プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメント
【課題】流体処理エレメント及び流体処理方法を使用し、ガス、液体、又はガス、液体、及び/又は固体の混合物を含む流体をクロスフロー作動モードで処理する。
【解決手段】例えば、幾つかの流体処理エレメント(10、100)及び流体処理方法を使用し、流体から一つ又はそれ以上の物質を除去する。この場合、濃縮機、フィルタ、又はセパレーターとして機能する。他の流体処理エレメント及び流体処理方法は、二つの流体流間で物質を移動するのに使用される。この場合、物質移動装置として機能する。
【解決手段】例えば、幾つかの流体処理エレメント(10、100)及び流体処理方法を使用し、流体から一つ又はそれ以上の物質を除去する。この場合、濃縮機、フィルタ、又はセパレーターとして機能する。他の流体処理エレメント及び流体処理方法は、二つの流体流間で物質を移動するのに使用される。この場合、物質移動装置として機能する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、液体、又はガス、液体、及び/又は固体の混合物を含む流体を様々な方法で処理するのに使用できる流体処理エレメントに関する。例えば、幾つかの流体処理エレメントは、流体から一つ又はそれ以上の物質を除去するのに使用でき、その場合、濃縮機、フィルタ、又はセパレーターとして機能する。他の流体処理エレメントは二つの流体流間で物質を移動するのに使用でき、その場合、物質移動装置として機能する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2004年3月29日に出願された米国仮特許出願第60/556,891号及び2005年2月1日に出願された米国仮特許出願第60/648,394号に基づく優先権を主張するものである。これらの特許出願に触れたことにより、これらの特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0003】
詳細には、本発明は、流体をクロスフロー作動モードで処理する構造を備えた、プリーツを有する流体処理エレメントに関する。プリーツを有する流体処理エレメントは単一のシートを含んでいてもよいし、流体処理ろ材を含む多層複合体を含んでいてもよい。幾つかのプリーツを形成するため、単一のシート又は多層複合体をジグザグに折り畳んでもよく又は波形形成してもよい。各プリーツは、折り畳み端部、開放端部、及び折り畳み端部と開放端部との間を延びる二つの脚部を有する。プリーツ状に形成されたシート又は複合体の対向する端縁部は互いにシールされ、全体に円筒形の流体処理パックを形成する。各プリーツは、流体処理パックに沿って全体に軸線方向に延びる。
【0004】
プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントは、流体処理パックのプリーツに沿って接線方向に延びる第1流体流路、及びプリーツ状にされた流体処理ろ材を通って第1流体流路から、又は第1流体流路まで延びる第2流体流路を含んでいてもよい。例えば、供給流体は第1流体流路に沿って流体処理エレメントに進入してもよい。供給流体は、次いで、第1流体流路を介して軸線方向に流体処理パックに沿って、及びパックのプリーツ内を接線方向に通過し、ここで供給流体の処理が行われる。例えば、供給流体を第2流体流路に沿って流体処理ろ材を通過させることによって、供給流体の一つ又はそれ以上の成分を含む一つ又はそれ以上の物質を供給流体から除去してもよい。別の態様では、第2流体流路に沿って流体処理ろ材を通して供給流体内に入れることによって、一つ又はそれ以上の物質を供給流体に追加してもよい。処理した供給流体は、次いで、第1流体流路に沿って流体処理エレメントから連続的に流出される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントは、流体処理パックと、スペーサ構造体と、第1流体流路及び第2流体流路とを含む。流体処理パックは、流体処理ろ材と、軸線と、互いに反対側にある第1端部及び第2端部と、プリーツを有する該パックの第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツとを含む。各プリーツは、折り畳み端部、開放端部、及びプリーツの折り畳み端部と開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。スペーサ構造体は、プリーツと協働して、スペーサ構造体によって占められる第1領域及び構造が実質的にない第2領域を、各プリーツ内に画成する。第1流体流路は、プリーツ内でプリーツを有する流体処理パックに沿って軸線方向に延び、各プリーツの第2領域を含む。第2流体流路は、第1流体流路から又は第1流体流路へ、プリーツ状にされた流体処理ろ材を通って延びる。
【0006】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントは、中空の、全体に円筒形の流体処理パックと、スペーサ構造体と、第1及び第2のエンドキャップとを含む。流体処理パックは、軸線と、内部と、互いに反対側にある第1端部及び第2端部と、プリーツ状にされた複合体とを含む。プリーツ状にされた複合体は、流体処理パックの第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成する。各プリーツは、折り畳み外端部、開放内端部、及び折り畳み外端部と開放内端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。プリーツ状にされた複合体は、内面及び外面を持つ流体処理ろ材及びこの流体処理ろ材の外面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含む。スペーサ構造体は、流体処理パックのプリーツと結合しており、流体処理ろ材の内面から内方に延びる。スペーサ構造体は、流体処理パックの第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、流体処理パックの第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び第1スペーサと第2スペーサとの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む。コア構成要素は流体処理パックの中空内部内に位置決めされており、流体処理パックの第1端部及び第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含む。この盲部分は、流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向内方への流体流れに抵抗する。第1及び第2のエンドキャップは、夫々、流体処理パックの第1端部及び第2端部に対してシールされ、各エンドキャップはプリーツの軸線方向に延びる領域と流体的に連通した中央開口部を有する。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントは、全体に円筒形の流体処理パック、スペーサ構造体、外周部、及び第1及び第2のエンドキャップを含む。流体処理パックは、軸線、内部及び外部、第1端部及び第2端部、及びプリーツ状にされた複合体を含む。プリーツ状にされた複合体は、流体処理パックの第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成する。各プリーツは、折り畳み内端部、開放外端部、及び折り畳み内端部と開放外端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。プリーツ状にされた複合体は、内面及び外面を持つ流体処理ろ材と、流体処理ろ材の内面に沿って位置決めされたドレネージ媒体とを含む。スペーサ構造体は、流体処理パックのプリーツと流体処理ろ材の外面の外側に設けられる。スペーサ構造体は、流体処理パックの第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、流体処理パックの第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び第1スペーサ及び第2スペーサの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む。外周部は、流体処理パックの外部の周りに位置決めされており、流体処理パックの第1端部及び第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含む。外周部の盲部分は、流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向外方への流体流れに抵抗する。第1及び第2のエンドキャップは、夫々、流体処理パックの第1端部及び第2端部に対してシールされ、各エンドキャップは、流体処理パックの内部と流体的に連通した中央開口部を有する。
【0008】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントの製造方法は、流体処理ろ材を波形形成し、軸線方向に延びる複数のプリーツを形成する工程を含む。各プリーツは、折り畳み端部、開放端部、及び折り畳み端部と開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。この方法は、更に、複数のプリーツを全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程を含む。プリーツは、流体処理パックに沿って軸線方向に延びる。この方法は、更に、スペーサ構造体をプリーツの脚部間に位置決めする工程を含む。スペーサ構造体は、これらの脚部を離間し、軸線方向に延び構造が実質的にない領域を各プリーツ内に画成する。この方法は、更に、流体処理パックの第1端部及び第2端部をシールし、第1流体流路及び第2流体流路を形成する工程を含む。第1流体流路は、流体処理パックに沿って構造が実質的にない領域を介して軸線方向に延びる。第2流体流路は、流体処理パックを通って第1流体流路へ又は第1流体流路から延びる。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントの製造方法は、複合体を波形形成し、複数のプリーツを形成する工程を含む。複合体は、互いに反対側にある第1側縁部及び第2側縁部及び互いに反対側を向く第1面及び第2面を持つ流体処理ろ材、流体処理ろ材の第1面に沿って位置決めされたドレネージ媒体、流体処理ろ材の第2面に沿って第1側縁部と近接して位置決めされたスペーサ、及び流体処理ろ材の第2面に沿って位置決めされた材料を含む。この方法は、更に、波形形成した複合体を、第1端部及び第2端部を持つ全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程を含む。プリーツは、流体処理パックに沿って軸線方向に延びる。この方法は、更に、波形形成した複合体から材料をはぎ取り、構造が実質的にない領域を各プリーツ内に形成する工程を含む。この方法は、更に、流体処理パックの第1端部及び第2端部をシールし、第1流体流路及び第2流体流路を形成する工程を含む。第1流体流路は、流体処理パックに沿って構造が実質的にない領域を介して軸線方向に延び、第2流体流路は、流体処理パックを通って第1流体流路から又は第1流体流路まで延びる。
【0010】
本発明の実施例は、様々な方法で形成されてもよい。例えば、幾つかの実施例について、スペーサ構造体は、プリーツの脚部間に位置決めされるようにプリーツに設けられてもよい。他の実施例では、スペーサ構造体はプリーツの脚部内に、例えば流体処理ろ材とドレネージ媒体等の追加の多孔質ろ材との間に位置決めされるようにプリーツに設けられてもよい。多くの実施例について、スペーサ構造体は構造が実質的にない領域を画成する。この領域は、流体処理ろ材の表面の直ぐ近くに、即ち隣接して配置される。
【0011】
本発明の実施例は、従来の流体処理エレメントを越える多くの利点を提供する。例えば、構造が実質的にない領域をプリーツ内に設けることによって、供給流体をこれらの領域に沿って流体流れに対する抵抗を小さくして流すことができる。従って、流体処理パックを通して、供給流体を少ない圧力降下で接線方向に流すことができる。更に、構造が実質的にない領域を流体処理ろ材の表面の直ぐ近くに配置することによって、これらの領域を通るタンジェンシャル流路に沿って流れる流体は、流体処理ろ材の表面から汚れを更に完全に除去できる。従って、流体処理エレメントの使用寿命を延ばすことができる。更に、多くの供給流体は流体流路の構造を通って又はその周囲を流れるときに損傷を受ける。例えば、細胞及び/又は細胞成分を含む供給溶液が多孔質のネットを通って流れるとき、多くの細胞が粉砕され、細胞が破壊されることにより溶液中に細胞デブリスが含まれる。構造が実質的にない領域をプリーツ内に形成することにより、本発明の実施例では、供給流体をほとんど又は全く損傷することなく、流体処理パックに沿って接線方向に流すことができる。
【0012】
かくして、本発明の別の特徴によれば、細胞溶液を処理するための方法は、プリーツ内で、プリーツを有する流体処理エレメントに沿って軸線方向に細胞溶液を通過する工程を含む。細胞溶液をプリーツ内で軸線方向に通過する工程には、細胞溶液を、プリーツの脚部間の構造が実質的にない領域に沿って軸線方向に差し向ける工程が含まれる。この方法は、更に、構造が実質的にない領域内の細胞溶液から又はこの細胞溶液へ、流体処理エレメントの流体処理ろ材を通して一つ又はそれ以上の物質を通過する工程を含む。
【0013】
スペーサ構造体が流体処理ろ材と追加の多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体との間に位置決めされた実施例は、追加の利点を提供する。これらの実施例では、プリーツに沿って軸線方向に第1流体流路を介して流れる流体は、大部分が、構造が実質的にない領域に沿って流れるが、一部は追加の多孔質ろ材に沿って流れる。通常の作動モード中、流体処理ろ材の一方の側の第1流体流路内の流体は、全体として、流体処理ろ材の反対側の流体よりも高圧である。高圧の流体により、各プリーツの隣接した脚部を互いから離間された状態に保持し、構造が実質的にない領域を流体流れに対して開放する。第1流体流路内の流体の圧力が流体処理ろ材の反対側の流体の圧力以下に低下する場合がある。その場合、隣接したプリーツ脚部が互いに向かって膨張し、構造が実質的にない領域の全部又は幾つかを潰してしまう。しかしながら、通常の作動モードが再開し第1流体流路内の流体圧力が再び流体処理ろ材の反対側の流体圧力よりも大きくなると、構造が実質的にない領域を直ちに再形成できる。圧力が高い方の流体は各プリーツ内の第1流体流路に沿って、追加の多孔質ろ材を介して容易に流れることができ、各プリーツの隣接した脚部をこれらの脚部を押圧して通常の間隔が隔てられた位置に戻し、構造が実質的にない領域を再開放する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、多くの様々な流体処理エレメントにより具体化される。本発明を具体化した一つの流体処理エレメント10の一例を図1、図2、及び図3に示す。流体処理エレメント10は、全体として流体処理パック11を含む。この処理パックは、軸線12、両側の端部13、14、流体処理ろ材、及び複数のプリーツ15を含む。プリーツ15は、パック11の端部13、14間を略軸線方向に延びる。各プリーツ15は、全体として、例えば折り畳んだ外端部のような折り畳み端部20、例えば開放した内端部のような開放端部21、及び折り畳み端部20と開放端部21との間を延びる二つの脚部22、23を含む。スペーサ構造体が様々な方法のうちの任意の方法で流体処理パックのプリーツに取り付けられる。例えば、脚部22、23を離間させるため、スペーサ構造体24が各プリーツ15の脚部22、23の間に位置決めされていてもよい。スペーサ構造体24は、プリーツ15内に(例えばプリーツ15の脚部22、23間に)スペーサ構造体24が占有する領域30を画成し、プリーツ15内に(例えばプリーツ15の脚部22、23間に)構造が実質的にない別の領域を31を画成する。スペーサ構造体は、構造が実質的にない領域を画成するため、幾つかのプリーツ、大部分のプリーツ、又は全てのプリーツを含む複数のプリーツと結合していてもよい。例えば、スペーサ構造体は、構造が実質的にない領域をプリーツのうちの最大約40%又はそれ以上画成してもよく、これには、プリーツ即ち全てのプリーツの少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が含まれる。パーセンテージが高い方が好ましい。これは、流体処理エレメントのプリーツ内に、構造が実質的にない領域が更に多く提供されるためである。流体処理エレメント10は、更に、タンジェンシャル流体流路32及び横方向流体流路33を含む。タンジェンシャル流体流路32は、プリーツ15内で流体処理パック11に沿って全体に軸線方向に延びており、構造が実質的にない領域31を含む。横方向流体流路33はタンジェンシャル流体流路32と流体連通しており、流体処理ろ材を通ってタンジェンシャル流体流路32へ又はこの通路から横方向に延びる。
【0015】
作動では、供給流体は、流体処理パック11に沿ってタンジェンシャル流体流路32を介して接線方向に通過してもよい。構造が実質的にない領域31内の供給流体は、横方向流体流路33を介して流体処理ろ材を通して供給流体から一つ又はそれ以上の物質を除去することによって処理してもよいし、又は横方向流体流路33を介して流体処理ろ材を通して供給流体に一つ又はそれ以上の物質を追加することによって処理してもよい。流体処理エレメント10は、かくして、プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントと考えることができる。国際公開第WO00/13767号にも、プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントが開示されている。同特許公開に触れたことにより、この特許公開に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0016】
流体処理パック11は様々な方法で形成できる。例えば、流体処理パックは、プリーツ状単層シート(図示せず)であってもよいし、プリーツ状多層複合体40を含んでもよい。複合体40の幾つかの層又は全ての層は、互いに一体に接合されていてもよいし、互いに一体成形されていてもよい。しかしながら、多くの実施例において、複合体40の層は、互いに隣接して位置決めされた別体の層を含む。
【0017】
流体処理パック11は、単一のシート又は単一のシートの一つの領域として、又は複合体40の一つ又はそれ以上の層としての流体処理ろ材41を含む。流体処理ろ材41は、互いに反対側を向く面、例えば内面42及び外面43を含んでいてもよい。適当な流体処理ろ材は、供給流体の性質及び供給流体の処理方法等の要因に応じて大幅に変化させてもよい。例えば、流体処理ろ材は無数の特性のうちの任意の特性を備えていてもよいし、そのような性質を備えるように変更してもよい。流体処理ろ材は、多孔質で透過性又は半透性であってもよく、オングストローム範囲即ちドルトン範囲又はそれ以下から、サブミクロン範囲、そしてミクロン範囲又は数10ミクロン範囲又はそれ以下で所定の除去効率を備えていてもよい。例えば、流体処理ろ材は、ナノ濾過媒体、限外濾過媒体、又はマイクロ濾過媒体を含んでいてもよい。流体処理は、ガス及び液体を通すことができてもよいし、ガスしか通さず液体を通さなくてもよい。流体処理ろ材は、疎液性であっても親液性であってもよく、電気的に中性な表面を備えていてもよいし帯電した表面を備えていてもよく、及び/又は例えば供給流体中の一つ又はそれ以上の物質と結合するように構成されていてもよい一つ又はそれ以上の官能基を含んでいてもよい。流体処理ろ材は、例えば膜又は繊維質シートを含む様々な態様で形成されていてもよく、金属、天然又は合成のポリマー、又はセラミックス又はガラスを含む任意の適当な材料から形成されていてもよい。多くの実施例について、サブミクロン除去定格を持つポリマー濾過膜を流体処理ろ材として使用してもよい。
【0018】
流体処理パック11は、流体処理ろ材41の他に一つ又はそれ以上の多孔質ろ材を含んでいてもよい。例えば、流体処理パック11は、多孔質ドレネージ媒体を、例えば単一のシートの一領域として又は多層複合体40の別の層として含んでいてもよい。ドレネージ媒体44は、流体処理ろ材41の少なくとも一つの表面、例えば外面43に沿って、流体処理ろ材のこの表面と隣接して、又はこの表面から間隔が隔てられた状態で位置決めされていてもよい。ドレネージ媒体44は、エッジ方向流れ抵抗が十分に低く、流体をプリーツ状にされた流体処理ろ材の表面へ又はこの表面から適切に流すことができる様々な材料のうちの任意の材料で形成できる。多くの適当な軸線方向ドレネージ媒体が、例えば米国特許第5,543,047号及び米国特許第5,252,207号に開示されている。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。多くの実施例について、織製した又は不織布のポリマー材料又はポリマーメッシュをドレネージ媒体として使用してもよい。例えば、ドレン材料は、第1及び第2のストランド組、例えば機械方向ストランド及び機械方向に対して横方向のストランドを持つメッシュを含んでいてもよい。これらのストランドは、一方が、複合体内でプリーツと平行に配向されていてもよいし、プリーツと平行に配向されていなくてもよい。
【0019】
多層複合体40は、他の多孔質ろ材の層を含んでいてもよい。例えば、ドレネージ媒体44が、流体処理ろ材41の外面43に沿って、その間にクッション層(図示せず)を挟んで位置決めされていてもよい。クッション層は、米国特許第5,252,207号に開示されているように、流体処理ろ材41をドレネージ媒体44による磨耗から保護する。別の例として、流体処理ろ材41が薄くて弱い場合には、支持媒体(図示せず)を流体処理ろ材41の表面に沿って、例えばドレネージ媒体44とは反対側の表面に沿って、例えば内面42に沿って位置決めしてもよい。剛性が比較的高い多くのドレネージ媒体を支持媒体として使用できる。これは、流体処理ろ材41を更にしっかりと支持する。
【0020】
スペーサ構造体は、様々な方法で形成でき、複合体に組み込んでもよく、又は複合体とは別個であってもよい。例えば、スペーサ構造体は、流体処理パックと結合した一つ又はそれ以上のスペーサを含んでいてもよい。例示の実施例では、スペーサ50は、プリーツ内に、例えば各プリーツ15の脚部22、23間に、これらの脚部22、23を離間するように位置決めされていてもよい。スペーサは、様々な形体を備えていてもよい。例えば、スペーサは、プリーツ内に各々挿入された複数のパッドを含んでいてもよい。別の態様では、スペーサ50は、複合体40の単一のシート又は多数の層に沿って延びており且つこれらの層とともにプリーツ状にされた、複合体に組み込まれた一つ又はそれ以上の材料ストリップ51、52を含んでいてもよい。
【0021】
スペーサ構造体24、例えばストリップ又はパッドを含むスペーサの厚さは、全体として、構造が実質的にない領域31の厚さと対応し、また、その厚さは、プリーツの所望の数及び構造が実質的にない各領域の大きさに従って、選択される。幾つかの実施例について、スペーサ構造体24の厚さは、約0.05mm又はそれ以下乃至約5mm又はそれ以上の範囲内、又は約0.1mm乃至約2.0mmの範囲内、又は約0.1mm乃至約1mmの範囲内、例えば約0.5mmであってもよい。スペーサ構造体24について様々な幅が適している。例えば、幅は約3mm以下から約20mm以上の範囲、例えば約5mmから約10mmの範囲内にあってもよい。スペーサ構造体24の高さは、プリーツの高さの少なくとも約25%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約95%、又は約100%であってもよい。
【0022】
スペーサ構造体は、流体処理ろ材の一方の面に沿って配置されていてもよいし両面に沿って配置されていてもよい。例えば、スペーサ構造体は、一方の表面だけに沿って位置決めされていてもよい。図1、図2、及び図3に示す実施例では、スペーサ構造体24は流体処理ろ材41のドレネージ媒体44とは反対側の表面、例えば内面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体は、更に、流体処理パックに沿った様々な軸線方向位置に位置決めされていてもよい。例えばスペーサ構造体は、流体処理パックの一方の端部に沿ってだけ位置決めされていてもよい。かくして、スペーサ構造体は、単なる一枚の材料ストリップであってもよく、このストリップは、流体処理パックの一方の端部に沿って、プリーツの脚部間でプリーツ状にされてもよい。別の態様では、スペーサ構造体24は、図1、図2、及び図3に示すように、流体処理パック11の両端部に沿ってのみ位置決めされていてもよい。かくしてスペーサ構造体24は、単なる二枚の材料ストリップ51、52とすることができ、このストリップは、流体処理パック11の各端部13、14に沿って、例えばプリーツ15の脚部22、23間でプリーツ状にされていてもよい。別の態様では、スペーサ構造体は、三つ又はそれ以上の材料ストリップであってもよい。これらのスペーサは、流体処理パックの端部から間隔が隔てられた軸線方向位置に、例えばパックの中央に、又は流体処理パックの軸線方向長さに沿った多数の間隔を空けたところに、位置決めされていてもよい。
【0023】
