説明

プログラム可能なスキャホールド材ならびにそれを作製および使用する方法

本発明は、相互に連結した孔およびその内部に物理的に閉じ込められた生物活性分子を有する三次元スキャホールド材である、プログラム可能なスキャホールド材に関する。スキャホールド材は凍結乾燥させたポリマー性ヒドロゲルである。スキャホールド材はプラットフォーム上のアレイにおいて使用することができ、高スループットスクリーニングおよびパラレルスクリーニング方法、ならびに組織工学のために様々な組合せの生物活性分子を載せることができる。本発明はまた、スキャホールド材を作製および改変する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養用のスキャホールド材、ならびにそれを作製および使用する方法に関する。詳細には、本発明は、細胞培養および組織工学用の微視的環境を最適化するための細胞外基質(ECM)分子および/または生体に影響を与える分子を用いてプログラム可能なスキャホールド材に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2002年9月30日出願の米国特許出願第10/259,817号明細書の一部継続出願である。
【0003】
生物学的研究および工業的用途の重要な道具としての細胞培養は通常、細胞接着を補助するために細胞接着を細胞培養装置の表面を化学的に処理し、接着細胞を細胞増殖の補助剤を含む培地に浸けることによって行う。「足場依存性」は、足場依存性細胞は固体表面に付着している場合にのみ培養中で分裂し、付着せずに液体懸濁液中にある場合は細胞が分裂しないことを定める。細胞接着部位により個々の細胞が広がり、また、より多くの増殖因子および栄養分を捕捉し、その細胞骨格を組織化し、細胞内アクチンフィラメントおよび細胞外基質分子の足場を提供することが可能となる。したがって、十分な細胞接着をもたらす表面は細胞の培養および増殖に極めて重要である。
【0004】
細胞接着および栄養分にくわえて、ホルモンおよびタンパク質増殖因子は細胞培養において哺乳動物細胞の増殖を補助するのに重要である。必須のホルモンおよび増殖因子は、血液が凝固した後に残る血液由来の流体である血清に含まれている。血清は、様々な組合せの細胞増殖用の増殖因子を含む。血清を与えない哺乳動物細胞は増殖が止まり、通常、Gと呼ばれる静止状態で、有糸分裂とS期との間で停止する。様々な増殖因子が血清から同定かつ単離されているが、それでもしかしながら、in vivo環境を十分に模倣する細胞培養代替物を作製するのは依然として困難である。血清は高価であり、急速に増殖する細胞によってタンパク質増殖因子がすぐに取り込まれるので、1〜3日毎に交換する必要がある。したがって、血清を存在させずに細胞接着が促進される細胞培養系を開発する努力がなされている。
【0005】
組織工学とは天然組織を再生する戦略である。組織工学における細胞培養は、細胞を支持するための三次元のスキャホールド材をさらに必要とする。三次元の多孔性構造を有するスキャホールド材は軟骨細胞培養などの多くの組織培養用途における必須条件であり、これは、そうでなければ二次元の単層細胞培養において細胞の細胞形態形成および形質発現が失われてしまうからである。天然組織の再生においては、三次元マトリックス基盤の品質により細胞の接着および増殖に大きな影響が与えられることができ、かつ組織の再生または合成の成功が決まる。最適なマトリックス基盤材は細胞の結合、細胞の増殖、細胞に特異的な表現型、および細胞の活性を促進する。
【0006】
組織工学および細胞移植の成功は、生存度の維持、表現型の分化、および所望する治療上の利点を実現するために体内への取り込みに依存する。あらゆる種類の機能組織に対する前駆細胞を維持および開発するには、異なる細胞種、細胞種の組合せ、物理的環境、可溶性環境、ならびに適切な細胞シグナル伝達および細胞相互作用を必要とする。組織開発用の適切な微視的環境を見つけるためには、高スループットスクリーニングおよび高パラレルスクリーニングが必要である。
【0007】
細胞培養および組織工学用のいくつかの多孔性スキャホールド材が文献中に開示されている。発泡によって作製し、プラスミドを閉じ込めた多孔性の高い三次元ポリ(ラクチド−コ−グリコライド)製スキャホールド材が開示されている(非特許文献1)。ミリメートル以下スケールのトポグラフィー構造を有する、肝細胞のin vitro培養用のチタンセラミック製スキャホールド材が開示されている(非特許文献2)。チタンセラミックは微孔性であり、生体適合性があり、細胞の凝集に貢献する。Petronis他のスキャホールド材を調製する方法は酸化、マスキング、およびエッチングの繰り返しを必要とする。凍結乾燥、ならびに生物学的安定性を増大させ、かつ力学的特性を増強させるためにEDCおよびNHSを用いて架橋結合によって作製した、三次元の多孔性コラーゲン/キトサン製スポンジが開示されている(非特許文献3)。
【0008】
【非特許文献1】Shea他(Nature Biotechnology、第17巻、ページ551〜554(1999年6月))
【非特許文献2】Petronis他(Journal of Materials Science:Materials in Medicine、12、ページ523〜528(2001))
【非特許文献3】Kim他(Fibers and Polymers、2001、第2巻、第2号、ページ64〜70)
【非特許文献4】Kobayashi他(Biomaterials、1991、第12巻、10月、747〜751)
【非特許文献5】Kobayashi他(Current Eye Research、第10巻、第10号、1991、899〜908)
【非特許文献6】G.Prestwich他、Controlled Chemical modification of hyaluronic acid:synthesis,applications,and biodegradation of hydrazide delivatives、J.Controlled Release、1998、53、ページ93〜103
【非特許文献7】Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらのスキャホールド材はどれも細胞接着を補助しない。強力な細胞接着が必要な場合、特に足場依存性哺乳動物細胞の培養では、細胞接着を補助するようにスキャホールド材を改変しなければならない。この問題を解決するため、細胞がリガンドに付着できるように、細胞接着促進分子を共有結合によってスキャホールド材上に固定する。細胞接着を促進するためにジイソシアネート、ポリイソシアネート、および臭化シアンによってポリ(ビニルアルコール)(PVA)ヒドロゲルの表面上に細胞接着性タンパク質を共有結合で固定することが開示されている(たとえば非特許文献4)。角膜細胞の接着および増殖を促進するためにPVAヒドロゲルシート上に細胞接着性タンパク質および分子を共有結合で固定することが開示されている(非特許文献5)。しかし、共有結合による改変では、スキャホールド材およびリガンドの望ましい物理的および化学的特性に変更をもたらすことができる、複雑さおよび加工ステップが追加される。ECM分子は、PGA、PLA、PCL、およびポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレンのすべてのコポリマーなどの疎水性ポリマー上に無作為に吸着できることが実証されている。しかし、物理的な吸着は制御が困難であり、それ故、ある表面上への恒常的な細胞接着を必要とする方法およびアッセイにおいてその使用が問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、細胞の付着を促進するまたは細胞シグナル伝達機能を有する分子の組合せと供に、細胞培養用のプログラム可能なスキャホールド材を作製する方法を提供する。この方法は、ヒドロゲルからなる多孔性スキャホールド材を作製し、この多孔性スキャホールド材に生物活性分子を含む溶液を含浸させることを含む。次に、含浸させたスキャホールド材を凍結乾燥または乾燥させて生物活性分子を多孔性スキャホールド材内に閉じ込める。凍結乾燥の前に必要な場合には、含浸させたスキャホールド材を洗浄して塩を除去し、pHを調節する。
