説明

プリンタ

【課題】 印画紙の幅に対しインクリボンの幅が過度に長い組み合わせで印画を行う場合にも印画しわの発生を防ぐことを可能にしたプリンタを提供すること。
【解決手段】 複数の異なるサイズのインクリボンを使用可能なプリンタであって、印画紙を搬送するための搬送手段と、搬送手段により印画方向に印画紙を搬送させながら、インクリボンのインクを印画紙に転写するサーマルヘッドと、インクリボンを、当該インクリボンの搬送方向に切断する切断手段と、を有し、インクリボンの幅が、印画紙の幅よりも所定の長さ以上長い場合に、切断手段により、インクリボンを搬送方向に切断させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドによりインクリボンのインクを印画紙に転写するプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドによりインクリボンのインクを印画紙に転写するプリンタにおいて、インクリボンの皺の発生を防ぐために、インクリボンに均一に張力がかかるように構成し、インクリボンのしわの発生を防ぐプリンタがある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−123494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、印画紙の幅に対して過度に幅の大きいインクリボンを使用する際には、インクリボンにかかる張力の調整は難しく、次のような問題が生じる。
【0005】
印画を行う際には、印画紙とインクリボンをサーマルヘッドとプラテンによって圧接狭持しながら搬送を行う。ここで印画紙の幅の外側にはみ出したインクリボンは、印画紙の厚み分生じた隙間によって狭持されず、自由な状態にある。
【0006】
したがって、印画紙の幅の内側で狭持されたインクリボンと印画紙の幅の外側で狭持されないインクリボンの間にリボンの搬送張力に起因する剪断力が発生し、しわが発生する。
【0007】
印画紙の幅の外側にはみ出すリボンの幅が大きいほど発生する剪断力が大きくなり、大きなしわが発生しやすくなる。そしてしわが大きくなりすぎると、印画を行う際にリボンに折れが生じ、印画しわが発生してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、印画紙の幅に対しインクリボンの幅が過度に大きい組み合わせで印画を行う場合にも印画しわの発生を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のプリンタは、
複数の異なるサイズのインクリボンを使用可能なプリンタであって、印画紙を搬送するための搬送手段と、前記搬送手段により印画方向に前記印画紙を搬送させながら、インクリボンのインクを前記印画紙に転写するサーマルヘッドと、前記インクリボンを、当該インクリボンの搬送方向に切断する切断手段と、を有し、前記インクリボンの幅が、前記印画紙の幅よりも所定の長さ以上長い場合に、前記切断手段により、前記インクリボンを前記搬送方向に切断させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば印画紙の幅に対しインクリボンの幅が過度に大きい組み合わせで印画を行う場合にも、印画しわの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】印画位置時の画像形成部の断面模式図
【図2】ヘッド退避位置時の画像形成部の断面模式図
【図3】メディア搬送位置時の画像形成部の断面模式図
【図4】インクリボン、印画紙およびカッター刃の幅方向の位置関係を示す図
【図5】切断部材の駆動力伝達の構成を示す模式図
【図6】切替部材の嵌合部の断面図
【図7】切替部材の制御を電気的に行う場合の構成を示すブロック図
【図8】印画動作を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図2は本発明におけるプリンタ装置の画像形成部の断面模式図である。
【0014】
1はインクリボンで、リボン供給部2aと巻き取り収納部2bから成るインクリボンカセット2に収納され、プリンタ装置本体に装填されている。
【0015】
3はプラテンローラーであり、その軸心を中心に回動可能に保持されている。
【0016】
4はサーマルヘッドであり、ライン状に配設された複数の発熱素子がプラテンローラー3に対向するように配設されている。
【0017】
サーマルヘッド4はヘッド保持部材5によりねじで固定保持され、保持部材5は図示しないヘッド駆動機構によってポジションチェンジモーター6に連結されている。
【0018】
