説明

プリントヘッドの駆動方法およびそれを利用したプリンタ

【課題】 プリンタヘッドを小型化する。
【解決手段】 プリントヘッド10は、走査方向の機構画素のサイズを、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/n(nは2以上の整数)の大きさで形成する。ここでは、nを2とするが、2以上の整数であってもよい。データ入力部54は、プリンタ100で印画すべき画像データを図示しないインターフェースを介して入力する。制御部50は、モータ52を介して、プリントヘッド10を走査方向に送る。その際、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/nの幅を単位にして、プリントヘッド10を送る。一方、制御部50は、垂直方向に対して、プリントヘッド10を移動させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドの駆動技術に関し、特に印画すべき媒体に対してプリントヘッドを動作させるプリントヘッドの駆動方法およびそれを利用したプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
機構が比較的簡易であり、コストも比較的低いプリンタとして、LED(Light Emitting Diode)プリンタが開発されている。LEDプリンタは、複数のLEDを備えており、複数のLEDのそれぞれを所定のパターンで発光させることによって、回転ドラムに潜像を形成する。さらに、回転ドラムに形成された潜像にトナーを付着させて、当該トナーによって印画や印字を実行する。このような、LEDプリンタは、比較的消費電力が大きく、また発熱量も大きい(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−142403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、撮像機能付きの携帯電話やデジタルカメラが普及し、ユーザは様々な場所で手軽に撮影を行っている。それに伴って、デジタルカメラ等で撮影した静止画像を様々な場所で印画できれば、デジタルカメラの使用用途が多様になる。ユーザにとっては、撮影した静止画像をすぐに手渡しで交換できるので、利便性や娯楽性が向上する。また、デジタルカメラ等の製造メーカにとっては、デジタルカメラ等の販売台数の向上につながる。このような目的のため、プリンタには、一般的に小型であることや、バッテリー駆動を想定して低消費電力で動作することが要求される。
【0004】
LEDプリンタよりも低消費電力で動作するプリンタとして、光源に有機EL(electroluminescence)を使用した有機ELプリンタがある。有機ELプリンタでは、一般的に赤色に発光する有機EL素子がひとつの方向に配列され、さらに緑色に発光する有機EL素子と青色に発光する有機EL素子のそれぞれが、赤色に発光する有機EL素子と平行に配列されている。有機ELプリンタは、複数の有機EL素子を有したプリンタヘッドがフィルム上を走査することによって、フィルムに静止画像を印画する。しかしながら、プリンタヘッドは複数の有機EL素子を有しているので、ある程度の大きさになってしまう。そのため、このような有機ELプリンタを小型化するためには、プリンタヘッドの小型化が望ましい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリンタヘッドを小型化するプリントヘッドの駆動方法およびそれを利用したプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のプリントヘッドの駆動方法は、ヘッド走査方向の画素サイズを、本来1画素の印画に必要なサイズの1/n(nは2以上の整数)の大きさで形成し、各画素の印画に当たり、ヘッド送りをしつつn回同じデータを印画することにより、1画素の印画を完了させる。
【0007】
この態様によると、ヘッド走査方向の画素サイズを本来のサイズの1/nにするために、画素を備えた装置のサイズを小さくしつつ、画素サイズを小さくしてもn回同じデータを印画するために本来印画すべき画像を印画できる。
【0008】
本発明の別の態様は、プリンタである。このプリンタは、ヘッド走査方向の画素サイズを、本来1画素の印画に必要なサイズの1/n(nは2以上の整数)の大きさで形成したプリントヘッドと、そのプリントヘッドを送りつつ、n回同じデータを印画せしめる制御部と、を備える。
【0009】
「画素」とは、一般的に画像を構成する最小単位であるが、色の構成要素がRGBの3原色であれば、画像を構成する最小単位に含まれたRGBのそれぞれ、例えばRGBディスプレイのそれぞれの発光素子を画素という場合もある。ここでは、フィルム等に印画された画素とプリントヘッドに形成された画素を特に区別なく使用するが、必要に応じて前者を印字画素とよび、後者を機構画素と呼んでもよい。例えば、「ヘッド走査方向の画素サイズ」は機構画素に対応し、「本来1画素の印画」は印字画素に対応してもよい。また、RGBのそれぞれの画素をまとめて「絵素」ともいうが、特に必要のない限り、ここでは「絵素」を「画素」という。「本来1画素」とは、予め規定されたひとつの画素のサイズに相当する。また、予め規定されたひとつの印字画素のサイズに相当してもよい。
