説明

プログラマブル表示器、データ配信プログラムおよびそれを記録した記録媒体ならびにデータ収集システム

【課題】専用のプログラムを必要とすることなく、コンピュータからプログラマブル表示器に記憶されている情報を収集する。
【解決手段】Webサーバ27の置換処理部27a(CGIにより実現される)は、RSSリーダー33の定期的な要求に応じて、当該要求で指定されたURLについての読み出すべきRDFファイルをRDFファイル格納部28から読み出して、当該RDFファイルにおける置換コマンド部のコマンドを解析する。置換処理部27aは、当該コマンドで指定される最新のデータをデータメモリ26から読み出して、置換コマンド部に置換することで、送信用のRDFファイルを作成する。RSSリーダー33は、Webサーバ27からダウンロードした当該RDFファイルのRSS情報が更新されていることを確認すると、そのリンクを画面に表示してユーザに知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄えている情報を外部のコンピュータによって容易に取得することができるように構成されたプログラマブル表示器、プログラムおよびそれを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、温調器、インバータなどのコントローラとの通信インタフェースを備えており、コントローラの稼働状況を表示したり、コントローラに対する制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、操作盤、スイッチ、表示灯等を表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。このような制御システムにおいて、各コントローラの稼働状況などの表示やコントローラへの制御指示は、コントローラ付近に配置されたプログラマブル表示器によって行われる。
【0003】
また、プログラマブル表示器は、コントローラなどの外部機器から受信した各種の情報やプログラマブル表示器において発生する各種の情報を記憶している。このような情報として、コントローラからは、制御動作によって生じたデータや、異常や不具合が発生したときに発されるアラームなどが送信される。また、上記の情報として、プログラマブル表示器においては、コントローラから得られたデータを基に作成されたデータ(例えば折れ線グラフなどのグラフ表示用データ)や、プログラマブル表示器に対するユーザの操作履歴などが蓄えられている。その他、プログラマブル表示器には、バーコードリーダーのような読み取り装置が接続可能な通信インターフェースを有する機種もあるため、そのような読み取り装置(外部機器)からのデータもプログラマブル表示器に記憶される。
【0004】
このようにプログラマブル表示器に記憶されている情報をコンピュータに収集するには、例えば、特許文献1に記載されている手法が利用可能である。特許文献1には、プログラマブル表示器が、データの配信の中心となって、配信時刻などの所定の配信条件を満たすときに、指定された配信先にデータを配信することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−117602号公報(2001年4月27日公開)
【特許文献2】特開2006−54732号公報(2006年2月23日公開)
【特許文献3】特開2006−246261号公報(2006年9月14日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された手法では、データを収集するコンピュータが配信されてきたデータ表計算プログラムに書き込むための専用のプログラムをインストールしておく必要がある。このため、そのようなプログラムをインストールしていないコンピュータでは、収集したデータを表示して見ることができない。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用のプログラムを必要とすることなく、コンピュータからプログラマブル表示器に記憶されている情報を収集することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプログラマブル表示器は、外部機器からのデータ、内部で発生したデータまたはその両方のデータを記憶するデータ記憶装置を備えているプログラマブル表示器において、上記課題を解決するために、前記データ記憶装置に記憶されたデータを組み込み可能に形成されたRDFファイルを記憶するRDF記憶部と、クライアントが備えるRSSリーダーの要求に応じた前記RDFファイルを当該クライアントに送信するWebサーバ手段と、前記RSSリーダーの要求に応じた前記RDFファイルを前記RDF記憶部から読み出すとともに、当該RDFファイルに組み込まれるべき前記データを前記データ記憶装置から読み出して当該RDFファイルに組み込んでWebサーバ手段に与えるファイル加工手段とを備えている。
