説明

プレス装置

【課題】プレス加工後においてもワークの形状が設計形状を維持することが可能なプレス装置を提供する。
【解決手段】固定プラテン40から吊り下げられ、荷重計測手段80が装着された複数の吊具70に保持された上金型10と、固定プラテン40に接離動可能な可動プラテン50に載置され、上金型10と共にワークWをプレスする下金型20を具備し、少なくとも一本の吊具70が第2の駆動手段60により長さ調整可能であり、可動プラテン50を固定プラテン40に近接させ、荷重計測手段80が計測した荷重値と、予め設定した荷重値とに基づいて、第2の駆動手段60に吊具70を長さ調整させ、上金型10のプレス面をワークWの上面に倣わせ、この状態を保持させて、可動プラテン50を固定プラテン40に近接させ、ワークWにプレス加工を施す制御手段90を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレス装置に関し、より詳細には、固定プラテンから吊り下げられた複数の吊具が、該吊具に作用する荷重を計測する荷重計測手段を介して吊り下げ保持している上金型と、第1駆動手段によって前記固定プラテンに対して接離動可能に設けられた可動プラテンに載置され、前記上金型との間でワークにプレス加工を施す下金型とを具備するプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置や樹脂などのワークに圧縮成形を施すプレス装置としては、均一な厚さのワークが得られるプレス装置が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1および特許文献2には、上金型を上部プラテンに、下金型を下部プラテンに、それぞれ対向させた状態に設け、前記上部プラテンと下部プラテンのいずれか一方もしくは双方を、相互に近接する方向に移動させて、上金型と下金型とでワークをクランプして圧縮する圧縮機構を備えたプレス装置において、前記上部プラテンと下部プラテンとの離間間隔を検知する間隔検知機構を備えることにより、上金型と下金型の対向面どうしの平行状態を維持したままワークを圧縮成形することを可能にしたプレス装置が提案されている。
【特許文献1】特開2007−324377号公報
【特許文献2】特開2008−87408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2で提案されているプレス装置は、上金型と下金型とを常に平衡状態を保持してワークをクランプする。このため、厚さが均一のワークをプレス加工するプレス装置として適している。
しかし、プレス加工前のワークに形成された傾斜面を保持してプレス加工を施すことが要求される場合には、特許文献1,2で提案されているプレス装置は使用することができない。
【0005】
また、多層配線基板を製造する際には、複数の配線層を接着剤によって接合すべく、配線層間に接着剤を配したワークをプレス装置によって圧縮して、配線層どうしを圧着することがある。
ところで、多層配線基板では、配線層の平面方向に配線密度は不均一となることが多い。さらに、配線層間に配した接着剤は流動性が高い。このため、特許文献1,2で提案されたプレス装置によって、配線層間に接着剤を配したワークを圧縮すると、配線密度の低い部分に接着剤が流入して圧着される。このようにして得られた多層配線基板は、配線層間の接着剤層の厚さのばらつきが大きくなる。また、プレス加工中に接着剤がワークの外方に流出することもある。
かかる多層配線基板の接着剤層の厚さのばらつきやプレス加工中の接着剤のワーク外方への流出といった不具合は、配線層間に接着剤を配して上面が傾斜面に形成されたワークを、上金型と下金型とを常に平行な状態を維持してワークをクランプするプレス装置を用いたことにある。
【0006】
そこで本願発明は、上金型のプレス面に当接する面が傾斜面に形成されているワークをプレスする際において、プレス加工した後におけるワークの形状が強制的に均一な厚さ寸法にならず、プレス加工後においてもワークの形状が設計形状を維持することが可能なプレス装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、前記目的を達成するためには、ワークの上面に傾斜面に倣って上金型をワークの上面に当接させ、上金型とワークの上面との当接状態を維持させた状態でワークをプレス加工することが有効であることを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち本発明は、固定プラテンと該固定プラテンの下方に設けられた可動プラテンとを有するプレス装置であって、前記固定プラテンから吊り下げられ、荷重を計測する荷重計測手段が取り付けられた複数の吊具により保持されている上金型と、第1駆動手段によって前記固定プラテンに対して接離動可能に設けられた前記可動プラテンに載置され、前記上金型との間でワークにプレス加工を施す下金型とを具備し、前記固定プラテンから吊り下げられた複数の吊具のうちの少なくとも一本の吊具が、前記固定プラテンに載置された第2の駆動手段によって繰り出し長さを調整可能な吊具に構成されていて、前記第1駆動手段を駆動して前記可動プラテンを前記固定プラテンに近接させ、前記上金型のプレス面が前記下金型に載置した前記ワークの上面に当接したとき、前記吊具の各荷重計測手段が計測した荷重値と、予め設定した前記吊具の荷重値とに基づいて、前記第2の駆動手段を駆動することにより前記吊具の繰り出し長さを調整して、前記上金型のプレス面を前記ワークの上面の傾斜に倣った状態とし、且つ前記上金型のプレス面が前記ワークの上面の傾斜に倣った状態を保持させたまま、前記第1駆動手段を駆動して前記可動プラテンを前記固定プラテンにさらに近接させ、前記ワークに前記上金型の自重によるプレス加工を施す制御手段を具備することを特徴とするプレス装置である。
【0008】
