説明

プログラム・マップ・テーブル生成装置およびプログラム・マップ・テーブル生成プログラム、並びに、コンテンツ送信装置およびコンテンツ受信装置

【課題】蓄積しておいた記述子(特に、限定再生記述子)で示されたTSパケットを呼び出すために生じる受信側の装置の負担を軽減することができるプログラム・マップ・テーブル生成装置およびプログラム・マップ・テーブル生成プログラム、並びに、コンテンツ送信装置およびコンテンツ受信装置を提供する。
【解決手段】PMT生成手段(プログラム・マップ・テーブル生成装置)5は、プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケットIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するものにおいて、プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリー・パケットIDの領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された記述子のパケットID領域に記述されたパケットIDを追加する疑似ESループ情報生成手段21および疑似ESループ構成手段23を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを送信する場合に付加されるプログラム・マップ・テーブルを生成するプログラム・マップ・テーブル生成装置およびプログラム・マップ・テーブル生成プログラム、並びに、当該コンテンツを送信するコンテンツ送信装置および当該コンテンツを受信するコンテンツ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツを送信して受信する方式の一つとして、受信側の限られた受信装置のみが視聴することができる限定受信方式がある(例えば、特許文献1参照)。この限定受信方式では、コンテンツを送信する送信側で、当該コンテンツにスクランブルをかけておき、受信側の受信装置で、当該コンテンツを受信する際に、スクランブルを解除してから視聴する形態となっている。つまり、限定受信方式では、一旦スクランブルを解除したのち、コンテンツの蓄積を行うことができる。なお、コンテンツの蓄積の可否は別途制御される。
【0003】
この限定受信方式では、コンテンツと共に送信されるプログラム・マップ・テーブル(Program Map Table:PMT)のES(Elementary Stream)ループ(コンテンツの要素信号がその数だけ繰り返し記述される部分)の中のエレメンタリーPID(Packet IDentifier)領域に当該コンテンツの要素信号が伝送されるTSパケットのPIDが記述されていると共に、当該PMTには限定受信に関する情報を記述した限定受信記述子が含まれており、当該限定受信記述子の中の限定受信PID領域に、スクランブルを解除するための情報であるスクランブル関連情報(ECM)が伝送されるTSパケットのPIDが記述される。
【0004】
なお、限定受信方式では、コンテンツを受信する際に、スクランブルを解除してしまうので、当該コンテンツを蓄積する場合でも、限定受信記述子の限定受信PID領域で示されたPIDのTSパケットを残しておく(蓄積しておく)必要はない。
【0005】
ところで、この限定受信方式に類似する方式に限定再生方式(例えば、特許文献2参照)がある。限定再生方式は、放送されたコンテンツを視聴するか否かに拘わらず一旦蓄積しておく、いわゆるサーバー型放送に対応したコンテンツの送受信方式である。この限定再生方式では、限定受信方式と同様に、送信されるコンテンツにスクランブルがかけられている場合がある。このような場合、この限定再生方式では、受信側において、受信したコンテンツを、スクランブルを解除することなくそのまま蓄積し、後日視聴者が視聴(再生)する際にスクランブルを解除することとしている。
【0006】
また、この限定再生方式では、限定受信方式と同様に、PMTのESループの中のエレメンタリーPID領域に当該コンテンツの要素信号が伝送されるパケット識別が記述されていると共に、当該PMTに限定再生に関する情報を記述した限定再生記述子が含まれており、当該限定再生記述子の中の限定再生PID領域に、スクランブルを解除するための情報であるスクランブル関連情報(ECM−Kc等)が伝送されるTSパケットのPIDが記述される。
【0007】
この限定再生式と限定受信方式とを比べると、限定再生方式では、コンテンツを受信する際に、スクランブルを解除することはせず、コンテンツを再生する際にスクランブルを解除するので、当該コンテンツを蓄積する場合に、限定再生記述子の限定再生PIDで示されるスクランブル関連情報のTSパケットを蓄積しておく必要がある。
【特許文献1】特開昭60−134643号公報
【特許文献2】特開2003−115832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、通常の受信側の装置のフィルタリング機能は、プログラム・マップ・テーブルのESループに記述されたPIDのTSパケットを通過させるようになっており、このフィルタリング機能によるなら限定再生記述子の限定再生PIDで示されたTSパケットを蓄積することはできない。
