説明

プレス成形システムおよびプレス成形システムの制御方法

【課題】成形を行う複数のプレス装置と成形品の搬入・搬出を行う移載装置の制御方法に関し、移載装置に関する信号線の設置工事の必要が無いか簡略化できるプレス成形システムおよびプレス成形システムの制御方法を提供する。
【解決手段】成形を行うプレス装置13が複数配設され、成形品Pの搬入・搬出を行う移載装置14が前記複数配設されたプレス装置13に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システム11において、移載装置14に搭載され移載装置14の制御を行う制御装置21と、前記制御装置21に接続される無線送受信器30と、プレス成形システムの制御を行う制御装置22と、前記制御装置22に接続される無線送受信器25とが設けられ、前記制御装置21と前記制御装置22との間で、双方向の無線通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムとしては、特許文献1および特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1および特許文献2には直接説明はされていないが、従来のプレス成形システムにおいては、プレス成形システムを制御する制御装置から各移載装置(ローダ・アンローダ装置)への信号は、信号線(有線ケーブル)により行われていた。そして前記信号線は、通常は搬送装置の搬送台車部を駆動させるためのモータやアームを前後進や昇降させるためのモータに電力を供給するための配線と束ねられ、それらの束ねられた配線はケーブルベアや滑車を用いて移載装置の移動に応じて伸ばされたり縮められたりされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−262245号公報(請求項1、0014、図1)
【特許文献2】特開2008−291832号公報(請求項1、0016、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記の方式は、配線等の設置構造が複雑となるともに設置スペースを多く必要するという問題があった。またプレス装置の増設等により移載装置の可動距離が延長される際にも追加工事が必要となるものであった。更には大型のプレス成形システムでは、移載装置の移動距離も非常に長くなっているので、前記の電力用の配線や信号用の信号線の距離も長く必要となるという問題があった。
【0005】
本発明では上記の問題を鑑みて、成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムおよびその制御方法に関し、移載装置への信号線の設置工事の必要が無いか簡略化できるプレス成形システムおよびプレス成形システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のプレス成形システムは、成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムにおいて、移載装置に搭載され移載装置の制御を行う制御装置と、移載装置の制御を行う制御装置に接続される無線送受信器と、プレス成形システムの制御を行う制御装置と、前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される無線送受信器とが設けられ、前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の無線通信を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載のプレス成形システムは、請求項1において、前記移載装置のモータは、有線ケーブルによる電力線を用いずに電力供給されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載のプレス成形システムの制御方法は、成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムの制御方法において、移載装置に搭載され移載装置の制御を行う制御装置と、移載装置の制御を行う制御装置に接続される無線送受信器と、プレス成形システムの制御を行う制御装置と、前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される無線送受信器とが設けられ、前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の無線通信を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載のプレス成形システムの制御方法は、請求項3において、前記無線通信は、赤外線通信であり、前記移載装置の制御装置に接続される赤外線通信の送受信器と、前記移載装置の移動経路の延長線上の位置に設けられ前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される赤外線通信の送受信器とが設けられ、前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の赤外線通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプレス成形システムまたはプレス成形システムの制御方法は、成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムにおいて、移載装置に搭載され移載装置の制御を行う制御装置と、移載装置の制御を行う制御装置に接続される無線送受信器と、プレス成形システムの制御を行う制御装置と、前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される無線送受信器とが設けられ、前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の無線通信を行うので、移載装置への信号線の設置工事の必要が無いか簡略化できる。

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のプレス成形システムの平面図である。
【図2】本実施形態のシーケンサと赤外線通信装置の送受信器との概略の関係を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のプレス成形システムの赤外線通信の異常監視の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のプレス成形システムおよびプレス成形システムの制御方法について、図1ないし図3を参照して説明する。本実施形態のプレス成形システム11は、真空室12内の熱板間で積層成形品Pの成形を行うプレス装置13が複数配設され、積層成形品Pの搬入・搬出を行う移載装置14(ローダ・アンローダ装置)が前記の複数配設されたプレス装置13に対して移動可能に設けられている。

