プレゼンテーション用デバイス
【課題】使用者の負担がより少ないプレゼンテーション用デバイスを提供する。
【解決手段】使用者が把持する把持部23を有する本体2と、本体2における把持部23の前端近傍に設けられた、情報処理装置6に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部31、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部30とを具備し、重心Lが本体2の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイス1を構成した。重心Lが本体2の前半部に存在していることで、使用者の親指の伸筋、屈筋、尺側手根屈筋等の筋活動量が低減し、使用者の疲労がより少なくなる。
【解決手段】使用者が把持する把持部23を有する本体2と、本体2における把持部23の前端近傍に設けられた、情報処理装置6に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部31、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部30とを具備し、重心Lが本体2の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイス1を構成した。重心Lが本体2の前半部に存在していることで、使用者の親指の伸筋、屈筋、尺側手根屈筋等の筋活動量が低減し、使用者の疲労がより少なくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光をスクリーン等に照射することができ、またはプレゼンテーション用のパーソナルコンピュータ等に所要の指令を与えることができる、プレゼンテーション用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレゼンテーションや会議等の場で使用され、プロジェクタやOHP等によりスクリーンに投射した画面の一部をレーザ光で指示するレーザポインタが周知である。
【0003】
また、単にレーザ光を照射するのみならず、パーソナルコンピュータやその他の情報処理装置と無線交信して表示画面の変更等の遠隔操作を行い得るものも開発されている。下記特許文献1に開示されているプレゼンテーション用デバイスでは、ペン型の筐体にレーザ照射用の操作部(押下ボタン)、ページ送り指令用の操作部、及びページ戻し指令用の操作部が設けられており、各操作部を操作することで、レーザ光を照射したり、情報処理装置にページ送り/ページ戻し指令を与えたりすることができる。
【特許文献1】特開2006−330208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記例の如きデバイスでは電池を内蔵することが通例であり、それなりに重量を持つものとなるので、長時間に亘る使用に伴い使用者の手指や手首が疲労する問題があった。
【0005】
以上に鑑みてなされた本発明は、使用者の負担がより少ないプレゼンテーション用デバイスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、使用者が把持する把持部を有する本体と、前記本体における把持部の前端近傍に設けられた、情報処理装置に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部とを具備し、重心が前記本体の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイスを構成した。ここで、操作部とは、押下ボタン、タッチボタン、トラックパッドまたはタッチパネル、レバー、スイッチ等を包括する概念である。情報処理装置とは、パーソナルコンピュータ、多機能型のテレビジョン受像器、ディスク再生装置や記録装置等である。所定の指令とは、スライドやページの表示を切り替えるための指令、画像及び/または音声を再生または停止するための指令、記録するための指令等であるが、その指令が無線送信されるか有線送信されるかは問わない。
【0007】
既存のプレゼンテーション用デバイスでは、本体の(使用者側に近い)後半部に電池を内蔵することもあって、本体の後半部に重心が存在することが専らである。本件発明者は、重心が本体の後半部にあるものと、本体の(使用者側から遠い)前半部にあるものとで、使用者の手の親指の伸筋、屈筋、尺側手根屈筋等の筋活動量を調査した。調査の結果、重心が本体の前半部にあるものの方がより筋活動量が少ない、つまりは負荷が小さいことが明らかとなった。上記の理由から、本体の前半部に重心を位置づけるようデバイスの設計を行った。本発明によれば、既存品と比較して使用者の負担、疲労を軽減することができる。
【0008】
デバイスの重心は、前記本体の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に存在することが好ましい。
【0009】
前記本体における、前記指令用操作部または前記照射用操作部が設けられた面とは反対の面の、指令用操作部または照射用操作部とは略対向する部位に、両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部が形成されていれば、その指掛け部に人差し指を掛け、操作部に親指を乗せ、残りの指で把持部を把持することができる。このように使用すれば、指令用操作部または照射用操作部の操作時に本体がぶれにくくなり、安定感が増す。さらに、指掛け部の位置を頼りにして操作部の概略位置を判断することも可能となる。即ち、操作部の位置を目で確かめる頻度が少なくなる。
【0010】
より詳しくは、重心を前記指令用操作部または前記照射用操作部の近傍に設定する。これにより、親指で操作部を操作する行為の負担が一層軽減する。
【0011】
前記本体の把持部が、使用者側から見て手前に向かうにつれて徐々に下方に湾曲した形状をなしていれば、中指、薬指及び小指でこれを把持しやすく、使用者の手によくフィットする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者の負担がより少ないプレゼンテーション用デバイスを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、レーザ光を照射することができ、また情報処理装置6に所要の指令を与えることができるものである。
【0014】
