説明

プログラム、データ処理装置及びデータ処理方法

【課題】表示の制御にかかる負荷を大幅に軽減しながら、画面上の任意の領域を拡大して表示する。
【解決手段】画面に表示する第1の画像情報を記憶するグラフィックメモリ55と、画面中の任意範囲の指定を受付け、受付けた範囲に対応してグラフィックメモリ55で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成し、作成した画像情報をグラフィックメモリ55が記憶する画像情報に合成し、合成後の第2の画像情報をグラフィックメモリ55に記憶させ、第2の画像情報を第1の画像情報に代えて画面に表示させるCPU51及びグラフィックスアクセラレータ54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータ等でマルチタスク機能を実行する場合に好適なプログラム、データ処理装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータでより直感的なGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を提供するべく、アクティブなウィンドウの内部をアクティブではないウィンドウよりも明るく表示すると共に、別ウィンドウとして、当該ウィンドウの内容を表示したままで全体を縮小表示するようにした技術が提案されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−012211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された技術は、マルチタスクが可能なPCにおいて、デスクトップ画面上でアクティブなウィンドウを他のアクティブではないウィンドウに対して、より見易く表示すると共に、全体としてどのようなものが表示されているのか大まかに把握できるような別のウィンドウを画面の隅などに小さく表示する。
【0005】
そのため、PCのオペレーティングシステムは、起動しているタスク数と縮小表示用のウィンドウとを加えた数のウィンドウを表示するための統括的な制御を実行する必要があり、制御上の負荷が非常に大きくなるという不具合を生じる。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、表示の制御にかかる負荷を軽減しながら、画面上の任意の領域を拡大して表示することが可能なプログラム、データ処理装置及びデータ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、コンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、画面に表示する画像情報を記憶する記憶手段、上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定手段、上記範囲指定手段で指定した範囲に対応して上記記憶手段で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大手段、上記画像拡大手段で作成した画像情報を上記記憶手段が記憶する画像情報に合成する画像合成手段、及び上記画像合成手段での合成後の画像情報を上記記憶手段で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示の制御にかかる負荷を軽減しながら、画面上の任意の領域を拡大して表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る投影システムの接続構成を示す図。
【図2】同実施形態に係るデータプロジェクタ装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係るポインタペンの機能構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態に係るPCのハードウェア構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態に係る画像の範囲指定に関する処理内容を示すフローチャート。
【図6】同実施形態に係る投影画像を例示する図。
【図7】同実施形態に係る投影画像を例示する図。
【図8】同実施形態に係る投影画像を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置にPCを接続して投影システムを構築した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る投影システムの接続構成を例示する。同図で1がプロジェクタ、2がプロジェクタ1に投影する画像を提供するPCである。プロジェクタ1とPC2はVGAケーブルVC及びUSBケーブルUCで有線接続される。PC2からVGAケーブルVCを介して画像信号が提供され、プロジェクタ1はこの画像信号に応じた投影画像PIをスクリーンに投影する。
【0011】
