説明

プリーツカーテン基体

【課題】プリーツカーテン基体に装飾模様を立体的に発生させて付加価値を高める。
【解決手段】複数条の主折り目13が所要の間隔で平行に付けられており、隣り合う主折り目の曲折方向が互いに逆向きになり、一方の主折り目を他方の主折り目に相対して突出した主山折り目11とし、他方の主折り目を一方の主折り目に相対して窪んだ主谷折り目12とし、主山折り目と主谷折り目が交互に続くプリーツカーテン基体10において、任意の主折り目に隣り合う一方の主折り目側の平板部14aと他方の主折り目側の平板部14bに、任意の主折り目に交叉して続く切れ目15を付け、それら2つの平板部に、切れ目の端部16を通って主折り目の長さ方向に続く副折り目を付け、任意の主折り目13を切れ目15を境に片側を逆向きに折り返した逆折り目18とし、副折り目と逆折り目の曲折方向を互いに逆向きにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳式カーテン襞として複数条の折り目が形成されたプリーツカーテン基体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリーツカーテン基体は、所定の間隔で折り目が形成されているだけなので、変化のない単調な外観を呈している。
そのようなプリーツカーテン基体を用いたプリーツカーテンは、屋内装飾品と言うよりは、専ら遮光性や遮視性等の物性機能を主目的として使用される建築資材としての印象を与え、屋内装飾材としての需要は限定的であった。
【0003】
プリーツカーテン基体の装飾性を高めるために、折り目の間隔をランダムにしたプリーツカーテン基体が公知である(例えば、特許文献1)。
然しながら、折り目の間隔がランダムなプリーツカーテン基体では、これによると、折り目間のランダムな間隔に起因して折り目に高低差が発生し、在来品に比して外観に変化が見られるものの、その高低差による外観の変化の度合いが単調で格別立体感を感得し得る変化とは言い難い。
【0004】
【特許文献1】特開平10−77773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、プリーツカーテン基体に装飾模様を立体的に発生させ、屋内装飾品として付加価値の高い斬新なプリーツカーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリーツカーテン基体は、(イ) 複数条の主折り目13が所定の間隔で平行に付けられており、(ロ) 隣り合う主折り目13・13が互いに逆向きに折り畳まれた山折り目11と谷折り目12となっており、(ハ) 主折り目13に交叉する切れ目15が付けられており、(ニ) 切れ目15が交叉して付けられている主折り目13が、その切れ目15を境に曲折方向が反転した山折り目13(18)と谷折り目18(13)とに分割されていることを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係るプリーツカーテン基体の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、切れ目15の端部16から、その切れ目15を境に反転した主折り目(18)の長さ方向に続く副折り目17が付けられている点にある。
【0008】
本発明に係るプリーツカーテン基体の第3の特徴は、上記第1、第2の何れかの特徴に加えて、プリーツカーテン基体10が繊維によって構成されており、折り目(13・17・18)における繊維が、折り目以外の部分14における繊維とは異なる形態に変化している点にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリーツカーテン基体において、所定の間隔で規則的に設けられた主折り目13に対して間隔の不規則な副折り目17を付設することで、一定の落ち着きのある中にも立体的な変化のある美観を呈する。
【0010】
また、プリーツカーテン基体において、切れ目15によって主折り目13の一部を突出、或いは、窪み込んだ副折り目17とすると、その主折り目13と副折り目17の間に隙間19が発生し、その隙間19から木漏れ陽のような光が差し込み、光輝模様が顕現して情趣ある採光を楽しむことが出来る。
【0011】
そして更に、主折り目13や副折り目17、或いは、切れ目15は、プリーツカーテン基体10にレーザービームを照射して形成し、折り目(13・17・18)における繊維を、折り目以外の部分14における繊維とは異なる形態に変化させることが出来、従来技術におけるようにプリーツ加工機によってプリーツカーテン基体を部分的に切断してプレスセットする煩雑な作業を伴わず、自由度の高い加工によってプリーツカーテン基体を効率的に生産することが出来る。
【0012】
このように、本発明のプリーツカーテン基体は、機能性と装飾性を兼備し、効率的に得ることが出来るので、その用途拡大を図る上で、本発明は頗る好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明のプリーツカーテン基体10を使用した昇降開閉式プリーツカーテンの斜視図であり、その一部を円で囲んで拡大して図示している。
プリーツカーテン基体10の上端は、ヘッドボックス50に固定されており、その下端にはボトムレール51が装着されている。