【0010】
この態様によると、ヘッド走査方向の画素サイズを本来のサイズの1/nにするために、画素を備えたプリントヘッドのサイズを小さくしつつ、画素サイズを小さくしてもn回同じデータを印画するように制御するために本来印画すべき画像を印画できる。
【0011】
制御部は、本来1画素の印画に必要なサイズの1/nの幅を単位にして、プリントヘッドを送ってもよい。この態様によれば、プリントヘッドの送り幅と画素サイズを等しくするために、制御部はプリントヘッドを送る際に付加的な調整を省略でき、プリントヘッドを送る際の制御を容易にできる。
【0012】
プリントヘッドは、ヘッド走査方向と垂直な方向の画素サイズを本来1画素の印画に必要なサイズにもとづいて形成し、制御部は、ヘッド走査方向と垂直な方向に対して、プリントヘッドを固定してもよい。この態様によれば、プリンタヘッドは、ヘッド走査方向と垂直な方向に動作しないので、プリンタの機構を簡略化できる。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プリンタヘッドを小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、有機EL素子を光源として備えた有機ELプリンタに関する。本実施例に係る有機ELプリンタは、四角形のフィルム上をプリントヘッドが走査することによって、フィルム上に画像が印画される。プリントヘッドが走査する方向(以下、「走査方向」という)は、フィルムのひとつの辺に沿っているものとし、フィルムの面上において走査方向に垂直の方向(以下、「垂直方向」という)にはプリントヘッドが走査しないものとする。またプリントヘッドの垂直方向には、赤色に発光する有機EL素子(以下、「赤色有機EL素子」という)が、複数配列している。さらに、緑色に発光する複数の有機EL素子(以下、「緑色有機EL素子」という)と青色に発光する複数の有機EL素子(「青色有機EL素子」という)がプリントヘッドの走査方向に位置をずらしつつ、赤色有機EL素子と平行に配列されている。
【0016】
ここで、有機EL素子の間隔は、印字画素の間隔に応じて規定される。すなわち、プリントヘッドは垂直方向に走査しないので、単一色内の複数の有機EL素子のサイズおよび間隔は印字画素のサイズおよび間隔にもとづいて規定される。一方、プリンタヘッドは走査方向に走査するので、走査方向に配列された複数の有機EL素子のサイズおよび間隔、すなわち異なった色で発色する有機EL素子の間隔は、走査回数に応じて変更できる。すなわち、有機EL素子の走査方向のサイズを小さくしつつ、有機EL素子の走査方向の間隔を印字画素の間隔よりも小さい値に規定し、プリントヘッドの走査回数を増加させる。ここでは、走査方向に配列された複数の有機EL素子のサイズは、印字画素を表示するためのサイズの半分に設定しつつ、有機EL素子の間隔は、印字画素の間隔の半分の間隔に設定し、プリントヘッドの走査回数を2倍にする。さらに、以上のような構成においても、フィルムに通常の印字を印画するために、ひとつの有機EL素子あたり同一のデータを2回印画する。このように有機EL素子を配列することによって、プリントヘッドのサイズを約半分にできる。
【0017】
図1(a)−(d)は、本発明の実施例に係るプリンタ100の構成を示す。プリンタ100は、プリントヘッド10、レンズアレイ12、支柱24と総称される第1支柱24a、第2支柱24bを含む。また、プリントヘッド10は、赤色有機EL素子16と総称される第1赤色有機EL素子16a、第2赤色有機EL素子16b、第N赤色有機EL素子16n、緑色有機EL素子18と総称される第1緑色有機EL素子18a、第2緑色有機EL素子18b、第N緑色有機EL素子18n、青色有機EL素子20と総称される第1青色有機EL素子20a、第2青色有機EL素子20b、第N青色有機EL素子20nを含み、レンズアレイ12は、第1屈折率分布型レンズ22a、第2屈折率分布型レンズ22b、第N屈折率分布型レンズ22nを含む。また、図には、プリンタ100が所定の画像を印画すべき対象として、フィルム14を示す。以上のように、図1(a)−(d)は、プリンタ100のうちで印画を直接実行するための構成要素であるプリントヘッド10、レンズアレイ12等を示したが、プリンタ100は、これ以外の構成要素も含むものとする。
【0018】
