説明

プリントシステムおよびプログラム

【課題】オペレータが簡単に印刷物の発行元を特定することができるプリントシステムを提供する。
【解決手段】ホストコンピュータ2は、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段、報知パターンを設定する報知パターン設定手段、印刷ジョブ送信手段と非同期で報知制御コマンドを送信する報知制御コマンド送信手段とを備え、プリンタ3は、印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段、印刷手段48、報知制御コマンドを受信する報知制御コマンド受信手段、報知制御コマンドを記憶する記憶手段53、印刷ジョブのコマンド等を検出する印刷ジョブ状況検出手段、印刷ジョブ状況検出手段の検出をトリガとして、印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の情報を含む報知制御コマンドの有無を判別する第1報知判定手段、および当該報知制御コマンドが有る場合、その報知制御コマンドの報知パターンに基づいて報知する報知手段46を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のホストコンピュータと、これら複数のホストコンピュータから送信される印刷ジョブに基づき印刷を実行するプリンタと、から成るプリントシステムおよびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホストコンピュータとプリンタとを接続し、ホストコンピュータで生成した印刷データをプリンタに送信して印刷処理を行うシステムが知られている。例えば、スーパーマーケットや小売店等で使用されるPOSシステムでは、POS端末コンピュータにより、オペレータ(店員)により入力された商品情報に基づく商品データから印刷データを生成し、当該印刷データをプリンタ(印刷装置)に送信する。プリンタは、受信した印刷データに基づいてレシートやクーポン等の印刷を行う。そして、印刷されたレシートやクーポンは、適当な長さにカットされ、レシート搬送路から排出される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−222310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のようなPOSシステムにおいて、1台のプリンタを複数のPOS端末コンピュータ(ホストコンピュータ)により共有する場合が考えられる。この場合、オペレータは、プリンタで印刷(出力)された印刷物(例えば、レシートやクーポン等)が、どのホストコンピュータから印刷されたものであるかを判別することができないという問題がある。このため、例えば、顧客Aに対して印刷された印刷物を、顧客Aとは異なる顧客Bに渡してしまうということが考えられる。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みたものであり、オペレータが簡単に印刷物の発行元を特定することができるプリントシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリントシステムは、複数のホストコンピュータと、複数のホストコンピュータと接続され、複数のホストコンピュータから受信した印刷データに基づいて印刷を行うと共に報知機能を有するプリンタと、から成るプリントシステムであって、ホストコンピュータは、プリンタに、印刷データを含む印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段と、報知回数、報知時間、報知間隔などの報知パターンを設定する報知パターン設定手段と、印刷ジョブ送信手段と非同期で動作し、プリンタに、印刷ジョブに対応する印刷ジョブID、ホストコンピュータ自身を特定するホスト情報および報知パターン設定手段により設定された報知パターンを含む報知制御コマンドを送信する報知制御コマンド送信手段と、を備え、プリンタは、印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、受信した印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、報知制御コマンドを受信する報知制御コマンド受信手段と、受信した報知制御コマンドを記憶する記憶手段と、印刷ジョブに含まれる所定のデータまたはコマンドを検出する印刷ジョブ状況検出手段と、印刷ジョブ状況検出手段による検出をトリガとして、記憶手段に、印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む報知制御コマンドが存在するか否かを判別する第1報知判定手段と、第1報知判別手段による判別の結果、印刷ジョブIDおよびホスト情報含む報知制御コマンドが存在した場合に、当該報知制御コマンドに含まれる報知パターンに基づいて報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、ホストコンピュータから、印刷データを含む印刷ジョブと共に、印刷ジョブID、当該ホストコンピュータを特定するホスト情報および報知パターンを含む報知制御コマンドをプリンタに送信する。これらを受信したプリンタは、報知制御コマンドを自身の記憶領域(記憶手段)に記憶すると共に、印刷ジョブを実行する。そして、プリンタは、印刷ジョブに含まれる所定のデータまたはコマンド(例えば、印刷ジョブの開始時や完了時などを示すデータやコマンド)を検出すると、これをトリガとして、当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む報知制御コマンドが記憶領域に存在するか否かを判別する。そして、記憶領域に当該報知制御コマンドが存在した場合、報知手段により報知する。これにより、オペレータは印刷ジョブの開始/完了などを把握できるため、例えば、レシートやクーポン等の印刷物の発行処理(印刷ジョブ)の開始や完了を認識することができる。