【0013】
まずプレス成形システム11においてプレス装置13の概略を説明する。プレス装置13は、図示しない上盤と下盤の間にタイバにガイドされて昇降可能な可動盤が設けられ、その間に複数の熱板が配設されている。そして可動盤の下方には型締シリンダのラムが固定され、型締シリンダにより可動盤および熱板が上方に向けて押し上げられ、積層成形品Pの加熱・加圧が行われる。また前記上盤と下盤の間に、可動盤、熱板等が配設される成形空間は、成形室である真空室12内に納められ、真空室12は真空ポンプに連通されている。そして各プレス装置13には成形開始から成形完了までの熱板温度や加圧力を制御する図示しない制御装置(シーケンサ)が配置されている。本実勢形態においてプレス装置13は、直線状に10基が列設されているが、少なくとも2基以上が設けられたものであればよい。

【0014】
プレス成形システム11の積層成形品Pの搬送機構について説明すると、各プレス装置13の前面の開閉扉のある側には、移動経路が設けられている。そして移動経路には、移載装置14の移動用レール15が設けられている。移動用レール15の一端側の終端部近傍の側方に面してインストッカ16が配設されている。インストッカ16は、コンベア17から送られてきた成形前の積層成形品Pを、移載装置14に積み込み可能なように多段状態に準備するための装置である。また前記移動用レール15の他端側の終端部近傍に側方に面してアウトストッカ18が配設されている。アウトストッカ18は、移載装置14に多段状態に載置されて搬送されてきた成形完了した積層成形品Pを、一段づつコンベア19へ送るための装置である。また移動用レール15に沿って移載装置14の駆動手段である図示しないサーボモータやシーケンサ21等に電力を供給する架線20が直線状に配置されている。

【0015】
移載装置14は、前記移動経路上をプレス装置13の列設方向と平行にそれぞれのプレス装置13に対応する位置に移動可能となっている。そして移載装置14は前記インストッカ16から前記プレス装置13へ積層成形品Pを多段状態のまま搬入させる。またプレス装置13から成形完了した積層成形品Pを多段状態のままアウトストッカ18に移動させる。移載装置14の図示による説明は省略するが、移載装置14は搬送台車部に取付けられた車輪が移動用レール15の上を回転して移動されるようになっている。そしてサーボモータとその駆動伝達機構により前記車輪が回転駆動可能となっている。従って移載装置14の位置は前記サーボモータのロータリエンコーダにより検出可能となっている。また搬送台車部部の上には、別のサーボモータにより前進および後退するとともに更に別のサーボモータにより昇降するアームがプレス装置13側に向けて多段に取付けられている。そして移載装置14には前記の各サーボモータを制御するサーボアンプもそれぞれ搭載されている。

【0016】
また移載装置14の上には制御装置であるシーケンサ21が搭載されている。そして移載装置14のシーケンサ21は移載装置14を移動させるサーボモータ、アームを駆動するサーボモータ(サーボアンプを含む)、およびリミットスイッチ等に接続され、前記サーボモータ等がシーケンス制御されるようになっている。そしてシーケンサ21を移載装置14に載置することにより、サーボモータやそのロータリエンコーダ等との間の信号線が短くて済み、送受信する信号が外乱の影響を受けにくくなる。ただし、本発明は移載装置14を駆動制御する機能の一部を移載装置14の外に設けるものを除外するものではない。またシーケンサ21は後で詳しく説明するがプレス成形システム11を制御するシーケンサ22と双方向通信により接続されている。