図1(a)は、プリントヘッド10を上部にしたプリンタ100の斜め上方からの斜視図である。プリントヘッド10は、赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20を備えており、図示しない制御部からフィルム14に印画すべき画像のデータを受け取り、当該データに応じて赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20を発光させる。図中の矢印の方向、すなわち第1赤色有機EL素子16a、第1緑色有機EL素子18a、第1青色有機EL素子20aが配列された方向が、前述の走査方向に相当する。また、走査方向に垂直の方向、すなわち、第1赤色有機EL素子16a、第2赤色有機EL素子16b、第N赤色有機EL素子16nが配列された方向が、前述の垂直方向に相当する。
【0019】
プリントヘッド10は走査方向に移動するが、垂直方向に移動しない。プリントヘッド10において、垂直方向に同色の赤色有機EL素子16等が一列に配置されており、走査方向に異なった色の赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20が配列されている。ここで、フィルム14に印画すべき画像のサイズは、640×480のVGA(Video Graphics Array)であるとし、垂直方向に480個の印字画素が配列され、走査方向に640個の印字画素が配列されるものとする。そのため、機構画素として、赤色有機EL素子16等は、垂直方向に480個配列される。なお、プリントヘッド10における赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20の配列の詳細は、後述する。
【0020】
レンズアレイ12は、複数の屈折率分布型レンズ22を備える。屈折率分布型レンズ22は、機構画素のそれぞれである赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20から発光された各色を結像し、フィルム14上に印字画素として印画する。また、レンズアレイ12もプリントヘッド10と共に走査方向に移動する。
【0021】
支柱24は、プリントヘッド10、レンズアレイ12がフィルム14から所定の距離を保てるように、これらを支える。また、プリントヘッド10、レンズアレイ12を支持しつつ、走査方向に移動する。なお、ここでは、プリントヘッド10、レンズアレイ12を支えるために支柱24を示したが、これに限られない。例えば、プリントヘッド10、レンズアレイ12のそれぞれに沿って図示しないガイドが備えられており、プリントヘッド10、レンズアレイ12のそれぞれは、ガイドに支えられつつ、ガイドに沿って走査方向に移動してもよい。
【0022】
図1(b)は、プリンタ100の側面図である。支柱24によって、プリントヘッド10とレンズアレイ12がフィルム14から所定の距離を隔てつつ、フィルム14の上方に配置されている。また、矢印で示した方向が、前述の走査方向であり、プリントヘッド10とレンズアレイ12は、走査方向に移動する。図1(c)は、プリンタ100の上面図である。レンズアレイ12は、プリントヘッド10の下方に位置するので、図1(c)に示されない。また、矢印で示した方向が、前述の走査方向である。プリントヘッド10は、複数の機構画素を格子状に配列しており、赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20の配列は前述の通りである。
【0023】
図1(d)は、赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20で発光した各色が、屈折率分布型レンズ22によって結像されてから、フィルム14上に印画される概略を示す。ここでは、プリントヘッド10の中の第(I−1)赤色有機EL素子16i−1、第I赤色有機EL素子16i、第(I+1)赤色有機EL素子16i+1、第(I−1)緑色有機EL素子18i−1、第I緑色有機EL素子18i、第(I+1)緑色有機EL素子18i+1、第(I−1)青色有機EL素子20i−1、第I青色有機EL素子20i、第(I+1)青色有機EL素子20i+1がそれぞれ所定の輝度で発光しているものとする。レンズアレイ12の中の第J屈折率分布型レンズ22jは、所定の視野を有する。そのため、複数の赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20で発光された各色の光が、図示のごとくフィルム14上で結像される。なお、屈折率分布型レンズ22は複数備えられており、隣接した屈折率分布型レンズ22がフィルム14に映し出す像は重なっている。
【0024】
図2は、プリンタ100の機能構成を示す。プリンタ100は、プリントヘッド10、モータ52、制御部50、データ入力部54を含む。また、プリントヘッド10は、図1(a)−(c)に示したプリントヘッド10に相当する。プリントヘッド10は、走査方向の機構画素のサイズを、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/n(nは2以上の整数)の大きさで形成する。ここでは、nを2とするが、2以上の整数であってもよい。また、プリントヘッド10は、垂直方向の機構画素のサイズを本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズにもとづいて形成する。