また、報知パターン設定手段により各ホストコンピュータに異なる報知パターンを設定することで、1台のプリンタを複数のホストコンピュータで共有する場合においても、オペレータは、プリンタから印刷(出力)された印刷物が、どのホストコンピュータから印刷されたものかを判別することができる。つまり、オペレータは、当該印刷物がどの顧客に対する印刷物かを特定できるため、渡し間違え等のトラブルを防止することができる。また、印刷ジョブと報知制御コマンドとを、非同期で送信することができるため、例えば、印刷ジョブの処理中や、何らかの原因で印刷ジョブの送信が遅延している場合、プリンタがエラー発生中によりジョブの送信不可能な場合であっても、印刷ジョブの状況に影響を受けることなく、報知制御コマンドを送信することが可能となる。また、プリンタ側では、印刷ジョブと非同期で報知制御コマンドを受信して記憶領域に記録しておくことで、印刷ジョブの開始前、あるいは開始後、即時、報知に関する処理を実行することができる。なお、報知手段としては、音で聴覚的に報知しても良いし、あるいは、ランプ等を点灯させ視覚的に報知するようにしても良い。
【0007】
この場合、報知制御コマンドは、報知手段による報知タイミングを規定した情報をさらに有したことが好ましい。
【0008】
この構成によれば、例えば、印刷ジョブの実行開始前、あるいは印刷ジョブの実行完了後などの報知タイミングを指定することができる。これにより、各ユーザのニーズに応じたタイミングで、印刷ジョブの実行開始や完了、つまりクーポン等の印刷物の発券開始や発券完了を知らせることができる。
【0009】
これらの場合、プリンタは、印刷ジョブの実行履歴を記憶するジョブ履歴記憶手段と、報知制御コマンドを受信したとき、当該報知制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報が、ジョブ履歴記憶手段に記録されているか否かを判別する第2報知判別手段と、をさらに備え、報知手段は、第2報知判定手段により印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在したと判定したとき、即時に報知することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、報知制御コマンドを受信したとき、当該報知制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報が実行履歴に記録されているか否かを判別し、記録されている場合は、当該報知制御コマンドに基づいて、即時に報知を行う。これにより、例えば、何らかの理由で報知制御コマンドが遅延した場合においても、確実にオペレータに対して印刷ジョブの開始や完了を伝えることができる。つまり印刷物が発行された、あるいは発行中である旨を伝えることができる。
【0011】
これらの場合、ホストコンピュータは、所定の条件を満たす印刷ジョブを判別する印刷ジョブ判別手段をさらに備え、報知制御コマンド送信手段は、所定の印刷ジョブに対応する報知制御コマンドのみをプリンタに送信することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、所定の印刷ジョブの開始/完了のみを報知することができる。例えば、1の顧客に対して複数枚の印刷物を発行する場合、最後の印刷物の発行にたいしてのみ印刷ジョブの開始/完了を報知することで、オペレータは、当該最後の印刷物と報知前に発行された全ての印刷物とが1の顧客に対するものであると確実に認識することができる。これにより、顧客に対して印刷物の渡し忘れなどを防止することができる。また、例えば、当たりのクーポン等、特別な印刷物を発行する印刷ジョブの開始/完了時にのみ報知することで、オペレータに特別な印刷物が発行されることを容易に認識させることができる。
【0013】
これらの場合、報知手段は、電子音を発生することにより報知を行なうことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、電子音による鳴動により、オペレータに印刷ジョブの開始や完了を報知することができる。これにより、例えば、オペレータが顧客の対応をしており、プリンタを視認することができない場合でも、容易に印刷ジョブの開始や完了、つまり印刷物の発行を把握することができる。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピュータを、上記に記載のプリントシステムにおけるホストコンピュータまたはプリンタの各手段として機能させるためのものであることを特徴とする。
【0016】
これを用いることにより、オペレータが簡単に印刷物の発行元を特定することができるプリントシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本実施形態に係るプリントシステムについて説明する。本実施形態に係るプリントシステムは、オペレータが簡単に印刷物の発行元を特定することのできるシステムである。以下、本実施形態では、印刷物としてクーポン券を対象とすると共に、報知手段として電子音による鳴動により報知する場合について説明する。
【0018】
図1は、本発明のプリントシステム1の機器構成を示す図である。同図に示すように本実施形態のプリントシステム1は、印刷ジョブおよび当該印刷ジョブに対応する鳴動制御コマンド(報知制御コマンド)を送信する複数のホストコンピュータ2(図1では3台)と、複数のホストコンピュータ2から受信した印刷ジョブに基づいて印刷を行うと共に、鳴動制御コマンドに基づいて鳴動する機能を有するプリンタ3と、で構成されている。なお、複数のホストコンピュータ2とプリンタ3とは、ネットワーク接続されていても良いし、個々のホストコンピュータ2が独立してプリンタ3と接続されていても良い。
【0019】
ホストコンピュータ2は、プリンタ3を管理するためのコンピュータであり、各ホストコンピュータ2は、プリンタ3に対してそれぞれ印刷ジョブを送信する(印刷指示を出す)。ホストコンピュータ2は、図示しないPOSアプリケーションなどからクーポン等の発行要求を受けると、後述する業務アプリケーション31によりその要求に基づいて印刷ジョブを生成し、各印刷ジョブに対して印刷ジョブIDおよび自身を特定するためのホスト情報を付与する。そして、この印刷ジョブIDに基づいて印刷ジョブの管理を行うと共に、プリンタ3に対し印刷ジョブを送信する。