3はプロジェクタ1専用のポイントペンであり、プロジェクタ1とポイントペン3の間は例えばBluetooth(登録商標)技術により無線接続される。プロジェクタ1が投影する投影画像PIは、肉眼では不可視であるが本来の画像に対して各画素領域に位置座標情報が階調表現上でPWM変調して重畳されている。
【0012】
ポイントペン3は内部に受光系及び上記位置座標信号の復調回路を備え、投影画像PI内の任意の位置をポイントとすることにより、そのポイント位置の位置座標信号を復調し、ポイント指示の座標情報としてプロジェクタ1に送信する。これを受けたプロジェクタ1は、当該座標情報をPC2に送信する。
【0013】
予めポイントペン3操作用のアプリケーションプログラムをインストールしたPC2では、プロジェクタ1を経由して受信したポイントペン3の座標情報に基づいて、投影画像PI中にポイントマークPTの画像が重畳されるような画像信号を生成してPC2へ出力する。
したがって、ポイントペン3を把持するユーザは、あたかもポイントペン3から直接ポイントマークPTの形状をした光が出射しているような間隔でポイントペン3を操作することができる。
【0014】
図2は上記プロジェクタ1の概略機能構成を示す図である。
入出力部11は、例えばビデオ入力端子、RGB入力端子、VGA端子、PCと接続するためのUSB端子などにより構成される。入出力部11に入力された画像信号は、必要に応じてデジタル化された後に、システムバスSBを介して画像変換部12に送られる。
【0015】
画像変換部12は、スケーラとも称され、入力される画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに統一して投影処理部13へ送る。
【0016】
この際、OSD(On Screen Display)用の各種動作状態を示すシンボル等のデータも必要に応じて画像変換部12により画像データに重畳加工され、加工後の画像データを投影処理部13へ送る。
【0017】
投影処理部13は、送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子14を表示するべく駆動する。
【0018】
このマイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して画像を表示することで、その反射光により光像を形成する。
【0019】
このときマイクロミラー素子14で表示する画像には、肉眼では不可視であるが本来の画像に対して各画素領域に位置座標情報が階調表現上でPWM変調して重畳されている。
【0020】
一方で、光源部15から時分割でR,G,Bの原色光を含む複数色の光が循環的に時分割で順次出射される。この光源部15からの光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0021】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光源光の色に応じた光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部17を介して、投影対象となるここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0022】
上記各回路の動作すべてをCPU18が制御する。このCPU18は、メインメモリ19及びプログラムメモリ20と直接接続される。メインメモリ19は、例えばSRAMで構成され、CPU18のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ20は、電気的に書換え可能な不揮発性メモリで構成され、CPU18が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。CPU18は、上記メインメモリ19及びプログラムメモリ20を用いて、このプロジェクタ1内の制御動作を実行する。
【0023】
上記CPU18は、操作部21からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。この操作部21は、プロジェクタ1の本体に設けられるキー操作部と、このプロジェクタ1専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含み、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU18へ直接出力する。
【0024】
上記CPU18はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部22、ポインタ通信部23とも接続される。音声処理部22は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部24を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
ポインタ通信部23は、アンテナ25を介して上記ポイントペン3と無線接続し、ポイントペン3から送られてくる座標情報やポイントペン3に備えられる各種キーの操作信号等を受信して上記CPU18へ送出する。