【0008】
上記の構成では、ファイル加工手段によって、RSSリーダーの要求に応じたRDFファイルがRDF記憶部から読み出され、当該RDFファイルに組み込まれるべき最新のデータがデータ記憶装置から読み出されて、当該RDFファイルに組み込まれることで、送信用のRDFファイルが作成される。このRDFファイルがWebサーバ手段を通じてRSSリーダーに送信されることにより、クライアントにおいて、最新のデータを見ることができる。
【0009】
前記プログラマブル表示器において、前記RDFファイルは、対応する前記データを置換するためのコマンドを含むコマンド部と、定型文書を含む定型部とを有し、前記ファイル加工手段は、前記RDFファイルの前記コマンドで指定された前記データ当該コマンドの配置位置に置換することにより前記データを前記RDFファイルに組み込むことが好ましい。この構成によれば、RDFファイルの所要の箇所にデータが置換されるので、データに基づいてRDFファイルを作成することに比べて、送信用のRDFファイルの作成に要する時間が短縮される。これにより、RDFファイルの作成のための処理にかかるプログラマブル表示器2の負担が軽減されるので、プログラマブル表示器2の本来の外部機器との通信や、表示・入力操作処理の正常な処理を維持することができる。
【0010】
また、データに基づいて1からRDFファイルの全てを作成する場合と異なり、置換に必要なデータ分しかメモリを使用しないので、使用メモリが少なくて済む。
【0011】
本発明のプログラムは、前記プログラマブル表示器の前記Webサーバ手段および前記RDFファイル加工手段としてコンピュータを機能させるプログラムである。また、このエディタプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。このように、エディタプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、前記プログラマブル表示器を実現することができる。
【0012】
本発明のシステムは、プログラマブル表示器と前記クライアントとがネットワークを通じて通信可能に接続されていることを特徴としている。これにより、プログラマブル表示器から最新のデータを収集するシステムを容易に構築することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプログラマブル表示器は、以上のように、データ記憶装置に記憶されたデータを組み込み可能に形成されたRDFファイルを記憶するRDF記憶部と、クライアントが備えるRSSリーダーの要求に応じた前記RDFファイルを当該クライアントに送信するWebサーバ手段と、前記RSSリーダーの要求に応じた前記RDFファイルを前記RDF記憶部から読み出すとともに、当該RDFファイルに組み込まれるべき前記データを前記データ記憶装置から読み出して当該RDFファイルに組み込んでWebサーバ手段に与えるファイル加工手段とを備えているので、RDFファイルがWebサーバ手段を通じてRSSリーダーに送信されることにより、クライアントにおいて、最新のデータを見ることができる。また、RSSリーダーそのものは、ブラウザの一部として組み込まれるなどして、一般に普及してきているので、プログラマブル表示器のデータを収集する専用のプログラムをクライアントにインストールしなくても、RSSリーダーを用いてデータを収集することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態について図1ないし図3に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、プログラマブル表示器2と、クライアントコンピュータ3と、ネットワーク4と、PLC5とを備えている。
【0016】
プログラマブル表示器2は、ネットワーク4を介してクライアントコンピュータ3と接続されている。ネットワーク4は、共通の通信プロトコル(共通通信プロトコル)で通信を行うことが可能なイーサネット(登録商標)などからなるローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットを含むような通信ネットワークである。
【0017】
PLC5は、ユーザが作成したシーケンスプログラム(ラダープログラムなど)にしたがって、例えば、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に、入力ユニットを介して入力用のデバイス6の状態を取り込むとともに、出力用のデバイス6に制御指示を与える。
【0018】
入力用のデバイス6としては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力用のデバイス6としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス6は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置されて、制御システム1の一部を構成している。