ポジションチェンジモーター6が正方向または逆方向に回転すると、保持部材5が駆動され、サーマルヘッド4は印画位置とメディア搬送位置、およびヘッド退避位置の3つのポジションを移動する。
【0019】
サーマルヘッド4が圧接位置にあるときは、図示しない加圧機構により、サーマルヘッド4はプラテンローラー3に向けて圧接されており、印画紙7とインクリボン1は圧着して狭持されている。
【0020】
サーマルヘッド4がメディア搬送位置にあるときは、サーマルヘッド4はプラテンローラー3から離間し、その隙間を印画紙7およびインクリボン1は自由に搬送されることができる。
【0021】
サーマルヘッド4がヘッド退避位置にあるときは、サーマルヘッド4はメディア搬送位置よりもさらにプラテンローラー3から退避し、インクリボンカセット2を装置本体に着脱することが可能となる。
【0022】
8はグリップローラー、9は排紙ローラーであり、それぞれが図示しない駆動系を介してメディア搬送モーター10に連結され、メディア搬送モーター10の駆動により、正逆両方向に回転が可能である。
【0023】
グリップローラー8はピンチローラー11、排紙ローラー9は排紙対向ローラー12に圧接されることによって印画紙7を狭持して、印画方向Aおよびその逆方向の給紙方向Bのいずれかに搬送することができる。
【0024】
ピンチローラー11は、圧接ばね(不図示)により常にグリップローラー8に圧接されており、両ローラー間を通過した印画紙7は常に圧接狭持された状態にある。
【0025】
排紙対向ローラー12は図示しない駆動機構によりポジションチェンジモーター6に連結され、その駆動によって、排紙ローラー9に圧接された排紙位置と、排紙ローラー9から離間した離間位置に移動することができる。
【0026】
排紙対向ローラー12が排紙位置に移動すると、排紙ローラー9との間で印画紙7の圧接狭持が行われる。
【0027】
使用済みのインクリボン1を巻き回すリボン巻取り軸2cは、図示しない駆動系を介してメディア搬送モーター10に連結されている。
【0028】
リボン巻取り軸2cに連結される駆動系は遊星機構を備えており、各印画紙搬送ローラーによって印画紙7が印画搬送方向Aに搬送されるときはインクリボン1を巻取り方向に搬送する。そして、印画紙7が給紙搬送方向Bに搬送されるときはインクリボン1の搬送駆動を行わない。
【0029】
13は切断部材で、回動軸13aを回動可能に支持され、片方にカッター刃13b、反対側に摺動部13cを備える。切断部材13は付勢ばね14により、図中反時計回りの方向に付勢されており、摺動部13aがカム部材15に当接することで係止している。
【0030】
カム部材15は図示しない駆動系を介してポジションチェンジモーター6に連結されており、サーマルヘッド4の移動に連動して所定量回転する。カム部材15が回転するとカム面が切断部材の摺動部13aを移動させ、切断部材13を回転させる。
【0031】
この切断部材13は、サーマルヘッドよりも、印画時の印画紙およびインクリボンの搬送方向の上流側に設けられている。そのため。サーマルヘッドにより印画を行う時点では、切断部材13により切断されたインクリボンを用いて印画が行われる。
【0032】
次に各ヘッドポジションにおける、サーマルヘッド4、インクリボン1および切断部材13の位置について図を用いて詳しく説明する。
【0033】
図2ではサーマルヘッド4はヘッド退避位置に位置している。
【0034】
このとき、インクリボン1はインクリボンカセット2の供給口を形成するリブ2eと、収納口を形成するリブ2fにガイドされ、屈曲する搬送経路をたどっている。
【0035】
16は印画紙の経路を形成する紙ガイド部であるが、切断部材13のカッター刃13bは紙ガイド16で形成される印画紙7の経路から退避した退避位置にある。
【0036】
図3はサーマルヘッド4がメディア搬送位置にあるときの画像形成部の断面模式図である。
【0037】
このときサーマルヘッド4はインクリボン1と印画紙7が移動可能な隙間を空けて、プラテンローラー3に近づく。
【0038】
インクリボン1は供給口リブ2e、サーマルヘッド4に取り付けられたリボンガイド17、印画時に印画紙7からインクリボン1引き剥がす役割を果たす剥離部材18、回動可能に保持されたリボンガイドシャフト19で折れ曲がる経路をたどっている。
【0039】
メディア搬送位置時における切断部材の位置は2種類存在する。
【0040】
図3は、図2のサーマルヘッド4がヘッド退避位置である状態からポジションチェンジモーター6を駆動させ、サーマルヘッド4がメディア搬送位置の位置に到達したときの状態を示す図である。
【0041】
