説明

プリントシステム

【課題】印画対象の印画状態に応じてプリンタユニットでの印画を制御し、プリントシステムが供給し得る許容電流あるいは許容電力内に抑制する。
【解決手段】印画用メディアを単位として印刷処理を行う複数台のプリンタユニットを備え、複数台のプリンタユニットによって印画した印画物を設定された順序に従って排出するプリントシステムである。各プリンタユニットは、受信した印画データを負荷解析し、負荷解析から当該印画データを印画する際のピーク電流値を算出し、算出したピーク電流値を印画要求と共にコントローラに送信するピーク電流算出手段を備える。コントローラは、各ピーク電流算出手段から送信されたピーク電流値と印画動作中のプリンタユニットの消費電流合計値とを合計した合計電流値と、プリントシステムに設定される最大電流設定値とを比較し、比較結果に基づいてプリンタユニットの印画要求に対する許否を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のプリンターを備え、この複数台のプリンターから定められた排出順で印画物を排出するプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のプリンターを備えたプリンター機構は種々提案されている。例えば、複数のプリンターと共通するソーターを備え、各プリンターに画像信号を振り分けて、各プリンターによって交互にページ順に応じてプリントを出力して、ソーターにページ順に揃えて排出する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このような複数台接続されたマルチプリンタでは、出力要求に対して、接続された複数台のプリンターの中から所定のプリンターを選択し、プリンタジョブを割り当てることが行われる。このようなマルチプリンタでは、接続される複数台のプリンターの内で複数台が同時に駆動し多くの電力を消費する場合があり、供給電源ラインの電流容量、電力容量を超えてしまう場合がある。
【0004】
このような複数台のプリンターの同時駆動による消費電流が許容電流を超えるという問題に対して、接続される複数のプリンターが消費する電力の総和が供給電源系統の電流容量を超えないように複数のプリンターのプリンター動作を制御する制御装置が提案されている(例えば、特許文献2〜5)。
【0005】
特許文献2では、プリンタジョブを送信する際に、稼動中のプリンターの消費電力の総和が設定値以下であるときにプリント動作を許可することで、電力の総和が供給電源系統の電流容量を超えないように制御している。
【0006】
特許文献3では、ネットワークに接続された機器の消費電力量を予め設定しておき、稼働中の機器の消費電力量と動作を開始しようとする機器の消費電力との和を許容量と比較することで、電力の総和が供給電源系統の電流容量を超えないように制御している。
【0007】
特許文献4では、実行予定のジョブの割り当てる消費電力値をテーブルから読み出し、ネットワークを介して接続された他の画像形成装置が実行しているジョブの消費電力値と割り当てた消費電力値との合計を求め、この合計が所定の上限を超える場合に、ジョブの優先度に応じたジョブ処理を行っている。ここで、消費電力テーブルには、ジョブの実行モード毎の消費電力を消費電力のピーク値として格納している(段落0046,0064)。
【0008】
特許文献5では、印刷の準備を行うウオームアップ動作や、印刷を行うプリント動作等の各動作に対して、その動作を行うために必要となる消費電力をプリンター側に記憶しておき、ネットワーク上のプリンターは各動作を行う前にサーバに対して電力使用申請の制御信号を送信し、サーバはプリンターから総消費電力量を予め設定された制限値を超えないように電力使用許可の制御信号をプリンターに送信している。
【0009】
【特許文献1】特開平8−305221号公報
【特許文献2】特開平11−143663号公報
【特許文献3】特開2002−142385号公報
【特許文献4】特許第3512016号公報
【特許文献5】特開2006−268324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
複数台のプリンタユニットを備えたプリンタシステムにおいて、接続される複数のプリンタユニットが消費する電力の総和がプリンタシステムの供給電源系統の電流容量を超えないようにするために、上述した文献2〜5では、プリンターの機器や動作モード等に対応して消費電力を予め設定しておき、印画を行おうとするプリンターについてその消費電力を用いてプリントシステムで消費される総和消費電力が許容量内となるようにプリンター制御を行っている。
【0011】
しかしながら、プリンタユニットによる総和消費電力の算出には、プリンターの機器や動作モード等に対応して予め設定された消費電力値が用いられているため、印画動作において実際に消費される電力と一致しない場合がある。印画動作において実際に消費される電力は印画状況に依存し、プリンターの機器や動作モード等に対応して予め設定された定格値等の設定値と一致するとは限らない。
【0012】
この設定値は、例えば、通常の使用状態で消費される基準電力値にマージン分を乗せることで設定することができ、基準値やマージン分等の既定する設定条件により変動するものの、実際の印画状態を考慮して設定されていない。これは、実際の印画動作では、印画データのデータ量やプリンタユニットの駆動条件が印画毎に変化し、これらデータ量やプリンタユニットの駆動条件に応じて消費電力が変化するため、実際の印画状態を考慮して設定することができないからである。
【0013】
したがって、従来提案されるように、プリンターの機器や動作モード等に対して予め設定された消費電力に基づいてプリンター制御を行う場合には、平均的な印画動作を想定し、これに基づいてプリンター制御を行うことになる。
【0014】
一方、プリントシステムにおいて、過剰電流や過剰電力によるシステムダウンを防ぐには、平均的な電流値や電力値が許容範囲内に収まるように制御するだけでなく、電流や電力の最大値が許容範囲内に収まるように制御する必要がある。これは、上記したように、実際の印画状態において消費される電流や電力は、印画データのデータ量に依存して変化し、プリンタユニットに定められる定格値を超える場合があるからであり、大きなデータ量を持つ印画データを印画する際には、実際に消費される総和消費電流や総和消費電力が許容量を超える場合がある。
【0015】
従来の許容値の設定において、仮に、基準電流値や基準電力値に上乗せするマージン分の幅を大きく定めることにおり、印画データのデータ量によって変動しても許容範囲内となるように制御することで、最大値によるシステムダウンを回避することが考えられるが、この場合には、プリンタユニットによる総和消費電流や総和消費電力が、大きく設定したマージン分によって低く制限されることになるため、プリントシステム全体での印画時間が長時間化するという問題が生じることになる。
【0016】
そこで、本発明は上記の課題を解決して、複数台のプリンタユニットで構成されたプリントシステムにおいて、印画対象の印画状態に応じてプリンタユニットでの印画を制御し、プリントシステムが供給し得る許容電流あるいは許容電力内に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数台のプリンタユニットをプリントシステムに関し、複数台のプリンタユニットのそれぞれの印刷データに基づいて、それぞれのプリンタユニットの消費電流を算出し、算出により得られた消費電流の合計消費電流が所定値以下となるように、複数台のプリンタユニットの中からプリンタユニットの組み合わせを選択し、選択したプリンタユニットの組み合わせで同時に印刷を行う。
【0018】
本発明のプリントシステムは、予めプリントシステムで消費される合計消費電流を、印刷データに基づいて算出して予測し、この合計消費電流がプリントシステムで許容される電流値を上回っている場合には、複数台のプリンタユニットの中から印刷を行うプリンタユニットの組み合わせを選択することで、同時印刷する際の合計消費電流が所定電流以下となるように設定し、合計消費電流を許容電流値以内となるように抑制する。
【0019】
また、本発明は、印画用メディアを単位として印刷処理を行う複数台のプリンタユニットを備え、この複数台のプリンタユニットによって印画した印画物を設定された順序に従って排出するプリントシステムに関し、次回の印画対象の印画において、その印画対象を印画する時に全プリンタユニットで消費される合計消費電流の最大値を算定し、この算定で得られた合計消費電流の最大値に基づいて次回印画対象を印画するか否かの許否を制御する。
【0020】
算出される合計消費電流の最大値は、次回印画を予定する印画対象をプリンタユニットで印画しようとするときに、プリントシステムが備える複数台のプリンタユニットで消費される合計消費電流において、この合計消費電流が変動したときに取り得る最大の電流値である。
【0021】
本発明は、この合計消費電流の最大値が許容値を超えるか否かを判定することによって、次回の印画対象を印画が可能であるか否かを判定し、この判定に基づいて印画対象を印画するか否かの許否を制御する。例えば、合計消費電流が許容値内に収まる場合には、過剰電流は発生しないと判定して、プリンタユニットに対して次回印画を予定する印画対象の印画動作を許可する。一方、合計消費電流が許容値内に収まらない場合には、過剰電流が発生すると判定して、プリンタユニットに対して次回印画を予定する印画対象の印画動作を許可せず、印画状態の変化によって合計消費電流が変化して印画が可能となるまで、印画動作を待たせる。
【0022】
本発明の上記構成によれば、印画対象を印画する際に全プリンタユニットで消費される合計消費電流の最大値を算定することによって、プリンタユニットでの印画制御を、印画対象の印画状態に応じて行うことができる。
【0023】
また、合計消費電流の最大値は、印画動作中のプリンタユニットの合計消費電流値と、次回印画対象の印画によるピーク電流値との合計電流値により算定することができる。
【0024】
印画動作中のプリンタユニットの合計消費電流値は、プリントシステムが備える複数台のプリンタユニットの内で、印画中のプリンタユニットで消費される電流値の合計である。この画動作中のプリンタユニットの消費電流値は、例えば、印画対象の印画データに基づいて算出することができる。この印画データから算出する消費電流値は、一印画対象を印画する際の平均値とすることができる。これは、複数台のプリンタユニットの印画タイミングは、各印画対象に対して同じ印画位置となるとは限らないためであり、平均値を用いることで印画タイミングのばらつきを平均化するためである。
【0025】
次回印画対象の印画によるピーク電流値は、次回に印画しようとする印画対象をプリンタユニットで印画する際に必要とされる電流値のピーク値である。印画動作においてヘッドに供給される電流値は印画対象の印画データの密度に依存し、印画データが高密度である場合には高まり、印画データが低密度である場合には低まる。したがって、一つの印画対象において、印画データの密度変化によって供給電流が変動し、印画データが高密度の部分にピーク電流が流れることになり、そのピーク電流値は印画データの密度に応じて変化する。
