説明

プリント回路基板における補強板取付方法

【課題】品目毎に専用の貼り合わせ治具を用いずに、プリント回路基板の両面に補強板を同時に貼り合わせできるようにして工数の低減を図る。
【解決手段】プリント回路基板1の両面に補強板2a,2b,2cを貼り合わせて取り付けるプリント回路基板における補強板取付方法において、補強板2a,2b,2cを取り付けるプリント回路基板1上の位置に対応して補強板2a,2b,2cを打ち抜いて形成した打ち抜き孔6a,6b,6cを有する捨て部7と該打ち抜き孔6a,6b,6c内にプッシュバックされて取り付けられた前記補強板2a,2b,2cとが一体化され、プリント回路基板1の片面ほぼ全体を覆って配設可能に形成してなる表裏1対の補強板シート5a,5bを、それぞれプリント回路基板1と補強板2a,2b,2cの間に接着材3を配設して該プリント回路基板1に圧着して貼り合わせ、その後、補強板2a,2b,2cを残して各補強板シート5a,5bの捨て部7をそれぞれプリント回路基板1から引き剥がすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント回路基板における補強板取付方法に関するものであり、特に、プリント回路基板の両面に補強板を貼り合わせて取り付けるプリント回路基板における補強板取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種プリント回路基板、特にフレキシブルプリント回路基板には、部品実装時の機械的強度を確保するため、または撓み防止のために補強板が貼り付けられることが多い。該補強板は、通常、プリント回路基板の片面にのみ貼り合わされるが、表裏両面に貼り合わされる場合もある。また、プリント回路基板の表裏両面に補強板を貼り合わせる方法としては、該表裏両面に一度に補強板を貼り合わせる方法と、片面ずつ貼り合わせる方法とがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載されるプリント回路基板における補強板取付構造では、補強板をプリント回路基板の表裏両面に貼り合わせるとき、表裏両面で同じ箇所に貼り合わせ、また同じ形状の補強板を貼り合わせている。この貼り合わせ方法では、表裏両面で一度に補強板を貼り合わせる場合、または片面ずつ貼り合わせる場合の、何れの場合であっても先に貼り合わせた面側の補強板が裏打ちとなるため、後から貼り合わせる反対の面に補強板を貼り合わせるとき、該補強板を圧着してもプリント回路基板に悪い影響を与えることはない。
【特許文献1】実開平3−120063号公報。
【特許文献2】特開2003−324256号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリント回路基板の表裏両面で一度に補強板を貼り合わせる場合、または片面ずつ貼り合わせる場合において、表裏面で補強板が貼り合わせられる位置や該補強板の形状が大きく異なると、例えば図7に示すように該補強板101a,101b,101cをプリント回路基板102に圧着した際、該プリント回路基板102のA部に異常な負荷を与え、該プリント回路基板102に亀裂を生じさせたり、あるいはシワや打痕を発生させる等の問題があった。
【0005】
この問題を回避するため、従来では、まずプリント回路基板の一方の面に補強板を貼り合わせ、次に、もう一方の面に補強板を貼り合わせる際、例えば図8に示すように前記一方の面に既に貼り合わせてある補強板101cの箇所に対応する凹部103が設けられている貼り合わせ治具104に、該一方の面を対向させてプリント回路基板102を載置し、該凹部103により該一方の補強板101cを逃がし、その上から他方の面に補強板101a,101bを貼り合わせることが行われている。
【0006】
しかし、片面ずつ補強板101a,101b,101cを貼り合わせることは工数が増えるとともに、プリント回路基板102の形状、大きさ等が変わる品目毎に専用の貼り合わせ治具が必要になる。多品種少量生産の場合、品目毎に専用の貼り合わせ治具を用意することは、コスト増加に繋がり問題があった。
【0007】