一般に、プレゼンテーションや会議等の場では、スライドやページ等を表示したり、画像及び/または音声を再生したり、録画/録音したりするための情報処理装置6を使用する。情報処理装置6は、具体的にはパーソナルコンピュータ、多機能型のテレビジョン受像器、ディスク再生装置や記録装置等であり、図7に示しているように、必要に応じてプロジェクタ7、モニタ、アンプ及びスピーカ、カメラ、マイク等の機器を接続する。
【0015】
また、情報処理装置6には、プレゼンテーション用デバイス1から発信される無線信号を受信する無線レシーバ5を接続する。尤も、情報処理装置6自体にレシーバ5を内蔵している場合や、プレゼンテーション用デバイス1と情報処理装置6とを有線接続する場合にはこの限りでない。
【0016】
本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、図1ないし図6に示すように、使用者が把持する把持部23を有する本体2と、本体2上面に設けた照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32とを具備する。
【0017】
本体2は、前後に伸長しつつ前後方向の中間部でなだらかに湾曲した形状をなしており、その湾曲を開始した部位から後方(使用者から見て手前方)が把持部23となる。本体2には、情報処理装置6に向けて無線信号を送出するための無線トランシーバ41、レーザ光を発振するための半導体レーザ素子42、トランシーバ41やレーザ素子42を制御する制御回路43等を内蔵している。これらトランシーバ41、レーザ素子42及び制御回路43等は、本体2の前半部に所在する。加えて、本体2の後半部の下方領域には、電池を収容する電池ボックス25を設けている。
【0018】
照射用操作部30は、レーザ光を照射する目的で操作されるものである。他方、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、情報処理装置6上で実行されるソフトフェアの機能を制御する目的で操作されるものである。第二指令用操作部32に対する操作は、前記指令用操作部31に対する操作とは逆の意味を持つ。例えば、ソフトウェアが複数のスライドまたはページを順次表示するプレゼンテーションソフトである場合、指令用操作部31に対する操作はスライドまたはページを次のものに切り替える旨を意味し、第二指令用操作部32に対する操作はスライドまたはページを前のものに戻す旨を意味する。ソフトウェアが画像や音声を再生する再生ソフトである場合、指令用操作部31に対する操作は画像や音声を再生する旨を意味し、第二指令用操作部32に対する操作は画像や音声の再生を停止、または巻き戻す旨を意味する。ソフトウェアが画像や音声を記録する録画/録音ソフトである場合、指令用操作部31に対する操作は録画または録音する旨を意味し、第二指令用操作部32に対する操作は録画または録音を停止する旨を意味する。なお、情報処理装置6が汎用的なOSをインストールしたコンピュータであるならば、指令用操作部31に対する操作が(ワイヤレス)マウスの主ボタンのクリックと同義となり、第二指令用操作部32に対する操作がマウスの副ボタンのクリックと同義となる。プレゼンテーションや会議等の場では、照射用操作部30及び指令用操作部31の操作頻度が比較的高く、第二指令用操作部32の操作頻度はそれよりも低いと考えられる。
【0019】
照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、制御回路43に電気的に接続している。照射用操作部30が操作されたとき、制御回路43はレーザ素子42を駆動してレーザ光を発振させ、これを前方に照射する。指令用操作部31が操作されたときには、制御回路43はトランシーバ41を介して所定の指令、即ちスライドまたはページの順送り、画像や音声の再生、録画または録音等を指令する信号を送信する。翻って、第二指令用操作部32が操作されたときには、制御回路43はトランシーバ41を介して前記指令と相異した指令、即ちスライドまたはページの逆送り、画像や音声の再生停止または巻き戻し、録画または録音の停止等を指令する信号を送信する。レシーバ5を介してこれらの信号を受信した情報処理装置6は、その指令に従い上述のソフトウェア機能を実行する。
【0020】
本実施形態において、照射用操作部30、指令用操作部31、第二指令用操作部32はそれぞれ押下ボタンである。照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、本体2の前半部、換言すれば把持部23の前端近傍に所在している。照射用操作部30は、本体2の左右方向の中心軸上にある。指令用操作部31は本体2の中心軸から右方に偏倚し、第二指令用操作部32は本体2の中心軸から左方に偏倚している。加えて、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、照射用操作部30よりも後方にある。総じて、照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、平面視二等辺三角形の頂点に位置する形に分散している。
【0021】
照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、平面視略円形状をなす。照射用操作部30の平面視直径は、例えば約8mmないし約10mmとする。指令用操作部31の平面視直径は照射用操作部30のそれより小さく、例えば約5mmとする。第二指令用操作部32の平面視直径は指令用操作部31のそれより小さく、例えば約4mmとする。
【0022】
照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32の離間距離に関して考察する。複数人の被験者について、本体2(の把持部23)を把持した状態での親指の可動範囲を調査した結果を、図9に示す。図中、外側の実線R1は被験者の親指の可動範囲の平均を表し、内側の破線R2は被験者が照射用操作部30を親指で操作しやすいと感じた範囲の平均を表す。図に描画した格子の目は、一辺が5mmである。この調査結果によれば、曲線R2の範囲内に照射用操作部30を配置したとき、照射用操作部30の中央から指令用操作部31または第二指令用操作部32の中央までの距離は約20mm以下に収まることが好ましいと言える。並びに、指令用操作部31の中央と第二指令用操作部32の中央との距離は、約16mm以上約22mm以下であることが好ましいと言える。