【0026】
したがって、印画動作中のプリンタユニットの合計消費電流値と、次回印画対象の印画によるピーク電流値とを合計して算定される合計消費電流の最大値は、次回印画対象を印画した際に、プリントシステムに求められる供給電流の最大値となる。この合計消費電流の最大値を許容値内とするように印画制御することで、単に定格値に基づいて印画制御する場合よりも、平均して高い電流値で印画制御することができ、印画速度を高めることができる。
【0027】
また、本発明は、合計消費電流の最大値の算定において、最大値を温度状況に応じて補正することができる。例えば、プリンタユニットのヘッドや印画メディアが高い温度である場合には、印画に要する温度まで加熱するために要する電流を少なくすることができ、少ない消費電流でも十分な印画画質を維持することができる。一方、プリンタユニットのヘッドや印画メディアが低い温度である場合には、印画に要する温度まで加熱するために要する電流が多くなるため、十分な印画画質を維持するには多くの消費電流が必要となる。
【0028】
そこで、本発明は、温度状況に応じて最大値を補正することによって、消費電流を最適化することができる。
【0029】
また、本発明のプリントシステムは、詳細な構成として、印画用メディアを単位として印刷処理を行う複数台のプリンタユニットを有し、これら複数台のプリンタユニットによって印画した印画物を設定された順序に従って排出するプリントシステムにおいて、各プリンタユニットを制御するコントローラを備える。
【0030】
プリントシステムが有する各プリンタユニットは、受信した印画データを負荷解析し、この負荷解析により、印画データを印画する際のピーク電流値を算出し、算出したピーク電流値を印画要求と共にコントローラに送信するピーク電流算出手段を備える。
【0031】
一方、コントローラは、プリンタユニットのピーク電流算出手段から送信されたピーク電流値と印画動作中のプリンタユニットの消費電流合計値とを合計した合計電流値と、プリントシステムに設定される最大電流設定値とを比較し、比較結果に基づいてプリンタユニットの印画要求に対する許否を制御する。
【0032】
コントローラで算出する合計電流値は、複数台のプリンタユニットの内で現時点において印画動作を行っているプリンタユニットで消費される消費電流の合計値と、印画要求により次に印画を行う予定の印画データの負荷解析から算出されたピーク電流との合計であり、この合計電流値は印画要求された印画対象を印画する際に消費される合計の消費電流となる。
【0033】
この合計電流値が最大電流設定値を超えるか否かを判定することによって、次回の印画対象を印画が可能であるか否かを判定し、この判定に基づいて印画対象を印画するか否かの許否を制御する。例えば、合計電流値が最大電流設定値内に収まる場合には、過剰電流は発生しないと判定して、プリンタユニットに対して次回印画を予定する印画対象の印画動作を許可する。一方、合計電流値が最大電流設定値内に収まらない場合には、過剰電流が発生すると判定して、プリンタユニットに対して次回印画を予定する印画対象の印画動作を許可せず、印画状態の変化によって合計電流値が変化して印画が可能となるまで、印画動作を待たせる。
【0034】
プリンタユニットが備えるピーク電流算出手段は、負荷解析から算出したピーク電流値を、各プリンタユニットが検出する温度情報に基づいて補正し、この補正した補正ピーク電流値をコントローラに送信する。
【0035】
ピーク電流算出手段は、詳細な構成として、温度とピーク電流値を補正する補正係数との関係を定める補正係数テーブルあるいは補正係数関数を備える。ピーク電流算出手段は、補正係数テーブルあるいは補正係数関数を用いて、検出した温度に対する補正係数を求め、求めた補正係数を用いてピーク電流値に補正し補正ピーク電流値を算出する。温度情報は、ヘッドの温度や印画用メディアの温度を用いることができる。
【0036】
プリンタユニットのヘッドや印画メディアの温度が高い場合には、算出したピーク電流値を下げる方向に補正する。ヘッドや印画メディアが高い温度状態にある場合には、実際に流れる電流のピーク値は算出により得られるピーク電流値よりも小さくなる。そのため、ヘッドや印画メディアが高い温度状態において、算出したピーク電流値をそのまま用いて印画制御を行うと、印画を過剰に制限することになる。これに対して、補正ピーク電流値を用いることで、ヘッドや印画メディアの温度状態に応じて、過剰に制限することなく適切な印画制御を行うことができる。
【0037】
一方、プリンタユニットのヘッドや印画メディアの温度が低い場合には、算出したピーク電流値を上げる方向に補正する。ヘッドや印画メディアが低い温度状態にある場合には、実際に流れる電流のピーク値は算出により得られるピーク電流値よりも大きくなる。そのため、ヘッドや印画メディアが低い温度状態において、算出したピーク電流値をそのまま用いて印画制御を行うと、算出したピーク電流値を超えるピーク電流が流れるおそれがある。これに対して、補正ピーク電流値を用いることで、ヘッドや印画メディアの温度状態に応じて、過剰なピーク電流を制限して適切な印画制御を行うことができる。
【0038】
本発明のプリントシステムが備えるコントローラは、合計電流値と最大電流設定値との比較により、供給電流に余裕が有ると判断される場合には、プリンタユニットからの印画要求を許可して、このプリンタユニットに印画データを印画するように指令し、供給電流に余裕が無いと判断される場合には、このプリンタユニットからの印画要求を許可せず、プリンタユニットに印画データの印画を待たせる指示を行う。
【0039】
さらに、コントローラは、供給電流に余裕が無いと判断される場合には、このプリンタユニットからの印画要求を許可せず、プリンタユニットに対して、低速で印画する際のピーク電流値を再度算出するように指示し、再度算出させたピーク電流値を印画要求と共にコントローラに送信させる制御を行う。低速による印画では、ヘッドに供給する電流量が低く抑えられるため、ピーク電流値も低下する。
【0040】
コントローラは、再度のピーク電流値の算出で得られたピーク電流値を用いて再び合計電流値を求め、求めた合計電流値を最大電流設定値と再度の比較を行う。この再比較において、供給電流に余裕が有ると判断される場合には、プリンタユニットからの印画要求を許可して、このプリンタユニットに低速によって印画データを印画するように指令する。一方、供給電流に余裕が無いと判断される場合には、このプリンタユニットからの印画要求を許可せず、プリンタユニットに印画データの印画を待たせる指示を行う。
【0041】
上記した印画制御を繰り返し、印画状態が変化して合計電流値が最大電流設定値を超えない状態と成った場合には、プリンタユニットからの印画要求を許可してプリンタユニットに印画処理を行わせる。
【0042】
コントローラは、より詳細な構成として、プリントシステムにおいて次処理に関わる制御用データを格納するポインターと、各プリンタユニットの現在の状況に関わる制御用データを格納するモニターとを有する。
【0043】
本発明のポインターは、次処理に関わる制御用データを格納し、この制御用データに基づいて各プリンタユニットから送られた印画要求の許否を判定する。また、モニターは、現在の状況に関わる制御用データを格納し、この制御用データに基づいて処理状況を監視し、プリンタユニットやシューターとの間で行う処理タイミングを調整する。
【0044】
ポインターは、印画に関わる制御用データを格納するプリントポインターと、排紙に関わる制御用データを格納するシュートポインターとを有する。プリントポインターは、次に印画する印画対象を特定するデータと、そのプリントシステムにおいて許容し得る最大の電流を設定した最大電流設定値と、稼働中のプリンタユニットに供給されている電流値の合計である消費電流合計値とを格納する。一方、シュートポインターは、次に排紙する印画対象を特定するデータを格納する。
【0045】
プリンタユニットからの印画要求に対しては、印画要求される印画対象とプリントポインターに格納される印画対象とを比較することによって印画の順序を判定し、印画要求される印画対象のピーク電流値と消費電流合計値との合計値と、最大電流設定値とを比較することによって印画要求の許否を判定する。
【0046】
また、プリンタユニットからの排紙要求に対して、排紙要求される印画対象とシュートポインターに格納される印画対象とを比較することによって排紙の順序を判定する。
【0047】
本発明のモニターは、印画に関わるプリントモニターと、排紙に関わるシュートモニターとを有する。
【0048】
プリントモニターは、各プリンタユニットの印画処理状態にある印画対象を特定するデータと消費電流値とを格納するデータエリアと、各プリンタユニットとの間で処理タイミング信号を授受するプリント仮想制御ポートとを有する。
【0049】
また、シュートモニターは、各プリンタユニットの排紙処理状態にある印画対象を特定するデータと消費電流値とを格納するデータエリアと、シューターとの間で処理タイミング信号を授受するシュート仮想制御ポートとを有する。
【0050】
モニターでは、これらデータエリアに格納されるデータに基づいて印画状況および排紙状況を把握する。また、各仮想制御ポートは印画処理および排紙処理の状況に応じて、制御信号を送信するプリンタユニットやシューターとの関係を更新する。本発明のコントローラは、モニターに仮想制御ポートを設け、この仮想制御ポートを介してプリンタユニットやシューターする構成とすることによって、制御対象のプリンタユニットやシューターが変更された場合であっても、接続の切り換えを容易に行うことができる。
【0051】
なお、上記では、合計電流値を最大電流設定値と比較することで印画制御を行うとしているが、電流による比較に限らず電力による比較で行っても良い。
【発明の効果】
【0052】
本発明のプリントシステムによれば、印画対象の印画状態に応じてプリンタユニットでの印画を制御し、プリントシステムが供給し得る許容電流あるいは許容電力内に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明のプリントシステムの態様について、図1〜図25を用いて説明する。
【0054】
図1、2は本発明のプリントシステムの概略構成を説明するための図であり、図1はプリントシステムにおける処理の流れを概括的に示し、図2はプリントシステムにおいてユーザアプリケーションとプリンター部との関係を示している。図1、2では、プリントシステム1が備える各構成要素の内で、本発明の説明に要する部分のみを示し、その他の構成要素については省略している。
【0055】
また、以下の説明では、電流によって印画制御を行う例について示しているが、電力によって印画制御を行っても良い。
【0056】