また、前記固定プラテンには、前記上金型のプレス面が前記ワークの上面の傾斜に倣って当接する状態を保持して、前記上金型の自重に加えて所定の加圧力を付与する加圧装置が設けられ、前記制御手段は、前記上金型の自重によるプレス加工が施されたワークに対して、前記加圧装置による加圧力を付与することができるように、前記加圧装置の動作を制御することを特徴とする。これにより、高いプレス力によりワークをプレス加工することができる。
【0009】
また、前記制御手段は、前記上金型のプレス面を前記ワークの上面の傾斜に倣わせた状態で当接させた際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が等しくなるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記上金型のプレス面を前記ワークの上面の傾斜に倣わせた状態で当接させた際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が所要の比率となるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記ワークをプレス加工する際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が等しくなるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記ワークをプレス加工する際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が所要の比率となるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする。
これらにより、ワークのプレス加工中においてもワークに加えられるプレス力を適切に制御することができるため、より高精度なプレス加工をすることができる。
【0010】
また、前記下金型には下金型に作用する荷重を計測するための下金型荷重計測手段が複数配設されていて、前記下金型荷重計測手段の各々に予め設定されている荷重値どうしの比と、前記ワークをプレス加工する際に、前記下金型荷重計測手段の各々に計測された荷重値どうしの比と、が等しくなるように、前記制御手段が前記加圧装置により付与される前記上金型への加圧力を制御することを特徴とする。
これにより、ワークのプレス加工中においてもワークに作用するプレス力を制御することができるため、より高精度なプレス加工をすることができる。
【0011】
また、前記上金型と前記加圧装置との間には、前記上金型に前記加圧装置による加圧力が付与されるとき係合し、前記上金型のプレス面が前記ワークの上面の傾斜に倣って当接した状態を保持して、前記加圧装置による加圧力を前記上金型に付与することのできる係合部材が設けられていることを特徴とする。
また、前記係合部材が、凹凸嵌合可能な係合部材であって、前記上金型と前記加圧装置との一方に凸状係合部が形成され、前記上金型と前記加圧装置との他方に前記凸状係合部と係合可能な凹状係合部が形成されていることを特徴とする。
また、前記凸状係合部と前記凹状係合部はそれぞれ半球状に形成されていることを特徴とする。
これらにより、加圧装置から付与される加圧力をワークの形状に倣わせた状態で付与することができるため、ワークの形状を崩さずにプレス加工することができる。
また、上記ワークとしては、多層配線基板が特に好適である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明にかかるプレス装置によれば、ワークの形状に拘わらずプレス加工後には厚さが均一とされる従来のプレス装置とは異なり、上金型のプレス面をワークの上面に傾斜面に倣った状態を保持して、上金型の自重によるプレス加工をワークに施すことができる。このため、上面が傾斜面に形成されて厚さが不均一のワークを、その形状を保持したプレス加工を施すことによって、ワーク全体に均一の圧縮力を加えることができ、過剰な圧縮力が加えられる部分の発生を防止できる。
【0013】
また、自重に加えてさらに加圧力を付与する場合にも、上金型のプレス面をワークの上面に傾斜面に倣った状態を保持してプレス加工を施すことができる。
その結果、例えば、配線層間に接着剤を配して上面が傾斜面に形成されたワークを本願発明にかかるプレス装置を用いて圧着すると、プレス加工中にワークに均一な圧縮力を加えることができ、接着剤層の厚さのばらつきを小さくでき、且つ接着剤のワーク外方への流出も効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態におけるプレス装置の概略構成を示す正面図である。図2〜図4は、本実施形態におけるプレス装置を用いてワークをプレスしている状態を示す正面図である。なお、図1を除く他の図面においては、簡略化のため、シーケンサ、サーボアンプ、A/Dコンバータからなる制御部の図示を省略していることがある。
【0015】
本実施形態におけるプレス装置100は、図1に示すように、下金型20にセットされたワークWの上面の傾斜状態に上金型10のプレス面(下面)を倣わせた状態にしてから上金型10を下金型20に向けて加圧することで、ワークWを厚さ方向にプレス加工するものである。
上金型10は、ポスト30に装着された固定プラテン40に複数台搭載された第2の駆動装置である吊下長調整用サーボモータ60に係合された複数本の吊具70によって吊り下げられた状態で保持されている。
一方、下金型20は、固定プラテン40に対して接離動可能な可動プラテン50に保持されている。可動プラテン50は、ポスト30における固定プラテン40の下方に装着されており、平面領域のコーナー部近傍位置に設けられた4本のポスト30にガイドされて、第1の駆動手段である流体シリンダ(図示せず)等により固定プラテン40に対して接離動自在に設けられている。
【0016】
