説明

プレ・メイン一体型エアフィルタ

【課題】プレフィルタとメインフィルタを同時に交換又は洗浄が可能なプレ・メイン一体型エアフィルタを提供することである。
【解決手段】前面と背面を貫通するとともに、これらの前面及び背面の全面に亘って開口を有する枠体10と、シート状のフィルタ材18をひだ状に互い違いに折り曲げることによって構成され、前記枠体10の前面側の開口10Aに設けられたプレフィルタ12と、シート状のフィルタ材22、24をひだ状に互い違いに折り曲げることによって構成され、前記枠体10の背面側の開口10Bに設けられたメインフィルタ14と、を備え、前記メインフィルタ14は、プレフィルタ12よりも細かい粒子を捕集可能に形成されており、前記プレフィルタ12は、前記メインフィルタ14よりもシート状のフィルタ材の表面積が広いことを特徴とするプレ・メイン一体型エアフィルタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスビルやマンションなどの空調設備などに取り付けることにより、外気の塵や埃などを捕集することが可能なプレ・メイン一体型エアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からオフィスビルやマンションなどの空調設備には、エアフィルタが取り付けられており、このエアフィルタにより、外気の塵や埃などが捕集されている(特許文献1)。従来のエアフィルタとしては、通常、塵や埃など比較的大きな粒子、例えば5μm以上の粒子を捕集可能なプレフィルタと、車の排気ガスやタバコの煙など比較的小さな粒子、例えば0.3μm以上の粒子を捕集可能なメインフィルタとの2種類が用いられており、これらは、別体として設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−170423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プレフィルタは、通常使用で1、2ヶ月に1回交換しなければならず、1年に1回の交換で足りるメインフィルタに比べて短期間に交換を行なわなければならない。このため、それぞれの交換時期などが異なるため、これら2種類のフィルタのメンテナンスは容易でなく、また、2種類のフィルタを一体とすることは困難である。特に、近年、使用済みのエアフィルを洗浄することによって、再使用することが行なわれているが、別体のフィルタそれぞれを異なる時期に洗浄するのでは、メンテナンスの効率が良くないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、プレフィルタとメインフィルタを同時に交換又は洗浄が可能なプレ・メイン一体型エアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明は、前面と背面を貫通するとともに、これらの前面及び背面の全面に亘って開口を有する枠体と、シート状のフィルタ材をひだ状に互い違いに折り曲げることによって構成され、前記枠体の前面側の開口に設けられたプレフィルタと、シート状のフィルタ材をひだ状に互い違いに折り曲げることによって構成され、前記枠体の背面側の開口に設けられたメインフィルタと、を備え、前記メインフィルタは、プレフィルタよりも細かい粒子を捕集可能に形成されており、前記プレフィルタは、前記メインフィルタよりもシート状のフィルタ材の表面積が広いことを特徴とするプレ・メイン一体型エアフィルタである。
【0007】
以上のように、本発明に係るプレ・メイン一体型エアフィルタによれば、プレフィルタのシート状のフィルタ材の表面積をメインフィルタよりも広くすることにより、プレフィルタの使用寿命を長くし、同時にプレフィルタとメインフィルタの交換や洗浄を行なうことができるので、捕集可能な粒子が異なる2種類のフィルタであっても、これらを一体にすることができる。プレフィルタの使用寿命を長くすることができない場合、プレフィルタとメインフィルタを一体としても、プレフィルタの交換時期になれば、たとえメインフィルタの交換時期でなくとも、これら一体となったエアフィルタを交換しなければならないが、本発明に係るエアフィルタのようにプレフィルタの使用寿命を長くすることによって、プレフィルタとメインフィルタの交換や洗浄の時期を同時にすることできる。
【0008】
本発明に係るプレ・メイン一体型エアフィルタにおいて、前記プレフィルタは、前記メインフィルタよりも枠体の前面側に向いた面積が広くなるように配置されても良く、また、前記プレフィルタの前後方向の厚みを前記メインフィルタよりも厚く構成し、前記プレフィルタ及びメインフィルタは、いずれも前記枠体の開口に対して平行に配置されても良い。このように構成することによって、プレフィルタのシート状のフィルタ材の表面積をメインフィルタよりも広くすることができる。さらに、前記枠体、プレフィルタ及びメインフィルタは、いずれも合成樹脂から構成されていることが好ましい。このようにいずれも合成樹脂から構成することによって、これらを洗浄再使用することを含めたリサイクルすることが可能である。