図1において、プリントシステム1は、API3によってアプリケーションプログラムの機能を呼び出す。API3には、例えば、プリンター状況IFを介してプリントシステムのステータス状態を呼び出すステータスAPI3aと、印画データIFを介して印画対象の印画データを呼び出すスキューAPI3bと、分散処理やエラー処理をバックグラウンドで行う他に、順序制御IFを介して印画の順序を制御するプログラムや、電力制御IFを介して各プリンタユニットに供給する電力を制御するプログラムを呼び出すバックグラウンドスレッドAPI3c等を備える。
【0057】
API3で呼び出したプログラムを実行し、印画データや、印画処理や排紙処理を制御するための指令をドライバー4を介してプリンター部5に送る。プリンター部5は、複数台のプリンタユニット7とこれらのプリンタユニットを制御するコントローラ6とを備え、ドライバー4を介して入力した印画データを印画用メディアに印画し、印画済みの印画用メディアをシューター8に所定の順序で排紙し、ソーター9に所定の順序で排出する。
【0058】
プリンター部5では、バックグラウンドスレッドAPI3cで呼び出したプログラムに基づいて分散処理、エラー処理を行う他、印画や排紙の順序制御、および電力制御を行う。順序制御は順序制御IFを介することによってプリンター部5のコントローラ6で行い、電力制御は電力制御IFを介してプリンター部5のコントローラ6で行う。
【0059】
図2に示すプリントシステムの概略構成図において、プリントシステム1は、印画用メディア(図示していない)の印画を行って印画物を形成するプリンター部5と、このプリンター部5に対して印画データおよび印画処理を指示するコマンドを送るユーザアプリケーション2と、ユーザアプリケーション2からのコマンドを解析して指示データをプリンター部4に送るドライバー4を備え、ユーザアプリケーション2からの指示に基づいてプリンター部5で印画用メディアに印画を行い、印画物を排紙する。
【0060】
ユーザアプリケーション2は印画処理制御部11を構成し、ステータスAPI3を利用することによって、プリンター部5の種々の状態情報を取得し、取得した状態情報に基づいて印画制御を行う。
【0061】
なお、ユーザアプリケーション2は、図示しないCPUやメモリ等のハードウエアによって構成し、メモリに格納する制御プログラムを実行し、各種処理データを一次メモリに格納するといってソフトウエア処理によって印画処理制御部9の印画処理制御を行う。また、ステータスAPI3についても、ユーザアプリケーション2が備えるCPUによるプログラムの実行で利用することができる。
【0062】
なお、ステータスAPI3は、例えば、印刷ジョブの有無に関わる情報、エラーの有無に関わる情報、印画済みの印画データの数量に関わる情報、プリンターに送信済みの印画データの数量に関わる情報などの、プリンタユニットに関わる種々の状態情報の読み出しを行うための関数を備え、ユーザアプリケーション2のプログラムは、これら関数を利用することによってプリンターに関わる種々の状態情報を簡易に取得することができる。
【0063】
本発明のプリンター部5は、複数台のプリンター(以下、プリンタユニットと呼ぶ)7A〜7Dと、これらプリンタユニット7A〜7Dを制御するコントローラ6を備える。各プリンタユニット7A〜7Dは、ドライバー4が備える複数台のドライバー(以下、ドライバユニットと呼ぶ)4A〜4Dを通して印画データおよび各種信号を授受する。また、コントローラ6は、各プリンター7A〜7Dの印画動作および排紙動作を制御する。
【0064】
本発明のプリンター部7は複数台のプリンタユニット7A〜7Dを備える。図1,2では、プリンター部7が4台のプリンタユニットを備える例を示しているが、プリンタユニットの台数は4台に限らず任意の台数とすることができる。また、これら複数台のプリンタユニットは、1つの筐体に設ける構成とする他、離れた位置に設置する構成としてもよい。
【0065】
各プリンタユニット7は、例えば、受信バッファと、印画データ形成回路と、ページメモリと、印画データを印画する際にプリンタユニットにかかる負荷量を解析し、解析した負荷量からプリンタユニットに供給する電流値の最大であるピーク電流値を算出するピーク電流算出回路と、ヘッドを備える(何れも図示していない)。ピーク電流算出回路は、ヘッド温度や印画用メディアの温度に基づいてピーク電流値を温度補正する回路部分を備える構成を付加してもよい。この温度補正回路は、温度と補正係数との関係をテーブルあるいは演算式で記憶する記憶部と、負荷解析に基づいて算出したピーク電流値を、記憶部に格納するから読み出したテーブルあるいは演算式で得られた補正係数により補正する演算を行う演算部を備えた構成とすることができる。
【0066】
なお、ピーク電流算出回路は、ハードウエアによる構成に限らず、ソフトウエアによる構成によって形成することができる。ソフトウエアによる構成では、CPUとメモリとによって構成し、メモリ内に格納する負荷解析を行うプログラム、ピーク電流を算出するプログラム、補正演算を行うプログラム等をCPUで実行することによって各処理を行うことができる。
【0067】
受信バッファは、ユーザアプリケーション2から送信された印画データをドライバー4を介して格納する。受信バッファは、1つのバッファを備える構成の他に、2つのバッファを備えるダブルバッファの構成としてもよい。ここで、各受信バッファは、一枚の印画用メディアに相当する印画データを格納する。2つの受信バッファ7を備える構成では、各受信バッファに印画データを格納して印画することによって、2種類の印画画像を形成することができる。
【0068】
受信バッファへの印画データの格納はユーザアプリケーション2の印画処理制御部11の制御によって行われる。
【0069】
印画データ形成回路は、受信バッファに格納される印画データを読み出して展開してページデータを形成し、ページメモリに格納する。
【0070】
ヘッドは、ページメモリに格納されたページデータを順次読み出して印画動作を行い、印画用メディア上に印画画像を形成する。なお、印画用メディアは、印画を行うための種々の媒体とすることができ、例えば、印画データを写真プリントして印画する場合には写真用用紙とすることができる。
【0071】
印画用メディアの残量検知は、ユーザアプリケーション2に設けた残量検知部10によって行うことができ、各プリンタユニットの残量記録手段(図示していない)から取得したインクリボンの残り枚数のデータを入力することで行うことができる。
【0072】
残量記録手段は、例えば、インクリボンの残り枚数を記録する記憶装置とすることができる。プリンタユニットによる印画を、印画データに基づいてインクリボンを印画用メディアに転写することで行う場合には、インクリボンの残り枚数と印画用メディアの残量とは対応しているため、インクリボンの残り枚数を計数することによって印画用メディアの残量を推定することができる。この記憶装置として、例えば、RFIDを用いた構成とすることができる。RFIDをインクリボンカセットに設け、未使用時の備えているインクリボンの枚数を初期値としてカウンタに記憶させておき、プリンターからインクリボンの使用枚数の情報をRF信号で取得し、使用枚数に応じてこのカウンタのカウンタ値を減算させる。これによって、RFIDのID情報としてインクリボンの残り枚数が記録される。
【0073】
プリンターは、このRFIDからインクリボンの残り枚数を取得する。インクリボンの残り枚数と対応関係にあるため、RFIDから取得したインクリボンの残り枚数から印画用メディアの残量を推定することができる。RFIDは、非接触通信によってプリンターとの間でインクリボンの使用枚数、およびインクリボンの残り枚数に関するID情報を授受することができるため、インクリボンカセットと印画用メディアとをペアとしてプリンター間で入れ替えることによって、印画用メディアを交換した場合であっても、インクリボンに設けたRFIDからそのインクリボンカセットのインクリボンの残り枚数、および印画用メディアの残量を求めることができる。
【0074】
図3を用いて、コントローラによるプリンタユニットの順序制御の概略を説明する。本発明のプリントシステムでは、定められた順序に従って印画物の排出する順序制御を行う。この排出順序はアプリケーション側において、複数の画像を、グループ順およびグループ内における画像シリアル順に設定し、この順序に従ってグループ番号および画像シリアル番号を対応するプリンタユニットに送る。プリンタユニットの排出順序制御と排紙のタイミングは、プリンター5の内部のプリンタユニット7とコントローラ6との間で通信することで制御を行う。
【0075】
プリンタユニット7は、ユーザアプリケーション2から受信した画像シリアル番号とグループ番号をコントローラ6に転送することで、排出要求を出す。排出要求を受けたコントローラ6は、転送された画像シリアル番号とグループ番号に従って、印画された印画物の順序を照合し、順序通りであればその印画物を排出する許可を出し、順序に誤りがあれば、他のプリンタユニットの排出が終わって順序通りとなるまで排出を待たせる。この順序制御によって、画像シリアル番号の順序で印画物の排出が行われる。
【0076】
プリンタユニット7の一構成では、ロール状の記録用紙(図示していない)を印画用メディアとし、このロール状の記録用紙をロール紙ホルダ(図示していない)に保持しておき、ロール紙ホルダから巻き戻した記録用紙の記録面上に印刷を行う。
【0077】
印刷は、例えば、インクリボンカセット(図示していない)に保持されたインクリボン(図示していない)を記録用紙(図示していない)の記録面に当接させながら、ヘッドによって所定位置にインクを記録することによって行う。この印刷において、カラー印刷などの多色印刷を行う場合には、インクリボンに印刷を行う色に対応したイエロー、マゼンタ、シアン等の複数のインク部分を、インクリボンの巻き取る方向に沿って順に用意しておき、インクリボンを巻き取りながらインク部分をヘッドに対して通過させる動作を、色毎に繰り返す。この際、記録用紙の同一印刷領域に各色の印刷を重ねて行わせるために、記録用紙を往復動させる。この記録用紙の往復動は、ロール紙ホルダの回転方向を変えてロール紙の巻きほどきと巻き戻しを繰り返すことで行うことができる。
【0078】
これによって、記録用紙をヘッド7eに対して往復動させ、記録用紙の同一の印刷領域に対して複数回の印刷を繰り返して行う。
【0079】
なお、インクリボンは、イエロー、マゼンタ、シアン等の色部分に加えてオーバーコート層を備え、全色の印刷が終了した印刷面上をこのオーバーコート層で覆うことによって印刷面を保護することができる。
【0080】
印刷が終了した記録用紙は、ヘッド部分を通過した後、シューター8に排紙され、排出経路を通過して、プリンター1の筐体(図示していない)に設けた排出口(図示していない)からソーター9に排出される。シューター8に対して定められた順序で排紙することによって、印画済みの印画用メディアはソーター9において定められた順序で積み重ねられて排出される。
【0081】
なお、印刷と排紙の制御は、上記したように予め定められた順序に従って行う順序制御の他に、順序にかかわらず行うバルクモードと呼ばれる制御とすることもできる。このバルクモードは、抱え込み印刷等の大量の印刷に好適である。
