説明

プリント基板

【目的】発熱性の半導体素子等の搭載部品(電子部品)の冷却を効果的に行う。
【構成】冷却用のポッティング材をプリント基板の搭載部品の通電部分を除いて上記プリント基板上に被覆した構成。
【効果】電気的、機械的悪影響を及ぼすことなく、効果的に冷却できる信頼性の高いプリント基板を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電子機器に搭載され、発熱性の半導体素子等の搭載部品(電子部品)が実装されたプリント基板に係り、特に、搭載部品の冷却を効果的に行うことができるプリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント基板に搭載された発熱性の半導体素子等の搭載部品を冷却する技術が、例えば実開平1−86295号公報に記載されている。ここでは、搭載部品を実装したプリント基板全面に軟粘性樹脂を被覆して(この被覆した軟粘性材料を以下「ポッティング材」と称す)、このポッティング材の表面を空気、水等の冷媒を介して熱伝導により冷却する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、搭載部品の通電部分を含めたプリント基板全面をポッティング材で覆っていたので、電子回路にインピーダンスアンマッチ、クロストーク、信号遅延等の電気的悪影響を及ぼすという問題があった。また、プリント基板に半田付けされた半導体素子のリード端子とポッティング材との熱膨張差により、半田付け部へストレスが加わり、リード端子の半田部に破断が生じるという問題があった。従来技術では、これらの対策について考慮されておらず、また、自然空冷、強制空冷等に関する冷却方法についても開示されていなかった。
【0004】本発明の目的は、ポッティング材による上記の電気的悪影響や機械的悪影響を排除することができ、空気冷却にも対応可能なプリント基板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明のプリント基板は、冷却用のポッティング材を半導体素子のリード端子等の搭載部品の通電部分を除いて上記プリント基板上に被覆したことを要旨とする。
【0006】また、放熱片の一部を上記ポッティング材に埋め込み、該放熱片を該ポッティング材の表面から突出させたことを特徴とする。
【0007】また、上記ポッティング材の表面に凹凸を設け、該表面積を増加したことを特徴とする。
【0008】さらに、冷媒が流れるように構成した管の少なくとも一部を上記ポッティング材に埋め込んだことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明では、搭載部品の通電部分を除いてポッティング材を被覆するので、ポッティング材が電子回路の誘電体とならないため、電子回路に上記電気的悪影響を及ぼすことなく、すべての搭載部品の温度上昇を抑制することができる。また、プリント基板に半田付けされた半導体素子のリード端子部のポッティング材を除いたので、該リード端子とポッティング材との熱膨張差に起因するリード端子の半田部破断等の機械的悪影響も排除することができる。
【0010】また、ポッティング材に放熱片を設けたり、ポッティング材の表面積を増やしたり、あるいは冷媒が流れる管をポッティング材に埋め込むことによって、搭載部品を効果的に冷却することができるプリント基板を提供することができる。
【0011】
【実施例】実施例1図1は、本発明の第1の実施例のプリント基板の断面図である。
【0012】1はプリント基板、2はプリント基板1の片面に搭載した半導体素子、3は半導体素子2のリード端子、4は半導体素子2のリード端子3等の通電部位を除いてプリント基板1上に被覆した例えばシリコン等の熱伝導性の良い軟粘性樹脂からなるポッティング材、5はポッティング材の表面を冷却するための水、空気等の冷媒、6はポッティング材4をプリント基板1に支持、固定するための金属板等からなる支持部材である。
【0013】半導体素子2等の搭載部品から発生する熱は、ポッティング材4に熱伝導し、冷媒5で吸収され、半導体素子2は冷却され、温度上昇を抑えられる。なお、半導体素子2のリード端子3はポッティング材4と接していないので、ポッティング材4が電子回路の誘電体とならず、電子回路へのインピーダンスアンマッチ、クロストーク、信号遅延等の電気的悪影響を抑制することができる。また、半導体素子2のリード端子3の回りにはポッティング材4が存在しないので、リード端子3とポッティング材4との熱膨張差に起因するリード端子3の半田部破断等の機械的悪影響も抑制することができる。
【0014】なお、図1に示すように、ポッティング材4の表面に冷媒5を直接流すように構成してもよいし、冷媒が通る管や、冷却部材をポッティング材4上に設置してもよい。また、ポッティング材4が搭載部品の通電部分と接触しないので、ポッティング材4に熱伝導性の高い金属粉や金属繊維を混入することができ、ポッティング材4の熱伝導率を向上することができるので、放熱量を増加し、冷却効果を向上することができる。したがって、ファンを使用する強制空冷を行わない自然空冷や水冷方式を採用することができるので、低騒音化、省エネルギー化を図ることができる。
【0015】次に、上記実施例のようにポッティング材を搭載部品の通電部分を除いてプリント基板上に被覆する方法について述べる。まず、所定の容器にポッティング材となる軟粘性樹脂を所定の量満たしておき、プリント基板の搭載部品が搭載された側を下面にして、搭載部品の通電部分を除いてポッティング材が被覆できる深さまでプリント基板を浸漬し、樹脂を硬化させる。硬化したら、プリント基板を容器から取り出し、支持部材(図1R>1の6)をねじ等により取り付け、ポッティング材をプリント基板に固定する。
【0016】実施例2図2は、本発明の第2の実施例のプリント基板の断面図である。
【0017】本実施例では、ポッティング材4に放熱片(冷却フィン)7の一部を埋め込み、放熱片7を該ポッティング材4の表面から突出させてある。これにより、空気等の冷媒と接する面積が増加するので、搭載部品の冷却効果をさらに高めることができる。
【0018】実施例3図3は、本発明の第3の実施例のプリント基板の断面図である。
【0019】本実施例では、ポッティング材4の表面に図示のような凹凸を設けることにより、ポッティング材4の表面積を増加して放熱面積を拡大し、冷却効果を高めた例である。
【0020】実施例4図4は、本発明の第4の実施例のプリント基板の断面図である。
【0021】8は、水等の冷媒が流れるように構成した管(パイプ)であり、この管8をポッティング材4に埋め込んである。
【0022】以上本発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。例えば、冷却手段としては自然空冷、水冷のほか、種々のものを用いることができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、電気的、機械的悪影響を及ぼすことなく、効果的に冷却できる信頼性の高いプリント基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のプリント基板の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例のプリント基板の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例のプリント基板の断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例のプリント基板の断面図である。
【符号の説明】
1…プリント基板、2…半導体素子、3…リード端子、4…ポッティング材、5…冷媒、6…支持部材、7…放熱片、8…管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】冷却用のポッティング材をプリント基板の搭載部品の通電部分を除いて上記プリント基板上に被覆したことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】放熱片の一部を上記ポッティング材に埋め込み、該放熱片を該ポッティング材の表面から突出させたことを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
【請求項3】上記ポッティング材の表面に凹凸を設け、該ポッティング材の表面積を増加したことを特徴とする請求項1または2記載のプリント基板。
【請求項4】冷媒が流れるように構成した管の少なくとも一部を上記ポッティング材に埋め込んだことを特徴とする請求項1、2または3記載のプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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