本実施形態における上金型10は、平面視形状が長方形(矩形)に形成されていて、上面の4箇所にはリング部を有する係合材12が配設されている。それぞれの係合材12は上金型10の平面領域においてコーナー部近傍に配設されたポスト30の内側位置に配設されており、係合材12の平面配設位置を頂点として形成される長方形は、上金型10の平面形状と相似形をなしている。また、上金型10の上面側の中央位置には錘を兼ねた被押圧部14が配設されている。被押圧部14の上面には球面状に形成されて固定プラテン40側に突出する係合部材である半球凸部16が形成されている。この半球凸部16は、加圧用サーボモータにより作動する加圧装置62の下端部当接面に形成された係合部材である半球凹部64と凹凸嵌合させるためのものである。
また、上金型10の外周縁位置には、ガイド孔18が形成されている。ガイド孔18は上金型10の板厚方向に貫通し、細径部18aと太径部18bを有している。
【0017】
下金型20には上金型10に形成されたガイド孔18の位置に位置合わせした状態でガイドピン21が立設されている。ガイドピン21は下金型20の上面から上金型10に向けて上方側に突出すると共に、ガイドピン21の根元部(下金型20との境界位置)には径大部に形成されたストッパ21aが設けられている。ストッパ21aの上面がガイド孔18の細径部18aと太径部18bの段差部分に当接することにより、ガイド孔18へのガイドピン21の進入量を規制し、ワークWに対して必要以上にプレス力が作用しないようになっている。ガイド孔18およびガイドピン21はそれぞれの配設を省略することもできる。
また、図示しないが下金型20の上面にはワークWを載置すべき位置を示すアライメントマークが設けられている。
【0018】
固定プラテン40には、加圧装置62を駆動させて半球凹部64を上金型10に対して接離動させる加圧用サーボモータが搭載されている。本実施形態においては、固定プラテン40に4台の吊下長調整用サーボモータ60が配設されていて、吊下長調整用サーボモータ60のそれぞれには吊具70の上端部が係合されている。吊具70の繰り出し長さ(固定プラテン40から上金型10までの離間距離)は吊下長調整用サーボモータ60により調整可能になっている。一方、吊具70の下端部は、上金型10の上面側に配設されたリング部を有する係合材12に係合されている。このように上金型10は、吊具70によって固定プラテン40から吊り下げられた状態で保持されている。加圧装置62は上金型10の平面中央位置に配設されている。加圧装置62の下端面は半球状に形成された半球凹部64に形成されている。なお、半球凹部64及び半球凸部16を本実施形態に対して上下逆さまにして設ける構成を採用することもできるが、粉塵等が溜まることがないようにして精密な加工精度の維持を可能とすべく半球凹部64は下向きに設けられるのが好ましい。
【0019】
このように、加圧装置62と上金型10の被押圧部14とのそれぞれに、互いに凹凸嵌合する係合部材である半球凹部64と半球凸部16とが設けられているので、上金型10に加圧装置62によって半球凹部64を半球凸部16に接近させて当接させると互いに係合する。これにより、上金型10が傾斜の有無に拘わらず加圧装置62によって所期の方向から加圧することができる。また、上金型10のプレス面がワークWの上面の傾斜に倣って当接した状態を保持して、加圧装置62による加圧力を上金型10に付与することができるため、プレス加工中にワークWが水平方向にずれてしまう不具合を回避することができる。
【0020】
また、本実施形態における吊具70は、図中の上側からワイヤ72、柱体74、連結具76をこれらの記載順に直列に連結したものである。吊具70の上端部となるワイヤ72の一端部は、吊下長調整用サーボモータ60によって繰り出し長さが調整可能な状態で係合されている。ワイヤ72の他端部にはリング状に形成された係合部(図示せず)が設けられていて、ワイヤ72はこの係合部を介して柱体74に連結されている。柱体74には、吊具70に作用している荷重(張力)を計測するための荷重計測手段としてのひずみゲージ80が配設されている。ひずみゲージ80は柱体74の表面(側面)に貼着されていて、柱体74の鉛直方向のひずみ量を計測することにより吊具70に作用している荷重を計測している。また、柱体74には下面に図示しないリング部が設けられている。このリング部には吊具70の下端部となるリング状に形成された連結具76が連結されている。
【0021】
このように、吊具70を構成するワイヤ72、柱体74、連結部76はそれぞれリング部を介して連結されている。また、連結部76と上金型10もまた、リング部を介して連結されている。これにより、繰り出し長さが調整されて鉛直軸に対して傾斜した状態の吊具70に連結されている柱体74であっても、鉛直方向の張力のみを作用させることができる。これは、ワイヤ72、柱体74、連結部76がリング状部分を介して連結されていることにより、水平方向に作用する力をリング状部分に吸収させることができるからである。すなわち柱体74には水平方向に作用する不要な力が伝達されることはなく、吊具70に作用する鉛直方向のみの荷重値を正確に計測することが可能になり、上金型10のプレス面をきわめて精度よくワークW上面の傾斜面に倣わせて当接させることができる。
【0022】
本実施形態においては、上金型10の平面形状に対して相似形状となるように4本の吊具70を配設しているから、4本の吊具70には上金型10の自重が均等配分されることになる。したがって、吊具70の柱体74に装着されたひずみゲージ80は、単に上金型10を吊り下げた状態においては上金型10と被押圧部14と球状凸部16の自重合計の4分の1の荷重を計測することになる。
【0023】
ひずみゲージ80により計測された吊具70の荷重値は制御部90に送信される。制御部90は、ひずみゲージ80により計測された荷重値をディジタル値に変換するA/Dコンバータ92と、A/Dコンバータ92から受信した荷重値に基づいてサーボアンプ94を操作するシーケンサ96とにより構成されている。シーケンサ96は、シーケンサ96に設けられた図示しない記憶手段に予め制御プログラムが組み込まれていて、A/Dコンバータ92から受信した荷重値と制御プログラムとに基づいてサーボアンプ94を操作し、吊下長調整用サーボモータ60および加圧装置62を駆動させる加圧用サーボモータの動作をそれぞれ制御している。