【0082】
次に、本発明のプリントシステムの印画動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。図に示すフローチャートは、正常な印画動作の例を示している。
【0083】
はじめに、本発明のプリントシステムの通常の印画動作を、図2の構成に基づいて図4のフローチャートを用いて説明する。図2中の“S”を付した番号は、フローチャート中の“S”を付した番号と対応している。
【0084】
ユーザアプリケーション2は、外部あるいは内部で発生した印画要求に基づいて印画処理を開始する(S1)。この印画要求がある場合、プリンタユニットにおいて印刷ジョブの有無を検索する。この印刷ジョブの有無は、例えば、ユーザアプリケーション内の印刷キューに各プリンタユニットに対する印画データが保持されているかによって判定することができる。この判定は、スキューAPI3bで読み出したプログラムによってスキュー(図示していない)に記憶する印画データを確認することで行うことができる(S2)。
【0085】
判定したプリンタユニットに対して印刷ジョブが設定されていない場合には(S2)、プリンターが備える別のプリンタユニットに切り替えた後(S12)、S1に戻って処理を行う。
【0086】
判定したプリンタユニットに対して印刷ジョブが設定されている場合には(S2)、ステータスAPI3aで読み出したプログラムによってプリンター状況IFからそのプリンタユニットのステータスを取得し、エラーが発生していないかを確認する(S3)。エラー状態のステータスは、ユーザアプリケーションがステータスAPI3の関数を実行することで取得することができる。取得したエラーステータスからエラーが有ることが確認された場合には、エラー処理を実行する(S13)。
【0087】
取得したエラーステータスからエラーが無いことが確認された場合には(S3)、プリンタユニットの印画済みの印画データの個数を計数する第2のカウンタ(以下、ライフカウンタと呼ぶ)のカウンタ値を取得する。ライフカウンタのカウンター値は、ユーザアプリケーションがステータスAPI3のバックグラウンドスレッドAPI3cの関数を実行することで取得することができる。また、プリンタユニットの送信済み印画データの個数を計数する第1のカウンター(以下、アプリケーションカウンタと呼ぶ)のカウンター値を取得する。アプリケーションカウンタのカウンター値は、ユーザアプリケーションがステータスAPI3のバックグラウンドスレッドAPI3cの関数を実行することで取得することができる(S4)。
【0088】
再度、プリンタユニットのステータスを取得し、エラーが発生していないかを確認する(S5)。取得したエラーステータスからエラーが有ることが確認された場合には、エラー処理を実行する(S13)。
【0089】
S5の工程において、エラーが無いことが確認された場合には、そのプリンタユニットに空きバッファがあるかを確認する。空きバッファの確認は、ライフカウンタのカウンタ値とアプリケーションカウンタのカウンタ値の差から求めることができる。
【0090】
プリンタユニットが2つの受信バッファを備えるダブルバッファ構成では、アプリケーションカウンタのカウンター値からライフカウンタのカウンター値を差し引いた差が“0”である場合には、送信済み印画データの個数と印画済みの印画データの個数とが一致しており、送信された印画データは全て印画されたことを示しているため、2つの受信バッファに共に空きバッファであり、空きバッファ数は“2”である。
【0091】
また、アプリケーションカウンタのカウンタ値からライフカウンタのカウンタ値を差し引いた差が“1”である場合には、送信済み印画データの個数が印画済みの印画データの個数よりも1だけ多く、この送信済み印画データは2つの受信バッファの一方に格納され、他方の受信バッファは空きバッファであることを示しており、空きバッファ数は“1”である。
【0092】
また、アプリケーションカウンタのカウンタ値からライフカウンタのカウンタ値を差し引いた差が“2”である場合には、送信済み印画データの個数が印画済みの印画データの個数よりも2だけ多く、この送信済み印画データは2つの受信バッファの両方に格納され、空きバッファは存在しないことを示しており、空きバッファ数は“0”である。
【0093】
したがって、カウンタ値の差と“1”とを比較し、カウンタ値が1以下の場合(カウンタ値の差≦1)は「空きバッファ有り」と判定し、カウンタ値が1を超える場合(カウンタ値の差>1)は「空きバッファ無し」と判定する(S6)。
【0094】
「空きバッファ有り」と判定した場合には(S6)、印画処理を実行する。印画処理は、ユーザアプリケーション2がプリンタユニット7に対して、送信する印画データのグループ番号、グループ内のシリアル番号、裏面印画データ、および印画データを送信することで行われる。なお、送信する印画データがグループ内の最後のデータである場合には、最後のシリアル番号であることを記述することで、グループ内の全印画データが送信されたことを確認することができる(S7〜S10)。
【0095】
上記S7〜S10の送信処理を行った後、ユーザアプリケーション内のアプリケーションカウンタをカウンタアップし、送信済み印画データの個数を“1”増加させる。アプリケーションカウンタは、空きバッファの確認と、エラー発生時にどの画像まで印画したかの判断に適用することができる。
【0096】
「空きバッファ無し」と判定した場合には(S6)、送信した印画データを受信バッファに格納することができず、プリンタユニットでの印画が不可能であるため、プリンター1が備える別のプリンタユニットに切り替えた後(S12)、S1に戻って処理を行う。
【0097】
なお、ライフカウンタおよびアプリケーションカウンタのカウントアップにおいて、カウントアップの数値は、例えば、基準となる印画用メディアのサイズの印画データを送信したときを“+1”とし、基準となる印画用メディアのサイズよりも大きな幅の印画用メディアに印画する印画データを送信した場合には、カウントアップの数値として“+2”を設定する。このカウントアップの数値を印画用メディアのサイズに合わせることによって、印画用メディアの残量を正しく確認することができる。また、空きバッファの確認およびエラー発生の確認を行う場合には、カウンタ値の差を1/2とすることで、基準となる印画用メディアのサイズに合わせて評価を行う。
【0098】
また、アプリケーションカウンタの初期化は、システム起動時にプリンタユニットのライフカウンタのカウンタ値を取得し、取得した値をセットする。通常、初期状態では、2つの受信バッファは空きバッファであるため、この初期化によってプリンタユニットのライフカウンタのカウンター値とアプリケーションカウンタのカウンター値とを一致させておく。
【0099】
以下、分散処理、電力制御について図5〜図10を用いて説明する。
【0100】
分散処理について、図5を用いて説明する。複数台のプリンタユニットによって印画を行う構成では、各プリンタユニットに設けた印画用メディアを交換する頻度を少なくい程、消耗品のメンテナンス負担が少なくて済む。そのためには、プリンター部内に設けたプリンタユニットの印画用メディアの使用量が同程度であり、同じタイミングでメディアエンドとなることが望ましい。しかしながら、実際の運用では1回の印画処理において印画される枚数は様々であり、また、印画が要求されるタイミングは不定の利用者に依存するため、複数台のプリンタユニット間において、何れのタイミングで電源がオン/オフされるは予測ができない。複数台のプリンタユニットに対して印画処理を割り当てる順序を固定すると、割り当順が若いプリンタユニットほど稼働率が高くなり、印画用メディアの使用頻度が高くなって減少率が高まり、各プリンタユニット間の印画用メディアの交換時期にばらつきが生じることになる。
【0101】
本発明のプリントシステムは、各プリンタユニットの印画用メディアを均等に使用するように印画を割り当てる分散処理を行う。
【0102】
プリントシステムは、アプリケーションプログラム2に印画割り当て順番テーブルを備え、この印画割り当て順番テーブルに設定された順番にしたがってプリンタユニットを選択する。印画割り当て順番テーブルは、印画を割り当てる優先順位を定めたテーブルであり、上位に順位付けされたプリンタユニットから順に印画の割り当てが行われる。
【0103】
アプリケーションプログラムの起動と同時に、各プリンタユニットの印画用メディアの残量を確認する。この残量確認は、残量検知部10によって行うことができる。本発明のプリントシステムは、印画を均等に割り当てるために、印画用メディアの残量が多い順に優先順位を定める。印画用メディアの残量は使用状況に応じて変化するため、印画用メディアの残量を確認し、印画用メディアの残量が多い順に優先順位を更新する。プリントシステムは、印画割り当て順番テーブルを動的に作成することで、常に印画用メディアの残量が多いプリンタユニットほど高い優先順位に設定することができる。
【0104】
印画用メディアの残量が多いプリンタユニットほど高い優先順位とすることで、各プリンタユニットに用意される印画用メディアの残量は均一化され、交換時期も均一化される。
【0105】
図5は印画割り当て順番テーブルの一例を示している。図示する例では、プリンタユニット1〜プリンタユニット4の印画用メディアの残数がそれぞれ100枚、100枚、109枚、110枚の例を示している。この残数例から残数の多い順にプリンタユニットを配列し、優先順位1をプリンタユニット4とし、優先順位2をプリンタユニット3とする。プリンタユニット1とプリンタユニット2の残数は共に100枚であるため、例えば、プリンタユニットの番号順に優先順位を3,4とする。これによって、印画割り当て順番テーブルには、プリンタユニット4,プリンタユニット3,プリンタユニット1,プリンタユニット2の順で優先順位が設定される。
【0106】
次の印画は、印画割り当て順番テーブルに設定される優先順位に従って印画の割り当てが行われる。印画が終了した後は、印画用メディアの残量を再度確認し、印画用メディアの残量が多い順に優先順位を更新する。
【0107】
次に、電力制御について、図6〜図10を用いて説明する。
【0108】
本発明のプリントシステムでは、電力制御を行う制御パラメータとして、画像パターン、温度情報、電圧、電流を設定する。
【0109】
画像パターンは、印画データの密度に依存し、印画対象を印画用メディアに印画する際の濃淡を定める。印画データが高密度である箇所では、例えば、ヘッドに供給する電流を増加することによって濃く印画される。一方、印画データが低密度である箇所では、例えば、ヘッドに供給する電流を減少させることによって薄く印画される。
【0110】
温度情報は、例えば、ヘッドや印画用メディアの温度であり、同一の印画データを同一の電流を供給して印画した場合であっても、温度状況に応じて印画用メディアに印画される濃淡が変化する。例えば、ヘッドや印画用メディアの温度が高い場合には、少ない電流によっても印画に要する温度まで上昇させることができる。一方、ヘッドや印画用メディアの温度が低い場合には、印画に要する温度まで上昇させるためにより多くの電流を供給する必要がある。