【0011】
生じた多孔性スキャホールド材により三次元の細胞培養または組織培養が可能となり、これは相互に連結した多孔性の高い構造を有する。多孔性スキャホールド材は、ポリマー、セラミック、金属、または複合体を含めた様々な物質から作製することができる。これらの物質は生体適合成を有するか、生分解性であるか、非生分解性であることができる。この特質は、スキャホールド材の最終的な使用に依存する。
【0012】
許容されるポリマーには、アルギネート、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、キトサン、キチン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、アミノ酸ベースのポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタアリーレート、ポリフマレート、ポリHEMA、ポリスチレン、PTFE、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールベースのポリマーおよびそれらの誘導体が含まれる。生分解性ポリマーには、ポリラクチド、グリコライド、カプロラクトン、オルトエステル、およびそれらのコポリマーが含まれる。
【0013】
多孔性スキャホールド材は、典型的には、それだけには限定されないが、架橋結合したアルギネート、改変アルギネート、ヒアルロン酸または改変ヒアルロン酸を含めたポリマーの凍結乾燥させたヒドロゲルである。
【0014】
生物活性分子には、最適な細胞機能のために細胞、増殖因子、分子にシグナル伝達をする能力を有する細胞外基質(ECM)分子、機能ペプチド、プロテオグリカンおよび糖タンパク質、ならびにそれらの組合せまたは誘導体が含まれる。ECM分子には、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、トロンボスポンジン1、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、アグリカン、アグリン、骨シアロタンパク質、軟骨基質タンパク質、フィブロノーゲン、フィブリン、ファイブリン(fibulin)、ムチン、エンタクチン、オステオポンチン、プラスミノーゲン、リストリクチン(restrictin)、セルグリシン、SPARC/オステオネクチン、バーシカン、メロシン、オステオポンチン、オステオネクチン、フォンウィルブランド因子、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、ヒアルロン酸;カドヘリン、コネキシン、セレクチンを含めた細胞接着分子;またはそれらの組合せが含まれる。増殖因子には、それだけには限定されないが、上皮増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、神経増殖因子、腫瘍増殖因子β、造血増殖因子、インターロイキン、およびそれらの組合せが含まれる。他の増殖因子が当分野で周知である。ECMおよび/または増殖因子の2種以上の分子の組合せも使用してよく、これにより特定の細胞種が増殖因子に近接して付着することが可能となり、これにより増殖因子とECMとの間の相互作用の研究が可能になるか、または制御された増殖もしくは選択が可能となる。さらに、微視的環境を作製することができる。数種もしくは数十種、または数百種もの異なる生物活性分子を含むより複雑な微視的環境も作製することができる。プログラム可能なスキャホールド材により、シグナル伝達経路の活性化または阻害による、細胞内における特異性の高い生物学的応答の始動に関連する事象の研究が可能となる。
【0015】
プログラム可能なスキャホールド材を用いて組織工学を含めた様々な目的のため様々な細胞の生存能力、表現型、および遺伝表現を制御かつ維持することも可能であり、また、プログラム可能なスキャホールド材を高スループットスクリーニングおよびパラレルスクリーニング方法を含めたスクリーニングプロセスで使用することも可能である。
【0016】
本発明はさらに、適切なポリマーの溶液をプラットフォーム上に分布させて溶液スポットを形成すること、溶液スポットを架橋結合させて架橋結合したヒドロゲルのスポットを形成すること、および架橋結合したヒドロゲルのスポットを凍結乾燥させてスキャホールド材のアレイを作製することを含む、スキャホールド材アレイを作製する方法を提供する。架橋結合用の反応混合物はジアミンおよびカルボジイミドを含んでいてもよい。カルボジイミドは、ヒアルロン酸またはアルギネートに対して約25%から約200%のモル比の官能基の量、より詳細にはヒアルロン酸またはアルギネートに対して約50%から約100%のモル比の官能基の量のEDCであることができる。リシンまたはアジピン酸ジヒドラジドなどのジアミンは、ヒアルロン酸またはアルギネートに対して約2%から約100%のモル比の官能基の量、より詳細にはヒアルロン酸またはアルギネートに対して約10%から約40%のモル比の官能基の量であることができる。ヒドロゲル溶液はさらに、カルボジイミドに対して約1:50から50:1、好ましくはカルボジイミド(EDC)に対して約1:10から4:1の比で、それだけには限定されないがHoBt、NHS、またはスルホNHSを含めた共反応物質を含んでいてもよい。
【0017】
プログラム可能なスキャホールド材およびそれを含むアレイは、キットの構成成分であることができる。キットは典型的には、所望の操作、たとえば細胞培養または組織培養のスクリーニング操作の状況下において使用および取り扱いを容易にするように設計される。一つの実施形態では、本発明のキットは1種または複数種の生物活性分子を含む。1つの特定の実施形態では、本発明のキットは、細胞培養環境を使用者の具体的な要求にカスタマイズできるように数種の生物活性分子を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、相互に連結した孔を有し、非共有結合によって少なくとも1種の生物活性分子で改変した、細胞培養用のスキャホールド材を作製する方法を提供する。これらの相互に連結した多孔構造は、細胞および組織の増殖を誘導および補助する。多孔構造は、細胞が自身のECMをそれ上に三次元的に置くことができる物理的な表面を提供する。さらに、多孔性構造はスキャホールド材の中心への栄養分の輸送の改善を提供し、また、細胞クラスターサイズを制限して、栄養欠乏が原因で潜在的に壊死中心に発達することができる大きな細胞クラスターの形成を阻止する。
【0019】
好ましくは、本発明の関連で使用する三次元スキャホールド材は直径約50から約700μm、詳細には直径約75から約300μmの孔径を有する。生物活性分子で非共有結合による改変に適したスキャホールド材の空隙率の割合は、約50%から約98%、詳細には約80%から約95%である。
【0020】