【0024】
次に、本実施形態におけるプレス装置100を用いたワークWのプレス加工方法について説明する。ここでは、プレス加工がなされるワークWの上面と下面が平行ではなく、下金型20の載置面に対して上金型10との当接面が傾斜面に形成されている場合について説明を行う。
まず、図1に示すように、手動または自動機により下金型20にワークWをセットする。下金型20にワークWをセットする際には、予め下金型20の上側表面に設けられているアライメントマークに従えばよい。ワークWを下金型20の上に位置決めして載置した後、オペレータが図示しないスイッチを印加し、プレス装置100を起動する(自動機でワークWをセットした場合には既にプレス装置100のスイッチも印加されている)。プレス装置100が起動すると、制御部90が図示しない第1駆動装置である流体シリンダを駆動させて、可動プラテン50を固定プラテン40側に接近(近接)させる(図1中の矢印Aの方向に沿って移動させる)。
【0025】
制御部90が第1の駆動手段である流体シリンダを駆動させていくと、可動プラテン50はポスト30に沿って固定プラテン40と平行状態を維持しながら両者の離間距離を徐々に縮めていく。このとき、ひずみゲージ80により計測される吊具70に作用する荷重値はいずれも同じ荷重値になっている。制御部90には、吊具70の識別情報と吊具70に作用している荷重値とがそれぞれ対応させた状態で送信され、吊具70ごとの荷重値の比がシーケンサ96により常時計算されている。前述のとおり、本実施形態においては4本の吊具70が上金型10の自重を均等に分担した状態で吊り下げ保持しているので、それぞれの吊具70に装着されているひずみゲージ80により計測された荷重値の比は1:1:1:1となる(等しくなる)。この荷重値の比は、制御部90のシーケンサ96が参照する制御プログラム内に計測荷重値の参照データとして予め組み込まれている。
【0026】
やがて、図2に示すように、ワークWの一部と上金型10のプレス面の一部が接触する状態になる。このとき、ひずみゲージ80により計測された荷重値は各吊具70で均一ではなくなる。これにより、計測された各吊具70に作用する荷重値どうしの比が制御プログラム内の計測荷重値の参照データで設定されている吊具70ごとの荷重値の比と異なることになり、制御部90のシーケンサ96はワークWと上金型10のプレス面とが接触したことを検知する。これと同時に、シーケンサ96は、制御プログラムと計測した荷重値とに基づいて、全ての吊具70に作用する荷重値どうしの比が1:1:1:1となるように吊下長調整用サーボモータ60の駆動量を算出する。この後、シーケンサ96はサーボアンプ94を介して吊下長調整用サーボモータ60を制御し、吊具70のワイヤ72の繰り出し長さを調整する。
【0027】
具体的には、ひずみゲージ80により計測された荷重値と計測荷重値の参照データに基づいて、最初にワークWに当接した吊具70aが係合されている吊下長調整用サーボモータ60aに対して、シーケンサ96がサーボアンプ94を介して吊具70aの一部であるワイヤ72aの繰り出し長さを短くする(図2の矢印a方向に引き上げる)動作を実行する指示を与える。本実施形態においては、サーボアンプ94が吊下長調整用サーボモータ60aに与える吊具70aの繰り出し長さを短くする動作の指示は、すべての吊具70の計測荷重値の比に基づいて、吊下長調整用サーボモータ60aの駆動量(巻き付け量または繰り出し量)をシーケンサ96が計算により算出してサーボアンプ94に送信することによりなされている。
【0028】
サーボアンプ94を介してワークWとの当接部位に最も近い吊具70aにおけるワイヤ72aの繰り出し長さが吊下長調整用サーボモータ60により調整された後、制御部90は流体シリンダを再度駆動させて可動プラテン50を固定プラテン40に向けてさらに矢印A方向に接近させる。すると再びワークWと上金型10のプレス面の一部または全部が当接することになる。ひずみゲージ80は常時吊具70に作用する荷重値を計測し、計測した荷重値を制御部90に送信しているので、制御部90はひずみゲージ80により計測された最新の荷重値に基づいて吊下長調整用サーボモータ60の動作を制御することができる。このようにして吊具70の繰り出し長さの調整処理を繰り返し行う。
ひずみゲージ80により計測された荷重値どうしの比が再び1:1:1:1となったとき(等しくなったとき)、制御部90はワークWの上面の傾斜に倣って上金型10のプレス面が当接したものと判断する。
【0029】
ここでは、4本の吊具70のうちワークWに当接した部位に最も近い位置の吊具70aのみについてシーケンサ96がサーボアンプ94および吊下長調整用サーボモータ60を介して吊具70aのワイヤ72aの繰り出し長さを調整している。この他にはシーケンサ96がひずみゲージ80による計測荷重値と計測荷重参照データとに基づいて、複数本の吊具70におけるワイヤ72の繰り出し長さを同時に調整しても良いのはもちろんである。この構成によれば、ワークWの上面の傾斜に倣って上金型10のプレス面を当接させるまでの時間を大幅に短縮できる。
【0030】
図3に示すように、それぞれの吊具70に作用する荷重値があらかじめ設定されていた荷重分布状態(本実施形態では吊具70に作用する荷重値どうしの比が1:1:1:1)になった後は、制御部90が流体シリンダを駆動させて、可動プラテン50(下金型20)を上昇させ、上金型10と共にワークWをクランプし、上金型10の自重によりワークWをプレス加工する。