【0025】
次に図3により上記ポイントペン3の機能構成を説明する。
ポイントペン3の先端に受光レンズ系31が組込まれており、この受光レンズ系31の合焦位置に受光素子として例えばフォトトランジスタ32が配置される。フォトトランジスタ32の出力信号はA/D変換部33でデジタル化された後に復調部34に送られる。
【0026】
復調部34は、A/D変換部33の出力するPWM変調されたデジタルデータを復調し、コード化された位置座標情報を取得し、座標算出部35へ出力する。座標算出部35は、復調部34の出力から投影画像PIにおけるポイントペン3のポイント位置を表す位置座標の算出とチェック等を行ない、その算出結果をバスBを介してCPU36へ出力する。
【0027】
CPU36は、上記A/D変換部33、復調部34、及び座標算出部35とこのポイントペン3全体に係る制御動作を司るもので、メインメモリ37及びプログラムメモリ38が直接接続される。メインメモリ37は、CPU36のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ38は、CPU36が実行する動作プログラムや各種定型データを記憶する。CPU36は、上記メインメモリ37及びプログラムメモリ38を用いて、このポイントペン3内の制御動作を実行する。
【0028】
このCPU36に対してさらに、クリックキー部39からキー操作信号が入力される。クリックキー部39は、例えばポイントペン3の軸方向に沿って配設された、2つのクリックキーそれぞれの操作信号をCPU36に出力する。
【0029】
ここでクリックキー部39を構成する2つのクリックキーは、例えば図1に示すように、ポイントペン3の先端側に位置する、より操作面積が大きなクリックキー3a(マウスポインタの左クリックキーに相当する)と、そのキーに隣接して後方側に位置する、小さなクリックキー3b(マウスポインタの右クリックキーに相当する)とからなるものとする。
【0030】
さらに上記CPU36は、バスBを介してプロジェクタ通信部40とも接続される。このプロジェクタ通信部40は、アンテナ41を介して上記プロジェクタ1と無線接続し、上記座標情報やクリックキー部39の操作信号を送信する。
【0031】
図4は、上記ポイントペン3の範囲指定に応じたアプリケーションプログラムをインストールした上記PC2のハードウェア構成を示す。各種処理制御を司るCPU51とフロントサイドバスFSBを介してノースブリッジ52が接続される。
【0032】
このノースブリッジ52にはまた、メモリバスMBを介してメインメモリ53と、グラフィクスインタフェースAGPを介してグラフィックスアクセラレータ54及びグラフィックメモリ55と、そして図示しないディスプレイコネクタを介してディスプレイ56と接続される他、図示しないRGB出力端子を介してアナログの画像信号を出力する。
【0033】
さらにノースブリッジ52はサウスブリッジ57とも接続され、主としてこれらの間での入出力制御を実行する。
【0034】
サウスブリッジ57は、PCI−Expressスロット58、キーボード/マウス59、ハードディスク装置(HDD)60、光学ディスクドライブ61、ネットワークコネクタ62、及びUSBコネクタ63と接続され、主としてこれら周辺回路とノースブリッジ52との間の入出力制御を行なう。
【0035】
上記ハードディスク装置60内に、OS(オペレーティングシステム)と各種のアプリケーションプログラム、各種のデータファイル等に加えて、OS起動中に常駐してディスプレイ56のデスクトップ画像に対する表示制御を行なう、後述する表示制御プログラム等が予めインストールされているものとする。
【0036】
なお、上記グラフィックメモリ55は、ディスプレイ56の表示容量の2倍より大きな画像データの記憶容量を有し、プロセッサであるグラフィックスアクセラレータ54が生成する2画面分の画像データを記憶可能であるものとする。
【0037】
グラフィックスアクセラレータ54は、グラフィックメモリ55を用いて必要により2画面分の画像データを作成し、そのいずれか一方をディスプレイ56に表示させると共に、アナログのRGB画像信号を生成して出力し、上記VGAケーブルVCを介してプロジェクタ1へ送出する。
その他、PC2を構成する個々の要素自体は、きわめて一般的な周知の技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0038】
次に上記実施形態の動作について説明する。
図5は、上記図1に示したように本投影システムを稼動している過程で、画像信号を出力しているPC2のCPU51及びこのCPU51の制御の下に画像表示用のプロセッサであるグラフィックスアクセラレータ54が実行する、画像の範囲指定に関する処理内容の一部を示す。この図5の処理は、OSが起動されている状態で当該OSと連動して常駐するプログラムにより実行される。
【0039】