【0019】
なお、デバイス6は、後述するタッチパネル23から手動で入力されたデータを格納するためのデータメモリ(図示せず)における特定の領域であってもよい。また、デバイス6は、PLC5内のメモリにおける特定の領域であってもよい。
【0020】
PLC5内のメモリ(デバイスメモリ)は、デバイス6の状態(デバイス6からの出力値やデバイス6への設定値)を示すデータ(ワードデータやビットデータ)を、デバイスアドレスで特定される領域に格納している。上記メモリにおいて、ワードデバイスとビットデバイスとが設定される。ワードデバイスは、入出力されるデータが数値のようなワードデータを格納する領域として設定され、ワードアドレス(デバイスアドレス)で指定される。また、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータを格納する領域として設定され、ビットアドレス(デバイスアドレス)で設定される。このような設定により、メモリ内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをデバイスアドレスを指定してアクセスするだけでデバイス6を制御し、またはその状態に関する情報を個別に取り出すことができる。
【0021】
プログラマブル表示器2は、CPUなどの演算処理装置を備えており、ユーザが作成した入力操作および表示用の画面データを表示することによりプログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータである。制御システム1のHMI機器として好適に使用されるプログラマブル表示器2は、ユーザ画面に関連して行われる各種の処理を規定する処理規定情報を組み合わせて決定される画面データに基づいて、デバイス6の状態を画面表示する際の動作や、画面への操作に応じてデバイス6の状態を制御するときの動作を特定する。
【0022】
このプログラマブル表示器2は、通信ケーブル7を介したPLC5との通信により、PLC5を介して表示画面に状態を表示する各デバイス6の状態を取得し、例えば、後述のディスプレイ22に各デバイス6の状態を表示する機能を有する。また、プログラマブル表示器2は、後述のタッチパネル25への操作に応じて、デバイス6へデバイスの状態制御を指示する機能を有する。
【0023】
なお、デバイス6の状態の取得/変更は、その都度指示してもよいし、プログラマブル表示器2内に一時的なメモリ空間を用意し、取得/変更時には、当該メモリ空間へアクセスするとともに、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC5と通信して各々のアドレスが割り当てられた実体と同期を取ってもよい。
【0024】
プログラマブル表示器2は、上記の機能を実現するために、HMI制御部21と、ディスプレイ22と、タッチパネル23と、インターフェース部(図中、I/F)24,25と、データメモリ26と、Webサーバ27と、RDFファイル格納部28とを備えている。以下、プログラマブル表示器2の主要各部について詳細に説明する。
【0025】
ディスプレイ22は、プログラマブル表示器1を薄型に構成するために、液晶ディスプレイや、ELディスプレイや、プラズマディスプレイのような平板型ディスプレイが好適に用いられる。タッチパネル23は、ディスプレイ22の表示画上でタッチ入力を行うために設けられている入力装置である。
【0026】
インターフェース部24は、プログラマブル表示器2がクライアントコンピュータ3との間の通信を行うための通信制御部であり、ネットワーク4に接続されている。このインターフェース部24は、クライアントコンピュータ3のIPアドレスに基づくネットワーク通信を行うことができるように構成される。
【0027】
一方、インターフェース部25は、プログラマブル表示器2がPLC5との間の通信を行うための通信制御部である。このインターフェース部25は、PLC5がシリアル通信を行う機種である場合にシリアル通信制御を行う一方、PLC5がネットワーク通信を行う機種である場合にネットワーク通信を行うように構成されている。インターフェース部25は、シリアル通信制御を行う場合、PLC5のメーカや機種に応じた通信プロトコルを用いて通信を行う。
【0028】
データメモリ26は、SRAMによって構成されており、PLC5から得たデータやプログラマブル表示器2で発生したデータを格納している。
【0029】
PLC5から得たデータとしては、サンプリングデータが挙げられる。サンプリングデータは、PLC5がデバイス6から得たデータであり、発生順にデータメモリ26に蓄えられていく。プログラマブル表示器2で発生したデータとしては、アラームデータ、折れ線グラフデータ、操作ログデータなどが挙げられる。