【0009】
こうした状況において、限定再生記述子の限定再生PIDで示されたTSパケットを蓄積するためには、受信側の装置において、プログラム・マップ・テーブルの中に挿入された、限定再生記述子の、限定再生PID領域を参照して、その限定再生PIDで示されたTSパケットを別途蓄積しなければならない。これは、受信側の装置にとって負担が大きくなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、再生時において必要とされるTSパケットを蓄積するために生じる受信側の装置の負担を軽減することができるプログラム・マップ・テーブル生成装置およびプログラム・マップ・テーブル生成プログラム、並びに、コンテンツ送信装置およびコンテンツ受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、請求項1に記載のプログラム・マップ・テーブル生成装置は、プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するプログラム・マップ・テーブル生成装置において、エレメンタリーPID生成手段を備えた構成とした。
【0012】
かかる構成によれば、プログラム・マップ・テーブル生成装置は、エレメンタリーPID生成手段によって、プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された記述子のPID領域に記述されたPIDを追加する。ここで、エレメンタリーPID領域にPIDを追加する対象となる記述子としては、例えば、限定再生記述子が挙げられる。
【0013】
請求項2に記載のプログラム・マップ・テーブル生成装置は、プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するプログラム・マップ・テーブル生成装置において、エレメンタリーPID生成手段を備えた構成とした。
【0014】
かかる構成によれば、プログラム・マップ・テーブル生成装置は、プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された限定再生記述子の限定再生PID領域に記述されたパケット識別を追加する。このプログラム・マップ・テーブル生成装置では、限定再生方式におけるPMTが限定受信方式と同じようなPMTのデータ構造をとるのではなく、限定再生記述子中の限定再生PIDをエレメンタリーPIDの領域に追加した(記述した)PMTを生成している。限定再生パケット識別は、限定再生記述子内に加えてESループ内に記述されることになる。これにより、蓄積・記録時におけるTSパケットのフィルタリングにおいて、限定再生方式においても従来の受信側の装置の仕組みを最大限利用することができる。
【0015】
請求項3に記載のコンテンツ送信装置は、請求項1または2に記載のプログラム・マップ・テーブル生成装置と、コンテンツ送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、コンテンツ送信装置は、コンテンツ送信手段によって、請求項1または2に記載のプログラム・マップ・テーブル生成装置で生成されたプログラム・マップ・テーブル、つまり、エレメンタリーPID領域に、記述子中のPID領域に記述されたパケット識別または限定再生記述子中の限定再生PID領域に記述されたパケット識別が追加された、プログラム・マップ・テーブルが含まれる、プログラム・スペシフィク・インフォメーションを有すTSからなるコンテンツを送信する。なお、プログラム・マップ・テーブル(Program Map Table:PMT)は、プログラム・スペシフィク・インフォメーション(Program Specific Information:PSI)に含まれるテーブルの一種である。なお、このプログラム・スペシフィク・インフォメーションには、プログラム・マップ・テーブルの他、プログラム・アソシエーション・テーブル(Program Association Table:PAT)、コンディショナル・アクセス・テーブル(Conditional Access Table:CAT)等のテーブルが含まれる。
【0017】
請求項4に記載のコンテンツ受信装置は、請求項3に記載のコンテンツ送信装置から送信されたコンテンツを受信するコンテンツ受信装置において、コンテンツ受信手段と、パケット蓄積手段と、再生手段と、を備える構成とした。
【0018】
かかる構成によれば、コンテンツ受信装置は、コンテンツ受信手段によって、コンテンツを受信し、パケット蓄積手段によって、コンテンツ受信手段で受信されたコンテンツのプログラム・スペシフィク・インフォメーションのプログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPIDで示されたTSパケットのみを蓄積する。そして、コンテンツ受信装置は、再生手段によって、パケット蓄積手段で蓄積されているTSパケットに含まれる情報に従った再生手法により、コンテンツを再生する。