図示する如く当該プログラムでは、CPU51がプロジェクタ1を介してポイントペン3から投影画像PIをポイントすることで得られる筈の位置座標情報とクリックキー3a,3bの操作信号の有無を定期的に取得する(ステップS101)。そして、位置座標情報があるか否かにより投影画像PI内をポイントしているか否かを判断する(ステップS102)。
【0040】
ここでポイントペン3からの位置座標情報がなく、ポイントペン3は投影画像PI内をポイントしていないと判断した場合には、再度上記ステップS101からの処理に戻り、ポイントペン3により投影画像PI内がポイントされるのを待機する。
【0041】
また上記ステップS102でポイントペン3からの位置座標情報があり、ポイントペン3が投影画像PI内をポイントしていると判断した場合には、次いでポイントペン3を所持するユーザにより投影画像PI内の任意の位置範囲が指定されているか否かを、一般的なマウスポインタのドラッグ操作に相当する、併せてクリックキー3aの連続操作がなされているか否かにより判断する(ステップS103)。
【0042】
ここでクリックキー3aの連続操作がなされており、範囲指定中であると判断した場合にグラフィックスアクセラレータ54は、範囲指定当初のポイント位置と現時点のポイント位置とを対角とする矩形枠の画像情報を生成し、現在出力中であるデスクトップの画面に重畳した画像信号をグラフィックメモリ55上で作成した上で出力し、プロジェクタ1によって投影画像PIとして投影させる(ステップS104)。このとき、順次入力されるポイントペン3からの位置座標情報は、順次時刻情報と共にメインメモリ53に時系列で保持される。
【0043】
図6は、PC2においてあるデータプロジェクタの取扱説明書の文書ファイルを開いている状態から、ポイントペン3により投影画像PI中の任意の範囲指定を行なった場合の投影内容を例示する。同図に示すように、始点SPの位置と現在ポイントマークPTが指示している点位置とを対角とする矩形枠を投影している。
【0044】
このように位置指定を行なっている間は、対応する矩形枠を画像に重畳した画像信号を生成してプロジェクタ1により投影させる。
【0045】
図5では、上記ステップS104の処理後、再び上記ステップS101からの処理に戻ることで、位置指定を行なっている間は以後ステップS101〜S104の処理を繰返し実行する。
【0046】
その後、ポイントペン3でのクリックキー3aの操作が解除された時点で、対応する操作信号が停止すると、PC2のCPU51は上記ステップS103で範囲指定の操作中ではないことを判断し、後述する拡大画像(第2の画像)が表示されているか否かを判断する(ステップS105)。
【0047】
ここで拡大画像が表示されている状態でないと判断すると、CPU51は次に時系列で保持しているポイントペン3からの位置座標情報から、範囲指定がなされた際の投影画像PI上でのポイントペン3の操作速度([ドット/秒])を算出する(ステップS106)。
【0048】
次にCPU51は、時系列で保持しているポイントペン3からの位置座標情報から、範囲指定がなされた際の投影画像PI上でのポイントペン3の操作方向が上下いずれを向いていたかを算出する(ステップS107)。
【0049】
例えば、上記ステップS106で算出した操作速度が予め設定されている閾値としての操作速度よりも高く、且つ上記ステップS107で算出した操作方向が右下または左下で「下」方向であった場合、事前の設定(詳細は後述)に応じて指定範囲の画像の拡大率を「2.0」倍、指定画像に比して周囲画像を「暗くする」ものとする。
【0050】
CPU51の制御の下にグラフィックスアクセラレータ54は、それまでデスクトップ画面に表示するためにグラフィックメモリ55で作成していた画像を基準となる第1の画像とし、この第1の画像中の指定された矩形範囲内を上記拡大率で拡大して画面中央に貼付け、貼り付けた拡大部分以外の周囲の輝度を所定の割合で低下させた第2の画像をグラフィックメモリ55にあらたに作成する。そして、作成したこの第2の画像を、それまでの第1の画像に代えてディスプレイ56に表示させると共に、画像信号化してプロジェクタ1へ送出し、投影画像PIとした後(ステップS108)、上記ステップS101からの処理に戻る。
【0051】
図7は、上記図6で指定した範囲を拡大して画面中央に配置した第2の画像の投影状態を例示するものである。同図では、画面中央に配置した拡大画像EX以外の周囲の画像の輝度を、例えば本来の30[%]に抑えることで、周囲に対して拡大画像EXを浮き上がらせるように投影して、その内容を際立たせることができる。このとき、ポイントマークPTのみはその位置が拡大画像EXの内外いずれにあるかに拘わらず、本来の輝度となるようにする。
【0052】
また、上記図6では拡大画像EX以外の周囲の画像の輝度を低下させる場合について説明したが、上記ステップS107で範囲指定の方向が、右上または左上の「上」方向であった場合には、中央の拡大画像EX以外の周囲の画像の輝度を、例えば50[%]上げるようにする。
【0053】
この場合、単に周囲の画像の輝度を上げるだけでなく、周囲の画像のコントラストを例えば20[%]に抑制することで、周囲に対して拡大画像EXがコントラストの高い画像としてその内容を際立たせることができる。