そこで、品目毎に専用の貼り合わせ治具を用いずに、プリント回路基板の両面に補強板を同時に貼り合わせできるようにして工数の低減を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、プリント回路基板の両面に補強板を貼り合わせて取り付けるプリント回路基板における補強板取付方法において、前記補強板を取り付ける前記プリント回路基板上の位置に対応して前記補強板を打ち抜いて形成した打ち抜き孔を有する捨て部と該打ち抜き孔内にプッシュバックされて取り付けられた前記補強板とが一体化され、前記プリント回路基板の片面ほぼ全体を覆って配設可能に形成してなる表裏1対の補強板シートを、それぞれ前記プリント回路基板と前記補強板の間に接着材を配設して該プリント回路基板に圧着して貼り合わせ、その後、前記補強板を残して前記各補強板シートの捨て部をそれぞれプリント回路基板から引き剥がすようにしたプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0009】
この方法によれば、貼り合わせ前、補強板シートは平面シートの状態で取り扱うことができる。そして、表面用の補強板シートと裏面用の補強板シートをプリント回路基板の表裏面上にそれぞれ位置決めして重ね合わせ、かつ、プリント回路基板と各補強板シートの間を圧着させると、プリント回路基板の表裏面にそれぞれ補強板シートを同時に貼り合わせることができる。しかも、貼り合わ時、各補強板用シートは平面シートの状態になっているので、特に専用の貼り合わせ治具を用いなくても両面同時に補強板を貼り合わることができる。
【0010】
また、プリント回路基板と各補強板シートの間を圧着させると、プリント回路基板との間に接着材が配設されている補強板はプリント回路基板と接着され、プリント基板との間に接着材が配設されていない捨て部はプリント回路基板と接着されない。したがって、圧着後、プリント回路基板から表裏の補強板シートをそれぞれ引き剥がすと、接着材で接着された補強板はプリント回路基板に貼り合わされたまま残り、接着されていない捨て部はプリント回路基板から引き剥がされる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプリント回路基板における補強板取付方法において、上記接着材を上記プリント回路基板上に印刷して設けるプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0012】
この方法によれば、接着材を予めプリント回路基板に印刷で形成し、該接着材が半硬化状態のときに該プリント回路基板と補強板シートを圧着させると、補強板が該プリント回路基板に接着材で接着されて貼り合わせできる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のプリント回路基板における補強板取付方法において、上記補強板シートの片面ほぼ全体に、表面側に剥離シートが設けられている両面接着シート材を貼り付け、前記補強板シートに対する前記補強板の上記プッシュバック加工を前記両面接着シート材と一体に行い、前記補強板側の前記剥離シートを前記プリント回路基板に前記補強用シート材を圧着させる前に剥がし、その後、前記プリント回路基板と前記補強板シートとの間を圧着するプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0014】
この方法によれば、補強板シートをプリント回路基板に貼り合わせるとき、補強板に貼り付けられている両面接着シート材の剥離シートを剥がし、その後、プリント回路基板と補強板シートとの間を圧着させると、補強板が該プリント回路基板に両面接着シート材で接着されて貼り合わせできる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載のプリント回路基板における補強板取付方法において、上記補強板シートの上記補強板と対応している位置に開口を有しているシート状のスペーサ治具を上記プリント回路基板と上記補強板シートとの間に介在させて前記補強板シートを前記プリント回路基板に圧着させると共に、該圧着時に前記補強板シートの前記補強板と対応している位置に凸部を有する圧着治具を前記補強板シート材の背面側から前記補強板に圧接させて該補強板を前記プリント回路基板側に押すプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0016】
この方法によれば、補強板シートをプリント回路基板に圧着するとき、圧着治具の凸部が補強板をプリント回路基板側に強制的に押し出して該補強板を補強板シートから外し、かつ、該補強板を前記プリント回路基板に対して圧接する。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のプリント回路基板における補強板取付方法において、上記プリント回路基板と上記補強板シートとの圧着後、前記プリント回路基板を貫通してピンを突出させ、該ピンにより前記補強板シートの捨て部を前記プリント回路基板から突き上げて引き剥がすプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0018】
