プレファブ管の接続構造
【課題】プレファブ管の接続に手間がかからず、短い工期内でプレファブ管の取付けを完了することができるプレファブ管の接続構造を提供する。
【解決手段】端部に拡径部20が設けられた第1プレファブ管11と、一端12aが拡径部20に挿入される第2プレファブ管12とを接続し、拡径部20に設けられ、第2プレファブ管12より大径に形成された筒部11bと、筒部11bの端部に形成されたテーパフランジ11aと、第2プレファブ管12の外表面に固着された環状部材14と、環状部材14とテーパフランジ11aとを締め付ける締付部材と、環状部材とテーパフランジとが締付部材により締め付けられて、テーパフランジ11aの表面と鍔部の端面とが当接することにより、鍔部と環状壁部とテーパフランジ11aと第2プレファブ管12の一端の外表面とにより規定された環状の収納室と、収納室内に収納された環状のシール部材15とを備える。
【解決手段】端部に拡径部20が設けられた第1プレファブ管11と、一端12aが拡径部20に挿入される第2プレファブ管12とを接続し、拡径部20に設けられ、第2プレファブ管12より大径に形成された筒部11bと、筒部11bの端部に形成されたテーパフランジ11aと、第2プレファブ管12の外表面に固着された環状部材14と、環状部材14とテーパフランジ11aとを締め付ける締付部材と、環状部材とテーパフランジとが締付部材により締め付けられて、テーパフランジ11aの表面と鍔部の端面とが当接することにより、鍔部と環状壁部とテーパフランジ11aと第2プレファブ管12の一端の外表面とにより規定された環状の収納室と、収納室内に収納された環状のシール部材15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の配管同士を接続するプレファブ管の接続の構造。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築設備分野においては、給水・給湯等の流体物を流通させるための配管が用いられている。この配管の設計および取り付け工事は、建築工事の品質および工期を左右する大きな要因となっている。その一方で、建築物の基礎工事や、鉄骨の組立作業に工期の大部分を費やされるため、残された短い期間の中で、配管の取付け工事を行う必要がある。そこで、従来から、短い工期の中で配管の取付けを行うために、ユニット工法、プレファブ工法に必要な管のモジュール化等の手法が提案されている。
【0003】
たとえば、ユニット工法は、対象となる建築物の設計図から、3次元的に示されたアイソメトリック図を作成し、このアイソメトリック図に基づいて、管割位置等を設定して、各配管製作図を作成する。そして、作成されたアイソメトリック図および配管製作図に基づいて、工事現場とは別の工場で管を作製し、このモジュール管を接続して、管ユニットを形成する。その後、形成された配管ユニットを工事現場に搬入し、この配管ユニットごとに、他の機器と接続したり、配管ユニットと他の配管ユニットとを接続したりして、配管の取付けを完了する。
【0004】
プレファブ工法とは、モジュール管の作製ならびに配管ユニット化を含めた技術を意味し、予め配管工場で作製した後に、モジュール管を工場現場に搬入し、組み立てを行う。
【0005】
上記の手法によれば、配管の取付け位置および管番号が、予めアイソメトリック図で判明しているため、管番号順に配管作業していくことで、作業の効率化を図ることができ、短い工期内においても、配管の取付けを完了することができる。
【0006】
このように、短い工期内で、配管の取付けを行う手法以外にも、単に配管同士を接続する手法として、特開2001−205367号公報および特開平9−229260号公報に記載された手法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−205367号公報
【特許文献2】特開平9−229260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の手法においては、配管ユニットを他の機器等と接続したり、モジュール管を取り付けたりする際に、管同士を正確に位置合わせした状態で保持し、フランジ等に形成された貫通孔にボルト等を通し、ナットで固定していた。このため、配管の取付けが完了するまでの間、管を保持する作業者と、ボルト締め等を行う作業者とを要し、接続効率が非常に悪いものとなっている。さらに、管同士が正確に位置合わせされていなければ、フランジ等に形成された貫通孔にボルトを通すことができず、管同士を固定するのに非常に時間を要するものとなっている。このため、従来の手法によっては、短い工期の間に、配管の取付けを完了することが困難なものとなっている。なお、特開2001−205367号公報および特開平9−229260号公報に記載された接続方法は、上記ユニット工法、プレファブ工法等とは、何等関係のないものである。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管の取付けを行う際に、多くの作業者を要することなく、配管の取付け作業を効率よく行うことができると共に、配管同士を固定する作業等を容易に行うことができ、短い工期内で配管の取付けを完了することができるプレファブ管の接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、1つの局面では、端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、拡径部に設けられ、第2プレファブ管より大径に形成された筒部と、筒部の端部に形成され、第2プレファブ管側に向かうに従って、拡径するように傾斜するテーパフランジと、第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなると共に、外表面が第2プレファブ管の一端から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジの表面に沿うよう傾斜して、該テーパフランジの表面と当接する鍔部とを有する環状部材と、環状部材とテーパフランジとを覆うように設けられ、環状部材とテーパフランジとを締め付ける締付部材と、環状部材とテーパフランジとが締付部材により締め付けられて、テーパフランジの表面と鍔部の端面とが当接することにより、鍔部と環状壁部とテーパフランジと第2プレファブ管の一端の外表面とにより規定された環状の収納室と、収納室内に収納された環状のシール部材とを備える。
【0010】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、1つの局面では、端部にフランジが形成された第1プレファブ管と、フランジと当接されるように端部に固着され、環状に形成された環状部材を有する第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されると共に、外表面が第2プレファブ管の端部から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジと当接する鍔部と、環状壁部の第2プレファブ管側の端部から第1プレファブ管側に突出し、テーパフランジ側の表面がテーパフランジと当接する環状底壁部とを有する環状部材と、フランジの表面のうち、環状部材と当接する表面と対向する背面側に配置され、フランジ側の表面がフランジの背面に沿うように形成され、フランジから離れた側の表面が、径方向内方に向かうに従って、フランジから離れるように傾斜する傾斜面とされた環状の補助環状部材と、補助環状部材と環状部材とフランジとを覆うように配置され、補助環状部材を介してフランジを環状部材に締め付ける締付部材と、締付部材により環状部材とフランジとが密着した際に、環状底壁部と、環状壁部と、鍔部と、フランジとにより規定される収納室と、収納室内に収納された環状のシール部材とを備える。
【0011】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、他の局面では、端部に第1テーパフランジが形成された第1プレファブ管と、端部に第2テーパフランジが形成された第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、第1テーパフランジと第2テーパフランジとの間に挟持される環状部材と、環状部材と第1テーパフランジとの間に挟まれる第1シール部材と、環状部材と第2テーパフランジとの間に挟まれる第2シール部材とを備え、環状部材は、第2テーパフランジ側に位置する第1テーパフランジの表面に当接される第1傾斜面と、第1テーパフランジ側に位置する第2テーパフランジの表面に当接される第2傾斜面と、第1傾斜面の中央部に形成された環状の第1凹部と、第2傾斜面の中央部に形成された環状の第2凹部とを有し、第1凹部の両側に位置する第1傾斜面が第1テーパフランジに当接され、第2凹部の両側に位置する第2傾斜面が第2テーパフランジに当接され、第1凹部内に第1シール部材を配置して、第2凹部内に第2シール部材を配置した。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプレファブ管の接続構造によれば、プレファブ管の取付けを行う際に、多くの作業者を要することなく、プレファブ管の取付け作業を効率よく行うことができると共に、配管同士を固定する作業等を容易に行うことができ、短い工期内でプレファブ管の取付けを完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10は、プレファブ工法に適用されるものであり、図1から図5を用いて、本実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10について説明する。図1は、プレファブ管100の一部を断面視した、側面図である。この図1に示されるように、このプレファブ管100は、配管12と、この配管12に接続された複数の配管11とを備えている。配管12は、直管やエルボー管等の複数の配管を溶接部101において、溶接接合することにより形成されている。また、図2は、プレファブ管100の他の変形例を示す側面図であり、この図2においては、複数の枝管を有する配管12と、この枝管に接続された複数の配管11とを備えている。この図1および図2に示されるように、プレファブ管100は、複数の配管同士が接続されて形成されている。