【0054】
上記図6で示したように拡大画像EXを画面中央に配置した第2の画像を投影している状態の場合、上記ステップS105では、拡大画像(第2の画像)を表示していると判断されるので、ステップS109に進み、CPU51が、クリックキー3aが操作されたか否かを判断する。
【0055】
ここでCPU51が、クリックキー3aが操作されたと判断した場合、CPU51は、グラフィックスアクセラレータ54により上記第2の画像の出力を解除し、それに代えて、グラフィックメモリ55に記憶している元の第1の画像をディスプレイ56に表示させると共に、その画像信号をプロジェクタ1に出力して投影させた後(ステップS110)、上記ステップS101からの処理に戻る(拡大画像を消した、通常の表示状態に戻す)。
【0056】
なお、ステップS109で、クリックキー3aが操作されていないと判断した場合、ステップS111に進み、CPU51が、クリックキー3bが操作されたか否かを判断する。すなわち、第1の画像及び第2の画像のいずれを投影画像PIとしている状態に拘わらず、一般的なマウスポインタの右クリックキーに相当するポイントペン3のクリックキー3bが操作された場合、CPU51ではその操作信号を入力した時点で、上記ステップS101〜S103,S105,S109を介してステップS111でクリックキー3bが操作されたことを判断する。
【0057】
ここでCPU51は、予め用意している各種設定項目に基づいてグラフィックスアクセラレータ54により設定ウィンドウ(メニューウィンドウ)STを中央に配置した画像信号をグラフィックメモリ55で作成させ(展開させ)、ディスプレイ56に表示させると共に、その画像信号をプロジェクタ1に出力して投影させる(ステップS112)。
【0058】
図8は、設定ウィンドウSTを画面中央に配置した投影画像PIを例示する。同図では、画面中央に配置した設定ウィンドウST以外の周囲の画像の輝度を、例えば本来の30[%]に抑えることで、周囲に対して設定ウィンドウSTを浮き上がらせるように投影して、その内容を際立たせることができる。このとき、ポイントマークPTのみはその位置が設定ウィンドウSTの内外いずれにあるかに拘わらず、本来の輝度となるようにする。
【0059】
設定ウィンドウSTでは、ペイント機能時のペン設定を行なうためのペン入力タブPN、上記図7で示したような拡大画像EXの拡大率を設定するための拡大率タブER、例えば、ペイント機能を定義するためのポインタタブDRや、この設定ウィンドウSTを閉じるためのウィンドウ閉鎖ボタンCLを上部に配列している。
【0060】
同図では拡大率タブERを操作することで、指定する矩形範囲に対する拡大率の候補「×1.2」「×1.5」「×1.8」「×2.0」を選択して設定することを可能としている。これらの倍率は、ポイントマークPTによる矩形範囲の操作速度がしきい値より遅い場合であり、上記しきい値より速い操作速度での拡大率を「()」内の数値で併記している。同図では、拡大率「×2.0(1.6)」の位置にポイントマークPTがある状態を示している。
【0061】
CPU51はこの設定ウィンドウST内の各種項目の設定操作の受付け状態から、ポイントペン3のクリックキー3a操作を伴うなんらかの操作が実行されるのを待機する(ステップS113)。
【0062】
そして、上記ステップS113でなんらかの操作がなされた場合、CPU51はそれを判断して、操作内容を反映して設定状態を変更した後、グラフィックスアクセラレータ54により設定ウィンドウSTの画像の表示を解除させ(ステップS114)、以上で設定変更を終えたものとして上記ステップS101からの処理に戻る。
【0063】
また、上記ステップS111で、クリックキー3bが操作されていないと判断された場合は、上記ステップS101からの処理に戻る。
【0064】
以上詳述した如く本発明によれば、特に専用のアプリケーションプログラムを起動した上で範囲指定を行ない、また表示後は当該アプリケーションプログラムを閉じるなどの煩雑な手間を行なうことなく、またアクティブなウィンドウとアクティブではないウィンドウとの境界位置等を意識する必要なしに、表示の制御にかかる負荷を大幅に軽減しながら、デスクトップ画面上での任意の領域を一時的に拡大して表示することが可能となる。
【0065】
また上記実施形態では、指定した範囲を拡大する場合の拡大率を、用意した複数の候補から予め選択して設定することができるため、ユーザが自身の好みに応じて使い勝手を変更できる。
【0066】
さらに上記実施形態では、範囲を指定する際の操作の速さに応じて拡大率を異ならせるようにしたので、より使い勝手を向上して状況に応じた拡大画像を表示させることができる。
【0067】
また上記実施形態では、範囲を指定して拡大した画像をその他の周辺画像と異なる輝度またはコントラストで区分して表示するようにしたため、拡大した部分の画像を周囲の画像と明確に識別できる。
【0068】