この方法によれば、プリント回路基板と補強板シートの圧着後、前記プリント回路基板を貫通して突出されるピンの突き上げにより、該補強板シートが前記プリント回路基板から強制的に引き剥がされる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項4記載のプリント回路基板における補強板取付方法において、上記プリント回路基板と上記補強板シートとの圧着時、前記プリント回路基板を貫通してピンを突出させ、該ピンにより前記補強板シートの捨て部を前記プリント基板と対向して配置されている上記圧着治具側に押し、該捨て部を前記プリント回路基板から引き離すプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、プリント回路基板と補強板シートとの圧着後、前記プリント回路基板を貫通して突出されるピンの突き出しにより、該補強板シートの捨て部が前記プリント回路基板と対向して配置されている圧着治具側に押されて前記プリント回路基板から強制的に引き剥がされる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項4記載のプリント回路基板における補強板取付方法において、上記プリント回路基板と上記補強板シートとの圧着後、上記圧着治具の外側方向から内側方向に向かってピンを突出させ、該ピンにより前記補強用シートの捨て部を前記圧着治具から引き離すプリント回路基板における補強板取付方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、プリント回路基板と補強板シートとの圧着後、圧着治具の外側方向から内側方向に向かって突出されるピンの突き出しにより、該プリント回路基板の裏面側にそれぞれ配置されている該各補強板シートの捨て部が圧着治具から強制的に引き剥がされる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明は、貼り合わせ前、補強板シートは平面シートの状態で取り扱われ、該平面シート状態のままプリント回路基板に面圧着されるので、プリント回路基板及び補強板シートの面に対してほぼ均等に圧着力が付加され、表裏面で補強板の貼り合わせ位置が異なっている形態で、両面同時に貼り合わせを行ってもフレキシブルプリント回路基板等に折れやシワ等の不具合を発生させることがない。また、品目毎に専用の貼り合わせ治具を用いなくても両面同時に補強板を貼り合わることができるので、工数の低減を図ることができる。
【0024】
請求項2記載の発明は、プリント回路基板上に接着材層を印刷で設けることによって自動化等が可能になり、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらに工数の低減が期待できる。
【0025】
請求項3記載の発明は、補強板に貼り付けられている両面接着シート材の剥離シートを剥がしてプリント回路基板と補強板シートとの間を圧着させると、補強板を該プリント回路基板に両面接着シート材で接着して貼り合わせることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、貼り合わせ作業の簡略化が期待できる。
【0026】
請求項4記載の発明は、補強板シートをプリント回路基板に圧着するとき、圧着治具の凸部で補強板の背面を押して該補強板を捨て部から強制的に切り離し、かつ、該補強板だけをプリント回路基板に対して強く押し付けて確実に接着することができるので、請求項1,2または3記載の発明の効果に加えて、貼り合わせの信頼性が向上する。
【0027】
請求項5記載の発明は、プリント回路基板と補強板シートとの圧着後、該補強板シートの裏面側から突出されるピンの突き上げにより、該補強板シートが該プリント回路基板から強制的に引き剥がされるので、請求項4記載の発明の効果に加えて、補強板と捨て部との切り離しを確実に行わせることができる。
【0028】
請求項6記載の発明は、プリント回路基板と補強板シートとの圧着後、該プリント基板側から突出されるピンの突き出しにより、補強板シートの捨て部が該プリント回路基板から強制的に引き剥がされるので、請求項4記載の発明の効果に加えて、補強板と捨て部との切り離しをより一層確実に行わせることができる。