上金型10は、被押圧部14および球状凸部16の配設により十分な自重を有しているが、上金型10、被押圧部14および球状凸部16の自重のみではプレス力が不足する場合もあり得る。この場合には、図4に示すように、制御部90のシーケンサ96が、サーボアンプ94を介して加圧用サーボモータを作動させて加圧装置62の半球凹部64を被押圧部14に押圧(図中の矢印方向)させ、ワークWを上金型10と被押圧部14および球状凸部16の合計自重以上の加圧力でプレス加工することができる。
【0031】
このとき、上金型10のプレス面はワークWの上面の傾斜面に倣った状態で当接しているので、上金型10の上面もまた水平面に対して傾斜した状態になっている。このような状態の上金型10の上面にある被押圧部14もまた水平面に対して傾斜した状態になっている。このように傾斜した被押圧部14に対して加圧装置62は鉛直方向に伸長するから、被押圧面14と加圧装置62の下端部は非直交状態で当接することになる。
これに対して本実施形態においては、被押圧部14には半球凸部16が設けられていることに加え、加圧装置62の下端部には半球凹部64が形成されているから、半球凸部16と半球凹部64とが球面嵌合することになる。これにより、上金型10のプレス面がワークWの上面の傾斜に倣って当接した状態を保持して、加圧装置62による加圧力を上金型10に付与することができる。すなわち、加圧装置62による加圧力はワークWの厚さ方向のみに作用させることができ、プレス加工中におけるワークWの変形を防止することができる。
【0032】
上金型10のプレス面をワークWの上面の傾斜面に倣わせた後、可動プラテン50または加圧装置62のいずれか一方または両方によりプレス加工する際においても、ひずみゲージ80は荷重値を計測している。また、制御部90には、ひずみゲージ80が計測した荷重値が常に送信されているから、プレス加工中の吊具70に作用する荷重値どうしの比が1:1:1:1を維持するように、制御部90は吊下長調整用サーボモータ60の動作をサーボアンプ94により制御しながらプレス加工を行うことが望ましい。
プレス加工中における制御部90による吊下長調整用サーボモータ60の動作制御方法については、前述の上金型10のプレス面をワークWの上面の傾斜面に倣わせる際の制御方法と同様にして行うことができる。
【0033】
(第2実施形態)
図5と図6は、第1実施形態におけるプレス装置を用い、プレス加工するワークの上面と下面とが平行に形成されている場合のプレス加工状況を示す正面図である。
下金型20にワークWを載置した状態で可動プラテン50を固定プラテン40に接近させていくと、上金型10のプレス面とワークWの上面が当接するが、上金型10の押圧面とワークWの上面とが互いに平行であるから、上金型10のプレス面の全体がワークWの上面に同時に当接することになり、制御部90のシーケンサ95はサーボアンプ94を介して吊下長調整用サーボモータ60の動作が制御する必要はない。このような状態においては、ひずみゲージ80が計測した吊具70に作用する荷重値どうしの比が1:1:1:1となるため、荷重値そのものの変化を制御部90のシーケンサ96が監視していることにより上金型10とワークWとの当接状態を検出すればよい。具体的には、シーケンサ96がひずみゲージ80により計測された荷重値の和があらかじめシーケンサ96内部の記憶手段に記憶されている所定の荷重値に満たないことを検出すると、上金型10のプレス面とワークWとが当接したと判断する。
【0034】
制御部90が上金型10のプレス面とワークWとが当接したと判断すると、シーケンサ96は、可動プラテン50を上昇させて上金型10と被押圧部14および球状凸部16の自重によりプレス加工する。ここでも必要に応じて、サーボアンプ94により加圧装置62の加圧用サーボモータを駆動させて被押圧部14に形成された球状凸部16に加圧装置62の下端部の球状凹部64を球面嵌合させて上金型10と下金型20とによりワークWをプレス加工してもよい。
プレス加工中においてもひずみゲージ80により吊具70に作用する荷重値を計測すると共に、制御部90に計測荷重値を送信し、制御部90が送信された計測荷重値に基づいて吊下長調整用サーボモータ60の動作をサーボアンプ94により制御することが好適であるのは、先の説明と同様である。
【0035】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態におけるプレス加工装置の概略構成を示す正面図である。図8は、第3実施形態におけるプレス加工装置の概略構成を示す背面図である。図9は、第3実施形態における上金型の平面図である。
本実施形態においては、図7〜図9に示すように、平面形状が正方形状をなす上金型10の中央位置に加圧装置62が配設されていると共に、上金型10の中央位置に重心位置が一致する正三角形のそれぞれの頂点位置に吊具70が配設されている。先の実施形態においては、上金型10に対して4箇所にひずみゲージ80を配設した形態について説明しているが、ワークWのプレス加工精度がさほど高くない場合には、ひずみゲージ80(吊具70)の配設数を減らして、制御部90に送信される荷重値データの量を軽減することにより、低コストのプレス装置100を提供することができるという利点がある。
【0036】
本実施形態における上金型10のプレス面をワークWの上面形状に倣わせて当接させる制御方法および、上金型10のプレス面をワークWの上面に倣わせた後にワークWをプレス加工する制御方法については、先の実施形態と同様にして行うことができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
(第4実施形態)
本実施形態においては、複数の加圧用モータ62が配設されている点が特徴である。図10は、第4実施形態におけるプレス装置の概略構成を示す正面図である。図11は、第4実施形態における上金型の平面図である。