スキャホールド材は、細胞増殖に必要な相互作用または他の細胞機能をもたらすために、生物活性分子で非共有結合によって改変する。スキャホールド材内において、生物活性分子は多孔性構造内に閉じ込められているが、ポリマースキャホールド材に共有結合によって結合していない。生物活性分子には、それだけには限定されないが、ECM分子、機能ペプチド、細胞にシグナル伝達する能力を有するプロテオグリカンや糖タンパク質、増殖因子、および最適な細胞機能のための他の分子、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0021】
本発明のスキャホールド材をECM分子で官能化した場合、細胞形態形成および組織発達の補助および誘導がもたらされる。ネイティブECMは、タンパク質と多糖および細胞が混ぜ合わさって結合した、非共有結合による三次元網状構造である。ネイティブECMは高度に水和されており、拡散が可能であり、増殖因子および細胞接着分子などの分子に結合して細胞の提示を可能にする。本発明は、ECM分子を高度に水和可能な構造体、すなわち凍結乾燥させた多糖ヒドロゲルに付加することによって生体模倣三次元環境を提供する。
【0022】
閉じ込められた生物活性分子は無毒性かつ生体適合性があるべきであり、スキャホールド材は、組織発達中における細胞収縮に抵抗するために力学的に安定な大きい相互に連結した孔を有する、多孔性の高いものでなければならない。スキャホールド材を増殖因子で非共有結合によって改変した場合、細胞増殖および細胞培養用の細胞相互作用シグナル伝達がもたらされる。
【0023】
スキャホールド材は、適切なポリマーのヒドロゲルの凍結乾燥によって作製する。ポリマーは生体適合性があり、生分解性または非生分解性のどちらかである。一つの実施形態では、スキャホールド材は、細胞の播種が可能な、架橋結合したアルギネートまたはヒアルロン酸の凍結乾燥させたヒドロゲルである。スキャホールド材の孔径および分布は、pH、ヒドロゲルの濃度、または架橋結合剤の量を変えることによって調節することができる。
【0024】
アルギネートとは、β−(1→4)結合のD−マンヌロン酸(M)およびα−(1→4)結合のL−グルロン酸(G)残基を含む、直鎖状で分枝鎖のないポリマーである。アルギネートは褐海藻によって産生される。アルギネートは、カルシウムイオンの存在下でゲル化する、熱安定性のある低温硬化のゲル化剤である。このようなゲルは融解せずに熱処理することができるが、最終的には分解することもできる。本発明のスキャホールド材で使用するアルギネート多糖ヒドロゲルはいくつかの好ましい特性を有する。これらは、容易に架橋結合して三次元スキャホールド材へと加工され、共有結合による改変のためにポリマー主鎖上に便利な官能基を有し、また、この物質はそのネイティブ状態では細胞に非接着性である。
【0025】
ヒアルロン酸とは、実質的にすべての組織中に様々な濃度で存在する天然のムコ多糖である。ヒアルロン酸およびそれらの塩もしくは誘導体、または多糖一般の水溶液は、注目すべき粘度、滑り、および摩擦を減少させる能力によって特徴づけられている。
【0026】
これらの多糖は、ヒドロゲルを形成する場合に架橋結合反応を開始させるために標準のカルボジイミド化学を使用し、ジアミンまたはジヒドラジドを架橋結合分子として共有結合によって架橋結合させることができる。(たとえば非特許文献6参照)。ヒドロゲルは、すべての反応物質を除去するために完全に洗浄し、それらの内で凍結および凍結乾燥させて三次元の相互に連結した多孔性網状構造を形成することができる。
【0027】
一つの実施形態では、スキャホールド材をプラットフォームの表面上で緩く供給するか、共有結合によって表面に結合させることができる。ヒドロゲルベースのスキャホールド材は、プラットフォーム表面で非汚損性(non−fouling)多糖コーティングを介すか、または基質表面にアミノ基末端を介して、補助基質に共有結合を介し結合させることができる。
【0028】
本発明のスキャホールド材は、ポリマーヒドロゲルが膨張し、生物活性分子が絡み合うように、少なくとも1種の生物活性分子を含む溶液を含浸させることによってさらに改変する。スキャホールド材に生物活性分子の溶液を含浸させ、次いで凍結乾燥させた場合、生物活性分子およびポリマースキャホールド材はどちらも崩壊し、生物活性分子の再溶解を阻止するのに十分に複雑な、相互に連結し、かつ相互に貫通したポリマー網状構造が作製される。これにより生物活性分子がスキャホールド材内で物理的に絡み合うこととなる。この絡まり合いは、その内部に閉じ込められた増殖因子および小分子の徐放の基部となることができ、一方、高分子量ECM分子は、ヒドロゲルスキャホールド材と安定に統合して細胞の接着および広がることを持続させるのに十分長いポリマー鎖を有する。理論に縛られずに、生物活性分子の長さはスキャホールド材上におけるその決定するために重要であり得る。細胞接着性分子がヒドロゲル網状構造と物理的に絡まり合うのに十分に長くない場合は、これらの分子は細胞接着用のアンカーとして作用することができるかもしれない。しかしながら、これらのより短い分子は、スキャホールド材からの可溶性の徐放性因子として作用することが可能かもしれない。
【0029】
本発明の一つの実施形態では、生物活性分子は融合タンパク質を含む。上述のように、スキャホールド材内に埋め込む生物活性分子は、スキャホールド材と絡まり合うには小さすぎるかもしれない。このような状況に適応するために、生物活性分子がタンパク質である場合は、タンパク質をペプチド配列に融合させて、物理的により長く、多孔性スキャホールド材内に絡まり合う可能性がより高いペプチドを生成することができる。生物活性分子に融合させるペプチド配列は、それ自体が生物活性分子であってもよく、これによりヒドロゲルスキャホールド材内に取り込まれる少なくとも2種の生物活性分子を含む融合タンパク質が生じる。あるいは、生物活性分子に融合させるペプチド配列は、特定の所望する細胞培養環境に生物活性がなくてもよい(すなわち生物学的に不活性)。
【0030】
融合タンパク質を生成する方法は当分野で周知であり、典型的には組換えDNA技術および宿主細胞内における組換えDNAの発現を含む。適切な宿主の代表例としては、大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)などの細菌細胞;酵母などの真菌細胞;ショウジョウバエS2(Drosophila S2)およびハスモンヨトウSf9(Spodoptera Sf9)などの昆虫細胞;CHO、COSまたはボーズ(Bowes)黒色腫などの動物細胞;アデノウイルス;植物細胞等に言及することができる。適切な宿主の選択は、本明細書中の教示から当業者の適用範囲内にあるとみなされる。
【0031】
融合タンパク質を作製するために使用する組換え構築体は、その内部に順方向または逆方向で核酸配列を挿入することができるプラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターを含む。この実施形態の好ましい態様では、構築体はさらに、たとえばこの配列に動作可能に連結したプロモーターを含めた制御配列を含む。高等真核生物による本発明のポリペプチドをコードしているDNAの転写は、ベクター内にエンハンサー配列を挿入することによって増大する。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており、市販されている。
【0032】