【0014】
図3は、配管同士を接続するプレファブ管の接続構造10を示す側面図であり、一部を断面視した側面図である。図3に示されるように、プレファブ管の接続構造10は、端部に拡径部20が形成された配管(第1プレファブ管)11と、端部12aが拡径部20内に挿入される(第2プレファブ管)配管12とを、締付部材13を用いて接続するものである。図4は、図3の一部を拡大した一部拡大断面図である。この図3および図4に示されるように、拡径部20は、配管12の外径より大径に形成された筒部11bと、この筒部11bの端部に形成され、配管12側に向かうに従って、拡径するように傾斜するテーパフランジ11aとを備えている。配管12は、配管12の外表面に形成され、配管12の外表面の周方向に沿って環状に形成された環状部材14を備えている。
【0015】
この環状部材14は、配管12の外表面に溶接等により固着され、配管12の径方向外方に向けて立ち上がる環状壁部14bと、この環状壁部14bの径方向外方側の端部に形成され、配管12の図3に示す中心軸線O2と平行な方向に突出する環状の鍔部14aとを備えている。環状壁部14bは、配管12の外表面に溶接等により固着されており、径方向内方に向かうに従って、配管12の中心軸線O2と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されている。そして、環状壁部14bの配管12の外表面近傍においては、配管12の中心軸線O2と平行な方向の厚みは、鍔部14aの径方向の厚みよりも厚く形成されている。このように、環状壁部14bの底面と配管12の外周面との固着面積が確保されているため、環状部材14に中心軸線O2方向と平行な方向の応力が生じたとしても、環状部材14が配管12から脱落することが抑制されている。この環状部材14の外表面14dは、径方向内方に向かうに従って、配管12の端部12aから離間するように傾斜する傾斜面とされている。
【0016】
鍔部14aの表面のうち、テーパフランジ11aと対向する端面14cは、テーパフランジ11aの表面のうち、鍔部14aと対向する表面25aに沿うように形成され、テーパフランジ11aと当接する。このように、テーパフランジ11aの表面25aと、鍔部14aの端面14cとが互いに対応するように、形成されているため、配管11と配管12とを接続する際に、配管11と配管12との芯合わせを容易に行うことができる。
【0017】
ここで、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとが当接することにより、鍔部14aと、環状壁部14bと、テーパフランジ11aと、端部12aの外表面とにより規定され、端部12aの外表面上に環状に沿って延びる収納室15aが形成されている。収納室15a内には、Oリング等の環状のシール部材15が配置されている。このシール部材15は、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとが当接した際に、収納室15a内に位置するテーパフランジ11aの表面25aと、収納室15a内に位置する端部12aの外表面と、収納室15a内に位置する鍔部14aおよび環状壁部14bの表面とに密着する。これにより、配管11、12内を流通する水等の流通物が外方に漏れることを抑制することができ、配管11と配管12との間のシール性を確保することができる。
【0018】
図5は、図3に示されるプレファブ管の接続構造をV線方向から見た正面図である。図4および図5に示されるように、締付部材13は、半円状に形成された半割れ締付部材13Aと、半割れ締付部材13Aと同様に形成された半割れ締付部材13Bと備えている。この半割れ締付部材13A、13Bは、各両端部に形成され、径方向に突出する突出部13A1、13B1において、ボルト16およびナット17により互いに連結されている。
【0019】
図5に示すように、締付部材13は、環状部材14の鍔部14aより径方向外方に配置された周壁部13aと、この周壁部13aの環状部材14側の端部に形成された脚部13bと、テーパフランジ11a側の端部に形成された脚部13cとを備えている。脚部13bの内表面17bは、環状壁部14bの外表面14dに沿うように傾斜しており、外表面14dと当接する。そして、脚部13cの内表面17cは、テーパフランジ11aの表面のうち、環状部材14と当接する表面25aと対向する背面25bに沿うように傾斜しており、背面25bと当接する。
【0020】
このように構成された締付部材13を、環状部材14およびテーパフランジ11aを覆うように配置して、径方向内方に向けて進出させると、脚部13bが、環状壁部14bの外表面14dを配管11側に向けて押圧すると共に、脚部13cが、テーパフランジ11aを配管12側に向けて押圧する。このため、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとが近接し、当接することになる。このように、このプレファブ管の接続構造10においては、シール部材15によるシールと、配管11、12同士を直接密着させることによるシールとにより、配管11、12間のシールが確保されている。
【0021】
ここで、鍔部14aおよびテーパフランジ11aはいずれも、鋼やステンレス等の金属材料から構成されており、互いに、シール部材15よりも変形し難いものとなっている。このため、シール部材15と、テーパフランジ11aの表面15bとの間等に生じるシール面圧よりも、テーパフランジ11aの表面25aと鍔部14aの端面14cとの間に生じるシール面圧を高くすることができる。
【0022】
このため、配管11と配管12との間のシール面圧を確保することができ、水漏れを良好に抑制することができる。さらに、鍔部14aとテーパフランジ11aとの間に生じる押圧力を向上させた状態で、締付部材13を固定することにより、配管11、12同士の接続部分の剛性を高くすることができる。このため、複数の配管11、12を接続しても、配管11、12の自重により配管11、12同士の接続部分が撓んだり、変形したりすることを抑制することができる。これに伴い、接続部分の変形等により、配管11、12の位置がずれることが抑制され、複数の配管11、12を接続したとしても、所望の位置に各配管11、12を配置させることができる。さらに、配管11、12同士の接続部分の変形等が抑制されているため、配管11、12の接続部分に隙間が生じ難く、内部を流通する水等の流通物が接続部分から漏れることを抑制することができる。
【0023】
配管11、12を接続した状態においては、配管12の端部12aは、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとの当接位置よりも、配管11側に位置している。そして、配管11、12内を流通する水等の流通物の圧力が高い場合には、流通物は、端部12aの外表面と、配管11の内表面との間に形成された隙間を通って、収納室15aの近傍にまで浸入する場合がある。そして、流通物の圧力が高い場合には、シール部材15は、流通物の圧力により、鍔部14a側に向けて変形または押し上げられ、鍔部14aの内表面とテーパフランジ11aの表面25aとにより規定される角部15bおよびその周囲に位置する収納室15aの内表面に押圧される。このように、シール部材15と、角部15bおよびその周囲に位置する収納室15aの内表面との間のシール面圧が高くなると、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとの当接箇所から流通物が外方に漏れ出ることを抑制することができる。
【0024】
既に取り付けられた配管11に配管12をさらに接続する際には、既に固定された配管11の筒部11b内に端部12aを挿入することにより、配管12を配管11により支持させて、配管12と配管11とが接続した状態を維持することができる。このため、作業者は、配管11、12を支持することなく、図5に示す締付部材13により、配管11、12を固定することができる。
【0025】
そして、締付部材13により配管11、12同士を固定する作業は、半割れ締付部材13A、13Bを環状部材14およびテーパフランジ11aを覆うように配置して、ボルト16とナット17とで固定することにより完了することができる。
【0026】
さらに、配管11の一部を配管12内に挿入して、テーパフランジ11aの表面25aと、鍔部14aの端面14cとを当接させることにより、配管11および配管12との芯合わせも同時に行うことができ、正確に位置合わせされた状態で、配管11、12同士を固定することができる。
【0027】
その上、配管12と配管11とを接続する際には、シール部材15は、収納室15a内に嵌りこんでおり、配管12と一体となっているため、配管12と配管11とを接続する際には、シール部材15を、配管11と配管12との間に配置するという作業を省略することができる。
【0028】