サーマルヘッド4がヘッド退避位置からメディア搬送位置に移動すると、切断部材13も連動して移動するため。切断部材13は、図中時計回りに回転し、図3の位置となる。このとき、カッター刃13bは紙ガイド16から突出した突出位置にあり、印画紙7の経路に進入している。そして、カッター刃13bはインクリボン7の搬送経路まで侵入し、供給口リブ2eとインクリボンガイド17の間で張られたインクリボン1に進入することで、切り込み動作が行われ、インクリボンの切断が開始される。
【0042】
図1はサーマルヘッド4が印画位置にあるときの画像形成部の断面模式図である。
【0043】
図3のメディア搬送位置から更にポジションチェンジモーター6を駆動し、サーマルヘッド4をプラテンローラー3に圧接させた状態である。
【0044】
このとき、インクリボン1および印画紙7はサーマルヘッド4とプラテンローラー3に圧接狭持されており、この状態でサーマルヘッド4を発熱させ、インクリボン1と印画紙7を搬送することで、転写が行われ、画像が形成される。
【0045】
印画位置において、切断部材13はメディア搬送位置と同じ位置にある。
【0046】
しかし、サーマルヘッド4の圧接に伴い下降したインクリボンガイド17によってインクリボン1が押し下げられることにより、カッター刃13bはメディア搬送位置に比べより深くインクリボン1の経路に進入している。
【0047】
つまり、図1と図3の状態では、切断部材13の位置は同じであるが、インクリボンの搬送経路が変わっている。そのため、図1の印画位置のほうがカッター刃のインクリボンへの突入量が大きくなり、深く切り込むことが可能となる。
【0048】
図4はインクリボン1、印画紙7およびカッター刃13bの幅方向の位置関係を示す図である。
【0049】
3はプラテンローラー、13は切断部材であり、インクリボン1および印画紙7の印画搬送方向への搬送は図中の上方向に向かって行われる。
【0050】
本実施例におけるプリンタは4インチと5インチ幅の印画紙の印画に対応しており、インクリボンも4インチに対応する幅のインクリボン1aと、5インチに対応する幅のインクリボン1bを使用可能である。
【0051】
図4(a)は通常の4インチ幅のインクリボンおよび印画紙を使用して印画した場合を示す図である。
【0052】
このときは4インチ幅の印画紙7aに対し4インチ幅印画用のインクリボン1aを用いる。
【0053】
4インチ幅印画用のインクリボン1aに塗布される各色のインクの長さは印画物の長さに搬送マージンを加えた必要十分な長さに設定されている。また、4インチ幅印画用のインクリボン1aの幅は4インチ幅の印画紙7aよりも左右それぞれ5mmほど長い。これにより、印画搬送時にインクリボン1と印画紙7が幅方向に多少ずれても印画紙7がインクリボン1の外にはみ出して転写不良を起こすことの無いようになっている。
【0054】
切断部材13のカッター刃13bは左右に一つずつあり、それぞれ4インチ幅印画用インクリボン1aのさらに外側に位置している。
【0055】
したがって、カッター刃13bが断面内でインクリボン1の経路に進入しても、インクリボン1の切断は行われない。
【0056】
図4(b)は通常の5インチ幅のインクリボンおよび印画紙を使用して印画した場合を示す図である。
【0057】
このときは5インチ幅の印画紙7bに対し5インチ幅印画用のインクリボン1bを用いる。
【0058】
5インチ幅印画用のインクリボン1bに塗布される各色のインクの長さは印画物の長さに搬送マージンを加えた必要十分な長さに設定されている。また、5インチ幅印画用のインクリボン1bの幅も5インチ幅の印画紙1bよりも左右それぞれ5mmほど長い。そのため、印画搬送時にインクリボン1と印画紙7が幅方向に多少ずれても印画紙7がインクリボン1の外にはみ出して転写不良を起こすことの無いようになっている。
【0059】
切断部材13のカッター刃13bは左右それぞれ5インチ幅の印画紙13bの内側に位置している。
【0060】
したがって、カッター刃13bが断面内で印画紙7の経路に進入すると、印画紙7の切断が行われてしまうので、5インチ幅の印画紙7bを印画する際には切断部材13は、印画紙7bおよびインクリボン1bの搬送経路から退避させる必要がある。
【0061】
図4(c)は4インチ幅の印画紙7aと5インチ幅印画用のインクリボン1bの組み合わせで印画を行う場合を示す図である。
【0062】
切断部材13のカッター刃13bはそれぞれ5インチ幅印画用のインクリボン1bの内側に位置するため、カッター刃13bがインクリボン1の搬送経路に進入すると、インクリボン1の切断が行われ、印画に不必要な余分なリボンを切除することができる。印画紙7aの幅は、インクリボン1bの幅よりだいぶ短く、カッター刃13bの内側で搬送されるため、カッター刃13bが印画紙7の搬送経路側に侵入したとしても、4インチ幅の印画紙7aは切断されない。