【0029】
請求項7記載の発明は、プリント回路基板と補強板シートとの圧着後、圧着治具の外側方向から内側方向に向かって突出されるピンの突き出しにより、各補強板シートの捨て部が圧着治具から強制的に引き剥がされるので、請求項4記載の発明の効果に加えて、圧着治具と捨て部との切り離しがより一層確実になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、品目毎に専用の貼り合わせ治具を用いずに、プリント回路基板の両面に補強板を同時に貼り合わせできるようにして工数の低減を図るという目的を達成するために、プリント回路基板の両面に補強板を貼り合わせて取り付けるプリント回路基板における補強板取付方法において、前記補強板を取り付ける前記プリント回路基板上の位置に対応して前記補強板を打ち抜いて形成した打ち抜き孔を有する捨て部と該打ち抜き孔内にプッシュバックされて取り付けられた前記補強板とが一体化され、前記プリント回路基板の片面ほぼ全体を覆って配設可能に形成してなる表裏1対の補強板シートを、それぞれ前記プリント回路基板と前記補強板の間に接着材を配設して該プリント回路基板に圧着して貼り合わせ、その後、前記補強板を残して前記各補強板シートの捨て部をそれぞれプリント回路基板から引き剥がすようにして実現した。
【実施例】
【0031】
以下、本発明のプリント回路基板における補強板取付方法について、好適な実施例をあげて説明する。
【0032】
図1は、本発明の補強板取付方法を用いて形成されたプリント回路基板の一例を示す縦断側面図である。同図において、プリント回路基板1は、シート状の基板であり、表面側には2枚の補強板2a,2bが接着材3で貼り合わされて取り付けられ、裏面側には1枚の補強板2cが接着材3で貼り合わされて取り付けられている。また、プリント回路基板1の配線及び補強板2a,2b,2cの貼り合わせに影響しない位置には、表裏面に貫通してガイド孔4が複数設けられている。
【0033】
なお、本実施例におけるプリント回路基板1はフレキシブル回路基板を一例としているが、フレキシブル回路基板以外の回路基板でもよい。また、一般に、プリント回路基板1に貼り合わせされる補強板2a,2b,2cの数及び大きさ並びに形状等は、回路基板の品目毎にそれぞれ異なる。
【0034】
図2は前記プリント回路基板1に補強板2a,2b,2cを取り付ける方法の第1実施例を示す図であり、同図(1)〜(6)はその手順を示している。同図(1)〜(6)の順に説明すると、図2(1)では、プリント回路基板1に、補強板2a,2b,2cを貼り合わせて取り付ける位置に対応させて、予め補強板貼り合わせ用の接着材3の層を形成する。なお、本第1実施例では、接着材3の層をプリント回路基板1上に印刷して設けている。
【0035】
図2(2)では、プリント回路基板1の片面ほぼ全体を覆うことができる大きさを有する表面用の補強板シート5aと裏面用の補強用シート5bがそれぞれ用意される。
【0036】
図2(3)では、表面用の補強板シート5aからプリント回路基板1の表面側に取り付けられる補強板2a,2bの位置に対応させて前記補強板2a,2bを打ち抜き、また該補強板2a,2bを打ち抜いて形成された打ち抜き孔6a,6b内にそれぞれ該補強板2a,2bをプッシュバックさせて戻し、補強板2a,2bと該補強板2a,2b以外の部分である捨て部7aとを再び一体化してシート状態をした表面用の補強板シート5aの形態に戻す。また、該補強板シート5aには、補強板2a,2bの打ち抜きと同時に、プリント回路基板1のガイド孔4に対応するガイド孔8aが複数設けられる。
【0037】
図2(4)では、裏面用の補強板シート5bからプリント回路1の裏面側に取り付けられる補強板2cの位置に対応させて前記補強板2cを打ち抜き、また該補強板2cを打ち抜いて形成された打ち抜き孔6c内に該補強板2cをプッシュバックさせて戻し、該補強板2cと該補強板2c以外の部分である捨て部7bとを再び一体化してシート状態をした裏面用の補強板シート5bの形態に戻す。また、該補強板シート5bには、補強板2cの打ち抜きと同時に、プリント回路基板1のガイド孔4に対応するガイド孔8bが複数設けられる。
【0038】