【0023】
本実施形態では、各操作部30、31、32の先端即ち上端を、本体2の表面即ち上面から突出しないように位置づけている。そして、本体2の上面には、各操作部30、31、32の周縁に隣接する凹部21、22を形成してある。凹部21、22は、内周が断面視略擂鉢状をなし、各操作部30、31、32の周縁を全周に亘り包囲する。特に、照射用操作部30の周囲の凹部と指令用操作部31の周囲の凹部とは連続し、両操作部30、31を包囲する一体の凹部21となっている。この凹部21は、第二指令用操作部32の周囲の凹部22とは隔絶している。
【0024】
照射用操作部30は指令用操作部31及び第二指令用操作部32よりも前方にあることから、照射用操作部30は親指の腹で押下される蓋然性が高い。親指が比較的太い使用者でも照射用操作部30を適切に押下できるようにするには、照射用操作部30の周囲の凹部21がある程度以上拡がっている必要がある。照射用操作部30が平面視直径約10mm以下の場合、凹部21の周縁は平面視直径約15mm以上であることが望ましい。本実施形態では、凹部21の周縁の平面視直径を約20mmに設定している。
【0025】
照射用操作部30の周囲の凹部21には、通電確認用のランプ27を埋設している。ランプ27は、凹部21の前端縁近傍にある。このランプ27は、制御回路43と電気的に接続している。制御回路43は、照射用操作部30、指令用操作部31または第二指令用操作部32が押下操作されている間ランプ27に通電してこれを点灯させる。
【0026】
また、本体2の前半部における下面に、上下両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部24を形成している。指掛け部24の後端縁は、照射用操作部30と上下方向に略対向する箇所にある。但し、指掛け部24の後端縁を、指令用操作部31または第二指令用操作部32と上下方向に略対向する箇所に位置づけても構わない。使用者は、指掛け部24に人差し指を掛け、残りの指で把持部23を把持した状態で、操作部30、31、32に親指を乗せてこれを押下操作することができる。
【0027】
本体2の前端部、レーザ光の出射窓26から下方に偏倚した部位は斜めに切り落としてあり、その傾斜面からダイヤル33を突き出させている。ダイヤル33は、レーザ光の投影形状を選択するためのものである。本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、レーザ光をスクリーン8等に照射したときの投影形状を複数の態様から選択可能である。具体的には、ポイント(点)、サークル(輪)またはラインL(線分)の何れかの投影形状をとり得る。使用者は、このダイヤル33を回転させることで、レーザ光の投影形状を選択する。本体2の上面における前端近傍の部位には、現在選択されている投影形状を表示するための表示部29を設けてある。この表示部29は、レーザ光の投影形状に合わせた透明部分を有する。図2に、透明部分を薄墨で示している。使用者は、この透明部分を介してダイヤル33の上面を透視することができる。ダイヤル33の上面は一部を着色してあって、その色が現在選択されている投影形状の透明部分から透けて見える。
【0028】
本体2の後端部、電池ボックス25の直上の領域には、後方に連通した収納空間28を開設しており、この収納空間28にレシーバ5を収納することができる。収納空間28にレシーバ5を収納した様子を、図5に示している。
【0029】
レシーバ5に関して補足すると、レシーバ5は、図8に示すように、制御回路等を内蔵した筐体51から、前方に情報処理装置6に接続するための接続プラグ52(USB、IEEE1394等)を突き出させているもので、プラグ52を介して受信した信号を情報処理装置6に送るとともに情報処理装置6から給電を受ける。筐体51の後端部の上縁は、筐体51の上面よりも突出してストッパ53を形成している。レシーバ5をプレゼンテーション用デバイス1本体2の収納空間28に挿入したとき、このストッパ53が収納空間28の入口の縁に当接して、レシーバ5が収納空間28の内奥へ没入してしまうのを阻止する。また、筐体51の側面、ストッパ53の直前の部位を一部切り欠いており、使用者がこの切欠部分54を摘んでレシーバ5を抜き差ししやすいようにしている。
【0030】
本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、重心が本体2の前半部にあるように設計している。重心位置の設定に関して考察する。複数人の被験者について、本体2(の把持部23)を把持してレーザ光を照射する体勢をとらせ、その様子を側方から撮影する。このとき、レーザ光を照射する目標の高さ位置は不定とする。一人の被験者につき複数回の試行、撮影を行い、複数回及び複数人分の撮影画像を重ね合わせると、図10に示すように、本体2の傾斜角度のばらつきの中心、換言すれば最もぶれの少ないラインLが判明する。そのラインLは、図11に示すように、本体2の前半部に属し、本体2の前端から約50mm前後の位置にあることが判明した。因みに、本体2の最前端から最後端までの全長は約125mmである。このラインLの近傍に重心を設定すれば、個々人の使用機会毎の本体2の傾斜角度のばらつきに伴う重心移動が少なくなるので、使い勝手の向上を期待できる。
【0031】
複数人の被験者について、本体2を把持した状態での親指の伸筋、屈筋及び尺側手根屈筋の筋活動量を測定した結果を、図12に示す。図中、筋活動量の値は複数人の平均値である。この測定結果によれば、本体2の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に重心を設定することが、筋活動量の低減に有効であると判断できる。
【0032】
しかして、本実施形態では、本体2の重心位置の近傍に、照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32を設けている。厳密には、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は本体2の重心位置に極近接し、照射用操作部30は本体2の重心位置から若干前方に偏倚している。重心を本体2の前半部に設定し、その重心の付近に操作部30、31、32を配し、操作部以後の部位を把持部23とすることで、使用時の使用者の疲労を軽減でき、しかも本体2の全長を不必要に長大化させずに済む。
【0033】
