説明

プリント配線板の電子部品放熱構造

【課題】電力損失により電子部品から発生する熱の放熱効果を高め当該電子部品の温度上昇を抑制することにより、電子部品の故障の要因を低減させ耐久性、信頼性の向上を図る。
【解決手段】電気機器のプリント配線板1のランド10上に半田11を載せて発熱する電子部品2を取付け、電子部品をパターン13で配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、ランドに放熱用パターン12を設け、放熱用パターンの表面積をランドの表面積の2〜4倍に設定することにより、電子部品から発生する熱を放熱パターンに伝達させ放熱効果を高める。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリント配線板の電子部品放熱構造に係り、特に電力損失により電子部品から発生する熱の放熱効果を高めたプリント配線板の電子部品放熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、図4の構造図に示すプリント配線板の電子部品取付構造が提案されている。
【0003】図4の構造図において、熱伝導性を有する基板材料からなる電気機器のプリント配線板101の電子部品が実装される面には、当該電子部品の接続または取付けのために用いられ銅箔からなるランド、ここでは2つのランド110、110が形成されており、このランド110、110上には、放熱の必要性を有する電子部品102の電極が半田111、111で取付けられている。また、ランド110、110は、銅箔からなりレジストが塗布されたパターン112、112を介して、電子部品102とは異なる他の電子部品の電極が半田で取付けられた他のランドにそれぞれ配線されている(図示せず)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例をなすプリント配線板の電子部品取付構造では、電力損失により電子部品102から発生する熱を放熱させるための有効的な放熱手段が備えられておらず、電子部品102の温度(部品温度)が上昇することにより、電子部品102の故障の要因となる難点があった。
【0005】本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、電力損失により電子部品から発生する熱の放熱効果を高め当該電子部品の温度上昇を抑制することにより、電子部品の故障の要因を低減させ耐久性、信頼性の向上を図るプリント配線板の電子部品放熱構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するため、本発明によるプリント配線板の電子部品放熱構造は、電気機器のプリント配線板のランド上に半田を載せて発熱する電子部品を取付け、電子部品をパターンで配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、ランドに放熱用パターンを設け、放熱用パターンの表面積をランドの表面積の2〜4倍に設定することにより、電子部品から発生する熱を放熱用パターンに伝達させ放熱効果を高めることを特徴としている。
【0007】また、本発明によるプリント配線板の電子部品構造は、電気機器のプリント配線板のランド上に半田を載せて発熱する電子部品を取付け、電子部品をパターンで配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、プリント配線板の電子部品を取付けるランドとは別個に放熱用パターンを設け、ランドをパターンで放熱用パターンに配線することにより、電子部品から発生する熱を放熱用パターンに伝達させ放熱効果を高めることを特徴としている。
【0008】また、本発明によるプリント配線板の電子部品放熱構造は、電気機器のプリント配線板のランド上に半田を載せて発熱する電子部品を取付け、電子部品をパターンで配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、プリント配線板のパターンにスルーホールを設け、プリント配線板の裏面に放熱用パターンを設け、ランドをパターンからスルーホールを介して放熱用パターンに接続することにより、電子部品から発生する熱を放熱用パターンに伝達させ放熱効果を高めることを特徴としている。
【0009】このような本発明のプリント配線板の電子部品放熱構造によれば、電力損失により電子部品から発生する熱は、電子部品が実装されるプリント配線板の表面または裏面に形成した放熱用パターンに伝達され、この放熱用パターンから大気中に効率よく放熱させることができる。これにより、電子部品の異常な温度上昇は抑制され、電子部品の故障の要因を低減でき耐久性、信頼性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるプリント配線板の電子部品放熱構造を適用した好ましい形態の実施例について、図面を参照して説明する。
【0011】図1は、本発明の第1の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造を示す構造図であり、熱伝導性を有する基板材料、例えば複合エポキシ樹脂積層板(CEM−3)、ガラスエポキシ材等からなる電気機器のプリント配線板1の電子部品が実装される面(以下、表面と称す)には、当該電子部品の接続または取付けのために用いられ銅箔(電解銅箔または圧延銅箔)からなるランド、ここでは2つのランド10、10が形成されており、このランド10、10上には、放熱の必要性を有する半導体素子、例えば抵抗、コンデンサ、パワー素子等からなる電子部品2の電極が半田11、11で取付けらている。また、ランド10、10には、電力損失により電子部品2から発生する熱を放熱させるために用いられ銅箔からなる放熱用パターン12、12が接触するように設けられている。さらに、放熱用パターン12、12は、銅箔からなりレジストが塗布されたパターン(以下、配線用パターンと称す)13、13を介して、電子部品2とは異なる他の電子部品の電極が半田で取付けられた他のランドに接触した状態で設けられる他の放熱用パターンにそれぞれ配線されている(図示せず)。尚、放熱用パターン12、12の表面積は、ランド10、10の表面積の2〜4倍に設定されている。