図10,図11に示すように、上金型10は4本の吊具70により吊下長調整用サーボモータ60に吊下げ保持されていて、吊具70の平面内側には3台の加圧装置62が配設されている。上金型10の被押圧部14には加圧装置62の下端部の半球凹部64が当接する半球凸部16が加圧装置62の配設位置に対応する位置(直下の同じ配置位置)に配設されている。また、図11から明らかなように、吊具70どうしの対角線の交点位置と加圧装置62の配設位置を頂点とする三角形の重心位置は一致している。
【0038】
このような配置を採用することにより、加圧装置62によるワークWのプレス加工を行う際において、加圧装置62からワークWへ付与する加圧力をより精密に制御することができるため、きわめて高精度で仕上り形状寸法の管理が要求されるワークWのプレス加工に好適に用いることができる。
【0039】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態におけるプレス加工装置の概略構成を示す正面図である。本実施形態においては、一部の吊具70zの両端縁(ワイヤ72zおよび連結具76z)が、係合材12と固定プラテン40とに係合されていて、吊下長調整用サーボモータ60による長さ調整ができない構成になっている。ただし、ひずみゲージ80は装着されているので、吊具70zの柱体74zに作用している荷重の計測値は制御部90に送信され、上金型10の押圧面をワークWの上面に倣わせる際の参照データとして用いることができる。
本実施形態における構成であっても、上記の実施形態と同様の方法を適用することにより上金型10の押圧面をワークWの上面形状に倣わせて当接させることができる。本実施形態においては、先の実施形態における上金型10の押圧面をワークWの上面に倣わせて当接させる際における当接精度を維持しつつも、先の実施形態に比べて吊下長調整用サーボモータ60の配設数を減少させることができ、低コストでプレス装置100を提供すことができる点で有利である。
【0040】
(第6実施形態)
本実施形態におけるプレス加工装置100は、吊具70に作用する荷重値を計測するためのひずみゲージ80に加え、下金型20に作用する荷重を計測する下金型荷重計測手段であるロードセル22を有する点で第1および第2実施形態にかかるプレス装置100に対して構成を異にしている。図13は、第6実施形態におけるプレス装置の概略構成を示した正面図である。
上述の実施形態と同じ構成については、先の説明において用いた番号を付することによりここでの詳細な説明を省略している。
【0041】
本実施形態における下金型20には、上面にマトリクス状配列に凹穴21が形成されている。凹穴21にはその内底面側から、ロードセル22と、弾発材としてのばね24と、ばね24の弾発力により下金型20の表面と下金型20の表面位置より上方との間で上下動可能な保持体26と、が記載順に積み上げられて配設されている。保持体26の上には載置板28が載置されている。載置板28の上面にはワークWを載置するためのアライメントマークが形成されている。
【0042】
ロードセル22により計測された荷重値は、ひずみゲージ80により計測された荷重値と同様に制御部90に送信されて用いられる。本実施形態においては、下金型20に作用する荷重が計測可能な構成(ロードセル22)を備えているので、本実施形態におけるプレス装置100は、上金型10のプレス面をワークWの上面形状に倣わせて当接させた後のプレス加工時における加圧力の付与を下金型20の各平面位置において作用している荷重値を参照しながら適正に制御することができる点で優位である。
このような構成は、加圧装置62の配設数が多ければワークWへの加圧力の制御を細かく制御することができるから、特に、第4実施形態と組み合わせて用いると好適である。
【0043】
具体的には、先に説明した実施形態と同様にして上金型10のプレス面をワークWの上面に倣わせて当接させた後、ワークWをプレス加工する際には、ロードセル22により計測された荷重値に基づいて、制御部90が第1駆動手段である流体シリンダの動作や吊下長調整用サーボモータ60または加圧装置62の加圧用サーボモータの動作を制御し、固定プラテン40(上金型10)に対する可動プラテン50(下金型20)の押圧度合い(接近量)や、下金型20に対する上金型10の押圧力を調整する点において、先の実施形態よりも高精度でのワークWのプレス加工が可能になる。
例えば、ワークWの縁部の高さが一様であってその内側の厚みが異なるような場合であってもプレス加工時のロードセル22による荷重値の数値の分布に基づいて偏りなく加圧できるようにするといった制御をすることが可能となる。この場合、ロードセル22による荷重値の数値が高くなった側のワイヤ72の繰り出し長さを短くするように微調整するような制御を行うことにより加圧の偏りを抑えられる。
【0044】
また、本実施形態においては、ロードセル22が下金型20の平面領域内にマトリクス状に配設されている(図示せず)ので、下金型20の平面領域内における荷重をきめ細かく計測し、計測した荷重データと制御プログラムに基づいて、制御部90がワークWのプレス加工を制御しているから、第1および第2実施形態に比べてきわめて高精度でワークWのプレス加工中における荷重制御を行うことができる。このようにロードセル22を配設した場合には、加圧装置62の配設数を複数にすればさらに細かく加圧力の制御を行うことができるため好都合である。
【0045】
以上に本願発明を実施形態に基づいて詳細に説明してきたが、本願発明は以上に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態であっても本願発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。例えば、上記の実施形態においては、ワークWと上金型10のプレス面とが接触した際に、シーケンサ96が吊下長調整用サーボモータ60の駆動量を計測荷重値に基づいてその都度異なる数値を算出する形態について説明しているが、シーケンサ96により吊下長調整用サーボモータ60を駆動させる場合は、常に一定の駆動量で吊下長調整用サーボモータ60を駆動させるように設定してもよい。この構成によれば、ワークWの上面の傾斜に倣わせて上金型10のプレス面を当接させるまでにシーケンサ96が複数回にわたってサーボアンプ94を介して吊下長調整用サーボモータ60の駆動量を制御するため、ワークWの上面の傾斜に倣わせた状態で上金型10のプレス面を当接させるまでに時間はかかるが、安価なサーボアンプ94を採用でき、低コストでプレス装置100を提供することが可能になる。