スペーサ構造体は、圧縮に抵抗する材料から形成されていてもよく、この材料は、スペーサ構造体の位置等の要因に応じて、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよく、又は不透過性であってもよい。例えば、スペーサ構造体は、流体処理パックの端部に位置決めされたスペーサを含んでいてもよい。流体処理パックの端部でスペーサが例えばエンドキャップ又はシーラントによって流体流れに対してシールされている場合には、スペーサ材料は、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよく、又は不透過性であってもよい。流体処理パックの端部でスペーサが流体流れに対してシールされていない場合には、スペーサ材料は、流体をプリーツ内の構造がない領域に流入させたり流出させたりできるように、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよい。流体処理パックの端部から間隔が隔てられた位置に位置決めされたスペーサもまた、流体をプリーツ内の構造がない領域に沿って軸線方向に流すことができるように、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよい。多くの実施例について、様々なドレネージ媒体について米国特許第5、543、047号に開示されているようなエッジ方向流れ抵抗が低い材料から形成されたスペーサ構造体が適している。
【0024】
スペーサ構造体24は、スペーサ材料によって占有された領域30及び構造が実質的にない別の領域31を各プリーツ内に画成する。構造が実質的にない領域31の大きさを大きくするため、スペーサ領域30の大きさを小さくしてもよい。例えば、スペーサ構造体24によって占有された領域30の全幅は、流体処理パック11の軸線方向長さの約20%以下であってもよいし、約10%以下であってもよいし、約5%以下であってもよいし、約3%以下であってもよいし、約1%以下であってもよい。更に、構造が実質的にない、各プリーツ15内の領域31は、その領域内に何らかの構造を備えていてもよいが、領域31の少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は100%には構造が完全にない。多くの好ましい実施例について、流体処理エレメントは、スペーサ領域30が小さく、例えばスペーサ領域30は軸線方向長さの約10%以下であり、構造が実質的にない領域31内には構造が少なく、例えば領域31の少なくとも約95%には構造が全くない。幾つかの実施例について、各領域31は、流体処理パックの一方の端部の一方のスペーサから流体処理パックの他方の端部の他方のスペーサまで延びており、構造が全くない。
【0025】
流体処理エレメント10は、流体処理パック11及びスペーサ構造体24の他に、他の特徴を含んでいてもよい。例えば、流体処理エレメント10は、中空流体処理パック11の内部54に位置決めされたコア構成要素53を含んでいてもよい。コア構成要素53は様々な形体にできる。例えば、コア構成要素53は盲部分を含んでいてもよく、この盲部分は、プリーツ15の開放した内端部21をブロックし、及び/又は構造が実質的にない領域31から半径方向内方への流体流れに抵抗し、例えば阻止するのに役立つ。盲部分55は、流体処理パック11の一方の端部又は両端部13、14から軸線方向内方に間隔が隔てられた位置で終端してもよい。盲部分55は、中空であっても中実であってもよく、プリーツ15に当接する全体に円筒形の外面を備えていてもよく、多孔質であっても有孔であってもならず、流体をコア構成要素53と流体処理パック11との間で軸線方向にドレンできるようにする表面テクスチャーを備えていないのがよい。タンジェンシャル流体流路32に沿って流れる供給流路は、かくして、構造が実質的にない領域31から半径方向内方に流れることが阻止される。
【0026】
コア構成要素53は、更に、流体処理パック11の内部54に端部分60を含んでいてもよい。端部分60は、盲部分55の各端から流体処理パック11の端部13、14まで、又はこれを越えて延びていてもよく、障壁61が盲部分55と各端部分60との間に設けられている。各端部分60は、全体に円筒形の多孔質即ち有孔の側壁62、及び障壁61と向き合った開口部63を備えていてもよい。不透過性であってもよい障壁61は、流体流れを端部分60の内部と構造が実質的にない領域31との間でプリーツ15の開放した内端部21を介して差し向けるのに役立つ。
【0027】
コア構成要素は、多くの他の方法で形成されていてもよい。例えば、コア構成要素は、障壁及び盲部分を含んでいてもよいが、端部分をなくしてもよい。障壁は、その場合、流体を流体処理パックと構造が実質的にない領域との間でプリーツの開放した内端部を介して差し向けてもよい。別の態様では、又は追加として、コア構成要素は、盲部分及び端部分なしで障壁を含んでいてもよい。盲部分の代わりにプリーツの開放した内端部に沿ってシーラントを配置し、開放した内端部をブロックしてもよい。別の変形例として、コア構成要素は、流体処理パックの内部を通って流体処理パックの一方の端部又は両端部まで延びる盲部分を含んでいてもよい。その場合、流体処理パックの一方の端部又は両端部に設けられたプリーツの脚部間のスペーサは、流体をスペーサを通して構造が実質的にない領域内に入れることができ、又はこれらの領域の外に出すことができるように、チャンネルを備えていてもよいし、多孔質であってもよいし有孔であってもよい。
【0028】
幾つかの実施例では、コア構成要素を省略してもよい。例えば、流体処理パックの内部に沿ってシーラントを適用し、プリーツの開放した内端部をブロックしてもよい。別の態様では、又は追加として、流体処理パックのプリーツは、スペーサがプリーツの開放した内端部のところで圧縮されるが、開放した内端部から半径方向外方には圧縮されないのに十分に密に詰められていてもよい。かくして、プリーツの開放した内端部は、構造が実質的にない領域を潰すことなく狭くされていてもよい。コア構成要素を省略した場合には、流体処理パックの両端部に設けられたプリーツの脚部間のスペーサは、流体を構造が実質的にない領域内にスペーサを通して入れたりここから外に出したりできるように、多孔質であってもよいし有孔であってもよい。
【0029】
流体処理エレメント10は、流体処理パック11の外部65の周りに位置決めされたケージ、スリーブ、及び/又はラップ等の周囲64を含んでいてもよい。周囲64は、流体を横方向流体流路33に沿って流すことができるように、流体処理パック11の軸線方向長さの一部又は全部に沿って多孔質であってもよいし有孔であってもよく、他の開口部を備えていてもよい。周囲は、プリーツの折り畳んだ外端部と隣接していてもよいし当接していてもよく、プリーツを所定位置に保持できる。
【0030】
流路処理エレメント10は、更に、流路処理パック11の端部13、14のところにシーリング機構を備えていてもよい。シーリング機構は、端部、例えば流体処理パックの端部の全部又は一部をシールし、流体処理エレメントに沿ってタンジェンシャル流体流路を形成し、流体処理ろ材を通る横方向流体流路を形成する。端部13、14をシールするのに様々な機構を使用できる。例えば、流路処理エレメント10は、流路処理パック11の一方の端部又は両端部13、14の夫々に接合された一つ又は二つのエンドキャップ70、71を含んでいてもよい。これらのエンドキャップ70、71は、任意の適当な不透過性材料から形成されていてもよく、端部13、14をシールする任意の適当な方法で端部13、14に接合されていてもよい。例えば、エンドキャップは端部13、14に対して溶融結合されていてもよいし、溶接されていてもよいし、溶剤結合されていてもよいし、又は注封コンパウンド又はシーラントを用いて接着剤結合されていてもよい。多くの実施例について、流体処理パックの端部に設けられたスペーサは、パックの端部とともにエンドキャップに接合されていてもよい。別の態様では、スペーサはパックの端部から内方に位置決めされていてもよく、パックの端部とともにエンドキャップに接合されていなくてもよい。エンドキャップは、コア構成要素53及び/又は周囲64に結合されていてもよいし結合されていなくてもよい。
【0031】
エンドキャップは、任意の適当な方法で形成されていてもよい。図1、図2、及び図3に示す実施例では、各エンドキャップ70、71は、流体処理パック11の内部54及びコア構成要素53の端部分60の夫々の開口部63と流体的に連通した開口部72を持つ開放したエンドキャップを含む。エンドキャップは、全体に平らであってもよいし、例えば流体処理パックから遠ざかる方向に延びる突出部73を備えていてもよい。突出部は、エンドキャップと一体成形されていてもよいし、エンドキャップに取り付けられた別体の部品であってもよい。突出部は、流体処理エレメントを例えばハウジングや別の流体処理エレメント等の別の構成部品に連結できる様々なアダプタや継手のうちの任意のものとして形成されていてもよい。例えば、流体処理エレメント10の一方の端部に設けられた継手は、供給部即ちプロセス流体入口継手68を含んでいてもよく、これに対し、他方の端部に設けられた継手は、濃縮物−リテンテート出口継手69を含んでいてもよい。別の態様では、アダプタ、継手、入口開口部、及び出口開口部を、突出部のないエンドキャップの部分として形成してもよい。一方又は両方のエンドキャップは、更に、流体処理エレメントを別の構成要素に密封をなして連結するため、ガスケットやO−リング等の一つ又はそれ以上のシールを含んでいてもよい。
【0032】
別の態様では、又は追加として、端シール機構は、流体処理パックの一方の端部又は両端部の全部又は一部に適用された、例えばエポキシ、シリコーン、又はポリウレタンを含むシーラントを含んでもよい。例えば、シーラントは、流体処理パックの一方の端部又は両端部で流体処理ろ材の外面に沿ってドレネージ媒体に適用されていてもよい。更に、シーラントは、流体処理エレメントを別の構成部品に対してシールするためのガスケットを形成するため、パックの一方の端部又は両端部のところで流体処理パックの外部に適用してもよい。しかしながら、シーラントは、一方の端部又は両端部で流体処理パックの内面に沿って適用されていなくてもよい。流体処理パックの一方の端部又は両端部で流体処理ろ材の内面に沿ってプリーツの脚部間に設けられたスペーサは、流体を領域に入れたり出したりできるようにするため、チャンネルが設けられていてもよいし、多孔質であってもよいし、有孔であってもよい。更に、流体処理の内部は、例えば盲部分が流体処理パックの内部に亘って一方の端部から他方の端部まで延びるコア構成要素によって完全に塞がれていてもよい。この場合、流体、例えば供給流体が、タンジェンシャル流体流路に沿って、例えば一方の端部に設けられたスペーサを通って、構造が実質的にない領域に沿って流体処理パックに流入し、反対側のスペーサを通って流体処理パックを出る。この場合、タンジェンシャル流体流路及び横方向流体流路は、流体処理ろ材を通る以外はシーラントによって分離されていてもよい。
【0033】
流体処理エレメントは、幾つかの異なる方法で形成できる。一つの一般的な例によれば、流体処理ろ材は、単一のシート又は複合体の部分のいずれかとして波形に成形され、軸線方向に延びる複数のプリーツを形成する。任意の適当な種類の波形成形機即ちコルゲーターを使用してプリーツを形成できる。これには、例えばプッシャバーコルゲーター、ブレード型コルゲーター、回転型コルゲーター、又はインライン型コルゲーターが含まれる。様々な波形形成技術が米国特許第5、543、047号に開示されている。次いで、複数のプリーツを全体に円筒形の流体処理パックに形成してもよい。スペーサ構造体は、幾つかの、大部分の、又は全てのプリーツと様々な方法で結合していてもよい。例えば、スペーサ構造体は、プリーツ内に、例えばプリーツの脚部間に位置決めされてこれらの脚部を離間し、構造が実質的にない領域を画成してもよい。流体処理パックの端部は、構造が実質的にない領域を介してタンジェンシャル流体流路を形成し、流体処理ろ材を通る横方向流路を形成するため、例えば完全に又は部分的にシールされていてもよい。スペーサ構造体は、波形形成中又は形成後、プリーツを流体処理パック内に配置する前、配置するとき、又は配置した後、及び/又は流体処理パックの端部をシールする前、シールするとき、又はシールした後、プリーツ内に位置決めされてもよい。
【0034】
流体処理エレメント10を形成する方法の多くの例のうちの別の例を図4及び図5に示す。例えば、複合体40は、図4に示すように、流体処理ろ材41、ドレネージ媒体44、スペーサ構造体24、及びストリップアウト材料74の別々の層から形成されていてもよい。流体処理ろ材41は、両面42、43、及び両側縁部75、76を含んでいてもよい。ドレネージ媒体44は、流体処理ろ材41の一方の表面に沿って、例えば円筒形流体処理パックの流体処理ろ材41の外面43となる表面43に沿って位置決めされていてもよい。
【0035】
スペーサ構造体24は、更に、流体処理ろ材41の一方の表面に沿って、例えば円筒形流体処理パックの流体処理ろ材41の内面42となる表面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体は、スペーサを一つしか含まなくてもよく、流体処理ろ材の一方の側縁部に沿って位置決めされてもよい一枚のストリップを含んでもよい。例示の実施例では、スペーサ構造体24は二つのスペーサ、例えば流体処理ろ材41の両側縁部75、76に沿って位置決めされた二枚のストリップ51、52を含んでいる。スペーサストリップ51、52を側縁部75、76に沿って位置決めすることにより、シーリング機構が流体処理パック11の端部と接合するとき、スペーサ構造体24を所定位置に固定的に保持できる。しかしながら、シーリング構成要素は、スペーサストリップが二枚以下又は二枚以上であってもよく、複合体内で様々な位置に位置決めできる。
【0036】
ストリップアウト材料74は、流体処理ろ材41のスペーサ構造体24と同じ表面42に沿って位置決めされていてもよく、スペーサ構造体24によって占有されていない領域を少なくとも部分的に占有してもよい。例えば、例示の実施例では、ストリップアウト材料74は、一方のスペーサストリップ51から他方のスペーサストリップ52まで延びる単なる一枚の材料シートを含んでもよい。別の態様では、ストリップアウト材料は、ストリップ51、52間の距離よりも狭幅であってもよく、二枚又はそれ以上のシート又はストリップを含んでもよい。多くの実施例について、ストリップアウト材料は、米国特許第5、543、047号及び米国特許第5、252、207号にドレネージ媒体として記載された材料と同様の材料であってもよい。ストリップアウト材料の厚さは、スペーサ構造体24の厚さとほぼ等しくてもよい。幾つかの実施例について、ストリップアウト材料を省略してもよい。
【0037】
追加の層、例えばクッション媒体を複合体に供給してもよく、層の各々をロール等の供給源から供給してもよい。全ての層が同じ時期に例えばコルゲーターのところで一緒になり、複合体を形成する。別の態様では、全ての層よりも少数の副複合体を異なる時期に形成し、次いでこれらの副複合体を複合体に形成してもよい。層、副複合体、及び複合体には、波形形成前に、例えばトリミング、カレンダー加工、及び/又は熱硬化等の様々なプロセスが加えられる。
【0038】
複合体40の形成後、複合体を任意の適当なコルゲーターによって波形にできる。例えば、複合体40は、米国特許第5、543、047号に開示されたプッシュバー型コルゲーター80に供給されてもよい。このコルゲーター80は、複合体40を折り畳み、軸線方向に延びる複数のプリーツ15にする。これらのプリーツの高さ及び/又はプリーツ15の脚部22、23の長さは、例えば処理パック11の所望の大きさ及び形体に応じて変化してもよい。各プリーツ15について、脚部22、23は長さがほぼ等しくてもよいし、一方の脚部が他方の脚部よりも長くてもよい。更に、脚部は、直線状であってもよいし湾曲していてもよい。コルゲーター80は、プリーツ15を形成する他に、熱硬化及びトリミングを含む様々な他のプロセスを行ってもよい。例えば、複合体40にプリーツを付けた後、プリーツ状にされた複合体をカッター(図示せず)で軸線方向に切断し、流体処理パック11に対して前縁81、後縁82、及び所定数のプリーツ15を提供する。
【0039】
スペーサ構造体24を複合体40に組み込み、スペーサストリップ51、52を複合体40の他の層とともに折り畳むことには多くの利点がある。例えば、プリーツの形成後にスペーサをプリーツ間に挿入するための追加の工程を必要としないため、製造プロセスの複雑さが低下する。更に、プリーツが形成されるときにスペーサストリップが複合体の他の層とともに各プリーツに折り込まれるため、全てのプリーツが一つのスペーサを確実に備える。
【0040】
ストリップアウト材料74を複合体40にスペーサ構造体24とともに組み込み、ストリップアウト材料74を複合体40の他の層とともに折り畳むことにも多くの利点がある。例えば、複合体40をコルゲーター80のプリーツ形成面間でプレスするとき、スペーサ構造体24が不当に圧縮されないようにする。更に、ストリップアウト材料74が複合体40の残りとともに折り畳まれるため、プリーツ15の折り畳み端部20の内面の半径は、波形形成中にストリップアウト材料74がない場合よりも大きくなる。この大きな半径により、ストリップアウト材料を取り除いた後、更に開放した及び従って制限が小さい、構造が実質的にない領域31を各プリーツ15内に形成する。
【0041】
次いで、任意の適当な時期にストリップアウト材料74をプリーツ状にされた複合体40から取り除いてもよい。例えば、コルゲーター80によってプリーツ15を形成した後であるがプリーツ状にされた複合体40から所定数のプリーツ15を切り出す前に、ストリップアウト材料74をプリーツ状にされた複合体40からはぎ取ってもよい。別の態様では、所定数のプリーツ15を切り出した後にストリップアウト材料74をプリーツ状にされた複合体40からはぎ取ってもよい。ストリップアウト材料74をひとたび取り除くと、スペーサストリップ51、52間及びプリーツ15の脚部22、23間の領域31は、構造が実質的になくなる。更に別の変形例として、ストリップアウト材料74は、流体処理パック11が形成されるときにプリーツ状にされた複合体40内にとどまってもよい。
【0042】
プリーツ状にされた複合体40は、様々な方法で全体に円筒形の流体処理パック11に形成できる。例えば、プリーツ状にされた複合体40の前縁81及び後縁82を、図5に示すように合わせて互いに隣接して位置決めし、内部54、外部65、及び両端部13、14を持つ全体に円筒形の中空流体処理パック11を形成する。次いで、側シール83を縁部81、82に沿って任意の多くの方法で形成してもよい。シール方法には、例えば、溶融結合、接着剤結合、及び/又は機械的連結、例えばクリンプ加工が含まれる。ストリップアウト材料74が未だにプリーツ状にされた複合体40の部分である場合には、ストリップアウト材料を側シール83に組み込んでもよい。別の態様では、側シール83を形成する前にストリップアウト材料74を除去してもよい。側シール83の形成後、例えばストリップアウト材料74を流体処理パック11から、例えば流体処理パック11の内部54からはぎ取ることによって除去してもよい。ストリップアウト材料74が側シール83に組み込まれている場合には、複合体40からはぎ取った後、除去前に側シール83から内方に切断してもよい。ストリップアウト材料74を除去すると、スペーサストリップ51、52間の及びプリーツ15の脚部22、23間の領域31には、構造が実質的になく、プリーツ15の開放端部21がこれらの領域31と流体処理パック11の内部との間を連通する。
【0043】
流体処理パック11の端部13、14をシールする前にコア構成要素53及び周囲64を流体処理パック11に装着する。コア構成要素53は流体処理パック11の内部54内に挿入されてもよい。プリーツ15の開放した内端部は、コア構成要素53の盲部分55によって塞がれてもよいが、障壁61を越えて有孔側壁又は多孔質側壁62を介してコア構成要素53の端部分60と連通していてもよい。周囲64は流体処理パック11の外部65の周囲に装着されてもよい。周囲64は、プリーツ15の折り畳み端部20に結合されていなくてもよいし結合されていてもよい。プリーツ15は、コア構成要素53のところにある開放端部21から周囲64のところにある折り畳み端部20まで、全体に半径方向に、直線状の非半径方向に即ち角度をなして、又は湾曲して非半径方向に延びるように構成されていてもよい。全体に半径方向に延びるプリーツについて、これらのプリーツの高さは(D−d)/2とほぼ等しく、非半径方向に延びるプリーツについて、これらのプリーツの高さは(D−d)/2よりも大きい。ここで、D及びdは、夫々、流体処理パック11の外径及び内径である。幾つかの実施例について、プリーツ15は、全てのプリーツの高さを同じにしてコア構成要素53と周囲64との間に配置されていてもよい。その他の実施例については、流体処理パック内のプリーツの高さは互いに異なっていてもよい。
【0044】
次いで、流体処理パック11の端部13、14を、例えばシーラントを適用することによって、又はエンドキャップ70、71を端部13、14に取り付けることによってシールしてもよい。エンドキャップ70、71は、流体処理パック11の端部13、14並びにコア構成要素53及び/又は周囲64の端部に様々な方法で取り付けることができる。例えば、エンドキャップ70、71は、流体処理パック11、コア構成要素53、及び周囲64の端部に溶融結合してもよいし接着剤結合してもよい。スペーサ構造体24、例えばスペーサストリップ51、52をエンドキャップ70、71に複合体40の他の層とともに結合することにより、スペーサ構造体24並びに複合体40の他の層を所定位置にしっかりと固定してもよい。流体処理パック11の端部13、14が、例えばエンドキャップ70、71を取り付けることによってシールされると、流体処理エレメント10を通るタンジェンシャル流体流路32及び横方向流体流路33が形成される。
【0045】
本発明を具体化した流体処理エレメント100の別の例を図6及び図7に示す。図6及び図7に示す流体処理エレメント100は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10について説明し且つ示唆したのと同様の多くの特徴を有し、対応する構成部品には同じ参照番号が付してある。例えば、図6及び図7に示す流体処理エレメント100及び図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10は、両方とも流体処理パック11を含む。この流体処理パック11は、軸線12、両端部13、14、及び流体処理ろ材41、及び軸線方向に延びる複数のプリーツ15を有する。各プリーツ15は、折り畳み端部、例えば折り畳んだ外端部20、開放端部、例えば開放した内端部21、及び折り畳み端部20と開放端部21との間を延びる二つの脚部22、23を含む。流体処理パック11の端部は、対をなした開放エンドキャップ70、71等のシーリング機構によってシールされている。盲部分55及び両端部分60を持つコア構成要素53及び/又は周囲64が流体処理パック11の内部及び外部と結合していてもよい。両流体処理エレメント10、100は、プリーツ15に沿って全体に軸線方向に延びるタンジェンシャル流体流路32及びタンジェンシャル流体流路32と流体的に連通しており且つ流体処理ろ材41を通って横方向に延びる横方向流体流路33を含む。
【0046】
更に、図6及び図7に示す流体処理エレメント100及び図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10の両方において、流体処理パック11は、内面42及び外面43を持つ流体処理ろ材41を含む多層複合体40を含んでいてもよい。ドレネージ媒体44が流体処理ろ材41の外面43に沿って位置決めされていてもよい。クッション層(図示せず)等の他の多孔質ろ材が、更に、流体処理ろ材41の外面43に沿って位置決めされていてもよい。
【0047】
図6及び図7に示す流体処理ろ材100は、一つ又はそれ以上の追加の多孔質ろ材を含んでいてもよい。例えば、一つ又はそれ以上の多孔質ろ材101が流体処理ろ材41の内面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体24がプリーツ15と結合し、構造が実質的にない領域31を多孔質ろ材101と流体処理ろ材41の内面42との間に画成してもよい。多孔質ろ材は、様々な織製シート、不織シート、又はメッシュシートのうちの任意のものを含んでもよいが、多孔質ろ材101は、多くの実施例について、ドレネージ媒体を含んでもよい。例えば、ドレネージ媒体はメッシュ層を含んでもよく、これには、一組の平行なストランドを別の一組の平行なストランドの上に固定した、例えば機械方向ストランド組を機械方向に対して横方向のストランド組の上に固定した押出しメッシュ層が含まれる。いずれかのストランド組が、多層複合体40に、ストランドが全体に軸線方向にプリーツ15と平行に延びるように配置されていてもよいし、このように配置されたストランドがなくてもよい。
【0048】
スペーサ構造体は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明したように、様々な方法で形成されていてもよい。図6及び図7に示す流体処理エレメント100では、スペーサ構造体24は、一つ又はそれ以上のスペーサ50を多層複合体40の一つ又はそれ以上の層として含んでもよい。例えば、スペーサ50は二つのスペーサストリップ51、52を含んでいてもよく、これらのスペーサストリップは、流体処理パック11の第1及び第2の端部のところで複合体40に組み込まれ、そしてこの複合体とともに波形形成される。
【0049】
スペーサ構造体は、プリーツの脚部内及び多孔質ろ材と流体処理ろ材の表面との間に構造が実質的にない領域を画成するため、様々な位置に位置決めできる。例えば、構造が実質的にない領域を流体処理ろ材の表面と直接隣接して配置するため、スペーサ構造体を多層複合体に位置決めしてもよい。図6及び図7に示す流体処理エレメント100では、スペーサ50、例えばスペーサストリップ51、52は、一方の側が、流体処理ろ材41の内面42と隣接しており、他方の側が多孔質ろ材101、例えばドレネージ媒体の外面102と隣接している。かくして、スペーサ構造体は、各プリーツ15の脚部22、23内に、スペーサ構造体24によって占有された領域30及び構造が実質的にない領域31を画成する。この領域31は、流体処理ろ材41及び多孔質ドレネージ媒体101の外面102と隣接する。