図2(5)では、補強板2a,2bをプッシュバックさせた補強板シート5a、及び、補強板2cをプッシュバックさせた補強板シート5bをそれぞれ接着材3の層を設けたプリント回路基板1の表裏面に、ガイドピン9,9とガイド孔4、及び該ガイドピン9,9とガイド孔8a,8bにより各々位置決めして配置する。また、上下にそれぞれ配置された圧着治具(図示せず)により、プリント回路基板1と補強板シート5aの間、及びプリント回路基板1と補強板シート5bの間を各々同時に圧着する。なお、圧着前、接着材3は半硬化状態にしておく。したがって、プリント回路基板1と補強板シート5aの間、及びプリント回路基板1と補強板シート5bの間を各々同時に圧着すると、補強板2a,2b,2cがプリント回路基板1にそれぞれ接着材3を介して接着されて貼り合わされる。
【0039】
図2(6)では、貼り合わせ後、圧着治具による圧着を開放し、かつ、プリント回路基板1から補強板シート5a及び補強板シート5bをそれぞれ剥がす。このとき、接着材3で接着されている補強板2a,2b,2cはプリント回路基板1に貼り付けられたまま残り、接着材3で接着されていない捨て部7a,7bはプリント回路基板1から引き剥がされる。これにより図1に示した補強板2a,2b,2cを取り付けたプリント回路基板1が完成する。
【0040】
したがって、第1実施例のようにしてプリント回路基板1に補強板2a,2b,2cを取り付ける方法では、補強板2a,2b,2cの貼り合わせ前、補強板シート5a,5bは平面シートの状態で取り扱われ、また、圧着治具による圧着時、補強板シート5a,5bは平面シートの状態でプリント回路基板1に面圧着される。これにより、圧着時、プリント回路基板1及び補強板シート5a,5bの各面にはほぼ均等に圧着力が付加され、フレキシブルプリント回路基板等のプリント回路基板1であっても、該プリント回路基板1の両面に折れやシワ等が発生することはない。また、品目毎に専用の貼り合わせ治具を用いなくても、両面同時に補強板2a,2b,2cを貼り合わることができるので、工数の低減を図ることができる。
【0041】
図3は前記プリント回路基板1に補強板2a,2b,2cを取り付ける方法の第2実施例を示す図であり、同図(1)〜(7)はその手順を示している。同図(1)〜(7)の順に説明すると、図3(1)では、プリント回路基板1の片面ほぼ全体を覆うことができる大きさの表面用の補強板シート5a及び裏面用の補強用シート5bを用意する。ここでの各補強用シート5a,5bには、貼り合わせ面全体に両面接着シート材から成る接着材3が貼り付けられている。また、接着材3のプリント回路基板1との貼り合わせ面側には剥離して取り除くことが可能な剥離シート10が貼り合わされている。
【0042】
図3(2)及び(3)では、表面用の補強板シート5aからプリント回路基板1の表面側に取り付けられる補強板2a,2bの位置に対応させて前記補強板2a,2bを接着材3と共に打ち抜き[同図(2)]、また該補強板2a,2bを打ち抜いて形成された打ち抜き孔6a,6b内にそれぞれ該補強板2a,2b及び接着材3をプッシュバックさせて戻し、該補強板2a,2bと該補強板2a,2b以外の部分である捨て部7aとを再び一体化してシート状態をした表面用の補強板シート5aの形態に戻す[同図(3)]。さらに、打ち抜き孔6a,6b内に戻した補強板2a,2bに貼り付けられている接着材3の剥離シート10をそれぞれ剥がす。また、該補強板シート5aには、補強板2a,2bの打ち抜きと同時に、プリント回路基板1のガイド孔4に対応するガイド孔8aが複数設けられる。
【0043】
図3(4)及び(5)では、裏面用の補強板シート5bからプリント回路基板1の裏面側に取り付けられる補強板2cの位置に対応させて前記補強板2cを接着材3と共に打ち抜き[同図(4)]、また該補強板2cを打ち抜いて形成された打ち抜き孔6c内に該補強板2c及び接着材3をプッシュバックさせて戻し、該補強板2cと該補強板2c以外の捨て部7bとを再び一体化してシート状態をした裏面用の補強板シート5bの形態に戻す[同図(5)]。さらに、打ち抜き孔6c内に戻した補強板2cに貼り付けられている接着材3の剥離シート10を剥がす。また、該補強板シート5bにも、補強板2cの打ち抜きと同時に、プリント回路基板1のガイド孔4に対応するガイド孔8bが複数設けられる。
【0044】
図3(6)では、補強板2a,2bをプッシュバックさせた補強板シート5a及び補強板2cをプッシュバックさせた補強板シート5bをそれぞれプリント回路基板1の表裏面に、ガイドピン9,9とガイド孔4及び該ガイドピン9,9とガイド孔8a,8bにより各々位置決めして配置する。また、上下にそれぞれ配置された圧着治具(図示せず)により、プリント回路基板1と補強板シート5aの間、及びプリント回路基板1と補強板シート5bの間をそれぞれ同時に圧着する。したがって、プリント回路基板1と補強板シート5aの間、及びプリント回路基板1と補強板シート5bの間を各々同時に圧着すると、剥離シート10が剥がされている部分における補強板2a,2b,2cの接着材3がプリント回路基板1にそれぞれ接着されて、補強板2a,2b,2cがプリント回路基板1に貼り合わされる。