【0019】
請求項5に記載のプログラム・マップ・テーブル生成プログラムは、プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するために、コンピュータを、エレメンタリーPID生成手段、として機能させる構成とした。
【0020】
かかる構成によれば、プログラム・マップ・テーブル生成プログラムは、エレメンタリーPID生成手段によって、プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された記述子のPID領域に記述されたパケット識別を追加する。
【0021】
請求項6に記載のプログラム・マップ・テーブル生成プログラムは、プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するために、コンピュータを、エレメンタリーPID生成手段、として機能させる構成とした。
【0022】
かかる構成によれば、プログラム・マップ・テーブル生成プログラムは、エレメンタリーPID生成手段によって、プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPIDの領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された限定再生記述子の限定再生PID領域に記述されたパケット識別を追加する。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、5に記載の発明によれば、エレメンタリーPID領域に、記述子中のPID領域に記述されたパケット識別を追加しておくことで、ここで生成されたプログラム・マップ・テーブルが含まれたプログラム・スペシフィク・インフォメーションを有すTSからなるコンテンツを受信した受信側の装置では、コンテンツを蓄積する際に、エレメンタリーPIDで示されるTSパケットが蓄積されるので、別途記述子中のPID領域を参照してTSパケットを蓄積しておく必要がなく、受信側の装置の負担を軽減することができる。
【0024】
請求項2、6に記載の発明によれば、エレメンタリーPID領域に、限定再生記述子中の限定再生PID領域に記述されたパケット識別を追加しておくことで、ここで生成されたプログラム・マップ・テーブルが含まれたプログラム・スペシフィク・インフォメーションを有すTSからなるコンテンツを受信した受信側の装置では、コンテンツを蓄積する際に、エレメンタリーPIDで示されるTSパケットが蓄積されるので、別途限定再生記述子中の限定再生PID領域を参照してTSパケットを蓄積しておく必要がなく、受信側の装置の負担を軽減することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、エレメンタリーPID領域に記述子中のPIDまたは限定再生記述子中の限定再生PIDが追加されているプログラム・マップ・テーブルが含まれたプログラム・スペシフィク・インフォメーションを有すTSからなるコンテンツを送信することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、エレメンタリーPID領域に記述子中のPIDまたは限定再生記述子中の限定再生PIDが追加されているプログラム・マップ・テーブルが含まれたプログラム・スペシフィク・インフォメーションを有すTSからなるコンテンツを受信することで、コンテンツ蓄積時に記述子中のPID領域で示されるTSパケットまたは限定再生記述子中の限定再生PID領域で示されるTSパケットを参照する必要がなく、参照した場合にコンテンツを処理するのに要す負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈コンテンツ送受信システム[コンテンツ送信装置およびコンテンツ受信装置]の構成〉
図1は、コンテンツ送受信システムのブロック図である。図1に示すように、コンテンツ送受信システムSは、限定再生方式のコンテンツを送受信するもので、コンテンツ送信装置1と、コンテンツ受信装置3とを備えている。
【0028】
コンテンツ送信装置1は、プログラム・マップ・テーブル(以下、PMTと記載する)を生成して、このPMTを含むプログラム・スペシフィック・インフォメーション(以下、以下、PSIと記載する)を、入力されたコンテンツ(スクランブルされたコンテンツ)に付加して送信するもので、PMT生成手段(プログラム・マップ・テーブル生成装置)5と、多重化手段7と、コンテンツ送信手段9とを備えている。
【0029】
PMT生成手段5は、PMTを生成するもので、記述子情報生成手段11と、記述子構成手段13と、記述子第一挿入手段15と、ES情報生成手段17と、ESループ構成手段19と、疑似ES情報生成手段21(エレメンタリーPID生成手段)と、疑似ESループ構成手段23(エレメンタリーPID生成手段)と、記述子第二挿入手段25と、ESループ挿入手段27と、PMT本体情報生成手段29と、PMT本体構成手段31とを備えている。