プリーツカーテン基体10には、上下方向に所定の間隔で複数条の主折り目13(11,12,11,12,11,12………)が繰り返しセットされており、表裏にジグザグした側面形状となっている。
プリーツカーテン基体10の左右両端部の隣り合う主折り目11(13)と主折り目12(13)の間の中間部付近に、昇降コード52の挿通する昇降コード挿通孔53が穿設されている。
プリーツカーテン基体10の左右両端部の各昇降コード挿通孔53には、それぞれヘッドボックス50の左右両端部から昇降可能に垂下された昇降コード52が挿通されている。
昇降コード52は、ボトムレール51で左右向き合う他端へと折り返され、再度、プリーツカーテン基体10の左右両端部に挿通され、その端末は、ヘッドレール50に固定されている。
昇降コード52は、ヘッドボックス内50に引き込まれ、そのヘッドボックス50の長手方向に誘導され、ヘッドボックス内50に設けられたコードストッパ55を介してヘッドボックス50の片端から引き出され、操作部54に連結されている。
【0014】
プリーツカーテンの開閉操作は、先ず操作部54を引き、ヘッドボックス50から垂下している昇降コード52をヘッドボックス50内へと引き込む。
ボトムレール51は、そのヘッドボックス50から垂下している昇降コード52a・52bが短くなるにつれて上昇し、プリーツカーテン基体10の下側から順次畳み上げられ、下側から順次隣り合う主折り目11(13)と主折り目12(13)との開き角度θが小さくなり、その開き角度θが小さくなるつれて、上下隣り合う昇降コード挿通孔53と昇降コード挿通孔53とが鉛直線上に整列し、昇降コード52が円滑に引き上げられるようになる。
上昇過程のボトムレール51を所望の高さで停止させたい場合には、ストッパ55を締結して昇降コード52を把持させる。
そのとき、上側の開き角度θの大きい部分では、昇降コード52は、挿通孔53に圧接し、挿通孔53から強い摩擦抵抗を受けた状態にあるので、主折り目11(13)と主折り目12(13)の間が広がった閉止状態に維持され、下側の主折り目11(13)と主折り目12(13)の間は、折り畳まれた開口状態に維持される。
こうして、プリーツカーテン基体10は、任意の高さまで開いたままの状態におかれることになる。
左右の昇降コード(53a,53b)の中の一方の昇降コード53a(53b)だけを操作すれば、プリーツカーテン基体10の片側だけが開閉されることになる。
【0015】
プリーツカーテン基体10には、(a) 複数条の主折り目13が所要の間隔で平行に付けられており、(b) 隣り合う主折り目13・13の曲折方向が互いに逆向きになり、その一方の主折り目が他方の主折り目に相対して突出した主山折り目11を構成し、その他方の主折り目が一方の主折り目に相対して窪んだ主谷折り目12を構成しており、(c) 主山折り目11と主谷折り目12が交互に続いている。(d) 任意の主折り目13に隣り合う一方の主折り目13aと任意の主折り目13の間の平板部14aと、その任意の主折り目13に隣り合う他方の主折り目13bと任意の主折り目13の間の平板部14bとの2つの隣り合う平板部14a・14bに、その任意の主折り目13に交叉して続く切れ目15が付けられており、(e) それら隣り合う2つの平板部14a・14bのそれぞれに、その切れ目15の端部16・16を通って主折り目13の長さ方向に続く副折り目17・17が付けられており、(f) その任意の主折り目13の切れ目15を境とする片側が、他の片側とは逆向きに折り返された逆折り目18となっており、(g)
副折り目17と逆折り目18との曲折方向が互いに逆向きになっており、その任意の折り目13と副折り目17との曲折方向が同じ方向になっている。
2つの隣り合う平板部14a・14bの副折り目17の通る切れ目15・15の端部16・16から逆折り目18(任意の主折り目13)までの距離は等しくするとよい。
【0016】
図1に図示するプリーツカーテン基体の円Aで囲んで示す部分では、(h) 任意の主折り目13を境に隣り合う2つの平板部14a・14bに、その任意の主折り目13に交叉して続く複数条の切れ目が付けられており、(i) その複数条の切れ目の中の隣り合う2つの切れ目15a・15bの間で副折り目17が連続している。
副折り目17は主折り目13に平行になっており、主折り目が主谷折り目12を成す場合は、主山折り目11と主山折り目11との間の谷間に突き出た山折り目を形成することになり、主折り目13が主山折り目を成す場合は、その稜線が窪んだ谷折り目を形成することになる。
【0017】
図1に図示するプリーツカーテン基体の円Bで囲んで示す部分では、副折り目17がプリーツカーテン基体の端縁22まで連続している。
副折り目17は主折り目13に平行になっており、主折り目が主谷折り目12を成す場合は、主山折り目11と主山折り目11との間の谷間に突き出た山折り目を形成することになり、主折り目13が主山折り目を成す場合は、その稜線が窪んだ谷折り目を形成することになる。
【0018】
図1に図示するプリーツカーテン基体の円Cで囲んで示す部分では、副折り目17が主折り目13に交叉しており、主折り目が主谷折り目12を成す場合は、主山折り目11と主山折り目11との間の谷間に突き出た三角錐状山折り目を形成することになり、主折り目13が主山折り目を成す場合は、その稜線が窪んだ三角錐状谷折り目を形成することになる。
【0019】