【0009】
またさらに、本発明に係るプレ・メイン一体型エアフィルタにおいて、前記プレフィルタ及びメインフィルタは、シート状のフィルタ材に、その縦方向に等間隔をおいて幅方向に連続してホットメルトを塗布した後、ひだ状に互い違いに複数折り曲げることによって構成されていることが好ましく、このようにシート状のフィルタ材の幅方向に連続してホットメルトを塗布し、ひだ状に折り曲げることによって、フィルタの谷側にも十分な隙間を保つことができるので、洗浄水を流す際にフィルタの谷側が収束してシート同士が引っ付くことはなく、フィルタの洗浄を容易に行なうことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、プレフィルタとメインフィルタの交換時期を同時にすることが可能な一体型エアフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るプレ・メイン一体型エアフィルタの実施例の背面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本実施例に係るプレ・メイン一体型エアフィルタのプレフィルタを構成するフィルタブロックの側面図である。
【図5】本実施例に係るプレ・メイン一体型エアフィルタのプレフィルタを構成するフィルタブロックの一部正面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った一部断面図である。
【図7】本実施例に係るプレ・メイン一体型エアフィルタのメインフィルタの側面図である。
【図8】本実施例に係るプレ・メイン一体型エアフィルタのメインフィルタの正面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿った切欠き断面図である。
【図10】本発明に係るプレ・メイン一体型エアフィルタの他の態様の図2に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係るプレ・メイン一体型エアフィルタの実施例の背面図であり、図2は、図1のII−II線に沿った断面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。本実施例に係るエアフィルタは、前面側と背面側を貫通するとともに、全面に亘って開口された枠体10と、枠体10の前面側の開口10Aに設けられたプレフィルタ12と、枠体10の背面側の開口10Bに設けられたメインフィルタ14と、を備えている。
【0013】
プレフィルタ12は、図2に示すように直方体状に形成された12個のフィルタブロック16から構成されており、これらフィルタブロック16は、二つ一組がハの字状に、すなわち隣接するものが互いに反対側に傾いて枠体10内に配置されている。これらフィルタブロック16は、以下のように一枚のシート状のフィルタ材18から形成されている。すなわち、先ず一枚のシート状のフィルタ材18の両面に、縦方向に等間隔をおいて、幅方向に連続してホットメルト20を塗布し、ホットメルト20が固まる前に同一幅のひだ状に互い違いに複数折り曲げることにより、一つのブロック体を形成する。このブロック体の側面図を図4に示し、一部正面図を図5に示し、図4のVI−VI線に沿った一部断面図を図6に示す。この一つのブロック体を幅方向に等間隔毎に11箇所折り曲げることによって、幅方向の端辺が連続する12個のフィルタブロック16を得ることができる。ホットメルト20は、折り曲げられたフィルタ材18の谷部まで塗布されており、これによりフィルタブロック16の谷側にも隙間を保つことができる。フィルタ材18は、例えばポリプロピレン繊維などの合成繊維から構成されており、透過する5μm以上の粒子をほぼ90%捕集可能に構成されている。
【0014】
メインフィルタ14は、図1及び2に示すように枠体10の背面全面に亘って、設けられており一つのフィルタから構成されている。このメインフィルタ14は、図7乃至9に示すように、2枚のシート状のフィルタ材22、24を重ね合わせた状態で同一幅のひだ状に互い違いに複数折り曲げることによって形成されている。重ねあわされた状態のフィルタ材22、24の両面には、縦方向に等間隔をおいて、幅方向に連続してホットメルト26が塗布され、ホットメルト26が固まる前に互い違いに複数折り曲げることによって、メインフィルタ14は、形成される。ホットメルト26は、折り曲げられたフィルタ材22、24の谷部まで塗布されており、これによりメインフィルタ14の谷側にも隙間を保つことができる。フィルタ材22、24は、いずれも例えば、超極細ポリプロピレン繊維などの合成繊維から構成されており、前側のフィルタ材22は、透過する3μm以上の粒子をほぼ90%捕集可能に構成されており、後側のフィルタ材24は、透過する0.3μm以上の粒子をほぼ50%捕集可能に構成されている。これら2枚のフィルタ材22、24は、溶着又は接着剤による接着によって一体となっている。
【0015】