【0063】
本実施例のプリンタにおいては上述した通り3パターンの印画紙とインクリボンの組み合わせが存在する。図4(c)のように、インクリボンの幅が印画紙よりも所定の距離L以上長い場合は、搬送張力に起因する剪断力が発生し、インクリボンにしわができやすくなってしまう。そこで、本実施例では、図4(c)のようにインクリボン1bを、インクリボン1bの幅よりも内側であって、印画紙7aよりも外側となる位置でインクリボンの幅を搬送方向に切断している。
【0064】
また、本実施例では、4インチ幅と5インチ幅にしか対応していないため、5インチ幅の印画紙がセットされた場合は、インクリボンの幅が印画紙の幅よりも前述した所定の距離L以上長くなることはない。
【0065】
そこで、本実施例のプリンタでは、5インチ幅印画紙が収納されている印画紙カセットが装填されると、カム部材15とポジションチェンジモーター6を連結する駆動系が切断される機構が組み込まれており、切断部材13が切断位置へ移動しない。
【0066】
ポジションチェンジモーター6と切断部材13の連結の解除を行う機構について以下に示す。
【0067】
図5はポジションチェンジモーター6の駆動力を、切断部材13に伝達するための連結部材や、駆動力を伝達させるかを切り替えるための切替部材の一例を示す模式図である。本実施例では、図5のような連結部材や切替部材を用いて駆動力の伝達および切替を行ったが、他の構成により実現してもよい。
【0068】
20は切替部材であり、切替レバー20a、太陽ギヤ20b、遊星ギヤ20cからなる。
【0069】
切替レバー20aは、太陽ギヤ20bと回動中心を同じに回動可能に保持されており、遊星ギヤ20cを回動可能に保持している。この切替部材20は、ポジションチェンジも―タの駆動力をカム部材15に伝える連結部材としての役割と、また、ポジションチェンジモーター6の駆動力を伝達させるか否かを切り替えるための切替部材としての役割を担っている。
【0070】
太陽ギヤ20bはポジションチェンジモーター6に連結されており、ポジションチェンジモーター6から伝えられた動力は、太陽ギヤ20b、遊星ギヤ20c、アイドラギヤ23を介してカム部材15に伝えられる。
【0071】
図5(a)、(b)はそれぞれ、ポジションチェンジモーター6が正転・逆転駆動したときの、カム部材15に動力が伝わる様子を示している。ポジションモーター6を正方向に回転させると、サーマルヘッド4は、ヘッド退避位置→メディア搬送位置→印画位置へと移動し、逆方向に回転させると、印画位置→メディア搬送位置→ヘッド退避位置へ移動する。4インチの印画紙のカセットが装着されている場合は、図5(a)、(b)のように、ポジションモーター6の駆動力がカム15部材に伝達する。そのため、サーマルヘッド4が印画位置に移動したときには、図1のように、カッター刃13bは印画紙7およびインクリボン1の搬送経路に進入した切断位置まで移動する。またサーマルヘッド4がヘッド退避位置まで移動すると、図2のように、カッター刃13bが、印画紙7およびインクリボン1の搬送経路から退避した退避位置まで移動する。サーマルヘッド4がメディア搬送位置に位置している場合は、カッター刃は、インクリボン1の搬送経路に進入する位置にまでは移動せず、カッター刃13はインクリボン1を切断しない位置にある。メディア搬送位置からさらに印画位置にサーマルヘッドを移動させることにより、カッター刃13bはインクリボン1を切断可能となる。
【0072】
図5(c)はプリンタ装置に5インチ幅の印画紙カセットが装填された状態を示す図である。
【0073】
5インチ幅の印画紙カセットには4インチ幅の印画紙カセットには無いピン形状24が設けられており、印画紙カセットが装填されると、ピン24が切替レバー20aに設けられた嵌合部20dに嵌り、切替レバー20aの回動を固定するようになっている。
【0074】
したがって、ポジションチェンジモーター6が駆動されても、その動力はカム部材15には伝わらず、切断部材13が駆動されることはない。
【0075】
図6は5インチ幅の印画紙カセットが装填された際の、嵌合部20dの断面図である。
【0076】
印画紙カセットが装填されていないとき、サーマルヘッドはヘッド退避位置の状態にあるが、そのときピン24は切替部材20に嵌合していない。5インチ幅の印画紙が収納された印画紙カセットが不図示の装着部に装着されると、図6のようにピン24が切替部材20に嵌合するため切替部材が移動せずに、ポジションチェンジモーターの駆動力をカム部材15に伝達しなくなる。
【0077】
