説明

プロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法

【課題】調光装置の過熱を防止するとともに、効率的な制御を行うことが可能なプロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法を提供する。
【解決手段】ランプ2が発した光を変調して投射するプロジェクター11は、画像ソースから画像を取得する表示制御部103Bと、取得された画像に基づいて、ランプ2が発した光を変調する光変調装置32と、ランプ2から射出される光量を減光する調光装置30と、取得された画像に基づいて、調光装置30による調光制御を行う調光制御部103Cとを備え、調光制御部103Cは、プロジェクター11の動作状態または表示制御部103Bにより取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合に、調光制御の実行を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を投射するプロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源の放射光を変調して投射面に投射するプロジェクターにおいて、ダイナミックレンジを拡大してより高画質の画像を投射するため、投射する画像に応じて、光を変調するライトバルブに入射する光量を変化させるものが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1記載の構成では、光量を調節する調光装置として、光源の前方に可動式の遮光板を配置し、放射光の一部を遮ることで光量の調節を可能としている。ところが、調光状態が長く続くと光の吸収や散乱によって遮光板が過熱される可能性がある。その対策として、例えば特許文献1記載の構成では、遮光板を冷却する冷却装置を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−362820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光源が高出力である場合や調光装置と光源とが近接している場合など、冷却装置による冷却が間に合わないことも想定され、大きな冷却能力を確保する必要があった。さらに、調光装置の温度に応じて冷却能力を制御する必要も生じ、制御が複雑になるという問題もあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、調光装置の過熱を防止するとともに、効率的な制御を行うことが可能なプロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、光源が発した光を変調して投射するプロジェクターであって、画像ソースから画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された画像に基づいて前記光源が発した光を変調する変調手段と、前記光源から射出される光量を減光する調光機構と、前記画像取得手段により取得された画像に基づいて、前記調光機構による調光制御を行う調光制御手段と、を備え、前記調光制御手段は、当該プロジェクターの動作状態または前記画像取得手段により取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合に、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする。
本発明によれば、予め設定された条件に該当する場合に調光制御の実行を停止するので、例えば調光制御を行う必要がない場合に不要な調光制御を省き、調光機構の過熱を防止するとともに、処理効率の向上を図ることができる。
【0006】
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記調光制御手段は、当該プロジェクターの動作状態または前記画像取得手段により取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合に、前記調光制御の実行を停止し、かつ、前記光源から射出される光量を減光しないよう前記調光機構を制御することを特徴とする。
本発明によれば、調光制御を停止する際に、調光機構の温度が上昇しない状態とすることで、より確実に調光機構の過熱を防止できる。
【0007】
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記調光制御手段は、前記調光機構が所定の調光状態を継続した場合に、前記調光機構による減光レベルを低下させる制御を行うことを特徴とする。
ここで、減光レベルとは調光機構により光量を減光させる程度を指し、減光レベルが大きいほど光量が大きく減光させることになる指標であり、具体的な減光レベルの指標はどのようなものであってもよい。
本発明によれば、減光レベルを低下させることにより調光機構の過熱を防止できる。
【0008】
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記画像取得手段は、外部の装置から入力される画像を取得するものであり、前記調光制御手段は、前記外部の装置からの画像の入力が停止した場合に、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする。