【0111】
電圧は、電力電源が供給する電力を定めるパラメータの1つである。ここで、通常、電力電源は、電圧を一定として供給する電流量を調整することで電力制御を行う。例えば、日本では100Vの電圧が用いられ、アメリカでは115Vの電圧が用いられ、ヨーロッパでは220Vの電圧が用いられている。そこで、本発明のプリントシステムでは、電力制御を電流の制御で行い、この電流を制御する制御パラメータとして画像パターンおよび温度情報を用い、これによって、電力電源が供給し得る電力を超えた過剰電力の発生を抑制する。
【0112】
以下、電力制御を行うための構成について図6を用いて説明し、画像パターンおよび温度の制御パラメータによる電力制御を図7〜図10を用いて説明する。
【0113】
図6は、複数台のプリンタユニットとコントローラとの関係を示している。図6において、各プリンタユニット7(7A〜7D)は印画要求と共にピーク電流値(補正ピーク電流値)をコントローラ6に送る。コントローラ6は、各プリンタユニット7から送られたピーク電流値(補正ピーク電流値)に基づいて、その印画要求を許可した際にプリントシステム全体で必要となる合計電流値が、プリントシステムの電源が供給し得る最大電流値(最大電流設定値)を超えるか否かを判定し、その判定結果に基づいて印画要求の許否を判定する。
【0114】
プリンタユニット7は、画像パターンに基づいてピーク電流値を求める。このピーク電流値は、その印画対象を印画する際に最も多く流れる電流値であり、画像データを負荷解析することで求めることができる。コントローラ6は、画像データを負荷解析して得られたピーク電流値を用いて合計電流値を算出し、プリントシステムに設定されている最大電流設定値と比較して、その比較結果に基づいて印画要求の許否を定める。これにより、プリントシステムは、単にプリンタユニットの定格電流ではなく、制御パラメータの1つである画像パターンに応じたピーク電流値を用いることで、印画状態に応じた印画制御を行うことができる。
【0115】
さらに、プリンタユニット7は、温度情報に基づいてピーク電流値を補正し、補正ピーク電流値を算出する。コントローラ6は、補正ピーク電流値を用いて合計電流値を算出し、プリントシステムに設定されている最大電流設定値と比較して、その比較結果に基づいて印画要求の許否を定める。これにより、プリントシステムは、単にプリンタユニットの定格電流ではなく、制御パラメータである画像パターンと温度情報に応じたピーク電流値を用いることで、印画状態に応じた印画制御を行うことができる。
【0116】
コントローラ6から各プリンタユニット7(7A〜7D)への制御指示は、各プリンタユニット7(7A〜7D)からの印画要求に対する応答であり、合計電流値が最大電流設定値を超えない場合には、電源が供給し得る許容範囲内で印画することができるため、印画要求を許可する指令を出力し、一方、合計電流値が最大電流設定値を超えるような場合には、電源が供給し得る許容範囲を超えて印画することになるため、印画要求を許可せず、印画を待たせる指令を出力する。
【0117】
この構成によって、電力制御する制御パラメータとして、画像データと温度情報を用いることで、各プリンタユニットの合計電流値が最大電流設定値を超えないように印画制御を行うことができる。
【0118】
図7は、画像データからピーク電流値を算出する処理、および算出したピーク電流値を温度情報によって補正する処理を説明するための図である。また、図8は印画制御の手順を説明するためのフローチャートである。
【0119】
各プリンタユニットは、待ち状態にある印画データがある場合には(S21)、そのプリンタユニットで印画を予定する画像データを受信し(S22)、この画像データを画像解析することで負荷解析を行う(S23)。この負荷解析は、ドライバーで解凍した画像データについて画像サイズや色を確定した後に行うことが望ましい。これは、ドライバーに転送する前の画像データを用いた場合には、解凍処理が必要となる他、画像サイズの最適化を行う前であるため大きな画像サイズとなる場合があり、この場合には画像処理に時間を要することになる。なお、プリンタユニットが備えるCPUの能力が不十分である場合には、ドライバーを制御するPCのCPUを用いてもよい。
【0120】
負荷解析によって階調データが得られる。この階調データは、階調値とその出現頻度や出現分布として得ることができる。階調値と供給電流との間には正の相関関係が想定されるため、階調値が高いほど多くの供給電流が必要となる。従って、この印画データを印画する際に最も多くの供給電流が必要となるピーク電流は、ピーク階調の部分となる。そこで、階調データからピーク階調値を抽出し、このピーク階調値と電源の電圧とから、ピーク電流値(Ip1)を算出する。電源電圧が高い場合には、ピーク電流値(Ip1)は低くなる(S24)。
【0121】
次に、算出したピーク電流値(Ip1)を温度情報に基づいて補正する。ここで、温度情報として、ヘッドの温度および印画用メディアの温度を用いる。ヘッド温度は、各プリンタユニットのヘッド部分あるいは近傍に温度センサを設置することで検出することができ、印画用メディア温度は、各プリンタユニットの印画用メディアの近傍に温度センサを設置することで検出することができる(S25)。
【0122】
なお、ここでは、温度情報として、ヘッドの温度および印画用メディアの温度を用いているが、何れか一方の温度を用いる他、プリンタユニットの他の部分に設けた温度センサで検出した温度によって代用してもよい。
【0123】
温度情報とピーク電流を補正する補正係数との関係を予め求めておき、テーブルあるいは関数の形態で記憶しておき、温度センサで検出した温度から対応する補正係数を求める。ここでは、ヘッド温度の補正係数をKhで表し、印画用メディア温度の補正係数をKmで表している(S26)。
【0124】
算出したピーク電流値Ip1を補正係数を用いて補正する。補正ピーク電流値Ip1*は、例えば、Ip1*=Ip1・Kh・Kmで表すことができる。この補正式は一例であって、別の関数を用いた補正式で表してもよい。上記表記において、補正ピーク電流値Ip1*中の符号“*”は補正したことを表すものである(S27)。
【0125】
各プリンタユニット1〜プリンタユニット4は、算出した補正ピーク電流値Ip1*〜Ip4*を印画要求と共にコントローラに送る(S28,29)。コントローラは、送られた補正ピーク電流値Ip1*〜Ip4*に基づいて合計消費電流値を算出する。合計消費電流値の算出は、補正ピーク電流値に稼働中のプリンタユニットで消費される消費電流値を加算することで求める。この合計消費電流値は、次印画の印画データが印画された際に発生する最大の予測電流値となる。コントローラは、この合計消費電流値をプリントシステムに設定された最大電流設定値と比較することによって、供給し得る電流に余裕があるか否かを判定する。例えば、合計消費電流値が最大電流設定値以下である場合には電流に余裕があると判定され、合計消費電流値が最大電流設定値を超える場合には電流に余裕がないと判定される。なお、合計消費電流値と最大電流設定値との比較において、最大電流設定値にバイアス値を設定して、判定に自由度を持たせても良い。
【0126】
また、各プリンタユニット1〜プリンタユニット4は、負荷解析によって得られた階調データから上記したピーク電流を求める他、平均階調から平均電流を求め、この平均電流から各プリンタユニットの消費電流を算出し、この消費電流を用いて上記の合計消費電流値を算出してもよい(S30)。
【0127】
上記判定において、電流に余裕があれば(S31)印画要求を許可し(S32)、電流に余裕がない場合には(S31)、印画要求を許可せず、印画を待たせる“待ち”の指令を出力し、印画中の他のプリンタユニットにより印画が終了して電流に余裕ができるまで待たせる(S33)。
【0128】
また、印画を待たせる指令を出力した後、プリンタユニットに低速度による印画の場合について再演算させることができる。この場合には、プリンタユニットは、低速モードで負荷解析を行って(S34)、ピーク電流値を算出する(S35)。低速モードでは、例えば、ヘッドに供給する電流値を低下させると共に、供給時間を長く設定することによって、低速状態で印画を行うことができる。
【0129】
この後、前記したS25〜S30と同様の工程によって、ヘッド温度や印画用メディア温度を取得して(S36)、ピーク電流補正係数を算出し(S37)、ピーク電流値を補正する(S38)。印画要求と共に補正ピーク電流値をコントローラに送信し(S39,S40)、コントローラによってピーク電流の余裕を演算する(S41)。
【0130】
判定において、電流に余裕があれば(S42)印画要求を許可し(S43)、電流に余裕がない場合には(S42)、印画要求を許可せず、印画を待たせる“待ち”の指令を出力し、印画中の他のプリンタユニットにより印画が終了して電流に余裕ができるまで待たせる(S44)。
【0131】
図10は印画の負荷を算出する算出例を説明するための図である。図10(a)は印画用メディアに印画するドットデータから負荷算出を行うために検出ドットデータを抽出する状態を示し、図10(b)は図10(s)中の破線で囲まれる部分を拡大して示している。
【0132】
図10(a)において、検出ドットは、印画用メディア上に印画されるドットにおいて、横方向の一ライン上で20箇所から検出し、各検出箇所では、横方向に連続する10ドットのデータを抽出する。これによって、例えば、一ラインから200ドット(=20(ライン)×10(ドット))のデータが抽出される。一ラインが2048ドットで形成されている場合には、この抽出は横方向において約10%(≒200/2048)のサンプリングレートに相当する。一方、印画用メディアの縦方向においては、例えば20ライン毎にサンプリングを行う。
【0133】
これによって、印画データの全ドットに対して約0.5%(=10%/20)の検出ドットをサンプリングすることになる。
【0134】
負荷測定では、例えば、20ライン毎に測定した横方向負荷を10測定分用い、この200ラインの測定範囲から得られる2000ドット分(=200(ドット/ライン)×10(ライン))のデータを平均して求める。この200ラインの測定範囲は、例えば、縦方向で約16mmの長さに相当し、印画時間では約0.2秒分の平均濃度に相当する。
【0135】
なお、上記の数値は一例であって、横方向の検出箇所数、一検出箇所における抽出ドット数、縦方向のサンプリングレート等は、任意に定めることができる。
【0136】
次に、コントローラ内における制御について、図12〜図21を用いて説明する。
【0137】
コントローラは制御パラメータを用いて印画順序の制御を行う。この制御パラメータは、各画像の処理順序を表すシリアル番号、各画像の処理順序とソーティング区分を表すグループ番号、各画像の裏面に印刷するバックプリントデータ(背面印刷データ)を含んでいる。