複数人の被験者について、本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1及び既存のレーザポインタ三種を個別に使用させ、親指の伸筋、屈筋及び尺側手根屈筋の筋活動量を測定した結果を、図13に示す。図中、筋活動量の値は複数人の平均値である。既存品イ、ロ、ハは全て、重心が本体2の後半部に存在しているものである。本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1の使用時の筋活動量は既存品使用時の筋活動量よりも少なく、使用者の負担が小さいことが分かる。
【0034】
本実施形態によれば、使用者が把持する把持部23を有する本体2と、前記本体2における把持部23の前端近傍に設けられた、情報処理装置6に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部31、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部30とを具備し、重心が前記本体2の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイス1を構成したため、既存品と比較して使用者の負担、疲労を軽減することができる。
【0035】
デバイスの重心が前記本体2の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に存在しており、使用時の親指の屈筋、伸筋、尺側手根屈筋等の筋活動量を低減できる。
【0036】
前記本体2における、前記指令用操作部31または前記照射用操作部30が設けられた面とは反対の面の、指令用操作部31または照射用操作部30とは略対向する部位に、両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部24が形成されているため、その指掛け部24に人差し指を掛け、操作部31、30に親指を乗せ、残りの指で把持部23を把持することができる。このように使用すれば、指令用操作部31または照射用操作部30の操作時に本体2がぶれにくくなり、安定感が増す。さらに、指掛け部24の位置を頼りにして操作部の概略位置を判断することも可能となる。即ち、操作部の位置を目で確かめる頻度が少なくなる。
【0037】
重心を前記指令用操作部31及び前記照射用操作部30の近傍に設定しているため、親指で操作部を操作する行為の負担が一層軽減する。
【0038】
前記本体2の把持部23が、使用者側から見て手前に向かうにつれて徐々に下方に湾曲した形状をなしているため、中指、薬指及び小指でこれを把持しやすく、使用者の手によくフィットする。
【0039】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、操作部30、31、32は押下ボタンであったが、操作部30、31、32が押下ボタン以外のもの、例えばタッチボタン、トラックパッドまたはタッチパネル、レバー、スイッチ等であったとしても、本発明特有の効果を十分に奏し得る。
【0040】
また、上記実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、レーザ照射機能と情報処理装置6に対する指令機能とを両備しているものであったが、その何れか一方を省略しても構わない。つまるところ、本体に照射用操作部30のみを設けている態様、あるいは指令用操作部31及び第二指令用操作部32のみを設けている態様を妨げない。
【0041】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態のプレゼンテーション用デバイスを示す斜視図。
【図2】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの平面図。
【図3】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの底面図。
【図4】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの正面図。
【図5】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスのA−B−C−D−E−F線組み合わせ側断面図。
【図6】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスのG−G線背断面図。
【図7】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの使用態様を示す図。
【図8】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスと組み合わせて使用する無線レシーバを示す斜視図。
【図9】好適な操作部の配置及び操作部間の距離に関する調査の結果を示す平面図。
【図10】最もぶれの少ないラインに関する調査の結果を示す側面図。
【図11】最もぶれの少ないラインに関する調査の結果を示す側面図。
【図12】プレゼンテーション用デバイスの前端から重心までの距離とこのプレゼンテーション用デバイスを使用したときの筋活動量との関係を測定した結果を示す表。
【図13】同実施形態のプレゼンテーション用デバイス及び既存のプレゼンテーション用デバイスを使用したときの筋活動量を測定した結果を示す表。
【符号の説明】
【0043】
1…プレゼンテーション用デバイス
2…本体
21、22…凹部
23…把持部
24…指掛け部
30…照射用操作部
31…指令用操作部
32…第二指令用操作部
6…情報処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光をスクリーン等に照射することができ、またはプレゼンテーション用のパーソナルコンピュータ等に所要の指令を与えることができる、プレゼンテーション用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレゼンテーションや会議等の場で使用され、プロジェクタやOHP等によりスクリーンに投射した画面の一部をレーザ光で指示するレーザポインタが周知である。
【0003】
また、単にレーザ光を照射するのみならず、パーソナルコンピュータやその他の情報処理装置と無線交信して表示画面の変更等の遠隔操作を行い得るものも開発されている。下記特許文献1に開示されているプレゼンテーション用デバイスでは、ペン型の筐体にレーザ照射用の操作部(押下ボタン)、ページ送り指令用の操作部、及びページ戻し指令用の操作部が設けられており、各操作部を操作することで、レーザ光を照射したり、情報処理装置にページ送り/ページ戻し指令を与えたりすることができる。