【0017】
移載装置14の搬送台車部には、外側に向けて接触子23が設けられている。そして移載装置14がどの位置へ移動した際も前記接触子23と前記架線20が接触を保つようになっている。また接触子23は配電盤を介して各サーボモータ(サーボアンプを含む)やシーケンサ21と接続されている。従って移載装置14の各部への電力供給は、通電された架線20から接触子23を介して行われる。このことにより、従来の有線ケーブルによる電力線を介して移載装置に電力供給されるものでは、有線ケーブルの処理のために複雑な構造が必要とされていたが、本発明では有線ケーブルによる電力線を用いずに移載装置14の外部から電力供給されるので、移載装置14への配線を簡単な構造とすることができる。
【0018】
本実施形態では移動用レール15上における移載装置14の位置やアームの位置は、サーボモータのロータリエンコーダにより検出されるようになっている。従って移動経路のとの間には位置確認用のリミットスイッチとカムは設けられていない。そのため熟練を要するカムの設定作業が不要である。しかしながらリミットスイッチを設けるようにしてもよい。または移載装置14の位置は、移動経路に設けたリニアスケールにより測定するようにしてもよい。更にはアームの移動を検出するリミットスイッチも適宜に設けてもよくサーボモータに設けられたロータリエンコーダの位置検出のみで制御を行ってもよい。
【0019】
なお移載装置14の駆動手段は、サーボモータに限定されず、他のモータでもよいし、油圧機構や空圧機構を用いたものでもよい。他のモータや油圧機構や空圧機構を用いたものの場合は、動作完了確認や速度変更地点確認のリミットスイッチや近接スイッチ等が不可欠となる。また移載装置14は、プレス成形システム11のレイアウトによっては、アーム部分が垂直軸を中心に旋回可能なものや、プレス装置13に向けて搬送台車部が前後進可能なものであってもよい。更に移載装置14は、天井または枠体に設けられたレールに沿って移動するモノレール式のものでもよい。そしてまた移載装置14は、有線ケーブルによる電力線を用いずに蓄電池を用いたものでもよい。また移載装置14は、成形前の積層成形品Pをプレス装置13に搬入するローダ装置と、成形完了後の積層成形品Pをアウトストッカ18に搬出したり別のプレス装置13に搬送するアンローダ装置を別に設けてもよい。また制御装置であるインバータ22の機能も移載装置14のインバータ21や他のインバータとの通信を行う限定的なものでもよい。
【0020】
プレス成形システム11には、プレス成形システム11の制御を行う制御装置であるシーケンサ22(PLC)が移載装置14以外に設けられている。本実施形態では前記シーケンサ22は、インストッカ16に併設されており、コンベア17,19、移載装置14(ローダ・アンローダ装置)、アウトストッカ18の他、各プレス装置13のシーケンサにも接続され、プレス成形システム11全体を統括している。そしてシーケンサ22により、各装置が連動してシーケンス制御される。なおプレス成形システム11の制御を行う制御装置としては、各装置とは独立して設けた制御盤内に設けたものでもよく、いずれかのプレス装置13やアウトストッカ18に設けたシーケンサであってもよい。
【0021】
プレス成形システム11では、プレス装置13による積層成形品Pの成形時間は、積層成形品Pの種類によって一定ではない。また並設された各プレス装置13へ移載装置14により積層成形品Pが搬入される時間も同時ではない。よってプレス成形システム11では、各プレス装置13の成形終了時間が一定ではなく、その結果、成形終了後に空で待機しているプレス装置13も常に一定ではない。従ってシーケンサ22は、次に積層成形品Pを搬入するプレス装置13をどのプレス装置13とするかの演算や決定等も行っている。
【0022】