本発明によれば、入力される画像がなく調光を行う必要がない場合に、不要な調光制御を停止できる。
【0009】
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記光源が発した光を遮るシャッター機構を備え、前記調光制御手段は、前記シャッター機構により光が遮られる場合は、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする。
本発明によれば、シャッター機構によって光が遮られ、調光を行う必要が無い場合に、不要な調光制御を停止できる。
【0010】
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記調光機構は、前記変調手段によって光量を所定の光量以下に減光する場合に、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする。
本発明によれば、変調手段によって減光され、調光機構による調光を行う必要が無い場合に、不要な調光制御を停止できる。
【0011】
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記調光制御手段は、前記調光制御において前記調光機構による減光状態を少なくとも複数段階に変化させることを特徴とする。
本発明によれば、減光状態が徐々に変化するので、プロジェクターが投射する画像を見る人に奇異な印象を抱かせることなく調光制御を行うことができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、光源と、前記光源から射出される光量を減光する調光機構とを備え、前記光源が発した光を前記調光機構により減光して投射するプロジェクターの制御方法であって、画像ソースから画像を取得し、取得した画像に基づいて前記光源が発した光を変調し、取得した画像に基づいて前記調光機構による調光制御を行い、前記プロジェクターの動作状態または前記画像取得手段により取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合には、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする。
本発明によれば、予め設定された条件に該当する場合に調光制御の実行を停止するので、例えば調光制御を行う必要がない場合に不要な調光制御を省き、調光機構の過熱を防止するとともに、処理効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率よく、調光による部材の過熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るプロジェクターが備える照明装置の側面図及び平面図である。
【図2】プロジェクター及び画像供給装置を含むプロジェクションシステムの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図4】調光装置の強制開放制御に係る設定項目の具体例を示す図表である。
【図5】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図6】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図7】強制開放制御を行わない場合の調光装置の温度変化の例を示す図表である。
【図8】強制開放制御を実行した場合の調光装置の温度変化の例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用したプロジェクターが備える投射部3の構成を示す要部平面図である。
この図1に示すように、プロジェクター11は光源としてのランプ2を備え、このランプ2が発した光を、液晶ライトバルブ39によって変調してスクリーンSC(図2)に投射する。ランプ2は、例えばメタルハライドランプや高圧水銀ランプ等の高輝度ランプにより構成され、図中に示す赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを含む光Lw(以下、これらの各光を区別しないときには「光L」ともいう)を射出する。
【0016】
プロジェクター11は、一対のレンズアレイ21a,21b、重畳レンズ22、調光装置30、液晶ライトバルブ39r,39g,39b(以下、区別しないときには「液晶ライトバルブ39」ともいう)、ダイクロイックミラー34r,34b、反射ミラー35a〜35d、リレーレンズ36、プリズム37および投射レンズ38を備えている。レンズアレイ21aは、光源ランプからの光束を複数の部分光に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸と直交する面内に所定のピッチ(配列ピッチ)Pでマトリクス状に配列される複数の光学素子(図示略)を備えて構成されている。レンズアレイ21bは、レンズアレイ21aにより分割された複数の部分光束の発散角を調節する光学素子であり、レンズアレイ21aと同様に照明光軸と直交する面内にマトリクス状に配列される複数の光学素子(図示略)を備えて構成されている。