このように、既に固定された配管11に新たに配管12を接続して固定する作業は、接続する配管11を既に取り付けられた配管12内に挿入するという容易な作業と、締付部材13により、配管11、12同士を固定するという簡易な作業とにより完了するので、短時間で完了させることができる。さらに、容易かつ簡易な作業により、配管11、12の接続および固定を行うことができるので、工事現場内の作業者が少人数であっても、短い工期内で、複数の配管11、12の取付けを完了することができる。なお、配管12が既に取り付けられており、配管11を新たに接続、固定する場合にも同様の作業を行うことにより、短時間で行うことができる。
【0029】
(実施の形態2)
図6から図8を用いて、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30について説明する。なお、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に構成されている構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。図6は、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30の一部を断面視した側面図である。この図6に示されるように、このプレファブ管の接続構造30は、端部にフランジ31aが形成された配管(第1配管)31と、フランジ31aと当接されるように端部に溶接などにより固着され、環状に形成された環状部材34を有する配管(第2配管)32とを締付部材13により接続するものである。
【0030】
図7は、図6の一部の拡大視した断面図である。この図7に示されるように、配管31の端部に形成されたフランジ31aは、配管31の端部にて、図6に示す配管31の中心軸線O1と直交するように径方向外方に向けて拡径されている。環状部材34は、配管32の外表面に固着され、配管32の外表面から径方向に立ち上がる環状壁部34bと、この環状壁部34bの径方向外方側の端部に形成された鍔部34aと、環状壁部34bの径方向内径側に位置する端部に形成された環状底壁部34cとを備えている。
【0031】
環状壁部34bは、径方向外方側の端部から径方向内方に向かうに従って、配管32の中心軸線O2と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されて、この環状壁部34bの外表面34eは、配管31に向かうに従って、配管32の端部から除々に離れるように傾斜する傾斜面とされている。鍔部34aは、環状壁部34bの径方向外方側の端部から、配管32の中心軸線O2と平行な方向に突出している。
【0032】
この鍔部34aの表面のうち、フランジ31aと対向する端部34dは、フランジ31aの表面のうち、環状部材34と対向する表面36aと沿い、当接可能とされている。
【0033】
環状壁部34bの配管32側の端部に形成された環状底壁部34cは、環状壁部34bから配管31に向けて突出している。そして、環状底壁部34cの表面のうち、フランジ31aと対向する端面34fは、配管32の中心軸線O2に対して直交する平坦面とされ、フランジ31aと当接する。
【0034】
このため、締付部材13により、環状部材34がフランジ31aに押圧されると、フランジ31aは、環状底壁部34cの端面34fと、鍔部34aの端面34dとに圧着される。特に、フランジ31aおよび環状部材34は、金属により形成されているため、環状部材34およびフランジ31aは、変形し難く、フランジ31aの表面45aと、環状底壁部34cの端面34fとの間のシール面圧およびフランジ31aの表面45aと、鍔部34aの端面34dとのシール面圧を大きくすることができ、流通物が配管31、32から漏れ出ることを抑制することができる。
【0035】
さらに、上記のように、フランジ31aと環状部材34とは、複数箇所で当接するため、環状部材34とフランジ31aとの間から、配管31、32内を流れる流通物が外方に漏れ出すことを良好に抑制することができる。
【0036】
そして、フランジ31aの表面45aが、鍔部34aの端面34dおよび環状底壁部34cの端面34fとに当接することにより、鍔部34aと、環状壁部34bと、環状底壁部34cとフランジ31aとにより、環状の収納室35aが形成される。この収納室35a内には、Oリング等の環状のシール部材35が収納されている。このシール部材35は、収納室35a内に位置するフランジ31aの表面45aと、鍔部34aの内表面と、環状壁部34bの内表面と、環状底壁部34cの内表面とのうち、少なくとも、フランジ31aの表面45aと環状部材34の内壁面とに密着し、配管31と配管32との間のシールをする。
【0037】
フランジ31aの表面のうち、表面45aと対向する背面45b側には、環状に形成された補助環状部材40が配置されている。この補助環状部材40の表面のうち、フランジ31aの背面45bと対向する表面40bは、フランジ31aの背面45bに沿うように形成されており、背面45bの略全面に当接可能とされている。そして、補助環状部材40の表面のうち、表面40bと対向する外表面40aは、配管32側に向かうに従って、除々に配管31の外表面から離れるように傾斜する傾斜面とされている。
【0038】
図8は、図6に示すVIII線方向からの正面図であり、この図8に示されるように、締付部材13は、半割れ締付部材13Aと、半割れ締付部材13Bとを備え、半割れ締付部材13A,13B同士を連結固定するボルト16およびナット17とを備えている。そして、図8に示されるように、環状部材13は、周壁部13aと、この周壁部13aの配管31側の端部に形成された脚部13cと、周壁部13aの配管32側の端部に形成された脚部13bとを備えている。そして、脚部13cの内表面17cは、補助環状部材40の外表面40aに沿うように傾斜する傾斜面とされ、外表面40aと当接する。また、脚部13bの内表面17bは、環状壁部34bの外表面34eに沿うように傾斜するような傾斜面とされ、外表面34eと当接する。
【0039】
そして、図8に示すボルト17を締め付けることにより、締付部材13が径方向内方に変位する。締付部材13が径方向内方に変位すると、フランジ31aが補助環状部材40を介して押圧され、フランジ31aと環状部材34とが互いに締め付けられる。
【0040】
ここで、補助環状部材40は、フランジ31aの背面45bの全面を均一に押圧する。このため、フランジ31aの表面45aと鍔部34aの端面34dとが当接したときや、表面45aと環状底壁部34cの端面34fとが当接したときにおいても、フランジ31aが変形することが抑制される。このため、フランジ31aの表面45aと、端面34dおよび端面34fとの間に生じるシール面圧を確保することができる。
【0041】
さらに、収納室35a内に配管31、32内を流通する流通物が浸入した場合においても、シール部材35が鍔部34a側に変位または変形して、鍔部34aの内表面とフランジ31aの表面45aとにより規定される角部またはその周囲に密着され、鍔部34aとフランジ31aとの間から流体液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0042】
ここで、一般に、配管31、32内を流通する流通物の圧力が高い場合には、配管31、32には、配管31、32の中心軸線O1、O2と平行な方向の応力がかかり、配管31および配管32が互いに離間する方向の応力が生じる。その一方で、フランジ31aは、中心軸線O1、O2と直交する方向に拡径しているため、フランジ31aが補助環状部材40と環状部材34とに引っ掛かり易く、配管31、32同士が離間することを抑制することができる。なお、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30も、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に、配管21,22同士の接続は、締付部材13により容易に行うことができ、配管31、32の接続作業を効率よく行うことができる。なお、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30においても、配管11と配管12とが直接当接するため、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に、配管11、12の接続部分の剛性を確保することができる。さらに、配管32と配管31とを接続する際には、シール部材35は、収納室35a内に嵌りこんでおり、配管32と一体となっているため、配管32と配管31とを接続する際には、シール部材35を、配管31と配管32との間に配置するという作業を省略することができる。
【0043】
(実施の形態3)
図9は、本実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造50の一部を断面視した側面図である。この図9に示されるように、本実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造50は、端部にテーパフランジ51aが形成された配管(第1配管)51と、端部にテーパフランジ52aが形成された配管(第2配管)52とを、テーパフランジ51aとテーパフランジ52aとの間に環状部材54を挟み込んだ状態で、締付部材53によりテーパフランジ52aおよびテーパフランジ52aとを締め付けて接続する。
【0044】
図11は、図9の一部を拡大視した断面図であり、この図11に示されるように、環状部材54は、テーパフランジ51aの表面のうち、テーパフランジ52aと対向する表面65aに沿うように傾斜する傾斜面(第1傾斜面)70Aと、テーパフランジ52aの表面のうち、テーパフランジ51aと対向する表面66aとに沿うように傾斜する傾斜面(第2傾斜面)70Bとを備えている。このように、環状部材54の両側面は、テーパフランジ51a、51bに沿うように傾斜しているため、環状部材54を配管51、52に対して芯合わせをした状態で、テーパフランジ51a、52a間に容易に配置することができる。