【0050】
構造が実質的にない領域31の厚さとほぼ一致するスペーサ構造体24の厚さ、及び多孔質ろ材101の厚さは、所望のプリーツ数、及び構造が実質的にない領域の所望の大きさを含む幾つかの要因に従って選択してもよい。多くの実施例について、組み合わせ厚さは、約0.05mm又はそれ以下乃至約5mm又はそれ以上の範囲であってもよく、又は約0.1mm乃至約2.0mmの範囲であってもよく、又は約0.1mm乃至約1.0mmの範囲であってもよい。スペーサ構造体24の厚さは、多孔質ろ材101の厚さよりも大きくてもよく、これによって構造が実質的にない領域31の大きさを大きくする。例えば、スペーサ構造体24の厚さは、多孔質ろ材101の厚さの少なくとも約1.1倍であってもよく、又は少なくとも約1.1倍、又は約1.2倍、又は約1.5倍、又は約2倍、又は約2.5倍、又は約3倍、又は約4倍、又は約5倍、又はそれ以上であってもよい。幾つかの実施例では、多孔質ろ材101の厚さは約0.2mmであってもよく、スペーサ構造体の厚さは約0.4mmであってもよい。多くの実施例について、流体処理ろ材41の内面42に沿った多孔質ろ材101の厚さは、流体処理ろ材41の外面43に沿ったドレネージ媒体44の厚さ以下であってもよい。
【0051】
図6及び図7に示す流体処理エレメント100では、流体処理パック11は流体処理ろ材41の内面に沿って延びる多孔質ろ材101を一つだけ備えていてもよく、スペーサ構造体24は流体処理ろ材41と多孔質ろ材101との間に位置決めされていてもよく、構造が実質的にない領域31は流体処理ろ材41の内面と隣接する。しかしながら、他の実施例では、一つ以上の多孔質ろ材が、異なる位置に設けられていてもよく、流体処理ろ材及び/又はスペーサ構造体の表面に沿って延びていてもよい。例えば、ドレネージ媒体の他に、支持媒体及び/又はクッション層が、流体処理ろ材とドレネージ媒体との間で流体処理ろ材の内面に沿って延びていてもよい。この場合、スペーサ構造体並びに構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の内面とクッション層との間、又はクッション層又は支持媒体とドレネージ媒体との間に位置決めされていてもよい。
【0052】
図6及び図7に示す流体処理エレメント100と同様の流体処理エレメントを、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明した多くの方法を含む幾つかの異なる方法のうちの任意の方法で形成してもよい。例えば、多層複合体40は、図8に示すように、流体処理ろ材41、2つのドレネージ媒体44、101、及びスペーサ構造体24を含む別々の層から形成されていてもよい。外ドレネージ媒体44は、流体処理ろ材41の外面43となる表面43に沿って位置決めされていてもよく、内ドレネージ媒体101は、流体処理ろ材41の内面42となる表面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体24、例えば二つのスペーサストリップ51、52は、流体処理ろ材41の内面42と内ドレネージ媒体101との間に、例えば流体処理ろ材41の側縁部75、76に沿って位置決めされていてもよい。例えば、スペーサストリップ51、52は、流体処理ろ材41の内面42及び/又は内ドレネージ媒体101の外面102と接触して位置決めされていてもよい。
【0053】
多層複合体40の形成後、図4及び図5に示す実施例に関して説明し且つ示唆したのと同様の方法で多層複合体を波形に形成し、全体に円筒形の流体処理パック11にする。しかし、図8に示す実施例ではストリップアウト材料はない。図6に示すように、流体処理パック11は、構造が実質的にない領域31を各プリーツ15内に、例えば各プリーツ15の各脚部22、23内に有する。スペーサ構造体24及び構造が実質的にない領域31は、流体処理ろ材41の内面42と内ドレネージ媒体101の外面102との間に位置決めされていてもよく、例えば流体処理ろ材41の内面42及び内ドレネージ媒体101の外面102と隣接している。一方の脚部の内ドレネージ媒体101の内面103は、隣接した脚部の内ドレネージ媒体101の内面103に面していてもよく、場合によっては接触している。
【0054】
流体処理パック11は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明したように、シーリング機構、例えば開放エンドキャップ70、71、コア構成要素53、及び/又は周囲64を追加することによって流体処理エレメント100に形成できる。
【0055】
本発明を具体化した流体処理エレメントは、流体処理アッセンブリを形成するために様々なハウジング内に収容されてもよい。例えば、ハウジングは、流体と化学的に適合性であり且つ例えば圧力や温度等のプロセスパラメータに機械的に耐えることができる例えば金属材料やポリマー材料等の任意の不透過性材料から形成されていてもよい。流体処理エレメントをハウジング内に永久的に収容し、使い捨て流体処理アッセンブリを形成してもよく、又はハウジング内に取り外し自在に収容し、使用済み流体処理エレメントを再使用可能なハウジング内で新たな流体処理エレメントと交換できてもよい。
【0056】
流体処理アッセンブリは多くの様々な方法で形成されてもよい。例えば、流体処理アッセンブリは流体処理エレメントを一つだけ収容したハウジングを含んでいてもよいし、ハウジング内で直列に又は並列に配置された多数の流体処理エレメントを収容したハウジングを含んでいてもよい。流体処理アッセンブリは三つ又はそれ以上の主ポートを備えていてもよい。例えば、流体処理アッセンブリがフィルタ等のセパレーターとして役立つ場合には、供給ポート即ちプロセス流体ポート、濃縮物ポート即ちリテンテートポート、及び濾液ポート即ち透過物ポートを含んでいてもよい。流体処理アッセンブリが物質を一方の流体から他方の流体に移動するための物質移動装置として役立つ場合には、各流体用の入口ポート及び出口ポートを含んでいてもよい。流体処理アッセンブリは、更に、様々な補助的なポート、例えば通気や逆洗と関連したポートを含んでいてもよい。
【0057】
流体処理アッセンブリ200の多くの様々な例のうちの一つの例を図9に示す。流体処理アッセンブリ200は上文中に説明し且つ示唆したのと同様の流体処理エレメント10、100等の流体処理エレメントを永久的に収容するハウジング201を含む。流体処理アッセンブリ200は濾過モジュールとして役立ち、流体処理エレメント10、100の流体入口継手68に連結された供給ポート即ちプロセス流体ポート202、濃縮物出口継手69に連結された濃縮物ポート即ちリテンテートポート203、及び流体処理パック11の外部65と流体的に連通した濾液ポート即ち透過物ポート204を含んでいてもよい。流体処理エレメント10、100は、供給ポート202及び濃縮物ポート203を透過物ポート204から分離するため、ハウジング201内にシールされている。
【0058】
本発明を具体化した流体処理エレメント及び流体処理アッセンブリは、多くの流体のうちの任意の流体を多くのクロスフロープロセスで処理するのに使用できる。多くの用途のうちの一つでは、流体処理エレメント及び流体処理アッセンブリは、細胞溶液、例えば細胞及び/又は細胞成分を含む液体溶液を処理するのに使用してもよい。細胞溶液には、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、及び哺乳類の細胞、特にチャイニーズハムスターの卵巣(Chinese Hamster Ovary:CHO)細胞を含む様々な細胞のうちの任意のものが含まれる。細胞溶液には、蛋白質や酵素等の細胞生成物、細胞構造、及び細胞に組み込まれた物質を含む様々な細胞成分が含まれる。細胞溶液は、多くの方法で処理できる。例えば、細胞溶液は、細胞及び/又は細胞成分の採取、分離、濃縮、及び/又は精製を行うために処理してもよい。細胞溶液は幾分粘度があり、非常に壊れ易く、溶液の細胞及び/又は細胞成分は容易に損傷してしまう。本発明を具体化した流体処理エレメントは、液体細胞溶液の処理に特に良好に適している。
【0059】
懸濁液及び一つ又はそれ以上の種類の細胞及び/又は細胞成分を含む細胞溶液等の供給流体を、図9に示すように、タンジェンシャル流体流路32を介してプリーツ内の流体処理エレメントに沿って軸線方向に差し向けてもよい。例えば細胞溶液を流体処理アッセンブリ200の供給ポート202を通して全体に軸線方向に流体処理エレメント10、100の供給入口68及びコア構成要素53の端部分60内に差し向けてもよい。この場合、障壁61が細胞溶液を全体に半径方向外方に端部分60の有孔側壁62の開口部63及びプリーツの開放した内端部を通して差し向ける。
【0060】
供給流体、例えば細胞溶液は、次いで、プリーツの脚部間又はその中のタンジェンシャル流体流路32に沿って軸線方向にエレメント10、100の一方の端部から反対側の端部まで通過する。図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10では、流体は、タンジェンシャル流体流路32のこの部分に沿って、構造が実質的にない領域31のみを通って流れる。図6及び図7に示す流体処理エレメント100では。流体はタンジェンシャル流体流路32のこの部分に沿って、構造が実質的にない領域31及び内部多孔質媒体例えばドレネージ媒体101の両方を通って流れる。流体の大部分は構造が実質的にない領域31を通って流れる。これは、これらの領域31が内部多孔質媒体101よりも大きく且つ流れ抵抗が小さいためである。
【0061】
多くの実施例について、先ず最初に、供給流体、例えば細胞溶液を構造が実質的にない領域31内にこれらの領域に沿って低圧及び/又は低流量で差し向け、次いで供給流体の圧力及び/又は流量が所定期間に亘って通常の作動圧力及び/又は流量まで上昇する。例えば、細胞溶液は、先ず最初に、構造が実質的にない領域31内にこれらの領域に沿って、毎分約0.5リットル乃至毎分約1リットルの流量を提供する圧力で差し向けられる。次いで、細胞溶液の圧力は、約3分乃至約5分の期間に亘って上昇し、毎分約7リットルの通常作動流量を提供する。多くの実施例について、通常の作動中の多くの又は全ての流体処理ろ材に沿った膜の前後の圧力は正であるように構成されていてもよく、流体処理エレメントのリテンテート端での膜の前後の圧力は、好ましくは、約−3447.38Pa(約−0.5psi)以下である。
【0062】
供給流体、例えば細胞溶液は、流体処理ろ材41に沿ったタンジェンシャル流体流路32内で様々な方法のうちの任意の方法で処理される。例えば、細胞溶液は、例えば、細胞溶液中の懸濁液の幾らか及び/又は一つ又はそれ以上の他の物質を流体処理パック11の流体処理ろ材41を通して横方向流体流路33を介して除去することによって処理してもよい。流体処理エレメント10、100は、かくして、濃縮器として役立ち、例えば原理的には、透過物が全体に半径方向外方に流体処理ろ材41を通って横方向流体流路33を介して流体処理パック11の外部65まで、及び従って、流体処理アッセンブリ200の透過物ポート204まで通過するとき、懸濁液を通過させることができる。別の態様では、又は追加として、流体処理エレメント10、100はセパレーターとして役立ち、例えば蛋白質や酵素等の一つ又はそれ以上の物質を流体処理ろ材41と結着し、又は透過物を全体に半径方向外方に流体処理ろ材41を通して横方向流体流路33を介して透過物ポート204まで通過させることができる。別の態様では、細胞溶液は、一つ又はそれ以上の物質を、細胞溶液に、半径方向内方に流体処理ろ材41を通して横方向流体流路33を介して追加することによって処理してもよい。
【0063】
流体及び流体中の物質は、流体処理ろ材41を通ってタンジェンシャル流体流路32に又はこの通路から横方向流体流路33を介して通過する。流体処理エレメント10、100の多くの実施例は、開孔又は小孔等の開口部をその長さの大部分又は全部に沿ってそなえた周囲64を含んでいてもよい。流体及び流体中の物質は、この場合、流体処理ろ材41及び流体処理パック11の任意の他の下流層を通って延び、横方向流体流路33を通過し、周囲64の開口部を通って全体に半径方向に通過する。
【0064】
流体処理エレメント10、100の他の実施例は、特定の領域だけに沿って、例えば流体処理エレメント10、100の一方の端部又は両方の端部のところだけに開口部が設けられた周囲64を含んでいてもよい。例えば、図10に示すように、周囲64は、流体処理エレメント10、100の一方の端部のところにだけ、開口部66が設けられていてもよい。例示の実施例では、開口部、例えば小孔66は、リテンテート出口開口部69の近くの端部にだけ設けられていてもよい。周囲64は様々な形体を備えていてもよい。例えば、周囲64は、その長さの大部分に沿って盲部分67を備えており且つ一方の端部、例えばリテンテート端のところにだけ開口部66が設けられた可撓性の不透過性のスリーブ又はラップでできていてもよい。別の態様では、周囲64は、その長さの大部分に沿って盲部分67を備えており且つ一方の端部、例えばリテンテート端のところにだけ開口部66が設けられた比較的剛性の不透過性ケージ又はチューブでできていてもよい。更に別の態様では、周囲は、流体処理パックの外部に装着したハウジングの円筒形側壁でできていてもよい。この場合、ハウジングは、チャンネル、例えば環状チャンネルと連通したポートを一方の端部、例えば流体処理パックのリテンテート端に備えていてもよい。
【0065】
流体及び流体中の物質、例えば透過物は、流体処理エレメント10、100の全高に沿って流体処理ろ材を通って延びる横方向流体流路33を介して通過してもよい。開口部66から離れて、横方向流体流路33は、流体処理ろ材の外側又は下流側と周囲64の内面との間を軸線方向又は接線方向に開口部66まで更に延び、次いで開口部66を通って全体に半径方向に延びる。流体及び流体中の物質は、プリーツ内を例えば下流ドレン層に沿って軸線方向に、又はプリーツの折り畳み外端部と周囲64の内面との間を軸線方向に開口部66に向かって流れてもよい。周囲64は、開口部66に続く通路を画成するリブ又はランド等の構造を周囲の内面に沿って備えていてもよい。流体処理エレメント10、100のリテンテート端のところで周囲64に開口部66を設けることにより、流体処理ろ材41を通って横方向流体流路33に沿って外方に流れる流体及び流体中の物質は、供給流体がタンジェンシャル流体流路32に沿って流れる方向と同じ方向に即ち並流をなして流れることができる。別の態様では、開口部は流体処理エレメントの入口端のところに配置されていてもよく、流体処理ろ材を通って横方向流体流路に沿って外方に流れる流体及び流体中の物質は、供給流体がタンジェンシャル流体流路32に沿って流れる方向に対して逆方向に即ち向流をなして流れることができる。
【0066】
図9に示すように、流体処理エレメント10、100の供給入口68とは反対側の端のところで、残った供給流体、例えば残った細胞溶液が、次いで、プリーツの開放した内端部及び有孔側壁62からコア構成要素53の端部分60内にタンジェンシャル流体流路32に沿って全体に半径方向内方に通過する。次いで、障壁61が細胞溶液を全体に軸線方向にタンジェンシャル流体流路32に沿って、コア構成要素53の端部分60から流体処理エレメント10の濃縮物出口69を通って及び流体処理アッセンブリ200の濃縮物ポート203を通して外に差し向ける。一回通過作動モードでは、細胞溶液は、流体処理アッセンブリ200の濃縮物ポート203から流体システムの他の構成部品(図示せず)に差し向けられてもよい。多数回通過作動モード即ち再循環作動モードでは、細胞溶液は、流体処理エレメント10、100内で連続的に処理するため、流体処理アッセンブリ200の供給ポート202に戻されるように差し向けられる。
【0067】
多くの利点が、本発明の一つ又はそれ以上の特徴を具体化した流体処理エレメントと関連している。例えば、構造が実質的にない領域31を通してタンジェンシャル流体流路32を設けることにより、本発明を具体化した流体処理エレメントは、細胞溶液等の流体の流れに対する抵抗を小さくする。流体は、かくして、流体処理エレメントを小さな圧力降下で通過できる。更に、流体処理エレメントを通るタンジェンシャル流体流路32の少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%が、構造が実質的にない領域31を通過するため、細胞溶液等の流体は、例えば細胞及び/又は溶液中の細胞成分をほとんど又は全く損傷せずに流体処理エレメントを通過できる。かくして、本発明を具体化した流体処理エレメントは、細胞デブリスを除去するための追加のプロセスを下流で行う必要を小さくし、危険な内毒素がリテンテートや透過物中に放出されないようにする。更に、構造が実質的にない領域を流体処理ろ材の表面と直ぐ隣接して配置することにより、タンジェンシャル流路に沿って流れる流体は、流体処理ろ材の表面から汚れを更に徹底的に除去できる。これにより流体処理エレメントの使用寿命を延ばすことができる。
【0068】
構造が実質的にない領域及び図6及び図7に開示したのと同様のエレメントを含む隣接した多孔質ろ材を持つ流体処理エレメントには追加の利点がある。例えば、構造が実質的にない領域及び多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体の両方をタンジェンシャル流体流路に流体処理ろ材に沿って設けることにより、流体処理エレメントは更に効果的に作動できる。多くの通常作動モード中、構造が実質的にない領域のタンジェンシャル流路中の流体は、全体として、流体処理ろ材の反対側にある流体よりも高圧であり、構造が実質的にない領域は流体流れに対して開放したままである。しかしながら、構造が実質的にない領域の全部又は幾つかの部分に沿って流体圧力が流体処理ろ材の反対側の流体圧力よりも低い場合がある。その場合、隣接したプリーツ脚部が互いに向かって膨張し、各プリーツ内の構造が実質的にない領域の幾つかの部分又は全部を潰す。しかしながら、通常作動モードが再開すると、構造が実質的にない領域を直ちに再形成できる。圧力が高い方の流体は、多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体を介して各プリーツ内のタンジェンシャル流路に沿って容易に流れ、各プリーツの隣接した脚部を押圧して通常の位置に戻し、各プリーツ内に構造が実質的にない領域を迅速に再形成する。
【0069】
開口部が特定領域だけに設けられた周囲を持つ、図10に開示したのと同様のエレメントを含む流体処理エレメントもまた、追加の利点を有する。流体及び流体中の物質を横方向流体流路の大部分に沿って、タンジェンシャル流体流路に沿った供給流体に関して並流をなして又は向流をなして差し向けることによって、膜の前後の圧力やフラックス(flux)等の様々な作動パラメータを高めることができる。これによって、効率を向上でき、又は使用寿命を長くできる。
【0070】
本発明の様々な特徴を具体化した流体処理エレメントの利点の幾つかを以下の例に例示する。
【0071】
例1
この例は、構造が実質的にない領域を持たないプリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントを通して細胞溶液を処理する効果を示す。このクロスフロー流体処理エレメントは、スペーサ構造体24及び構造が実質的にない領域31がないことを除き、図1、図2、及び図3に示すエレメント10と同じである。スペーサ構造体及び構造が実質的にない領域の代わりに、厚さが0.33mmで2.54cm(1インチ)あたりのストランド数が両方向で31本の対称なポリプロピレン製の押出しにより形成したネットを含むネット状内ドレネージ媒体が設けられる。プリーツを有する流体処理パックは、ネット状内ドレネージ媒体、除去定格が0.65μmのPES膜を含む流体処理ろ材、及び厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含む外ドレネージ媒体を含む。プリーツは、コア構成要素から周囲まで湾曲した方向に延びている。コア構成要素の外径は46mmであり、周囲の内径は66.5mmであり、クロスフロー流体処理エレメントの長さは24.5cmである。
【0072】
細胞溶液は、哺乳類のCHO細胞を含有する水をベースとした液体培養基を含む。
細胞溶液を、クロスフロー流体処理エレメントを通して、供給入口からネット状内ドレネージ媒体を通して濃縮物出口まで、155分間に亘って毎分10リットルのクロスフロー流量で再循環する。透過物ポートは、最初の145分間に亘って閉鎖してあり、最後の10分間に亘って開放する。
【0073】
細胞溶液中の細胞の初期濃度は1mlあたり5.6×105個、即ち5.6×105細胞/mlであり、初期生存率は96%であった。
細胞溶液の最終濃度は1.5×104細胞/mlであり、最終生存率は細胞数が少ないために計測不能であった。
透過物流体中に細胞デブリスが観察された。
【0074】
例2
この例は、本発明の特徴を具体化したプリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントを通して細胞溶液等の供給流体を処理する効果を示す。
このクロスフロー流体処理エレメントは、図1、図2、及び図3に示すエレメント10と同じであり、プリーツを有する流体処理パックの各端にスペーサストリップを含み、これらのストリップ間の領域には構造が実質的にない。プリーツを有する流体処理パックは、除去定格が0.65μmのPES膜を各々含む二層の流体処理ろ材、及び厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含む外ドレネージ媒体を含む。スペーサストリップは、幅が10mmで厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料でできた二枚のストリップを含む。スペーサストリップは、流体処理パックとともにプリーツ状にされる。これらのストリップは、パックの各端に一つづつ設けられる。プリーツは、コア構成要素から周囲まで湾曲した方向に延びている。プリーツの数、コア構成要素の外径、周囲の内径、及びエレメントの長さは例1におけるのと実質的に同じである。
【0075】
細胞溶液は、哺乳類のCHO細胞を含有する水をベースとした液体培養基を含む。
細胞溶液を、クロスフロー流体処理エレメントを通して、供給入口から構造が実質的にない領域を通して濃縮物出口まで、177分間に亘って毎分7リットルのクロスフロー流量で再循環する。透過物ポートは、177分間に亘って開放してある。
細胞溶液の初期濃度は7.7×104細胞/mlであり、初期生存率は63%であった。
細胞溶液の最終濃度は2.13×105細胞/mlであり、最終生存率は72%であった。
透過物流体中に細胞デブリスは観察されなかった。
【0076】
例3
この例は、本発明の特徴を具体化したプリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントを通して細胞溶液等の供給流体を処理する効果を示す。
このクロスフロー流体処理エレメントは、図6及び図7に示すエレメント100と同じであり、内部多孔質媒体、この内部多孔質媒体と流体処理ろ材との間で流体処理パックの各端に設けられたスペーサストリップ、及びこれらのストリップ間の構造が実質的にない領域を含む。プリーツを有する流体処理パック11は、(1)機械方向でのストランドの数が25.4mm(1インチ)あたり41本で、機械方向に対して横方向でのストランドの数が25.4mm(1インチ)あたり23本の、厚さが0.125mmのポリプロピレン製の押出しにより形成したメッシュを含む多孔質内ドレネージ媒体、(2)除去定格が0.65μmのPES膜でできた二つの層を含む流体処理ろ材、(3)厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含み、パックの各端のところで内部多孔質媒体と流体処理ろ材との間に夫々位置された二つのスペーサストリップ、及び(4)厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含む外ドレン材料を含む。95枚のプリーツがあり、これらのプリーツの各々は高さが約13mmであり、コア構成要素から周囲まで湾曲した方向に延びている。コア構成要素の外径は約46mmであり、周囲の内径は約66.5mmであり、及びクロスフロー流体処理エレメントの長さは約24.5cmである。
【0077】
細胞溶液は、哺乳類のCHO細胞を含有する水をベースとした液体培養基を含む。
細胞溶液を、クロスフロー流体処理エレメントを通して、供給入口から構造が実質的にない領域及び内部多孔質媒体を通して濃縮物出口まで、15分間に亘って毎分7リットルのクロスフロー流量で再循環する。蠕動ポンプが透過物の流れを制御し、毎分1.7リットルの流量に設定する。フラックス流量は約200LMHである。
【0078】
細胞溶液の初期濃度は9.1×105細胞/mlであり、初期生存率は98%であった。
細胞溶液の最終濃度は1.1×107細胞/mlであり、最終生存率97%であった。
透過物流体中に細胞デブリスは観察されなかった。
【0079】
以上、本発明の様々な特徴を説明し及び/又は添付図面に例示したが、本発明はこれらの実施例に限定されない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施例の一つ又はそれ以上の特徴をなくしてもよい。例えば、上文中に説明したように、コア構成要素53又はストリップアウト材料74を幾つかの実施例から省略してもよい。別の例として、周囲64を幾つかの実施例から省略してもよい。
【0080】
更に、本発明の範囲から逸脱することなく、一つ又はそれ以上の実施例の一つ又はそれ以上の特徴を他の実施例の一つ又はそれ以上の特徴と組み合わせてもよい。例えば、幾つかの実施例では、流体処理パックの一方の端部に設けられた図1に示すエンドキャップ70を、流体処理パックの他方の端部で、上文中に説明したように、シーラントと組み合わせてもよい。この場合、コア構成要素は、開口部持つ端部分を含み、流体処理エレメントのエンドキャップの近くの端部だけに障壁が設けられる。
【0081】