次にプレス成形システム11を制御するシーケンサ22と移載装置14のシーケンサ21との間の通信手段について説明する。上記のように移載装置14は、有線ケーブルによる電力供給が行われておらず、前記シーケンサ22と前記シーケンサ21の間のインターロック等の制御信号の送受信についても配線処理等の問題から有線ケーブルで行わない。図2に示されるように、インストッカ16のシーケンサ22には信号線(有線ケーブル)24を介して無線送受信器の一種である赤外線通信の送受信器25が接続されている。送受信機25は、移載装置14の移動経路の延長線上の位置に移載装置14の側を向けて取付けられている。一方移載装置14のシーケンサ21にも信号線(有線ケーブル)35を介して無線送受信器の一種である赤外線通信の送受信器30が接続されている。移載装置14に取付けられる送受信器30は、前記シーケンサ22と接続される送受信器25に向けて取付けられ、送受信器25,30の間で双方向に赤外線通信が可能なようになっている。なお移動経路上にローダ装置とアンローダ装置のように2台の移載装置14,14を設ける場合、プレス成形システム11の制御を行うシーケンサ22に接続される赤外線通信の送受信器25、25は、移動経路の一方と他方の延長線上の位置にそれぞれの移載装置14,14にむけて設けられる。
【0023】
また図2に示されるように、インストッカ16のシーケンサ22と接続される赤外線通信の送受信器25については、シーケンサ22からの信号を変換するデータ処理部26と赤外線コントローラ27が設けられ、赤外線コントローラ27には発光ダイオードからなる投光器28が接続されており送信側が形成されている。また赤外線コントローラ27にはフォトダイオードからなる受光器29が接続されており受信側が形成されている。そして送受信器25の送信側と受信側はそれぞれ独立しており、送信側と受信側でシリアル通信が可能となっている。また移載装置14のシーケンサ21と接続される送受信器30の側も同様に、データ処理部31、赤外線コントローラ32、投光器33、および受光器34等からなる構造となっているが、送受信器25,30のいずれか一方がマスター装置、いずれか他方がスレーブ装置となっている。赤外線通信装置は比較的安価であり、一定距離内(一例として30m程度以内)の範囲での安定的な通信が可能である。また赤外線通信装置の送信方式は振幅変調方式または周波数変調方式等が適宜に選定される。
【0024】
なお本発明において、プレス成形システム11を制御するシーケンサ22と移載装置14のシーケンサ21を無線により通信する通信手段としては、赤外線通信装置以外の可視光通信装置であってもよい。また無線LANやイーサネット(登録商標)によりプレス成形システム11を制御するシーケンサ22と移載装置14のシーケンサ21とを接続してシーケンス制御を行ってもよく、移載装置14のシーケンサ21と市販のパーソナルコンピュータ(PC)とを接続してデータ交換等を行ってもよい。
【0025】
本発明においては移載装置14との間に上記の無線通信手段を設けることにより、信号線の設置工事を行う必要を無くすことができるが、無線通信手段による信号以外に一部の信号は簡略化した信号線により通信するものを除外するものではない。また駆動系の電力線は有線ケーブルで行い、シーケンサ21,22間の信号通信のみを無線通信手段で行うものも除外するものではない。更には本実施形態では移載装置14の駆動は、一部を本体側のシーケンサからオープンループ指令により行うものであってもよい。
【0026】
次に本実施形態のプレス成形システム11の制御方法について説明する。コンベア17から運ばれてきた積層成形品P(プレス用ステンレス薄板等が挟まれたものを含む)は、インストッカ16で多段に組み込まれる。その際に全自動化されている場合にはシーケンサ22または別のプレス成形システム11を統括する制御装置は、各プレス装置13の作動状況により、空き状態のプレス装置13の中から積層成形品Pを搬入するプレス装置13を決定する。また作業者が次に積層成形品Pを搬入するプレス装置13を決定する場合は、作業者により搬入するプレス装置13が設定入力される。そのことによりインストッカ16に併設されているシーケンサ22は、移載装置14の移動距離や減速位置を演算し、移載装置14のシーケンサ21に指令を送信する。この際にシーケンサ22から赤外線通信の送受信器25の投光器28から前記移載装置14のシーケンサ21に接続される赤外線通信の送受信器30の受光器34に赤外線信号Iが送られる。そしてシーケンサ21により移載装置14の移動用のサーボモータが駆動され、移載装置14は、成形することが決定されたプレス装置13前方の対応する位置へ移動される。