枠体10は、合成樹脂から形成されている。枠体10の上面10C及び底面10Dの内面には、プレフィルタ12及びメインフィルタ14の上端及び下端が嵌入可能な溝28、30が形成されており、プレフィルタ12及びメインフィルタ14は、その上端及び下端を枠体10の上面10C及び底面10Dの溝28、30に嵌入して上面10C及び底面10Dによって挟持し、さらに溝28、30に例えば、ウレタン樹脂などの合成樹脂製の接着剤32を流し込むことによって、プレフィルタ12及びメインフィルタ14を枠体10に固定することができる。また、枠体10、プレフィルタ12及びメインフィルタ14は、いずれも合成樹脂で構成されているため、これらを洗浄再使用することを含めたリサイクルすることが可能である。
【0016】
以上のように本実施例に係るプレ・メイン一体型エアフィルタにおいては、プレフィルタ12を枠体10の前面側の開口10Aに対して斜めに配置することによって、シート状のフィルタ材18の表面積を増加させたが、プレフィルタ12の前後方向の厚みをメインフィルタ14よりも厚く構成することによって、シート状のフィルタ材18の表面積を増加させても良く、この場合、プレフィルタ12は、図10に示すようにメインフィルタと平行に設けても良い。
【符号の説明】
【0017】
10 枠体
12 プレフィルタ
14 メインフィルタ
18、22、24 フィルタ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面と背面を貫通するとともに、これらの前面及び背面の全面に亘って開口を有する枠体と、
シート状のフィルタ材をひだ状に互い違いに折り曲げることによって構成され、前記枠体の前面側の開口に設けられたプレフィルタと、
シート状のフィルタ材をひだ状に互い違いに折り曲げることによって構成され、前記枠体の背面側の開口に設けられたメインフィルタと、
を備え、
前記メインフィルタは、プレフィルタよりも細かい粒子を捕集可能に形成されており、
前記プレフィルタは、該プレフィルタの使用寿命を長くして前記メインフィルタの交換時期と整合させるように、前記メインフィルタよりも枠体の前面側に向いた面積が広くなるように配置されていることを特徴とするプレ・メイン一体型エアフィルタ。
【請求項2】
前記枠体、プレフィルタ及びメインフィルタは、いずれも合成樹脂から構成され、
前記プレフィルタ及びメインフィルタは、合成樹脂製の接着剤により前記枠体に固定されていることを特徴とする請求項1記載のプレ・メイン一体型エアフィルタ。
【請求項3】
前記プレフィルタ及びメインフィルタは、シート状のフィルタ材に、その縦方向に等間隔をおいて幅方向に連続してホットメルトを塗布した後、ひだ状に互い違いに複数折り曲げることによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプレ・メイン一体型エアフィルタ。
【請求項4】
前記プレフィルタは、前記メインフィルタよりも枠体の前面側に向いた面積が広くなるように、前記枠体の前面側の開口に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のプレ・メイン一体型エアフィルタ。
【請求項5】
前記プレフィルタは、直方体状に形成された複数のフィルタブロックから構成されており、
前記複数のフィルタブロックは、前記メインフィルタよりも枠体の前面側に向いた面積が広くなるように、隣接するものが互いに反対側に傾いて枠体内に配置されていることを特徴とする請求項4記載のプレ・メイン一体型エアフィルタ。
【請求項6】
前記プレフィルタは、前記メインフィルタよりも枠体の前面側に向いた面積が広くなるように、その前後方向の厚みが前記メインフィルタの前後方向の厚みよりも厚く構成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のプレ・メイン一体型エアフィルタ。
【請求項7】
前記メインフィルタは、シート状のフィルタ材を2枚重ね合わせることにより形成され、該2枚のフィルタ材のうち前側のフィルタ材は、前記プレフィルタよりも細かい粒子を捕集可能に形成され、後側のフィルタ材は、前側のフィルタ材よりも細かい粒子を捕集可能に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のプレ・メイン一体型エアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−45884(P2011−45884A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237442(P2010−237442)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【分割の表示】特願2004−295856(P2004−295856)の分割
【原出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(305000666)テクノサイ株式会社 (2)
【出願人】(504378283)株式会社ユニパック (6)
【Fターム(参考)】