【0020】
また、ホストコンピュータ2は、印刷ジョブを生成した後、必要に応じてプリンタ3のブザー46(報知手段,図2参照)を鳴動するための鳴動制御コマンドを生成する。この鳴動制御コマンドには、プリンタ3のブザー46を鳴動させたい印刷ジョブIDと、ブザー46を鳴動させる鳴動タイミング(報知タイミング,印刷開始前/印刷完了後など)および鳴動パターン(報知パターン,詳細は後述)と、ホストコンピュータ2自身を特定するためのホスト情報とが定義されている。また、鳴動パターンは各ホストコンピュータ2で異なるパターンに設定されている。そして、ホストコンピュータ2が、この鳴動制御コマンドをプリンタ3に送信することで、設定したタイミングおよび所定の鳴動パターンでブザー46を鳴動させることができる。なお、上述のホスト情報は、ホストコンピュータ2を一意に特定できるものであれば良く、例えば、ホスト名やMACアドレス(Media Access Control address)などを利用することが考えられる。
【0021】
一方、プリンタ3は、複数種のカラーインクを記録材料として使用し、記録媒体である用紙に画像記録(複数色カラー印刷)を実行し、クーポン等を発券するインクジェット方式のプリンタ3である。図1に示すように、プリンタ3は、前面上部パネル11aおよびケースカバー11bから構成されるプリンタケース11の前面に、左側から順に電源スイッチ12、ロール紙カバー13、装着部開閉カバー14が配置されており、ロール紙カバー13の上方には、ロール紙を排出する用紙排出口15が臨んでいる。また、電源スイッチ12の上方には、プリンタ3の状態をオペレータ(ユーザ)に通知する複数のLEDランプ16が設けられている。ロール紙カバー13の内部には、用紙がロール状に巻回されたロール紙(図示省略)が装填されており、一方の装着部開閉カバー14の内部には、インクカートリッジ(図示省略)が装着されている。
【0022】
プリンタ3は、ホストコンピュータ2から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブに基づいて、用紙上に文字や絵柄といった所望の画像をカラー印刷すると共に、用紙排出口15より印刷済みの用紙(クーポン等)を排出する。また、プリンタ3は、ホストコンピュータ2から鳴動制御コマンドを受信し、当該鳴動制御コマンドに基づいて自身のブザー46の鳴動を制御する。プリンタ3は、当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む鳴動制御コマンドに設定されている鳴動タイミング(印刷ジョブの実行開始前、または実行完了後)および鳴動パターンに基づいてブザー46から電子音を鳴らし(鳴動)、オペレータに対し印刷処理が開始される旨(あるは、印刷処理が完了した旨)、つまり用紙排出口15からクーポンが排出される旨(あるいは、クーポンの排出が完了した旨)をホストコンピュータ2毎に異なる電子音で報知する。電子音による鳴動により報知することで、例えば、オペレータが顧客の対応をしており、プリンタ3を視認することができない場合でも、どのホストコンピュータ2から印刷ジョブの開始/完了が行われたか、つまり、どの顧客に対してこれからクーポンが発券される、あるいは発券されたかということを容易に把握することができる。
【0023】
なお、印刷ジョブの開始/完了(用紙排出口15からのクーポンの排出状況)を報知する手段として、上述のように鳴動制御コマンドを使用してブザー46からの電子音による鳴動により聴覚的に報知しても良いし、あるいは、上述のLEDランプ16を点灯(明滅)させて、視覚的に報知するようにしても良い。
【0024】
次に、図2の制御ブロック図を参照して、本発明に係るプリントシステム1を構成するホストコンピュータ2およびプリンタ3について説明する。
【0025】
ホストコンピュータ2は、CPU21(Central Processing Unit)、ROM22(Read Only Memory)、RAM23(Random Access Memory)、HDD24(Hard Disk Drive)、入力デバイス25および通信インターフェース26を備えている。そして、HDD24に記憶された制御プログラムを起動時にRAM23にコピーし、その制御プログラムに従ってRAM23内などに保存されたデータの処理を行う。また、HDD24には、業務アプリケーション31およびスプーラ32が記憶されている。
【0026】
CPU21は、業務アプリケーション31を実行し、入力デバイス25からの入力に基づき所望の鳴動パターンを生成する。鳴動パターンは、周波数、鳴動時間、消音時間、音量、鳴動回数等の項目からなる。ユーザは、これら項目に対するパラメータを変化させることで、所望の鳴動パターンを生成させることができる(報知パターン設定手段)。この鳴動パターンは、各ホストコンピュータ2で異なるように設定され、鳴動の違いによりホストコンピュータ2を特定することができる。つまり、1台のプリンタ3を複数のホストコンピュータ2で共有する場合、オペレータは、プリンタ3から印刷(出力)されたクーポン(印刷物)が、どのホストコンピュータ2から印刷されたものかを判別することができる。
【0027】
また、CPU21は、POSアプリケーションなどからクーポンを発券するための情報(以下、クーポン情報)を受信すると、業務アプリケーション31を実行して当該クーポン情報に基づいて印刷データを生成する。そして、業務アプリケーション31は、印刷要求と共に生成した印刷データをスプーラ32に送る。スプーラ32では、当該印刷データに基づき印刷ジョブを生成すると共に、当該印刷ジョブに対して印刷ジョブIDおよびホスト情報を付与する。この印刷ジョブは、印刷ジョブの先頭を示すJobStartコマンド、印刷ジョブIDおよびホスト情報が記載されたJobNameコマンド、印刷データの印刷を指示するJobPrintコマンド、印刷ジョブの最後を示すJobEndコマンド等の印刷制御コマンドおよび印刷データから形成される。そして、スプーラ32は、当該印刷要求の応答として業務アプリケーション31に印刷ジョブIDおよびホスト情報を通知し、これにより業務アプリケーション31は当該印刷ジョブIDおよびホスト情報を取得する。また、CPU21は、スプーラ32から通信インターフェース26を介して生成した印刷ジョブをプリンタ3に送信する(印刷ジョブ送信手段)。