【0045】
図3(7)では、貼り合わせ後、圧着治具による圧着を開放し、かつ、プリント回路基板1から補強板シート5a及び補強板シート5bをそれぞれ剥がす。このとき、剥離シート10が剥がされて接着材3で接着されている補強板2a,2b,2cはプリント回路基板1に貼り付けられたまま残り、接着材3の剥離シート10を付けたままの捨て部7a,7bはプリント回路基板1から引き剥がされる。これにより図1に示した補強板2a,2b,2cを取り付けたプリント回路基板1が完成する。
【0046】
したがって、第2実施例による取付方法でも、補強板2a,2b,2cの貼り合わせ前、補強板シート5a,5bは平面シートの状態で取り扱われ、また、圧着治具による圧着時、補強板シート5a,5bは平面シートの状態でプリント回路基板1に面圧着される。これにより、圧着時、プリント回路基板1及び補強板シート5a,5bの各面にはほぼ均等に圧着力が付加され、フレキシブルプリント回路基板等のプリント回路基板1であっても、該プリント回路基板1の両面に折れやシワ等が発生することはない。また、品目毎に専用の貼り合わせ治具を用いなくても、両面同時に補強板2a,2b,2cを貼り合わることができるので、工数の低減を図ることができる。
【0047】
図4は図2及び図3に示した前記プリント回路基板1に補強板2a,2b,2cを取り付ける方法を変形した第3実施例を示す図であり、同図(1)〜(3)はその手順を示している。なお、本第3実施例は、プリント回路基板1と補強板シート5a及びプリント回路基板1と補強板シート5bの間にスペーサ治具11a,11bを配置し、かつ、圧着治具12a,12bによる圧着時に、補強板シート5a及び補強板シート5bの背面側から補強板2a,2b,2cをプリント回路基板1に圧着させる凸部16a,16b,16cを設けたもので、その他の構成は図2及び図3に示した構成とほぼ同じである。
【0048】
図2及び図3と異なる箇所について説明すると、前記スペーサ治具11a,11bは、それぞれプリント回路基板1の片面全体をほぼ覆うことができる大きさでシート状に形成されている。該スペーサ治具11aには補強板シート5aの補強板2a,2bと対応して該補強板2a,2bとほぼ同じ大きさをした開口13a,13bが設けられ、スペーサ治具11bには補強板シート5bの補強板2cと対応して該補強板2cとほぼ同じ大きさをした開口13cが設けられている。
【0049】
前記圧着治具12aにはスペーサ治具11aの開口13a,13bに対応して、該開口13a,13bよりも若干小さい形状の凸部16a,16bが設けられ、前記圧着治具12bにはスペーサ治具11bの開口13cに対応して、該開口13cよりも若干小さい形状の凸部16cが設けられている。なお、該凸部16a,16b,16cの高さは、スペーサ治具11a,11bの厚みから接着材3の厚みを引いた高さよりやや高くすることが好ましい。
【0050】
そして、この第3実施例では、補強板2a,2bをプッシュバックさせた補強板シート5a、及び補強板2cをプッシュバックさせた補強板シート5bをそれぞれプリント回路基板1の表裏面に、ガイドピン9,9とガイド孔4、及び該ガイドピン9,9とガイド孔8a,8bにより各々位置決めして配置する[同図(1)]。また、上下の圧着治具12a,12bを内側に移動させると、圧着治具12a側は、該圧着治具12aの凸部16a,16bがスペーサ治具11aの開口13a,13bを通って補強板2a,2bに押し付けられ、他の捨て部7a,7bはスペーサ治具11aでブロックされる。一方、圧着治具12b側は、該圧着治具12bの凸部16cがスペーサ治具11bの開口13cを通って補強板2cに押し付けられる[同図(2)]。これにより、該補強板2a,2b,2cがプリント回路基板1の表裏面にそれぞれ接着材3で貼り付けられ、補強板2a,2b,2cを取り付けたプリント回路基板1が完成する。
【0051】
