ走行体10は、ブラケット24を走行プレート21に対して初期位置に保持するスプリング25と、ブラケット24を走行プレート21に対して移動させる移動手段を構成するソレノイド26と、走行プレート21の旋回動作時の支軸となる軸部材27と、走行プレート21の旋回位置を検出するための光センサ28とを備える。
【0022】
モータ22は、走行プレート21が自走するための、及び上記ADFローラ7を回転させるための駆動力を発生する。第1の作動ギア23aは、モータ22の軸部に噛合されており、第2の作動ギア23bは、第1の作動ギア23aに噛合されている。第3の作動ギア23cは、上段ギア部及び下段ギア部を有する2段ギアになっており、上段ギア部が、第2の作動ギア23bに噛合されている。第1〜第3の作動ギア23a〜23cは、モータ22が回転することにより、その回転が順次伝達されて、各々回転する。
【0023】
ブラケット24は、走行プレート21に対して移動自在に支持されている。ブラケット24に保持されているモータ22及び作動ギア23a〜23cは、ブラケット24が移動すると、ブラケット24と一緒に移動する。また、ブラケット24は、軸部材27を動作させるための棒状部材24aを有している。
【0024】
スプリング25は、走行プレート21とブラケット24との間に介在されており、一端側が走行プレート21の係止部21aに連結され、他端側がブラケット24の側壁に連結されている。スプリング25は、ブラケット24を係止部21a側(図中矢印C方向)に引張っており、ブラケット24は、スプリング25に引張られて、ブラケット24の側壁がソレノイド26に当接する位置に保持される。
【0025】
ソレノイド26は、走行プレート21に設置されている。ソレノイド26がオンすると、ブラケット24は、ソレノイド26に押付けられて、初期位置からスプリング25の弾性力に抗して係止部21aと反対側(図中矢印D方向)に移動する。また、ソレノイド26がオフすると、ソレノイド26による押付けが解除されて、スプリング25の弾性力により、元の初期位置に戻る。
【0026】
軸部材27は、スプリング27aを介して走行プレート21に保持されており、ブラケット24が初期位置にあるときには、スプリング27aの弾性力により上方(図中矢印E方向)に持ち上げられて、プレート21から進出しないようになっている。軸部材27は、ブラケットが24が初期位置から移動すると、ブラケット24の棒状部材24aにより下方(図中矢印F方向)に押し下げられて、下端側が走行プレート21から鉛直下方に進出する。また、軸部材27は、ブラケット24が初期位置に戻ると、棒状部材24aによる押し下げが解除されて、下端側が走行プレート21内に戻る。走行プレート21から進出した軸部材27は、上記ベース12に設けられた軸受部31に挿入される。光センサ28は、透光部28aと受光部28bを有しており、発光部28aからの光が遮られたことを検出する。
【0027】
上記ベース12は、上記軸受部31に加え、センサ走行体10を走行させるための走行用ラックギア32と、センサ走行体10をADF読取位置に旋回移動させるための移動用ラックギア33と、センサ走行体10のモータ22の駆動力をADFローラ7に伝達するための第1〜第4のADF用ギア34a〜34dと、走行プレート21の旋回位置を検出するための遮光体35とを有している。上記ADFローラ7は、第4のADF用ギア34dに噛合されている。
【0028】
センサ走行体10は、以下のように動作する。まず、センサ走行体10は、初期位置(図2(a)(b)に示す位置)にある。フラットベッドスキャンを行うときは、ソレノイド26がオフにされて、ブラケット24がスプリング25により初期位置に保持され、これにより、軸部材27が走行プレート21から進出していない状態とされる。この状態では、第3の作動ギア23cの下段ギア部が走行用ラックギア32に噛合される。そして、モータ22が駆動されることにより、第1〜第3の作動ギア23a〜23cが順次回転し、これにより、センサ走行体10が走行用ラックギア32に沿って図中矢印A方向に直進走行する。
【0029】
センサ走行体10が図中矢印A方向に直進走行することにより、画像読取センサ6がフラットベッド9に載置された原稿用紙2bに沿って移動し、これにより、フラットベッド9に載置された原稿用紙2bの画像が画像読取センサ6により読取られて、フラットベッドスキャンが行われる。フラットベッドスキャンが終了すると、センサ走行体10は、初期位置に戻される。
【0030】
また、ADFスキャンを行うときは、ソレノイド25がオンにされて、ブラケット24が初期位置から移動され、これにより、軸部材27が走行プレート21から進出してベース12の軸受部31に挿入される。また、ブラケット24が初期位置から移動されることにより、第3の作動ギア23cの下段ギア部と走行用ラックギア32との噛合が解除されると共に、第3の作動ギア23cの上段ギア部が移動用ラックギア33に噛合される。そして、モータ22が駆動されることにより、第1〜第3の作動ギア23a〜23cが順次回転し、これにより、センサ走行体10が軸受部31を中心として図中矢印B方向に旋回する。