更に、実施例の一つ又はそれ以上の特徴を本発明の範囲から逸脱することなく変更できる。例えば、スペーサ構造体は、複合体に組み込まれるのでなく、コア構成要素又は一方又は両方のエンドキャップと結合していてもよい。図11に示すように、スペーサ構造体24は、コア構成要素53から外方に直線状に又は湾曲した方向に延びる複数のスペーサフィン110を含んでいてもよい。コア構成要素53の端部から延びるスペーサフィン110は、中実であってもよいし、多孔質であってもよいし、有孔であってもよいし、チャンネルが設けられていてもよい。各スペーサフィンは、上文中に説明したスペーサと同様の所定の厚さ、幅、及び高さを備えていてもよい。これらのスペーサフィン110は、コア構成要素53を流体処理パックに挿入し、図3及び図4のスペーサストリップ51、52に代えたとき、プリーツ15の脚部22、23間に配置されてもよい。エンドキャップを流体処理パックの端部に取り付けるとき、スペーサフィン110もまたエンドキャップに取り付けられてもよい。例示のスペーサフィン110はコア構成要素53の端部から外方に突出しているが、スペーサフィンは、その代わりに、コア構成要素から端部の中間の位置で突出していてもよい。中間スペーサフィンは、供給流体をスペーサフィンを越えて及び構造が実質的にない領域に沿って軸線方向に流すことができるように、多孔質であってもよいし、有孔であってもよいし、チャンネルが設けられていてもよい。更に別の変更として、スペーサフィンは、コア構成要素から外方に突出しているのでなく、例えば多層複合体の層間でエンドキャップから内方に突出していてもよい。
【0082】
更に、異なる特徴を持つ実施例もまた本発明の範囲に入る。例えば、流体処理アッセンブリ及び流体処理エレメントは、プリーツ内を流体処理ろ材の内面でなく外面に沿って延びるタンジェンシャル流体流路を備えていてもよい。このような流体処理アッセンブリ300及び流体処理エレメント301の一例を図12、図13、及び図14に示す。エレメントの構成部品及び製造方法及び使用方法を含む図12、図13、及び図14に示す流体処理エレメント301の特徴は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10と類似していてもよく、対応する構成部品には同じ参照番号が付してある。しかしながら、流体処理エレメント301の流体処理パック11の形状は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10の流体処理パック11の形状に関して逆になっている。例えば、ドレネージ媒体44は流体処理ろ材41の内面42に沿って位置決めされていてもよく、しかしスペーサ構造体24、例えばスペーサストリップ51、52等のスペーサ50、及び構造が実質的にない領域31は流体処理ろ材41の外面43に沿って位置決めされていてもよい。
【0083】
例えば図12、図13、及び図14に示すように、流体処理エレメント301は流体処理パック11を含み、この流体処理パックは、軸線12、両端部13、14、流体処理ろ材41、及び軸線方向に延びる複数のプリーツ15を含んでいてもよい。各プリーツ15は、折り畳み端部、例えば折り畳んだ内端部20、開放端部、例えば開放した外端部21、及び折り畳み端部と開放端部21との間を延びる二つの脚部を含む。流体処理ろ材41は、内面42及び外面43を含んでいてもよく、流体処理パック11は、二つ又はそれ以上の層を持つ多層複合体40を含んでいてもよい。例えば、内ドレン層44は流体処理ろ材41の内面43に沿って、内面32と隣接して又は内面43から間隔が隔てられて延びていてもよい。クッション層(図示せず)等の他の多孔質ろ材を流体処理ろ材41の内面43に沿って位置決めしてもよい。
【0084】
スペーサ構造体は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明したように、様々な方法で形成されていてもよいし、流体処理パック11に位置決めされていてもよい。図12、図13、及び図14に示す流体処理エレメント301では、スペーサ構造体24は、一つ又はそれ以上のスペーサ50、例えば二つのスペーサストリップ50、51を含んでいてもよく、これらは、流体処理ろ材41の外面42に沿って複合体40に組み込まれ 又は複合体とともに波形形成される。スペーサ構造体は、スペーサ構造体24によって占有された一つ又はそれ以上の領域30、及び構造が実質的にない一つ又はそれ以上の領域31を流体処理ろ材41の外面43に沿って画成する。スペーサ構造体、スペーサ構造体24によって占有された領域、及び構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の外面と隣接していてもよいし、又は一つ又はそれ以上の層を間に置いて外面から間隔が隔てられていてもよい。流体処理パック11は、この流体処理パック11の内部に沿ったコア構成要素53と流体処理パック11の外部65に沿った周囲64との間に位置決めされていてもよい。
【0085】
図10に示す周囲64と類似した周囲64は、盲部分例えば中央盲部分67を含んでいてもよく、この盲部分は、プリーツ15の開放した外端部21をブロックするのに、及び/又は構造が実質的にない領域31からの半径方向外方への流れに抵抗するのに役立つ。盲部分67は流体処理パック11の端部13、14から間隔が隔てられた位置で終端していてもよい。盲部分67は、不透過性ラップ又はスリーブを含んでもよいし、流体処理アッセンブリ300のハウジング302の側壁306の一部を含んでいてもよく、全体がプリーツ15の外折り畳み端部と隣接して流体処理パック11の外部65の周囲にぴったりと嵌着してもよい。小孔66又は他の開口部を持つ周囲64の一部が盲部分67から各端部13、14まで延びていてもよい。
【0086】
端シール機構、例えばエンドキャップ70、71、及びハウジングは、プリーツ15の脚部22、23の外面に沿って延びるタンジェンシャル流体流路32に沿って供給流体を差し向けるように構成されていてもよい。例えば、供給流体は、供給ポート303から全体に半径方向内方に周囲64の小孔66及び流体処理パック11の一方の端部13の近くのプリーツ15の開放した外端部21を通って構造が実質的にない領域31に通過してもよい。供給流体は、次いで、タンジェンシャル流体流路32に沿って、構造が実質的にない領域31を介して、流体処理パック11の外端部14までほぼ軸線方向に通過する。供給流体は、次いで、構造が実質的にない領域31からプリーツ15の開放した外端部21及び周囲64の小孔66を通って流体処理アッセンブリ300の濃縮物ポート304に全体に半径方向外方に通過する。
【0087】
コア構成要素53は、障壁が全くなくてもよく、その長さに亘って有孔であってもよく、又はコア構成要素に沿って流体を排液できるようにする外面テクスチャーを備えていてもよい。エンドキャップ70、71の一方又は両方が、流体処理パック11の内部54にあるコア構成要素53と流体処理アッセンブリ300の透過物ポート305との間を連通する開放したエンドキャップであってもよい。一つ又はそれ以上の物質が、タンジェンシャル流体流路32及び構造が実質的にない領域31から流体処理ろ材41を通って流体処理パック11の内部54及びコア構成要素53に、又は逆に横方向流体流路33を介して通過してもよい。
【0088】
図6及び図7に示す流体処理エレメント100は、同様に、流体処理ろ材の外面に沿ってプリーツ内にタンジェンシャル流体流路を形成するように変更してもよい。例えば、図6及び図7に示す流体処理パック11の形状を逆にしてもよい。流体処理パックは、多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体が流体処理ろ材の外面に沿って位置決めされた多層複合体を含んでもよい。スペーサ構造体、スペーサ構造体によって占有された領域、及び構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の外面と多孔質ろ材との間に位置決めされてもよい。例えば、スペーサ構造体、スペーサ構造体によって占有された領域、及び/又は構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の外面と隣接していてもよい。多層複合体は、更に、流体処理ろ材の内面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含んでいてもよい。流体処理パックは、周囲とコア構成要素との間に位置決めされてもよい。例えば、図12、図13、及び図14に示す流体処理エレメント301の周囲64、エンドキャップ70、71、及びコア構成要素53、並びに流体処理アッセンブリ300のハウジング302は、流体処理パックと結合していてもよい。
【0089】
本発明は、かくして、上文中に説明した及び/又は例示した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲の範疇の全ての実施例及び変形例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図2に示す流体処理エレメントの部分断面図である。
【図2】構造が実質的にない領域を示す、流体処理エレメントのフォアグラウンドの部分断面図である。
【図3】スペーサ構造体を示す、流体処理エレメントの部分断面図である。
【図4】流体処理エレメントを製造するためのシステムの一部の概略図である。
【図5】流体処理パック及び側シールの斜視図である。
【図6】構造が実質的にない領域を示す、別の流体処理エレメントの部分断面図である。
【図7】スペーサ構造体を示す、図6の流体処理エレメントの部分断面図である。
【図8】図6の流体処理エレメントを製造するためのシステムの概略図である。
【図9】流体処理アッセンブリの部分断面図である。
【図10】周囲を示す、流体処理エレメントの平面図である。
【図11】コア構成要素及びスペーサ構造体の端面図である。
【図12】図13に示す流体処理アッセンブリの部分断面図である。
【図13】構造が実質的にない領域を示す、流体処理エレメントのフォアグラウンドの部分断面図である。
【図14】スペーサ構造体を示す、図13の流体処理エレメントの部分断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、液体、又はガス、液体、及び/又は固体の混合物を含む流体を様々な方法で処理するのに使用できる流体処理エレメントに関する。例えば、幾つかの流体処理エレメントは、流体から一つ又はそれ以上の物質を除去するのに使用でき、その場合、濃縮機、フィルタ、又はセパレーターとして機能する。他の流体処理エレメントは二つの流体流間で物質を移動するのに使用でき、その場合、物質移動装置として機能する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2004年3月29日に出願された米国仮特許出願第60/556,891号及び2005年2月1日に出願された米国仮特許出願第60/648,394号に基づく優先権を主張するものである。これらの特許出願に触れたことにより、これらの特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0003】
詳細には、本発明は、流体をクロスフロー作動モードで処理する構造を備えた、プリーツを有する流体処理エレメントに関する。プリーツを有する流体処理エレメントは単一のシートを含んでいてもよいし、流体処理ろ材を含む多層複合体を含んでいてもよい。幾つかのプリーツを形成するため、単一のシート又は多層複合体をジグザグに折り畳んでもよく又は波形形成してもよい。各プリーツは、折り畳み端部、開放端部、及び折り畳み端部と開放端部との間を延びる二つの脚部を有する。プリーツ状に形成されたシート又は複合体の対向する端縁部は互いにシールされ、全体に円筒形の流体処理パックを形成する。各プリーツは、流体処理パックに沿って全体に軸線方向に延びる。
【0004】
プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントは、流体処理パックのプリーツに沿って接線方向に延びる第1流体流路、及びプリーツ状にされた流体処理ろ材を通って第1流体流路から、又は第1流体流路まで延びる第2流体流路を含んでいてもよい。例えば、供給流体は第1流体流路に沿って流体処理エレメントに進入してもよい。供給流体は、次いで、第1流体流路を介して軸線方向に流体処理パックに沿って、及びパックのプリーツ内を接線方向に通過し、ここで供給流体の処理が行われる。例えば、供給流体を第2流体流路に沿って流体処理ろ材を通過させることによって、供給流体の一つ又はそれ以上の成分を含む一つ又はそれ以上の物質を供給流体から除去してもよい。別の態様では、第2流体流路に沿って流体処理ろ材を通して供給流体内に入れることによって、一つ又はそれ以上の物質を供給流体に追加してもよい。処理した供給流体は、次いで、第1流体流路に沿って流体処理エレメントから連続的に流出される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントは、流体処理パックと、スペーサ構造体と、第1流体流路及び第2流体流路とを含む。流体処理パックは、流体処理ろ材と、軸線と、互いに反対側にある第1端部及び第2端部と、プリーツを有する該パックの第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツとを含む。各プリーツは、折り畳み端部、開放端部、及びプリーツの折り畳み端部と開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。スペーサ構造体は、プリーツと協働して、スペーサ構造体によって占められる第1領域及び構造が実質的にない第2領域を、各プリーツ内に画成する。第1流体流路は、プリーツ内でプリーツを有する流体処理パックに沿って軸線方向に延び、各プリーツの第2領域を含む。第2流体流路は、第1流体流路から又は第1流体流路へ、プリーツ状にされた流体処理ろ材を通って延びる。
【0006】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントは、中空の、全体に円筒形の流体処理パックと、スペーサ構造体と、第1及び第2のエンドキャップとを含む。流体処理パックは、軸線と、内部と、互いに反対側にある第1端部及び第2端部と、プリーツ状にされた複合体とを含む。プリーツ状にされた複合体は、流体処理パックの第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成する。各プリーツは、折り畳み外端部、開放内端部、及び折り畳み外端部と開放内端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。プリーツ状にされた複合体は、内面及び外面を持つ流体処理ろ材及びこの流体処理ろ材の外面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含む。スペーサ構造体は、流体処理パックのプリーツと結合しており、流体処理ろ材の内面から内方に延びる。スペーサ構造体は、流体処理パックの第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、流体処理パックの第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び第1スペーサと第2スペーサとの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む。コア構成要素は流体処理パックの中空内部内に位置決めされており、流体処理パックの第1端部及び第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含む。この盲部分は、流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向内方への流体流れに抵抗する。第1及び第2のエンドキャップは、夫々、流体処理パックの第1端部及び第2端部に対してシールされ、各エンドキャップはプリーツの軸線方向に延びる領域と流体的に連通した中央開口部を有する。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントは、全体に円筒形の流体処理パック、スペーサ構造体、外周部、及び第1及び第2のエンドキャップを含む。流体処理パックは、軸線、内部及び外部、第1端部及び第2端部、及びプリーツ状にされた複合体を含む。プリーツ状にされた複合体は、流体処理パックの第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成する。各プリーツは、折り畳み内端部、開放外端部、及び折り畳み内端部と開放外端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。プリーツ状にされた複合体は、内面及び外面を持つ流体処理ろ材と、流体処理ろ材の内面に沿って位置決めされたドレネージ媒体とを含む。スペーサ構造体は、流体処理パックのプリーツと流体処理ろ材の外面の外側に設けられる。スペーサ構造体は、流体処理パックの第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、流体処理パックの第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び第1スペーサ及び第2スペーサの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む。外周部は、流体処理パックの外部の周りに位置決めされており、流体処理パックの第1端部及び第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含む。外周部の盲部分は、流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向外方への流体流れに抵抗する。第1及び第2のエンドキャップは、夫々、流体処理パックの第1端部及び第2端部に対してシールされ、各エンドキャップは、流体処理パックの内部と流体的に連通した中央開口部を有する。
【0008】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントの製造方法は、流体処理ろ材を波形形成し、軸線方向に延びる複数のプリーツを形成する工程を含む。各プリーツは、折り畳み端部、開放端部、及び折り畳み端部と開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する。この方法は、更に、複数のプリーツを全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程を含む。プリーツは、流体処理パックに沿って軸線方向に延びる。この方法は、更に、スペーサ構造体をプリーツの脚部間に位置決めする工程を含む。スペーサ構造体は、これらの脚部を離間し、軸線方向に延び構造が実質的にない領域を各プリーツ内に画成する。この方法は、更に、流体処理パックの第1端部及び第2端部をシールし、第1流体流路及び第2流体流路を形成する工程を含む。第1流体流路は、流体処理パックに沿って構造が実質的にない領域を介して軸線方向に延びる。第2流体流路は、流体処理パックを通って第1流体流路へ又は第1流体流路から延びる。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、本発明を具体化した流体処理エレメントの製造方法は、複合体を波形形成し、複数のプリーツを形成する工程を含む。複合体は、互いに反対側にある第1側縁部及び第2側縁部及び互いに反対側を向く第1面及び第2面を持つ流体処理ろ材、流体処理ろ材の第1面に沿って位置決めされたドレネージ媒体、流体処理ろ材の第2面に沿って第1側縁部と近接して位置決めされたスペーサ、及び流体処理ろ材の第2面に沿って位置決めされた材料を含む。この方法は、更に、波形形成した複合体を、第1端部及び第2端部を持つ全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程を含む。プリーツは、流体処理パックに沿って軸線方向に延びる。この方法は、更に、波形形成した複合体から材料をはぎ取り、構造が実質的にない領域を各プリーツ内に形成する工程を含む。この方法は、更に、流体処理パックの第1端部及び第2端部をシールし、第1流体流路及び第2流体流路を形成する工程を含む。第1流体流路は、流体処理パックに沿って構造が実質的にない領域を介して軸線方向に延び、第2流体流路は、流体処理パックを通って第1流体流路から又は第1流体流路まで延びる。
【0010】
本発明の実施例は、様々な方法で形成されてもよい。例えば、幾つかの実施例について、スペーサ構造体は、プリーツの脚部間に位置決めされるようにプリーツに設けられてもよい。他の実施例では、スペーサ構造体はプリーツの脚部内に、例えば流体処理ろ材とドレネージ媒体等の追加の多孔質ろ材との間に位置決めされるようにプリーツに設けられてもよい。多くの実施例について、スペーサ構造体は構造が実質的にない領域を画成する。この領域は、流体処理ろ材の表面の直ぐ近くに、即ち隣接して配置される。
【0011】
本発明の実施例は、従来の流体処理エレメントを越える多くの利点を提供する。例えば、構造が実質的にない領域をプリーツ内に設けることによって、供給流体をこれらの領域に沿って流体流れに対する抵抗を小さくして流すことができる。従って、流体処理パックを通して、供給流体を少ない圧力降下で接線方向に流すことができる。更に、構造が実質的にない領域を流体処理ろ材の表面の直ぐ近くに配置することによって、これらの領域を通るタンジェンシャル流路に沿って流れる流体は、流体処理ろ材の表面から汚れを更に完全に除去できる。従って、流体処理エレメントの使用寿命を延ばすことができる。更に、多くの供給流体は流体流路の構造を通って又はその周囲を流れるときに損傷を受ける。例えば、細胞及び/又は細胞成分を含む供給溶液が多孔質のネットを通って流れるとき、多くの細胞が粉砕され、細胞が破壊されることにより溶液中に細胞デブリスが含まれる。構造が実質的にない領域をプリーツ内に形成することにより、本発明の実施例では、供給流体をほとんど又は全く損傷することなく、流体処理パックに沿って接線方向に流すことができる。
【0012】
かくして、本発明の別の特徴によれば、細胞溶液を処理するための方法は、プリーツ内で、プリーツを有する流体処理エレメントに沿って軸線方向に細胞溶液を通過する工程を含む。細胞溶液をプリーツ内で軸線方向に通過する工程には、細胞溶液を、プリーツの脚部間の構造が実質的にない領域に沿って軸線方向に差し向ける工程が含まれる。この方法は、更に、構造が実質的にない領域内の細胞溶液から又はこの細胞溶液へ、流体処理エレメントの流体処理ろ材を通して一つ又はそれ以上の物質を通過する工程を含む。
【0013】
スペーサ構造体が流体処理ろ材と追加の多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体との間に位置決めされた実施例は、追加の利点を提供する。これらの実施例では、プリーツに沿って軸線方向に第1流体流路を介して流れる流体は、大部分が、構造が実質的にない領域に沿って流れるが、一部は追加の多孔質ろ材に沿って流れる。通常の作動モード中、流体処理ろ材の一方の側の第1流体流路内の流体は、全体として、流体処理ろ材の反対側の流体よりも高圧である。高圧の流体により、各プリーツの隣接した脚部を互いから離間された状態に保持し、構造が実質的にない領域を流体流れに対して開放する。第1流体流路内の流体の圧力が流体処理ろ材の反対側の流体の圧力以下に低下する場合がある。その場合、隣接したプリーツ脚部が互いに向かって膨張し、構造が実質的にない領域の全部又は幾つかを潰してしまう。しかしながら、通常の作動モードが再開し第1流体流路内の流体圧力が再び流体処理ろ材の反対側の流体圧力よりも大きくなると、構造が実質的にない領域を直ちに再形成できる。圧力が高い方の流体は各プリーツ内の第1流体流路に沿って、追加の多孔質ろ材を介して容易に流れることができ、各プリーツの隣接した脚部をこれらの脚部を押圧して通常の間隔が隔てられた位置に戻し、構造が実質的にない領域を再開放する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、多くの様々な流体処理エレメントにより具体化される。本発明を具体化した一つの流体処理エレメント10の一例を図1、図2、及び図3に示す。流体処理エレメント10は、全体として流体処理パック11を含む。この処理パックは、軸線12、両側の端部13、14、流体処理ろ材、及び複数のプリーツ15を含む。プリーツ15は、パック11の端部13、14間を略軸線方向に延びる。各プリーツ15は、全体として、例えば折り畳んだ外端部のような折り畳み端部20、例えば開放した内端部のような開放端部21、及び折り畳み端部20と開放端部21との間を延びる二つの脚部22、23を含む。スペーサ構造体が様々な方法のうちの任意の方法で流体処理パックのプリーツに取り付けられる。例えば、脚部22、23を離間させるため、スペーサ構造体24が各プリーツ15の脚部22、23の間に位置決めされていてもよい。スペーサ構造体24は、プリーツ15内に(例えばプリーツ15の脚部22、23間に)スペーサ構造体24が占有する領域30を画成し、プリーツ15内に(例えばプリーツ15の脚部22、23間に)構造が実質的にない別の領域を31を画成する。スペーサ構造体は、構造が実質的にない領域を画成するため、幾つかのプリーツ、大部分のプリーツ、又は全てのプリーツを含む複数のプリーツと結合していてもよい。例えば、スペーサ構造体は、構造が実質的にない領域をプリーツのうちの最大約40%又はそれ以上画成してもよく、これには、プリーツ即ち全てのプリーツの少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が含まれる。パーセンテージが高い方が好ましい。これは、流体処理エレメントのプリーツ内に、構造が実質的にない領域が更に多く提供されるためである。流体処理エレメント10は、更に、タンジェンシャル流体流路32及び横方向流体流路33を含む。タンジェンシャル流体流路32は、プリーツ15内で流体処理パック11に沿って全体に軸線方向に延びており、構造が実質的にない領域31を含む。横方向流体流路33はタンジェンシャル流体流路32と流体連通しており、流体処理ろ材を通ってタンジェンシャル流体流路32へ又はこの通路から横方向に延びる。