【特許文献1】特開2006−330208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記例の如きデバイスでは電池を内蔵することが通例であり、それなりに重量を持つものとなるので、長時間に亘る使用に伴い使用者の手指や手首が疲労する問題があった。
【0005】
以上に鑑みてなされた本発明は、使用者の負担がより少ないプレゼンテーション用デバイスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、使用者が把持する把持部を有する本体と、前記本体における把持部の前端近傍に設けられた、情報処理装置に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部とを具備し、重心が前記本体の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイスを構成した。ここで、操作部とは、押下ボタン、タッチボタン、トラックパッドまたはタッチパネル、レバー、スイッチ等を包括する概念である。情報処理装置とは、パーソナルコンピュータ、多機能型のテレビジョン受像器、ディスク再生装置や記録装置等である。所定の指令とは、スライドやページの表示を切り替えるための指令、画像及び/または音声を再生または停止するための指令、記録するための指令等であるが、その指令が無線送信されるか有線送信されるかは問わない。
【0007】
既存のプレゼンテーション用デバイスでは、本体の(使用者側に近い)後半部に電池を内蔵することもあって、本体の後半部に重心が存在することが専らである。本件発明者は、重心が本体の後半部にあるものと、本体の(使用者側から遠い)前半部にあるものとで、使用者の手の親指の伸筋、屈筋、尺側手根屈筋等の筋活動量を調査した。調査の結果、重心が本体の前半部にあるものの方がより筋活動量が少ない、つまりは負荷が小さいことが明らかとなった。上記の理由から、本体の前半部に重心を位置づけるようデバイスの設計を行った。本発明によれば、既存品と比較して使用者の負担、疲労を軽減することができる。
【0008】
デバイスの重心は、前記本体の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に存在することが好ましい。
【0009】
前記本体における、前記指令用操作部または前記照射用操作部が設けられた面とは反対の面の、指令用操作部または照射用操作部とは略対向する部位に、両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部が形成されていれば、その指掛け部に人差し指を掛け、操作部に親指を乗せ、残りの指で把持部を把持することができる。このように使用すれば、指令用操作部または照射用操作部の操作時に本体がぶれにくくなり、安定感が増す。さらに、指掛け部の位置を頼りにして操作部の概略位置を判断することも可能となる。即ち、操作部の位置を目で確かめる頻度が少なくなる。
【0010】
より詳しくは、重心を前記指令用操作部または前記照射用操作部の近傍に設定する。これにより、親指で操作部を操作する行為の負担が一層軽減する。
【0011】
前記本体の把持部が、使用者側から見て手前に向かうにつれて徐々に下方に湾曲した形状をなしていれば、中指、薬指及び小指でこれを把持しやすく、使用者の手によくフィットする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者の負担がより少ないプレゼンテーション用デバイスを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、レーザ光を照射することができ、また情報処理装置6に所要の指令を与えることができるものである。
【0014】
一般に、プレゼンテーションや会議等の場では、スライドやページ等を表示したり、画像及び/または音声を再生したり、録画/録音したりするための情報処理装置6を使用する。情報処理装置6は、具体的にはパーソナルコンピュータ、多機能型のテレビジョン受像器、ディスク再生装置や記録装置等であり、図7に示しているように、必要に応じてプロジェクタ7、モニタ、アンプ及びスピーカ、カメラ、マイク等の機器を接続する。
【0015】
また、情報処理装置6には、プレゼンテーション用デバイス1から発信される無線信号を受信する無線レシーバ5を接続する。尤も、情報処理装置6自体にレシーバ5を内蔵している場合や、プレゼンテーション用デバイス1と情報処理装置6とを有線接続する場合にはこの限りでない。
【0016】
本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、図1ないし図6に示すように、使用者が把持する把持部23を有する本体2と、本体2上面に設けた照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32とを具備する。
【0017】
本体2は、前後に伸長しつつ前後方向の中間部でなだらかに湾曲した形状をなしており、その湾曲を開始した部位から後方(使用者から見て手前方)が把持部23となる。本体2には、情報処理装置6に向けて無線信号を送出するための無線トランシーバ41、レーザ光を発振するための半導体レーザ素子42、トランシーバ41やレーザ素子42を制御する制御回路43等を内蔵している。これらトランシーバ41、レーザ素子42及び制御回路43等は、本体2の前半部に所在する。加えて、本体2の後半部の下方領域には、電池を収容する電池ボックス25を設けている。
【0018】