【0028】
業務アプリケーション31は、印刷ジョブIDが所定の印刷ジョブID(例えば、1の顧客に対して発行される最後のクーポン発行に対する印刷ジョブID)であるか否かを判別する(印刷ジョブ判別手段)。当該印刷ジョブIDが所定の印刷ジョブIDである場合、業務アプリケーション31は、上述の鳴動タイミング、鳴動パターン、当該印刷ジョブIDおよびホスト情報を関連付けて鳴動制御コマンドを生成する。そして、CPU21は、業務アプリケーション31のAPIを用い、通信インターフェース26を介して当該鳴動制御コマンドをプリンタ3に送信する(報知制御コマンド送信手段)。所定の印刷ジョブに関する鳴動制御コマンドのみを送信することで、後述するプリンタ3での所定の印刷ジョブの開始/完了、つまり、所定のクーポンがこれから発券される/発券された旨のみを報知することができると共に、当該クーポンがどのホストコンピュータ2から発券される(発券された)のかを報知することができる。例えば、1の顧客に対して複数枚のクーポンを発行する場合、最後のクーポンを発行する印刷ジョブの開始/完了を報知することで、オペレータは、当該クーポンが当該顧客に対する(当該顧客に対応するホストコンピュータ2から印刷される)最後のクーポンだと判断でき、オペレータは当該最後のクーポンと報知前に発行された全てのクーポンが1の顧客に対するものであると確実に認識することができ、クーポンの渡し忘れなどを防止することができる。
【0029】
なお、上述の印刷ジョブの送信と鳴動制御コマンドの送信とは非同期に行われ、鳴動制御コマンドはUDP(User Datagram Protocol)を利用して送信され、印刷ジョブは、TCP(Transmission Control Protocol)を利用して送信される。これにより、例えば、印刷ジョブの処理中や、何らかの原因で印刷ジョブの送信が遅延している場合であっても、印刷ジョブの状況に影響を受けることなく、報知制御コマンドを送信することが可能となる。また、これらのデータ(印刷ジョブ、鳴動制御コマンド)は、パケット通信方式で送信されるため、例えば、印刷ジョブに続いて鳴動制御コマンドを送信する場合は、印刷ジョブのデータ終了を認識するクローズ処理等が終了した段階で、次の鳴動制御コマンドのデータの開始を認識するオープン処理等が行われる。つまり、これらの処理に掛かる時間により、印刷ジョブ実行完了から鳴動制御コマンドの実行が実際に開始されるまでの間に遅延が生じる。これに対し、本実施形態では、非同期に送信を行うことで、印刷ジョブの状況に影響を受けることなく、鳴動制御コマンドを送信することが可能となり、上述のクローズ処理やオープン処理等のパケット処理の完了を待つ必要がないため、印刷ジョブの実行完了から鳴動制御コマンドの実行開始までの間の遅延の発生を防ぐことができる。
【0030】
プリンタ3は、CPU41、フラッシュROM42、RAM43、通信インターフェース44、印刷制御部45、用紙搬送機構47、印刷ヘッド48(印刷手段)、ブザー46(報知手段)およびLEDランプ16を備えている。そして、フラッシュROM42内に記憶された制御プログラムに従って、RAM43内のデータの処理を行う。
【0031】
また、RAM43には、印刷ジョブのジョブ履歴が記録されるジョブ履歴記憶領域51(ジョブ履歴記憶手段)が設けられ、このジョブ履歴記憶領域51には、既に印刷処理が完了した印刷ジョブおよび現在印刷処理が開始されている印刷ジョブに対応する印刷ジョブIDおよびホスト情報が記録されている。さらに、RAM43には、実行中の印刷ジョブに対応する印刷ジョブIDおよびホスト情報を記録する印刷ジョブID記憶領域52と、鳴動制御コマンドを記録するコマンド記憶領域53(記憶手段)が設けられている。また、コマンド記憶領域53は、印刷ジョブの実行開始前に鳴動するように設定された鳴動制御コマンドを記録する第1コマンド記憶領域53aと、印刷ジョブの実行完了後に鳴動するように設定された鳴動制御コマンドを記録する第2コマンド記憶領域53bとから構成されている。
【0032】
CPU41は、通信インターフェース44を介してホストコンピュータ2から鳴動制御コマンドを受信する(報知制御コマンド受信手段)。この場合、CPU41は、当該鳴動制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報が、印刷ジョブID記憶領域52に記録されている現在印刷処理中の印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と一致するか否かを判別する(第2報知判別手段)。現在開始されている印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と一致する場合、CPU41は、当該鳴動制御コマンドに含まれる鳴動タイミングおよび鳴動パターンに基づいて、ブザー46の鳴動を制御する。具体的には、当該鳴動タイミングが印刷ジョブの実行開始前に設定されている場合、CPU41は、鳴動パターンに基づいて、即時にブザー46を鳴動させる。一方、当該鳴動タイミングが印刷ジョブの実行完了後に設定されている場合、CPU41は、鳴動制御コマンドを第2コマンド記憶領域53bに記録する。
【0033】