【0015】
作動では、供給流体は、流体処理パック11に沿ってタンジェンシャル流体流路32を介して接線方向に通過してもよい。構造が実質的にない領域31内の供給流体は、横方向流体流路33を介して流体処理ろ材を通して供給流体から一つ又はそれ以上の物質を除去することによって処理してもよいし、又は横方向流体流路33を介して流体処理ろ材を通して供給流体に一つ又はそれ以上の物質を追加することによって処理してもよい。流体処理エレメント10は、かくして、プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントと考えることができる。国際公開第WO00/13767号にも、プリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントが開示されている。同特許公開に触れたことにより、この特許公開に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0016】
流体処理パック11は様々な方法で形成できる。例えば、流体処理パックは、プリーツ状単層シート(図示せず)であってもよいし、プリーツ状多層複合体40を含んでもよい。複合体40の幾つかの層又は全ての層は、互いに一体に接合されていてもよいし、互いに一体成形されていてもよい。しかしながら、多くの実施例において、複合体40の層は、互いに隣接して位置決めされた別体の層を含む。
【0017】
流体処理パック11は、単一のシート又は単一のシートの一つの領域として、又は複合体40の一つ又はそれ以上の層としての流体処理ろ材41を含む。流体処理ろ材41は、互いに反対側を向く面、例えば内面42及び外面43を含んでいてもよい。適当な流体処理ろ材は、供給流体の性質及び供給流体の処理方法等の要因に応じて大幅に変化させてもよい。例えば、流体処理ろ材は無数の特性のうちの任意の特性を備えていてもよいし、そのような性質を備えるように変更してもよい。流体処理ろ材は、多孔質で透過性又は半透性であってもよく、オングストローム範囲即ちドルトン範囲又はそれ以下から、サブミクロン範囲、そしてミクロン範囲又は数10ミクロン範囲又はそれ以下で所定の除去効率を備えていてもよい。例えば、流体処理ろ材は、ナノ濾過媒体、限外濾過媒体、又はマイクロ濾過媒体を含んでいてもよい。流体処理は、ガス及び液体を通すことができてもよいし、ガスしか通さず液体を通さなくてもよい。流体処理ろ材は、疎液性であっても親液性であってもよく、電気的に中性な表面を備えていてもよいし帯電した表面を備えていてもよく、及び/又は例えば供給流体中の一つ又はそれ以上の物質と結合するように構成されていてもよい一つ又はそれ以上の官能基を含んでいてもよい。流体処理ろ材は、例えば膜又は繊維質シートを含む様々な態様で形成されていてもよく、金属、天然又は合成のポリマー、又はセラミックス又はガラスを含む任意の適当な材料から形成されていてもよい。多くの実施例について、サブミクロン除去定格を持つポリマー濾過膜を流体処理ろ材として使用してもよい。
【0018】
流体処理パック11は、流体処理ろ材41の他に一つ又はそれ以上の多孔質ろ材を含んでいてもよい。例えば、流体処理パック11は、多孔質ドレネージ媒体を、例えば単一のシートの一領域として又は多層複合体40の別の層として含んでいてもよい。ドレネージ媒体44は、流体処理ろ材41の少なくとも一つの表面、例えば外面43に沿って、流体処理ろ材のこの表面と隣接して、又はこの表面から間隔が隔てられた状態で位置決めされていてもよい。ドレネージ媒体44は、エッジ方向流れ抵抗が十分に低く、流体をプリーツ状にされた流体処理ろ材の表面へ又はこの表面から適切に流すことができる様々な材料のうちの任意の材料で形成できる。多くの適当な軸線方向ドレネージ媒体が、例えば米国特許第5,543,047号及び米国特許第5,252,207号に開示されている。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。多くの実施例について、織製した又は不織布のポリマー材料又はポリマーメッシュをドレネージ媒体として使用してもよい。例えば、ドレン材料は、第1及び第2のストランド組、例えば機械方向ストランド及び機械方向に対して横方向のストランドを持つメッシュを含んでいてもよい。これらのストランドは、一方が、複合体内でプリーツと平行に配向されていてもよいし、プリーツと平行に配向されていなくてもよい。
【0019】
多層複合体40は、他の多孔質ろ材の層を含んでいてもよい。例えば、ドレネージ媒体44が、流体処理ろ材41の外面43に沿って、その間にクッション層(図示せず)を挟んで位置決めされていてもよい。クッション層は、米国特許第5,252,207号に開示されているように、流体処理ろ材41をドレネージ媒体44による磨耗から保護する。別の例として、流体処理ろ材41が薄くて弱い場合には、支持媒体(図示せず)を流体処理ろ材41の表面に沿って、例えばドレネージ媒体44とは反対側の表面に沿って、例えば内面42に沿って位置決めしてもよい。剛性が比較的高い多くのドレネージ媒体を支持媒体として使用できる。これは、流体処理ろ材41を更にしっかりと支持する。
【0020】
スペーサ構造体は、様々な方法で形成でき、複合体に組み込んでもよく、又は複合体とは別個であってもよい。例えば、スペーサ構造体は、流体処理パックと結合した一つ又はそれ以上のスペーサを含んでいてもよい。例示の実施例では、スペーサ50は、プリーツ内に、例えば各プリーツ15の脚部22、23間に、これらの脚部22、23を離間するように位置決めされていてもよい。スペーサは、様々な形体を備えていてもよい。例えば、スペーサは、プリーツ内に各々挿入された複数のパッドを含んでいてもよい。別の態様では、スペーサ50は、複合体40の単一のシート又は多数の層に沿って延びており且つこれらの層とともにプリーツ状にされた、複合体に組み込まれた一つ又はそれ以上の材料ストリップ51、52を含んでいてもよい。
【0021】
スペーサ構造体24、例えばストリップ又はパッドを含むスペーサの厚さは、全体として、構造が実質的にない領域31の厚さと対応し、また、その厚さは、プリーツの所望の数及び構造が実質的にない各領域の大きさに従って、選択される。幾つかの実施例について、スペーサ構造体24の厚さは、約0.05mm又はそれ以下乃至約5mm又はそれ以上の範囲内、又は約0.1mm乃至約2.0mmの範囲内、又は約0.1mm乃至約1mmの範囲内、例えば約0.5mmであってもよい。スペーサ構造体24について様々な幅が適している。例えば、幅は約3mm以下から約20mm以上の範囲、例えば約5mmから約10mmの範囲内にあってもよい。スペーサ構造体24の高さは、プリーツの高さの少なくとも約25%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約95%、又は約100%であってもよい。
【0022】
スペーサ構造体は、流体処理ろ材の一方の面に沿って配置されていてもよいし両面に沿って配置されていてもよい。例えば、スペーサ構造体は、一方の表面だけに沿って位置決めされていてもよい。図1、図2、及び図3に示す実施例では、スペーサ構造体24は流体処理ろ材41のドレネージ媒体44とは反対側の表面、例えば内面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体は、更に、流体処理パックに沿った様々な軸線方向位置に位置決めされていてもよい。例えばスペーサ構造体は、流体処理パックの一方の端部に沿ってだけ位置決めされていてもよい。かくして、スペーサ構造体は、単なる一枚の材料ストリップであってもよく、このストリップは、流体処理パックの一方の端部に沿って、プリーツの脚部間でプリーツ状にされてもよい。別の態様では、スペーサ構造体24は、図1、図2、及び図3に示すように、流体処理パック11の両端部に沿ってのみ位置決めされていてもよい。かくしてスペーサ構造体24は、単なる二枚の材料ストリップ51、52とすることができ、このストリップは、流体処理パック11の各端部13、14に沿って、例えばプリーツ15の脚部22、23間でプリーツ状にされていてもよい。別の態様では、スペーサ構造体は、三つ又はそれ以上の材料ストリップであってもよい。これらのスペーサは、流体処理パックの端部から間隔が隔てられた軸線方向位置に、例えばパックの中央に、又は流体処理パックの軸線方向長さに沿った多数の間隔を空けたところに、位置決めされていてもよい。
【0023】
スペーサ構造体は、圧縮に抵抗する材料から形成されていてもよく、この材料は、スペーサ構造体の位置等の要因に応じて、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよく、又は不透過性であってもよい。例えば、スペーサ構造体は、流体処理パックの端部に位置決めされたスペーサを含んでいてもよい。流体処理パックの端部でスペーサが例えばエンドキャップ又はシーラントによって流体流れに対してシールされている場合には、スペーサ材料は、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよく、又は不透過性であってもよい。流体処理パックの端部でスペーサが流体流れに対してシールされていない場合には、スペーサ材料は、流体をプリーツ内の構造がない領域に流入させたり流出させたりできるように、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよい。流体処理パックの端部から間隔が隔てられた位置に位置決めされたスペーサもまた、流体をプリーツ内の構造がない領域に沿って軸線方向に流すことができるように、チャンネルが設けられていてもよいし小孔が設けられていてもよいし多孔質であってもよい。多くの実施例について、様々なドレネージ媒体について米国特許第5、543、047号に開示されているようなエッジ方向流れ抵抗が低い材料から形成されたスペーサ構造体が適している。
【0024】
スペーサ構造体24は、スペーサ材料によって占有された領域30及び構造が実質的にない別の領域31を各プリーツ内に画成する。構造が実質的にない領域31の大きさを大きくするため、スペーサ領域30の大きさを小さくしてもよい。例えば、スペーサ構造体24によって占有された領域30の全幅は、流体処理パック11の軸線方向長さの約20%以下であってもよいし、約10%以下であってもよいし、約5%以下であってもよいし、約3%以下であってもよいし、約1%以下であってもよい。更に、構造が実質的にない、各プリーツ15内の領域31は、その領域内に何らかの構造を備えていてもよいが、領域31の少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は100%には構造が完全にない。多くの好ましい実施例について、流体処理エレメントは、スペーサ領域30が小さく、例えばスペーサ領域30は軸線方向長さの約10%以下であり、構造が実質的にない領域31内には構造が少なく、例えば領域31の少なくとも約95%には構造が全くない。幾つかの実施例について、各領域31は、流体処理パックの一方の端部の一方のスペーサから流体処理パックの他方の端部の他方のスペーサまで延びており、構造が全くない。
【0025】
流体処理エレメント10は、流体処理パック11及びスペーサ構造体24の他に、他の特徴を含んでいてもよい。例えば、流体処理エレメント10は、中空流体処理パック11の内部54に位置決めされたコア構成要素53を含んでいてもよい。コア構成要素53は様々な形体にできる。例えば、コア構成要素53は盲部分を含んでいてもよく、この盲部分は、プリーツ15の開放した内端部21をブロックし、及び/又は構造が実質的にない領域31から半径方向内方への流体流れに抵抗し、例えば阻止するのに役立つ。盲部分55は、流体処理パック11の一方の端部又は両端部13、14から軸線方向内方に間隔が隔てられた位置で終端してもよい。盲部分55は、中空であっても中実であってもよく、プリーツ15に当接する全体に円筒形の外面を備えていてもよく、多孔質であっても有孔であってもならず、流体をコア構成要素53と流体処理パック11との間で軸線方向にドレンできるようにする表面テクスチャーを備えていないのがよい。タンジェンシャル流体流路32に沿って流れる供給流路は、かくして、構造が実質的にない領域31から半径方向内方に流れることが阻止される。
【0026】
コア構成要素53は、更に、流体処理パック11の内部54に端部分60を含んでいてもよい。端部分60は、盲部分55の各端から流体処理パック11の端部13、14まで、又はこれを越えて延びていてもよく、障壁61が盲部分55と各端部分60との間に設けられている。各端部分60は、全体に円筒形の多孔質即ち有孔の側壁62、及び障壁61と向き合った開口部63を備えていてもよい。不透過性であってもよい障壁61は、流体流れを端部分60の内部と構造が実質的にない領域31との間でプリーツ15の開放した内端部21を介して差し向けるのに役立つ。
【0027】
コア構成要素は、多くの他の方法で形成されていてもよい。例えば、コア構成要素は、障壁及び盲部分を含んでいてもよいが、端部分をなくしてもよい。障壁は、その場合、流体を流体処理パックと構造が実質的にない領域との間でプリーツの開放した内端部を介して差し向けてもよい。別の態様では、又は追加として、コア構成要素は、盲部分及び端部分なしで障壁を含んでいてもよい。盲部分の代わりにプリーツの開放した内端部に沿ってシーラントを配置し、開放した内端部をブロックしてもよい。別の変形例として、コア構成要素は、流体処理パックの内部を通って流体処理パックの一方の端部又は両端部まで延びる盲部分を含んでいてもよい。その場合、流体処理パックの一方の端部又は両端部に設けられたプリーツの脚部間のスペーサは、流体をスペーサを通して構造が実質的にない領域内に入れることができ、又はこれらの領域の外に出すことができるように、チャンネルを備えていてもよいし、多孔質であってもよいし有孔であってもよい。
【0028】
幾つかの実施例では、コア構成要素を省略してもよい。例えば、流体処理パックの内部に沿ってシーラントを適用し、プリーツの開放した内端部をブロックしてもよい。別の態様では、又は追加として、流体処理パックのプリーツは、スペーサがプリーツの開放した内端部のところで圧縮されるが、開放した内端部から半径方向外方には圧縮されないのに十分に密に詰められていてもよい。かくして、プリーツの開放した内端部は、構造が実質的にない領域を潰すことなく狭くされていてもよい。コア構成要素を省略した場合には、流体処理パックの両端部に設けられたプリーツの脚部間のスペーサは、流体を構造が実質的にない領域内にスペーサを通して入れたりここから外に出したりできるように、多孔質であってもよいし有孔であってもよい。
【0029】
流体処理エレメント10は、流体処理パック11の外部65の周りに位置決めされたケージ、スリーブ、及び/又はラップ等の周囲64を含んでいてもよい。周囲64は、流体を横方向流体流路33に沿って流すことができるように、流体処理パック11の軸線方向長さの一部又は全部に沿って多孔質であってもよいし有孔であってもよく、他の開口部を備えていてもよい。周囲は、プリーツの折り畳んだ外端部と隣接していてもよいし当接していてもよく、プリーツを所定位置に保持できる。
【0030】
流路処理エレメント10は、更に、流路処理パック11の端部13、14のところにシーリング機構を備えていてもよい。シーリング機構は、端部、例えば流体処理パックの端部の全部又は一部をシールし、流体処理エレメントに沿ってタンジェンシャル流体流路を形成し、流体処理ろ材を通る横方向流体流路を形成する。端部13、14をシールするのに様々な機構を使用できる。例えば、流路処理エレメント10は、流路処理パック11の一方の端部又は両端部13、14の夫々に接合された一つ又は二つのエンドキャップ70、71を含んでいてもよい。これらのエンドキャップ70、71は、任意の適当な不透過性材料から形成されていてもよく、端部13、14をシールする任意の適当な方法で端部13、14に接合されていてもよい。例えば、エンドキャップは端部13、14に対して溶融結合されていてもよいし、溶接されていてもよいし、溶剤結合されていてもよいし、又は注封コンパウンド又はシーラントを用いて接着剤結合されていてもよい。多くの実施例について、流体処理パックの端部に設けられたスペーサは、パックの端部とともにエンドキャップに接合されていてもよい。別の態様では、スペーサはパックの端部から内方に位置決めされていてもよく、パックの端部とともにエンドキャップに接合されていなくてもよい。エンドキャップは、コア構成要素53及び/又は周囲64に結合されていてもよいし結合されていなくてもよい。
【0031】
エンドキャップは、任意の適当な方法で形成されていてもよい。図1、図2、及び図3に示す実施例では、各エンドキャップ70、71は、流体処理パック11の内部54及びコア構成要素53の端部分60の夫々の開口部63と流体的に連通した開口部72を持つ開放したエンドキャップを含む。エンドキャップは、全体に平らであってもよいし、例えば流体処理パックから遠ざかる方向に延びる突出部73を備えていてもよい。突出部は、エンドキャップと一体成形されていてもよいし、エンドキャップに取り付けられた別体の部品であってもよい。突出部は、流体処理エレメントを例えばハウジングや別の流体処理エレメント等の別の構成部品に連結できる様々なアダプタや継手のうちの任意のものとして形成されていてもよい。例えば、流体処理エレメント10の一方の端部に設けられた継手は、供給部即ちプロセス流体入口継手68を含んでいてもよく、これに対し、他方の端部に設けられた継手は、濃縮物−リテンテート出口継手69を含んでいてもよい。別の態様では、アダプタ、継手、入口開口部、及び出口開口部を、突出部のないエンドキャップの部分として形成してもよい。一方又は両方のエンドキャップは、更に、流体処理エレメントを別の構成要素に密封をなして連結するため、ガスケットやO−リング等の一つ又はそれ以上のシールを含んでいてもよい。
【0032】
別の態様では、又は追加として、端シール機構は、流体処理パックの一方の端部又は両端部の全部又は一部に適用された、例えばエポキシ、シリコーン、又はポリウレタンを含むシーラントを含んでもよい。例えば、シーラントは、流体処理パックの一方の端部又は両端部で流体処理ろ材の外面に沿ってドレネージ媒体に適用されていてもよい。更に、シーラントは、流体処理エレメントを別の構成部品に対してシールするためのガスケットを形成するため、パックの一方の端部又は両端部のところで流体処理パックの外部に適用してもよい。しかしながら、シーラントは、一方の端部又は両端部で流体処理パックの内面に沿って適用されていなくてもよい。流体処理パックの一方の端部又は両端部で流体処理ろ材の内面に沿ってプリーツの脚部間に設けられたスペーサは、流体を領域に入れたり出したりできるようにするため、チャンネルが設けられていてもよいし、多孔質であってもよいし、有孔であってもよい。更に、流体処理の内部は、例えば盲部分が流体処理パックの内部に亘って一方の端部から他方の端部まで延びるコア構成要素によって完全に塞がれていてもよい。この場合、流体、例えば供給流体が、タンジェンシャル流体流路に沿って、例えば一方の端部に設けられたスペーサを通って、構造が実質的にない領域に沿って流体処理パックに流入し、反対側のスペーサを通って流体処理パックを出る。この場合、タンジェンシャル流体流路及び横方向流体流路は、流体処理ろ材を通る以外はシーラントによって分離されていてもよい。
【0033】
流体処理エレメントは、幾つかの異なる方法で形成できる。一つの一般的な例によれば、流体処理ろ材は、単一のシート又は複合体の部分のいずれかとして波形に成形され、軸線方向に延びる複数のプリーツを形成する。任意の適当な種類の波形成形機即ちコルゲーターを使用してプリーツを形成できる。これには、例えばプッシャバーコルゲーター、ブレード型コルゲーター、回転型コルゲーター、又はインライン型コルゲーターが含まれる。様々な波形形成技術が米国特許第5、543、047号に開示されている。次いで、複数のプリーツを全体に円筒形の流体処理パックに形成してもよい。スペーサ構造体は、幾つかの、大部分の、又は全てのプリーツと様々な方法で結合していてもよい。例えば、スペーサ構造体は、プリーツ内に、例えばプリーツの脚部間に位置決めされてこれらの脚部を離間し、構造が実質的にない領域を画成してもよい。流体処理パックの端部は、構造が実質的にない領域を介してタンジェンシャル流体流路を形成し、流体処理ろ材を通る横方向流路を形成するため、例えば完全に又は部分的にシールされていてもよい。スペーサ構造体は、波形形成中又は形成後、プリーツを流体処理パック内に配置する前、配置するとき、又は配置した後、及び/又は流体処理パックの端部をシールする前、シールするとき、又はシールした後、プリーツ内に位置決めされてもよい。
【0034】
流体処理エレメント10を形成する方法の多くの例のうちの別の例を図4及び図5に示す。例えば、複合体40は、図4に示すように、流体処理ろ材41、ドレネージ媒体44、スペーサ構造体24、及びストリップアウト材料74の別々の層から形成されていてもよい。流体処理ろ材41は、両面42、43、及び両側縁部75、76を含んでいてもよい。ドレネージ媒体44は、流体処理ろ材41の一方の表面に沿って、例えば円筒形流体処理パックの流体処理ろ材41の外面43となる表面43に沿って位置決めされていてもよい。
【0035】
スペーサ構造体24は、更に、流体処理ろ材41の一方の表面に沿って、例えば円筒形流体処理パックの流体処理ろ材41の内面42となる表面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体は、スペーサを一つしか含まなくてもよく、流体処理ろ材の一方の側縁部に沿って位置決めされてもよい一枚のストリップを含んでもよい。例示の実施例では、スペーサ構造体24は二つのスペーサ、例えば流体処理ろ材41の両側縁部75、76に沿って位置決めされた二枚のストリップ51、52を含んでいる。スペーサストリップ51、52を側縁部75、76に沿って位置決めすることにより、シーリング機構が流体処理パック11の端部と接合するとき、スペーサ構造体24を所定位置に固定的に保持できる。しかしながら、シーリング構成要素は、スペーサストリップが二枚以下又は二枚以上であってもよく、複合体内で様々な位置に位置決めできる。
【0036】
ストリップアウト材料74は、流体処理ろ材41のスペーサ構造体24と同じ表面42に沿って位置決めされていてもよく、スペーサ構造体24によって占有されていない領域を少なくとも部分的に占有してもよい。例えば、例示の実施例では、ストリップアウト材料74は、一方のスペーサストリップ51から他方のスペーサストリップ52まで延びる単なる一枚の材料シートを含んでもよい。別の態様では、ストリップアウト材料は、ストリップ51、52間の距離よりも狭幅であってもよく、二枚又はそれ以上のシート又はストリップを含んでもよい。多くの実施例について、ストリップアウト材料は、米国特許第5、543、047号及び米国特許第5、252、207号にドレネージ媒体として記載された材料と同様の材料であってもよい。ストリップアウト材料の厚さは、スペーサ構造体24の厚さとほぼ等しくてもよい。幾つかの実施例について、ストリップアウト材料を省略してもよい。
【0037】
追加の層、例えばクッション媒体を複合体に供給してもよく、層の各々をロール等の供給源から供給してもよい。全ての層が同じ時期に例えばコルゲーターのところで一緒になり、複合体を形成する。別の態様では、全ての層よりも少数の副複合体を異なる時期に形成し、次いでこれらの副複合体を複合体に形成してもよい。層、副複合体、及び複合体には、波形形成前に、例えばトリミング、カレンダー加工、及び/又は熱硬化等の様々なプロセスが加えられる。
【0038】
複合体40の形成後、複合体を任意の適当なコルゲーターによって波形にできる。例えば、複合体40は、米国特許第5、543、047号に開示されたプッシュバー型コルゲーター80に供給されてもよい。このコルゲーター80は、複合体40を折り畳み、軸線方向に延びる複数のプリーツ15にする。これらのプリーツの高さ及び/又はプリーツ15の脚部22、23の長さは、例えば処理パック11の所望の大きさ及び形体に応じて変化してもよい。各プリーツ15について、脚部22、23は長さがほぼ等しくてもよいし、一方の脚部が他方の脚部よりも長くてもよい。更に、脚部は、直線状であってもよいし湾曲していてもよい。コルゲーター80は、プリーツ15を形成する他に、熱硬化及びトリミングを含む様々な他のプロセスを行ってもよい。例えば、複合体40にプリーツを付けた後、プリーツ状にされた複合体をカッター(図示せず)で軸線方向に切断し、流体処理パック11に対して前縁81、後縁82、及び所定数のプリーツ15を提供する。
【0039】
スペーサ構造体24を複合体40に組み込み、スペーサストリップ51、52を複合体40の他の層とともに折り畳むことには多くの利点がある。例えば、プリーツの形成後にスペーサをプリーツ間に挿入するための追加の工程を必要としないため、製造プロセスの複雑さが低下する。更に、プリーツが形成されるときにスペーサストリップが複合体の他の層とともに各プリーツに折り込まれるため、全てのプリーツが一つのスペーサを確実に備える。
【0040】
ストリップアウト材料74を複合体40にスペーサ構造体24とともに組み込み、ストリップアウト材料74を複合体40の他の層とともに折り畳むことにも多くの利点がある。例えば、複合体40をコルゲーター80のプリーツ形成面間でプレスするとき、スペーサ構造体24が不当に圧縮されないようにする。更に、ストリップアウト材料74が複合体40の残りとともに折り畳まれるため、プリーツ15の折り畳み端部20の内面の半径は、波形形成中にストリップアウト材料74がない場合よりも大きくなる。この大きな半径により、ストリップアウト材料を取り除いた後、更に開放した及び従って制限が小さい、構造が実質的にない領域31を各プリーツ15内に形成する。