【0031】
センサ走行体10が旋回していくと、ベース12の遮光体35が光センサ28の透光部28aと受光部28bの間に入って透光部28aからの光を遮り(図3(a)(b)参照)、これにより、センサ走行体10がADF読取位置に達したことが検出され、モータ22の駆動が停止されて、センサ走行体10がADF読取位置に停止する。ADF読取位置は、センサ走行体10が初期位置から軸受部31を中心として水平面内で略90°旋回した位置である。
【0032】
続いて、ソレノイド25がオフにされて、ブラケット24が初期位置に戻され、これにより、第3の作動ギア23cの上段ギア部と移動用ラックギア33との噛合が解除されると共に、第2の作動ギア23bが第1のADF用ギア34aと噛合する。そして、モータ22が駆動されることにより、第1〜第4のADF用ギア34a〜34dが順次回転し、これにより、第4のADF用ギア34dに噛合されているADFローラ7が回転する。
【0033】
ADFローラ7が回転することにより、ADF用ペーパレスト8に装填された原稿用紙2bがADF読取位置にある画像読取センサ6上を通過するように給送され、これにより、ADFローラ7により給送される原稿用紙2bの画像が画像読取センサ6により読取られて、ADFスキャンが行われる。ADFスキャンが終了すると、センサ走行体10は、逆の動作を行って、初期位置に戻される。
【0034】
このような構成のプリンタ複合機1によれば、1つのモータ22により、画像読取センサ6の走行、及びADFローラ7による原稿用紙2bの給送を行うことができる。すなわち、ADFローラ7を駆動するための用モータを画像読取センサ6を走行させるためのモータと共用でき、また、ADF用のモータドライバも抹消できる。これにより、低コストで従来と同様の機能を実現できる。しかも、センサ走行体10をADF読取位置へ移動させる構成を採用することにより、ADFローラ7やADF用ペーパレスト8の配置を従来と同様にでき、機器が大型化することなく、従来と同様のデザインのプリンタ複合機1を実現できる。また、ADFスキャン時の原稿用紙2bの給送方向がフラットベッドスキャン時のセンサ走行体10の走行方向と直交するため、機器が横長な形状になることを抑えて、コンパクトな大きさのプリンタ複合機1を実現できる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態において、第1〜第3の作動ギア23a〜23cの全てが必ずしも必要ではなく、何れか1つの作動ギア又は何れか2つの作動ギアを有した構成であってもよい。また、第2の作動ギア23bと第3の作動ギア23cを共用し、1つの作動ギアを走行用ラックギア32、移動用ラックギア33、及びADF用ギア34aと噛合可能な構成にしてもよい。第3の作動ギア23cは1段のギアであってもよい。第1〜第4のADF用ギア34a〜34dは、必ずしも必要ではなく、第2の作動ギア32bをADFローラ7に直接に噛合する構成であってもよい。ADFローラ7による原稿用紙2bの給送方向とセンサ走行体10のフラットベッドスキャン時の走行方向とは、必ずしも直交する必要はなく、任意の角度で交差していてもよく、また、同じ方向であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタ複合機の概略構成を示す斜視図。
【図2】(a)は同プリンタ複合機の構成を示すフラットベッドスキャン時の一部破断した平面図、(b)は同一部破断した側面図。
【図3】(a)は同プリンタ複合機の構成を示すADFスキャン時の一部破断した平面図、(b)は同一部破断した側面図。
【図4】(a)は同プリンタ複合機のセンサ走行体の構成を示す平面図、(b)は同断面図。
【符号の説明】
【0037】
1 プリンタ複合機
2a 記録用紙
2b 原稿用紙
3 記録ヘッド
4 AFローラ
5 AF用ペーパレスト
6 画像読取センサ
7 ADFローラ
8 ADF用ペーパレスト
9 フラットベッド
10 センサ走行体
11 ベッドカバー
12 ベース
13 AF用給紙口
14 排紙口
15 ADF用給紙口
21 走行プレート
22 モータ
23a〜23c 作動ギア
24 ブラケット
25 スプリング
26 ソレノイド
27 軸部材
28 光センサ
31 軸受部
32 走行用ラックギア
33 移動用ラックギア
34a〜34d ADF用ギア
35 遮光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙に画像を記録する記録ヘッドと、記録用紙を前記記録ヘッドに給送するAF(Auto Feeder)と、前記AFにより給送される記録用紙が装填されるAF用ペーパレストと、原稿用紙の画像を読取る画像読取センサと、原稿用紙を前記画像読取センサ上を通過するように給送するADF(Auto document feeder)と、前記ADFにより給送される原稿用紙が装填されるADF用ペーパレストと、原稿用紙が載置されるフラットベッドと、前記画像読取センサが搭載され前記フラットベッドに沿って走行可能なセンサ走行体とを備え、記録用紙に画像を記録するプリンタ機能に加え原稿用紙の画像を読取るスキャナ機能を有するプリンタ複合機において、