【0045】
この傾斜面70Aの中央部には、周方向に延在する環状凹部(凹部)55a1が形成されており、傾斜面70Bの中央部にも、周方向に延在する環状凹部(凹部)55a2が形成されている。そして、この環状凹部55a1内には、環状のシール部材(第1シール部材)55Aが収納されており、環状凹部55a2内には、環状のシール部材(第2シール部材)55Bが収納されている。
【0046】
傾斜面70Aの表面のうち、環状凹部55a1より径方向外方側に位置する表面55d1と、径方向内方側に位置する表面55e1とは、テーパフランジ51aの表面65aと当接する。そして、傾斜面70Bの表面のうち、環状凹部55a2より径方向外方側に位置する表面55d2と、径方向内方に位置する表面55e2は、テーパフランジ52aの表面66aと当接する。
【0047】
そして、締付部材53により、テーパフランジ51a、テーパフランジ52aおよび環状部材が締め付けられた場合には、テーパフランジ51aの表面65aは、環状部材54の表面55d1および表面55e1とに圧接され、テーパフランジ52aの表面66aは、環状部材54の表面55e2、55d2とに圧接される。
【0048】
ここで、環状部材54およびテーパフランジ51a、52aは共に、金属部材により形成されているため、環状部材54とテーパフランジ51a,52aとの間の面圧を高くすることができ、配管51、52内を流通する流通物が、外部に漏れることを良好に抑制することができる。そして、図10は、図9のX線方向からの平面視した、正面図であり、この図10および図11において、環状部材54と、テーパフランジ51a、52aとの間の面圧は、ボルト16の締め付け具合で調整することができ、ボルト16を締め付けることにより、環状部材54の表面55d1、55e1、55e2、55d2と、テーパフランジ51a、52aとの間の面圧を向上させることができる。また、環状部材54と、テーパフランジ51a、52aとは、複数の箇所で当接しており、さらに、流通物が外方に漏れることを抑制されている。
【0049】
また、環状凹部55a1内に流通物が浸入した場合には、シール部材55Aは、流通物の圧力により、径方向外方側に変位または変形して、環状部材54の表面55d1とテーパフランジ51aの表面65aとの当接箇所の近傍に位置する表面65aおよび環状凹部55a1の内表面に圧着される。また、シール部材55Bも同様に、環状部材54の表面55d2と、テーパフランジ52aの表面66aとの当接箇所近傍に位置するテーパフランジ52aの表面66aおよび環状部材54の内表面とに圧着される。このため、高圧の流通物が配管51、52内を流通する場合においても、流通物が外方に漏れることを抑制することができる。
【0050】
このように構成されたプレファブ管の接続構造50は、上記実施の形態1および実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造10、30と同様に、締付部材53をテーパフランジ52a、52b間に環状部材54配置して、締付部材53をテーパフランジ52a、52bおよび環状部材54を覆うように配置した後に、ボルト16およびナット17により固定することにより、配管51、52の接続を行うことができ、容易に配管51、52の接続を行うことができる。なお、本実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造50においても、環状部材54の金属部分と、配管51、52とが直接当接するため、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に、配管11、12同士の接続部分の剛性を確保することができる。その上、配管52と配管51とを接続する際には、シール部材55A、55Bは、収納室55a1、55a2内に嵌りこんでおり、環状部材54と一体となっているため、配管52と配管51とを接続する際には、シール部材55を、配管11と配管12との間に配置するという作業を省略することができる。
【0051】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、プレファブ管同士を接続するプレファブ管の接続構造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】プレファブ管の一部を断面視した、側面図である。
【図2】プレファブ管の他の変形例を示す側面図である。
【図3】実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造の一部を断面視した側面図である。
【図4】図3の一部を拡大した一部拡大断面図である。
【図5】図3に示されるプレファブ管の接続構造をV線方向から見た正面図である。
【図6】実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造の一部を断面視した側面図である。
【図7】図6の一部の拡大視した断面図である。
【図8】図6に示すVIII線方向からの正面図である。
【図9】実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造の一部を断面視した側面図である。
【図10】図9のX線方向からの平面視した、正面図である。
【図11】図9の一部を拡大視した断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 プレファブ管の接続構造、11a テーパフランジ、11b 筒部、11 配管、13a 周壁部、13 締付部材、14 環状部材、14c 端面、14a 鍔部、15 シール部材、15a 収納室、20 拡径部、O1 中心軸線、O2 中心軸線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の配管同士を接続するプレファブ管の接続の構造。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築設備分野においては、給水・給湯等の流体物を流通させるための配管が用いられている。この配管の設計および取り付け工事は、建築工事の品質および工期を左右する大きな要因となっている。その一方で、建築物の基礎工事や、鉄骨の組立作業に工期の大部分を費やされるため、残された短い期間の中で、配管の取付け工事を行う必要がある。そこで、従来から、短い工期の中で配管の取付けを行うために、ユニット工法、プレファブ工法に必要な管のモジュール化等の手法が提案されている。
【0003】
たとえば、ユニット工法は、対象となる建築物の設計図から、3次元的に示されたアイソメトリック図を作成し、このアイソメトリック図に基づいて、管割位置等を設定して、各配管製作図を作成する。そして、作成されたアイソメトリック図および配管製作図に基づいて、工事現場とは別の工場で管を作製し、このモジュール管を接続して、管ユニットを形成する。その後、形成された配管ユニットを工事現場に搬入し、この配管ユニットごとに、他の機器と接続したり、配管ユニットと他の配管ユニットとを接続したりして、配管の取付けを完了する。
【0004】
プレファブ工法とは、モジュール管の作製ならびに配管ユニット化を含めた技術を意味し、予め配管工場で作製した後に、モジュール管を工場現場に搬入し、組み立てを行う。
【0005】
上記の手法によれば、配管の取付け位置および管番号が、予めアイソメトリック図で判明しているため、管番号順に配管作業していくことで、作業の効率化を図ることができ、短い工期内においても、配管の取付けを完了することができる。
【0006】
このように、短い工期内で、配管の取付けを行う手法以外にも、単に配管同士を接続する手法として、特開2001−205367号公報および特開平9−229260号公報に記載された手法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−205367号公報
【特許文献2】特開平9−229260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の手法においては、配管ユニットを他の機器等と接続したり、モジュール管を取り付けたりする際に、管同士を正確に位置合わせした状態で保持し、フランジ等に形成された貫通孔にボルト等を通し、ナットで固定していた。このため、配管の取付けが完了するまでの間、管を保持する作業者と、ボルト締め等を行う作業者とを要し、接続効率が非常に悪いものとなっている。さらに、管同士が正確に位置合わせされていなければ、フランジ等に形成された貫通孔にボルトを通すことができず、管同士を固定するのに非常に時間を要するものとなっている。このため、従来の手法によっては、短い工期の間に、配管の取付けを完了することが困難なものとなっている。なお、特開2001−205367号公報および特開平9−229260号公報に記載された接続方法は、上記ユニット工法、プレファブ工法等とは、何等関係のないものである。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管の取付けを行う際に、多くの作業者を要することなく、配管の取付け作業を効率よく行うことができると共に、配管同士を固定する作業等を容易に行うことができ、短い工期内で配管の取付けを完了することができるプレファブ管の接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、1つの局面では、端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、拡径部に設けられ、第2プレファブ管より大径に形成された筒部と、筒部の端部に形成され、第2プレファブ管側に向かうに従って、拡径するように傾斜するテーパフランジと、第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなると共に、外表面が第2プレファブ管の一端から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジの表面に沿うよう傾斜して、該テーパフランジの表面と当接する鍔部とを有する環状部材と、環状部材とテーパフランジとを覆うように設けられ、環状部材とテーパフランジとを締め付ける締付部材と、環状部材とテーパフランジとが締付部材により締め付けられて、テーパフランジの表面と鍔部の端面とが当接することにより、鍔部と環状壁部とテーパフランジと第2プレファブ管の一端の外表面とにより規定された環状の収納室と、収納室内に収納された環状のシール部材とを備える。