【0012】このような本発明の第1の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造において、電力損失により電子部品2から発生した熱は、プリント配線板1の表面に形成され電子部品2の電極が半田11、11で取付けられたランド10、10を介して、ランド10、10に接触した状態で設けられた放熱用パターン12、12にそれぞれ伝達され、放熱用パターン12、12から大気中に放熱される。また、放熱用パターン12、12の表面積は、ランド10、10の表面積の2〜4倍に設定されていることにより、有効な放熱手段が備えられていない従来例と比較して、電子部品2の温度(部品温度)を、例えば20〜50℃下げることが可能となり、電力損失により電子部品2から発生した熱を効率よく大気中に放熱でき、電子部品2の異常な温度上昇は抑制される。
【0013】また、電力損失により電子部品2から発生した熱は、放熱用パターン12、12を配線する配線用パターン13、13を介して他の放熱用パターン(図示せず)にそれぞれ伝達され、プリント配線板1の表面全体に拡散させることができる。これにより、電子部品2のみならず他の電子部品(図示せず)の温度上昇も抑制され、電子部品(他の電子部品を含む)2の故障の要因を低減でき耐久性、信頼性が向上する。
【0014】次に、電力損失により電子部品から発生する熱の放熱効果を向上させた第1の実施例と同様な効果を奏するプリント配線板の電子部品放熱構造の他の実施例を、本発明の第2の実施例として、以下、図2の構造図を参照して説明する。
【0015】図2の構造図において、熱伝導性を有する基板材料、本発明の第1の実施例と同様な例えば複合エポキシ樹脂積層板(CEM−3)、ガラスエポキシ材等からなる電気機器のプリント配線板21の表面には、当該電子部品の接続または取付けのために用いられ銅箔からなるランド、ここでは2つのランド30、30と、電力損失により電子部品22から発生する熱を放熱させるために用いられ銅箔からなる放熱用パターン32、32とが別個に形成されている。また、ランド30、30と放熱用パターン32、32とは、銅箔からなりレジストが塗布されたパターン(以下、配線用パターン)33、33でそれぞれ配線されている。また、ランド30、30上には、放熱の必要性を有する半導体素子、本発明の第1の実施例と同等な例えば抵抗、コンデンサ、パワー素子等からなる電子部品22の電極が半田31、31で取付けらている。さらに、放熱用パターン32、32には、配線用パターン34、34を介して他の放熱用パターンが配線されており、他の放熱用パターンは、電子部品22とは異なる他の電子部品の電極が半田で取り付けられた他のランドに他の配線用パターンで配線されている(図示せず)。
【0016】このような本発明の第2の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造において、電力損失により電子部品22から発生した熱は、プリント配線板21の表面に形成され電子部品22の電極が半田31、31で取付けられたランド30、30、配線用パターン33、33を介して放熱用パターン32、32にそれぞれ伝達され、放熱用パターン32、32から大気中に放熱される。これにより、有効な放熱手段が備えられていない従来例と比較して、電子部品22の温度(部品温度)を、例えば20〜50℃下げることが可能となり、電力損失により電子部品22から発生した熱を効率よく大気中に放熱でき、電子部品22の異常な温度上昇は抑制される。
【0017】また、電力損失により電子部品22から発生した熱は、放熱用パターン32、32を配線する配線用パターン34、34を介して他の放熱用パターン(図示せず)にそれぞれ伝達され、プリント配線板21の表面全体に拡散させることができる。これにより、電子部品22のみならず他の電子部品(図示せず)の温度上昇も抑制され、電子部品(他の電子部品を含む)22の故障の要因を低減でき耐久性、信頼性が向上する。
【0018】次に、電力損失により電子部品から発生する熱の放熱効果を向上させた第1、第2の実施例と同様な効果を奏するプリント配線板の電子部品放熱構造の他の実施例を、本発明の第3の実施例として、以下、図3の構造図を参照して説明する。
【0019】図3の構造図において、熱伝導性を有する基板材料、本発明の第1、第2の実施例と同様な例えば複合エポキシ樹脂積層板(CEM−3)、ガラスエポキシ材等からなる電気機器のプリント配線板41の表面には、当該電子部品の接続または取付けのために用いられ銅箔からなるランド、ここでは2つのランド50、50が形成されており、このランド50、50上には、放熱の必要性を有する半導体素子、本発明の第1、第2の実施例と同様な例えば抵抗、コンデンサ、パワー素子等からなる電子部品42の電極が半田51、51で取付けられている。また、ランド50、50は、銅箔からなりレジストが塗布されたパターン(以下、配線用パターンと称す)53、53を介して、電子部品42とは異なる他の電子部品の電極が半田で取付けられた他のランドにそれぞれ配線されている(図示せず)。さらに、配線用パターン53、53には、電力損失により電子部品42から発生する熱を放熱させるために用いられプリント配線板51の裏面に形成される銅箔からなる放熱用パターン52、52とランド(他のランドを含む)50、50とを接続するための内壁にめっき、例えば銅めっきが施されたスルーホール54、54がそれぞれ穿設されている。