【0041】
次いで、任意の適当な時期にストリップアウト材料74をプリーツ状にされた複合体40から取り除いてもよい。例えば、コルゲーター80によってプリーツ15を形成した後であるがプリーツ状にされた複合体40から所定数のプリーツ15を切り出す前に、ストリップアウト材料74をプリーツ状にされた複合体40からはぎ取ってもよい。別の態様では、所定数のプリーツ15を切り出した後にストリップアウト材料74をプリーツ状にされた複合体40からはぎ取ってもよい。ストリップアウト材料74をひとたび取り除くと、スペーサストリップ51、52間及びプリーツ15の脚部22、23間の領域31は、構造が実質的になくなる。更に別の変形例として、ストリップアウト材料74は、流体処理パック11が形成されるときにプリーツ状にされた複合体40内にとどまってもよい。
【0042】
プリーツ状にされた複合体40は、様々な方法で全体に円筒形の流体処理パック11に形成できる。例えば、プリーツ状にされた複合体40の前縁81及び後縁82を、図5に示すように合わせて互いに隣接して位置決めし、内部54、外部65、及び両端部13、14を持つ全体に円筒形の中空流体処理パック11を形成する。次いで、側シール83を縁部81、82に沿って任意の多くの方法で形成してもよい。シール方法には、例えば、溶融結合、接着剤結合、及び/又は機械的連結、例えばクリンプ加工が含まれる。ストリップアウト材料74が未だにプリーツ状にされた複合体40の部分である場合には、ストリップアウト材料を側シール83に組み込んでもよい。別の態様では、側シール83を形成する前にストリップアウト材料74を除去してもよい。側シール83の形成後、例えばストリップアウト材料74を流体処理パック11から、例えば流体処理パック11の内部54からはぎ取ることによって除去してもよい。ストリップアウト材料74が側シール83に組み込まれている場合には、複合体40からはぎ取った後、除去前に側シール83から内方に切断してもよい。ストリップアウト材料74を除去すると、スペーサストリップ51、52間の及びプリーツ15の脚部22、23間の領域31には、構造が実質的になく、プリーツ15の開放端部21がこれらの領域31と流体処理パック11の内部との間を連通する。
【0043】
流体処理パック11の端部13、14をシールする前にコア構成要素53及び周囲64を流体処理パック11に装着する。コア構成要素53は流体処理パック11の内部54内に挿入されてもよい。プリーツ15の開放した内端部は、コア構成要素53の盲部分55によって塞がれてもよいが、障壁61を越えて有孔側壁又は多孔質側壁62を介してコア構成要素53の端部分60と連通していてもよい。周囲64は流体処理パック11の外部65の周囲に装着されてもよい。周囲64は、プリーツ15の折り畳み端部20に結合されていなくてもよいし結合されていてもよい。プリーツ15は、コア構成要素53のところにある開放端部21から周囲64のところにある折り畳み端部20まで、全体に半径方向に、直線状の非半径方向に即ち角度をなして、又は湾曲して非半径方向に延びるように構成されていてもよい。全体に半径方向に延びるプリーツについて、これらのプリーツの高さは(D−d)/2とほぼ等しく、非半径方向に延びるプリーツについて、これらのプリーツの高さは(D−d)/2よりも大きい。ここで、D及びdは、夫々、流体処理パック11の外径及び内径である。幾つかの実施例について、プリーツ15は、全てのプリーツの高さを同じにしてコア構成要素53と周囲64との間に配置されていてもよい。その他の実施例については、流体処理パック内のプリーツの高さは互いに異なっていてもよい。
【0044】
次いで、流体処理パック11の端部13、14を、例えばシーラントを適用することによって、又はエンドキャップ70、71を端部13、14に取り付けることによってシールしてもよい。エンドキャップ70、71は、流体処理パック11の端部13、14並びにコア構成要素53及び/又は周囲64の端部に様々な方法で取り付けることができる。例えば、エンドキャップ70、71は、流体処理パック11、コア構成要素53、及び周囲64の端部に溶融結合してもよいし接着剤結合してもよい。スペーサ構造体24、例えばスペーサストリップ51、52をエンドキャップ70、71に複合体40の他の層とともに結合することにより、スペーサ構造体24並びに複合体40の他の層を所定位置にしっかりと固定してもよい。流体処理パック11の端部13、14が、例えばエンドキャップ70、71を取り付けることによってシールされると、流体処理エレメント10を通るタンジェンシャル流体流路32及び横方向流体流路33が形成される。
【0045】
本発明を具体化した流体処理エレメント100の別の例を図6及び図7に示す。図6及び図7に示す流体処理エレメント100は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10について説明し且つ示唆したのと同様の多くの特徴を有し、対応する構成部品には同じ参照番号が付してある。例えば、図6及び図7に示す流体処理エレメント100及び図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10は、両方とも流体処理パック11を含む。この流体処理パック11は、軸線12、両端部13、14、及び流体処理ろ材41、及び軸線方向に延びる複数のプリーツ15を有する。各プリーツ15は、折り畳み端部、例えば折り畳んだ外端部20、開放端部、例えば開放した内端部21、及び折り畳み端部20と開放端部21との間を延びる二つの脚部22、23を含む。流体処理パック11の端部は、対をなした開放エンドキャップ70、71等のシーリング機構によってシールされている。盲部分55及び両端部分60を持つコア構成要素53及び/又は周囲64が流体処理パック11の内部及び外部と結合していてもよい。両流体処理エレメント10、100は、プリーツ15に沿って全体に軸線方向に延びるタンジェンシャル流体流路32及びタンジェンシャル流体流路32と流体的に連通しており且つ流体処理ろ材41を通って横方向に延びる横方向流体流路33を含む。
【0046】
更に、図6及び図7に示す流体処理エレメント100及び図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10の両方において、流体処理パック11は、内面42及び外面43を持つ流体処理ろ材41を含む多層複合体40を含んでいてもよい。ドレネージ媒体44が流体処理ろ材41の外面43に沿って位置決めされていてもよい。クッション層(図示せず)等の他の多孔質ろ材が、更に、流体処理ろ材41の外面43に沿って位置決めされていてもよい。
【0047】
図6及び図7に示す流体処理ろ材100は、一つ又はそれ以上の追加の多孔質ろ材を含んでいてもよい。例えば、一つ又はそれ以上の多孔質ろ材101が流体処理ろ材41の内面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体24がプリーツ15と結合し、構造が実質的にない領域31を多孔質ろ材101と流体処理ろ材41の内面42との間に画成してもよい。多孔質ろ材は、様々な織製シート、不織シート、又はメッシュシートのうちの任意のものを含んでもよいが、多孔質ろ材101は、多くの実施例について、ドレネージ媒体を含んでもよい。例えば、ドレネージ媒体はメッシュ層を含んでもよく、これには、一組の平行なストランドを別の一組の平行なストランドの上に固定した、例えば機械方向ストランド組を機械方向に対して横方向のストランド組の上に固定した押出しメッシュ層が含まれる。いずれかのストランド組が、多層複合体40に、ストランドが全体に軸線方向にプリーツ15と平行に延びるように配置されていてもよいし、このように配置されたストランドがなくてもよい。
【0048】
スペーサ構造体は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明したように、様々な方法で形成されていてもよい。図6及び図7に示す流体処理エレメント100では、スペーサ構造体24は、一つ又はそれ以上のスペーサ50を多層複合体40の一つ又はそれ以上の層として含んでもよい。例えば、スペーサ50は二つのスペーサストリップ51、52を含んでいてもよく、これらのスペーサストリップは、流体処理パック11の第1及び第2の端部のところで複合体40に組み込まれ、そしてこの複合体とともに波形形成される。
【0049】
スペーサ構造体は、プリーツの脚部内及び多孔質ろ材と流体処理ろ材の表面との間に構造が実質的にない領域を画成するため、様々な位置に位置決めできる。例えば、構造が実質的にない領域を流体処理ろ材の表面と直接隣接して配置するため、スペーサ構造体を多層複合体に位置決めしてもよい。図6及び図7に示す流体処理エレメント100では、スペーサ50、例えばスペーサストリップ51、52は、一方の側が、流体処理ろ材41の内面42と隣接しており、他方の側が多孔質ろ材101、例えばドレネージ媒体の外面102と隣接している。かくして、スペーサ構造体は、各プリーツ15の脚部22、23内に、スペーサ構造体24によって占有された領域30及び構造が実質的にない領域31を画成する。この領域31は、流体処理ろ材41及び多孔質ドレネージ媒体101の外面102と隣接する。
【0050】
構造が実質的にない領域31の厚さとほぼ一致するスペーサ構造体24の厚さ、及び多孔質ろ材101の厚さは、所望のプリーツ数、及び構造が実質的にない領域の所望の大きさを含む幾つかの要因に従って選択してもよい。多くの実施例について、組み合わせ厚さは、約0.05mm又はそれ以下乃至約5mm又はそれ以上の範囲であってもよく、又は約0.1mm乃至約2.0mmの範囲であってもよく、又は約0.1mm乃至約1.0mmの範囲であってもよい。スペーサ構造体24の厚さは、多孔質ろ材101の厚さよりも大きくてもよく、これによって構造が実質的にない領域31の大きさを大きくする。例えば、スペーサ構造体24の厚さは、多孔質ろ材101の厚さの少なくとも約1.1倍であってもよく、又は少なくとも約1.1倍、又は約1.2倍、又は約1.5倍、又は約2倍、又は約2.5倍、又は約3倍、又は約4倍、又は約5倍、又はそれ以上であってもよい。幾つかの実施例では、多孔質ろ材101の厚さは約0.2mmであってもよく、スペーサ構造体の厚さは約0.4mmであってもよい。多くの実施例について、流体処理ろ材41の内面42に沿った多孔質ろ材101の厚さは、流体処理ろ材41の外面43に沿ったドレネージ媒体44の厚さ以下であってもよい。
【0051】
図6及び図7に示す流体処理エレメント100では、流体処理パック11は流体処理ろ材41の内面に沿って延びる多孔質ろ材101を一つだけ備えていてもよく、スペーサ構造体24は流体処理ろ材41と多孔質ろ材101との間に位置決めされていてもよく、構造が実質的にない領域31は流体処理ろ材41の内面と隣接する。しかしながら、他の実施例では、一つ以上の多孔質ろ材が、異なる位置に設けられていてもよく、流体処理ろ材及び/又はスペーサ構造体の表面に沿って延びていてもよい。例えば、ドレネージ媒体の他に、支持媒体及び/又はクッション層が、流体処理ろ材とドレネージ媒体との間で流体処理ろ材の内面に沿って延びていてもよい。この場合、スペーサ構造体並びに構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の内面とクッション層との間、又はクッション層又は支持媒体とドレネージ媒体との間に位置決めされていてもよい。
【0052】
図6及び図7に示す流体処理エレメント100と同様の流体処理エレメントを、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明した多くの方法を含む幾つかの異なる方法のうちの任意の方法で形成してもよい。例えば、多層複合体40は、図8に示すように、流体処理ろ材41、2つのドレネージ媒体44、101、及びスペーサ構造体24を含む別々の層から形成されていてもよい。外ドレネージ媒体44は、流体処理ろ材41の外面43となる表面43に沿って位置決めされていてもよく、内ドレネージ媒体101は、流体処理ろ材41の内面42となる表面42に沿って位置決めされていてもよい。スペーサ構造体24、例えば二つのスペーサストリップ51、52は、流体処理ろ材41の内面42と内ドレネージ媒体101との間に、例えば流体処理ろ材41の側縁部75、76に沿って位置決めされていてもよい。例えば、スペーサストリップ51、52は、流体処理ろ材41の内面42及び/又は内ドレネージ媒体101の外面102と接触して位置決めされていてもよい。
【0053】
多層複合体40の形成後、図4及び図5に示す実施例に関して説明し且つ示唆したのと同様の方法で多層複合体を波形に形成し、全体に円筒形の流体処理パック11にする。しかし、図8に示す実施例ではストリップアウト材料はない。図6に示すように、流体処理パック11は、構造が実質的にない領域31を各プリーツ15内に、例えば各プリーツ15の各脚部22、23内に有する。スペーサ構造体24及び構造が実質的にない領域31は、流体処理ろ材41の内面42と内ドレネージ媒体101の外面102との間に位置決めされていてもよく、例えば流体処理ろ材41の内面42及び内ドレネージ媒体101の外面102と隣接している。一方の脚部の内ドレネージ媒体101の内面103は、隣接した脚部の内ドレネージ媒体101の内面103に面していてもよく、場合によっては接触している。
【0054】
流体処理パック11は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明したように、シーリング機構、例えば開放エンドキャップ70、71、コア構成要素53、及び/又は周囲64を追加することによって流体処理エレメント100に形成できる。
【0055】
本発明を具体化した流体処理エレメントは、流体処理アッセンブリを形成するために様々なハウジング内に収容されてもよい。例えば、ハウジングは、流体と化学的に適合性であり且つ例えば圧力や温度等のプロセスパラメータに機械的に耐えることができる例えば金属材料やポリマー材料等の任意の不透過性材料から形成されていてもよい。流体処理エレメントをハウジング内に永久的に収容し、使い捨て流体処理アッセンブリを形成してもよく、又はハウジング内に取り外し自在に収容し、使用済み流体処理エレメントを再使用可能なハウジング内で新たな流体処理エレメントと交換できてもよい。
【0056】
流体処理アッセンブリは多くの様々な方法で形成されてもよい。例えば、流体処理アッセンブリは流体処理エレメントを一つだけ収容したハウジングを含んでいてもよいし、ハウジング内で直列に又は並列に配置された多数の流体処理エレメントを収容したハウジングを含んでいてもよい。流体処理アッセンブリは三つ又はそれ以上の主ポートを備えていてもよい。例えば、流体処理アッセンブリがフィルタ等のセパレーターとして役立つ場合には、供給ポート即ちプロセス流体ポート、濃縮物ポート即ちリテンテートポート、及び濾液ポート即ち透過物ポートを含んでいてもよい。流体処理アッセンブリが物質を一方の流体から他方の流体に移動するための物質移動装置として役立つ場合には、各流体用の入口ポート及び出口ポートを含んでいてもよい。流体処理アッセンブリは、更に、様々な補助的なポート、例えば通気や逆洗と関連したポートを含んでいてもよい。
【0057】
流体処理アッセンブリ200の多くの様々な例のうちの一つの例を図9に示す。流体処理アッセンブリ200は上文中に説明し且つ示唆したのと同様の流体処理エレメント10、100等の流体処理エレメントを永久的に収容するハウジング201を含む。流体処理アッセンブリ200は濾過モジュールとして役立ち、流体処理エレメント10、100の流体入口継手68に連結された供給ポート即ちプロセス流体ポート202、濃縮物出口継手69に連結された濃縮物ポート即ちリテンテートポート203、及び流体処理パック11の外部65と流体的に連通した濾液ポート即ち透過物ポート204を含んでいてもよい。流体処理エレメント10、100は、供給ポート202及び濃縮物ポート203を透過物ポート204から分離するため、ハウジング201内にシールされている。
【0058】
本発明を具体化した流体処理エレメント及び流体処理アッセンブリは、多くの流体のうちの任意の流体を多くのクロスフロープロセスで処理するのに使用できる。多くの用途のうちの一つでは、流体処理エレメント及び流体処理アッセンブリは、細胞溶液、例えば細胞及び/又は細胞成分を含む液体溶液を処理するのに使用してもよい。細胞溶液には、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、及び哺乳類の細胞、特にチャイニーズハムスターの卵巣(Chinese Hamster Ovary:CHO)細胞を含む様々な細胞のうちの任意のものが含まれる。細胞溶液には、蛋白質や酵素等の細胞生成物、細胞構造、及び細胞に組み込まれた物質を含む様々な細胞成分が含まれる。細胞溶液は、多くの方法で処理できる。例えば、細胞溶液は、細胞及び/又は細胞成分の採取、分離、濃縮、及び/又は精製を行うために処理してもよい。細胞溶液は幾分粘度があり、非常に壊れ易く、溶液の細胞及び/又は細胞成分は容易に損傷してしまう。本発明を具体化した流体処理エレメントは、液体細胞溶液の処理に特に良好に適している。
【0059】
懸濁液及び一つ又はそれ以上の種類の細胞及び/又は細胞成分を含む細胞溶液等の供給流体を、図9に示すように、タンジェンシャル流体流路32を介してプリーツ内の流体処理エレメントに沿って軸線方向に差し向けてもよい。例えば細胞溶液を流体処理アッセンブリ200の供給ポート202を通して全体に軸線方向に流体処理エレメント10、100の供給入口68及びコア構成要素53の端部分60内に差し向けてもよい。この場合、障壁61が細胞溶液を全体に半径方向外方に端部分60の有孔側壁62の開口部63及びプリーツの開放した内端部を通して差し向ける。
【0060】
供給流体、例えば細胞溶液は、次いで、プリーツの脚部間又はその中のタンジェンシャル流体流路32に沿って軸線方向にエレメント10、100の一方の端部から反対側の端部まで通過する。図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10では、流体は、タンジェンシャル流体流路32のこの部分に沿って、構造が実質的にない領域31のみを通って流れる。図6及び図7に示す流体処理エレメント100では。流体はタンジェンシャル流体流路32のこの部分に沿って、構造が実質的にない領域31及び内部多孔質媒体例えばドレネージ媒体101の両方を通って流れる。流体の大部分は構造が実質的にない領域31を通って流れる。これは、これらの領域31が内部多孔質媒体101よりも大きく且つ流れ抵抗が小さいためである。
【0061】
多くの実施例について、先ず最初に、供給流体、例えば細胞溶液を構造が実質的にない領域31内にこれらの領域に沿って低圧及び/又は低流量で差し向け、次いで供給流体の圧力及び/又は流量が所定期間に亘って通常の作動圧力及び/又は流量まで上昇する。例えば、細胞溶液は、先ず最初に、構造が実質的にない領域31内にこれらの領域に沿って、毎分約0.5リットル乃至毎分約1リットルの流量を提供する圧力で差し向けられる。次いで、細胞溶液の圧力は、約3分乃至約5分の期間に亘って上昇し、毎分約7リットルの通常作動流量を提供する。多くの実施例について、通常の作動中の多くの又は全ての流体処理ろ材に沿った膜の前後の圧力は正であるように構成されていてもよく、流体処理エレメントのリテンテート端での膜の前後の圧力は、好ましくは、約−3447.38Pa(約−0.5psi)以下である。
【0062】
供給流体、例えば細胞溶液は、流体処理ろ材41に沿ったタンジェンシャル流体流路32内で様々な方法のうちの任意の方法で処理される。例えば、細胞溶液は、例えば、細胞溶液中の懸濁液の幾らか及び/又は一つ又はそれ以上の他の物質を流体処理パック11の流体処理ろ材41を通して横方向流体流路33を介して除去することによって処理してもよい。流体処理エレメント10、100は、かくして、濃縮器として役立ち、例えば原理的には、透過物が全体に半径方向外方に流体処理ろ材41を通って横方向流体流路33を介して流体処理パック11の外部65まで、及び従って、流体処理アッセンブリ200の透過物ポート204まで通過するとき、懸濁液を通過させることができる。別の態様では、又は追加として、流体処理エレメント10、100はセパレーターとして役立ち、例えば蛋白質や酵素等の一つ又はそれ以上の物質を流体処理ろ材41と結着し、又は透過物を全体に半径方向外方に流体処理ろ材41を通して横方向流体流路33を介して透過物ポート204まで通過させることができる。別の態様では、細胞溶液は、一つ又はそれ以上の物質を、細胞溶液に、半径方向内方に流体処理ろ材41を通して横方向流体流路33を介して追加することによって処理してもよい。
【0063】
流体及び流体中の物質は、流体処理ろ材41を通ってタンジェンシャル流体流路32に又はこの通路から横方向流体流路33を介して通過する。流体処理エレメント10、100の多くの実施例は、開孔又は小孔等の開口部をその長さの大部分又は全部に沿ってそなえた周囲64を含んでいてもよい。流体及び流体中の物質は、この場合、流体処理ろ材41及び流体処理パック11の任意の他の下流層を通って延び、横方向流体流路33を通過し、周囲64の開口部を通って全体に半径方向に通過する。
【0064】
流体処理エレメント10、100の他の実施例は、特定の領域だけに沿って、例えば流体処理エレメント10、100の一方の端部又は両方の端部のところだけに開口部が設けられた周囲64を含んでいてもよい。例えば、図10に示すように、周囲64は、流体処理エレメント10、100の一方の端部のところにだけ、開口部66が設けられていてもよい。例示の実施例では、開口部、例えば小孔66は、リテンテート出口開口部69の近くの端部にだけ設けられていてもよい。周囲64は様々な形体を備えていてもよい。例えば、周囲64は、その長さの大部分に沿って盲部分67を備えており且つ一方の端部、例えばリテンテート端のところにだけ開口部66が設けられた可撓性の不透過性のスリーブ又はラップでできていてもよい。別の態様では、周囲64は、その長さの大部分に沿って盲部分67を備えており且つ一方の端部、例えばリテンテート端のところにだけ開口部66が設けられた比較的剛性の不透過性ケージ又はチューブでできていてもよい。更に別の態様では、周囲は、流体処理パックの外部に装着したハウジングの円筒形側壁でできていてもよい。この場合、ハウジングは、チャンネル、例えば環状チャンネルと連通したポートを一方の端部、例えば流体処理パックのリテンテート端に備えていてもよい。
【0065】
流体及び流体中の物質、例えば透過物は、流体処理エレメント10、100の全高に沿って流体処理ろ材を通って延びる横方向流体流路33を介して通過してもよい。開口部66から離れて、横方向流体流路33は、流体処理ろ材の外側又は下流側と周囲64の内面との間を軸線方向又は接線方向に開口部66まで更に延び、次いで開口部66を通って全体に半径方向に延びる。流体及び流体中の物質は、プリーツ内を例えば下流ドレン層に沿って軸線方向に、又はプリーツの折り畳み外端部と周囲64の内面との間を軸線方向に開口部66に向かって流れてもよい。周囲64は、開口部66に続く通路を画成するリブ又はランド等の構造を周囲の内面に沿って備えていてもよい。流体処理エレメント10、100のリテンテート端のところで周囲64に開口部66を設けることにより、流体処理ろ材41を通って横方向流体流路33に沿って外方に流れる流体及び流体中の物質は、供給流体がタンジェンシャル流体流路32に沿って流れる方向と同じ方向に即ち並流をなして流れることができる。別の態様では、開口部は流体処理エレメントの入口端のところに配置されていてもよく、流体処理ろ材を通って横方向流体流路に沿って外方に流れる流体及び流体中の物質は、供給流体がタンジェンシャル流体流路32に沿って流れる方向に対して逆方向に即ち向流をなして流れることができる。
【0066】
図9に示すように、流体処理エレメント10、100の供給入口68とは反対側の端のところで、残った供給流体、例えば残った細胞溶液が、次いで、プリーツの開放した内端部及び有孔側壁62からコア構成要素53の端部分60内にタンジェンシャル流体流路32に沿って全体に半径方向内方に通過する。次いで、障壁61が細胞溶液を全体に軸線方向にタンジェンシャル流体流路32に沿って、コア構成要素53の端部分60から流体処理エレメント10の濃縮物出口69を通って及び流体処理アッセンブリ200の濃縮物ポート203を通して外に差し向ける。一回通過作動モードでは、細胞溶液は、流体処理アッセンブリ200の濃縮物ポート203から流体システムの他の構成部品(図示せず)に差し向けられてもよい。多数回通過作動モード即ち再循環作動モードでは、細胞溶液は、流体処理エレメント10、100内で連続的に処理するため、流体処理アッセンブリ200の供給ポート202に戻されるように差し向けられる。
【0067】
多くの利点が、本発明の一つ又はそれ以上の特徴を具体化した流体処理エレメントと関連している。例えば、構造が実質的にない領域31を通してタンジェンシャル流体流路32を設けることにより、本発明を具体化した流体処理エレメントは、細胞溶液等の流体の流れに対する抵抗を小さくする。流体は、かくして、流体処理エレメントを小さな圧力降下で通過できる。更に、流体処理エレメントを通るタンジェンシャル流体流路32の少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%が、構造が実質的にない領域31を通過するため、細胞溶液等の流体は、例えば細胞及び/又は溶液中の細胞成分をほとんど又は全く損傷せずに流体処理エレメントを通過できる。かくして、本発明を具体化した流体処理エレメントは、細胞デブリスを除去するための追加のプロセスを下流で行う必要を小さくし、危険な内毒素がリテンテートや透過物中に放出されないようにする。更に、構造が実質的にない領域を流体処理ろ材の表面と直ぐ隣接して配置することにより、タンジェンシャル流路に沿って流れる流体は、流体処理ろ材の表面から汚れを更に徹底的に除去できる。これにより流体処理エレメントの使用寿命を延ばすことができる。
【0068】
