説明

プリンタ

【課題】給紙部がプリンタ本体から脱せられた状態において、底板が給紙部本体の底面に設けられた貫通孔に入り込むことを防ぐことで、所望の昇降動作を行い、昇降機構の破損、損傷を防止することができるプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ本体に対して着脱可能に設けられた給紙部3とを具備し、プリンタ本体は、記録媒体を昇降可能な昇降機構4と、昇降手段によって上昇された記録媒体を所定方向へ搬出する搬送手段5とを備える一方で、給紙部3は、昇降機構4によって記録媒体Paを所定位置へ上昇させるために昇降機構4の作動端部41が挿入可能となる貫通孔311を底面に備えた給紙部本体31と、給紙部本体31内において底面に重なる位置に設けられる底板32とを備え、給紙部本体31と底板32との間において、底板32の昇降動作を妨げない位置に、底板32が貫通孔311に入り込む方向に傾くことを抑制する規制部33Xを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷及び消去可能な記録媒体を昇降させる昇降機構を備えたプリンタに係り、特に、昇降機構が昇降する際、所望の昇降動作を行うのに適したプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷及び消去可能な記録媒体に対し、画像の印刷及び消去を行うプリンタの一例として、リライタブルプリンタが知られている。
【0003】
この種のプリンタとして例えば特許文献1には、感熱記録媒体をプリンタに給紙するための給紙口を有する給紙部と、給紙口から挿入される感熱記録媒体の印刷層に印刷された画像を消去する消去部とを備えており、給紙部は、感熱記録媒体を複数枚重ねて載置可能な給紙トレイと、給紙トレイに載置された感熱記録媒体を1枚ずつ順次消去部に向かって送り出すローラとを備えたプリンタが開示されている。
【0004】
また特許文献2には、記録用メディアを積載する給紙トレイと、記録用メディアを給紙トレイから画像形成部へと搬出する給紙機構部とを有しており、給紙トレイは、積載した記録メディアを上昇させて給紙機構部に取り込めるよう当接させる底板を備えたプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−228318号公報
【特許文献2】特開2009−208866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなプリンタにおいて、使用者が記録媒体を補給しやすいように、記録媒体を複数枚重ねて載置可能な給紙部をプリンタ本体に対して着脱可能に設ける態様がある。このような態様では、給紙部の構成を簡易的にするためにプリンタ本体側に昇降機構を設ける必要がある。そしてプリンタ本体に給紙部が装着された状態において、記録媒体を昇降させる昇降機構を稼動させるためには、給紙部は、記録媒体を所定位置へ上昇させるための昇降機構が挿入可能となる貫通孔を底面に備えた給紙部本体と、この給紙部本体内において底面に重なる位置に設けられ、貫通孔を貫通した昇降機構上に昇降可能に支持される底板とが必要となる。
【0007】
しかしながら、給紙部がプリンタ本体から脱せられた状態であって、かつ収容される記録媒体の載置量が所定量より少ない場合(具体的には、給紙部本体内に備えられた底板が給紙部本体内にて回転する程度の量である場合)には、給紙部本体の底面に設けられる貫通孔に底板が入り込んでしまう。そのため、貫通孔に底板が入り込んだ状態で給紙部をプリンタ本体に装着させた後にプリンタ本体の昇降機構が昇降する場合、昇降動作を底板によって阻害され、所望の昇降動作を行うことができないばかりでなく、昇降機構の破損、損傷をも招く原因となる。