一方、現在開始されている印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と一致しない場合(現在開始されている印刷ジョブが存在しない場合も含む)、CPU41は、この鳴動制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報がジョブ履歴記憶領域51に記録されているか否かを判別し(第2報知判別手段)、判別結果に基づいてブザー46の鳴動を制御する。具体的には、当該印刷ジョブIDおよびホスト情報がジョブ履歴記憶領域51に記録されていない場合、CPU41は、当該鳴動制御コマンドに含まれる鳴動タイミングに基づいて、鳴動制御コマンドを記憶する。つまり、鳴動タイミングが印刷ジョブの実行開始前に設定されていれば当該鳴動制御コマンドを第1コマンド記憶領域53aに記録し、鳴動タイミングが印刷ジョブの実行完了後に設定されていれば当該鳴動制御コマンドを第2コマンド記憶領域53bに記録する。
【0034】
一方、当該印刷ジョブIDがジョブ履歴記憶領域51に印刷処理完了済みとして記録されている場合、CPU41は、当該鳴動制御コマンドに含まれる鳴動パターンに基づいて、即時にブザー46を鳴動させる。鳴動制御コマンドの受信に際して、当該鳴動制御コマンドの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在するか否かの判別を、現在開始されている印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報のみを記録した印刷ジョブID記憶領域52を最初に参照して判別することで、複数の印刷ジョブIDおよびホスト情報が記録されているジョブ履歴記憶領域51を検索して判別する場合に比して、素早く判別することができる。つまり、鳴動に係る処理を素早く実行することができる。これにより、例えば、何らかの理由で報知制御コマンドが遅延した場合においても、確実にオペレータに対して印刷ジョブが開始された/完了した旨、つまりクーポン等(印刷物)が発行された、あるいは発行中である旨を伝えることができる。
【0035】
一方、CPU41は、通信インターフェース44を介してホストコンピュータ2から印刷ジョブを受信する(印刷ジョブ受信手段)。CPU41は、受信した印刷ジョブの印刷制御コマンドに基づいて処理を実行する。具体的には、まず、CPU41は、JobStartコマンドを解析することで当該印刷ジョブの処理を開始し、続いてJobNameコマンドを解析する。このJobNameコマンドには当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報がパラメータとしてセットされており、これにより、CPU41は、当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報を取得する。CPU41は、このJobNameコマンドの解析に伴い、当該印刷ジョブが開始されたことを検出する(印刷ジョブ状況検出手段)と共に、当該印刷ジョブIDおよびホスト情報を印刷ジョブID記憶領域52およびジョブ履歴記憶領域51に印刷実行開始のステータスで記録する。この検出をトリガとして、CPU41は、第1コマンド記憶領域53aに当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む鳴動制御コマンドが存在するか否かを判別する(第1報知判別手段)。該当する鳴動制御コマンドが存在する場合、CPU41は、鳴動制御コマンドに含まれる鳴動パターンに基づいてブザー46を制御して鳴動させる。また、ブザー46の鳴動終了後、CPU41は、第1コマンド記憶領域53aに記憶されている鳴動制御コマンドをクリアする。一方、該当する鳴動制御コマンドが存在しない場合は、CPU41は、ブザー46による鳴動をすることなく、下記に示す印刷処理を開始する。
【0036】
次に、CPU41は、JobPrintコマンドを解析し、印刷データの印刷を開始する。この場合、CPU41は、印刷制御部45に対し、当該印刷データに基づく印刷指示を出す。印刷指示を受けた印刷制御部45は、当該印刷データに基づいて、用紙搬送機構47を介してロール紙を搬送しつつ、印刷ヘッド48を駆動してロール紙への印刷を実行し、用紙排出口15からクーポンを発券する。その後、CPU41は、印刷ジョブ(印刷制御コマンド)に含まれるJobEndコマンドを解析(処理)し、当該コマンドの解析が終了することで当該印刷ジョブに係る全ての処理が完了したことを検出する(印刷ジョブ状況検出手段)。
【0037】
この検出結果をトリガとして、CPU41は、第2コマンド記憶領域53bに当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む鳴動制御コマンドが存在するか否かを判別する(第1報知判別手段)。該当する鳴動制御コマンドが存在する場合、CPU41は、鳴動制御コマンドに含まれる鳴動パターンに基づいてブザー46を制御して鳴動させると共に、ジョブ履歴記憶領域51を更新して当該印刷ジョブのステータスを印刷完了にする。また、ブザー46の鳴動終了後、CPU41は、コマンド記憶領域53に記憶されている鳴動制御コマンドをクリアする。一方、該当する鳴動制御コマンドが存在しない場合は、ジョブ履歴記憶領域51を更新し、当該印刷ジョブのステータスを印刷完了にする。
【0038】
ここで図3を参照して、印刷ジョブおよび鳴動制御コマンドを生成する手順について説明する。まず、ホストコンピュータ2は、クーポン情報を受信すると、当該クーポン情報に基づいて印刷データを生成する(S01)。次に、ホストコンピュータ2は、生成した印刷データに基づいて印刷ジョブを生成する(S02)と共に、当該印刷ジョブに印刷ジョブIDおよびホスト情報を付与する(S03)。そして、ホストコンピュータ2は、プリンタ3に対して当該印刷ジョブを送信する(S04,印刷ジョブ送信手段)。一方で、ホストコンピュータ2は、当該印刷ジョブIDが所定の印刷ジョブIDであるか否かを判別する(S05,印刷ジョブ判別手段)。当該印刷ジョブIDが所定の印刷ジョブIDである場合(S06;Yes)、ホストコンピュータ2は、当該印刷ジョブID、自身のホスト情報、ブザー46の鳴動タイミングおよび鳴動パターンを設定した鳴動制御コマンドを生成する(S07)。この場合、鳴動タイミングには、対応する印刷ジョブの実行開始前にブザー46を鳴動させるか、あるいは、実行開始後にブザー46を鳴動させるかが設定されている。そして、ホストコンピュータ2は、この鳴動制御コマンドを、上述の印刷ジョブの送信とは非同期でプリンタ3に送信し(S08,報知制御コマンド送信手段)、一連の処理を完了する(S09)。一方、当該印刷ジョブIDが所定の印刷ジョブIDでない場合(S06;No)、ホストコンピュータ2は、鳴動制御コマンドを生成することなく処理を完了する(S09)。
