説明

プログラム管理システム、端末装置、管理サーバ、並びに、プログラム及びネットワーク物理アドレスの設定方法

【課題】同一のハードウエアであっても異なる制御プログラムを格納できるようにする。
【解決手段】端末装置は、ネットワークを介して管理サーバと接続された通信手段と、通信手段に仮のネットワーク物理アドレスを設定する第1の物理アドレス設定手段と、仮のネットワーク物理アドレスを設定された通信手段を介して、端末装置を制御するためのプログラムの転送要求を管理サーバへ送信するプログラム転送要求手段と、通信手段を介して管理サーバから仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを受信するプログラム受信手段と、プログラム受信手段が受信したプログラムを格納する書き換え可能な不揮発性記憶手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して端末装置にプログラムを書き込むためのプログラム管理システム、端末装置、管理サーバ、並びに、プログラム及びネットワーク物理アドレスの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Nandフラッシュメモリなどの不揮発性記憶デバイスの記憶容量が年々に大容量化されている。そのため。スキャナ装置を制御するための制御プログラムも、このような不揮発性記憶デバイスに格納されるようになってきている。なお、制御プログラムの種類も多岐にわたるようになりつつあり、スキャナ装置ごとに異なる制御プログラムが必要になりつつある。例えば、同一のハードウエアであっても、納入先ごとに異なる制御プログラムを記憶させることで、異なる商品とするようなニーズも存在する。
【0003】
ところで、近年、LANなどのネットワークが普及したことでネットワークスキャナ装置が急速に普及し始めている。ネットワークスキャナ装置にはネットワークに接続するためのネットワークインタフェースカード(NIC)が備えられる。ネットワークインタフェースカードには固有のネットワーク物理アドレスとしてMACアドレスが付与される。
【0004】
特許文献1によれば、MACアドレスを製造シリアル番号から生成する発明が提案されている。これにより、MACアドレスと製造シリアル番号とが一対一で対応するため、製造シリアル番号を管理するだけで、MACアドレスも管理できるようになる。すなわち、MACアドレスと製造シリアル番号とを個別に管理する手間を省けるようになる。
【特許文献1】特開2006−254236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ネットワークスキャナ装置などの端末装置では、同一のハードウエアであっても異なる制御プログラムを備えることが要求されつつある。特許文献1に記載の発明は、製造シリアル番号によってMACアドレスを管理することができるに過ぎず、ネットワークスキャナ装置ごとの適切な制御プログラムを管理することができない。
【0006】
とりわけ、特許文献1に記載の発明では、依然として制御プログラムはROMに格納される。そのため、同一のハードウエアであっても異なる制御プログラムを格納させるためには、それぞれ異なる制御プログラムを記憶したROMを用意して組み込まなければならず、極めて管理が面倒であった。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。例えば、本発明は、端末装置ごとにネットワークを介して適切なプログラムを書き込むことで、同一のハードウエアであっても異なる制御プログラムを格納できるようにすることを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係るプログラム管理システムは、1つ以上の端末装置と、端末装置に設定すべきプログラム及びネットワーク物理アドレスを管理する管理サーバとを備えている。
【0009】
端末装置は、
ネットワークを介して管理サーバと接続された通信手段と、
通信手段に仮のネットワーク物理アドレスを設定する第1の物理アドレス設定手段と、
仮のネットワーク物理アドレスを設定された通信手段を介して、端末装置を制御するためのプログラムの転送要求を管理サーバへ送信するプログラム転送要求手段と、
通信手段を介して管理サーバから仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを受信するプログラム受信手段と、
プログラム受信手段が受信したプログラムを格納する書き換え可能な不揮発性記憶手段と
を備えている。
【0010】
管理サーバは、
それぞれ異なる仮のネットワーク物理アドレスごとに対応したプログラムを記憶するプログラムデータベースと、
端末装置からプログラムの転送要求を受信する転送要求受信手段と、