【0030】
アラームデータは、アラームに関する情報であり、PLC5における所定のアラームビットがONしたことを受信すると、HMI処理部21が、当該アラームビットに対して予め設定されているアラームについての内容(メッセージ)などを発報時刻(受信時刻)と併せて作成するデータある。折れ線グラフデータは、HMI処理部21が、上記のサンプリングデータに基づいて作成した折れ線グラフを表示するためのデータである。操作ログデータは、プログラマブル表示器2に対するユーザの操作履歴に関するデータであり、ユーザがプログラマブル表示器2に対してした操作内容(ログイン、ログアウト、画面における各タッチ操作など)や、操作者情報(氏名、所属など)や、その発生時刻などからなる。
【0031】
また、プログラマブル表示器2に接続された他の外部機器(温調器、インバータ、バーコードリーダーなど)から取り込んだデータもデータメモリ26に格納される。
【0032】
プログラマブル表示器2は、上記のデータメモリ26以外にも、図示はしないが、作業メモリや、ユーザメモリとを含んでいる。
【0033】
作業メモリは、例えば、DRAMによって構成されており、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC5との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。ユーザメモリは、画面データ、上記の通信プロトコルなどを格納するためのメモリであり、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)が用いられる。FEPROMは、書き替え可能な読み出し専用のフラッシュメモリであるので、一般のパーソナルコンピュータにおけるハードディスクドライブの役割を果たす。フラッシュメモリは、可動部を持たず、かつ衝撃に強いので、劣悪な周囲環境でも安定して動作する。
【0034】
画面データは、プログラマブル表示器2に表示される1つ以上のユーザ画面(1フレーム分の画面データによって構成される単位画面)のデータをまとめた画面ファイルである。画面データは、通常、ターゲットシステムやターゲットシステムで製造される製品などに応じた一連の関連する複数の画面データがひとまとまりのプロジェクトファイルとして用意される。
【0035】
Webサーバ27は、クライアント(例えばクライアントコンピュータ3)からの要求を受けて、RDF(Resource Description Framework)ファイルをネットワーク4を通じてクライアントに送信する。
【0036】
また、Webサーバ27は、置換処理部27aを有している。置換処理部27aは、CGI(Common Gateway Interface)によって実現される機能ブロックである。この置換処理部27aは、後述するクライアントコンピュータ3のRSSリーダー33の要求に応じたデータを指定されたRDFファイルにおける前述の置換コマンド部に置換して、当該RDFファイルをWebサーバ27に渡す。具体的には、置換処理部27aは、上記の要求にて指定されたRDFファイルをRDFファイル格納部28から読み出して、当該RDFファイルの置換コマンド部のコマンドを解析する。また、置換処理部27aは、解析したコマンドにしたがったデータをデータメモリ26から読み出して、置換コマンド部に置換する。置換処理部27aは、データを置換するとき、RDFファイルの形態に応じて、データを適当に分解してRDFファイルの所要の位置に置換する。
【0037】
また、Webサーバ27は、RSSリーダー33が定期的にRDFファイルの更新状況を問い合わせてくると、その要求を受けて、置換処理部27aが上記のようにして作成した送信用のRDFファイルを作成して、RSSリーダー33に送信する。
【0038】
RDFファイル格納部28は、Webサーバ27がクライアントに対して送信する各種のRDFファイルを格納している。RDFファイルは、一般のRDFファイルと異なり、記述内容を置換するためのコマンドを含む置換コマンド部と、通常のRDFのフォーマットにしたがったXML形式のテキストファイルからなる定型部とを有している。置換コマンド部には、データメモリ26に格納されているデータのうちの置換すべきデータと、当該データを置換コマンド部の位置に置換するための指示内容とが含まれている。RDFファイルは、公開が許可されているデータについてそれぞれ用意されている。
【0039】
なお、RDFファイル格納部28は、プログラマブル表示器2の内部に設けられてもよいが、プログラマブル表示器2に着脱自在に接続できる外部記憶媒体(メモリカードやUSBメモリなど)に構成されてもよい。
【0040】