照射用操作部30は、レーザ光を照射する目的で操作されるものである。他方、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、情報処理装置6上で実行されるソフトフェアの機能を制御する目的で操作されるものである。第二指令用操作部32に対する操作は、前記指令用操作部31に対する操作とは逆の意味を持つ。例えば、ソフトウェアが複数のスライドまたはページを順次表示するプレゼンテーションソフトである場合、指令用操作部31に対する操作はスライドまたはページを次のものに切り替える旨を意味し、第二指令用操作部32に対する操作はスライドまたはページを前のものに戻す旨を意味する。ソフトウェアが画像や音声を再生する再生ソフトである場合、指令用操作部31に対する操作は画像や音声を再生する旨を意味し、第二指令用操作部32に対する操作は画像や音声の再生を停止、または巻き戻す旨を意味する。ソフトウェアが画像や音声を記録する録画/録音ソフトである場合、指令用操作部31に対する操作は録画または録音する旨を意味し、第二指令用操作部32に対する操作は録画または録音を停止する旨を意味する。なお、情報処理装置6が汎用的なOSをインストールしたコンピュータであるならば、指令用操作部31に対する操作が(ワイヤレス)マウスの主ボタンのクリックと同義となり、第二指令用操作部32に対する操作がマウスの副ボタンのクリックと同義となる。プレゼンテーションや会議等の場では、照射用操作部30及び指令用操作部31の操作頻度が比較的高く、第二指令用操作部32の操作頻度はそれよりも低いと考えられる。
【0019】
照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、制御回路43に電気的に接続している。照射用操作部30が操作されたとき、制御回路43はレーザ素子42を駆動してレーザ光を発振させ、これを前方に照射する。指令用操作部31が操作されたときには、制御回路43はトランシーバ41を介して所定の指令、即ちスライドまたはページの順送り、画像や音声の再生、録画または録音等を指令する信号を送信する。翻って、第二指令用操作部32が操作されたときには、制御回路43はトランシーバ41を介して前記指令と相異した指令、即ちスライドまたはページの逆送り、画像や音声の再生停止または巻き戻し、録画または録音の停止等を指令する信号を送信する。レシーバ5を介してこれらの信号を受信した情報処理装置6は、その指令に従い上述のソフトウェア機能を実行する。
【0020】
本実施形態において、照射用操作部30、指令用操作部31、第二指令用操作部32はそれぞれ押下ボタンである。照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、本体2の前半部、換言すれば把持部23の前端近傍に所在している。照射用操作部30は、本体2の左右方向の中心軸上にある。指令用操作部31は本体2の中心軸から右方に偏倚し、第二指令用操作部32は本体2の中心軸から左方に偏倚している。加えて、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、照射用操作部30よりも後方にある。総じて、照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、平面視二等辺三角形の頂点に位置する形に分散している。
【0021】
照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は、平面視略円形状をなす。照射用操作部30の平面視直径は、例えば約8mmないし約10mmとする。指令用操作部31の平面視直径は照射用操作部30のそれより小さく、例えば約5mmとする。第二指令用操作部32の平面視直径は指令用操作部31のそれより小さく、例えば約4mmとする。
【0022】
照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32の離間距離に関して考察する。複数人の被験者について、本体2(の把持部23)を把持した状態での親指の可動範囲を調査した結果を、図9に示す。図中、外側の実線R1は被験者の親指の可動範囲の平均を表し、内側の破線R2は被験者が照射用操作部30を親指で操作しやすいと感じた範囲の平均を表す。図に描画した格子の目は、一辺が5mmである。この調査結果によれば、曲線R2の範囲内に照射用操作部30を配置したとき、照射用操作部30の中央から指令用操作部31または第二指令用操作部32の中央までの距離は約20mm以下に収まることが好ましいと言える。並びに、指令用操作部31の中央と第二指令用操作部32の中央との距離は、約16mm以上約22mm以下であることが好ましいと言える。
【0023】
本実施形態では、各操作部30、31、32の先端即ち上端を、本体2の表面即ち上面から突出しないように位置づけている。そして、本体2の上面には、各操作部30、31、32の周縁に隣接する凹部21、22を形成してある。凹部21、22は、内周が断面視略擂鉢状をなし、各操作部30、31、32の周縁を全周に亘り包囲する。特に、照射用操作部30の周囲の凹部と指令用操作部31の周囲の凹部とは連続し、両操作部30、31を包囲する一体の凹部21となっている。この凹部21は、第二指令用操作部32の周囲の凹部22とは隔絶している。
【0024】
照射用操作部30は指令用操作部31及び第二指令用操作部32よりも前方にあることから、照射用操作部30は親指の腹で押下される蓋然性が高い。親指が比較的太い使用者でも照射用操作部30を適切に押下できるようにするには、照射用操作部30の周囲の凹部21がある程度以上拡がっている必要がある。照射用操作部30が平面視直径約10mm以下の場合、凹部21の周縁は平面視直径約15mm以上であることが望ましい。本実施形態では、凹部21の周縁の平面視直径を約20mmに設定している。
【0025】
照射用操作部30の周囲の凹部21には、通電確認用のランプ27を埋設している。ランプ27は、凹部21の前端縁近傍にある。このランプ27は、制御回路43と電気的に接続している。制御回路43は、照射用操作部30、指令用操作部31または第二指令用操作部32が押下操作されている間ランプ27に通電してこれを点灯させる。
【0026】
また、本体2の前半部における下面に、上下両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部24を形成している。指掛け部24の後端縁は、照射用操作部30と上下方向に略対向する箇所にある。但し、指掛け部24の後端縁を、指令用操作部31または第二指令用操作部32と上下方向に略対向する箇所に位置づけても構わない。使用者は、指掛け部24に人差し指を掛け、残りの指で把持部23を把持した状態で、操作部30、31、32に親指を乗せてこれを押下操作することができる。
【0027】