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、給紙部がプリンタ本体から脱せられた状態において、底板が給紙部本体の底面に設けられた貫通孔に入り込むことを防ぐことで、所望の昇降動作を行い、昇降機構の破損、損傷を防止することができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明に関するプリンタは、プリンタ本体と、印刷及び消去可能な記録媒体を補給するためにプリンタ本体に対して着脱可能に設けられた給紙部とを具備し、プリンタ本体は、記録媒体を昇降可能な昇降機構と、昇降機構によって上昇された記録媒体を所定方向へ搬出する搬送手段とを備える一方で、給紙部は、昇降機構によって記録媒体を所定位置へ上昇させるために昇降機構の作動端部が挿入可能となる貫通孔を底面に備えた給紙部本体と、給紙部本体内において底面に重なる位置に設けられる底板とを備え、底板が貫通孔を貫通した昇降機構の作動端部上に昇降可能に支持されるプリンタにおいて、給紙部本体と底板との間において、底板の昇降動作を妨げない位置に、底板が貫通孔に入り込む方向に傾くことを抑制する規制部を備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、給紙部がプリンタ本体から脱せられた状態において、給紙部本体と底板との間に設けられた規制部によって、給紙部本体の底面に設けられた貫通孔に底板が入り込むことを防ぐことができるため、昇降機構の昇降動作を妨げることなく、給紙部本体内において底板を常に所望の位置に収容することができ、昇降機構の損傷を防止することが可能となる。
【0012】
ここで、本発明において「昇降動作を妨げない位置に」とは、「直接的又は間接的に」妨げない位置の何れをも含む概念である。また、「底板が貫通孔に入り込む」とは、「底板が全体的に貫通孔に入り込む」こと及び「底板の一部が貫通孔に入り込む」ことの何れをも含む概念である。
【0013】
Xリンクなどの昇降機構を用いる場合には貫通孔は長孔形状であることが望ましく、長穴の長手方向と直交する方向に底板が回転することを防止するための具体的な一構成としては、貫通孔が長孔形状であるものにおいて、長孔の長手方向と直交する方向に給紙部本体の一部と底板の一部とが係合するように規制部が設けられていることが挙げられる。
【0014】
また規制部は、給紙部本体側の係合部と底板側の係合部とが互いに係合しあうことによって構成され、給紙部本体側の係合部は、底板の前記昇降方向に沿って連続的に延在していることが望ましい。このような構成とすると、給紙部本体側と底板側の係合部とが互いに係合しあい、また、係合部が底板の昇降方向に沿って連続的に延在しているため、底板が昇降動作をしていく途中で互いの係合部がはずれてしまうことがなくなる。そのため、所望の昇降動作をスムーズに行わせるとともに、昇降動作中の規制部による抑制機能も的確に確保することが可能となる。
【0015】
さらに給紙部本体側の係合部は、給紙部本体側の搬出側の壁面に設けた凸部であり、底板側の係合部は、底板側の搬出側の縁部に設けた凹部であって、凸部は底板の上昇過程の途中に凸部の終端があり、凸部の上方に位置する給紙部本体外部に搬出手段が位置していることが望ましい。このような構成とすると、給紙部本体側外部の搬出手段に近い位置に凹凸の係合部が設けられているため、底板上に載置された記録媒体を搬出手段まで短時間にて移動させることが可能となる。また、凸部は底板の上昇過程の途中に凸部の終端があり、凸部の上方に搬送手段が位置しているため、記録媒体が凸部の影響を受けずに搬出側にオフセットできるため搬出が的確に行える。そのため、記録媒体の搬出を妨げない状態での所望の昇降動作が可能となる。
【0016】
また給紙部本体側の凸部は、その終端に向かって徐々に突出量が減少する形状をなしていることが望ましい。このような構成とすると、凸部が終端に向かって徐々に突出量が減少するように構成されているため、底板を昇降させる際、底板側の凹部と給紙部本体側の凸部とが一旦係合を解除した状態から再度スムーズに係合することが可能となり、昇降動作の精度向上をなしえることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように、給紙部がプリンタ本体から脱せられた状態において、給紙部本体と底板との間に設けられた規制部によって、給紙部本体の底面に設けられた貫通孔に底板が入り込むことを防げるため、昇降機構の昇降動作を妨げることなく、給紙部本体内において底板が常に所望の位置に収容することが可能となる。したがって、給紙部をプリンタ本体から取り外して自由に持ち運べるようにしても、給紙部をプリンタ本体にセットした際に底板を昇降機構の作動端部に確実に支持させることができ、昇降機構の損傷を招くことなく、所望の昇降動作を的確に行わせるのに適したプリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの全体概略図。