HMI制御部21は、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC5と通信することによって、PLC5のデバイスメモリから、デバイス6の状態を状態データとして取得して、プログラマブル表示器2内に用意された一時的なメモリ空間、例えば前述の作業メモリの特定の領域(状態メモリ領域)に書き込む。また、HMI制御部21は、PLC5のデバイスメモリにおける状態データを更新するように、状態メモリ領域におけるデバイス6の状態データを書き替えて、PLC5に送信する。HMI制御部21は、前述の画面データに基づいて、デバイス6の状態データをPLC5から取得してディスプレイ23上で描画表示するときの動作や、画面への操作に応じてデバイス6の状態の変更を指示するときの動作を処理規定情報によって特定する。
【0041】
HMI制御部21は、HMI制御プログラムをプログラマブル表示器2が備えるCPUなどの演算処理手段に実行させることにより実現される機能ブロックである。上記のHMI制御プログラムは、プログラマブル表示器2と分離可能に構成される記録媒体にも記録可能であり、その記録媒体からプログラマブル表示器2にインストールされてもよい。HMI制御プログラムは、プログラマブル表示器2の機種に応じた機能を発揮させるために、機種毎に個別に用意されている。また、Webサーバ27はアプリケーションプログラムとしてプログラマブル表示器2にインストールされているサーバプログラムである。このサーバプログラムも、HMI制御プログラムと同様、プログラマブル表示器2と分離可能に構成される記録媒体にも記録可能であり、その記録媒体からプログラマブル表示器2にインストールされてもよい。
【0042】
上記の記録媒体は、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0043】
また、本制御システム1が、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能に構成されていれば、当該通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めプログラマブル表示器2に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0044】
続いて、クライアントコンピュータ3について説明する。
【0045】
クライアントコンピュータ3は、CPU、メモリ(RAM、ROMなど)、外部記憶装置(ハードディスクドライブ、MOドライブなど)、表示装置および入力装置(キーボード、マウスなど)を有するパーソナルコンピュータによって構成されている。また、クライアントコンピュータ3は、制御部31、インターフェース部(図中、I/F)32、RSS(RDF Site Summary)リーダー33およびWebブラウザ34を備えている。
【0046】
インターフェース部32は、プログラマブル表示器2や他の機器との間の通信を行なうための通信制御部であり、ネットワーク4に接続されている。
【0047】
制御部31は、ハードウエア(CPUやメモリなど)およびソフトウエア(オペレーティングシステムなど)によって実現される機能ブロックであり、アプリケーションプログラムの実行や周辺機器の動作を制御する部分である。
【0048】
RSSリーダー33は、Webサイトを巡回してRSS形式の更新情報を受信し、リンク一覧の形で表示するアプリケーションプログラムである。RSSは、Webサイトの見出しや要約などのメタデータを構造化して記述する、XMLベースの書式の一種であり、Webサイトの更新情報を記述するのに用いられる。RSSリーダー33は、ポーリングによって定期的にWebサーバ27に、予め登録されているURLに基づいて指定したRDFファイルの送信要求をして、Webサーバ27から当該RDFファイルをダウンロードする。また、RSSリーダー33は、ダウンロードしたRDFファイル(のRSS情報)が更新されていると、当該サイトへのリンクを表示してユーザに知らせる。表示されたリンクをユーザがクリックすると、Webブラウザ34がウインドウを開いて目的のRSS情報を表示する。RSS形式で記述された文書には、Webサイトの各ページのタイトル、アドレス、見出し、要約、更新時刻などを記述することができる。RSS文書を用いることで、多数のWebサイトの更新情報を統一的な方法で効率的に把握することできる。
【0049】
RSSリーダー33およびWebブラウザ34は、コンピュータにインストールされているアプリケーションプログラムである。このアプリケーションプログラムは、クライアントコンピュータ3と分離可能に構成される記録媒体にも記録可能であり、その記録媒体からクライアントコンピュータ3にインストールされてもよい。この記録媒体もWebサーバ27と同様な前述の記録媒体であってもよい。また、本制御システム1が、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能に構成されていれば、当該通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めクライアントコンピュータ3に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0050】