構造が実質的にない領域及び図6及び図7に開示したのと同様のエレメントを含む隣接した多孔質ろ材を持つ流体処理エレメントには追加の利点がある。例えば、構造が実質的にない領域及び多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体の両方をタンジェンシャル流体流路に流体処理ろ材に沿って設けることにより、流体処理エレメントは更に効果的に作動できる。多くの通常作動モード中、構造が実質的にない領域のタンジェンシャル流路中の流体は、全体として、流体処理ろ材の反対側にある流体よりも高圧であり、構造が実質的にない領域は流体流れに対して開放したままである。しかしながら、構造が実質的にない領域の全部又は幾つかの部分に沿って流体圧力が流体処理ろ材の反対側の流体圧力よりも低い場合がある。その場合、隣接したプリーツ脚部が互いに向かって膨張し、各プリーツ内の構造が実質的にない領域の幾つかの部分又は全部を潰す。しかしながら、通常作動モードが再開すると、構造が実質的にない領域を直ちに再形成できる。圧力が高い方の流体は、多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体を介して各プリーツ内のタンジェンシャル流路に沿って容易に流れ、各プリーツの隣接した脚部を押圧して通常の位置に戻し、各プリーツ内に構造が実質的にない領域を迅速に再形成する。
【0069】
開口部が特定領域だけに設けられた周囲を持つ、図10に開示したのと同様のエレメントを含む流体処理エレメントもまた、追加の利点を有する。流体及び流体中の物質を横方向流体流路の大部分に沿って、タンジェンシャル流体流路に沿った供給流体に関して並流をなして又は向流をなして差し向けることによって、膜の前後の圧力やフラックス(flux)等の様々な作動パラメータを高めることができる。これによって、効率を向上でき、又は使用寿命を長くできる。
【0070】
本発明の様々な特徴を具体化した流体処理エレメントの利点の幾つかを以下の例に例示する。
【0071】
例1
この例は、構造が実質的にない領域を持たないプリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントを通して細胞溶液を処理する効果を示す。このクロスフロー流体処理エレメントは、スペーサ構造体24及び構造が実質的にない領域31がないことを除き、図1、図2、及び図3に示すエレメント10と同じである。スペーサ構造体及び構造が実質的にない領域の代わりに、厚さが0.33mmで2.54cm(1インチ)あたりのストランド数が両方向で31本の対称なポリプロピレン製の押出しにより形成したネットを含むネット状内ドレネージ媒体が設けられる。プリーツを有する流体処理パックは、ネット状内ドレネージ媒体、除去定格が0.65μmのPES膜を含む流体処理ろ材、及び厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含む外ドレネージ媒体を含む。プリーツは、コア構成要素から周囲まで湾曲した方向に延びている。コア構成要素の外径は46mmであり、周囲の内径は66.5mmであり、クロスフロー流体処理エレメントの長さは24.5cmである。
【0072】
細胞溶液は、哺乳類のCHO細胞を含有する水をベースとした液体培養基を含む。
細胞溶液を、クロスフロー流体処理エレメントを通して、供給入口からネット状内ドレネージ媒体を通して濃縮物出口まで、155分間に亘って毎分10リットルのクロスフロー流量で再循環する。透過物ポートは、最初の145分間に亘って閉鎖してあり、最後の10分間に亘って開放する。
【0073】
細胞溶液中の細胞の初期濃度は1mlあたり5.6×105個、即ち5.6×105細胞/mlであり、初期生存率は96%であった。
細胞溶液の最終濃度は1.5×104細胞/mlであり、最終生存率は細胞数が少ないために計測不能であった。
透過物流体中に細胞デブリスが観察された。
【0074】
例2
この例は、本発明の特徴を具体化したプリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントを通して細胞溶液等の供給流体を処理する効果を示す。
このクロスフロー流体処理エレメントは、図1、図2、及び図3に示すエレメント10と同じであり、プリーツを有する流体処理パックの各端にスペーサストリップを含み、これらのストリップ間の領域には構造が実質的にない。プリーツを有する流体処理パックは、除去定格が0.65μmのPES膜を各々含む二層の流体処理ろ材、及び厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含む外ドレネージ媒体を含む。スペーサストリップは、幅が10mmで厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料でできた二枚のストリップを含む。スペーサストリップは、流体処理パックとともにプリーツ状にされる。これらのストリップは、パックの各端に一つづつ設けられる。プリーツは、コア構成要素から周囲まで湾曲した方向に延びている。プリーツの数、コア構成要素の外径、周囲の内径、及びエレメントの長さは例1におけるのと実質的に同じである。
【0075】
細胞溶液は、哺乳類のCHO細胞を含有する水をベースとした液体培養基を含む。
細胞溶液を、クロスフロー流体処理エレメントを通して、供給入口から構造が実質的にない領域を通して濃縮物出口まで、177分間に亘って毎分7リットルのクロスフロー流量で再循環する。透過物ポートは、177分間に亘って開放してある。
細胞溶液の初期濃度は7.7×104細胞/mlであり、初期生存率は63%であった。
細胞溶液の最終濃度は2.13×105細胞/mlであり、最終生存率は72%であった。
透過物流体中に細胞デブリスは観察されなかった。
【0076】
例3
この例は、本発明の特徴を具体化したプリーツを有するクロスフロー流体処理エレメントを通して細胞溶液等の供給流体を処理する効果を示す。
このクロスフロー流体処理エレメントは、図6及び図7に示すエレメント100と同じであり、内部多孔質媒体、この内部多孔質媒体と流体処理ろ材との間で流体処理パックの各端に設けられたスペーサストリップ、及びこれらのストリップ間の構造が実質的にない領域を含む。プリーツを有する流体処理パック11は、(1)機械方向でのストランドの数が25.4mm(1インチ)あたり41本で、機械方向に対して横方向でのストランドの数が25.4mm(1インチ)あたり23本の、厚さが0.125mmのポリプロピレン製の押出しにより形成したメッシュを含む多孔質内ドレネージ媒体、(2)除去定格が0.65μmのPES膜でできた二つの層を含む流体処理ろ材、(3)厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含み、パックの各端のところで内部多孔質媒体と流体処理ろ材との間に夫々位置された二つのスペーサストリップ、及び(4)厚さが0.3mmのポリプロピレン製スパンボンデッド不織材料を含む外ドレン材料を含む。95枚のプリーツがあり、これらのプリーツの各々は高さが約13mmであり、コア構成要素から周囲まで湾曲した方向に延びている。コア構成要素の外径は約46mmであり、周囲の内径は約66.5mmであり、及びクロスフロー流体処理エレメントの長さは約24.5cmである。
【0077】
細胞溶液は、哺乳類のCHO細胞を含有する水をベースとした液体培養基を含む。
細胞溶液を、クロスフロー流体処理エレメントを通して、供給入口から構造が実質的にない領域及び内部多孔質媒体を通して濃縮物出口まで、15分間に亘って毎分7リットルのクロスフロー流量で再循環する。蠕動ポンプが透過物の流れを制御し、毎分1.7リットルの流量に設定する。フラックス流量は約200LMHである。
【0078】
細胞溶液の初期濃度は9.1×105細胞/mlであり、初期生存率は98%であった。
細胞溶液の最終濃度は1.1×107細胞/mlであり、最終生存率97%であった。
透過物流体中に細胞デブリスは観察されなかった。
【0079】
以上、本発明の様々な特徴を説明し及び/又は添付図面に例示したが、本発明はこれらの実施例に限定されない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施例の一つ又はそれ以上の特徴をなくしてもよい。例えば、上文中に説明したように、コア構成要素53又はストリップアウト材料74を幾つかの実施例から省略してもよい。別の例として、周囲64を幾つかの実施例から省略してもよい。
【0080】
更に、本発明の範囲から逸脱することなく、一つ又はそれ以上の実施例の一つ又はそれ以上の特徴を他の実施例の一つ又はそれ以上の特徴と組み合わせてもよい。例えば、幾つかの実施例では、流体処理パックの一方の端部に設けられた図1に示すエンドキャップ70を、流体処理パックの他方の端部で、上文中に説明したように、シーラントと組み合わせてもよい。この場合、コア構成要素は、開口部持つ端部分を含み、流体処理エレメントのエンドキャップの近くの端部だけに障壁が設けられる。
【0081】
更に、実施例の一つ又はそれ以上の特徴を本発明の範囲から逸脱することなく変更できる。例えば、スペーサ構造体は、複合体に組み込まれるのでなく、コア構成要素又は一方又は両方のエンドキャップと結合していてもよい。図11に示すように、スペーサ構造体24は、コア構成要素53から外方に直線状に又は湾曲した方向に延びる複数のスペーサフィン110を含んでいてもよい。コア構成要素53の端部から延びるスペーサフィン110は、中実であってもよいし、多孔質であってもよいし、有孔であってもよいし、チャンネルが設けられていてもよい。各スペーサフィンは、上文中に説明したスペーサと同様の所定の厚さ、幅、及び高さを備えていてもよい。これらのスペーサフィン110は、コア構成要素53を流体処理パックに挿入し、図3及び図4のスペーサストリップ51、52に代えたとき、プリーツ15の脚部22、23間に配置されてもよい。エンドキャップを流体処理パックの端部に取り付けるとき、スペーサフィン110もまたエンドキャップに取り付けられてもよい。例示のスペーサフィン110はコア構成要素53の端部から外方に突出しているが、スペーサフィンは、その代わりに、コア構成要素から端部の中間の位置で突出していてもよい。中間スペーサフィンは、供給流体をスペーサフィンを越えて及び構造が実質的にない領域に沿って軸線方向に流すことができるように、多孔質であってもよいし、有孔であってもよいし、チャンネルが設けられていてもよい。更に別の変更として、スペーサフィンは、コア構成要素から外方に突出しているのでなく、例えば多層複合体の層間でエンドキャップから内方に突出していてもよい。
【0082】
更に、異なる特徴を持つ実施例もまた本発明の範囲に入る。例えば、流体処理アッセンブリ及び流体処理エレメントは、プリーツ内を流体処理ろ材の内面でなく外面に沿って延びるタンジェンシャル流体流路を備えていてもよい。このような流体処理アッセンブリ300及び流体処理エレメント301の一例を図12、図13、及び図14に示す。エレメントの構成部品及び製造方法及び使用方法を含む図12、図13、及び図14に示す流体処理エレメント301の特徴は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10と類似していてもよく、対応する構成部品には同じ参照番号が付してある。しかしながら、流体処理エレメント301の流体処理パック11の形状は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10の流体処理パック11の形状に関して逆になっている。例えば、ドレネージ媒体44は流体処理ろ材41の内面42に沿って位置決めされていてもよく、しかしスペーサ構造体24、例えばスペーサストリップ51、52等のスペーサ50、及び構造が実質的にない領域31は流体処理ろ材41の外面43に沿って位置決めされていてもよい。
【0083】
例えば図12、図13、及び図14に示すように、流体処理エレメント301は流体処理パック11を含み、この流体処理パックは、軸線12、両端部13、14、流体処理ろ材41、及び軸線方向に延びる複数のプリーツ15を含んでいてもよい。各プリーツ15は、折り畳み端部、例えば折り畳んだ内端部20、開放端部、例えば開放した外端部21、及び折り畳み端部と開放端部21との間を延びる二つの脚部を含む。流体処理ろ材41は、内面42及び外面43を含んでいてもよく、流体処理パック11は、二つ又はそれ以上の層を持つ多層複合体40を含んでいてもよい。例えば、内ドレン層44は流体処理ろ材41の内面43に沿って、内面32と隣接して又は内面43から間隔が隔てられて延びていてもよい。クッション層(図示せず)等の他の多孔質ろ材を流体処理ろ材41の内面43に沿って位置決めしてもよい。
【0084】
スペーサ構造体は、図1、図2、及び図3に示す流体処理エレメント10に関して上文中に説明したように、様々な方法で形成されていてもよいし、流体処理パック11に位置決めされていてもよい。図12、図13、及び図14に示す流体処理エレメント301では、スペーサ構造体24は、一つ又はそれ以上のスペーサ50、例えば二つのスペーサストリップ50、51を含んでいてもよく、これらは、流体処理ろ材41の外面42に沿って複合体40に組み込まれ 又は複合体とともに波形形成される。スペーサ構造体は、スペーサ構造体24によって占有された一つ又はそれ以上の領域30、及び構造が実質的にない一つ又はそれ以上の領域31を流体処理ろ材41の外面43に沿って画成する。スペーサ構造体、スペーサ構造体24によって占有された領域、及び構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の外面と隣接していてもよいし、又は一つ又はそれ以上の層を間に置いて外面から間隔が隔てられていてもよい。流体処理パック11は、この流体処理パック11の内部に沿ったコア構成要素53と流体処理パック11の外部65に沿った周囲64との間に位置決めされていてもよい。
【0085】
図10に示す周囲64と類似した周囲64は、盲部分例えば中央盲部分67を含んでいてもよく、この盲部分は、プリーツ15の開放した外端部21をブロックするのに、及び/又は構造が実質的にない領域31からの半径方向外方への流れに抵抗するのに役立つ。盲部分67は流体処理パック11の端部13、14から間隔が隔てられた位置で終端していてもよい。盲部分67は、不透過性ラップ又はスリーブを含んでもよいし、流体処理アッセンブリ300のハウジング302の側壁306の一部を含んでいてもよく、全体がプリーツ15の外折り畳み端部と隣接して流体処理パック11の外部65の周囲にぴったりと嵌着してもよい。小孔66又は他の開口部を持つ周囲64の一部が盲部分67から各端部13、14まで延びていてもよい。
【0086】
端シール機構、例えばエンドキャップ70、71、及びハウジングは、プリーツ15の脚部22、23の外面に沿って延びるタンジェンシャル流体流路32に沿って供給流体を差し向けるように構成されていてもよい。例えば、供給流体は、供給ポート303から全体に半径方向内方に周囲64の小孔66及び流体処理パック11の一方の端部13の近くのプリーツ15の開放した外端部21を通って構造が実質的にない領域31に通過してもよい。供給流体は、次いで、タンジェンシャル流体流路32に沿って、構造が実質的にない領域31を介して、流体処理パック11の外端部14までほぼ軸線方向に通過する。供給流体は、次いで、構造が実質的にない領域31からプリーツ15の開放した外端部21及び周囲64の小孔66を通って流体処理アッセンブリ300の濃縮物ポート304に全体に半径方向外方に通過する。
【0087】
コア構成要素53は、障壁が全くなくてもよく、その長さに亘って有孔であってもよく、又はコア構成要素に沿って流体を排液できるようにする外面テクスチャーを備えていてもよい。エンドキャップ70、71の一方又は両方が、流体処理パック11の内部54にあるコア構成要素53と流体処理アッセンブリ300の透過物ポート305との間を連通する開放したエンドキャップであってもよい。一つ又はそれ以上の物質が、タンジェンシャル流体流路32及び構造が実質的にない領域31から流体処理ろ材41を通って流体処理パック11の内部54及びコア構成要素53に、又は逆に横方向流体流路33を介して通過してもよい。
【0088】
図6及び図7に示す流体処理エレメント100は、同様に、流体処理ろ材の外面に沿ってプリーツ内にタンジェンシャル流体流路を形成するように変更してもよい。例えば、図6及び図7に示す流体処理パック11の形状を逆にしてもよい。流体処理パックは、多孔質ろ材、例えばドレネージ媒体が流体処理ろ材の外面に沿って位置決めされた多層複合体を含んでもよい。スペーサ構造体、スペーサ構造体によって占有された領域、及び構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の外面と多孔質ろ材との間に位置決めされてもよい。例えば、スペーサ構造体、スペーサ構造体によって占有された領域、及び/又は構造が実質的にない領域は、流体処理ろ材の外面と隣接していてもよい。多層複合体は、更に、流体処理ろ材の内面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含んでいてもよい。流体処理パックは、周囲とコア構成要素との間に位置決めされてもよい。例えば、図12、図13、及び図14に示す流体処理エレメント301の周囲64、エンドキャップ70、71、及びコア構成要素53、並びに流体処理アッセンブリ300のハウジング302は、流体処理パックと結合していてもよい。
【0089】
本発明は、かくして、上文中に説明した及び/又は例示した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲の範疇の全ての実施例及び変形例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図2に示す流体処理エレメントの部分断面図である。
【図2】構造が実質的にない領域を示す、流体処理エレメントのフォアグラウンドの部分断面図である。
【図3】スペーサ構造体を示す、流体処理エレメントの部分断面図である。
【図4】流体処理エレメントを製造するためのシステムの一部の概略図である。
【図5】流体処理パック及び側シールの斜視図である。
【図6】構造が実質的にない領域を示す、別の流体処理エレメントの部分断面図である。
【図7】スペーサ構造体を示す、図6の流体処理エレメントの部分断面図である。
【図8】図6の流体処理エレメントを製造するためのシステムの概略図である。
【図9】流体処理アッセンブリの部分断面図である。
【図10】周囲を示す、流体処理エレメントの平面図である。
【図11】コア構成要素及びスペーサ構造体の端面図である。
【図12】図13に示す流体処理アッセンブリの部分断面図である。
【図13】構造が実質的にない領域を示す、流体処理エレメントのフォアグラウンドの部分断面図である。
【図14】スペーサ構造体を示す、図13の流体処理エレメントの部分断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体処理エレメントにおいて、
流体処理ろ材、軸線、互いに反対側に設けられる第1端部及び第2端部、及び前記第1端部と前記第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを含み、これらのプリーツの各々が折り畳み端部、開放端部、及び前記プリーツの前記折り畳み端部と前記開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する、流体処理パック、
前記流体処理パックの前記プリーツと結合されたスペーサ構造体であって、該スペーサ構造体によって占められた第1領域及び構造が実質的にない第2領域を各プリーツ内に画成する、スペーサ構造体、
前記プリーツ内で前記流体処理パックに沿って軸線方向に延びる、前記プリーツの各々の第2領域を含む第1流体流路、及び
前記第1流体流路から又は前記第1流体流路へ、プリーツを有する流体処理ろ材を通って延びる第2流体流路
を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記スペーサ構造体は各プリーツの前記第1脚部と第2脚部との間に位置決めされ、前記第2領域は前記第1脚部と前記第2脚部との間で前記プリーツに沿って軸線方向に延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項3】
請求項1に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記プリーツを有する流体処理パックは、前記流体処理ろ材及び前記多孔質ろ材を含む複合体を有し、
前記スペーサ構造体は、前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされ、前記第2領域は前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間で前記プリーツに沿って軸線方向に延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項4】
請求項3に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記多孔質ろ材はドレネージ媒体を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記構造が実質的にない領域は、前記流体処理ろ材と隣接していることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記流体処理パックの各端部に配置されたシーリング機構を更に含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記流体処理パックの外部の周りに嵌められた、前記流体処理パックの一方の端部の近くにだけ開口部を備えた周囲部を更に含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項8】
流体処理エレメントにおいて、
軸線、内部、互いに反対側にある第1端部及び第2端部、及びプリーツ状複合体を含む中空の全体に円筒形の流体処理パックであって、前記プリーツ状複合体は、前記第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成し、これらのプリーツの各々は、折り畳み外端部、開放内端部、及び前記折り畳み外端部と前記開放内端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有し、前記プリーツ状複合体が内面及び外面を持つ流体処理ろ材及びこの流体処理ろ材の外面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含むように構成されている、流体処理パック、
前記流体処理パックの前記プリーツと前記流体処理ろ材の前記内面から内方に結合されたスペーサ構造体であって、前記流体処理パックの前記第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、前記流体処理パックの前記第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び第1スペーサと第2スペーサとの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む、スペーサ構造体、
前記流体処理パックの中空内部内に位置決めされたコア構成要素であって、前記流体処理パックの前記第1端部及び前記第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含み、この盲部分が前記流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向内方への流体流れに抵抗する、コア構成要素、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部に対して夫々シールする第1エンドキャップ及び第2エンドキャップであって、各エンドキャップは前記プリーツの前記軸線方向に延びる領域と流体的に連通した中央開口部を有する、エンドキャップ、
を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項9】
請求項8に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは各プリーツの前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置決めされており、前記構造が実質的にない領域は前記第1脚部と第2脚部との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項10】
請求項8に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記複合体は、前記流体処理ろ材の前記内面に沿って位置決めされた多孔質ろ材を更に含み、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされ、前記構造が実質的にない領域は前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項11】
請求項10に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記多孔質ろ材はドレネージ媒体を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項12】
請求項8乃至11のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記構造が実質的にない領域が前記流体処理ろ材と隣接していることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項13】
流体処理エレメントにおいて、