【0039】
次に、図4を参照して、プリンタ3が印刷ジョブを受信した場合の動作手順について説明する。まず、プリンタ3は、ホストコンピュータ2から送信された印刷ジョブを受信する(S11,印刷ジョブ受信手段)。そして、プリンタ3は、当該印刷ジョブに基づいて印刷処理を開始する。この場合、プリンタ3は、当該印刷ジョブに含まれるJobNameコマンド(または、JobStartコマンド)を受信(解析)することで、印刷ジョブの開始を検出する(S12,印刷ジョブ状況検出手段)。この時、プリンタ3は、印刷ジョブに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報を取得し、ジョブ履歴記憶領域51および印刷ジョブID記憶領域52に当該印刷ジョブIDおよびホスト情報を印刷処理開始のステータスで記録(登録)する(S13)。これと共に、当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む鳴動制御コマンドが、第1コマンド記憶領域53aに存在するか否かを判別する(S14,第1報知判別手段)。対象となる鳴動制御コマンドが第1コマンド記憶領域53aに存在する場合(S15;Yes)、プリンタ3は、当該鳴動制御コマンドの鳴動パターンに基づいてブザー46を鳴動させる(S16)。ブザー46の鳴動終了後、プリンタ3は、第1コマンド記憶領域53aに記録された当該鳴動制御コマンドをクリアする(S17)。そして、プリンタ3は、引き続き印刷処理を続行し、当該印刷ジョブに基づく一連の印刷処理が完了した後、ジョブ履歴記憶領域51の当該印刷ジョブIDに対するステータスを印刷処理完了に更新する(S18)。
【0040】
一方、対象となる鳴動制御コマンドが第1コマンド記憶領域53aに存在しない場合(S15;No)、プリンタ3は、引き続き印刷処理を続行し、当該印刷ジョブに基づく一連の印刷処理が完了したことを検出する(S19,印刷ジョブ状況検出手段)。この検出をトリガとして、当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む鳴動制御コマンドが、第2コマンド記憶領域53bに存在するか否かを判別する(S20,第1報知判別手段)。対象となる鳴動制御コマンドが第2コマンド記憶領域53bに存在する場合(S21;Yes)、プリンタ3は、当該鳴動制御コマンドの鳴動パターンに基づいてブザー46を鳴動させる(S22)。ブザー46の鳴動終了後、プリンタ3は、第2コマンド記憶領域53bに記録された鳴動制御コマンドをクリアする(S23)。そして、プリンタ3は、ジョブ履歴記憶領域51の当該印刷ジョブIDに対するステータスを印刷処理完了に更新する(S18)。一方、対象となる鳴動制御コマンドが第2コマンド記憶領域53bに存在しない場合(S21;No)、プリンタ3は、ジョブ履歴記憶領域51の当該印刷ジョブIDに対するステータスを印刷処理完了に更新する(S18)。
【0041】
次に、図5および図6を参照して、プリンタ3が鳴動制御コマンドを受信した場合の動作手順について説明する。まず、プリンタ3は、ホストコンピュータ2から送信された鳴動制御コマンドを受信する(S31,報知制御コマンド受信手段)。次に、プリンタ3は、当該鳴動制御コマンドの鳴動タイミングが、印刷ジョブの実行開始前に設定されているか、印刷ジョブの実行完了後に設定されているかを判別し、その判別結果に基づいて処理を実行する(S32)。鳴動タイミングが印刷ジョブの実行の開始前に設定されている場合(S33)、プリンタ3は、受信した鳴動制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報が、印刷ジョブID記憶領域52に記録されているか否かを判別する(S34,第2報知判別手段)。つまり、鳴動制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報が付与された印刷ジョブが、印刷実行中であるか否かを判別する。
【0042】
印刷ジョブID記憶領域52に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在する場合(S35;Yes)、プリンタ3は、鳴動制御コマンドの鳴動パターンに基づいて、即時にブザー46を鳴動させる(S40)。一方、印刷ジョブID記憶領域52に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在しない場合(S35;No)、プリンタ3は、ジョブ履歴記憶領域51を検索し、対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が当該ジョブ履歴記憶領域51に記録されているか否かを判別する(S36,第2報知判別手段)。ジョブ履歴記憶領域51に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在しない場合(S37;No)、プリンタ3は、鳴動制御コマンドを第1コマンド記憶領域53aに記録する(S39)。一方、ジョブ履歴記憶領域51に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在する場合(S37;Yes)、プリンタ3は、ジョブ履歴記憶領域51に記録されている印刷ジョブIDおよびホスト情報のステータスが「印刷処理完了済み」であるか否かを判別する。対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報のステータスが「印刷処理完了済み」以外の場合(S38;No)、鳴動制御コマンドを第1コマンド記憶領域53aに記録する(S39)。一方、対象となる印刷ジョブIDのステータスが「印刷処理完了済み」の場合(S38;Yes)、プリンタ3は、鳴動制御コマンドの鳴動パターンに基づいて、即時にブザー46を鳴動させる(S40)。