【0030】
ここで、このPMT生成手段5の説明に先立ち、PMT本体と限定再生記述子とのデータ構造について図4および図5を参照して説明する。
図4に示すように、PMTのデータ構造は、8ビットのテーブル識別(‘0X02’に固定)と、1ビットのセクションシンタクス指示(‘1’に固定)と、12ビットのセクション長と、16ビットの放送番組番号識別と、5ビットのバージョン番号と、1ビットのカレントネクスト指示と、8ビットのセクション番号と、8ビットの最終セクション番号と、13ビットのPCR_PIDと、12ビットの番組情報長と、8ビットの整数倍の記述子領域1と、8ビットのストリーム形式識別と、13ビットのエレメンタリーPIDと、12ビットのES情報長と、8ビットの整数倍の記述子領域2と、32ビットのCRCとを備えている。
【0031】
なお、8ビットのストリーム形式識別と、13ビットのエレメンタリーPIDと、12ビットのES情報長と、8ビットの整数倍の記述子領域2とはES(エレメンタリー・ストリーム)の数だけ繰り返し設定される部分(ESループ)である。また、このPMTのデータ構造の中で、文言を記載していない枡は、固定値をとる部分、または、拡張用に予約された部分を示している。
【0032】
ここで示したPMTのデータ構造は、ISO/IEC 13818−1、並びに、平成15年総務省告示第37号で定義されているものであり、ARIB STD−B10などに示されたものであるので、本願発明と直接関係のない各部の詳細な説明は省略する。
【0033】
ストリーム形式識別は、送信されている各ESの、映像や音声などの種別を示す情報である。エレメンタリーPIDは、送信されている各ESがどんなPID値(識別番号)で伝送されているかを示す情報である。つまり、受信側から見れば、このストリーム形式識別とエレメンタリーPIDによって、映像や音声などそれぞれの信号を受信するには、何というPID値のTSパケットを捕捉すればよいかということがわかる。
なお、この実施形態において対象となるESは、限定再生の関連情報などがある。
【0034】
図5に示すように、限定再生記述子のデータ構造は、8ビットの記述子タグ(‘0xF8’に固定)と、8ビットの記述子長と、16ビットの限定再生方式識別と、13ビットの限定再生PIDと、8ビットの整数倍のプライベートデータとを備えている。なお、この限定再生記述子のデータ構造の中で、文言を記載していない枡は、固定値をとる部分、または、拡張用に予約された部分を示している。また、ここで示した限定再生記述子のデータ構造は、平成15年総務省告示第37号で定義されているものであり、ARIB STD−B10などに示されたものであるので、本願発明と直接関係のない各部の詳細な説明は省略する。
【0035】
限定再生PIDは、コンテンツの限定再生を行うための関連情報を伝送するES、すなわち、コンテンツのスクランブルを解除するECM−Kcなどが含まれているTSパケットがどんなPID値(識別番号)で伝送されているかを示す情報である。
【0036】
これより、PMT生成手段5の説明を行う。
記述子情報生成手段11は、PMTの記述子領域1および記述子領域2に挿入される記述子の具体的な値を発生させるものである。
【0037】
記述子構成手段13は、記述子情報生成手段11で発生されたPMTの記述子領域1および記述子領域2に挿入される記述子の具体的な信号形式を、フォーマットするものである。ここで、記述子構成手段13によるフォーマットとは、記述子の各値を、PMTの記述子領域1または記述子領域2に挿入可能な信号形式に構成することである。
【0038】
記述子第一挿入手段15は、PMTの記述子領域2に、記述子構成手段13でフォーマットされた記述子を挿入するものである。
【0039】
ES情報生成手段17は、繰り返し(図4参照)の中に記述されるES情報を発生させるものである。ES情報とは、ES(Elementary Stream)に関する情報であり、ESの種類(ストリーム形式識別[図4参照])、ESを伝送するPID(エレメンタリーPID[図4参照])等が挙げられる。すなわち、ここでは、「ES」とは、1つのPIDで伝送される要素信号である。
【0040】
ESループ構成手段19は、ES情報生成手段17で発生されたES情報をフォーマットするものである。ここで、ESループ構成手段19によるフォーマットとは、ES情報を、ESループ(繰り返し)の具体的な信号形式に構成することである。
【0041】
疑似ES情報生成手段21は、繰り返し(図4参照)の中に記述される疑似ES情報を発生させるものである。疑似ES情報とは、記述子の中に記述されたESに関する情報であり、限定再生方式記述子の中に記述されたスクランブル関連情報を伝送する限定再生PID値等が挙げられる。なお、ここでは、本来のES情報と区別するために、ESループに挿入される、擬似的なES情報として、疑似ES情報と呼称することとしている。
【0042】