ここで、上記のように構成されるプログラマブル表示器2からクライアントコンピュータ3へRSS情報を収集する処理について説明する。
【0051】
まず、クライアントコンピュータ3のWebブラウザ34によって、プログラマブル表示器2のWebサーバ27にアクセスすると、クライアントコンピュータ3には、例えば、図2に示すようなWebページ101が表示される。
【0052】
このWebページ101では、アラーム情報リスト102が表示されている。アラーム情報リスト102は、項目として発報日時(図中「発報」)、メッセージ、確認日時(図中「確認」)、復旧日時(図中「復旧」)を設けている。発報日時は、プログラマブル表示器2がPLC5からアラームの発生を受信した日時である。メッセージは、アラームの内容などを表した文字列である。確認日時は、アラーム情報がユーザによって確認された日時である。復旧日時は、アラームの発生状態が解除されるなどして復旧した日時である。アラーム情報リスト102の同じ列に表示される上記の各項目が、1つのアラームについての情報として提供される。
【0053】
また、Webページ101には、URL登録欄103が設けられている。このURL登録欄103は、URL表示ボックス103aと、登録ボタン103bとを有している。URL表示ボックス103aは、RSSリーダー33に登録するURLを表示するために設けられている。登録ボタン103bは、URL表示ボックス103aに表示されているURLをRSSリーダー33に登録するための操作ボタンである。
【0054】
ユーザがアラーム情報リスト102に表示されている所望の行をマウスのクリック操作などによって選択すると、その行のアラーム情報を記載したRDFファイルのURLがURL表示ボックス103aに表示される。この状態で登録ボタン103bが操作されると、当該URLがRSSリーダー33に登録される。
【0055】
ユーザによって所望のアラーム情報についてのRDFファイルのURLがRSSリーダー33に登録されているとする。この場合、RSSリーダー33は、定期的にポーリングを行うことにより、Webサーバ27にRDFファイルの更新状態を問い合わせる。Webサーバ27は、その問い合わせを受けて、置換処理部27aは、RSSリーダー33の要求で指定されたURLについての読み出すべきRDFファイルをRDFファイル格納部28から(この場合はアラーム用RDFファイル)を読み出して、当該RDFファイルにおける置換コマンド部のコマンドを解析する。そして、置換処理部27aは、最新のアラームデータをデータメモリ26から読み出して、置換コマンド部に置換することで、送信用のRDFファイルを作成する。Webサーバ27は、そのRDFファイルをクライアントコンピュータ3に送信する。
【0056】
RSSリーダー33は、Webサーバ27からダウンロードした当該RDFファイルが更新されていることを確認すると、図3に示すようなリンク画面201にてリンクを表示して、ユーザにアラームに関するRSS情報が更新されていることを知らせる。このリンク画面201には、リンク一覧表示部202と、アラーム表示部203とが設けられている。リンク一覧表示部202は、RSSリーダー33に登録されているURLがリンクの一覧として表示される。ここで、ユーザが、リンク一覧表示部202に表示されているリンクから所望の1つを選択すると、RSSリーダー33は、当該リンクのURLのRDFファイルの送信をプログラマブル表示器2のWebサーバ27に要求する。
【0057】
RSSリーダー33は、受信したRDFファイルの情報をリンク画面201の情報表示部203に表示する。
【0058】
このように、制御システム1においては、プログラマブル表示器2がWebサーバ27(置換処理部27a)およびRDFファイル格納部28を備えることで、RSSリーダー33が定期的にWebサーバ27からダウンロードしたRDFファイルによって、プログラマブル表示器2のデータメモリ26に格納されたデータをRSS情報として確認することができる。これにより、RSSリーダー33は、所望のRDFファイルを特定するURLを登録しておけば、ユーザが特別な操作をすることなく、容易に最新のデータを確認することができる。また、RSSリーダー33そのものは、ブラウザの一部として組み込まれるなどして、一般に普及してきているので、プログラマブル表示器2のデータを収集する専用のプログラムをクライアントコンピュータ3にインストールしなくても、RSSリーダー33を用いてデータを収集することができる。
【0059】
したがって、安価かつ手軽に、プログラマブル表示器2のデータメモリ26に蓄えられている最新のデータを収集することができる。