【図2】同実施形態における給紙部の構成を示す図。
【図3】給紙部を貫通孔の短手方向、長手方向へ回転させた状態の図。
【図4】同実施形態における記録媒体の最上昇位置(T1)及び最下降位置(U2)を示す図。
【図5】同実施形態における給紙部の側断面図。
【図6】同実施形態における給紙部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態のプリンタ1は、図1に示すように、プリンタ本体2と、印刷及び消去可能な記録媒体Paを補給するためにプリンタ本体2に対して着脱可能に設けられた給紙部3とを備えている。
【0021】
プリンタ本体2は、給紙部3が装着された場合に記録媒体Paの有無を検知するセンサSと、記録媒体Paを昇降可能な昇降機構4と、この昇降機構4によって上昇された記録媒体Paを所定方向へ搬出する搬送ローラ5(搬送手段5)とを備えており、搬出ローラ5より搬出された記録媒体Paに印刷された画像を消去する消去部6と、消去部6を通過した記録媒体Paに画像を印刷する印刷部7と、消去部6と印刷部7との間の搬送経路上で昇降移動する運搬機構8と、印刷部7を通過した記録媒体Paを外部へ排出するための排出口91を有する排出部9とを備えたものである。
【0022】
給紙部3は、図2に示すように、昇降機構4によって記録媒体Paを所定位置へ上昇させるために昇降機構4の作動端部41が挿入可能となる貫通孔311を底面Tmに備えた給紙部本体31と、給紙部本体31内において底面Tmに重なる位置に設けられ貫通孔311を貫通した昇降機構4の作動端部41上に昇降可能に支持される底板32とを備えており、給紙部本体31と底板32との間において、底板32の昇降動作を妨げない位置に、底板32が貫通孔31に入り込む方向に傾くことを抑制する規制部33Xを備えている。この規制部33Xは、給紙部本体31側に設けた係合部である凸部33と、底板32側に設けた係合部である凹部(切り欠き)312とから構成される。
【0023】
昇降機構4は、図2及び図4に示すように例えばXリンク機構などで構成されている。給紙部本体31の底面Tmに設けられた貫通孔311に挿入された昇降機構4の作動端部41は、給紙部本体31の底面Tmに重なる位置に設けられた底板32の底面と当接し、底板32が水平姿勢を保持したまま最下降位置(U1)と最上昇位置(T1)との間で高さ方向に昇降可能とするものである。昇降機構4の作動端部41には、図5に示すようにコロが取り付けてある(他の図面においてコロは省略してある)。
【0024】
搬送ローラ5は、プリンタ本体2に装着された給紙部3内に収容された記録媒体Paを1枚ずつ順次消去部6に向かって送り出すものである。
【0025】
消去部6は、記録媒体Paの印刷層(図示なし)を加熱する消去ヘッド61と、消去ヘッド61に対向配置された消去用プラテンローラ62とを備えたものである。なお、図1は、記録媒体Paの搬送方向を矢印で示している。
【0026】
印刷部7は、記録媒体Paの印刷層(図示なし)を加熱する印刷ヘッド71(例えばサーマルヘッド)と、印刷ヘッド71に対向配置された印刷用プラテンローラ72とを備えたものである。
【0027】
本実施形態のプリンタ(例えばリライタブルプリンタ)は、印刷部7を消去部6の上方に配置しており、消去部6を通過した記録媒体Paは運搬機構8により印刷部7に搬送される。
【0028】
運搬機構8は、記録媒体Paを載置し得る載置部81と、この載置部81を消去部6と印刷部7との間の搬送経路上で昇降移動させるリフト部82とを備えたものである。載置部81は、トレイ状をなし、リンクメンバ821等から構成されるリフト部82によって水平姿勢を保持したまま最下降位置(U2)と最上昇位置(T2)との間で高さ方向に移動可能なものである。
【0029】
センサSは、プリンタ本体2に給紙部3が装着された場合に給紙部3内の記録媒体Paの有無を検知するものである。このセンサSは、底板32に設けられる切り欠き312が記録媒体Paによって塞がれることで記録媒体Paの存在を検知するものである。
【0030】