【0010】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、1つの局面では、端部にフランジが形成された第1プレファブ管と、フランジと当接されるように端部に固着され、環状に形成された環状部材を有する第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されると共に、外表面が第2プレファブ管の端部から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジと当接する鍔部と、環状壁部の第2プレファブ管側の端部から第1プレファブ管側に突出し、テーパフランジ側の表面がテーパフランジと当接する環状底壁部とを有する環状部材と、フランジの表面のうち、環状部材と当接する表面と対向する背面側に配置され、フランジ側の表面がフランジの背面に沿うように形成され、フランジから離れた側の表面が、径方向内方に向かうに従って、フランジから離れるように傾斜する傾斜面とされた環状の補助環状部材と、補助環状部材と環状部材とフランジとを覆うように配置され、補助環状部材を介してフランジを環状部材に締め付ける締付部材と、締付部材により環状部材とフランジとが密着した際に、環状底壁部と、環状壁部と、鍔部と、フランジとにより規定される収納室と、収納室内に収納された環状のシール部材とを備える。
【0011】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、他の局面では、端部に第1テーパフランジが形成された第1プレファブ管と、端部に第2テーパフランジが形成された第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、第1テーパフランジと第2テーパフランジとの間に挟持される環状部材と、環状部材と第1テーパフランジとの間に挟まれる第1シール部材と、環状部材と第2テーパフランジとの間に挟まれる第2シール部材とを備え、環状部材は、第2テーパフランジ側に位置する第1テーパフランジの表面に当接される第1傾斜面と、第1テーパフランジ側に位置する第2テーパフランジの表面に当接される第2傾斜面と、第1傾斜面の中央部に形成された環状の第1凹部と、第2傾斜面の中央部に形成された環状の第2凹部とを有し、第1凹部の両側に位置する第1傾斜面が第1テーパフランジに当接され、第2凹部の両側に位置する第2傾斜面が第2テーパフランジに当接され、第1凹部内に第1シール部材を配置して、第2凹部内に第2シール部材を配置した。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプレファブ管の接続構造によれば、プレファブ管の取付けを行う際に、多くの作業者を要することなく、プレファブ管の取付け作業を効率よく行うことができると共に、配管同士を固定する作業等を容易に行うことができ、短い工期内でプレファブ管の取付けを完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10は、プレファブ工法に適用されるものであり、図1から図5を用いて、本実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10について説明する。図1は、プレファブ管100の一部を断面視した、側面図である。この図1に示されるように、このプレファブ管100は、配管12と、この配管12に接続された複数の配管11とを備えている。配管12は、直管やエルボー管等の複数の配管を溶接部101において、溶接接合することにより形成されている。また、図2は、プレファブ管100の他の変形例を示す側面図であり、この図2においては、複数の枝管を有する配管12と、この枝管に接続された複数の配管11とを備えている。この図1および図2に示されるように、プレファブ管100は、複数の配管同士が接続されて形成されている。
【0014】
図3は、配管同士を接続するプレファブ管の接続構造10を示す側面図であり、一部を断面視した側面図である。図3に示されるように、プレファブ管の接続構造10は、端部に拡径部20が形成された配管(第1プレファブ管)11と、端部12aが拡径部20内に挿入される(第2プレファブ管)配管12とを、締付部材13を用いて接続するものである。図4は、図3の一部を拡大した一部拡大断面図である。この図3および図4に示されるように、拡径部20は、配管12の外径より大径に形成された筒部11bと、この筒部11bの端部に形成され、配管12側に向かうに従って、拡径するように傾斜するテーパフランジ11aとを備えている。配管12は、配管12の外表面に形成され、配管12の外表面の周方向に沿って環状に形成された環状部材14を備えている。
【0015】
この環状部材14は、配管12の外表面に溶接等により固着され、配管12の径方向外方に向けて立ち上がる環状壁部14bと、この環状壁部14bの径方向外方側の端部に形成され、配管12の図3に示す中心軸線O2と平行な方向に突出する環状の鍔部14aとを備えている。環状壁部14bは、配管12の外表面に溶接等により固着されており、径方向内方に向かうに従って、配管12の中心軸線O2と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されている。そして、環状壁部14bの配管12の外表面近傍においては、配管12の中心軸線O2と平行な方向の厚みは、鍔部14aの径方向の厚みよりも厚く形成されている。このように、環状壁部14bの底面と配管12の外周面との固着面積が確保されているため、環状部材14に中心軸線O2方向と平行な方向の応力が生じたとしても、環状部材14が配管12から脱落することが抑制されている。この環状部材14の外表面14dは、径方向内方に向かうに従って、配管12の端部12aから離間するように傾斜する傾斜面とされている。
【0016】
鍔部14aの表面のうち、テーパフランジ11aと対向する端面14cは、テーパフランジ11aの表面のうち、鍔部14aと対向する表面25aに沿うように形成され、テーパフランジ11aと当接する。このように、テーパフランジ11aの表面25aと、鍔部14aの端面14cとが互いに対応するように、形成されているため、配管11と配管12とを接続する際に、配管11と配管12との芯合わせを容易に行うことができる。
【0017】
ここで、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとが当接することにより、鍔部14aと、環状壁部14bと、テーパフランジ11aと、端部12aの外表面とにより規定され、端部12aの外表面上に環状に沿って延びる収納室15aが形成されている。収納室15a内には、Oリング等の環状のシール部材15が配置されている。このシール部材15は、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとが当接した際に、収納室15a内に位置するテーパフランジ11aの表面25aと、収納室15a内に位置する端部12aの外表面と、収納室15a内に位置する鍔部14aおよび環状壁部14bの表面とに密着する。これにより、配管11、12内を流通する水等の流通物が外方に漏れることを抑制することができ、配管11と配管12との間のシール性を確保することができる。
【0018】
図5は、図3に示されるプレファブ管の接続構造をV線方向から見た正面図である。図4および図5に示されるように、締付部材13は、半円状に形成された半割れ締付部材13Aと、半割れ締付部材13Aと同様に形成された半割れ締付部材13Bと備えている。この半割れ締付部材13A、13Bは、各両端部に形成され、径方向に突出する突出部13A1、13B1において、ボルト16およびナット17により互いに連結されている。
【0019】
図5に示すように、締付部材13は、環状部材14の鍔部14aより径方向外方に配置された周壁部13aと、この周壁部13aの環状部材14側の端部に形成された脚部13bと、テーパフランジ11a側の端部に形成された脚部13cとを備えている。脚部13bの内表面17bは、環状壁部14bの外表面14dに沿うように傾斜しており、外表面14dと当接する。そして、脚部13cの内表面17cは、テーパフランジ11aの表面のうち、環状部材14と当接する表面25aと対向する背面25bに沿うように傾斜しており、背面25bと当接する。
【0020】
このように構成された締付部材13を、環状部材14およびテーパフランジ11aを覆うように配置して、径方向内方に向けて進出させると、脚部13bが、環状壁部14bの外表面14dを配管11側に向けて押圧すると共に、脚部13cが、テーパフランジ11aを配管12側に向けて押圧する。このため、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとが近接し、当接することになる。このように、このプレファブ管の接続構造10においては、シール部材15によるシールと、配管11、12同士を直接密着させることによるシールとにより、配管11、12間のシールが確保されている。