プログラムの転送要求に付随した端末装置の仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムをプログラムデータベースから検索抽出する検索抽出手段と、
検索抽出手段により検索抽出されたプログラムを端末装置へ送信するプログラム送信手段と
を備えている。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、
端末装置は、
プログラムが不揮発性記憶手段へ正常に格納されたか否かを判定する判定手段と、
プログラムが不揮発性記憶手段へ正常に格納されると、正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を管理サーバに送信するアドレス転送要求手段と、
管理サーバから送信されてきた正式のネットワーク物理アドレスを受信するアドレス受信手段と、
アドレス受信手段が受信した正式のネットワーク物理アドレスを通信手段に設定する第2の物理アドレス設定手段と
をさらに備えている。
【0012】
管理サーバは、
正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を端末装置から受信するアドレス転送要求受信手段と、
端末装置へ正式のネットワーク物理アドレスを送信するアドレス送信手段と
をさらに備えている。
【0013】
本発明の第3の観点によれば、
端末装置は、
プログラムが不揮発性記憶手段へ正常に格納されなかったときに、不揮発性記憶手段に書き込まれたプログラムを消去する消去手段をさらに備え、
プログラム転送要求手段は、プログラムの転送要求を管理サーバへ、再度、送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の観点によれば、端末装置に設定された仮のネットワーク物理アドレスを利用して、これに対応したプログラムを管理サーバから端末装置に書き込むことが可能となる。よって、同一のハードウエアであっても異なる制御プログラムを格納できるようになる。
【0015】
第2の観点によれば、プログラムが正常に格納されると、管理サーバが端末装置へ正式のネットワーク物理アドレスを設定する。これにより、制御プログラムだけでなく、MACアドレスに関しても管理サーバにより管理できるようになる。また、制御プログラムやMACアドレスごとに、異なるROMを製造して管理する手間を省けるようになる。
【0016】
第3の観点によれば、プログラムが正常に格納されなかったときには、これを消去するため、端末装置の誤作動を防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0018】
図1は、実施形態に係る端末装置を示した機能ブロック図である。ここでは、端末装置の一例として、ネットワークスキャナ装置100を取り上げる。しかし、本発明に係る端末装置は、制御プログラムとネットワーク物理アドレスとを必要となる端末装置であればよい。このような端末装置としては、例えば、画像形成装置、複写機、複合機、デジタルカメラなどがある。
【0019】
CPU1は、ネットワークスキャナ装置100の各部を統括的に制御する制御ユニットである。RAM2は、CPU1のワークエリアとして機能する揮発性の記憶装置である。ブートROM3は、ネットワークスキャナ装置100の起動時に実行される初期化プログラム31や仮のMACアドレス32などを記憶した不揮発性の記憶装置である。仮のMACアドレス32は、管理サーバと通信するためにネットワークI/F部7に設定されるネットワーク物理アドレスである。システムバス4は、CPU1が各部と通信するためのバスである。操作部5は、各種の情報を入力するためのユニットである。画像読み取り部6は、原稿の画像を読み取るユニットである。ネットワークI/F部7は、いわゆる有線または無線のネットワークインタフェースカードであり、LANと接続されている。ネットワークI/F部7は、ネットワークを介して管理サーバと接続された通信手段の一例である。NandフラッシュROM8は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置である。本実施形態において、NandフラッシュROM8には、制御プログラム81が書き込まれる。
【0020】
端末装置の起動時に、CPU1は、ブートROM3に格納されている初期化プログラム31を実行する。CPU1は、初期化プログラム31にしたがって、制御プログラム81をRAM2に展開する。CPU1は、RAM2に展開された制御プログラム81を実行する。初期化プログラム31には、ネットワーク制御プログラムが含まれている。ネットワーク制御プログラムは、ネットワークI/F部7を制御し、後述する管理サーバと通信する。CPU1は、制御プログラム81にしたがって、システムバス4に接続された操作部5、画像読み取り部6及びネットワークI/F部を制御する。操作部5はキーボードやタッチパネル等の入力部に加え、CRTや液晶表示部などを備えていてもよい。ユーザは画像読み取り部6が読み取った画像データの送信先等を操作部5から指定することができる。