次に給紙部本体31における底板32の動作及び規制部33Xの構造について説明する。図2はプリンタ本体2から脱せられた給紙部3の全体概略図、図3(a)及び(b)は、給紙部3がプリンタ本体2から脱せられた状態において、給紙部3を傾けた状態の図を示している。また、図4はプリンタ本体2に給紙部3が装着された際の底板の昇降動作を示す図を示す概略断面図である。
【0031】
図2に示すように、給紙部本体31内において底面Tmに重なる位置に設けられた貫通孔311を貫通した昇降機構4上に昇降可能に支持される底板32は、記録媒体Paが収容される方向を長手方向とする貫通孔311全面を覆うように配置されている。また、底板32の凹部312は貫通孔311の長手方向における底板32の一端部にあって、給紙部本体31内に設けられた凸部33に向かい合う関係にセットされて、互いに凹凸係合する形状を有している。
【0032】
このような構成とすれば、プリンタ本体2から給紙部3が脱せられた状態において、給紙部3を所定方向へ傾ける場合、具体的には貫通孔311の短手方向へ給紙部本体31内の貫通孔311に底板32が入り込む程度に傾けた場合(図3(a)を参照)であっても、給紙部本体31内に設けられた規制部33Xによって底板32の回転動作が規制されることで、底板32が貫通孔311に入り込むことを防ぐことができる。ここで、貫通孔311の長手方向への回転動作(図3(b)を参照)も考えられるが、底板32が長手方向へ回転した場合には、貫通孔311へ入り込むことは考えにくい。また、貫通孔311は、その長手方向が給紙部本体31の底壁Tm(底面Tm)のほぼ全域に亘って延びており、さらに給紙部本体31の立壁Sm(図2等参照)にまで亘って延びているため、本来なら底板32が貫通孔311に入り込み易いものであるが、上記の規制部33Xによってこれを有効に抑止し得るものである。また、この構成により、給紙部3がプリンタ本体2から脱せられた状態において、給紙部3内にて記録媒体Paが詰まった場合であっても、底壁Tm及び立壁Smに使用者の指などを挿入することができ、記録媒体Paの詰まりを解消することができる。
【0033】
また、図5及び図6に示すように、給紙部本体31側の搬出側の壁面Sm(立壁Sm)に設けた凸部33は、その終端(具体的には、最下降位置(U1)から最上昇位置(T1)に向かう方向)に向かって徐々に突出量が減少する形状をなしている。具体的には、図5及び図6に示すように、凸部33の形状を高さH、幅W、奥行Dで表わすとすると、最下降位置(U1)から所定位置まで幅W,奥行Dが等しい等断面で上に向かって伸び、終端で徐々に幅Wおよび奥行Dが小さくなる形状をしている。記録媒体Paは底板32が昇降機構4によって上昇する際、凸部33の突出量(奥行D)が減少する方向の形状に沿うように、搬送ローラ5側(給紙部本体31の排出側)へと搬送されていく。この構成により、記録媒体Paが凸部33の突出量Dの形状に沿うように搬送されていくため、記録媒体Paを上昇させる場合の動作はもとより、特に下降させる際の動作をスムーズに行うことができ、昇降動作の稼動精度を向上させることができる。この場合、凸部33の高さHは、給紙部本体31の立壁Smの高さに対して3分の2以上の高さを有していることが望ましい。この構成によって、底板32の上昇に伴って搬送される記録媒体Paが凸部33に沿って上昇される際、凸部33が底板32の上昇過程において途中で途切れることなく延在するため、よりスムーズに記録媒体Paを搬送ローラ5側(給紙部本体31の搬出側)に搬出することができる。さらに規制部33Xは、図6に示すように、給紙部本体31の幅方向(図示の矢印Bの方向)の中央部付近に設けることが望ましい。このような構成とすると、底板32が給紙部本体31内にて貫通孔311に入り込む程度に傾こうとしても、底板32の回転中心位置(図示せず)の延長線上に規制部33Xを設けているため、規制部33Xによって底板32の左右への回転動作を効率よく抑制できる。
【0034】
プリンタ本体2内に新たに記録媒体Paを補充して搬送に供するには、図2に示すように、給紙部3をプリンタ本体2から外し、給紙部本体31内に設けられる底板32上に記録媒体Paを載置及び積層し、給紙部3をプリンタ本体2内に挿入させる。このとき、給紙部本体31内の規制部33Xによって、記録媒体Paの積載位置が規制される。また規制部33Xの配置位置は、図4に示すように、プリンタ本体2に備えられた搬送ローラ5の略直下の位置となる。
【0035】