【0138】
このシリアル番号、グループ番号、バックプリントデータの各制御パラメータは、専用コマンドによってプリンタユニットに設定する。プリンタユニットは、設定された制御パラメータと、次に転送された画像データをセットにして処理を行う。最後のシリアル番号には最終であることを示すマークを付与し、この最終マークを検出することによって、処理対象の次のグループに移すと共に、ソーティングを行う。
【0139】
ユーザアプリケーションは、プリンタユニットのAPIを用いて、シリアル番号、グループ番号、バックプリントデータの各制御パラメータをプリンタユニットに設定することで、処理順序とソーティング区分を指示して制御タイミングを定める。なお、ユーザアプリケーションのAPI3に、シリアル番号やグループ番号を自動設定する機能を持たせ、これによってシリアル番号やグループ番号を付与することができる。
【0140】
図11は、シリアル番号とグループ番号の関係を示す一例を示している。ここでは、複数の画像にシリアル番号S1〜Sp、Sp+1〜Sq、Sr+1〜Snを複数のグループ番号G1〜Gnの区分けした例を示している。
【0141】
各画像の処理順序およびソーティングは、このシリアル番号に基づいて行うことができ、ソーティング区分はグループ番号に基づいて行うことができる。
【0142】
次に、コントローラ内のデータ構造について図12、図13を用いて説明する。図12において、コントローラは内部に制御用データ20を有し、この制御用データは、次の処理を示すポインター21と各プリンタユニットの状態を示すモニター22から構成される。
【0143】
ポインター21は、プリントシステムが備える制御データであって、プリントポインター21aとシュートポインター21bとを含んでいる。
【0144】
プリントポインター21aは、次に印画する印画対象のシリアル番号、グループ番号、最大電流設定値、現在印画しているプリンタユニットの消費電流合計値を備える。コントローラ20は、プリンタユニットから印画要求が出されると、その印画要求と共に送られた印画を要求する印画対象のシリアル番号、グループ番号を、プリントポインター21aに設定されているシリアル番号、グループ番号と比較する。
【0145】
この比較において、一致している場合には、消費電流合計値が最大電流設定値を越えていないことを確認して印画要求を許可する指令を出し、プリントポインター21aの値をインクリメントしてシリアル番号とグループ番号を更新する。消費電流合計値が最大電流設定値を越えている場合には、他の印画が終了して電流に余裕ができるまでプリンタユニットの動作を待たせる。一方、比較した結果、一致していない場合には印画要求を許可せず、正しい順番となるまで待たせる。
【0146】
シュートポインター21bは、次に排出する印画対象のシリアル番号、グループ番号を備える。コントローラ20は、プリンタユニットから排出(シュート)要求が出されると、その排出要求と共に送られた排出を要求する印画対象のシリアル番号、グループ番号を、シュートポインター21bに設定されているシリアル番号、グループ番号と比較する。
【0147】
この比較において、一致している場合には、排出要求を許可する指令を出し、シュートポインター21bの値をインクリメントしてシリアル番号とグループ番号を更新する。一方、比較した結果、一致していない場合には排紙要求を許可せず、正しい順番となるまで待たせる。
【0148】
モニター22は、各プリンタユニットの状況を把握・管理する制御データであって、各プリンタユニットの印画状況に関わるプリントモニター22aと、排紙状況に関わるシュートモニター22bとを含んでいる。
【0149】
プリントモニター22aは、各プリンタユニットが現在印画している印画対象のシリアル番号、グループ番号、バックプリントデータ、消費電流値の各データと、プリンタユニットとの間で通信を行って処理タイミングを調整するためのプリント制御仮想ポートを備える。
【0150】
図13はモニターが備える制御仮想ポートを説明するための図である。図13(a)は、プリント制御仮想ポートの一例を示している。プリント制御仮想ポートは、入力ポートとして、印画データのデータ転送要求を入力する“dataReq”ポートと、プリンタユニットからの印画要求を入力する“prnReq”ポートと、予備ポートを備え、出力ポートとして、印画データのデータ転送要求を許可する転送許可を出力する“dataAct”ポートと、プリンタユニットからの印画要求を許可する印画許可を出力する“prnAct”ポートと、予備ポートを備える。
【0151】
一方、シュートモニター22bは、各シューターが現在排出している印画対象のシリアル番号、グループ番号、バックプリントデータの各データと、プリンタユニットとの間で通信を行って処理タイミングを調整するためのシュート制御仮想ポートを備える。
【0152】
図13(b)は、シュート制御仮想ポートの一例を示している。シュート制御仮想ポートは、入力ポートとして、排紙開始要求を入力する“outReq”ポートと、シュート開始要求を入力する “shootReq”ポートと、予備ポートを備え、出力ポートとして、排紙要求を許可する排紙許可を出力する“outAct”ポートと、シュートを許可するシュート許可を出力する“shootAct”ポートと、予備ポートと、シューティング中(排紙中)の状態を出力する“shooting”ポートと、バックプリントを指示する“bPrint”ポートを備える。
【0153】
図14は、コントローラ6とプリンタユニット7(ここでは、プリンタユニット7A〜プリンタユニット7D)が備えるデータ例を示している。
【0154】
ここでは、プリンタユニット7B〜プリンタユニット7Dによってシリアル番号Sn-1,Sn-2,Sn-3が印画中であり、プリンタユニット7Aはシリアル番号Snを印画要求する状態を示している。
【0155】
コントローラ6のプリントポインター21aには、次に印画する印画対象のシリアル番号Snおよびグループ番号Gmが設定され、最大電流設置値Imaxと現在印画中の消費電流合計値Itotalが設定され、シュータポインター21bには、次に予定する印画対象のシリアル番号Snおよびグループ番号Gmが設定されている。
【0156】
また、プリンタユニット7Aの状態を監視・管理するプリントモニター22aと、プリンタユニット7Aに対応するシューターの状態を監視・管理するシュートモニター22bは、現在印画および排紙が行われてないものとしている。
【0157】
以下、コントローラとプリンタユニット間の通信について、図15のフローチャートと、図16、図18、図20,図22のタイミングチャートと、図17,図19,図21,23の状態図を用いて説明する。
【0158】
図15のフローチャートにおいて、プリンタユニットからコントローラに対して、次に印画する印画対象の画像制御情報を転送する(S51)。コントローラは、転送された画像制御情報に基づいて消費電流制御を行い(S52)、印画要求が許可される場合には印画処理を行う(S53)。印画が終了した後、プリンタユニットからシューターに印画物を排出して渡す(S54)。シューターで搬送された印画物にバックプリントを行い(S55)、所定の順序でソーティングする(S56)。
【0159】
コントローラとプリンタユニットとの間の通信は、モニター22が備えるプリント制御仮想ポートを介して、処理タイミングを調整(ハンドシェーク)して行われる。
【0160】
上記した各処理の内、はじめに、画像制御情報の転送処理について図16、図17を用いて説明する。
【0161】
プリンタユニットは、画像制御情報が揃うと、コントローラの“dataReq”ポートを使ってプリンタユニットにデータ転送要求を出力する(図16(a)中のa)。画像制御情報としては、ここでは、印画を要求する印画対象に付されたシリアル番号Sn、グループ番号Gm、バックプリントデータ、補正ピーク電流値Ipeak*としている。
【0162】
印画要求を受けたコントローラは、データ受信の準備ができると、“dataAct”ポートを使ってプリンタユニットに転送許可を出力し(図16(b)中のb)、画像制御情報を受信する(図16(c)中のc)。
【0163】
画像制御情報を受信した後、プリンタユニットは、コントローラの“dataReq”ポートを使ってコントローラにデータ転送要求の取り下げを行い(図16(a)中のd)、コントローラは“dataAct”ポートを使ってプリンタユニットにデータ転送許可の取り下げを行う(図16(b)中のe)。
【0164】
次に、消費電流制御と印画処理について図18、図19を用いて説明する。
【0165】
プリンタユニットは、印画が可能な状態となると、コントローラの“prnReq”ポートを使ってコントローラに印画開始要求を出力する(図18(a)中のa)。印画開始要求を受けたコントローラは、画像制御情報で得たシリアル番号Snおよびグループ番号Gmを、プリントポインターに記憶するシリアル番号Snおよびグループ番号Gmと比較して印画順序を確認する。また、画像制御情報で得た補正ピーク電流Ipeak*にプリントポインターに記憶する消費電流合計値を加算して合計電流値を算出し、プリントポインターに記憶する最大電流設定値Imaxと比較して電流を確認する。
【0166】
コントローラは、印画順序と電流とを確認して印画が可能な状態となると、“prnAct”ポートを使ってプリンタユニットに印画許可を出力する。このとき、他のプリンタユニットによるエラーリカバリー処理を行う場合があるため、プリントポインター以下のシリアル番号、グループ番号であれば印画許可を出力する(図18(b)中のb)。
【0167】
プリンタユニットは、印画が終了すると、コントローラの“prnReq”ポートを使ってコントローラに印画要求を取り下げる(図18(a)中のc)。コントローラは、“prnAct”ポートを使ってプリンタユニットに印画許可の取り下げを行う(図18(b)中のd)。
【0168】
印画処理に伴ってプリントポインターをインクリメントしてシリアル番号Snおよびグループ番号Gmを更新して、シリアル番号Sn+1およびグループ番号Gm+1とする。
【0169】
次に、プリンタユニットからシューターへ印画物を排出する処理について図20、図21を用いて説明する。
【0170】
プリンタユニットは、排紙可能な状態となると、コントローラの“outReq”ポートを使ってコントローラに排出開始要求を出力する(図20(a)中のa)。排出開始要求を受けたコントローラは、画像制御情報で得たシリアル番号Snおよびグループ番号Gmを、シュートポインターに記憶するシリアル番号Snおよびグループ番号Gmと比較して排出順序を確認する。
【0171】
コントローラは、排出順序を確認して排出が可能な状態となると、シューター(図示していない)を動かして印画物をシューターに排出させると共に、“outAct”ポートを使ってシューターに排出許可を出力し(図20(b)中のb)、“shooting”ポートを使ってシューティング中であることのステータスをプリンタユニットにセットする(図20(c)中のb)。
【0172】