これらの部分A・B・Cが示すように、任意の主折り目13に交叉する切れ目15の数は、奇数個(1個を含む)でも偶数個でもよく、切れ目15の長さ、或いは、任意の主折り目13と副折り目17との成す角度αを変えて、形や高さの異なる凹凸20・21によってプリーツカーテン基体10に立体感を付与して装飾性を高めることが出来る。
【0020】
切れ目15は、主折り目13に直交する直線とすることは必ずしも必要でなく、図1に図示するプリーツカーテン基体の円Dで囲んで示す部分の切れ目15のように曲折した曲線を成すものでもよい。この場合、2つの隣り合う平板部14a・14bの副折り目17の通る切れ目15・15の端部16・16から逆折り目18(任意の主折り目13)までの距離を等しくする。
【0021】
切れ目15において、主折り目13の曲折方向が逆向きになった逆折り目18を形成するときは、切れ目15が開かれて隙間19が出来て漏光が発生する。
このため、切れ目15を模様状に点在させ、切れ目15において形成される凹部20や凸部21の形状を変えて、プリーツカーテン基体10の装飾性を更に高めることが出来る。
【0022】
プリーツカーテン基体10の隣り合う平板部14a・14bの間では一定の開き角度θが保たれ、その開き角度θは副折り目17や逆折り目と平板部14の間でも保たれる。
従って、プリーツカーテン基体10の開閉過程で、切れ目15において形成される凹凸20・21が消失することはない。
【0023】
プリーツカーテン基体には、紙、プラスチック複層フィルム、合成皮革、人工皮革、不織布、織物、編物等が使用される。
人工皮革、不織布、織物、編物を使用する場合、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の熱可塑性合成繊維によってプリーツカーテン基体を構成するとよい。
【0024】
切れ目15は、主折り目13を付けてからレーザービームカッター、例えば、CO2 レーザー照射装置(coherent社製G−100)を使用して付けるとよい。
しかし、そのようにレーザービームカッターを使用する場合には、折り目(13、17、18)となる部分にレーザービームを照射してミシン目を入れ、同時に、レーザービームを照射して切れ目15を付けることも出来る。
勿論、主折り目13は、プリーツカーテン基体を所定の間隔で折り畳み、加熱セットして付けることも出来る。
【0025】
熱可塑性合成繊維になるプリーツカーテン基体10にレーザービームカッターを適用すると、主折り目13と副折り目17と逆折り目18、および、切れ目15における繊維は、平板部14における繊維と異なる形態に変形し、折り畳むことなく折り目(13,17,18)を付設することが出来、切れ目15では繊維が融着して解れ予防となるので好都合である。
【0026】
図1に図示するプリーツカーテン基体の円Dで囲んで示す部分のように、副折り目17や逆折り目18には、前記任意の主折り目13と同様に交叉する切れ目を付け、副折り目17や逆折り目18に沿って生じる凹部20や凸部21に更なる凹凸23を付設することも出来る。
【0027】
プリーツカーテン基体10は、図1に図示するように、主折り目13を水平方向に向けて使用するほか、主折り目13を垂直方向に向けて使用することも、又、斜め方向に向けて使用することも出来る。
又、プリーツカーテン基体10は、窓際に垂して使用するほか、ガラス板が二重に組み込まれた複層ガラス窓のガラス板とガラス板の間に組み込んで使用することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るプリーツカーテン基体を使用したプリーツカーテンの斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10:プリーツカーテン基体
11:主山折り目
12:主谷折り目
13:主折り目
14:平板部
15:切れ目
16:端部
17:副折り目
18:逆折り目
19:隙間
20:凹部
21:凸部
22:端縁
23:凹凸
50:ヘッドボックス
51:ボトムレール
52:昇降コード
53:昇降コード挿通孔
54:操作部
55:ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 複数条の主折り目(13)が所定の間隔で平行に付けられており、
(ロ) 隣り合う主折り目(13・13)が互いに逆向きに折り畳まれた山折り目(11)と谷折り目(12)となっており、
(ハ) 主折り目(13)に交叉する切れ目(15)が付けられており、
(ニ) 切れ目(15)が交叉して付けられている主折り目(13)が、その切れ目(15)を境に曲折方向が反転した山折り目(13・18)と谷折り目(18・13)とに分割されていることを特徴とするプリーツカーテン基体。
【請求項2】
切れ目(15)の端部(16)から、その切れ目(15)を境に反転した主折り目(18)の長さ方向に続く副折り目(17)が付けられていることを特徴とする前掲請求項1に記載のプリーツカーテン基体。
【請求項3】
プリーツカーテン基体(10)が繊維によって構成されており、折り目(13・17・18)における繊維が、折り目以外の部分(14)における繊維とは異なる形態に変化していることを特徴とする前掲請求項1と2の何れかに記載のプリーツカーテン基体。

【図1】
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