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターを含む任意の所望する遺伝子または選択マーカーを含む他のベクターから選択することができる。2つの適切なベクターはpKK232−8およびpCM7である。具体的な命名がされている細菌プロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λP、Pおよびtrpが含まれる。真核プロモーターにはCMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスメタロチオネイン−Iが含まれる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者の水準内にある。
【0033】
宿主細胞内の構築体は、組換え配列によってコードされている遺伝子産物を産生させるために慣用の方法において使用することができる。あるいは、本発明のポリペプチドは、慣用のペプチド合成機によって合成して生成することができる。
【0034】
成熟タンパク質は、適切なプロモーターの制御下で哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞内で発現させることができる。細胞を含まない翻訳系も、本発明のDNA構築体由来のRNAを使用してこのようなタンパク質を産生させるために利用することができる。原核および真核性宿主で使用する適切なクローニングおよび発現ベクターは、その開示を本明細書中に参考として組み込む(非特許文献7)に記載されている。
【0035】
一般に、組換え発現ベクターは、複製起点および宿主細胞の形質転換を可能にする選択マーカー、たとえば大腸菌およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)のアンピシリン耐性遺伝子TRP1遺伝子、ならびに下流の構造配列を直接転写するための、高度に発現される遺伝子由来のプロモーターを含む。このようなプロモーターは、とりわけ3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、α−因子、酸ホスファターゼ、またはヒートショックタンパク質などの解糖酵素をコードしているオペロン由来であることができる。異種性構造配列は、翻訳開始および停止配列、好ましくは翻訳されたタンパク質のペリプラズム空間または細胞外培地への分泌を指揮する能力を有するリーダー配列を含む適切なフェーズで組み立てられる。任意選択で、異種性配列は所望の特徴、たとえば発現された組換え産物の安定化または精製の単純化の特徴を有するN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードしていることができる。
【0036】
スキャホールド材を、生物活性分子を含む溶液で水和させた後、pHを調節して塩を除去するためにスキャホールド材を水または適切な緩衝液で完全に洗浄し、その後、再度凍結および凍結乾燥させてもよい。改変には共有結合は必要ない。プロセスは単純であるにもかかわらず、同等のまたはより良い生物活性特性をスキャホールド材に与える。生物活性分子はスキャホールド材上で培養された細胞に情報を伝えることができ、培養細胞上における細胞接着の相互作用を果たしている。
【0037】
スキャホールド材内に閉じ込めるのに適した生物活性分子は一般に、スキャホールド材の多孔性構造内に単に閉じ込められてスキャホールド材内で絡み合うように、分子量が大きく、適切な空間構成を有する。生物活性分子は可溶性であってもよく、その場合、これらをより大きな大分子と共に可逆的に閉じ込めることができる。閉じ込められた生物分子とスキャホールド材上で培養した細胞との間で接触または相互作用が起こった場合、このような相互作用は閉じ込められた生物活性分子をスキャホールド材から引き出すのに十分でないかもしれない。
【0038】
一つの実施形態では、スキャホールド材を使用してアレイを作製することができる。アレイ状に配置されたスキャホールド材は、プラットフォームの表面上に局所化させるか連続的な様式で拡大させることができる。プラットフォームはポリスチレンスライドまたはマルチウェルプレートであることができる。スキャホールド材は、マルチウェルプレートのウェル内などプラットフォーム上に緩く置くか、または誘導体化した表面によって、もしくはプラットフォーム上の表面コーティングによってプラットフォーム上に固定することができる。スキャホールド材はまた、表面コーティングに共有結合によって付着させることができる。コーティングは一般に、非付着性の多糖であることができる。スキャホールド材の作製中に架橋結合に消耗されていない、スキャホールド材ポリマーの官能基と共有結合させることができる表面上に位置するアミノ基を、また表面は有していてもよい。
【0039】
スライドベースのスキャホールド材アレイは、1つの培地条件をいくつかの細胞種の組合せで試験すること、またはスキャホールド材内で異なるECMもしくはペプチド構成成分を試験することなど、異なる不溶性条件下で可溶性環境を試験するのに特に有用である。マルチウェルプレートベースのマイクロアレイは、製薬業界で関心が持たれている同様に加工された組織発現分子、たとえばGタンパク質結合受容体、cAMP、チトクロームP450活性でいくつかの異なる薬物を試験するのに適している。さらに本発明のアレイは、in vitroにおいていくつかの試験化合物を同時にスクリーニングすること、または単一の試験化合物を様々な細胞種に対して同時に試験することに有用であり得る。これらのスキャホールド材および加工された組織のアレイは、試験、スクリーニングおよび培養目的用の他の装置と組合せるかつ連結させてもよい。たとえば、スキャホールド材アレイは増殖、分化、血管形成などの所望の生物学的応答を誘導する特定のシグナル伝達経路を開始させるために環境をスクリーニングすること、およびin vivoまたはin vitro組織工学用の任意の一条件のスキャホールド材を大量生産することのいずれものために、生物活性大分子の任意かつすべての組合せが非共有結合によってスキャホールド材に付加させることを可能にする。
【0040】
本発明はキットも提供する。一つの実施形態では、本発明のキットはポリマーおよび少なくとも1種の生物活性分子を含む。その後、ポリマーを架橋結合/水和させ、凍結乾燥させて多孔性スキャホールド材を作製する。ヒドロゲルに取り込ませるキットの生物活性分子は個別に梱包してもよく、溶液中であるか、または凍結乾燥形態で梱包してもよい。その後、少なくとも1種の生物活性分子の溶液を使用して凍結乾燥させたヒドロゲルを水和させ、また、生物活性分子をスキャホールド材内に取り込ませてカスタマイズされた細胞培養環境を作製する。別の実施形態では、キットのユーザが生物活性分子(または複数種の生物活性分子)を取り込ませる前にヒドロゲルスキャホールド材を調製する必要がないように、キットは事前に形成した多孔性ヒドロゲルスキャホールド材および少なくとも1種の生物活性分子を含む。また、プログラム可能なスキャホールド材を広範な細胞培養環境の必要性に基づいて多数のユーザ向けにカスタマイズできるように、キットは数種から数十種までの生物活性分子も含んでいてもよい。
【0041】
本発明はまた、少なくとも1種の試験分子に応答したin vivo応答または細胞機能をアッセイする様々な方法も提供する。一つの実施形態では、試験分子はプログラム可能なスキャホールド材の調製に使用した生物活性分子と同一である。in vivo応答をアッセイする方法は、試験分子でもある少なくとも1種の生物活性分子を用いて、本明細書中に記載の細胞培養環境を作り出すことを含む。その後、細胞をこの環境上に播種し、播種した細胞培養環境をin vivo設定内に埋め込む。その後、細胞の機能、増殖または生存を試験分子に対する応答において直接または間接的にアッセイすることができる。細胞アッセイの前に細胞培養環境のバイオプシーを行ってもよい。別の実施形態では、生物活性分子および試験化合物は同一ではない。試験分子には、それだけには限定されないが、ペプチドまたはその断片、ポリヌクレオチド、炭水化物、プロテオグリカン、糖タンパク質、脂質、天然および合成ポリマー、ならびに毒素、薬物および薬物候補などの化合物が含まれる。