【0021】
初期状態おいては、制御プログラム81がNandフラッシュROM8に実装(格納)されていない。そのため、CPU1は、ネットワークを介して管理サーバから制御プログラム81を受信しようとする。CPU1は、制御プログラム81が格納された管理サーバをネットワーク上で発見すると、管理サーバに制御プログラムの転送要求を送信する。管理サーバは、転送要求を受信すると、ネットワークI/F部7に設定された仮のMACアドレス32に対応した制御プログラムを検索抽出し、ネットワークスキャナ装置100に転送する。
【0022】
図2は、実施形態に係る制御プログラム管理システムの構成例を示す図である。図2において、LAN210には、第1のネットワークスキャナ装置100と、第2のネットワークスキャナ装置200と、プログラム管理サーバ300とが接続される。ここでは、2つのネットワークスキャナ装置について説明するが、ネットワークスキャナ装置は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0023】
第1のネットワークスキャナ装置100、第2のネットワークスキャナ装置200は、同一のハードウエアを有しているものの、制御プログラムが異なる。制御プログラムが異ならしめることで、これらのネットワークスキャナ装置におけるユーザーインタフェース、操作または仕様が異なるようになる。第1のネットワークスキャナ装置100には第1の制御プログラムが必要となるが、第2のネットワークスキャナ装置200は第1の制御プログラムが必要となる。よって、第1のネットワークスキャナ装置100には、第1の制御プログラムに関連付けられた第1の仮のMACアドレスがブートROM3に格納される。第2のネットワークスキャナ装置200には、第2の制御プログラムに関連付けられた第2の仮のMACアドレスがブートROM3に格納される。プログラム管理サーバ300は、仮のMACアドレスごとに、対応した制御プログラムを記憶したデータベースを有している。
【0024】
図3は、ネットワークスキャナ装置における制御プログラム及び正式のMACアドレスの転送処理を示したフローチャートである。図3においてネットワークスキャナ装置100は、電源が投入されると、CPU1は、初期化プログラム31を起動する。以下では、初期化プログラム31にしたがってCPU1が実行する処理を説明する。なお、ネットワークスキャナ装置200も同様の処理を実行する。
【0025】
ステップS301で、CPU1は、NandフラッシュROM8に制御プログラム81が格納されているか否かを確認する。制御プログラム81が格納されている場合は、ステップS312に進む。ステップS312で、CPU1は、NandフラッシュROM8に格納されている制御プログラム81をRAM2に展開及び転送する。ステップS313で、CPU1は、RAM2に展開された制御プログラム81を実行する。なお、制御プログラム81が正常にNandフラッシュROM8に格納された後に使用されるMACアドレスは、NandフラッシュROM8に格納された正式のMACアドレスである。一方、制御プログラムがNandフラッシュROM8に格納されていない場合は、ステップS302に進む。
【0026】
ステップS302で、CPU1は、ブートROM3に格納された仮のMACアドレスをネットワークI/F部7に設定する。このように、CPU1は、通信手段に仮のネットワーク物理アドレスを設定する第1の物理アドレス設定手段として機能する。
【0027】
ステップS303で、CPU1は、ネットワークI/F部7からプログラム管理サーバ300に制御プログラムの転送要求を送信する。この転送要求には、仮のMACアドレスが付随している。このように、CPU1は、仮のネットワーク物理アドレスを設定された通信手段を介して端末装置を制御するためのプログラムの転送要求を管理サーバへ送信するプログラム転送要求手段として機能する。
【0028】
ステップS304で、CPU1は、プログラム管理サーバ300から転送されてきた制御プログラムをネットワークI/F部7により受信する。このように、CPU1は、通信手段を介して管理サーバから仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを受信するプログラム受信手段として機能する。必要なすべての制御プログラムをプログラム管理サーバ300から受信すると、ステップS305に進む。
【0029】
ステップS305で、CPU1は、受信した制御プラグラムをNandフラッシュROM8に書き込む。NandフラッシュROM8は、プログラム受信手段が受信したプログラムを格納する書き換え可能な不揮発性記憶手段として機能する。