【0027】
そして移載装置14が停止されると次に積層成形品Pが載置されたアームを前進させ、扉が開放されたプレス装置13の各熱板上に、アームを下降させて積層成形品Pを載置する。(または移載装置14のタイプによってはアームを昇降させないものもある。)そしてアームが上昇および後退して、積層成形品Pの載置が完了すると、移載装置14のシーケンサ21からプレス成形システム11を制御するシーケンサ22に向けて信号が送られ、積層成形品Pが搬入されたプレス装置13作動のインターロックが解除される。その際、赤外線通信の送受信器30の投光器33から送受信器25の受光器29に向けて赤外線信号Iが送られる。次に前記シーケンサ22からプレス装置13のシーケンサに信号が送られ、プレス装置13による成形が開始される。また前記シーケンサ22から移載装置14のシーケンサ21には、再び赤外線通信の送受信器25,26を介して移載装置14の移動に関する指令が出され、移載装置14は次の移動先に向けて移動される。

【0028】
次に赤外線通信装置の異常監視について説明する。赤外線通信は、有線ケーブルにより信号送信する場合と異なり、障害物や外乱光等により一時的に信号が遮断される場合や異常が検出される場合が想定される。従って双方のシーケンサ21,22により、赤外線信号Iの遮断や誤検出を監視することにより、赤外線通信の異常を監視している。具体的には、図3に示されるように、移載装置14のシーケンサ21に接続される送受信器30の投光器33から出力Aがonされて送信され、インストッカ16に併設されプレス成形システム11を制御するシーケンサ22に接続される送受信器25の受光器29の入力Bがonしたら次にシーケンサ22により送受信器25の投光器28から出力Bがonされて送信される。そして移載装置14のシーケンサ21に接続される送受信器30の受光器34の入力Aがonしたらシーケンサ21により送受信器30からの出力Aをoffにする。すると送受信器25の受光器29の入力Bもoffとなり、シーケンサ22を介して送受信器25の投光器28からの出力Bもoffとなる。そのことにより送受信器30の受光器34の入力Aもoffとなる。更にそのことにより再度シーケンサ21を介して送受信器30の投光器33から送られる出力Aがonとなり、そのループが赤外線通信を終了するまで繰り返される。なお前記において投光器28,33がoffになった際に受光器34,29もoffになることを確認するのは、外乱光等により受光器29,34が誤検知状態を継続していることがないかを検出するためである。

【0029】
従って移載装置14のシーケンサ21に接続される送受信器30の入力A、またプレス成形システム11を制御するシーケンサ22に接続される送受信器25の入力Bは、常に非常に短い周期でon/offを繰り返している。そしてある一定以上、少なくとも一方(通常は両方)の入力A,Bがonの状態またはoffの状態から変化しなかったら、赤外線通信が異常な状態にあるとして、インターロックを強制的に働かし、多くの場合、装置を停止する。また赤外線通信の入力A,Bがon/offの繰り返しが再開すればインターロックを通常の状態に戻す。これらの故障検出システムは、赤外線通信以外の可視光通信の投光器や受光器の故障検出にも同様に使用でき、通信の信頼性向上に貢献する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
プレス装置13については、積層成形品P以外の成形品であってもよく、一段のみ(上盤と下盤の間)で成形品を成形するものでもよい。プレス成形システム11は、多段のホットプレスと多段のコールドプレスの両方のタイプを並設してもよい。またプレス成形システム11のレイアウトについては、プレス装置13が2列に設けられたものや、プレス装置13の搬入部と搬出部が異なるもの、移載装置の移送経路が2列に設けられたものなど多くの変形パターンが考えられる。
【符号の説明】
【0031】
11 プレス成形システム
13 プレス装置
14 移載装置
21,22 シーケンサ
25,30 送受信器
28,33 投光器
29,34 受光器
I 赤外線信号
P 積層成形品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムにおいて、
移載装置に搭載され移載装置の制御を行う制御装置と、
移載装置の制御を行う制御装置に接続される無線送受信器と、
プレス成形システムの制御を行う制御装置と、
前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される無線送受信器とが設けられ、
前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の無線通信を行うことを特徴とするプレス成形システム。
【請求項2】
前記移載装置のモータは、有線ケーブルによる電力線を用いずに電力供給されることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形システム。
【請求項3】
成形を行うプレス装置が複数配設され、成形品の搬入・搬出を行う移載装置が前記複数配設されたプレス装置に対応する位置に移動可能に設けられたプレス成形システムの制御方法において、
移載装置に搭載され移載装置の制御を行う制御装置と、
移載装置の制御を行う制御装置に接続される無線送受信器と、
プレス成形システムの制御を行う制御装置と、
前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される無線送受信器とが設けられ、
前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の無線通信を行うことを特徴とするプレス成形システムの制御方法。
【請求項4】
前記無線通信は、赤外線通信であり、
前記移載装置の制御装置に接続される赤外線通信の送受信器と、
前記移載装置の移動経路の延長線上の位置に設けられ前記プレス成形システムの制御を行う制御装置に接続される赤外線通信の送受信器とが設けられ、
前記移載装置の制御装置とプレス成形システムの制御を行う制御装置との間で、双方向の赤外線通信を行うことを特徴とする請求項3に記載のプレス成形システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−125833(P2012−125833A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282204(P2010−282204)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】