【0021】
ここで、鍔部14aおよびテーパフランジ11aはいずれも、鋼やステンレス等の金属材料から構成されており、互いに、シール部材15よりも変形し難いものとなっている。このため、シール部材15と、テーパフランジ11aの表面15bとの間等に生じるシール面圧よりも、テーパフランジ11aの表面25aと鍔部14aの端面14cとの間に生じるシール面圧を高くすることができる。
【0022】
このため、配管11と配管12との間のシール面圧を確保することができ、水漏れを良好に抑制することができる。さらに、鍔部14aとテーパフランジ11aとの間に生じる押圧力を向上させた状態で、締付部材13を固定することにより、配管11、12同士の接続部分の剛性を高くすることができる。このため、複数の配管11、12を接続しても、配管11、12の自重により配管11、12同士の接続部分が撓んだり、変形したりすることを抑制することができる。これに伴い、接続部分の変形等により、配管11、12の位置がずれることが抑制され、複数の配管11、12を接続したとしても、所望の位置に各配管11、12を配置させることができる。さらに、配管11、12同士の接続部分の変形等が抑制されているため、配管11、12の接続部分に隙間が生じ難く、内部を流通する水等の流通物が接続部分から漏れることを抑制することができる。
【0023】
配管11、12を接続した状態においては、配管12の端部12aは、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとの当接位置よりも、配管11側に位置している。そして、配管11、12内を流通する水等の流通物の圧力が高い場合には、流通物は、端部12aの外表面と、配管11の内表面との間に形成された隙間を通って、収納室15aの近傍にまで浸入する場合がある。そして、流通物の圧力が高い場合には、シール部材15は、流通物の圧力により、鍔部14a側に向けて変形または押し上げられ、鍔部14aの内表面とテーパフランジ11aの表面25aとにより規定される角部15bおよびその周囲に位置する収納室15aの内表面に押圧される。このように、シール部材15と、角部15bおよびその周囲に位置する収納室15aの内表面との間のシール面圧が高くなると、鍔部14aの端面14cと、テーパフランジ11aの表面25aとの当接箇所から流通物が外方に漏れ出ることを抑制することができる。
【0024】
既に取り付けられた配管11に配管12をさらに接続する際には、既に固定された配管11の筒部11b内に端部12aを挿入することにより、配管12を配管11により支持させて、配管12と配管11とが接続した状態を維持することができる。このため、作業者は、配管11、12を支持することなく、図5に示す締付部材13により、配管11、12を固定することができる。
【0025】
そして、締付部材13により配管11、12同士を固定する作業は、半割れ締付部材13A、13Bを環状部材14およびテーパフランジ11aを覆うように配置して、ボルト16とナット17とで固定することにより完了することができる。
【0026】
さらに、配管11の一部を配管12内に挿入して、テーパフランジ11aの表面25aと、鍔部14aの端面14cとを当接させることにより、配管11および配管12との芯合わせも同時に行うことができ、正確に位置合わせされた状態で、配管11、12同士を固定することができる。
【0027】
その上、配管12と配管11とを接続する際には、シール部材15は、収納室15a内に嵌りこんでおり、配管12と一体となっているため、配管12と配管11とを接続する際には、シール部材15を、配管11と配管12との間に配置するという作業を省略することができる。
【0028】
このように、既に固定された配管11に新たに配管12を接続して固定する作業は、接続する配管11を既に取り付けられた配管12内に挿入するという容易な作業と、締付部材13により、配管11、12同士を固定するという簡易な作業とにより完了するので、短時間で完了させることができる。さらに、容易かつ簡易な作業により、配管11、12の接続および固定を行うことができるので、工事現場内の作業者が少人数であっても、短い工期内で、複数の配管11、12の取付けを完了することができる。なお、配管12が既に取り付けられており、配管11を新たに接続、固定する場合にも同様の作業を行うことにより、短時間で行うことができる。
【0029】
(実施の形態2)
図6から図8を用いて、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30について説明する。なお、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に構成されている構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。図6は、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30の一部を断面視した側面図である。この図6に示されるように、このプレファブ管の接続構造30は、端部にフランジ31aが形成された配管(第1配管)31と、フランジ31aと当接されるように端部に溶接などにより固着され、環状に形成された環状部材34を有する配管(第2配管)32とを締付部材13により接続するものである。
【0030】
図7は、図6の一部の拡大視した断面図である。この図7に示されるように、配管31の端部に形成されたフランジ31aは、配管31の端部にて、図6に示す配管31の中心軸線O1と直交するように径方向外方に向けて拡径されている。環状部材34は、配管32の外表面に固着され、配管32の外表面から径方向に立ち上がる環状壁部34bと、この環状壁部34bの径方向外方側の端部に形成された鍔部34aと、環状壁部34bの径方向内径側に位置する端部に形成された環状底壁部34cとを備えている。
【0031】
環状壁部34bは、径方向外方側の端部から径方向内方に向かうに従って、配管32の中心軸線O2と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されて、この環状壁部34bの外表面34eは、配管31に向かうに従って、配管32の端部から除々に離れるように傾斜する傾斜面とされている。鍔部34aは、環状壁部34bの径方向外方側の端部から、配管32の中心軸線O2と平行な方向に突出している。
【0032】
この鍔部34aの表面のうち、フランジ31aと対向する端部34dは、フランジ31aの表面のうち、環状部材34と対向する表面36aと沿い、当接可能とされている。
【0033】
環状壁部34bの配管32側の端部に形成された環状底壁部34cは、環状壁部34bから配管31に向けて突出している。そして、環状底壁部34cの表面のうち、フランジ31aと対向する端面34fは、配管32の中心軸線O2に対して直交する平坦面とされ、フランジ31aと当接する。
【0034】
このため、締付部材13により、環状部材34がフランジ31aに押圧されると、フランジ31aは、環状底壁部34cの端面34fと、鍔部34aの端面34dとに圧着される。特に、フランジ31aおよび環状部材34は、金属により形成されているため、環状部材34およびフランジ31aは、変形し難く、フランジ31aの表面45aと、環状底壁部34cの端面34fとの間のシール面圧およびフランジ31aの表面45aと、鍔部34aの端面34dとのシール面圧を大きくすることができ、流通物が配管31、32から漏れ出ることを抑制することができる。
【0035】
さらに、上記のように、フランジ31aと環状部材34とは、複数箇所で当接するため、環状部材34とフランジ31aとの間から、配管31、32内を流れる流通物が外方に漏れ出すことを良好に抑制することができる。
【0036】
そして、フランジ31aの表面45aが、鍔部34aの端面34dおよび環状底壁部34cの端面34fとに当接することにより、鍔部34aと、環状壁部34bと、環状底壁部34cとフランジ31aとにより、環状の収納室35aが形成される。この収納室35a内には、Oリング等の環状のシール部材35が収納されている。このシール部材35は、収納室35a内に位置するフランジ31aの表面45aと、鍔部34aの内表面と、環状壁部34bの内表面と、環状底壁部34cの内表面とのうち、少なくとも、フランジ31aの表面45aと環状部材34の内壁面とに密着し、配管31と配管32との間のシールをする。
【0037】
フランジ31aの表面のうち、表面45aと対向する背面45b側には、環状に形成された補助環状部材40が配置されている。この補助環状部材40の表面のうち、フランジ31aの背面45bと対向する表面40bは、フランジ31aの背面45bに沿うように形成されており、背面45bの略全面に当接可能とされている。そして、補助環状部材40の表面のうち、表面40bと対向する外表面40aは、配管32側に向かうに従って、除々に配管31の外表面から離れるように傾斜する傾斜面とされている。
【0038】
図8は、図6に示すVIII線方向からの正面図であり、この図8に示されるように、締付部材13は、半割れ締付部材13Aと、半割れ締付部材13Bとを備え、半割れ締付部材13A,13B同士を連結固定するボルト16およびナット17とを備えている。そして、図8に示されるように、環状部材13は、周壁部13aと、この周壁部13aの配管31側の端部に形成された脚部13cと、周壁部13aの配管32側の端部に形成された脚部13bとを備えている。そして、脚部13cの内表面17cは、補助環状部材40の外表面40aに沿うように傾斜する傾斜面とされ、外表面40aと当接する。また、脚部13bの内表面17bは、環状壁部34bの外表面34eに沿うように傾斜するような傾斜面とされ、外表面34eと当接する。