【0030】
ステップS306で、CPU1は、制御プラグラムが正常にNandフラッシュROM8へ書き込まれたか否かを判定する。この判定は、受信した制御プログラムのチェックサムと書き込まれた制御プログラムのチェックサムなどを比較することなどで実現できる。このように、CPU1は、プログラムが不揮発性記憶手段へ正常に格納されたか否かを判定する判定手段として機能する。
【0031】
正常に書き込みが終了しなかった場合、ステップS311に進む。ステップS311で、CPU1は、NandフラッシュROM8に書き込まれた制御プログラムを消去する。このように、CPU1は、プログラムが不揮発性記憶手段へ正常に格納されなかったときに、不揮発性記憶手段に書き込まれたプログラムを消去する消去手段として機能する。その後、ステップS312で、CPU1は、書き込みエラーとして、本フローチャートに係る処理を終了する。すなわち、正式のMACアドレスがネットワークスキャナ装置100に割り当てられることなく、本処理が終了する。よって、ネットワークスキャナ装置100が再起動されると、ステップS301からの処理が再度実行されることになる。すなわち、CPU1は、ネットワークI/F部7からプログラム管理サーバ300に制御プログラムの転送要求を、再度、送信する。一方、制御プログラム81の書き込みが正常に終了した場合、ステップS307に進む。
【0032】
ステップS307で、CPU1は、プログラム管理サーバ300に対して正規のMACアドレスの転送要求を送信する。このように、CPU1は、プログラムが不揮発性記憶手段へ正常に格納されると正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を管理サーバに送信するアドレス転送要求手段として機能する。
【0033】
ステップS308で、CPU1は、プログラム管理サーバ300が送信してきた正式のMACアドレスをネットワークI/F部7により受信する。このように、CPU1は、管理サーバから送信されてきた正式のネットワーク物理アドレスを受信するアドレス受信手段として機能する。
【0034】
ステップS309で、CPU1は、受信した正式のMACアドレスをNandフラッシュROM8に書き込む。制御プログラム81が正常にNandフラッシュROM8に格納された後は、NandフラッシュROM8に格納された正式のMACアドレスがネットワークI/F部7に設定されて使用される。このように、CPU1は、アドレス受信手段が受信した正式のネットワーク物理アドレスを通信手段に設定する第2の物理アドレス設定手段として機能する。
【0035】
図4は、プログラム管理サーバ300の機能ブロック図である。CPU401は、プログラム管理サーバ300の各部を統括的に制御する制御ユニットである。RAM402は、CPU401のワークエリアとして機能する揮発性の記憶装置である。ROM403は、プログラム管理サーバ300の起動時に実行されるプログラムなどを記憶した不揮発性の記憶装置である。ハードディスクドライブ(HDD)404は、大容量の不揮発性記憶装置であり、データベース481を記憶している。データベース481は、仮のMACアドレスと制御プログラムとを対応付けて記憶している。データベース481は、それぞれ異なる仮のネットワーク物理アドレスごとに対応したプログラムを記憶するプログラムデータベースとして機能する。ネットワークインタフェースカード407は、LANと接続するための通信装置である。
【0036】
図5は、プログラム管理サーバ300における制御プログラム及び正式のMACアドレスの転送処理を示したフローチャートである。
【0037】
ステップS501で、CPU401は、いずれかのネットワークスキャナ装置からプログラムの転送要求があるか否かをチェックする。ネットワークインタフェースカード407が転送要求を受信したのであれば、ステップS502へ進む。このように、ネットワークインタフェースカード407やCPU401は、端末装置からプログラムの転送要求を受信する転送要求受信手段として機能する。
【0038】
ステップS502で、CPU401は、転送要求を送信してきたネットワークスキャナ装置に付与されている仮のMACアドレスを転送要求に基づいて検出し、検出した仮のMACアドレスに対応する制御プログラムをデータベース481から検索抽出する。仮のMACアドレスは、転送要求に付随していてもよいし、CPU401がネットワークスキャナ装置に問い合せてもよい。このように、CPU401は、プログラムの転送要求に付随した端末装置の仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムをプログラムデータベースから検索抽出する検索抽出手段として機能する。
【0039】