ピン24の先端には傾斜部が設けられており、印画紙カセットが装填されると、ピン24の先端が嵌合部20dに進入し、傾斜部が嵌合部20dを押し上げて、切替レバー20aを図5(c)に示す位置まで回転させる。
【0078】
そのまま印画紙カセットが図6に示す位置まで押し込まれて装填が完了する。
【0079】
本実施例では印画紙カセットに設けられたピン24が切替部材20の連結解除を行ったが、もちろん電気的に印画紙の種別検知を行って切替部材20の連結解除を行っても構わない。
【0080】
図7は電気的に印画紙の州へつ検知を行い、切替部材20の連結解除を行う例を示すブロック図である。
【0081】
たとえば、印画紙カセットの種別を検知するセンサー25を設け、5インチ幅の印画紙カセットの装填を電気的に検知できるようにする。
【0082】
CPU26は5インチ幅の印画紙カセットが装填された信号を受け取った場合には、ソレノイド式のアクチュエーター27を駆動する信号を出力する。
【0083】
アクチュエーター27が駆動されると、切替レバー20aに係合し、切替レバー20aを図6(c)の位置に固定する。
このような構成にすれば、同様の効果を得ることができる。
【0084】
また本実施例のプリンタでは、4インチに対応したインクリボン及び印画紙と、5インチに対応したインクリボンと印画紙を使用可能としたが、さらに他のサイズに対応した印画紙およびインクリボンを使用可能としてもよい。このとき、インクリボンの幅が印画紙の幅よりも所定距離L以上長いかを判断し、インクリボンの幅が長い場合は、印画紙の幅よりも少し外側となる位置で、インクリボンを切断するように構成するとよい。
【0085】
次に図8に示すフローチャートを用いて、本発明の実施例における、4インチ幅の印画紙7aと5インチ幅印画用のインクリボン1bの組み合わせで印画を行う際の印画処理について説明する。本フローチャートでは、4インチ幅の印画紙が収納された印画紙カセットがプリンタに装着されている場合のフローチャートである。5インチ幅の印画紙カセットが装着された場合は、図8と同様の印画処理が行われるが、前述のようにビス24により切替部材20aの移動が規制されているため、サーマルヘッドのポジションを移動させたとしても切断部材は移動せず、切断動作は行われない。なお、これらの処理は、プリンタに設けられている不図示のCPUが、メモリから読み出したプログラムに基づいて、モーターや各機構の動作を制御することにより実行される。
【0086】
まず、ユーザーによって印画開始の命令が下されると、まずステップS101で装置本体にインクリボンカセット2が装填されているかどうかの確認を行う。
【0087】
本プリンタにはインクリボンカセット2の種別を検出するセンサー26が設けられており、4インチ幅印画用のインクリボンカセットの装填、5インチ幅印画用のインクリボンカセットの装填、またはカセット未装填の検出を行うことができる。
【0088】
もし、インクリボンカセット2が装填されていない場合は以降の動作に進むことは無い。
【0089】
したがって、切断部材13の駆動が行われることも無いので、ユーザーが誤ってインクリボンカセット装填口に手を入れた際に、カッター刃13bに触れてしまうことは無い。
【0090】
インクリボンカセット2の装填が確認されると、次にステップS102でポジションチェンジモーター6の駆動を行い、サーマルヘッドのポジションを移動させる。印画処理を行っていないときは、サーマルヘッド4は図2のヘッド退避位置にあるので、ポジションチェンジモーター6により、図2に示したヘッド退避位置から、図1の印画位置まで移動させる。この時点では印画は開始しないが、切断部材13によるインクリボンの切断を開始するための切り込み動作を行うため、より深く切り込みを入れることが可能な印画位置までサーマルヘッドを移動させて確実に切り込み動作を実行する。
【0091】
次に、インクリボンの頭出しおよび印画紙の頭だしの動作を行うため、ステップS103でポジションチェンジモーター6の駆動を行い、図3に示したメディア搬送位置にサーマルヘッド4を移動させる。メディア搬送位置では、カッター刃はインクリボンの搬送経路に進入している。この状態で、S104において、メディア搬送モーター10を用いてインクリボンを搬送させながらインクの頭出しを行う。カッター刃13bがインクリボンの搬送経路に進入した状態でインクリボンが搬送されるので、インクリボンは、搬送方向に切断されていく。インクリボンを搬送させながら、各インクの先頭位置を検出し、検出したらインクリボンの搬送を停止させる。最初はイエローインクの印画を行うため、イエローインクの先頭を検出する。
【0092】