【0039】
そして、図8に示すボルト17を締め付けることにより、締付部材13が径方向内方に変位する。締付部材13が径方向内方に変位すると、フランジ31aが補助環状部材40を介して押圧され、フランジ31aと環状部材34とが互いに締め付けられる。
【0040】
ここで、補助環状部材40は、フランジ31aの背面45bの全面を均一に押圧する。このため、フランジ31aの表面45aと鍔部34aの端面34dとが当接したときや、表面45aと環状底壁部34cの端面34fとが当接したときにおいても、フランジ31aが変形することが抑制される。このため、フランジ31aの表面45aと、端面34dおよび端面34fとの間に生じるシール面圧を確保することができる。
【0041】
さらに、収納室35a内に配管31、32内を流通する流通物が浸入した場合においても、シール部材35が鍔部34a側に変位または変形して、鍔部34aの内表面とフランジ31aの表面45aとにより規定される角部またはその周囲に密着され、鍔部34aとフランジ31aとの間から流体液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0042】
ここで、一般に、配管31、32内を流通する流通物の圧力が高い場合には、配管31、32には、配管31、32の中心軸線O1、O2と平行な方向の応力がかかり、配管31および配管32が互いに離間する方向の応力が生じる。その一方で、フランジ31aは、中心軸線O1、O2と直交する方向に拡径しているため、フランジ31aが補助環状部材40と環状部材34とに引っ掛かり易く、配管31、32同士が離間することを抑制することができる。なお、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30も、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に、配管21,22同士の接続は、締付部材13により容易に行うことができ、配管31、32の接続作業を効率よく行うことができる。なお、本実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造30においても、配管11と配管12とが直接当接するため、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に、配管11、12の接続部分の剛性を確保することができる。さらに、配管32と配管31とを接続する際には、シール部材35は、収納室35a内に嵌りこんでおり、配管32と一体となっているため、配管32と配管31とを接続する際には、シール部材35を、配管31と配管32との間に配置するという作業を省略することができる。
【0043】
(実施の形態3)
図9は、本実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造50の一部を断面視した側面図である。この図9に示されるように、本実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造50は、端部にテーパフランジ51aが形成された配管(第1配管)51と、端部にテーパフランジ52aが形成された配管(第2配管)52とを、テーパフランジ51aとテーパフランジ52aとの間に環状部材54を挟み込んだ状態で、締付部材53によりテーパフランジ52aおよびテーパフランジ52aとを締め付けて接続する。
【0044】
図11は、図9の一部を拡大視した断面図であり、この図11に示されるように、環状部材54は、テーパフランジ51aの表面のうち、テーパフランジ52aと対向する表面65aに沿うように傾斜する傾斜面(第1傾斜面)70Aと、テーパフランジ52aの表面のうち、テーパフランジ51aと対向する表面66aとに沿うように傾斜する傾斜面(第2傾斜面)70Bとを備えている。このように、環状部材54の両側面は、テーパフランジ51a、51bに沿うように傾斜しているため、環状部材54を配管51、52に対して芯合わせをした状態で、テーパフランジ51a、52a間に容易に配置することができる。
【0045】
この傾斜面70Aの中央部には、周方向に延在する環状凹部(凹部)55a1が形成されており、傾斜面70Bの中央部にも、周方向に延在する環状凹部(凹部)55a2が形成されている。そして、この環状凹部55a1内には、環状のシール部材(第1シール部材)55Aが収納されており、環状凹部55a2内には、環状のシール部材(第2シール部材)55Bが収納されている。
【0046】
傾斜面70Aの表面のうち、環状凹部55a1より径方向外方側に位置する表面55d1と、径方向内方側に位置する表面55e1とは、テーパフランジ51aの表面65aと当接する。そして、傾斜面70Bの表面のうち、環状凹部55a2より径方向外方側に位置する表面55d2と、径方向内方に位置する表面55e2は、テーパフランジ52aの表面66aと当接する。
【0047】
そして、締付部材53により、テーパフランジ51a、テーパフランジ52aおよび環状部材が締め付けられた場合には、テーパフランジ51aの表面65aは、環状部材54の表面55d1および表面55e1とに圧接され、テーパフランジ52aの表面66aは、環状部材54の表面55e2、55d2とに圧接される。
【0048】
ここで、環状部材54およびテーパフランジ51a、52aは共に、金属部材により形成されているため、環状部材54とテーパフランジ51a,52aとの間の面圧を高くすることができ、配管51、52内を流通する流通物が、外部に漏れることを良好に抑制することができる。そして、図10は、図9のX線方向からの平面視した、正面図であり、この図10および図11において、環状部材54と、テーパフランジ51a、52aとの間の面圧は、ボルト16の締め付け具合で調整することができ、ボルト16を締め付けることにより、環状部材54の表面55d1、55e1、55e2、55d2と、テーパフランジ51a、52aとの間の面圧を向上させることができる。また、環状部材54と、テーパフランジ51a、52aとは、複数の箇所で当接しており、さらに、流通物が外方に漏れることを抑制されている。
【0049】
また、環状凹部55a1内に流通物が浸入した場合には、シール部材55Aは、流通物の圧力により、径方向外方側に変位または変形して、環状部材54の表面55d1とテーパフランジ51aの表面65aとの当接箇所の近傍に位置する表面65aおよび環状凹部55a1の内表面に圧着される。また、シール部材55Bも同様に、環状部材54の表面55d2と、テーパフランジ52aの表面66aとの当接箇所近傍に位置するテーパフランジ52aの表面66aおよび環状部材54の内表面とに圧着される。このため、高圧の流通物が配管51、52内を流通する場合においても、流通物が外方に漏れることを抑制することができる。
【0050】
このように構成されたプレファブ管の接続構造50は、上記実施の形態1および実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造10、30と同様に、締付部材53をテーパフランジ52a、52b間に環状部材54配置して、締付部材53をテーパフランジ52a、52bおよび環状部材54を覆うように配置した後に、ボルト16およびナット17により固定することにより、配管51、52の接続を行うことができ、容易に配管51、52の接続を行うことができる。なお、本実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造50においても、環状部材54の金属部分と、配管51、52とが直接当接するため、上記実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造10と同様に、配管11、12同士の接続部分の剛性を確保することができる。その上、配管52と配管51とを接続する際には、シール部材55A、55Bは、収納室55a1、55a2内に嵌りこんでおり、環状部材54と一体となっているため、配管52と配管51とを接続する際には、シール部材55を、配管11と配管12との間に配置するという作業を省略することができる。
【0051】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、プレファブ管同士を接続するプレファブ管の接続構造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】プレファブ管の一部を断面視した、側面図である。
【図2】プレファブ管の他の変形例を示す側面図である。
【図3】実施の形態1に係るプレファブ管の接続構造の一部を断面視した側面図である。
【図4】図3の一部を拡大した一部拡大断面図である。
【図5】図3に示されるプレファブ管の接続構造をV線方向から見た正面図である。
【図6】実施の形態2に係るプレファブ管の接続構造の一部を断面視した側面図である。
【図7】図6の一部の拡大視した断面図である。
【図8】図6に示すVIII線方向からの正面図である。
【図9】実施の形態3に係るプレファブ管の接続構造の一部を断面視した側面図である。
【図10】図9のX線方向からの平面視した、正面図である。
【図11】図9の一部を拡大視した断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 プレファブ管の接続構造、11a テーパフランジ、11b 筒部、11 配管、13a 周壁部、13 締付部材、14 環状部材、14c 端面、14a 鍔部、15 シール部材、15a 収納室、20 拡径部、O1 中心軸線、O2 中心軸線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続し、短い工期の中でとりつけを行うためのプレファブ管の接続構造であって、