軸線、内部及び外部、互いに反対側にある第1端部及び第2端部、及びプリーツ状複合体を含む中空の全体に円筒形の流体処理パックであって、前記プリーツ状複合体が前記第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成し、該プリーツの各々が、折り畳み内端部、開放外端部、及び前記折り畳み内端部と前記開放外端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有し、前記プリーツ状複合体は、内面及び外面を持つ流体処理ろ材及びこの流体処理ろ材の内面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含む、流体処理パック、
前記流体処理パックの前記プリーツと前記流体処理ろ材の前記外面から外方に結合されたスペーサ構造体であって、前記流体処理パックの前記第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、前記流体処理パックの前記第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び前記第1スペーサと第2スペーサとの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む、スペーサ構造体、
前記流体処理パックの前記外部の周りに位置決めされた外周部であって、前記流体処理パックの前記第1端部及び前記第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含み、この盲部分が前記流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向外方への流体流れに抵抗する、外周部、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部に対して夫々シールする第1エンドキャップ及び第2エンドキャップであって、各エンドキャップは前記流体処理パックの前記内部と流体的に連通した中央開口部を有する、エンドキャップ、
を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項14】
請求項13に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは各プリーツの前記第1脚部と第2脚部との間に位置決めされており、前記構造が実質的にない領域は前記第1脚部と第2脚部との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項15】
請求項13に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記複合体は、前記流体処理ろ材の前記内面に沿って位置決めされた多孔質ろ材を更に含み、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされ、前記構造が実質的にない領域は前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項16】
請求項15に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記多孔質ろ材はドレネージ媒体を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項17】
請求項13乃至16のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記構造が実質的にない領域は前記流体処理ろ材と隣接していることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項18】
流体処理エレメントの製造方法において、
流体処理ろ材を波形形成し、折り畳み端部、開放端部、及び前記折り畳み端部と前記開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を各々有する軸線方向に延びる複数のプリーツを形成する工程、
前記複数のプリーツを、第1端部及び第2端部を持つ全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程であって、前記プリーツが前記流体処理パックに沿って軸線方向に延びる、工程、
スペーサ構造体を前記プリーツと結合し、軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を各プリーツ内に画成する工程、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部をシールし、前記流体処理パックに沿って前記構造が実質的にない領域を通って軸線方向に延びる第1流体流路及び前記流体処理ろ材を通って第1流体流路へ又は第1流体流路から延びる第2流体流路を形成する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと連結する工程が、前記スペーサ構造体を前記流体処理ろ材の表面と近接して位置決めする工程を含み、
前記流体処理ろ材を波形形成する工程が、前記流体処理ろ材及び前記スペーサ構造体を波形形成する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと結合する工程が、前記流体処理ろ材の波形形成後に前記スペーサ構造体を前記プリーツ内に位置決めする工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項18、19、又は20に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと結合する工程が、前記構造が実質的にない領域が前記第1脚部と前記第2脚部との間を延びている状態で各プリーツの前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置決めされるように前記スペーサ構造体を配置する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと結合する工程が、前記流体処理ろ材、多孔質ろ材、及び前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされた前記スペーサ構造体を含む複合体を形成する工程を含み、
前記流体処理ろ材を波形形成する工程が、前記複合体を波形形成し、前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に前記構造が実質的にない領域を画成する工程を含む
ことを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記多孔質ろ材を含む前記複合体を形成する工程が、ドレネージ媒体を含む複合体を形成する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項24】
流体処理エレメントの製造方法において、
複数のプリーツを形成するように、互いに反対側にある第1側縁部及び第2側縁部及び互いに反対側を向く第1面及び第2面を持つ流体処理ろ材、この流体処理ろ材の前記第1面に沿って位置決めされたドレネージ媒体、前記流体処理ろ材の前記第2面に沿って前記第1縁部と近接して位置決めされたスペーサ構造体、前記流体処理ろ材の前記第2面に沿って前記スペーサ構造体と隣接して位置決めされた材料を含む複合体を波形形成して、工程、
波形形成した前記複合体を、第1端部及び第2端部を持つ全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程であって、前記プリーツは、前記流体処理パックに沿って軸線方向に延びる、工程、
波形形成した前記複合体から材料をはぎ取り、構造が実質的にない領域を各プリーツ内に形成する工程、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部をシールし、前記流体処理パックに沿って前記構造が実質的にない領域を介して軸線方向に延びる第1流体流路、及び前記流体処理ろ材を通って前記第1流体流路から又は前記第1流体流路まで延びる第2流体流路を形成する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項25】
細胞溶液を処理するための処理方法において、
細胞溶液を各プリーツ内の構造が実質的にない領域に沿って軸線方向に差し向ける工程を含む、前記プリーツ内でプリーツを有する流体処理エレメントに沿って細胞溶液を軸線方向に通過させる工程、及び
前記構造が実質的にない領域内の細胞溶液から又はこの細胞溶液へ、前記流体処理エレメントの流体処理ろ材を通して一つ又はそれ以上の物質を通過する工程を含むことを特徴とする、処理方法。
【請求項26】
請求項25に記載の細胞溶液を処理するための処理方法において、
細胞溶液を前記構造が実質的にない領域を通して軸線方向に差し向ける工程は、細胞溶液を前記プリーツの前記第1脚部と第2脚部との間の前記構造が実質的にない領域を通して差し向ける工程を含むことを特徴とする、処理方法。
【請求項27】
請求項25に記載の細胞溶液を処理するための処理方法において、
細胞溶液を前記構造が実質的にない領域を通して軸線方向に差し向ける工程は、細胞溶液を各プリーツ内の前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間の前記構造が実質的にない領域を通して差し向ける工程を含む、処理方法。
【請求項1】
流体処理エレメントにおいて、
流体処理ろ材、軸線、互いに反対側に設けられる第1端部及び第2端部、及び前記第1端部と前記第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを含み、これらのプリーツの各々が折り畳み端部、開放端部、及び前記プリーツの前記折り畳み端部と前記開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有する、流体処理パック、
前記流体処理パックの前記プリーツと結合されたスペーサ構造体であって、該スペーサ構造体によって占められた第1領域及び構造が実質的にない第2領域を各プリーツ内に画成する、スペーサ構造体、
前記プリーツ内で前記流体処理パックに沿って軸線方向に延びる、前記プリーツの各々の第2領域を含む第1流体流路、及び
前記第1流体流路から又は前記第1流体流路へ、プリーツを有する流体処理ろ材を通って延びる第2流体流路
を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記スペーサ構造体は各プリーツの前記第1脚部と第2脚部との間に位置決めされ、前記第2領域は前記第1脚部と前記第2脚部との間で前記プリーツに沿って軸線方向に延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項3】
請求項1に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記プリーツを有する流体処理パックは、前記流体処理ろ材及び前記多孔質ろ材を含む複合体を有し、
前記スペーサ構造体は、前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされ、前記第2領域は前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間で前記プリーツに沿って軸線方向に延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項4】
請求項3に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記多孔質ろ材はドレネージ媒体を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記構造が実質的にない領域は、前記流体処理ろ材と隣接していることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記流体処理パックの各端部に配置されたシーリング機構を更に含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記流体処理パックの外部の周りに嵌められた、前記流体処理パックの一方の端部の近くにだけ開口部を備えた周囲部を更に含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項8】
流体処理エレメントにおいて、
軸線、内部、互いに反対側にある第1端部及び第2端部、及びプリーツ状複合体を含む中空の全体に円筒形の流体処理パックであって、前記プリーツ状複合体は、前記第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成し、これらのプリーツの各々は、折り畳み外端部、開放内端部、及び前記折り畳み外端部と前記開放内端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有し、前記プリーツ状複合体が内面及び外面を持つ流体処理ろ材及びこの流体処理ろ材の外面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含むように構成されている、流体処理パック、
前記流体処理パックの前記プリーツと前記流体処理ろ材の前記内面から内方に結合されたスペーサ構造体であって、前記流体処理パックの前記第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、前記流体処理パックの前記第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び第1スペーサと第2スペーサとの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む、スペーサ構造体、
前記流体処理パックの中空内部内に位置決めされたコア構成要素であって、前記流体処理パックの前記第1端部及び前記第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含み、この盲部分が前記流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向内方への流体流れに抵抗する、コア構成要素、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部に対して夫々シールする第1エンドキャップ及び第2エンドキャップであって、各エンドキャップは前記プリーツの前記軸線方向に延びる領域と流体的に連通した中央開口部を有する、エンドキャップ、
を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項9】
請求項8に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは各プリーツの前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置決めされており、前記構造が実質的にない領域は前記第1脚部と第2脚部との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項10】
請求項8に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記複合体は、前記流体処理ろ材の前記内面に沿って位置決めされた多孔質ろ材を更に含み、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされ、前記構造が実質的にない領域は前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項11】
請求項10に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記多孔質ろ材はドレネージ媒体を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項12】
請求項8乃至11のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記構造が実質的にない領域が前記流体処理ろ材と隣接していることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項13】
流体処理エレメントにおいて、
軸線、内部及び外部、互いに反対側にある第1端部及び第2端部、及びプリーツ状複合体を含む中空の全体に円筒形の流体処理パックであって、前記プリーツ状複合体が前記第1端部と第2端部との間を軸線方向に延びる複数のプリーツを画成し、該プリーツの各々が、折り畳み内端部、開放外端部、及び前記折り畳み内端部と前記開放外端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を有し、前記プリーツ状複合体は、内面及び外面を持つ流体処理ろ材及びこの流体処理ろ材の内面に沿って位置決めされたドレネージ媒体を含む、流体処理パック、
前記流体処理パックの前記プリーツと前記流体処理ろ材の前記外面から外方に結合されたスペーサ構造体であって、前記流体処理パックの前記第1端部と近接して位置決めされた第1スペーサ、前記流体処理パックの前記第2端部と近接して位置決めされた第2スペーサ、及び前記第1スペーサと第2スペーサとの間で各プリーツに沿って軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を含む、スペーサ構造体、
前記流体処理パックの前記外部の周りに位置決めされた外周部であって、前記流体処理パックの前記第1端部及び前記第2端部から軸線方向に間隔が隔てられた盲部分を含み、この盲部分が前記流体処理パックの軸線方向に延びる領域から半径方向外方への流体流れに抵抗する、外周部、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部に対して夫々シールする第1エンドキャップ及び第2エンドキャップであって、各エンドキャップは前記流体処理パックの前記内部と流体的に連通した中央開口部を有する、エンドキャップ、
を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項14】
請求項13に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは各プリーツの前記第1脚部と第2脚部との間に位置決めされており、前記構造が実質的にない領域は前記第1脚部と第2脚部との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項15】
請求項13に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記複合体は、前記流体処理ろ材の前記内面に沿って位置決めされた多孔質ろ材を更に含み、
前記第1スペーサ及び第2スペーサは前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされ、前記構造が実質的にない領域は前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間を延びることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項16】
請求項15に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記多孔質ろ材はドレネージ媒体を含むことを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項17】
請求項13乃至16のうちのいずれか一項に記載の流体処理エレメントにおいて、
前記構造が実質的にない領域は前記流体処理ろ材と隣接していることを特徴とする、流体処理エレメント。
【請求項18】
流体処理エレメントの製造方法において、
流体処理ろ材を波形形成し、折り畳み端部、開放端部、及び前記折り畳み端部と前記開放端部との間を延びる第1脚部及び第2脚部を各々有する軸線方向に延びる複数のプリーツを形成する工程、
前記複数のプリーツを、第1端部及び第2端部を持つ全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程であって、前記プリーツが前記流体処理パックに沿って軸線方向に延びる、工程、
スペーサ構造体を前記プリーツと結合し、軸線方向に延びる、構造が実質的にない領域を各プリーツ内に画成する工程、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部をシールし、前記流体処理パックに沿って前記構造が実質的にない領域を通って軸線方向に延びる第1流体流路及び前記流体処理ろ材を通って第1流体流路へ又は第1流体流路から延びる第2流体流路を形成する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと連結する工程が、前記スペーサ構造体を前記流体処理ろ材の表面と近接して位置決めする工程を含み、
前記流体処理ろ材を波形形成する工程が、前記流体処理ろ材及び前記スペーサ構造体を波形形成する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと結合する工程が、前記流体処理ろ材の波形形成後に前記スペーサ構造体を前記プリーツ内に位置決めする工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項18、19、又は20に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと結合する工程が、前記構造が実質的にない領域が前記第1脚部と前記第2脚部との間を延びている状態で各プリーツの前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置決めされるように前記スペーサ構造体を配置する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、
前記スペーサ構造体を前記プリーツと結合する工程が、前記流体処理ろ材、多孔質ろ材、及び前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に位置決めされた前記スペーサ構造体を含む複合体を形成する工程を含み、
前記流体処理ろ材を波形形成する工程が、前記複合体を波形形成し、前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間に前記構造が実質的にない領域を画成する工程を含む
ことを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記多孔質ろ材を含む前記複合体を形成する工程が、ドレネージ媒体を含む複合体を形成する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項24】
流体処理エレメントの製造方法において、
複数のプリーツを形成するように、互いに反対側にある第1側縁部及び第2側縁部及び互いに反対側を向く第1面及び第2面を持つ流体処理ろ材、この流体処理ろ材の前記第1面に沿って位置決めされたドレネージ媒体、前記流体処理ろ材の前記第2面に沿って前記第1縁部と近接して位置決めされたスペーサ構造体、前記流体処理ろ材の前記第2面に沿って前記スペーサ構造体と隣接して位置決めされた材料を含む複合体を波形形成して、工程、
波形形成した前記複合体を、第1端部及び第2端部を持つ全体に円筒形の流体処理パックに形成する工程であって、前記プリーツは、前記流体処理パックに沿って軸線方向に延びる、工程、
波形形成した前記複合体から材料をはぎ取り、構造が実質的にない領域を各プリーツ内に形成する工程、及び
前記流体処理パックの前記第1端部及び第2端部をシールし、前記流体処理パックに沿って前記構造が実質的にない領域を介して軸線方向に延びる第1流体流路、及び前記流体処理ろ材を通って前記第1流体流路から又は前記第1流体流路まで延びる第2流体流路を形成する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項25】
細胞溶液を処理するための処理方法において、
細胞溶液を各プリーツ内の構造が実質的にない領域に沿って軸線方向に差し向ける工程を含む、前記プリーツ内でプリーツを有する流体処理エレメントに沿って細胞溶液を軸線方向に通過させる工程、及び
前記構造が実質的にない領域内の細胞溶液から又はこの細胞溶液へ、前記流体処理エレメントの流体処理ろ材を通して一つ又はそれ以上の物質を通過する工程を含むことを特徴とする、処理方法。
【請求項26】
請求項25に記載の細胞溶液を処理するための処理方法において、
細胞溶液を前記構造が実質的にない領域を通して軸線方向に差し向ける工程は、細胞溶液を前記プリーツの前記第1脚部と第2脚部との間の前記構造が実質的にない領域を通して差し向ける工程を含むことを特徴とする、処理方法。
【請求項27】
請求項25に記載の細胞溶液を処理するための処理方法において、
細胞溶液を前記構造が実質的にない領域を通して軸線方向に差し向ける工程は、細胞溶液を各プリーツ内の前記流体処理ろ材と前記多孔質ろ材との間の前記構造が実質的にない領域を通して差し向ける工程を含む、処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−530279(P2007−530279A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506428(P2007−506428)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010307
【国際公開番号】WO2005/094963
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010307
【国際公開番号】WO2005/094963
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]