【0017】
重畳レンズ22は、一対のレンズアレイ21a、21bを経た複数の部分光束を集光して液晶ライトバルブ39の画像形成領域上に重畳させる。
また、プロジェクター11は、ランプ2が発した光Lのうち液晶ライトバルブ39に入射す光量の調整(以下、「調光」ともいう)を行う調光装置30を備えている。調光装置30(調光機構)は、いわゆる可変絞り装置であり、光を遮る遮光板30aと、この遮光板30aを移動させる移動部30bとを備えている。調光装置30は、後述する調光装置駆動部116(図2)によって移動部30bが、両レンズアレイ21a,21bの間において光学素子のピッチ単位で遮光板30aを互いに近接する方向に移動させることにより、光Lの一部または全部を遮光する。これにより、液晶ライトバルブ39に入射する光Lの光量の調整(以下、「調光」ともいう)が行われ、ランプ2が放射する光が所定の光量まで減光される。
【0018】
本実施形態では、調光装置30による調光の程度(減光レベル)を示す指標として、残光率を用いる。調光装置30の遮光板30aを光Lの光路から最大限退避させて液晶ライトバルブ39に入射する光量を最大にした状態を、残光率100%とする。調光装置30によって調光を行う場合、残光率100%の状態の光量に対する調光後の光量を、残光率で表す。残光率が高いほど調光装置30を透過する光量が多く、残光率が低いほど透過光量が少ないことになる。なお、残光率100%の場合の光量、及び、残光率0%の場合の光量は遮光板30aの位置や移動部30bの仕様等によって決まるものであり、具体的な光量に制限はない。例えば、残光率0%の場合の光量がゼロでなくても本発明の適用に支障は無い。
【0019】
液晶ライトバルブ39r,39g,39bは、後述する光変調装置駆動部119により駆動されて画像を表示し、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを透過させることにより、表示画像に基づいて各色光Lr,Lg,Lbを変調する。ダイクロイックミラー34r,34b、反射ミラー35a〜35dおよびリレーレンズ36は、光Lの光路内に配設されて各液晶ライトバルブ39に光Lを入射させる。この場合、ダイクロイックミラー34rは、赤色光Lrを透過させ、緑色光Lgおよび青色光Lbを反射させる。また、ダイクロイックミラー34bは、青色光Lbを透過させ、緑色光Lgを反射させる。また、反射ミラー35a〜35dは、光Lを反射(全反射)させる。したがって、液晶ライトバルブ39rには光Lwのうちの赤色光Lrだけが入射し、液晶ライトバルブ39gには光Lwのうちの緑色光Lgだけが入射し、液晶ライトバルブ39bには光Lwのうちの青色光Lbだけが入射する。プリズム37は、各液晶ライトバルブ39r,39g,39bによって変調された赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを合成する。投射レンズ38は、プリズム37で合成された光(投射光Lp)を拡大してスクリーンSCに投射する。
【0020】
また、投射レンズ38の前方には、投射レンズ38から射出される光を遮断するレンズシャッター42(シャッター機構)が配置されている。レンズシャッター42は手動により図中矢印方向にスライド可能に配置され、通常、プロジェクター11の投射時には完全に開放され、投射終了後に閉鎖される。プロジェクター11は、レンズシャッター42が閉じられたことを検出するシャッター検出部43を備え、投射中にレンズシャッター42が閉じられたことを検出した場合には、ランプ2を消灯または減光する制御を行う。
【0021】
図2は、画像供給装置5及びプロジェクターを含むプロジェクションシステム10の機能的構成を示すブロック図である。
プロジェクター11は、パーソナルコンピューターや各種画像プレーヤー等の外部の画像供給装置(図示略)にI/F(インターフェース)101を介して接続され、これらの画像供給装置から入力される入力画像をスクリーンSCに投射する。I/F101は、例えば、USBインターフェース、有線または無線LANインターフェース、アナログ映像信号が入力されるVGA端子、デジタル映像信号が入力されるDVI(Digital Visual Interface)、NTSC、PAL、SECAM等のコンポジット映像信号が入力されるS映像端子、コンポジット映像信号が入力されるRCA端子、コンポーネント映像信号が入力されるD端子、HDMI(登録商標)規格に準拠したHDMIコネクター等を備え、上記の端子やコネクターを介して信号を入出力するインターフェース回路を備えていてもよい。上記の画像供給装置としては、ビデオ再生装置、DVD再生装置、テレビチューナー装置、CATVのセットトップボックス、ビデオゲーム装置等の画像出力装置、PC(Personal Computer)等が挙げられる。
プロジェクター11は、静止画像および動画像(映像)のいずれであっても表示可能である。また、スクリーンSCは、例えばほぼ直立して設置された矩形形状のスクリーンであり、プロジェクター用のスクリーンのほか、壁面をスクリーンSCとすることも可能である。
【0022】