ステップS503で、CPU401は、検索抽出した制御プログラムをネットワークスキャナ装置へ送信する。このように、CPU401やネットワークインタフェースカード407は、検索抽出手段により検索抽出されたプログラムを端末装置へ送信するプログラム送信手段として機能する。
【0040】
ステップS504で、CPU401は、正式なMACアドレスの転送要求を受信したか否かを判定する。このように、CPU401やネットワークインタフェースカード407は、正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を端末装置から受信するアドレス転送要求受信手段として機能する。
【0041】
正式なMACアドレスの転送要求は、制御プログラムが正常にネットワークスキャナ装置に書き込まれたことを暗示している。一定期間が過ぎても正式なMACアドレスの転送要求を受信できなければ、CPU401は、制御プログラムの転送または書き込みが失敗したと判定し、本処理を終了する。正式なMACアドレスの転送要求を受信したときは、ステップS505に進む。
【0042】
ステップS505で、CPU401は、ネットワークスキャナ装置に設定すべき正式のMACアドレスを当該ネットワークスキャナ装置へ送信する。正式のMACアドレスは、予めハードディスクドライブ404にプールされているものであってもよいし、CPU401が生成してもよい。MACアドレスは、ユニークのネットワーク物理アドレスとなる。このように、CPU401やネットワークインタフェースカード407は、端末装置へ正式のネットワーク物理アドレスを送信するアドレス送信手段として機能する。
【0043】
図6は、仮のMACアドレスと対応する制御プログラムとを格納したデータベースを示した図である。ここでは、3つのMACアドレスと、それに対応する制御プログラムとの対応関係が示されている。仮のMACアドレスが”aaaaaa”であれば、対応する制御プログラムは標準の制御プログラムAとなる。仮のMACアドレスが”bbbbbb”であれば、対応する制御プログラムはユーザY用の制御プログラムBとなる。仮のMACアドレスが”cccccc”であれば、対応する制御プログラムはユーザZ用の制御プログラムCとなる。
【0044】
なお、仮のMACアドレスは、ネットワークスキャナ装置100が接続されたネットワークの同一セグメント内において、共通してはならない。よって、仮のMACアドレスのうち、下位の数桁が対応する制御プログラムの特定に使用されてもよい。あるいは、仮のMACアドレスもすべてユニークとしておき、複数の仮のMACアドレスが単一の制御プログラムに対応付けられていてもよい。
【0045】
以上説明したように、本発明によれば、端末装置に設定された仮のネットワーク物理アドレスを利用して、これに対応したプログラムを管理サーバから端末装置に書き込むことが可能となる。よって、同一のハードウエアであっても異なる制御プログラムを格納できるようになる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、プログラムが正常に格納されると、管理サーバが端末装置へ正式のネットワーク物理アドレスを設定する。これにより、制御プログラムだけでなく、MACアドレスに関しても管理サーバにより管理できるようになる。また、制御プログラムやMACアドレスごとに、異なるROMを製造して管理する手間を省けるようになる。
【0047】
本発明によれば、プログラムが正常に格納されなかったときには、これを消去するため、端末装置の誤作動を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態に係る端末装置を示した機能ブロック図である。
【図2】実施形態に係る制御プログラム管理システムの構成例を示す図である。
【図3】ネットワークスキャナ装置における制御プログラム及び正式のMACアドレスの転送処理を示したフローチャートである。
【図4】プログラム管理サーバ300の機能ブロック図である。
【図5】プログラム管理サーバ300における制御プログラム及び正式のMACアドレスの転送処理を示したフローチャートである。
【図6】仮のMACアドレスと対応する制御プログラムとを格納したデータベースを示した図である。
【符号の説明】
【0049】
1 CPU
2 RAM
3 ブートROM
5 操作部
6 画像読み取り部
7 ネットワークI/F部
8 NandフラッシュROM
100、200 ネットワークスキャナ装置
300 プログラム管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の端末装置と、前記端末装置に設定すべきプログラム及びネットワーク物理アドレスを管理する管理サーバとを備えたプログラム管理システムであって、
前記端末装置は、
ネットワークを介して前記管理サーバと接続された通信手段と、