このとき、他のプリンタユニットでエラーが発生している場合があるため、シュートモニターのシリアル番号Snおよびグループ番号Gmと一致しているときのみ排出許可を出力する。
【0173】
プリンタユニットは、排出が終了すると、コントローラの“outReq”ポートを使ってコントローラに印画要求を取り下げる(図20(a)中のc)。コントローラは、“outAct”ポートを使ってプリンタユニットに排出要求の取り下げを行う(図20(b)中のd)。
【0174】
プリンタユニットは、印画用メディアがロース紙である場合にはカットしてシューターに排出する((図20(a)中のe)。
【0175】
次に、シューターへの印画物の引き渡し、バックプリントの印刷処理、およびソーティング処理について図22、図23を用いて説明する。
【0176】
プリンタユニットは、シュート可能な状態となると、コントローラの“shootReq”ポートを使ってコントローラにシュート開始要求を出力する(図22(a)中のa)。シュート開始要求を受けたコントローラは、シュートを要求する印画物のシリアル番号Snおよびグループ番号Gmを、シュートポインターに記憶するシリアル番号Snおよびグループ番号Gmと比較してシュートの順序を確認する。
【0177】
コントローラは、シュート順序を確認して排出が可能な状態となると、シューター(図示していない)を動かすと共に、“shootAct”ポートを使ってプリンタユニットにシュート許可を出力する(図22(b)中のb)。
【0178】
プリンタユニットは、シュート許可を確認した後、シュート開始要求を取り下げる(図22(a)中のc)。コントローラは、“bPrint”ポートを使ってプリンタユニットにバックプリントをセットし、バックプリント動作を開始する(図22(d)中のd)。コントローラは、シュートモニターの画像制御情報に基づいて、ソーティングを行う(図22(d)中のe)。ソーティングが完了した後、コントローラは“shootAct”ポートおよび“shooting”ポートを使って、シュート許可とシューティング中であることのステータスを取り下げる(図22(b),(c)中のf)。
【0179】
次に、I2Cを用いてコントローラとプリンタユニット間の接続を行う例について図24、図25を用いて説明する。
【0180】
コントローラとプリンタユニット間で通信するデータには、ある程度のレスポンスで常に更新が必要であり、コントローラに設定した仮想ポートを介して通信する仮想ポートデータと、シリアル番号やグループ情報やバックプリントデータ等のように1枚の印画に対して1回だけ設定すればよい制御データの2種類がある。
【0181】
図24は、I2Cによる通信を行うコントロールボードとプリンタユニットとの関係を示している。ここでは、プリンタユニットは4台の例を示している。
【0182】
コントロールボードは、4台のプリンタユニットの各仮想ポートデータを認識しておく必要がある。一方、各プリンタユニットはコントロールボード間との仮想ポートデータのみを認識していればよい。コントロールボードが仮想ポートの更新を行うには、各プリンタユニットに対して、出力仮想ポートおよび入力出力仮想ポートを特定するそれぞれ1バイト分の情報を送信すればよい。
【0183】
コントロールボード側では、I2C処理タスクが一定時間毎に各プリンタユニットと送受信を順番に行い、その際仮想ポート情報をアップデートしていく。一方、プリンタユニット側では、コントロールボードからの通信で割り込みを発生させ、割り込み処理内で送受信を行う。
【0184】
図24において、コントロールボード側からプリンタユニット側に対してマスター送信を行う。マスター送信において、プリンタユニット側はアドレスが一致すると受信割り込みを1回行って処理する。また、コントロールボード側はプリンタユニット側からマスター受信を行う。マスター受信において、コントロールボード側はアドレスが一致すると受信割り込みで送信要求を確認し、プリンタユニット側は送信を行う。コントロールボード側は、プリンタユニット側から送信完了割り込みを受けて、スレーブ受信モードに戻し送受信を完了する。
【0185】
制御データとして、シリアル番号、グループ番号、バックプリントデータ等がある。上記した仮想ポートデータの通信が送受信でそれぞれ1バイト情報であるのに対して、これら制御データの通信は100バイト程度のデータ送受信が必要となる。コントローラとプリンタユニットの双方は、制御データ通信と仮想ポートデータ通信とを区別して行う必要がある。そこで、制御データ通信では、画像制御情報の転送用ハンドシェイクが成立した直後に1回のみ行う。
【0186】
図25は、マスター送受信を説明するためのタイミングチャートである。図25において、マスター受信通信によって、プリンタユニットはコントローラ側の“dataReq”ポートを介してコントローラに制御データの送信要求を行う(図25(a)のa)。
【0187】
次に、マスター送信通信によって、コントローラは“dataAct”ポートを介してプリンタユニットに制御データの送信を許可する(図25(b)のb)。
【0188】
コントローラとプリンタユニットはハンドシェイクが成立した後、マスター受信通信によって1回だけ制御データの通信を行う(図25(c)のc)。
【0189】
プリンタユニット内での制御データの送信方法は、2種類考えられる。一つの送信方法は、送信用割り込み処理を所定回数(例えば、100回)行い、最後に受信に戻す方法であり、この場合には、割り込み優先順位を低く設定して、多重割り込みを許可しておく。
【0190】
また、他の送信方法はイベントドリブン方式であり、割り込み処理内でフラグを立て、I2C処理タスクが送信を行うものである。
【0191】
制御データ通信モードによって制御データの送信が完了した後、制御データの送信許可を取り消し(図25(a)のd)、制御データの送信許可を取り消して(図25(b)のe)、制御データ通信モードから仮想ポート通信モードに戻る。
【0192】
仮想ポート情報をアップデートするには、常に、I2Cによる通信が行われているため、通信エラーが発生しても自動的に復帰する機能が効果的である。I2C通信は、常にコントロールボードのマスターモードが開始されているため、コントロールボードは通信異常を検出すると、コントロールボード自体の制御回路をリセットした後、スレーブ受信モードにして一定時間何も行わない。
【0193】
各プリンタユニットのI2C制御タスクは、コントローラからの通信を監視し、一定時間通信が無い場合は自分のI2C制御回路をリセットした後、スレーブ信号モードにする。コントローラからの通信を監視は、I2C割り込みでフラグかカウンターをセットし、これを制御タスクがモニターすることで行う。
【0194】
コントロールボードの通信停止期間は、各プリンタユニットが異常を検出してからI2C制御回路をリセットする時間に対して十分に長く設定する。これによって、I2C通信機能をリセットすることができ、再通信が可能となる。I2C通信に限らず、RS422等の他の通信アルゴリズムを適用することができる。
【0195】
次に、エラーが発生した際の復旧処理(リカバリー処理)について、図26,図27を用いて説明する。
【0196】
本発明のプリントシステムは、複数台のプリンタユニットを備えるプリントシステムにおいて、何れかのプリンタユニットにエラーが発生した場合には、リカバリー処理を行うことによって、印画物を定められた順序による排出を維持する。このリカバリー処理は、印画用メディアが不足した場合のメディアエンドに対処するためのメディアエンドリカバリーと、メディアエンド以外の突発的に発生するエラーに対処するためのリカバリーの2種類を備える。
【0197】
図26は、突発的に発生するエラーに対するリカバリー処理を説明するための図である。このリカバリー処理は、エラー発生時において、正常なプリンタユニットを用いて印画順の整合性を確保し、整合性が確保された後は、正常なプリンタユニットを使用して印画を再開する。
【0198】
data1〜data3の印画処理が終了して印画物を排出した後、プリンタユニット1〜3はバッファに格納されているdata5〜data7の印画処理を行う。ここでプリンタユニット4のエラーを検出すると、プリンタユニット1がdata5の印画処理が終了して印画物を排出を要求したとき、排出順の整合性を保つために、data5の印画物の排出を許可せず、待ちの状態とする(図26(b))。
【0199】
ここで、プリンタユニット1のdata5の印画物をカットして廃棄し、プリンタユニット1,2のバッファに格納するdata9,10を廃棄し、プリンタユニット1において、エラーが発生したdata4とカットした廃棄したdata5とを順に印画して整合性を確保する(図16(c),(d))。
【0200】
図27は、メディアエンドに対するリカバリー処理を説明するための図である。このリカバリー処理は、メディアエンドの発生を検出時において、メディアエンドとなったプリンタユニットを除く他のプリンタユニットを用いて印画を行う。
【0201】
図27は4台のプリンタユニットを備えるプリントシステムにおいて、プリンタユニット1によるdata1の印画後にメディアエンドとなる場合について示している。ここで、プリンタユニット1はメディアの残量が“1”であり、プリンタユニット2〜4はメディアの残量が“2”であるとする(図27(a))。
【0202】
プリンタユニット1はdata1の印画が完了した後、排紙と同時に次のメディア準備を行う際にメディアエンドによるエラーが検出される。コントローラは、プリンタユニット1の印画が完了したことを確認するがメディアエンドが検出されているため次の印画を行わず、プリンタユニット2の印画が終了したこととエラーが無いことを確認し、次にdata5の印画を行う(図27(b))。
【0203】
上記した例では、メディアエンドエラーの発生を検出することで、そのプリンタユニットによる印画を停止し、残りのプリンタユニットに振り分けて印画を行う構成としているが、上記構成の他に、プリンタユニット内に2つのバッファを用いて、次印画のデータを用意することによって印画処理の中断を低減すると共に、メディアエンドの発生を予測し、メディアエンドの発生が近づいたプリンタユニットについては、1つのバッファのみで処理を行うことによって、リカバリー処理を容易なものとすることができる。
【0204】
メディアエンドの発生予測は、例えば、メディアにメディア残りのメディア数を計数するカウタを備えたRF−IDを設け、このRF−IDからメディアの残量を読み出すことによってメディアエンドの発生時期を予測することで行うことができる。
【0205】
なお、上記した構成例は一例であり、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、各種変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】本発明のプリントシステムにおける処理の流れを概括的に示す図である。
【図2】本発明のプリントシステムにおいてユーザアプリケーションとプリンター部との関係を示す図である。