【0043】
一方、鳴動タイミングが印刷ジョブの実行の完了後に設定されている場合(S41)、プリンタ3は、受信した鳴動制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおおびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報が、印刷ジョブID記憶領域52に記録されているか否かを判別する(S42)。つまり、鳴動制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報が付与された印刷ジョブが、印刷処理中であるか否かを判別する。印刷ジョブID記憶領域52に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在する場合(S43;Yes)、プリンタ3は、鳴動制御コマンドを第2コマンド記憶領域53bに記録する(S44)。一方、印刷ジョブID記憶領域52に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在しない場合(S43;No)、プリンタ3は、ジョブ履歴記憶領域51を検索し、対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が当該ジョブ履歴記憶領域51に記録されているか否かを判別する(S45,第2報知判別手段)。ジョブ履歴記憶領域51に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在しない場合(S46;No)、プリンタ3は、鳴動制御コマンドを第2コマンド記憶領域53bに記録する(S44)。一方、ジョブ履歴記憶領域51に対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報が存在する場合(S46;Yes)、プリンタ3は、ジョブ履歴記憶領域51に記録されている印刷ジョブIDおよびホスト情報のステータスが「印刷処理完了済み」であるか否かを判別する。対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報のステータスが「印刷処理完了済み」以外の場合(S47;No)、鳴動制御コマンドを第2コマンド記憶領域53bに記録する(S44)。一方、対象となる印刷ジョブIDおよびホスト情報のステータスが「印刷処理完了済み」の場合(S47;Yes)、プリンタ3は、鳴動制御コマンドの鳴動パターンに基づいて、即時にブザー46を鳴動させる(S48)。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、ホストコンピュータ2から、印刷ジョブと共に、印刷ジョブID、当該ホストコンピュータ2を特定するホスト情報および鳴動パターンを含む鳴動制御コマンドをプリンタ3に送信する。これらを受信したプリンタ3は、鳴動制御コマンドを自身の記憶領域(コマンド記憶領域53)に記憶すると共に、印刷ジョブを実行する。そして、プリンタ3は、印刷ジョブの開始/完了を検出すると、これをトリガとして、当該印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む鳴動制御コマンドが記憶領域に存在するか否かを判別する。そして、記憶領域に当該鳴動制御コマンドが存在した場合、ブザー46により報知する。これにより、オペレータは印刷ジョブの開始/完了を把握できるため、例えば、レシートやクーポン等の印刷物の発行処理(印刷ジョブ)が開始された、あるいは完了したことを認識することができる。また、各ホストコンピュータ2に異なる鳴動パターンを設定することで、1台のプリンタ3を複数のホストコンピュータ2で共有する場合においても、オペレータは、プリンタ3から印刷(出力)された印刷物が、どのホストコンピュータ2から印刷されたものかを判別することができる。つまり、オペレータは、当該印刷物がどの顧客に対する印刷物かを特定できるため、渡し間違え等のトラブルを防止することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、ホストコンピュータ2側で鳴動パターンを生成し、この鳴動パターンをプリンタ3に送信することでブザー46の鳴動を実現しているが、これに限らず、プリンタ3側で、予め複数の鳴動パターンを記憶しておき、ホストコンピュータ2からプリンタ3に対して鳴動パターンを指定する情報のみを送信してブザー46を鳴動させるようにしても良い。これにより、鳴動パターンそのものの送信が不要となり、鳴動パターンの送信に係るトラフィックを削減することができる。この場合、この鳴動パターンを記録する記憶手段(報知パターン記憶手段)は、図2に示すフラッシュROM42に相当する。
【0046】
また、各ホストコンピュータ2の鳴動パターンを異なるものに設定する方法として、プリンタ3側に、その時点で各ホストコンピュータ2により使用されている鳴動パターンを登録(記録)しておき、任意のホストコンピュータ2からプリンタ3に対してコマンドを送信することで、プリンタ3に登録されている鳴動パターンの応答を得るようにしても良い。これにより、ユーザは、ホストコンピュータ2に他のホストコンピュータ2と異なる鳴動パターンを容易に設定することができる。
【0047】
また、プリンタ3にホスト情報と、ホスト情報毎に異なる鳴動パターンとを関連付けて登録(記録)しておき、プリンタ3は、ホストコンピュータ2から送信されるホスト情報によって当該ホストコンピュータ2を判別し、関連付けられた鳴動パターンで鳴動するようにしても良い。また、鳴動タイミングについても、上記のホスト情報や鳴動パターンと関連付けて、プリンタ3に登録するようにしても良い。
【0048】
また、本実施形態では、所定の印刷ジョブが開始した場合に、ブザー46を鳴動してその開始/完了を報知するようにしているが、これに限らず、全ての印刷ジョブに対して、各印刷ジョブの開始/完了を報知するようにしても良い。