給紙部3がプリンタ本体2に装着されると、図4に示すように、プリンタ本体2の昇降機構4の作動端部41が給紙部本体31内の貫通孔311に挿入され、給紙部本体31の底面Tmに設けられた底板32に当接する。昇降機構4と当接した底板32は、水平姿勢を保持したまま最下降位置(U1)と最上昇位置(T1)との間で高さ方向へ上昇する。その際、記録媒体Paの一端に設けた凹部312は、給紙部本体31内の凸部33との間に形成される規制部33Xにおいて接触しながら上昇していく状態となる。
【0036】
昇降機構4によって上昇された底板32上に積載された記録媒体Paは、プリンタ本体2内に設けられた搬送ローラ5によって、所定方向へ搬出される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、プリンタ本体2と、印刷及び消去可能な記録媒体Paを補給するためにプリンタ本体2に対して着脱可能に設けられた給紙部3とを具備し、プリンタ本体2は、記録媒体Paを昇降可能な昇降機構4と、昇降機構4によって上昇された記録媒体Paを所定方向へ搬出する搬送手段5とを備える一方で、給紙部3は、昇降機構4によって記録媒体Paを所定位置へ上昇させるために昇降機構4の作動端部41が挿入可能となる貫通孔311を底面Tmに備えた給紙部本体31と、給紙部本体31内において底面Tmに重なる位置に設けられる底板32とを備え、底板32が貫通孔311を貫通した昇降機構4の作動端部41上に昇降可能に支持されるプリンタにおいて、給紙部本体31と底板32との間において、底板32の昇降動作を妨げない位置に、底板32が貫通孔311に入り込む方向に傾くことを抑制する規制部33Xを備えるように構成されている。
【0038】
この構成によれば、給紙部3がプリンタ本体2から脱せられた状態において、給紙部本体31と底板32との間に設けられた規制部33Xによって、給紙部本体31の底面Tmに設けられた貫通孔311に底板32が入り込むことを防ぐことができるため、昇降機構4の昇降動作を妨げることなく、給紙部本体31内において底板32を常に所望の位置に収容することができ、昇降機構4の損傷を防止することが可能となる。
【0039】
本実施形態に係る昇降機構4は、図4に示すように、給紙部3に収容される記録媒体Paをプリンタ本体2内へ搬出させる搬送ローラ5に当接させるために、底板32を上昇させるためのXリンク機構を用いている。Xリンク機構を昇降機構4として用いる場合、Xリンク機構4の可動範囲を十分に確保するために、給紙部本体31内の貫通孔311は長孔形状であることが望ましい。このため、何らの手当てもしなければ、底板32が貫通孔311に入り込み易い状態にある。このような長孔形状の貫通孔311に対して、長孔の長手方向(図2のLの矢印方向)と直交する方向(短手方向:図2のMの矢印方向)に給紙部本体31の一部と底板32の一部とが係合するように規制部33Xを設けることで、底板32が貫通孔311に入り込むことを防ぐことができる。
【0040】
また、規制部33Xは、図2乃至図4に示すように、給紙部本体31側の係合部である凸部33と底板32側の係合部である凹部312とが互いに係合しあうことによって構成され、給紙部本体31側の係合部である凸部33は、底板32の昇降方向に沿って連続的に延在している。
【0041】
この構成によれば、底板32が昇降動作をしていく途中で互いの係合部である凸部33と凹部312とがはずれてしまうことがなくなる。そのため、所望の昇降動作をスムーズに行わせるとともに、昇降動作中の規制部による抑制機能も的確に確保することが可能となる。
【0042】
さらに給紙部本体31側の係合部は、給紙部本体31側の搬出側の壁面に設けた凸部33であり、底板32側の係合部は、底板32側の搬出側の縁部に設けた凹部312であって、凸部33は底板32の上昇過程の途中に終端があり、凸部33の上方に位置する給紙部本体31外部に搬出手段5が位置している関係にある。
【0043】
この構成によれば、給紙部本体31側外部の搬出手段5に近い位置に凹凸の係合部が設けられているため、底板32上に載置された記録媒体Paを搬出手段5まで短時間にて移動させることが可能となる。また、凸部33は底板32の上昇過程の途中に終端があり、凸部33の上方に搬送手段5が位置しているため、記録媒体Paが凸部33を超えて上昇することによって当該凸部33の影響を受けずに搬出側にオフセットできるため搬出が的確に行える。そのため、記録媒体Paの搬出を妨げない状態での所望の昇降動作が可能となる。