【0025】
図3(a)−(b)は、プリントヘッド10における有機EL素子の配列を示す。図3(a)は、本実施例における配列の比較対象となるべき配列であって、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズで配列された赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20を示す。垂直方向に赤色有機EL素子16は、ひとつの赤色有機EL素子16の左端から、隣接する赤色有機EL素子16の左端までの距離が、100μmになるように配列されている。また、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20も同様である。さらに、走査方向に赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20のサイズと間隔がともに100μmになるように配列されている。ここで、前述の本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズは、100μmに相当する。
【0026】
図3(b)は、本実施例における配列を示す。プリントヘッド10が、赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20を備えている点で、図3(a)と同様である。また、垂直方向の赤色有機EL素子16等の配列も図3(a)と同様である。一方、走査方向に赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20のサイズと間隔がともに50μmになるように配列されている。すなわち、走査方向の機構画素のサイズを、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/2の大きさで形成する。そのため、図3(b)に示されたプリントヘッド10の走査方向のサイズは、図3(a)に示されたプリントヘッド10の走査方向のサイズよりも小さくなる。
【0027】
図2に戻る。データ入力部54は、プリンタ100で印画すべき画像データを図示しないインターフェースを介して入力する。ここで、画像データは、それぞれの機構画素、すなわち赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20のそれぞれに対応する形で入力されるものとする。
【0028】
制御部50は、モータ52を介して、プリントヘッド10を走査方向に送る。その際、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/nの幅を単位にして、プリントヘッド10を送る。一方、制御部50は、垂直方向に対して、プリントヘッド10を移動させない。前述のごとく、図1のフィルム14に印画すべき画像のサイズは、640×480のVGAであるので、走査方向に640の印字画素の印画が必要になる。プリントヘッド10での赤色有機EL素子16等の配列が図3(a)に示したとおりであれば、プリントヘッド10は、640行分の移動が必要になる。
【0029】
しかしながら、本実施例において、プリントヘッド10に備えられた赤色有機EL素子16等のサイズは、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/2の大きさに設定するので、走査方向に1280行分の移動が必要になる。すなわち、走査線が1280本必要になる。制御部50は、ひとつの画像につき、本来の印字画素をひとつ印画するために必要なサイズの1/2の幅を単位にして、プリントヘッド10を1280回動作させる。図4は、このようにプリンタ100によって、フィルム14に印画された印字画素80を示す。ここでは、便宜的に印字画素80の間隔をあけて示しているが、実際には、印字画素80は連続的に配置されているものとする。図の縦の方向が走査方向であり、図の横の方向が垂直方向である。垂直方向に前述のごとくN個、ここでは、480個の印字画素80が配列されている。走査方向にM個、ここでは、1280個の印字画素80が配列されている。これは、走査線の番号をLで示せば、1280本の走査線が配列されていることに相当する。
【0030】
また、図2の制御部50は、プリントヘッド10に対して、赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20をそれぞれ発光させるためのデータを出力する。その際、制御部50は、n回同じデータを出力する。制御部50は、プリントヘッド10がL=1に対応した位置に存在する場合に、所定のデータに応じて赤色有機EL素子16等を発光させて、図4のL=1に対応した第11印字画素80aa、第12印字画素80ab、第1N印字画素80anを印画させる。また、プリントヘッド10がL=2に対応した位置に存在する場合に、同一のデータに応じて赤色有機EL素子16等を発光させて、L=2に対応した第21印字画素80ba、第22印字画素80bb、第2N印字画素80bnを印画させる。さらに、プリントヘッド10がL=3に対応した位置に存在する場合に、別のデータに応じて赤色有機EL素子16等を発光させて、L=3に対応した第31印字画素80ca、第32印字画素80cb、第3N印字画素80cnを印画させる。