【0049】
また、本実施形態では、印刷ジョブの実行開始前、あるいは実行完了後のいずれかの時点でブザー46の鳴動するように記載しているが、これは、あくまでも1例であり、実行開始前および実行完了後の両時点でブザー46を鳴動させるようにしても良いし、実行開始前から実行完了後までの間、ブザー46を鳴動させるようにしても良い。
【0050】
また、本実施形態では、対象となる印刷物としてクーポンを例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
【0051】
また、上記の例に示した、ホストコンピュータ2およびプリンタ3の機能をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0052】
また、上述した実施例によらず、プリントシステム1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係るプリントシステムのシステム構成図である。
【図2】ホストコンピュータおよびプリンタの制御ブロック図である。
【図3】印刷ジョブおよび鳴動制御コマンドを生成する手順について説明するフローチャートである。
【図4】プリンタが印刷ジョブを受信した場合の動作手順について説明するフローチャートである。
【図5】プリンタが鳴動制御コマンドを受信した場合の動作手順について説明するフローチャートである。
【図6】プリンタが鳴動制御コマンドを受信した場合の動作手順について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1…プリントシステム 2…ホストコンピュータ 3…プリンタ 42…フラッシュROM 46…ブザー 48…印刷ヘッド 51…ジョブ履歴記憶領域 53…コマンド記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のホストコンピュータと、
前記複数のホストコンピュータと接続され、前記複数のホストコンピュータから受信した印刷データに基づいて印刷を行うと共に報知機能を有するプリンタと、から成るプリントシステムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記プリンタに、前記印刷データを含む印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段と、
報知回数、報知時間、報知間隔などの報知パターンを設定する報知パターン設定手段と、
前記印刷ジョブ送信手段と非同期で動作し、前記プリンタに、前記印刷ジョブに対応する印刷ジョブID、前記ホストコンピュータ自身を特定するホスト情報および前記報知パターン設定手段により設定された前記報知パターンを含む報知制御コマンドを送信する報知制御コマンド送信手段と、を備え、
前記プリンタは、
前記印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、
受信した前記印刷ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、
前記報知制御コマンドを受信する報知制御コマンド受信手段と、
受信した前記報知制御コマンドを記憶する記憶手段と、
前記印刷ジョブに含まれる所定のデータまたはコマンドを検出する印刷ジョブ状況検出手段と、
前記印刷ジョブ状況検出手段による検出をトリガとして、前記記憶手段に、前記印刷ジョブの印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報を含む前記報知制御コマンドが存在するか否かを判別する第1報知判定手段と、
前記第1報知判別手段による判別の結果、前記印刷ジョブIDおよび前記ホスト情報含む前記報知制御コマンドが存在した場合に、当該報知制御コマンドに含まれる前記報知パターンに基づいて報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
前記報知制御コマンドは、
前記報知手段による報知タイミングを規定した情報をさらに有したことを特徴とする請求項1に記載のプリントシステム。
【請求項3】
前記プリンタは、
前記印刷ジョブの実行履歴を記憶するジョブ履歴記憶手段と、
前記報知制御コマンドを受信したとき、当該報知制御コマンドに含まれる印刷ジョブIDおよびホスト情報と同一の印刷ジョブIDおよびホスト情報が、前記ジョブ履歴記憶手段に記録されているか否かを判別する第2報知判別手段と、をさらに備え、
前記報知手段は、前記第2報知判定手段により前記印刷ジョブIDおよび前記ホスト情報が存在したと判定したとき、即時に報知することを特徴とする請求項1または2に記載のプリントシステム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、
所定の条件を満たす前記印刷ジョブを判別する印刷ジョブ判別手段をさらに備え、
前記報知制御コマンド送信手段は、前記所定の印刷ジョブに対応する前記報知制御コマンドのみを前記プリンタに送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリントシステム。
【請求項5】
前記報知手段は、電子音を発生することにより報知を行なうことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリントシステム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプリントシステムにおける前記ホストコンピュータまたは前記プリンタの各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−56614(P2009−56614A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223564(P2007−223564)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】