また、プロジェクター11は、外部の装置としての画像供給装置5に接続される外部機器I/F48を備えている。外部機器I/F48は、画像供給装置5専用のインターフェースとして設けられ、画像供給装置5が備える外部I/F59に適合する専用のコネクターを有する。この外部機器I/F48に画像供給装置5から画像データが入力されると、制御部103は、後述する入力画像検出部103A及び表示制御部103Bの機能によって、入力された画像データを取得し、I/F101から入力される画像データと同様に画像処理部107によって画像処理を行い、この画像データに基づく画像を投射部3によってスクリーンSCに投射する。
【0023】
画像供給装置5は、例えば携帯型のメディアプレーヤーとして構成され、内部に記憶している画像や、画像供給装置5が外部の装置から取得した画像をプロジェクター11に供給する機能を備えている。具体的な例としては、画像供給装置5は、オーディオ・ビデオプレーヤーのほか、携帯電話機能を備えたものであってもよい。
【0024】
画像供給装置5は、所定のプログラムを実行して画像供給装置5の各部を制御するCPU、CPUが実行する基本制御プログラムや基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶したROM、及び、CPUが実行するプログラムやデータを一時的に記憶するRAM等を備えた制御部51と、制御部51が実行するアプリケーションプログラム等を記憶する記憶部52と、制御部51の制御に従って各種画面を表示パネル56に表示する表示部57と、画像供給装置5の本体に設けられた各種操作子からなるスイッチ部54及び表示パネル56の表面に重畳配置されてタッチ操作を検出するタッチスクリーン55に接続され、これらスイッチ部54及びタッチスクリーン55に対する入力操作を検出する操作検出部53と、制御部51の制御に従って無線通信回線を介して、他のパーソナルコンピューターやプロジェクター11等の外部の装置との間で各種データを送受信する無線通信部58と、プロジェクター11に対してデジタル画像データを出力する外部I/F59とを備え、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。
【0025】
画像供給装置5は、操作検出部53が検出した操作に従って動作を開始し、この操作により指定されたアプリケーションプログラムを実行し、例えば、画像ビューワープログラムの機能によって、記憶部52に記憶している画像データ52Bを再生表示する。ここで、画像供給装置5は、動画像または静止画像である画像データ52Bを、表示部57の機能により表示パネル56上に画像を表示するとともに、この表示パネル56に表示されている画面と同じ画面を表示するための画像データをプロジェクター11に送信する。
【0026】
また、画像供給装置5は、無線通信部58によって画像データ及び制御情報をプロジェクター11に送信することも可能であるが、本実施形態では外部I/F59から画像データを出力する例について説明する。
記憶部52は、制御部51が実行する制御プログラム52A、及び、画像供給装置5が処理する画像データ52B等の各種データを、制御部51のCPUが読み取り可能な態様で記憶する。さらに、画像供給装置5が静止画像や動画像の撮影機能を備えている場合、記憶部52は、撮影された撮影画像データを記憶してもよい。
【0027】
画像供給装置5は、記憶部52に記憶している制御プログラム52Aを実行することにより、プロジェクター11に画像を出力する画像出力部51A、外部の装置との間の通信を制御する通信制御部51B、表示パネル56における表示を制御する表示制御部51Cとして機能する。
画像出力部51Aは、外部I/F59を介してプロジェクター11に接続されたことを検出した後、操作検出部53の操作によって選択された画像データ52B、または、通信制御部51Bによって外部の装置から取得した画像データを表示するためのデータを生成し、外部I/F59を介してプロジェクター11に出力する。ここで、画像出力部51Aは、画像データ52Bまたは外部の装置から取得した画像データの解像度、フレームレート、色調、データフォーマット等をプロジェクター11に合わせて調整あるいは変換する処理を実行することも可能である。また、画像出力部51Aは、外部I/F59がプロジェクター11から取り外されたことを検出すると、外部I/F59からのデータの出力を停止する。
【0028】
プロジェクター11は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う投射部3(画像表示手段)と、この投射部3に入力される表示信号を電気的に処理する画像処理系とからなる。投射部3は、照明装置31、変調手段としての光変調装置32、及び投射光学系33から構成されている。
照明装置31は、光源として上記のランプ2を備えている。照明装置31が備える光源としては、ランプ2のほか、LED(Light Emitting Diode)等を用いることもできる。照明装置31は、ランプ2の他に、上述した一対のレンズアレイ21a、21b、重畳レンズ22、調光装置30を備えている。また、照明装置31は、ランプ2及び調光装置30に対して外気を吹き付けることにより、ランプ2及び調光装置30を冷却する冷却ファン25を備えている。冷却ファン25はランプ2及び調光装置30の近傍に設置してもよいし、ランプ2及び調光装置30に送風する送風路が形成されている場合には、この送風路に連通する位置に設けてもよい。また、冷却ファン25を、ランプ2を含む各部に電源を供給する電源回路部(図示略)に対しても送風するように配置してもよい。