この場合、特に上記実施形態では、範囲を指定する際の操作の方向に応じて明暗のパターンを切換えるものとしたので、拡大した部分の画像を周囲の画像と異なる輝度となるようにユーザの意図を反映して使い分けることができる。
【0069】
なお上記実施形態では、専用のポイントペン3を使用するプロジェクタ1にPC2を接続し、画像信号を出力するPC2の側で対処する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えばプロジェクタ1側で同様の動作制御を行なうことも可能である。
【0070】
さらに上記のような投影システムではなく、PCを単体で使用するような場合であっても、デスクトップ画面に関して同様の動作制御を行なうことが可能となる。
【0071】
また、上記実施形態では、デスクトップ画面に関する動作で説明したが、デスクトップ画面に限らず、アプリケーション画面等、任意の画面について同様に適用できる。
【0072】
さらに、PCに限らず、画像出力機能を備える装置に同様に適用できる。
【0073】
また、上記実施形態では、ポイントペンによるドラッグ操作の操作速度を拡大率に反映させ(拡大率に基づいて変化させ)、ドラッグ操作の操作方向を輝度の変化のさせ方に反映させる(操作方向に基づいて輝度の変化のさせ方を変える)ようにしたが、この逆であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、周囲の画像のコントラストを抑制する例で説明したが、この逆に拡大画像部分のコントラストを上げて際立たせるようにしてもよい。
【0075】
さらに、輝度調整とコントラスト調整両方を行うようにしてもよい。
【0076】
また、輝度、及び/又は、コントラストの変化のさせ方を、ドラッグ操作の操作方向に反映させずに、所定の割合で一方の画像情報の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行うようにしてもよい。
【0077】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0078】
以下に、本願出願の当所の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、画面に表示する画像情報を記憶する記憶手段、上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定手段、上記範囲指定手段で指定した範囲に対応して上記記憶手段で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大手段、上記画像拡大手段で作成した画像情報を上記記憶手段が記憶する画像情報に合成する画像合成手段、及び上記画像合成手段での合成後の画像情報を上記記憶手段で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【0079】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記コンピュータをさらに、上記第1の表示制御手段で表示した画像に対する所定の解除操作を受付ける解除受付手段、及び上記解除受付手段で解除操作を受付けた時点で、上記第1の表示制御手段による上記画像合成手段での合成後の画像情報に代えて上記記憶手段で記憶する画像情報を上記画面に表示させる第2の表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【0080】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記コンピュータをさらに、上記画像拡大手段による画像の拡大率を予め用意した複数の候補から選択して設定する拡大率設定手段として機能させることを特徴とする。
【0081】
請求項4記載の発明は、上記請求項1〜3の何れか記載の発明において、上記コンピュータをさらに、上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定速度を検出する速度検出手段として機能させ、上記画像拡大手段は、上記速度検出手段で検出した検出結果に基づいた倍率で拡大した画像情報を作成することを特徴とする。
【0082】
請求項5記載の発明は、上記請求項1〜4の何れか記載の発明において、上記画像合成手段は、上記画像拡大手段で作成した画像情報の輝度、及び/又は、コントラストとその周囲の画像情報の輝度、及び/又は、コントラストが異なるように一方の画像情報の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行なった後に合成することを特徴とする。
【0083】
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、上記コンピュータをさらに、上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定方向を検出する方向検出手段