本体2の前端部、レーザ光の出射窓26から下方に偏倚した部位は斜めに切り落としてあり、その傾斜面からダイヤル33を突き出させている。ダイヤル33は、レーザ光の投影形状を選択するためのものである。本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、レーザ光をスクリーン8等に照射したときの投影形状を複数の態様から選択可能である。具体的には、ポイント(点)、サークル(輪)またはラインL(線分)の何れかの投影形状をとり得る。使用者は、このダイヤル33を回転させることで、レーザ光の投影形状を選択する。本体2の上面における前端近傍の部位には、現在選択されている投影形状を表示するための表示部29を設けてある。この表示部29は、レーザ光の投影形状に合わせた透明部分を有する。図2に、透明部分を薄墨で示している。使用者は、この透明部分を介してダイヤル33の上面を透視することができる。ダイヤル33の上面は一部を着色してあって、その色が現在選択されている投影形状の透明部分から透けて見える。
【0028】
本体2の後端部、電池ボックス25の直上の領域には、後方に連通した収納空間28を開設しており、この収納空間28にレシーバ5を収納することができる。収納空間28にレシーバ5を収納した様子を、図5に示している。
【0029】
レシーバ5に関して補足すると、レシーバ5は、図8に示すように、制御回路等を内蔵した筐体51から、前方に情報処理装置6に接続するための接続プラグ52(USB、IEEE1394等)を突き出させているもので、プラグ52を介して受信した信号を情報処理装置6に送るとともに情報処理装置6から給電を受ける。筐体51の後端部の上縁は、筐体51の上面よりも突出してストッパ53を形成している。レシーバ5をプレゼンテーション用デバイス1本体2の収納空間28に挿入したとき、このストッパ53が収納空間28の入口の縁に当接して、レシーバ5が収納空間28の内奥へ没入してしまうのを阻止する。また、筐体51の側面、ストッパ53の直前の部位を一部切り欠いており、使用者がこの切欠部分54を摘んでレシーバ5を抜き差ししやすいようにしている。
【0030】
本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、重心が本体2の前半部にあるように設計している。重心位置の設定に関して考察する。複数人の被験者について、本体2(の把持部23)を把持してレーザ光を照射する体勢をとらせ、その様子を側方から撮影する。このとき、レーザ光を照射する目標の高さ位置は不定とする。一人の被験者につき複数回の試行、撮影を行い、複数回及び複数人分の撮影画像を重ね合わせると、図10に示すように、本体2の傾斜角度のばらつきの中心、換言すれば最もぶれの少ないラインLが判明する。そのラインLは、図11に示すように、本体2の前半部に属し、本体2の前端から約50mm前後の位置にあることが判明した。因みに、本体2の最前端から最後端までの全長は約125mmである。このラインLの近傍に重心を設定すれば、個々人の使用機会毎の本体2の傾斜角度のばらつきに伴う重心移動が少なくなるので、使い勝手の向上を期待できる。
【0031】
複数人の被験者について、本体2を把持した状態での親指の伸筋、屈筋及び尺側手根屈筋の筋活動量を測定した結果を、図12に示す。図中、筋活動量の値は複数人の平均値である。この測定結果によれば、本体2の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に重心を設定することが、筋活動量の低減に有効であると判断できる。
【0032】
しかして、本実施形態では、本体2の重心位置の近傍に、照射用操作部30、指令用操作部31及び第二指令用操作部32を設けている。厳密には、指令用操作部31及び第二指令用操作部32は本体2の重心位置に極近接し、照射用操作部30は本体2の重心位置から若干前方に偏倚している。重心を本体2の前半部に設定し、その重心の付近に操作部30、31、32を配し、操作部以後の部位を把持部23とすることで、使用時の使用者の疲労を軽減でき、しかも本体2の全長を不必要に長大化させずに済む。
【0033】
複数人の被験者について、本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1及び既存のレーザポインタ三種を個別に使用させ、親指の伸筋、屈筋及び尺側手根屈筋の筋活動量を測定した結果を、図13に示す。図中、筋活動量の値は複数人の平均値である。既存品イ、ロ、ハは全て、重心が本体2の後半部に存在しているものである。本実施形態のプレゼンテーション用デバイス1の使用時の筋活動量は既存品使用時の筋活動量よりも少なく、使用者の負担が小さいことが分かる。
【0034】
本実施形態によれば、使用者が把持する把持部23を有する本体2と、前記本体2における把持部23の前端近傍に設けられた、情報処理装置6に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部31、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部30とを具備し、重心が前記本体2の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイス1を構成したため、既存品と比較して使用者の負担、疲労を軽減することができる。
【0035】
デバイスの重心が前記本体2の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に存在しており、使用時の親指の屈筋、伸筋、尺側手根屈筋等の筋活動量を低減できる。
【0036】
前記本体2における、前記指令用操作部31または前記照射用操作部30が設けられた面とは反対の面の、指令用操作部31または照射用操作部30とは略対向する部位に、両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部24が形成されているため、その指掛け部24に人差し指を掛け、操作部31、30に親指を乗せ、残りの指で把持部23を把持することができる。このように使用すれば、指令用操作部31または照射用操作部30の操作時に本体2がぶれにくくなり、安定感が増す。さらに、指掛け部24の位置を頼りにして操作部の概略位置を判断することも可能となる。即ち、操作部の位置を目で確かめる頻度が少なくなる。
【0037】
重心を前記指令用操作部31及び前記照射用操作部30の近傍に設定しているため、親指で操作部を操作する行為の負担が一層軽減する。
【0038】
前記本体2の把持部23が、使用者側から見て手前に向かうにつれて徐々に下方に湾曲した形状をなしているため、中指、薬指及び小指でこれを把持しやすく、使用者の手によくフィットする。