【0044】
また底板32側の凸部33は、その終端に向かって徐々に突出量が減少する形状をなしている。
【0045】
このように、凸部33が終端に向かって徐々に突出量Dが減少するように構成されているため、底板32を昇降させる際、底板32側の凹部312と給紙部本体31側の凸部33とが一旦係合を解除した状態から再度スムーズに係合することが可能となり、昇降動作の精度向上をなしえることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、昇降機構4はXリンク機構であるだけでなく、油圧シリンダなどであっても構わない。また、規制部33Xは凹凸形状のみならず、底板32の昇降方向に沿って連続的に延在している形状であれば何れの形状であってもよい。
【0047】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…プリンタ
2…プリンタ本体
3…給紙部
4…Xリンク機構(昇降機構)
5…搬送ローラ(搬送手段)
6…消去部
7…印刷部
8…運搬手段
9…排出部
31…給紙部本体
32…底板
33…係合部(凸部)
33X…規制部
41…昇降機構の作動端部
311…貫通孔
312…係合部(凹部)、切り欠き
L…貫通孔の長手方向
M…貫通孔の短手方向
Pa…記録媒体
Sm…立壁
Tm…底面(底壁)
T1…昇降機構の最上昇位置
T2…運搬機構の最上昇位置
U1…昇降機構の最下降位置
U2…運搬機構の最下降位置
D…規制部の奥行(突出量)
W…規制部の幅
H…規制部の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ本体と、印刷及び消去可能な記録媒体を補給するために当該プリンタ本体に対して着脱可能に設けられた給紙部とを具備し、
前記プリンタ本体は、前記記録媒体を昇降可能な昇降機構と、前記昇降手段によって上昇された当該記録媒体を所定方向へ搬出する搬送手段とを備える一方で、前記給紙部は、前記昇降機構によって当該記録媒体を所定位置へ上昇させるために当該昇降機構の作動端部が挿入可能となる貫通孔を底面に備えた給紙部本体と、前記給紙部本体内において当該底面に重なる位置に設けられる底板とを備え、前記底板が前記貫通孔を貫通した前記昇降機構の作動端部上に昇降可能に支持されるプリンタにおいて、
前記給紙部本体と底板との間において、当該底板の昇降動作を妨げない位置に、前記底板が前記貫通孔に入り込む方向に傾くことを抑制する規制部を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記貫通孔が長孔形状であるものにおいて、当該長孔の長手方向と直交する方向に前記給紙部本体の一部と前記底板の一部とが係合するように規制部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記規制部は、前記給紙部本体側の係合部と前記底板側の係合部とが互いに係合しあうことによって構成され、前記給紙部本体側の係合部は、当該底板の前記昇降方向に沿って連続的に延在していることを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記給紙部本体側の係合部は、当該給紙部本体側の搬出側の壁面に設けた凸部であり、前記底板側の係合部は、当該底板側の搬出側の縁部に設けた凹部であって、前記凸部は前記底板の上昇過程の途中に凸部の終端があり、当該凸部の上方に位置する前記給紙部本体外部に搬出手段が位置していることを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記凸部は、その終端に向かって徐々に突出量が減少する形状をなしていることを特徴とする請求項4記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−214277(P2012−214277A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80347(P2011−80347)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】