【0042】
本発明はまた、細胞をin vivo設定から取り出して本発明の細胞培養環境に入れる方法も提供する。一つの実施形態では、埋め込みの前に、細胞培養環境特定の細胞を引き付ける能力を有するまたは有すると疑われる生物活性分子を含む。また、細胞培養環境は、対象の体からスキャホールド材内に入った後に引き付けられた細胞に結合することができる生物活性分子も含んでよい。したがって、この「ホーミング環境」を、細胞なしでin vivo設定内に埋め込む。所望の細胞がホーミング環境に浸潤するのに十分な時間の後、環境を対象から取り出し、新しく浸潤した細胞をin vitro設定で単離し、次いで培養する。あるいは、in vivoでホーミング環境に細胞を播種した後、環境をから取り出し、同じ患者の別の位置内または完全に別の患者内に再度埋め込むことができる。本発明の特定の一つの実施形態では、ホーミング環境の生物活性分子を使用して、それだけには限定されないが、肝臓幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、心幹細胞、膵島幹細胞、乳腺幹細胞および骨髄幹細胞などの様々な種類の幹細胞を引き付けることができる。
【0043】
本発明のスキャホールド材およびマイクロアレイを作製する方法を実施例中でさらに詳述する。以下の実施例は例示的であるが、本発明の範囲を限定しない。当業者が気付くものなどの妥当な変形を、本発明の範囲から逸脱せずに本発明中で行うことができる。実施例
【実施例1】
【0044】
(本発明の多孔性スキャホールド材の作製)
3グラムのアルギネート(MVG alginate、ProNova、ノルウェー)を100mlのMES緩衝液(pH6.0)にゆっくりと溶かし、3%w/vのアルギネート溶液を得た(またはリシンを使用した場合はpH6.5)。
【0045】
スルホ−N−ヒドロキシスクシンアミド(スルホ−NHS)164mg(分子量217.13、Sigma)および100mgのアジピン酸二水和物(AAD、分子量174)を50mlの3%w/vアルギネート溶液に加え、15%の架橋結合剤を得た。
【0046】
アルギネート溶液(25ml)を50mlの三角フラスコに注ぎ、365mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC、分子量191.7、Pierce)を素早く加えて架橋結合反応を開始させた。
【0047】
側面に2mmのスペーサーを備えた逆さまにした蓋、反転させた底部を有する反転させたペトリ皿に溶液を素早く注いだ。これにより、アルギネートを均一な厚さでゲル化するために2mmの間隔に離された平行な表面が提供された。この物質を終夜ゲル化させた。
【0048】
ヒドロゲルが形成され、これを6mmのバイオプイシーパンチで穴を開けていくつかの6mm×2mmのディスクにした。ゲルディスクを脱イオン水で3時間、塩および反応物質を浸出するために水を5回交換して洗浄した。その後、ゲルディスクをプラスチック表面上に置き、−70℃で4時間凍結させ、終夜凍結乾燥させて本発明の三次元多孔性スキャホールド材を得た。
【0049】
図1に示すように、相互に連結した多孔構造を有する三次元スキャホールド材が得られ、これは本発明において生体に影響を与える分子を用いたさらに改変に有用であった。多孔性構造は凍結中に形成した氷結晶から生じ、氷結晶を凍結乾燥させた際に氷結晶によって残された空間が相互に連結した多孔性構造を形成したことが可能である。反応中に架橋結合されなかったヒドロゲル中のカルボキシ(−COOH)基は、スキャホールド材のさらなる改変の潜在的な部位を提供し得る。
【実施例2】
【0050】
(本発明の多孔性スキャホールド材の作製)
0.1MのMES緩衝液(pH6.0)中の2%(w/v)アルギネート溶液および2%(w/v)ヒアルロン酸(HA)溶液に、HoBtおよびAADの溶液を、それぞれ110mgのAAD/50mlのアルギネート/HA溶液で加えた。次に、架橋結合反応を開始させるために0.1MES緩衝液に溶かしたEDCを、195mgのEDC/10mlのアルギネート/HAで、それぞれアルギネート溶液またはヒアルロン酸溶液に加えた。その後、溶液を素早く容器に注いで終夜ゲル化させた。
【0051】
容器内でヒドロゲルが形成され、これに穴を開けていくつかの6mm×2mmディスクにした。塩および反応物質を浸出するためにゲルディスクを水およびPBS緩衝液で洗浄した。ゲルディスクを凍結させ、終夜凍結乾燥させた。
【0052】
相互に連結した多孔構造を有する三次元スキャホールド材が架橋結合したアルギネートまたはヒアルロン酸の凍結乾燥させたヒドロゲルとして得られた。反応中に架橋結合されなかったヒドロゲル中のカルボキシ(−COON)基は、スキャホールド材のさらなる改変の潜在的な部位を提供し得る。相互に連結した多孔構造を有するスキャホールド材は、本発明において生体に影響を与える分子を用いたさらに改変に有用であった。
【実施例3】
【0053】
(本発明のマイクロアレイの作製)
実施例1のステップ1〜3の後、ゲル化溶液をHAでコーティングしたポリスチレンスライド上に装着した50ウェルのシリコーンガスケットのウェル内に分注した。アルギネートヒドロゲルは三次元のアレイ配置で架橋結合しただけでなく、スライドの表面とも架橋結合した。50個のウェルすべてにゲル化溶液を満たすことができる前にアルギネートがゲル化した場合は、pHを上げるまたは反応物質の異なる時点で加えることによってゲル化プロセスを遅らせられ得る。スライドを凍結させ、凍結乾燥させた。
【0054】
三次元スキャホールド材はアレイ状に配置されてスライド表面上に共有結合によって結合し、これにより高パラレル(並行)スクリーニングおよび高スループット(処理能力)のスクリーニングならびに細胞培養が可能となった。
【実施例4】
【0055】
(本発明のマイクロアレイの作製)
アルギネートを0.1MのMES緩衝液(pH6.5)にゆっくりと溶かすことによって2%(w/v)のアルギネート(MVG alginate、ProNova、ノルウェー)溶液を得た。68.3mgのヒドロキシルベンゾチアゾール(HoBt、H−2006、Sigma)および110mgのAADを50mlの2%w/vアルギネート溶液中に加え、カルボキシ基の25%の架橋結合を得た。3ml体積のアルギネート溶液アリコートを反応用の10mlプラスチックチューブに注いだ。ピペットのチップが底まで届くようにチューブの上部を切断した。58mgのEDC(分子量191.7、Pierce)を3mlの2%アルギネート溶液に加えて架橋結合反応を開始させた。アルギネート溶液を素早く吸引し、0.5%または1.0%のアルギネートでコーティングしたスライド上に置いた50ウェルのガスケットのウェル内に、ウェルの縁を越えないように同一ウェルで分注を2〜3回繰り返して分注した。溶液のpHを様々な架橋結合反応速度について調節した。
【0056】
ゲル化中のアルギネート溶液を載せたスライドを約20〜60分間ゲル化させた。より濃厚なゲルにはガスケットを積み重ねることができる。スライドを−70℃で数時間または終夜凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。
【0057】