また、この疑似ES情報を識別するストリーム形式識別は、以下のような値を使用する方法が想定される。まず、ESの種類に応じて、本来のISO/IEC 13818−1に定めるストリーム種別値を使用する方法をとることができる。ただし、この場合、ISO/IEC 13818−1に定められた範囲外のストリームには使用することができない。また、疑似ES情報が記述されたストリームは、ISO/IEC13818−1に定められたストリームであると認識されるため、当該ストリームを隠蔽するなどの用途には使用することができなくなる。
【0043】
また、0x15〜0x7FのISO/IEC 13818−1 Reservedの領域、または、0x80〜0xFFのISO/IEC 13818−1 User Privateの領域を用いて、「別途定めるストリーム種別に従う」、「種別を定めないストリーム」、「不定」等のストリーム形式識別を拡張定義し、これを、疑似ES情報に使用するストリーム形式識別として用いる方法をとることもできる。
【0044】
疑似ESループ構成手段23は、疑似ES情報生成手段21で発生された疑似ES情報をフォーマットするものである。ここで、疑似ESループ構成手段23によるフォーマットとは、疑似ES情報を、ESループ(繰り返し)の具体的な信号形式に構成することである。
【0045】
記述子第二挿入手段25は、PMTの記述子領域1に、記述子構成手段13でフォーマットされた情報を挿入するものである。
【0046】
ESループ挿入手段27は、ESループ構成手段19でフォーマットされたES情報と、疑似ESループ構成手段23でフォーマットされた疑似ES情報とをPMT本体に挿入するものである。
【0047】
PMT本体情報生成手段29は、PMT本体の情報を発生させるものである。つまり、このPMT本体情報生成手段29は、PMTに含まれる情報の中で、記述子第二挿入手段25およびESループ挿入手段27で生成された記述子領域1およびESループ以外の部分を、PMT本体として発生させるものである。すなわち、PMT本体には、図4に示したテーブル識別やセクションシンタクス指示等の情報が含まれていることになる。
【0048】
PMT本体構成手段31は、PMT本体情報生成手段29で発生されたPMT本体と、記述子第二挿入手段25から出力された記述子領域1と、ESループ構成手段27から出力されたESループとを合成し、具体的なPMTの信号形式に構成する部分である。
【0049】
このPMT生成手段5によれば、ESループに含まれるエレメンタリーPIDの領域に記述子のPIDまたは限定再生記述子の限定再生PIDを追加しておくことで、ここで生成されたPMTが含まれたPSIを有すストリームからなるコンテンツを受信したコンテンツ受信装置3では、コンテンツが蓄積される際に、エレメンタリーPIDで指示されるパケット識別のTSパケットが蓄積されるので、別途記述子内で記述されたパケット識別のTSパケットを蓄積しておく必要がなく、受信側のコンテンツ受信装置3の負担を軽減することができる。
【0050】
多重化手段7は、PMT生成手段5で生成されたPMTと、別途生成され入力されたPAT(Program Association Table)等とを含めたPSI(Program Specific Information)を、外部から入力されたコンテンツと多重するものである。
【0051】
コンテンツ送信手段9は、多重化手段7で多重されたコンテンツを、コンテンツ受信装置3に送信するものである。
【0052】
このコンテンツ送信装置1によれば、記述子内のPIDまたは限定再生記述子内の限定再生PIDが、ESループ(エレメンタリーPID)にも記述されているPMTが含まれたPSIを有すストリームからなるコンテンツを送信することができる。
【0053】
コンテンツ受信装置3は、コンテンツ送信装置1から送信されたコンテンツを受信して、ESループのエレメンタリーPIDに記述されているパケット識別に従って、当該コンテンツを蓄積・再生するもので、コンテンツ受信手段33と、コンテンツ蓄積手段(パケット蓄積手段)35と、PIDフィルタリング手段37と、エレメンタリーPID読取手段39と、再生手段41とを備えている。
【0054】
コンテンツ受信手段33は、コンテンツ送信装置1から送信されたコンテンツ(PSIを有すストリーム)を受信するものである。
エレメンタリーPID読取手段39は、PMTのESループ(繰り返し)に記述されているエレメンタリーPIDに記述されたパケット識別値を読み取るものである。
【0055】
PIDフィルタリング手段37は、エレメンタリーPID読取手段39によって読取られたエレメンタリーPIDの記述されたパケット識別値のTSパケットを通過させ、パーシャルTSを作るものである。なお、パーシャルTSを作るため、PATの変換機能、PMTの通過機能なども有する。
コンテンツ蓄積手段35は、PIDフィルタリング手段37でフィルタリングされたTSパケットを蓄積する。すなわち、PMTに記述されるエレメンタリーPIDで示されたTSパケットのみを蓄積するものであり、一般的な記録媒体から構成されている。
【0056】
再生手段41は、コンテンツ蓄積手段35から、コンテンツおよびPSIを読み出し、読み出したPSIに従って、コンテンツを再生するものである。