として機能させ、上記画像合成手段は、上記方向検出手段で検出した検出結果に基づいて、上記画像拡大手段で作成した画像情報の輝度、及び/又は、コントラストとその周囲の画像情報の輝度、及び/又は、コントラストが異なるように一方の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行なった後に合成することを特徴とする。
【0084】
請求項7記載の発明は、上記請求項1〜3の何れか記載の発明において、上記コンピュータをさらに、上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定速度を検出する速度検出手段として機能させ、上記画像合成手段は、上記速度検出手段で検出した検出結果に基づいて、上記画像拡大手段で作成した画像情報の輝度、及び/又は、コントラストとその周囲の画像情報の輝度、及び/又は、コントラストが異なるように一方の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行なった後に合成することを特徴とする。
【0085】
請求項8記載の発明は、上記請求項1〜3及び7の何れか記載の発明において、上記コンピュータをさらに、上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定方向を検出する方向検出手段として機能させ、上記画像拡大手段は、上記方向検出手段で検出した検出結果に基づいた倍率で拡大した画像情報を作成することを特徴とする。
【0086】
請求項9記載の発明は、画面に表示する画像情報を記憶する記憶手段と、上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定手段と、上記範囲指定手段で指定した範囲に対応して上記記憶手段で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大手段と、上記画像拡大手段で作成した画像情報を上記記憶手段が記憶する画像情報に合成する画像合成手段と、上記画像合成手段での合成後の画像情報を上記記憶手段で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0087】
請求項10記載の発明は、画面に表示する画像情報を記憶する記憶工程と、上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定工程と、上記範囲指定工程で指定した範囲に対応して上記記憶工程で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大工程と、上記画像拡大工程で作成した画像情報を上記記憶工程で記憶する画像情報に合成する画像合成手段と、上記画像合成工程での合成後の画像情報をを上記記憶工程で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御工程とを有したことを特徴とする。
【符号の説明】
【0088】
1…プロジェクタ、2…PC、3…ポイントペン、11…入出力部、12…画像変換部、13…投影処理部、14…マイクロミラー素子、15…光源部、16…ミラー、17…投影レンズ部、18…CPU、19…メインメモリ、20…プログラムメモリ、21…操作部、22…音声処理部、23…ポインタ通信部、24…スピーカ部、25…アンテナ、31…受光レンズ系、32…フォトトランジスタ、33…A/D変換部、34…復調部、35…座標算出部、36…CPU、37…メインメモリ、38…プログラムメモリ、39…クリックキー部、40…プロジェクタ通信部、41…アンテナ、51…CPU、52…ノースブリッジ、53…メインメモリ、54…グラフィックスアクセラレータ、55…グラフィックメモリ、56…ディスプレイ、57…サウスブリッジ、58…PCI−Expressスロット、59…キーボード/マウス、60…ハードディスク装置(HDD)、61…光学ディスクドライブ、62…ネットワークコネクタ、63…USBコネクタ、AGP…グラフィクスインタフェース、B…バス、CL…ウィンドウ閉鎖ボタン、DR…ポインタタブ、ER…拡大率タブ、FSB…フロントサイドバス、MB…メモリバス、PI…投影画像、PN…ペン入力タブ、PT…ポイントマーク、SB…システムバス、SP…始点、ST…設定ウィンドウ、VC…VGAケーブル、UC…USBケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、
画面に表示する画像情報を記憶する記憶手段、
上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定手段、
上記範囲指定手段で指定した範囲に対応して上記記憶手段で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大手段、
上記画像拡大手段で作成した画像情報を上記記憶手段が記憶する画像情報に合成する画像合成手段、及び
上記画像合成手段での合成後の画像情報を上記記憶手段で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
上記コンピュータをさらに、