スキャホールド材はスライド上に完全にアレイ状に配置された。pHを上げると、ゲル化の前に溶液を取り扱うことが可能になるのに十分なまでにゲル化速度が遅くなった。ほとんどの場合はゲルを破壊せずに、ゲルをスライドの表面に付着させたままでガスケットが取り除かれた。本発明の完全にアレイ状に配置された三次元スキャホールド材が得られた。
【実施例5】
【0058】
(本発明のマイクロアレイの作製)
実施例4のステップを繰り返したが、架橋結合反応を開始させるためにEDCを加える前に、アルギネート溶液アリコートのpHを5.5、6.0、6.5、および7.0に調節した。ゲル化プロセスの質および時間を観察し、記録した。具体的には、pH7.0のアルギネート溶液でゲル化の質とゲル化時間との間の良好なバランスが得られた。
【実施例6】
【0059】
(本発明のマイクロアレイ上への細胞の播種)
1×10個の細胞/mlの懸濁液中のMC3T3細胞をスキャホールド材上に播種した。10μlの細胞懸濁液をスキャホールド材上に播種し、それぞれのスキャホールド材は直径3mmおよび厚さ1mmであり(体積約7μl)。3個のスキャホールド材アレイを100mmペトリ皿の底に取り付け、滅菌のために層流フードのUV源に20〜30分間放置した。
【0060】
細胞懸濁液は毛細現象によりスキャホールド材内に入り、細胞はスキャホールド材の孔全体にわたって分布した。20mlの10%FBSを含む培地を、細胞培養用のスライドを含むペトリ皿に加えた。
【0061】
48時間後、細胞をMTTで染色し、デジタル画像を記録した。細胞は、共焦点顕微鏡および位相差顕微鏡下でも観察することができる。
【0062】
図2に示すように、本発明のアレイ状に配置されたスキャホールド材上に播種した細胞はスキャホールド材全体にわたって均一に分布し、細胞はアルギネートスキャホールド材との相互作用なしに凍結乾燥させたスキャホールド材の開いた多孔構造内に容易に入った。この図は、スキャホールド材の相互連結性も実証している。
【実施例7】
【0063】
(未改変のスキャホールド材上への細胞の播種)
MC3T3細胞の細胞懸濁液を0.5、1.0、5.0、および1×10個の細胞/mlで調製した。細胞懸濁液を充填したピペットのチップをスキャホールド材の中央に置き、細胞懸濁液をスキャホールド材中に分注することによって、60μlの細胞懸濁液アリコートを24ウェルプレート上のマイクロアレイの各スキャホールド材(56.5μl体積)上に播種した。
【0064】
各ウェルに培地(0.5ml)を加え、細胞を適切な条件下で培養した。20時間後、観察のために細胞を10%(v/v)のMTTで染色した。
【0065】
播種した細胞はアルギネートスキャホールド材の全体にわたって厚みの全体に沿って分布しており、細胞は主に細胞の塊として存在した。顕微鏡で焦点面を変えると、新しい細胞凝集体が焦点に現れた。細胞が互いに接着することは、恐らく、細胞がアルギネートスキャホールド材に接着することができなかったことが原因である。
【0066】
開始細胞濃度およびスキャホールド材の多孔性構造は細胞播種の分布に影響を与えた。孔が小さければ小さいほど、孔がより大きいスキャホールド材における凝集体に比べてより少ない数の細胞の細胞凝集体が存在した。孔がより大きいスキャホールド材ではより大きい細胞の塊がより少ない数存在した。これは、本発明の三次元スキャホールド材が細胞播種ならびに三次元の細胞増殖および細胞培養に有用であることを実証している。
【実施例8】
【0067】
(本発明の改変スキャホールド材上での細胞培養)
架橋結合させたアルギネートおよびヒアルロン酸の凍結乾燥させたヒドロゲルのスキャホールド材に酸性緩衝液中に0.1mg/mlのコラーゲンタイプI溶液を含浸させた。含浸させたスキャホールド材を洗浄しなかった、または、PBSおよび水で4時間洗浄した。洗浄したまたは洗浄しなかったスキャホールド材を−70℃で数時間凍結させ、凍結乾燥させた。
【0068】
4×10個の細胞/mlのトリプシン処理したMC3T3細胞(50μl)をP200ピペットマンによって各スキャホールド材に播種し、各スキャホールド材あたり約200,000個の細胞の細胞密度を得た。細胞懸濁液をピペットチップに満たし、チップの先端がスキャホールド材に貫通したら、細胞懸濁液を同時にスキャホールド材に注入した。細胞を播種したスキャホールド材を200μlの培地(aMEM+10%FBS)を含むプレートに移し、インキュウベーター内で37℃に維持し、連続的に観察した。
【0069】
細胞をトリプシン処理し、細胞増殖について計数するために収集することができる。あるいは、スキャホールド材上における細胞の増殖を顕微鏡下で観察し、細胞形態形成および細胞増殖の検査用に毎日サンプリングした。その上に細胞を増殖させたスキャホールド材をMTTなど細胞生存度のための定法によって染色した。どのスキャホールド材上にも播種しなかった細胞懸濁液を対照として同条件下で観察した。細胞生存能力のアッセイにはMolocular ProbesのキットL−3224を使用した。
【0070】
本発明のコラーゲンで改変したアルギネートまたはヒアルロン酸スキャホールド材では細胞付着および細胞増殖が観察されたが、コラーゲンを欠くスキャホールド材では細胞付着および細胞増殖が補助されなかった。細胞は改変スキャホールド材に付着して広がり、これは細胞の増殖に必要であった。一方、未改変のスキャホールド材中の細胞はスキャホールド材に接着することができなかったので多細胞凝集体として存在していた。
【0071】
本発明の非共有結合によって改変したECM分子を有するスキャホールド材では細胞接着および細胞増殖が補助されたが、未改変のスキャホールド材では細胞接着および細胞増殖が補助されなかった。したがって、本発明の非共有結合による改変方法は細胞付着および細胞増殖などの細胞機能を促進した。
【実施例9】
【0072】
(本発明の改変スキャホールド材上での細胞培養)
ヒドロゲルアルギネートスキャホールド材をフィブロネクチン(PBS中のヒトフィブロネクチン、Becton Dickinson Labware製)またはウシ血清卵白(BSA、分画V、Sigma IIA−7906)で改変した。フィブロネクチンは、細胞接着および細胞付着を促進することが知られているECMタンパク質であり、BSAは、大きさはフィブロネクチンに近い大きなタンパク質であるが細胞接着および細胞付着を促進するという特性を有することは知られていない。スキャホールド材に含浸させるフィブロネクチンまたはBSA溶液の濃度はどちらも100μg/mlであった。溶液を含浸させた後、スキャホールド材を凍結させ、凍結乾燥させた。
【0073】
その後、スキャホールド材にMC3T3細胞を100,000個の細胞/スキャホールド材で播種した。細胞を播種したスキャホールド材を適切な条件下で培養し、連続的に観察し、最後に細胞生存能力についてMTTで染色した。
【0074】
図3に示すように、本発明のフィブロネクチンで改変したスキャホールド材では細胞付着が観察されたが、アルブミンで改変したスキャホールド材および未改変のスキャホールド材のスキャホールド材ではこのような細胞付着は補助されず、細胞接着も促進されなかった。本発明のフィブロネクチンで改変したスキャホールド材では細胞増殖が観察されたが、アルブミンで改変したスキャホールド材および未改変のスキャホールド材では細胞増殖が補助されなかった。
【実施例10】
【0075】
(本発明のアレイ状に配置されたスキャホールド材における細胞培養)
ポリスチレンスライドをポリエチレンイミン(PEI)およびヒアルロン酸(HA)でコーティングした。Grace Biolabからのマスクを使用してアレイEDC/AAD架橋結合HAスキャホールド材をアレイ状に配置した。
【0076】