【0031】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリのロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0032】
図5は、制御部50の構成を示す。制御部50は、カウンタ60、位置特定部62、判定部64、記憶部66、モータ指示部68を含む。
【0033】
カウンタ60は、図示しないプリントヘッド10を動作させるために必要なカウントを実行する。ここでは、プリントヘッド10が動作する行数Lをカウントする。なお、これ以外であってもよい。位置特定部62は、カウンタ60でカウントされた値を入力して、プリントヘッド10が移動すべき行の番号Lを特定する。ここでは、カウンタ60でカウントされた値がそのまま行の番号に対応する。モータ指示部68は、位置特定部62で特定した行の番号Lにプリントヘッド10が移動するように、図示しないモータ52に指示を出力する。
【0034】
記憶部66は、図示しないデータ入力部54からデータを入力し、入力したデータを保持する。保持する期間は、判定部64からの指示に従う。また、記憶部66は、保持したデータを出力する。判定部64は、位置特定部62で特定した行の番号Lを受け付け、Lが奇数の場合に、記憶部66に対して保持したデータの更新を指示する。その結果、記憶部66はL=1と2の場合に、同一のデータを出力し、L=3になる際にデータを更新する。さらに、記憶部66はL=3と4の場合に、同一のデータを出力する。
【0035】
図6は、プリントヘッド10の動作概要を示す。横軸の方向にプリントヘッド10が存在すべき走査方向の位置を示す。ここで、左側が図1(c)の上側に対応する。縦軸の方向に赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20の動作を示す。ここで、赤色有機EL素子16等は「Hi」になった場合に発光するものとする。赤色有機EL素子16に対する位置P1とP2に挟まれた「Low」の部分の間隔は、前述のごとく50μmである。図示のごとく、赤色有機EL素子16は50μm間隔で発光するが、P1とP2では同一のデータにもとづいて発光するので、これらを1ラインとする。なお、1ラインは、L=2に相当する。
【0036】
また、緑色有機EL素子18でのP1’と青色有機EL素子20でのP1’’は、赤色有機EL素子16がP1に存在する場合、緑色有機EL素子18と青色有機EL素子20がそれぞれ存在する位置を示す。すなわち、P1、P1’、P1’’の関係は、図3(b)の第1赤色有機EL素子16a、第1緑色有機EL素子18a、第1青色有機EL素子20aの関係に対応する。以上の対応関係を保ちつつ、緑色有機EL素子18と青色有機EL素子20は、赤色有機EL素子16と同様に動作する。
【0037】
図7にもとづいて、以上の構成によるプリンタ100の動作を説明する。図7は、プリンタ100による印字の手順を示すフローチャートである。制御部50は、走査方向の行の番号Lを1に設定する(S10)。制御部50は、モータ52を介してプリントヘッド10の位置をLに固定する(S12)。Lが奇数であれば(S14のY)、制御部50はデータ入力部54から入力したデータによって、記憶部66のデータを更新する(S16)。Lが奇数でなければ(S14のN)、記憶部66のデータを保持する。制御部50は、記憶部66のデータをプリントヘッド10に出力する(S18)。制御部50は、Lに1を加算し(S20)、Lが1280より大きくなければ(S22のN)、以上の処理を繰り返し実行する。また、Lが1280より大きくなれば(S22のY)、処理を終了する。
【0038】
本発明の実施例によれば、機構画素の走査方向のサイズを本来のサイズの1/nにするために、機構画素を備えたプリントヘッドのサイズを小さくできる。また、機構画素のサイズを小さくしてもn回同じデータを印画するように制御するために本来印画すべき画像を印画できる。また、プリントヘッドの送り幅と機構画素のサイズを等しくするために、制御部はプリントヘッドを送る際に付加的な調整を省略でき、プリントヘッドを送る際の制御を容易にできる。また、プリンタヘッドは、垂直方向に動作しないので、プリンタの機構を簡略化できる。
【0039】
また、機構画素の大きさを小さくすれば、屈折率分布型レンズの直径も小さくでき、さらに結像距離も小さくなり、プリントヘッドとフィルムまでの距離を小さくできるので、プリンタを小型化できる。また、プリンタを小型化することによって、プリンタの可搬性を向上できる。また、屈折率分布型レンズの直径を小さくできるので、屈折率分布型レンズによる光量のむらを抑えることができる。また、光源として有機EL素子を使用するので、消費電力を低減できる。また、光源として有機EL素子を使用するので、発光までの待ち時間が短くなり、印画動作を高速にできる。