【0046】
また、吊具70およびひずみゲージ80の配設数や、下金型荷重計測手段であるロードセル22の配設数および加圧装置62の配設数を上記の実施形態における配設数よりも増加させることにより、さらに高精度でプレス加工の制御をすることができるため好都合である。プレス装置100の提供コストと、プレス装置100に要求される加工精度に応じて吊具70およびひずみゲージ80の配設数や、下金型荷重計測手段であるロードセル22の配設数および加圧装置62の配設数は適宜調整することはもちろん可能である。
【0047】
また、以上の実施形態においては、可動プラテン50を固定プラテン40に対して接離動させる第1の駆動手段として流体シリンダを採用した形態について説明しているが、第1の駆動手段は流体シリンダ以外の駆動手段(例えば、リンク式の駆動機構)により構成することももちろん可能である。要は、ポスト30に沿って可動プラテン50を固定プラテン40に接離動させることができればいかなる駆動手段を採用してもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、荷重計測手段としてひずみゲージ80を用い、下金型荷重計測手段としてロードセル22を用いた実施形態について説明しているが、他の手段により荷重計測手段や下金型荷重計測手段を構成することもできる。
【0049】
また、上記実施形態においては、上金型10をワークWの上面に当接させる際および、プレス加工中において、吊具70に作用する荷重値どうしの比が1:1:1:1を維持する実施形態について説明しているが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば、上金型10をワークWの上面に当接させる際は、吊具70に作用する荷重値どうしの比を1:1:1:1とし、プレス加工中においては、吊具70に作用する荷重値どうしの比を任意の比率(所要の比率)を維持する実施形態とすることもできる。この任意の比率としては、一例として1:2:2:3といったようなワークWの一方から他方に向けて荷重値が所定の傾斜状関係で増加(減少)して偏荷重状態となるような比率を採用することもできる。さらには、上金型10をワークWの上面に当接させる際およびプレス加工する際の両方において吊具70に作用する荷重値どうしの比を任意の比率を維持する実施形態とすることもできる。これらのような実施形態は、ワークWの表面に半導体チップや配線が偏って配設されている場合のように、ワークWの表面の所要位置における押圧力を低くしたい場合等において好適である。
【0050】
さらには、上金型10と下金型20の内部のそれぞれに、ヒーターと冷却水通路を設け、ワークWと接着剤の種類と目的に応じて、制御部90がプレス加工時における上金型10と下金型20の表面温度やヒーターの設定温度を80℃一定や150℃一定、あるいは、これらの温度を所定の低めの温度(例えば60℃)から所定の高めの温度(例えば120℃)に昇温させた後低めの温度に冷却する等の温度制御を行うようにしてもよい。
また、本願発明に係るプレス装置100は、ワークWを単純に厚さ方向にプレス加工するだけのものではなく、ワークWとしてフィルムを積層する場合には、積層されて仮圧着してあるフィルムを本圧着するためや、本圧着してあるフィルムをより高温で加圧修正や硬化促進、或いは、熱可塑性の接着剤やフィルムを低温でセットして接着温度に昇温して接着した後に冷却するなど、多様な加工形態において適用することができる。
そして本発明は、以上に説明したそれぞれの実施形態について、各構成の組み合わせのすべてについて具体的な説明を行っていないが、上記実施形態のいずれの組み合わせであっても、本発明の技術的範囲に含まれるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態におけるプレス装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態におけるプレス装置を用いてワークをプレスしている状態を示す正面図である。
【図3】本実施形態におけるプレス装置を用いてワークをプレスしている状態を示す正面図である。
【図4】本実施形態におけるプレス装置を用いてワークをプレスしている状態を示す正面図である。
【図5】第2実施形態におけるプレス装置を用いてワークをプレスしている状態を示す正面図である。
【図6】第2実施形態におけるプレス装置を用いてワークをプレスしている状態を示す正面図である。
【図7】第3実施形態におけるプレス加工装置の概略構成を示す正面図である。
【図8】第3実施形態におけるプレス加工装置の概略構成を示す背面図である。
【図9】第3実施形態における上金型の平面図である。
【図10】第4実施形態におけるプレス装置の概略構成を示す正面図である。
【図11】第4実施形態における上金型の平面図である。
【図12】第5実施形態におけるプレス加工装置の概略構成を示す正面図である。
【図13】第6実施形態におけるプレス装置の概略構成を示した正面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 上金型
12 係合材
14 被押圧部
16 半球凸部
18 ガイド孔
20 下金型
21 ガイドピン
22 ロードセル
24 載置板
26 保持体
28 弾発材
30 ポスト
40 固定プラテン
50 可動プラテン
60 吊下長調整用サーボモータ
62 加圧装置
64 半球凹部
70 吊具
72 ワイヤ