また、圧着を終えたら、圧着治具12a,12bを互いに引き離す。次いで、重ね合わせたスペーサ治具12a,12b及び補強板シート5a,5b並びにプリント回路基板1を圧着治具12a,12bから取り外す。次いで、同図(3)に示すように、別途用意されている突き出し治具21の上に取り外した補強板シート5a,5b及びプリント回路基板1を重ねた状態で位置決めして載置し、全体を下に押し下げる。突き出し治具21には、突き出しピン22が設けられていて、この押し下げにより上側のスペーサ治具11aが補強板シート5aの捨て部7と共に持ち上げられてプリント回路基板1から強制的に剥離され、これによって該捨て部7を容易に取り除くことができる。次いで、下側の補強板シート5bも、スペーサ治具12b及びプリント回路基板1と共に一度取り外して反転させ、再び該突き出し治具21上に位置決めして載置し、全体を下に押し下げると、スペーサ治具11bが補強板シート5bの捨て部7と共に持ち上げられてプリント回路基板1から強制的に剥離され、これによって捨て部7を容易に取り除くことができる。
【0052】
図5は図4に示した第3実施例の一部を変形した一変形例を示す模式図である。図5に示す変形例は、上側圧着治具12aに下側の補強板シート5bの捨て部7を突き出す突き出しピン22が設けたもので、圧着治具12a,12bによる圧着時に、突き出す突き出しピン22が補強板シート5bの捨て部7を下側圧着治具12b側に押し付けて、補強板2cと捨て部7とを強制的に切り離すようにしたものである。なお、他の構成は図4と同一であるから、同一の構成部分は同一符号を付して重複説明を省略する。
【0053】
図6は図4に示した第3実施例の一部をさらに変形した他の変形例を示す図である。図6に示す変形例は、補強板2a,2bをプッシュバックさせた補強板シート5a、及び、補強板2cをプッシュバックさせた補強板シート5bをそれぞれプリント回路基板1の表裏面に、ガイドピン9,9とガイド孔4、及び該ガイドピン9,9とガイド孔8a,8bにより各々位置決めして配置する[同図(1)]。また、上下の圧着治具12a,12bを内側に移動させると、圧着治具12a側は、該圧着治具12aの凸部16a,16bが補強板2a,2bをスペーサ治具11aの開口13a,13bを通ってプリント回路基板1の表面側に押し付け、他の捨て部7a,7bはスペーサ治具11aでブロックして残す。一方、圧着治具12b側は、該圧着治具12bの凸部16cが補強板2cをスペーサ治具11bの開口13cを通ってプリント回路基板1の裏面側に押し付ける[同図(2),(3)]。これにより、該補強板2a,2b,2cがプリント回路基板1の表裏面に接着材3で貼り付けられ、補強板2a,2b,2cを取り付けたプリント回路基板1が完成する。
【0054】
また、圧着を終えたら、圧着治具12a,12bを互いに引き離す。次いで、スペーサ治具12a,12b及びプリント回路基板1を取り外し[同図(4)]、さらに圧着治具12a,12bからそれぞれ突き出しピン17a,17b,17cを突出させると、補強板シート5a及び補強板シート5bの各捨て部7a,7bが圧着治具12a,12bから強制的に取り除かれる[同図(5)]。
【0055】
したがって、この変形例の場合は、圧着治具12a12bの圧着時、スペーサ治具11a,11bによって補強板シート5a,5bの捨て部7a,7bを各々ブロックした状態で、補強板2a,2b,2cをプリント回路基板1に押し付けるので、補強板シート5a,5bの捨て部7a,7bから補強板2a,2b,2cを突き出して強制的に分離することができる。また、圧着後は、捨て部7a,7bを圧着治具12a,12bから容易に除去することができる。
【0056】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の補強板取付方法を用いて形成されたプリント回路基板の一例を示す縦断側面図。
【図2】本発明の第1実施例を示す図であり、(1)はプリント回路基板を示し、(2)は表面及び裏面用の補強板シート、(3)は表面用補強板シートのプッシュバック加工の手順、(4)は裏面用補強板シートのプッシュバック加工の手順、(5)は圧着前の状態、(6)は圧着後の状態を各々示している。
【図3】本発明の第2実施例を示す図であり、(1)は表面及び裏面用の補強板シート、(2)及び(3)は表面用補強板シートのプッシュバック加工の手順、(4)及び(5)は裏面用補強板シートのプッシュバック加工の手順、(6)は圧着前の状態、(7)は圧着後の状態を各々示している。
【図4】本発明の第3実施例を示す図であり、(1)は圧着前の状態、(2)は圧着後の状態、(3)は補強板シートの捨て部をスペーサ治具と共に除去する状態を各々示している。