【0029】
調光装置30は調光装置駆動部116に接続され、この調光装置駆動部116が移動部30b(図1)を駆動することにより、遮光板30a(図1)を光Lの光路上に進退させる。冷却ファン25には、冷却ファン25に駆動電流を供給する冷却ファン駆動部118が接続され、この駆動電流に応じた回転数で冷却ファン25が回転する。冷却ファン駆動部118は、冷却ファン25に供給する駆動電流を制御することで、冷却ファン25の回転数を少なくとも2段階以上に切り替えることができる。また、ランプ2には、ランプ2の点灯制御を行う光源駆動部117が接続され、光源駆動部117は制御部103の制御に従ってランプ2を点灯/消灯させる。
【0030】
光変調装置32は、調光装置30が発した光を変調するための構成を有し、図1に示したように、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネルからなる液晶ライトバルブ39を備え、この液晶ライトバルブ39により変調された変調光が投射光学系33に放射される。なお、光変調装置32が光を変調する構成は、3枚の透過型液晶パネルを用いた液晶ライトバルブ39の構成に限らず、例えば3枚の反射型の液晶パネルを用いることも可能であるし、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成することも可能である。光変調装置32が1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、図1に示したダイクロイックミラー34r,34b及びプリズム37等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
【0031】
投射光学系33は、投射する画像の拡大・縮小および焦点の調整を行う投射レンズ38(図1)と、この投射レンズを駆動してズームの度合いを調整するズーム調整用モーター(図示略)及びフォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター(図示略)等を備えている。投射光学系33は、光変調装置32で変調された入射光を、投射レンズ38を用いてスクリーンSC(表示面)上に投射し、結像させる。投射光学系33には、制御部103の制御に従って投射光学系33が備える各モーターを駆動する投射光学系駆動部121が接続されている。
【0032】
画像処理系は、プロジェクター11全体を統合的に制御する制御部103を中心に構成され、制御部103が処理するデータや制御部103が実行する制御プログラム105Aを記憶した記憶部105、操作パネル45及びリモコン受光部41を介した操作を検出する入力処理部123、I/F101に入力された画像データを処理する画像処理部107、及び、画像処理部107から出力される表示信号に基づいて光変調装置32の液晶ライトバルブ39を駆動する光変調装置駆動部119を備えている。
【0033】
制御部103は、記憶部105に記憶された制御プログラム105Aを読み出して実行することにより、プロジェクター11の各部を制御する。制御部103は、入力処理部123から入力される操作信号に基づいて、ユーザーが行った操作の内容を検出し、この操作に応じて画像処理部107、調光装置駆動部116、光源駆動部117、冷却ファン駆動部118、光変調装置駆動部119、投射光学系駆動部121及び光源駆動部117を制御して、スクリーンSCに画像を投射させる。
【0034】
プロジェクター11の本体には、ユーザーが操作を行うための各種スイッチ及びインジケーターランプを備えた操作パネル45が配置されている。操作パネル45は入力処理部123に接続されており、入力処理部123は、制御部103の制御に従い、プロジェクター11の動作状態や設定状態に応じて操作パネル45のインジケーターランプを適宜点灯或いは点滅させる。この操作パネル45のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応する操作信号が入力処理部123から制御部103に出力される。
また、プロジェクター11は、ユーザーが使用するリモコン(図示略)を有する。リモコンは各種のボタンを備えており、これらのボタンの操作に対応して赤外線信号を送信する。プロジェクター11の本体には、リモコンが発する赤外線信号を受光するリモコン受光部41が配置されている。リモコン受光部41は、リモコンから受光した赤外線信号をデコードして、リモコンにおける操作内容を示す操作信号を生成し、制御部103に出力する。
【0035】
制御部103は、I/F101または外部機器I/F48を介して入力される画像の状態を検出する入力画像検出部103Aと、I/F101または外部機器I/F48から入力された画像データを取得して、画像処理部107、光源駆動部117、光変調装置駆動部119、及び投射光学系駆動部121を制御して、取得した画像データに基づく画像を投射する表示制御部103B(画像取得手段)と、調光装置駆動部116による調光状態を制御する調光制御部103C(調光制御手段)とを備えている。