【0039】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、操作部30、31、32は押下ボタンであったが、操作部30、31、32が押下ボタン以外のもの、例えばタッチボタン、トラックパッドまたはタッチパネル、レバー、スイッチ等であったとしても、本発明特有の効果を十分に奏し得る。
【0040】
また、上記実施形態のプレゼンテーション用デバイス1は、レーザ照射機能と情報処理装置6に対する指令機能とを両備しているものであったが、その何れか一方を省略しても構わない。つまるところ、本体に照射用操作部30のみを設けている態様、あるいは指令用操作部31及び第二指令用操作部32のみを設けている態様を妨げない。
【0041】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態のプレゼンテーション用デバイスを示す斜視図。
【図2】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの平面図。
【図3】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの底面図。
【図4】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの正面図。
【図5】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスのA−B−C−D−E−F線組み合わせ側断面図。
【図6】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスのG−G線背断面図。
【図7】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスの使用態様を示す図。
【図8】同実施形態のプレゼンテーション用デバイスと組み合わせて使用する無線レシーバを示す斜視図。
【図9】好適な操作部の配置及び操作部間の距離に関する調査の結果を示す平面図。
【図10】最もぶれの少ないラインに関する調査の結果を示す側面図。
【図11】最もぶれの少ないラインに関する調査の結果を示す側面図。
【図12】プレゼンテーション用デバイスの前端から重心までの距離とこのプレゼンテーション用デバイスを使用したときの筋活動量との関係を測定した結果を示す表。
【図13】同実施形態のプレゼンテーション用デバイス及び既存のプレゼンテーション用デバイスを使用したときの筋活動量を測定した結果を示す表。
【符号の説明】
【0043】
1…プレゼンテーション用デバイス
2…本体
21、22…凹部
23…把持部
24…指掛け部
30…照射用操作部
31…指令用操作部
32…第二指令用操作部
6…情報処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する把持部を有する本体と、
前記本体における把持部の前端近傍に設けられた、情報処理装置に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部とを具備し、
重心が前記本体の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイス。
【請求項2】
重心が前記本体の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に存在する請求項1記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項3】
前記本体における、前記指令用操作部または前記照射用操作部が設けられた面とは反対の面の、指令用操作部または照射用操作部とは略対向する部位に、両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部が形成されている請求項1または2記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項4】
重心が前記指令用操作部の近傍に存在する請求項1、2または3記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項5】
重心が前記照射用操作部の近傍に存在する請求項1、2または3記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項6】
前記本体の把持部は、使用者側から見て手前に向かうにつれて徐々に下方に湾曲した形状をなす請求項1、2、3、4または5記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項1】
使用者が把持する把持部を有する本体と、
前記本体における把持部の前端近傍に設けられた、情報処理装置に向けて所定の指令を発するために操作される指令用操作部、または、レーザ光を照射するために操作される照射用操作部とを具備し、
重心が前記本体の前半部に設定されたプレゼンテーション用デバイス。
【請求項2】
重心が前記本体の前端から約50mmないし約60mmの範囲内に存在する請求項1記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項3】
前記本体における、前記指令用操作部または前記照射用操作部が設けられた面とは反対の面の、指令用操作部または照射用操作部とは略対向する部位に、両面間の厚み寸法が他の部位よりも小さくなるように窪ませた指掛け部が形成されている請求項1または2記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項4】
重心が前記指令用操作部の近傍に存在する請求項1、2または3記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項5】
重心が前記照射用操作部の近傍に存在する請求項1、2または3記載のプレゼンテーション用デバイス。
【請求項6】
前記本体の把持部は、使用者側から見て手前に向かうにつれて徐々に下方に湾曲した形状をなす請求項1、2、3、4または5記載のプレゼンテーション用デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−289086(P2009−289086A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141712(P2008−141712)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]