【0057】
このコンテンツ受信装置3によれば、コンテンツ受信手段33でエレメンタリーPIDに記述子のPIDまたは限定再生記述子の限定再生PIDが追加されているPMTが含まれたPSIを有すストリームからなるコンテンツを受信することで、コンテンツ蓄積時に記述子中のPIDまたは限定再生記述子中の限定再生PIDを呼び出す必要がなく、従来のように、こうした記述子を呼び出してコンテンツを処理するのに要す負担を軽減することができる。
【0058】
〈コンテンツ送信装置およびコンテンツ受信装置の動作〉
次に、図2および図3を参照して、コンテンツ送信装置1およびコンテンツ受信装置3の動作について説明する(適宜、図1参照)。
まず、コンテンツ送信装置1は、PMT生成手段5の記述子情報生成手段11によって、記述子領域1および/または記述子領域2に挿入される記述子で記述される情報を生成(発生)する(ステップS1)。続いて、コンテンツ送信装置1は、PMT生成手段5の記述子情報構成手段13によって、記述子情報生成手段11で生成された記述子で記述される情報をフォーマットして、記述子の形式を構成する(ステップS2)。
【0059】
また、コンテンツ送信装置1は、PMT生成手段5のES情報生成手段17によって、ES情報を生成し(ステップS3)、記述子第一挿入手段15によって、記述子領域2に挿入される記述子を加えて(挿入して)、ESループ構成手段19によって、記述子領域2を含むES情報をフォーマットして、ESループを構成する(ステップS4)。コンテンツ送信装置1は、同様に、PMT生成手段5の疑似ES情報生成手段21によって、記述子情報生成手段11で生成された記述子情報のうちPIDないし限定再生PIDの情報から、疑似ES情報を生成し(ステップS5)、疑似ESループ構成手段23によって、疑似ES情報をフォーマットして、ESループを構成する(ステップS6)。
【0060】
そして、コンテンツ送信装置1は、ESループ挿入手段27によって、ESループ構成手段19で構成したESループと疑似ESループ構成手段23で構成したESループとをPMT本体に挿入する(ステップS7)。また、コンテンツ送信装置1は、PMT生成手段5のPMT本体情報生成手段29によって、PMT本体に記述される情報を生成する(ステップS8)。コンテンツ送信装置1は、PMT生成手段5の記述子第二挿入手段25によって、記述子領域1に挿入される記述子を加えて(挿入して)、PMT本体構成手段31によって、PMT本体をフォーマットして、PMTを構成する(ステップS9)。
【0061】
そしてまた、コンテンツ送信装置1は、多重化手段7によって、PMTを含むPSIと、外部から入力されたコンテンツ(スクランブルされたコンテンツ)とを多重し(ステップS10)、コンテンツ送信手段9によって、多重したコンテンツを送信する(ステップS11)。
【0062】
また、図3に示したフローチャートを参照すると、コンテンツ受信装置3は、コンテンツ受信手段33によって、コンテンツ送信装置1でPSIが多重されたコンテンツを受信し(ステップS21)、エレメンタリーPID取得手段39でコンテンツに含まれるPSIのうちPMTのエレメンタリーPIDを読取る。一方、PIDフィルタリング手段37は、エレメンタリーPID取得手段39で取得したエレメンタリーPIDに従って、必要なTSパケットをフィルタリングして(ステップS22)、コンテンツ蓄積手段35に蓄積する(ステップS23)。この場合に、ESループのエレメンタリーPIDの領域に追加されている記述子のPID(限定再生記述子の限定再生PID)も蓄積される。
【0063】
そして、コンテンツ受信装置3は、再生手段41によって、コンテンツ蓄積手段35から読取ったコンテンツを再生する(ステップS24)。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、コンテンツ送受信システム(コンテンツ送信装置1およびコンテンツ受信装置3)として説明したが、これらの装置の各構成による処理を実現可能に、汎用的または特殊なコンピュータ言語によって記述したコンテンツ送信プログラム、コンテンツ受信プログラムとすることもできる。また、コンテンツ送信装置1のPMT生成手段5による処理を、汎用的または特殊なコンピュータ言語によって記述したPMT生成プログラムとすることもできる。これらのプログラムは、該当する装置と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、記述子中のPIDまたは限定再生記述子中の限定再生PIDをESループのエレメンタリーPIDとして加えるものとして説明したが、記述子に含まれていてフィルタリングの必要があるTSパケットのパケット識別であれば、記述子中のPIDまたは限定再生記述子中の限定再生PIDに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ送受信システム(コンテンツ送信装置[PMT生成手段]およびコンテンツ受信装置を内包)のブロック図である。