前記センサ走行体は、前記フラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るときは、原稿用紙の長手方向にスキャン(フラットベッドスキャンという)して前記画像読取センサにより原稿画像を読取り、
前記ADFは、該ADFによる原稿用紙の給送方向が前記センサ走行体のフラットベッドスキャン方向とは直交する方向となるように設置されており、
前記センサ走行体は、前記ADFにより給送される原稿用紙の画像を読取るときは、前記フラットベッドスキャン時とは直交する位置姿勢に移動するものであり、
前記センサ走行体は、前記画像読取センサを搭載して走行する走行プレートと、該走行プレートが自走するための駆動力を発生するモータと、前記モータの駆動力により回転する作動ギアと、前記モータ及び作動ギアを保持して前記走行プレートに対して移動自在に支持されるブラケットと、前記ブラケットを初期位置に保持する前記走行プレートと前記ブラケットとの間に介在されるスプリングと、前記ブラケットを初期位置から前記スプリングの弾性力に抗して移動させるソレノイドと、前記ソレノイドにより前記ブラケットが初期位置から移動されたときに前記走行プレートから鉛直方向に進出される軸部材とを有し、
前記ブラケットが初期位置にあるときに、前記作動ギアが噛合し、該作動ギアが前記モータにより駆動されることにより、前記フラットベッドスキャン走行させる走行用ラックギアと、
前記ブラケットが前記ソレノイドにより移動されることにより、前記軸部材が前記走行プレートから進出したときに、前記軸部材が挿入されて軸受する軸受部と、
前記軸部材が前記軸受部に挿入された状態で、前記作動ギアが噛合し、該作動ギアが前記モータにより駆動されることにより、前記センサ走行体を前記軸受部を中心として水平面内で略90°回転させて前記ADFにより給送される原稿用紙の画像読取位置に移動させる移動用ラックギアと、
前記センサ走行体が水平面内で略90°回転された位置にあるときに、前記作動ギアが噛合し、該作動ギアが前記モータにより駆動されることにより回転して、その回転を前記ADFに伝達するADF用ギアとを備え、
前記ADFは、前記ADF用ギアに噛合されて、該ADF用ギアの回転により回転して原稿用紙を給送する給紙ローラを有して成り、
前記1つのモータにより、前記画像読取センサの走行及び前記ADFによる原稿用紙の給送を行うようにしたことを特徴とするプリンタ複合機。
【請求項2】
記録用紙に画像を記録する記録ヘッドと、記録用紙を前記記録ヘッドに給送するAF(Auto Feeder)と、前記AFにより給送される記録用紙が装填されるAF用ペーパレストと、原稿用紙の画像を読取る画像読取センサと、原稿用紙を前記画像読取センサ上を通過するように給送するADF(Auto document feeder)と、前記ADFにより給送される原稿用紙が装填されるADF用ペーパレストと、原稿用紙が載置されるフラットベッドと、前記画像読取センサが搭載され前記フラットベッドに沿って走行可能なセンサ走行体とを備え、記録用紙に画像を記録するプリンタ機能に加え原稿用紙の画像を読取るスキャナ機能を有するプリンタ複合機において、
前記センサ走行体は、前記画像読取センサを搭載して走行する走行プレートと、該走行プレートが自走するための駆動力を発生するモータとを有し、前記モータの駆動力により、前記フラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るための走行及び前記ADFを駆動するためのADF駆動位置への移動が可能であり、
前記ADFは、前記ADF駆動位置へ前記走行体が移動されたときに、前記モータの駆動力が伝達されて原稿用紙を給送する給紙ローラを有して成り、
前記1つのモータにより、前記画像読取センサの走行及び前記ADFによる原稿用紙の給送を行うようにしたことを特徴とするプリンタ複合機。
【請求項3】
前記センサ走行体は、前記フラットベッドに載置された原稿用紙の画像を読取るときは、原稿用紙の長手方向にスキャン(フラットベッドスキャンという)して前記画像読取センサにより原稿画像を読取り、
前記ADFは、該ADFによる原稿用紙の給送方向が前記センサ走行体のフラットベッドスキャン方向とは直交する方向となるように設置されており、
前記センサ走行体は、前記ADFにより給送される原稿用紙の画像を読取るときは、前記フラットベッドスキャン時とは直交する位置姿勢に移動するものである請求項2に記載のプリンタ複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−33101(P2006−33101A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205226(P2004−205226)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】