【図5】本発明の第3実施例の一変形例を示す図であり、(1)は圧着治具にセットする前の状態、(2)は圧着治具にセットして圧着する前の状態、(3)は圧着治具にセットして圧着した状態、(4)圧着後に補強板と捨て部を切り離す状態を各々示している。
【図6】本発明の第3実施例の他の変形例を示す図であり、(1)は圧着治具にセットする前の状態、(2)は圧着治具にセットして圧着する前の状態、(3)は圧着治具にセットして圧着した状態、(4)圧着後に補強板と捨て部を切り離す状態、(5)は圧着後に圧着治具から捨て部を切り離す状態を各々示している。
【図7】従来の補強板取付方法の一例を示す縦断側面図。
【図8】従来の補強板取付方法の他の例を示す縦断側面図。
【符号の説明】
【0058】
1 プリント回路基板
2a,2b,2c 補強板
3 接着材
4 ガイド孔
5a 表面用の補強板シート
5b 裏面用の補強板シート
6a〜6c 打ち抜き孔
7a,7b 捨て部
8a,8b ガイド孔
9 ガイドピン
10 剥離シート
11a,11b スペーサ治具
12a,12b 圧着治具
13a〜13c 開口
16a〜16c 凸部
17a〜17c 突き出しピン
21 突き出し治具
22 突き出しピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板の両面に補強板を貼り合わせて取り付けるプリント回路基板における補強板取付方法において、
前記補強板を取り付ける前記プリント回路基板上の位置に対応して前記補強板を打ち抜いて形成した打ち抜き孔を有する捨て部と該打ち抜き孔内にプッシュバックされて取り付けられた前記補強板とが一体化され、前記プリント回路基板の片面ほぼ全体を覆って配設可能に形成してなる表裏1対の補強板シートを、それぞれ前記プリント回路基板と前記補強板の間に接着材を配設して該プリント回路基板に圧着して貼り合わせ、その後、前記補強板を残して前記各補強板シートの捨て部をそれぞれプリント回路基板から引き剥がすようにしたことを特徴とするプリント回路基板における補強板取付方法。
【請求項2】
上記接着材を上記プリント回路基板上に印刷して設けることを特徴とする請求項1記載のプリント回路基板における補強板取付方法。
【請求項3】
上記補強板シートの片面ほぼ全体に、表面側に剥離シートが設けられている両面接着シート材を貼り付け、前記補強板シートに対する前記補強板の上記プッシュバック加工を前記両面接着シート材と一体に行い、前記補強板側の前記剥離シートを前記プリント回路基板に前記補強用シート材を圧着させる前に剥がし、その後、前記プリント回路基板と前記補強板シートとの間を圧着することを特徴とする請求項1記載のプリント回路基板における補強板取付方法。
【請求項4】
上記補強板シートの上記補強板と対応している位置に開口を有しているシート状のスペーサ治具を上記プリント回路基板と上記補強板シートとの間に介在させて前記補強板シートを前記プリント回路基板に圧着させると共に、該圧着時に前記補強板シートの前記補強板と対応している位置に凸部を有する圧着治具を前記補強板シート材の背面側から前記補強板に圧接させて該補強板を前記プリント回路基板側に押圧することを特徴とする請求項1,2または3記載のプリント回路基板における補強板取付方法。
【請求項5】
上記プリント回路基板と上記補強板シートとの圧着後、前記プリント回路基板を貫通してピンを突出させ、該ピンにより前記補強板シートの捨て部を前記プリント回路基板から突き上げて引き剥がすことを特徴とする請求項4記載のプリント回路基板における補強板取付方法。
【請求項6】
上記プリント回路基板と上記補強板シートとの圧着時、前記プリント回路基板を貫通してピンを突出させ、該ピンにより前記補強板シートの捨て部を前記プリント基板と対向して配置されている上記圧着治具側に押圧し、該捨て部を前記プリント回路基板から引き離すことを特徴とする請求項4記載のプリント回路基板における補強板取付方法。
【請求項7】
上記プリント回路基板と上記補強板シートとの圧着後、上記圧着治具の外側方向から内側方向に向かってピンを突出させ、該ピンにより前記補強用シートの捨て部を前記圧着治具から引き離すことを特徴とする請求項4記載のプリント回路基板における補強板取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−135519(P2010−135519A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309155(P2008−309155)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】