上記第1の表示制御手段で表示した画像に対する所定の解除操作を受付ける解除受付手段、及び
上記解除受付手段で解除操作を受付けた時点で、上記第1の表示制御手段による上記画像合成手段での合成後の画像情報に代えて上記記憶手段で記憶する画像情報を上記画面に表示させる第2の表示制御手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
上記コンピュータをさらに、
上記画像拡大手段による画像の拡大率を予め用意した複数の候補から選択して設定する拡大率設定手段
として機能させることを特徴とする請求項1または2記載のプログラム。
【請求項4】
上記コンピュータをさらに、
上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定速度を検出する速度検出手段
として機能させ、
上記画像拡大手段は、上記速度検出手段で検出した検出結果に基づいた倍率で拡大した画像情報を作成する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載のプログラム。
【請求項5】
上記画像合成手段は、上記画像拡大手段で作成した画像情報の輝度、及び/又は、コントラストとその周囲の画像情報の輝度、及び/又は、コントラストが異なるように一方の画像情報の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行なった後に合成することを特徴とする請求項1〜4の何れか記載のプログラム。
【請求項6】
上記コンピュータをさらに、
上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定方向を検出する方向検出手段
として機能させ、
上記画像合成手段は、上記方向検出手段で検出した検出結果に基づいて、上記画像拡大手段で作成した画像情報の輝度、及び/又は、コントラストとその周囲の画像情報の輝度、及び/又は、コントラストが異なるように一方の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行なった後に合成する
ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
上記コンピュータをさらに、
上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定速度を検出する速度検出手段
として機能させ、
上記画像合成手段は、上記速度検出手段で検出した検出結果に基づいて、上記画像拡大手段で作成した画像情報の輝度、及び/又は、コントラストとその周囲の画像情報の輝度、及び/又は、コントラストが異なるように一方の輝度、及び/又は、コントラスト調整を行なった後に合成する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載のプログラム。
【請求項8】
上記コンピュータをさらに、
上記範囲指定手段で受付ける上記画面中の任意範囲の指定方向を検出する方向検出手段
として機能させ、
上記画像拡大手段は、上記方向検出手段で検出した検出結果に基づいた倍率で拡大した画像情報を作成する
ことを特徴とする請求項1〜3及び7の何れか記載のプログラム。
【請求項9】
画面に表示する画像情報を記憶する記憶手段と、
上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定手段と、
上記範囲指定手段で指定した範囲に対応して上記記憶手段で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大手段と、
上記画像拡大手段で作成した画像情報を上記記憶手段が記憶する画像情報に合成する画像合成手段と、
上記画像合成手段での合成後の画像情報を上記記憶手段で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御手段と
を具備したことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項10】
画面に表示する画像情報を記憶する記憶工程と、
上記画面中の任意範囲の指定を受付ける範囲指定工程と、
上記範囲指定工程で指定した範囲に対応して上記記憶工程で記憶する画像情報を読出し、所定の倍率で拡大した画像情報を作成する画像拡大工程と、
上記画像拡大工程で作成した画像情報を上記記憶工程で記憶する画像情報に合成する画像合成手段と、
上記画像合成工程での合成後の画像情報をを上記記憶工程で記憶する画像情報に代えて上記画面に表示させる第1の表示制御工程と
を有したことを特徴とするデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−252043(P2012−252043A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122286(P2011−122286)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】