前記通信手段に仮のネットワーク物理アドレスを設定する第1の物理アドレス設定手段と、
前記仮のネットワーク物理アドレスを設定された前記通信手段を介して、前記端末装置を制御するためのプログラムの転送要求を前記管理サーバへ送信するプログラム転送要求手段と、
前記通信手段を介して前記管理サーバから前記仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを受信するプログラム受信手段と、
前記プログラム受信手段が受信した前記プログラムを格納する書き換え可能な不揮発性記憶手段と
を備え、
前記管理サーバは、
それぞれ異なる仮のネットワーク物理アドレスごとに対応したプログラムを記憶するプログラムデータベースと、
前記端末装置から前記プログラムの転送要求を受信する転送要求受信手段と、
前記プログラムの転送要求に付随した前記端末装置の前記仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを前記プログラムデータベースから検索抽出する検索抽出手段と、
前記検索抽出手段により検索抽出されたプログラムを前記端末装置へ送信するプログラム送信手段と
を備えることを特徴とするプログラム管理システム。
【請求項2】
前記端末装置は、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されたか否かを判定する判定手段と、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されると、正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を前記管理サーバに送信するアドレス転送要求手段と、
前記管理サーバから送信されてきた前記正式のネットワーク物理アドレスを受信するアドレス受信手段と、
前記アドレス受信手段が受信した前記正式のネットワーク物理アドレスを前記通信手段に設定する第2の物理アドレス設定手段と
をさらに備え、
前記管理サーバは、
前記正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を前記端末装置から受信するアドレス転送要求受信手段と、
前記端末装置へ前記正式のネットワーク物理アドレスを送信するアドレス送信手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプログラム管理システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されなかったときに、前記不揮発性記憶手段に書き込まれた前記プログラムを消去する消去手段をさらに備え、
前記プログラム転送要求手段は、前記プログラムの転送要求を前記管理サーバへ、再度、送信することを特徴とする請求項2に記載のプログラム管理システム。
【請求項4】
端末装置に設定すべきプログラム及びネットワーク物理アドレスを管理する管理サーバであって、
それぞれ異なる仮のネットワーク物理アドレスごとに対応したプログラムを記憶するプログラムデータベースと、
いずれかの仮のネットワーク物理アドレスを設定された端末装置からプログラムの転送要求を受信する転送要求受信手段と、
前記プログラムの転送要求に付随した前記端末装置の前記仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを前記プログラムデータベースから検索抽出する検索抽出手段と、
前記検索抽出手段により検索抽出されたプログラムを前記端末装置へ送信するプログラム送信手段と
を備えることを特徴とする管理サーバ。
【請求項5】
正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を前記端末装置から受信するアドレス転送要求受信手段と、
前記端末装置へ前記正式のネットワーク物理アドレスを送信するアドレス送信手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の管理サーバ。
【請求項6】
端末装置であって、
前記端末装置に設定すべきプログラム及びネットワーク物理アドレスを管理する管理サーバに対してネットワークを介して接続された通信手段と、
前記通信手段に仮のネットワーク物理アドレスを設定する第1の物理アドレス設定手段と、
前記仮のネットワーク物理アドレスを設定された前記通信手段を介して、前記端末装置を制御するためのプログラムの転送要求を前記管理サーバへ送信するプログラム転送要求手段と、
前記通信手段を介して前記管理サーバから前記仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを受信するプログラム受信手段と、
前記プログラム受信手段が受信した前記プログラムを格納する書き換え可能な不揮発性記憶手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項7】