凍結乾燥させたスキャホールド材アレイを、ヒトフィブロネクチン(100μg/ml、BD Labware)、マウスラミニン(100μg/ml、BD Labware)およびコラーゲンタイプIV(100μg/ml、BD Labware)を含めたECM分子をそれぞれ含む溶液で水和させた。その後、水和させたスキャホールド材アレイを凍結させ、凍結乾燥させて改変スキャホールド材アレイを得た。
【0077】
次に、MC3T3細胞をスキャホールド材上に播種した(2×10個の細胞/ml)。スライドのリザーバに5mlの培地を入れ、3〜4日間培養した。生存能力について細胞をMTTで染色した。また、核の蛍光染色について細胞をヨウ化プロピジウムでも染色し、写真用のUniversal Imaging System下で観察した。
【0078】
図4に示すように、細胞は本発明のマイクロアレイの改変スキャホールド材に付着したが、未改変のスキャホールド材では細胞付着も細胞増殖も全く観察されなかった。本発明のECM分子で改変したスキャホールド材では細胞接着および細胞増殖が補助され、これらの改変スキャホールド材はアレイ状に配置されている場合に細胞付着、細胞シグナル伝達および/または細胞増殖を促進する微視的環境のスクリーニングにおいて有用であった。
【実施例11】
【0079】
(本発明の改変したアレイ状に配置されたスキャホールド材における細胞培養)
本発明のアレイ状に配置されたアルギネートスキャホールド材を、100μg/mlのヒトフィブロネクチン、または100μg/mlのマウスラミニン(Gibep)、または50μg/mlのMatrigel(Becton Dickinson)で改変した。ECMまたはMatrigel溶液(1μl)を用いて各スキャホールド材に含浸させた。
【0080】
Matrigel(商標)とは、細胞外基質構成成分に富む腫瘍であるエンゲルブレスホルムスワム(Engelbreth−Holm−Swarm、EHS)マウス肉腫から抽出した溶解基底膜調製物の市販されている(Becton Dickinson Bioscience)溶液である。Matrigel(商標)の主要な構成成分はラミニンであり、次いでコラーゲンタイプIV、エンタクチン、およびヘパラン硫酸プロテオグリカンである。Matrigel(商標)は、TGF−β繊維芽細胞増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、およびEHS腫瘍中に自然に存在する他の増殖因子も含む。室温では、Matrigel(商標)は重合して哺乳動物細胞基底膜に似ている生物活性基質物質を生じる。したがって、Matrigel(商標)は、それだけには限定されないが神経細胞、肝細胞、セルトリ細胞、乳腺上皮、黒色腫細胞、血管内皮細胞、甲状腺細胞および毛嚢細胞を含めた、正常なおよび形質転換した足場依存性の上皮および他の細胞種のいずれもの付着および分化用に有効である。
【0081】
スキャホールド材に各スキャホールド材あたり100,000個の細胞のHEPG2細胞またはMC3T3細胞を播種し、10%の血清を含む培地中で1週間培養した。スキャホールド材を連続的に維持かつ観察した。細胞を細胞生存能力についてMTTで染色し、位相差顕微鏡観察によって記録した。
【0082】
本発明のECMまたはMatrigelで改変したスキャホールド材では異なる組織(肝細胞および骨芽細胞)かつ異なる種(マウスおよびヒト)由来の細胞の細胞接着および細胞増殖が補助された。改変スキャホールド材のアレイにより、異なる細胞種の細胞培養用の微視的環境ならびに異なる細胞培養環境のパラレル(並行)かつ高スループット(処理能力)のスクリーニングが可能となった。
【実施例12】
【0083】
(本発明の改変したアレイ状に配置されたスキャホールド材における細胞培養)
本発明のアレイ状に配置されたアルギネートスキャホールド材を、PBS中に100、30、10、3、および1μg/mlのヒトフィブロネクチン、またはPBS中に100、30、10、3、および1μg/mlのマウスラミニン(Gibco)、または100、30、10、3、および1μg/mlのマウスコラーゲンタイプIVで改変した。
【0084】
スキャホールド材に各スキャホールド材あたり100,000個の細胞で細胞を播種し、培養し、連続的に観察した。本発明のECMで改変したスキャホールド材では、様々な濃度の細胞で細胞接着および細胞増殖が補助された。改変スキャホールド材のアレイにより、異なる細胞種の細胞培養用の微視的環境ならびに異なる細胞培養環境のパラレル(並行)かつ高スループット(処理能力)のスクリーニングが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】走査電子顕微鏡下における、本発明の凍結乾燥させたヒドロゲルスキャホールド材の相互に連結した多孔構造を示す図である。
【図2】播種後に本発明のスキャホールド材の全体にわたって均一に分布および増殖させた、MTTで染色したMC3T3細胞を示す図である。
【図3】本発明のフィブロネクチンで改変したスキャホールド材における細胞接着および細胞増殖を示す一方で、陰性対照、すなわち未改変のスキャホールド材およびアルブミンで改変したスキャホールド材は細胞接着または細胞増殖を補助しないことを示す図である。
【図4】本発明のECMで改変したスキャホールド材における細胞接着および細胞増殖を示す一方で、陰性対照、すなわち未改変のスキャホールド材は細胞接着および細胞増殖を補助しないことを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマーを架橋結合させてヒドロゲルを形成すること、
b)前記ヒドロゲル内に孔を形成すること、
c)少なくとも1種の生物活性分子を非共有結合によって前記多孔性ヒドロゲル内に取り込ませること
を含むことを特徴とする細胞培養環境を作製する方法。
【請求項2】
前記ポリマーはアルギネート、改変アルギネート、ヒアルロン酸、改変ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、キトサン、キチン、ポリビニルアルコール、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、アミノ酸ベースポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリHEMA、PTFE、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタクリレート、ポリフマレート、ポリプロピレングリコールベースポリマー、およびそれらの誘導体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記孔を形成することは、前記ヒドロゲルを凍結させ、凍結乾燥させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非共有結合によって前記少なくとも1種の生物活性分子を取り込ませることは、前記凍結乾燥させたヒドロゲルを前記少なくとも1種の生物活性分子を含む溶液で水和させること、および前記水和させた多孔性ヒドロゲルを乾燥または凍結乾燥させることを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の生物活性分子は細胞外基質分子(ECM)、増殖因子、細胞−シグナル伝達分子およびそれらの誘導体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の生物活性分子は少なくとも1種の細胞外基質分子(ECM)および少なくとも1種の細胞シグナル伝達分子を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ECMは、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、トロンボスポンジン1、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、アグリカン、アグリン、骨シアロタンパク質、軟骨基質タンパク質、フィブロノーゲン、フィブリン、ファイブリン、ムチン、エンタクチン、オステオポンチン、プラスミノーゲン、リストリクチン、セルグリシン、SPARC/オステオネクチン、バーシカン、フォンウィルブランド因子、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、ヒアルロナン、メロシン、オステオポンチン、オステオネクチン、細胞接着分子、カドヘリン、コネキシンおよびセレクチンからなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記増殖因子は酸性繊維芽細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、神経増殖因子、腫瘍増殖因子β、造血増殖因子およびインターロイキンからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
多孔性ヒドロゲルスキャホールド材と少なくとも1種の生物活性分子とを含む細胞培養環境であって、前記少なくとも1種の生物活性分子は非共有結合によって多孔性ヒドロゲルスキャホールド材に結合していることを特徴とする細胞培養環境。
【請求項10】
前記ヒドロゲルは、アルギネート、改変アルギネート、ヒアルロン酸、改変ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、キトサン、キチン、ポリビニルアルコール、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、アミノ酸ベースポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリHEMA、PTFE、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタクリレート、ポリフマレート、ポリプロピレングリコールベースポリマー、およびそれらの誘導体からなる群から選択されるポリマーを含むことを特徴とする請求項9に記載の細胞培養環境。
【請求項11】
前記ヒドロゲルは共有結合によって架橋結合されていることを特徴とする請求項9に記載の細胞培養環境。
【請求項12】
前記少なくとも1種の生物活性分子は、細胞外基質分子(ECM)、増殖因子、細胞シグナル伝達分子、およびそれらの誘導体からなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載の細胞培養環境。
【請求項13】
前記少なくとも1種の生物活性分子は、少なくとも1種の細胞外基質(ECM)分子および少なくとも1種の増殖因子を含むことを特徴とする請求項12に記載の細胞培養環境。
【請求項14】
前記ECMは、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、トロンボスポンジン1、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、アグリカン、アグリン、骨シアロタンパク質、軟骨基質タンパク質、フィブロノーゲン、フィブリン、ファイブリン、ムチン、エンタクチン、オステオポンチン、プラスミノーゲン、リストリクチン、セルグリシン、SPARC/オステオネクチン、バーシカン、フォンウィルブランド因子、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、ヒアルロナン、メロシン、オステオポンチン、オステオネクチン、細胞接着分子、カドヘリン、コネキシンおよびセレクチンからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の細胞培養環境。
【請求項15】
前記増殖因子は、酸性繊維芽細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、神経増殖因子、腫瘍増殖因子β、造血増殖因子およびインターロイキンからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の細胞培養環境。
【請求項16】
請求項9に記載の細胞培養環境を含むことを特徴とするアレイ。
【請求項17】
前記アレイは、複数の前記細胞培養環境を含み、前記複数の細胞培養環境のそれぞれが同一の構成要素から構成されていることを特徴とする請求項16に記載のアレイ。
【請求項18】
前記アレイは、複数の前記細胞培養環境を含み、前記複数の細胞培養環境のそれぞれが異なる構成要素から構成されていることを特徴とする請求項16に記載のアレイ。
【請求項19】
a)細胞を請求項9に記載の細胞培養環境に播種すること、
b)前記環境中の前記細胞を適切な細胞培養条件下に維持すること
を含むことを特徴とする細胞培養方法。
【請求項20】
少なくとも1種の試験分子に応答した細胞機能をアッセイする方法であって、前記方法は、
a)細胞を請求項9に記載の細胞培養環境に播種し、前記少なくとも1種の非共有結合によって結合した生物活性分子は前記試験分子であること、
b)前記細胞培養環境上の前記細胞を適切な条件下に維持すること、
c)前記細胞培養環境での前記維持に対する前記培養細胞の応答を決定すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記細胞はin vitro設定で播種することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記適切な条件は細胞培養条件を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞はin vivo設定で播種することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞を、前記の適切な条件下に維持することは、対象において前記細胞培養環境を維持することを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
細胞ベースのin vivo移植片を生成する方法であって、
a)in vitro設定において細胞を請求項9に記載の細胞培養環境に播種すること、
b)前記細胞培養環境上の前記細胞を適切な細胞培養条件下に維持すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
a)多孔性ヒドロゲルを形成する能力を有するポリマーと、
b)少なくとも1種の生物活性分子と、
を含むキットであって、細胞培養環境を作製するために使用することを特徴とするキット。
【請求項27】
前記ポリマーは多孔性ヒドロゲルとして存在することを特徴とする請求項26に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−500953(P2006−500953A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541820(P2004−541820)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/030649
【国際公開番号】WO2004/031371
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】