本実施例では、S107での印画が開始される前に、切断を開始している。これは、切断部材が、インクリボン及び印画紙の印画時の搬送方向において、サーマルヘッドよりも上流にあるためである。印画開始の位置までインクリボンが搬送された状態で切断動作を開始してしまうと、切断部材13よりも下流にある印画開始時のサーマルヘッドの位置では、インクリボンがカ切断されていない状態となってしまう。そこで、印画開始位置にインクリボンが搬送される前にインクリボンの切断を開始することで、印画時開始位置までインクリボンが搬送された時に印画開始位置のインクリボンが切断された状態とすることが可能となる。
【0093】
S104でインクリボンの頭出しが完了すると、次にステップS105でメディア搬送モーター10を駆動させて、印画紙7の書出し位置がサーマルヘッド4の発熱体の直下に来るように印画紙7を搬送する。
【0094】
インクリボンと印画紙の搬送が完了し、サーマルヘッド4による印画の準備が整うと、ステップS106で、ポジションチェンジモーター6を駆動さ、サーマルヘッドを印画位置に移動させる。この印画位置に移動することで、インクリボン1および印画紙7をサーマルヘッド4とプラテンローラー3によって圧接狭持させる。
【0095】
次にステップS107でサーマルヘッド4の発熱体を発熱させながら、メディア搬送モーター10を印画搬送方向に駆動させて、インクリボン1および印画紙7の搬送を行い、インクリボンのインクを印画紙に転写させて印画を行う。S107で印画中つまりインクの転写中は、切断部材は切断位置にあり、インクリボンが搬送されているので、インクリボン1はカッター刃13bにより切断され続ける。このとき、サーマルヘッド4とプラテンローラー3によって圧接狭持される部分のインクリボン1の両側には切断によるスリットが入っている。そのため、スリットの外側のインクリボンに作用する張力は印画紙7の外側と内側の境界でインクリボン1に発生するせん断力に影響しない。したがって、インクリボン1に大きなしわの発生させること無く、印画搬送を行うことができる。
【0096】
印画が完了すると、ステップS108で、ポジションチェンジモーター6を駆動してサーマルヘッド4をヘッド退避位置まで移動させる。このときサーマルヘッドと連動して切断部材13も移動し、図2のように、カッター刃13bは、インクリボン搬送経路から退避する。そして、この状態で、ステップS109において、メディア搬送モーター10により少しの距離だけインクリボンを搬送させる。S109では、カッター刃13bは退避位置にあるので、搬送させた距離の分だけ、インクリボンが切断されないことになる。これは、インクリボンを切断し続けると、中央部と外側とで巻き取り時にかかる力が均一でなくなったり、切断された部分が綺麗に巻き取れなくなってしまうのを防ぐためである。このように、1色のインクの転写後に一度サーマルヘッドをヘッド退避位置に移動してインクを搬送させ、一面の印画毎にインクリボンが切断されない領域を設ける。このように切断されない領域を設けることで、切断によって発生するインクリボン1の巻き取りの微小な幅方向のずれをリセットすることができる。
【0097】
本実施例のプリンタでは、イエロー、マゼンタ、シアン、オーバーコートの3種類のインクを順に同じ印画紙に重ねて転写することにより画像の印刷を行う。そこで、S110では、全てのインクの印画処理が完了したかを判断する。全ての色の印画が完了している場合は、印画処理を終了する。全色の印画が完了していない場合は、S102に戻り次の色についてS102からの処理を行い、全色の印画が完了するまでS102〜S109の処理を繰り返す。
【0098】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。
【0100】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0101】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。
また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【0102】
また、実施例ではタッチパネル形態のLCD表示装置を例に挙げているが、マウスを使った操作や、LCD以外の表示装置を使ったものでも適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるサイズのインクリボンを使用可能なプリンタであって、
印画紙を搬送するための搬送手段と、
前記搬送手段により印画方向に前記印画紙を搬送させながら、インクリボンのインクを前記印画紙に転写するサーマルヘッドと、
前記インクリボンを、当該インクリボンの搬送方向に切断する切断手段と、を有し、