【0020】このような本発明の第3の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造において、電力損失により電子部品42から発生した熱は、プリント配線板41の表面に形成され電子部品42の電極が半田51、51で取付けられたランド50、50、配線用パターン53、53、配線用パターン53、53にそれぞれ穿設されたスルーホール54、54、プリント配線板41を介して、プリント配線板41の裏面に形成された放熱用パターン52、52にそれぞれ伝達され、放熱用パターン52、52から大気中に放熱される。これにより、有効な放熱手段が備えられていない従来と比較して、電子部品42の温度(部品温度)を、例えば20〜50℃下げることが可能となり、電力損失により電子部品42から発生した熱を効率よく大気中に放熱でき、電子部品42のみならず他の電子部品(図示せず)の異常な温度上昇は抑制され、電子部品(他の電子部品を含む)42の故障の要因を低減でき耐久性、信頼性が向上する。
【0021】尚、上述の各実施例では、電力損失により電子部品から発生される熱の放熱効果を高めるために用いる放熱用パターンを、プリント配線板1の表面に形成されるランド10、10に接触するように設けられた放熱用パターン12、12(第1の実施例)、プリント配線板21の表面にランド30、30とは別個に形成された放熱用パターン32、32(第2の実施例)、プリント配線板41の裏面に形成された放熱用パターン52、52(第3の実施例)として異なる態様で用いたが、これら実施例で用いられた各種放熱用パターンを、複合的に用いることにより、電力損失により電子部品から発生した熱を、プリント配線板の表面、裏面問わず当該配線板全体に拡散させることができ、放熱効果がさらに高められる(詳述せず)。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明のプリント配線板の電子部品放熱構造によれば、電力損失により電子部品から発生する熱は、電子部品が実装されるプリント配線板の表面または裏面に形成した放熱用パターンに伝達され、この放熱用パターンから大気中に効率よく放熱させることができる。これにより、電子部品の異常な温度上昇は抑制され、電子部品の故障の要因を低減でき耐久性、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造を示す構造図である。
【図2】本発明の第2の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造を示す構造図である。
【図3】本発明の第3の実施例によるプリント配線板の電子部品放熱構造を示す構造図である。
【図4】従来例をなすプリント配線板の電子部品取付構造を示す構造図である。
【符号の説明】
1、21、41・・・・・電子機器のプリント配線板
2、22、42・・・・・電子部品
10、30、50・・・・・ランド
11、31、51・・・・・半田
12、32、52・・・・・放熱用パターン
13、33、34、53・・・・・パターン(配線用パターン)
54・・・・・スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】電気機器のプリント配線板(1)のランド(10)上に半田(11)を載せて発熱する電子部品(2)を取付け、前記電子部品をパターン(13)で配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、前記ランドに放熱用パターン(12)を設け、前記放熱用パターンの表面積を前記ランドの表面積の2〜4倍に設定することにより、前記電子部品から発生する熱を前記放熱用パターンに伝達させ放熱効果を高めることを特徴とするプリント配線板の電子部品放熱構造。
【請求項2】電気機器のプリント配線板(21)のランド(30)上に半田(31)を載せて発熱する電子部品(22)を取付け、前記電子部品をパターン(33、34)で配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、前記プリント配線板の前記電子部品を取付けるランドとは別個に放熱用パターン(32)を設け、前記ランドを前記パターンで前記放熱用パターンに配線することにより、前記電子部品から発生する熱を前記放熱用パターンに伝達させ放熱効果を高めることを特徴とするプリント配線板の電子部品放熱構造。
【請求項3】電気機器のプリント配線板(41)のランド(50)上に半田(51)を載せて発熱する電子部品(42)を取付け、前記電子部品をパターン(53)で配線するプリント配線板の電子部品放熱構造であって、前記プリント配線板の前記パターンにスルーホール(54)を設け、前記プリント配線板の裏面に放熱用パターン(52)を設け、前記ランドを前記パターンから前記スルーホールを介して前記放熱用パターンに接続することにより、前記電子部品から発生する熱を前記放熱用パターンに伝達させ放熱効果を高めることを特徴とするプリント配線板電子部品放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2002−94196(P2002−94196A)
【公開日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−279797(P2000−279797)
【出願日】平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】