74 柱体
76 連結具
80 ひずみゲージ
90 制御部
92 A/Dコンバータ
94 サーボアンプ
96 シーケンサ
100 プレス装置
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定プラテンと該固定プラテンの下方に設けられた可動プラテンとを有するプレス装置であって、
前記固定プラテンから吊り下げられ、荷重を計測する荷重計測手段が取り付けられた複数の吊具により保持されている上金型と、
第1駆動手段によって前記固定プラテンに対して接離動可能に設けられた前記可動プラテンに載置され、前記上金型との間でワークにプレス加工を施す下金型とを具備し、
前記固定プラテンから吊り下げられた複数の吊具のうちの少なくとも一本の吊具が、前記固定プラテンに載置された第2の駆動手段によって繰り出し長さを調整可能な吊具に構成されていて、
前記第1駆動手段を駆動して前記可動プラテンを前記固定プラテンに近接させ、前記上金型のプレス面が前記下金型に載置した前記ワークの上面に当接したとき、前記吊具の各荷重計測手段が計測した荷重値と、予め設定した前記吊具の荷重値とに基づいて、前記第2の駆動手段を駆動することにより前記吊具の繰り出し長さを調整して、前記上金型のプレス面を前記ワークの上面の傾斜に倣った状態とし、且つ前記上金型のプレス面が前記ワークの上面の傾斜に倣った状態を保持させたまま、前記第1駆動手段を駆動して前記可動プラテンを前記固定プラテンにさらに近接させ、前記ワークに前記上金型の自重によるプレス加工を施す制御手段を具備することを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記固定プラテンには、前記上金型のプレス面が前記ワークの上面の傾斜に倣って当接する状態を保持して、前記上金型の自重に加えて所定の加圧力を付与する加圧装置が設けられ、
前記制御手段は、前記上金型の自重によるプレス加工が施されたワークに対して、前記加圧装置による加圧力を付与することができるように、前記加圧装置の動作を制御することを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記上金型のプレス面を前記ワークの上面の傾斜に倣わせた状態で当接させた際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が等しくなるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする請求項1または2記載のプレス装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記上金型のプレス面を前記ワークの上面の傾斜に倣わせた状態で当接させた際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が所要の比率となるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする請求項1または2記載のプレス装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記ワークをプレス加工する際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が等しくなるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする請求項3または4記載のプレス装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記ワークをプレス加工する際に、前記荷重計測手段が計測した各吊具の荷重値が所要の比率となるように、前記第2駆動手段を駆動して、前記吊具の繰り出し長さを調整することを特徴とする請求項3または4記載のプレス装置。
【請求項7】
前記下金型には下金型に作用する荷重を計測するための下金型荷重計測手段が複数配設されていて、
前記下金型荷重計測手段の各々に予め設定されている荷重値どうしの比と、
前記ワークをプレス加工する際に、前記下金型荷重計測手段の各々に計測された荷重値どうしの比と、が等しくなるように、前記制御手段が前記加圧装置により付与される前記上金型への加圧力を制御することを特徴とする請求項2〜6のうちのいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項8】
前記上金型と前記加圧装置との間には、前記上金型に前記加圧装置による加圧力が付与されるとき係合し、前記上金型のプレス面が前記ワークの上面の傾斜に倣って当接した状態を保持して、前記加圧装置による加圧力を前記上金型に付与することのできる係合部材が設けられていることを特徴とする請求項2〜7のうちのいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項9】
前記係合部材が、凹凸嵌合可能な係合部材であって、前記上金型と前記加圧装置との一方に凸状係合部が形成され、前記上金型と前記加圧装置との他方に前記凸状係合部と係合可能な凹状係合部が形成されていることを特徴とする請求項8記載のプレス装置。
【請求項10】
前記凸状係合部と前記凹状係合部はそれぞれ半球状に形成されていることを特徴とする請求項9記載のプレス装置。
【請求項11】
前記ワークが多層配線基板であることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載のプレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−46988(P2010−46988A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215577(P2008−215577)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】