前記端末装置は、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されたか否かを判定する判定手段と、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されると、正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を前記管理サーバに送信するアドレス転送要求手段と、
前記管理サーバから送信されてきた前記正式のネットワーク物理アドレスを受信するアドレス受信手段と、
前記アドレス受信手段が受信した前記正式のネットワーク物理アドレスを前記通信手段に設定する第2の物理アドレス設定手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記端末装置は、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されなかったときに、前記不揮発性記憶手段に書き込まれた前記プログラムを消去する消去手段をさらに備え、
前記プログラム転送要求手段は、前記プログラムの転送要求を前記管理サーバへ、再度、送信することを特徴とする請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
プログラムとネットワーク物理アドレスを管理サーバから端末装置へネットワークを介して設定するプログラム及びネットワーク物理アドレスの設定方法であって、
前記端末装置が、前記ネットワークに接続された通信手段に仮のネットワーク物理アドレスを設定するステップと、
前記端末装置が、前記仮のネットワーク物理アドレスを設定された前記通信手段を介して、前記端末装置を制御するためのプログラムの転送要求を前記管理サーバへ送信するステップと、
前記管理サーバが、前記端末装置から前記プログラムの転送要求を受信するステップと、
前記管理サーバが、それぞれ異なる仮のネットワーク物理アドレスごとに対応したプログラムを記憶したプログラムデータベースから、前記プログラムの転送要求に付随した前記端末装置の前記仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを検索抽出するステップと、
前記管理サーバが、検索抽出された前記プログラムを前記端末装置へ送信するステップと、
前記端末装置が、前記通信手段を介して前記管理サーバから前記仮のネットワーク物理アドレスに対応したプログラムを受信するステップと、
前記端末装置が、前記管理サーバから受信した前記プログラムを不揮発性記憶手段に格納するステップと
を備えることを特徴とするプログラム及びネットワーク物理アドレスの設定方法。
【請求項10】
前記端末装置が、前記不揮発性記憶手段へ正常に前記プログラムが格納されたか否かを判定するステップと、
前記端末装置が、前記不揮発性記憶手段へ正常に前記プログラムが格納されると、正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を前記管理サーバに送信するステップと、
前記端末装置が、前記管理サーバから送信されてきた前記正式のネットワーク物理アドレスを受信するステップと、
前記端末装置が、前記アドレス受信手段が受信した前記正式のネットワーク物理アドレスを前記通信手段に設定するステップと、
前記管理サーバが、前記正式のネットワーク物理アドレスの転送要求を前記端末装置から受信するステップと、
前記管理サーバが、前記端末装置へ前記正式のネットワーク物理アドレスを送信するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のプログラム及びネットワーク物理アドレスの設定方法。
【請求項11】
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されなかったときに、前記端末装置が、前記不揮発性記憶手段に書き込まれた前記プログラムを消去するステップと、
前記プログラムが前記不揮発性記憶手段へ正常に格納されなかったときに、前記端末装置が、前記プログラムの転送要求を前記管理サーバへ、再度、送信するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のプログラム及びネットワーク物理アドレスの設定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−171887(P2010−171887A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14523(P2009−14523)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】