【0040】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
本発明の実施例において、プリントヘッド10は機構画素として赤色有機EL素子16、緑色有機EL素子18、青色有機EL素子20を備える。しかしながらこれに限らず例えば、各色に対応したLED、VFD、無機EL素子であってもよい。本変形例によれば、さまざまな発光素子を適用できる。つまり、印画に必要な光量が得られればよい。
【0042】
本発明の実施例において、プリントヘッド10をプリンタ100に適用した。しかしながらこれに限らず例えば、プリントヘッド10をコピー機に使用してもよい。トナーに潜像を形成するために、プリントヘッド10が使用される。本変形例によれば、さまざまな装置にプリントヘッドを適用できる。つまり、印刷する機能を有した装置であればよい。
【0043】
本発明の実施例において、制御部50は、プリントヘッド10に出力すべきデータとして、n回同じデータを出力した。しかしこれに限らず例えば、制御部50は、入力した同じデータに対して、画素補間、ローパスフィルタ処理、スムージング等の処理を施してから、プリントヘッド10に出力してもよい。本変形例によれば、印字画素に現れる場合のある光量のむらを小さくできる。つまり、機構画素の大きさにかかわらず、印画される画像が元の画像と同様であればよい。
【0044】
本発明の変形例において、プリントヘッド10は、垂直方向に移動しないものとした。しかしこれに限らず例えば、垂直方向に移動してもよい。本変形例によれば、プリントヘッド10の大きさをさらに小さくでき、あるいはプリントヘッド10の大きさが同一であってもフィルム14の大きさをさらに大きくできる。つまり、プリントヘッド10の大きさ、プリンタ100全体で許容される機構の複雑さの程度に応じてプリントヘッド10の移動方向を決定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1(a)−(d)は、本発明の実施例に係るプリンタの構成を示す図である。
【図2】図1(a)−(d)のプリンタの機能構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(b)は、図1(a)−(d)のプリントヘッドにおける有機EL素子の配列を示す図である。
【図4】図1(a)−(d)のプリンタによって印字された画素を示す図である。
【図5】図2の制御部の構成を示す図である。
【図6】図1(a)−(d)のプリントヘッドの動作概要を示す図である。
【図7】図1(a)−(d)のプリンタによる印字の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10 プリントヘッド、 12 レンズアレイ、 14 フィルム、 16 赤色有機EL素子、 18 緑色有機EL素子、 20 青色有機EL素子、 22 屈折率分布型レンズ、 24 支柱、 50 制御部、 52 モータ、 54 データ入力部、 60 カウンタ、 62 位置特定部、 64 判定部、 66 記憶部、 68 モータ指示部、 80 印字画素、 100 プリンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド走査方向の画素サイズを、本来1画素の印画に必要なサイズの1/n(nは2以上の整数)の大きさで形成し、各画素の印画に当たり、ヘッド送りをしつつn回同じデータを印画することにより、1画素の印画を完了させることを特徴とするプリントヘッドの駆動方法。
【請求項2】
ヘッド走査方向の画素サイズを、本来1画素の印画に必要なサイズの1/n(nは2以上の整数)の大きさで形成したプリントヘッドと、
そのプリントヘッドを送りつつ、n回同じデータを印画せしめる制御部と、
を備えるプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、本来1画素の印画に必要なサイズの1/nの幅を単位にして、前記プリントヘッドを送ることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プリントヘッドは、ヘッド走査方向と垂直な方向の画素サイズを本来1画素の印画に必要なサイズにもとづいて形成し、
前記制御部は、ヘッド走査方向と垂直な方向に対して、前記プリントヘッドを固定することを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−26920(P2006−26920A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204605(P2004−204605)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】