【図2】図1に示したコンテンツ送信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示したコンテンツ受信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】PMTのデータ構造を説明するための図である。
【図5】限定再生記述子のデータ構造を説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
1 コンテンツ送信装置
3 コンテンツ受信装置
5 PMT生成手段(プログラム・マップ・テーブル生成装置)
7 多重化手段
9 コンテンツ送信手段
11 記述子情報生成手段
13 記述子構成手段
15 記述子第一挿入手段
17 ES情報生成手段
19 ESループ構成手段
21 疑似ESループ情報生成手段(エレメンタリーPID生成手段)
23 疑似ESループ構成手段(エレメンタリーPID生成手段)
25 記述子第二挿入手段
27 ESループ挿入手段
29 PMT本体情報生成手段
31 PMT本体構成手段
33 コンテンツ受信手段
35 コンテンツ蓄積手段(パケット蓄積手段)
37 PIDフィルタリング手段
39 エレメンタリーPID読取手段
41 再生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するプログラム・マップ・テーブル生成装置において、
前記プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された記述子中のPID領域に記述されたパケット識別を追加するエレメンタリーPID生成手段を備えたことを特徴とするプログラム・マップ・テーブル生成装置。
【請求項2】
プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するプログラム・マップ・テーブル生成装置において、
前記プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された限定再生記述子中の限定再生PID領域に記述されたパケット識別を追加するエレメンタリーPID生成手段を備えたことを特徴とするプログラム・マップ・テーブル生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプログラム・マップ・テーブル生成装置と、
このプログラム・マップ・テーブル生成装置で生成されたプログラム・マップ・テーブルを有するプログラム・スペシフィク・インフォメーションを含むトランスポート・ストリームからなるコンテンツを送信するコンテンツ送信手段と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ送信装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコンテンツ送信装置から送信されたコンテンツを受信するコンテンツ受信装置において、
前記コンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
このコンテンツ受信手段で受信されたコンテンツのプログラム・スペシフィク・インフォメーションのプログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPIDで示されたTSパケットのみを蓄積するパケット蓄積手段と、
このパケット蓄積手段で蓄積されたTSパケットに含まれる情報に従った再生手法により、前記コンテンツを再生する再生手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項5】
プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するために、コンピュータを、
前記プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された記述子中のPID領域に記述されたパケット識別を追加するエレメンタリーPID生成手段、
として機能させることを特徴とするプログラム・マップ・テーブル生成プログラム。
【請求項6】
プログラムを特定する情報であるプログラム・スペシフィク・インフォメーションの一種であり、パケット識別であるPIDを指定するプログラム・マップ・テーブルを生成するために、コンピュータを、
前記プログラム・マップ・テーブルに記述されるエレメンタリーPID領域に、当該プログラム・マップ・テーブルに挿入された限定再生記述子中の限定再生PID領域に記述されたパケット識別を追加するエレメンタリーPID生成手段、
として機能させることを特徴とするプログラム・マップ・テーブル生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−116342(P2007−116342A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304438(P2005−304438)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】