【0060】
また、RDFファイルにデータ置換用のコマンドを組み込むことにより、特許文献2,3に記載されているようなデータに基づいてRDFを作成することに比べて、送信用のRDFファイルの作成に要する時間が短縮される。これにより、RDFファイルの作成のための処理にかかるプログラマブル表示器2(HMI制御部21)の負担が軽減される。
【0061】
マルチタスクを行うことを前提とした汎用のパーソナルコンピュータのようにCPUの能力が高くメインメモリの容量が大きいクライアントコンピュータ3では、RDFファイルをデータに基づいて作成しても他のタスクに及ぼす影響は少ない。これに対して、プログラマブル表示器2は、汎用のクライアントコンピュータ3と比べてCPUの能力も低く、メインメモリの容量も大きくないので、PLC5との通信や表示や操作入力などのHMI処理中心にCPUが稼働する。このため、RDF作成の処理量が大きくなると、CPUにかかる負担が大きくなり、HMI処理にその影響が及ぶことになる。したがって、RDFファイルの作成処理にかかるプログラマブル表示器2の負担が軽減されることは、HMI制御部21の正常な処理を維持する上で好ましい。
【0062】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のプログラマブル表示器は、プログラマブル表示器に蓄えられた各種の情報をRSS形式で提供することにより、専用のプログラムを用いることなく、最新の情報をプログラマブル表示器からコンピュータに収集することができるので、複数のプログラマブル表示器の前記情報を一元的に管理することなどに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るプログラマブル表示器を含む制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記制御システムにおけるコンピュータのWebブラウザによって当該コンピュータに表示される上記プログラマブル表示器のWebサーバが提供するWebページを示す図である。
【図3】上記コンピュータのRSSリーダーによって上記コンピュータに表示されるリンク画面示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 制御システム(データ配信システム)
2 プログラマブル表示器
3 クライアントコンピュータ(クライアント)
26 データメモリ(データ記憶装置)
27 Webサーバ(Webサーバ手段)
27a 置換処理部(ファイル加工部)
28 RDFファイル格納部(RDF記憶部)
34 Webブラウザ
33 RSSリーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器からのデータ、内部で発生したデータまたはその両方のデータを記憶するデータ記憶装置を備えているプログラマブル表示器において、
前記データ記憶装置に記憶されたデータを組み込み可能に形成されたRDFファイルを記憶するRDF記憶部と、
クライアントが備えるRSSリーダーの要求に応じた前記RDFファイルを当該クライアントに送信するWebサーバ手段と、
前記RSSリーダーの要求に応じた前記RDFファイルを前記RDF記憶部から読み出すとともに、当該RDFファイルに組み込まれるべき最新の前記データを前記データ記憶装置から読み出して当該RDFファイルに組み込んでWebサーバ手段に与えるファイル加工手段とを備えていることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記RDFファイルは、対応する前記データを置換するためのコマンドを含むコマンド部と、定型文書を含む定型部とを有し、
前記ファイル加工手段は、前記RDFファイルの前記コマンドで指定された前記データ当該コマンドの配置位置に置換することにより前記データを前記RDFファイルに組み込むことを特徴とする請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプログラマブル表示器の前記Webサーバ手段およびRDFファイル加工手段としてコンピュータを機能させるためのデータ配信プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項5】
請求項1または2に記載のプログラマブル表示器と前記クライアントとがネットワークを通じて通信可能に接続されていることを特徴とするデータ収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−9498(P2009−9498A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172336(P2007−172336)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】