前記インクリボンの幅が、前記印画紙の幅よりも所定の長さ以上長い場合に、前記切断手段により、前記インクリボンを前記搬送方向に切断させることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記切断手段は、前記サーマルヘッドよりも、前記印画方向の上流に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記切断手段は、突出位置、退避位置の少なくとも2つの位置に移動可能であり、
前記突出位置では、前記切断手段が前記インクリボンの搬送経路に進入し、
前記退避位置では、前記切断手段が前記インクリボンの搬送経路および前記印画紙の搬送経路の両方から退避することを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記サーマルヘッドは、サーマルヘッドにより印画を行う印画位置と、印画紙またはインクリボンを搬送するための搬送位置との少なくとも2つの位置に移動可能であり、
前記インクリボンの搬送経路は、前記サーマルヘッドが前記印画位置にある場合と前記搬送位置にある場合とで、異なっており、
前記切断手段を前記退避位置から前記突出位置へ移動させることにより前記インクリボンの切断を開始する切り込み動作は、前記印画位置と前記搬送位置のうち、前記切断手段の前記インクリボンへの突入量が大きくなるほうの位置まで前記サーマルヘッドを移動させて、前記切り込み動作を行うことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記インクリボンが収納されているインクリボンカセットを有し、
前記インクリボンカセットには、前記インクリボンカセットから前記サーマルヘッドに供給されるインクリボンの搬送経路を屈曲させるためのガイド部が設けられており、
前記切断手段は、前記ガイド部と前記サーマルヘッドの間の前記インクリボンを切断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記インクリボンを印画方向に搬送するインクリボン搬送手段を有し、
前記サーマルヘッドによる前記インクリボンのインクの転写中は、前記切断手段により前記インクリボンの切断を行いながら前記インクリボン搬送手段により前記インクリボンを搬送させ、前記インクリボンのインクを転写後、前記切断手段による切断を行わずに前記インクリボン搬送手段によりインクリボンを所定距離だけ搬送させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記サーマルヘッドを、当該サーマルヘッドにより印画を行う印画位置と、印画位置から退避させた退避位置に移動させるための駆動手段と、
前記サーマルヘッドが前記退避位置から前記印画位置に移動したことに連動して、前記切断手段が前記退避位置から前記切断位置に移動するように、前記駆動手段の駆動力を前記切断手段に伝達させるために、前記駆動手段と前記切断手段を連結させる連結部材を有することを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記インクリボンの幅が、前記印画紙の幅よりも所定の長さ以上長くはない場合に、
前記駆動手段の駆動力が前記切断手段へ伝達されないように、前記連結手段による連結を解除する解除手段を有することを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記プリンタは、第1のサイズに対応する印画紙およびインクリボンと、前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズに対応する印画紙およびインクリボンに対応しており、
前記切断手段は、インクリボンの搬送経路において、前記第2のサイズに対応するインクリボンの幅の内側であって、前記第1のサイズに対応するインクリボンの幅の外側を切断する位置に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記第2のサイズの印画紙による印画を行う場合に、前記解除手段により前記連結手段による連結が解除されることを特徴とする請求項9に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111792(P2013−111792A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257779(P2011−257779)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】