前記拡径部に設けられ、前記第2プレファブ管より大径に形成された筒部と、
前記筒部の端部に形成され、前記第2プレファブ管側に向かうに従って、拡径するように傾斜するテーパフランジと、
前記第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなると共に、外表面が前記第2プレファブ管の一端から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、前記テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジの表面に沿うよう傾斜して、該テーパフランジの表面と当接する鍔部とを有する環状部材と、
前記環状部材と前記テーパフランジとを覆うように設けられ、前記環状部材と前記テーパフランジとを締め付ける締付部材と、
前記環状部材と前記テーパフランジとが前記締付部材により締め付けられて、前記テーパフランジの表面と前記鍔部の前記端面とが当接することにより、前記鍔部と前記環状壁部と前記テーパフランジと前記第2プレファブ管の一端の外表面とにより規定された環状の収納室と、
前記収納室内に収納された環状のシール部材と、
を備えたプレファブ管の接続構造。
【請求項2】
端部にフランジが形成された第1プレファブ管と、前記フランジと当接されるように端部に固着され、環状に形成された環状部材を有する第2プレファブ管とを接続し、短い工期の中でとりつけを行うためのプレファブ管の接続構造であって、
前記第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されると共に、外表面が前記第2プレファブ管の端部から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、前記テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジと当接する鍔部と、前記環状壁部の前記第2プレファブ管側の端部から前記第1プレファブ管側に突出し、前記テーパフランジ側の表面が前記テーパフランジと当接する環状底壁部とを有する環状部材と、
前記フランジの表面のうち、前記環状部材と当接する表面と対向する背面側に配置され、前記フランジ側の表面が前記フランジの前記背面に沿うように形成され、前記フランジから離れた側の表面が、径方向内方に向かうに従って、前記フランジから離れるように傾斜する傾斜面とされた環状の補助環状部材と、
前記補助環状部材と前記環状部材と前記フランジとを覆うように配置され、前記補助環状部材を介して前記フランジを前記環状部材に締め付ける締付部材と、
前記締付部材により前記環状部材と前記フランジとが密着した際に、前記環状底壁部と、前記環状壁部と、前記鍔部と、前記フランジとにより規定される収納室と、
前記収納室内に収納された環状のシール部材と、
を備えたプレファブ管の接続構造。
【請求項3】
端部に第1テーパフランジが形成された第1プレファブ管と、端部に第2テーパフランジが形成された第2プレファブ管とを接続し、短い工期の中でとりつけを行うためのプレファブ管の接続構造であって、
前記第1テーパフランジと前記第2テーパフランジとの間に挟持される環状部材と、
前記環状部材と前記第1テーパフランジとの間に挟まれる第1シール部材と、
前記環状部材と前記第2テーパフランジとの間に挟まれる第2シール部材と、
を備え、
前記環状部材は、前記第2テーパフランジ側に位置する前記第1テーパフランジの表面に当接される第1傾斜面と、
前記第1テーパフランジ側に位置する前記第2テーパフランジの表面に当接される第2傾斜面と、
前記第1傾斜面の中央部に形成された環状の第1凹部と、
前記第2傾斜面の中央部に形成された環状の第2凹部と、
を有し、
前記第1凹部の両側に位置する前記第1傾斜面が前記第1テーパフランジに当接され、前記第2凹部の両側に位置する前記第2傾斜面が前記第2テーパフランジに当接され、
前記第1凹部内に前記第1シール部材を配置して、前記第2凹部内に前記第2シール部材を配置した、プレファブ管の接続構造。
【請求項1】
端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続し、短い工期の中でとりつけを行うためのプレファブ管の接続構造であって、
前記拡径部に設けられ、前記第2プレファブ管より大径に形成された筒部と、
前記筒部の端部に形成され、前記第2プレファブ管側に向かうに従って、拡径するように傾斜するテーパフランジと、
前記第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなると共に、外表面が前記第2プレファブ管の一端から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、前記テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジの表面に沿うよう傾斜して、該テーパフランジの表面と当接する鍔部とを有する環状部材と、
前記環状部材と前記テーパフランジとを覆うように設けられ、前記環状部材と前記テーパフランジとを締め付ける締付部材と、
前記環状部材と前記テーパフランジとが前記締付部材により締め付けられて、前記テーパフランジの表面と前記鍔部の前記端面とが当接することにより、前記鍔部と前記環状壁部と前記テーパフランジと前記第2プレファブ管の一端の外表面とにより規定された環状の収納室と、
前記収納室内に収納された環状のシール部材と、
を備えたプレファブ管の接続構造。
【請求項2】
端部にフランジが形成された第1プレファブ管と、前記フランジと当接されるように端部に固着され、環状に形成された環状部材を有する第2プレファブ管とを接続し、短い工期の中でとりつけを行うためのプレファブ管の接続構造であって、
前記第2プレファブ管の外表面に固着され、該第2プレファブ管の外表面から径方向外方に向けて立ち上がり、径方向内方に向かうに従って、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向の厚みが厚くなるように形成されると共に、外表面が前記第2プレファブ管の端部から徐々に離れるように傾斜する環状の環状壁部と、該環状壁部の径方向外方側の端部に設けられ、前記第2プレファブ管の軸線と平行な方向に向けて突出し、前記テーパフランジ側の端面が、該テーパフランジと当接する鍔部と、前記環状壁部の前記第2プレファブ管側の端部から前記第1プレファブ管側に突出し、前記テーパフランジ側の表面が前記テーパフランジと当接する環状底壁部とを有する環状部材と、
前記フランジの表面のうち、前記環状部材と当接する表面と対向する背面側に配置され、前記フランジ側の表面が前記フランジの前記背面に沿うように形成され、前記フランジから離れた側の表面が、径方向内方に向かうに従って、前記フランジから離れるように傾斜する傾斜面とされた環状の補助環状部材と、
前記補助環状部材と前記環状部材と前記フランジとを覆うように配置され、前記補助環状部材を介して前記フランジを前記環状部材に締め付ける締付部材と、
前記締付部材により前記環状部材と前記フランジとが密着した際に、前記環状底壁部と、前記環状壁部と、前記鍔部と、前記フランジとにより規定される収納室と、
前記収納室内に収納された環状のシール部材と、
を備えたプレファブ管の接続構造。
【請求項3】
端部に第1テーパフランジが形成された第1プレファブ管と、端部に第2テーパフランジが形成された第2プレファブ管とを接続し、短い工期の中でとりつけを行うためのプレファブ管の接続構造であって、
前記第1テーパフランジと前記第2テーパフランジとの間に挟持される環状部材と、
前記環状部材と前記第1テーパフランジとの間に挟まれる第1シール部材と、
前記環状部材と前記第2テーパフランジとの間に挟まれる第2シール部材と、
を備え、
前記環状部材は、前記第2テーパフランジ側に位置する前記第1テーパフランジの表面に当接される第1傾斜面と、
前記第1テーパフランジ側に位置する前記第2テーパフランジの表面に当接される第2傾斜面と、
前記第1傾斜面の中央部に形成された環状の第1凹部と、
前記第2傾斜面の中央部に形成された環状の第2凹部と、
を有し、
前記第1凹部の両側に位置する前記第1傾斜面が前記第1テーパフランジに当接され、前記第2凹部の両側に位置する前記第2傾斜面が前記第2テーパフランジに当接され、
前記第1凹部内に前記第1シール部材を配置して、前記第2凹部内に前記第2シール部材を配置した、プレファブ管の接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−139161(P2007−139161A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337507(P2005−337507)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【特許番号】特許第3810786号(P3810786)
【特許公報発行日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(000148726)株式会社多久製作所 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【特許番号】特許第3810786号(P3810786)
【特許公報発行日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(000148726)株式会社多久製作所 (8)
【Fターム(参考)】
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