【図3】本発明のコントローラによるプリンタユニットの順序制御の概略を説明するための図である。
【図4】本発明のプリントシステムの通常の印画動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の印画割り当て順番テーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明の複数台のプリンタユニットとコントローラとの関係を示す図である。
【図7】本発明の画像データからピーク電流値を算出する処理、および算出したピーク電流値を温度情報によって補正する処理を説明するための図である。
【図8】本発明の印画制御の手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の印画制御の手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の印画の負荷を算出する算出例を説明するための図である。
【図11】本発明のシリアル番号とグループ番号の関係を示す一例を示す図である。
【図12】本発明のコントローラ内のデータ構造を説明するための図である。
【図13】本発明のモニターが備える制御仮想ポートを説明するための図である。
【図14】本発明のコントローラとプリンタユニットが備えるデータ例を示す図である。
【図15】本発明のコントローラとプリンタユニット間の通信を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、画像制御情報の転送を説明するためのタイミングチャートである。
【図17】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、画像制御情報の転送を説明するための状態図である。
【図18】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、消費電流制御、印画処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、消費電流制御、印画処理を説明するための状態図である。
【図20】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、印画物の排出を説明するためのタイミングチャートである。
【図21】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、印画物の排出を説明するための状態図である。
【図22】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、印画物のシューターへの排出、ソーティングを説明するためのタイミングチャートである。
【図23】本発明のコントローラとプリンタユニット間において、印画物のシューターへの排出、ソーティングを説明するための状態図である。
【図24】本発明のI2Cを用いてコントローラとプリンタユニット間の接続を行う例を説明するための概略図である。
【図25】本発明のマスター送受信を説明するためのタイミングチャートである。
【図26】本発明の突発的に発生するエラーに対するリカバリー処理を説明するための図である。
【図27】本発明のメディアエンドに対するリカバリー処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0207】
1 プリントシステム
2 ユーザアプリケーション
3 API
3a ステータスAPI
3b スキューAPI
3c バックグラウンドシレッド
4,4A,4B,4C,4D ドライバー
5 プリンター部
6 コントローラ
7,7A,7B,7C,7D プリンタユニット
8 シューター
9 ソーター
10 残量検知部
11 印画処理制御部
20 制御データ
21 ポインター
21a プリントポインター
21b シュートポインター
22 モニター
22a プリントモニター
22b シュートモニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のプリンタユニットをプリントシステムにおいて、
前記複数台のプリンタユニットのそれぞれの印刷データに基づき、それぞれのプリンタユニットの消費電流を算出し、
算出された消費電流の合計消費電流が所定値以下となるように前記複数台のプリンタユニットの中から選択されたプリンタユニットの組み合わせで同時印刷を行うことを特徴とする、プリントシステム。
【請求項2】
印画用メディアを単位として印刷処理を行う複数台のプリンタユニットを備え、当該複数台のプリンタユニットによって印画した印画物を設定された順序に従って排出するプリントシステムにおいて、
次回の印画対象の印画において、当該印画対象の印画時に全プリンタユニットで消費される合計消費電流の最大値を算定し、当該算定で得られた合計消費電流の最大値に基づいて次回印画対象の印画の許否を制御することを特徴とする、プリントシステム。
【請求項3】
前記合計消費電流の最大値は、印画動作中のプリンタユニットの合計消費電流値と、次回印画対象の印画によるピーク電流値との合計電流値により算定すること特徴とする請求項1又は2に記載のプリントシステム。
【請求項4】
前記合計消費電流の最大値は、温度状況に応じて補正することを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載のプリントシステム。
【請求項5】
複数台のプリンタユニットをプリントシステムにおいて、
前記各プリンタユニットを制御するコントローラを備え、
前記各プリンタユニットは、
受信した印画データを負荷解析し、当該負荷解析から当該印画データを印画する際のピーク電流値を算出し、算出したピーク電流値を印画要求と共にコントローラに送信するピーク電流算出手段を備え、
前記コントローラは、
前記各ピーク電流算出手段から送信されたピーク電流値と印画動作中のプリンタユニットの消費電流合計値とを合計した合計電流値と、プリントシステムに設定される最大電流設定値とを比較し、比較結果に基づいてプリンタユニットの印画要求に対する許否を制御することを特徴とする、プリントシステム。
【請求項6】
前記数台のプリンタユニットは、印画用メディアを単位として印刷処理を行い、印画した印画物を設定された順序に従って排出することを特徴とする、請求項5に記載のプリントシステム。
【請求項7】
前記ピーク電流算出手段は、前記負荷解析から算出したピーク電流値を、各プリンタユニットが検出する温度情報に基づいて補正し、この補正した補正ピーク電流値をコントローラに送信することを特徴とする、請求項5又は6に記載のプリントシステム。
【請求項8】
前記ピーク電流算出手段は、温度とピーク電流値を補正する補正係数との関係を定める補正係数テーブルあるいは補正係数関数を備え、当該補正係数テーブルあるいは補正係数関数を用いて前記温度情報の温度に対する補正係数を求め、求めた補正係数を前記算出したピーク電流値に乗ずることによりピーク電流値を補正し補正ピーク電流値を算出することを特徴とする、請求項5から7の何れか1つに記載のプリントシステム。
【請求項9】
前記温度情報は、ヘッドの温度および印画用メディアの温度の何れか一方あるいは両方であることを特徴とする、請求項7又は8に記載のプリントシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記合計電流値と前記最大電流設定値との比較により、供給電流に余裕が有ると判断される場合には、当該プリンタユニットからの印画要求を許可して、当該プリンタユニットに印画データを印画させ、
供給電流に余裕が無いと判断される場合には、当該プリンタユニットからの印画要求を許可せず、プリンタユニットに当該印画データの印画を待たせる制御を行うことを特徴とする、請求項5又は6に記載のプリントシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記合計電流値と前記最大電流設定値との比較により、プリントシステムが供給電流に余裕が有ると判断される場合には、当該プリンタユニットからの印画要求を許可して、当該プリンタユニットに印画データを印画させ、
供給電流に余裕が無いと判断される場合には、当該プリンタユニットからの印画要求を許可せず、プリンタユニットに対して、低速で印画する際のピーク電流値を再度算出させ、当該算出したピーク電流値を印画要求と共にコントローラに送信させる制御を行うことを特徴とする、請求項5又は6に記載のプリントシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、
プリントシステムにおいて次処理に関わる制御用データを格納するポインターと、各プリンタユニットの現在の状況に関わる制御用データを格納するモニターとを有し、
前記ポインターに格納する次処理に関わる制御用データに基づいて各プリンタユニットから送られた印画要求の許否を判定し、
前記モニターは、現在の状況に関わる制御用データに基づいて処理状況を監視し、処理タイミングを調整することを特徴とする、請求項5又は6に記載のプリントシステム。
【請求項13】
前記ポインターは、
次に印画する印画対象を特定するデータと最大電流設定値と消費電流合計値とを格納するプリントポインターと、次に排紙する印画対象を特定するデータを格納するシュートポインターとを有し、
プリンタユニットからの印画要求に対して、
印画要求される印画対象とプリントポインターに格納される印画対象とを比較することによって印画の順序を判定し、
印画要求される印画対象のピーク電流値と消費電流合計値との合計値と、最大電流設定値とを比較することによって印画要求の許否を判定し、
プリンタユニットからの排紙要求に対して、
排紙要求される印画対象とシュートポインターに格納される印画対象とを比較することによって排紙の順序を判定することを特徴とする、請求項12に記載のプリントシステム。
【請求項14】
前記モニターは、
各プリンタユニットの印画処理状態にある印画対象を特定するデータと消費電流値とを格納するデータエリアと、各プリンタユニットとの間で処理タイミング信号を授受するプリント仮想制御ポートとを有するプリントモニターと、
各プリンタユニットの排紙処理状態にある印画対象を特定するデータと消費電流値とを格納するデータエリアと、シューターとの間で処理タイミング信号を授受するシュート仮想制御ポートとを有するシュートモニターとを有し、
前記データエリアに格納されるデータに基づいて印画状況および排紙状況を把握し、
前記各仮想制御ポートを印画処理および排紙処理の状況に応じて更新することを特徴とする、請求項12に記載のプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−23187(P2009−23187A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187755(P2007−187755)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】