【0036】
調光制御部103Cは、表示制御部103Bが取得した画像データの内容に基づいて調光装置30の調光状態を制御し、画像データのフレーム毎に輝度分布を算出し、この輝度分布に基づいて、液晶ライトバルブ39の階調範囲を最大限に活用して当該フレームを投写できるように光Lの光量を調整する。例えば、全体的に輝度が高いフレームについては減光レベルを小さく設定し、調光装置30によって光Lの光量を多くすることで、このフレーム中の暗部が潰れないように正確な階調で表示できるようにし、輝度の低いフレームについては減光レベルを大きくし、光Lの光量を少なくすることで、液晶ライトバルブ39の階調範囲を最大限に活用して正確な階調による表示を実現する。このように、高品位の投射画像を得るために調光装置30によって光量を調整する制御を、可変絞り制御(調光制御)と呼ぶ。
【0037】
画像処理部107は、制御部103の制御に従って、I/F101または外部機器I/F48を介して入力された画像データに基づいて表示信号を生成し、光変調装置駆動部119に出力する。光変調装置駆動部119は、画像処理部107から入力される表示信号に基づいて、光変調装置32を駆動する。これにより、画像供給装置5より入力されたデジタル画像データが画像処理部107によって処理され、処理された画像データに基づいて駆動された光変調装置32によって光Lが画像光に変調され、この画像光が投射光学系33を介して、スクリーンSC上に投射画像として投射される。
【0038】
また、制御部103は、リモコン(図示略)が備えるAVミュートキー(図示略)の操作をリモコン受光部41により検出した場合、及び、操作パネル45が備えるAVミュートキー(図示略)の操作を検出した場合に、スクリーンSCへの画像の投射を停止するAVミュート機能を有する。このAVミュート機能の実行時、制御部103は画像処理部107を制御して、黒一色の画像が投射されるように光変調装置駆動部119へ出力する表示信号を制御する。このため、調光装置30が発した光はほぼ液晶ライトバルブ39において遮断され、スクリーンSCには何も写らない状態となる。制御部103は、上記のAVミュートキーを再び押下するなどの解除操作が行われるとAVミュート機能を停止し、通常の画像投射状態に復帰する。
制御部103は、シャッター検出部43によってレンズシャッター42が閉じたことを検出した場合にも、上述したAVミュートキーの操作時と同様に、AVミュート機能を実行する。この場合、制御部103は、シャッター検出部43がレンズシャッター42の閉鎖を検出するとAVミュート機能を開始し、シャッター検出部43の検出状態の変化によりレンズシャッター42が開いたことを検知した場合にAVミュート機能を停止して、通常の画像投射状態に復帰する。
【0039】
このように構成されるプロジェクター11において、可変絞り制御を実行して調光装置30の減光レベルを高くしている状態、すなわち遮光板30aが光Lの光路に大きく張り出している状態では、遮光板30aがランプ2の光のエネルギーを多く受けて高温になりやすい。このような状態が長時間継続すると、調光装置30の過熱を招く可能性がある。そこで、プロジェクター11は、調光制御部103Cの機能により、可変絞り制御の実行中に調光装置30が過熱しないように、所定の条件に基づいて、調光装置30を強制的に開放状態にする強制開放制御を行う。
【0040】
この強制開放制御では、調光制御部103Cが、可変絞り制御によって光Lの光路に進出している遮光板30a(図1)を、画像データの輝度分布等にかかわらず光路から退出させて、調光装置30の温度上昇を回避する。この強制開放制御の実行中は、上述したように画像データに基づいて設定された減光レベルから、徐々に減光レベルを低くする制御が行われる。具体的には、遮光板30aが光Lの光路から徐々に、少なくとも複数の段階を経て退出するよう制御され、最終的に遮光板30aが光路から完全に退出し、残光率が100%(遮光板30aが完全に光Lの光路から退出する状態)となる。ここで遮光板30aが徐々に退出することで、スクリーンSC上の投射画像の輝度が徐々に変化するので、見ている人に奇異な印象を抱かせずに強制開放制御を行えるという利点がある。また、この強制開放制御の実行時に、調光装置30の減光レベルの変化に合わせて、画像処理部107及び光変調装置駆動部119を制御し、液晶ライトバルブ39に出力される画像信号が表す画像の階調を補正してもよい。この場合、調光装置30の残光率が向上するのに合わせて、液晶ライトバルブ39に出力される画像信号が表す画像の階調を暗くし、最終的にスクリーンSCに投射される画像の全体的な輝度をほとんど変化させないようにすることができる。この場合、投射画像中の細かい階調表現において品位の低下が発生する可能性があるが、投射画像全体の明るさが大幅に変わってしまうことがなく、画像の投射を継続しながら調光装置30の過熱を防止できる。
【0041】
図3、図5及び図6は、プロジェクター11の動作を示すフローチャートであり、特に、可変絞り制御及び強制開放制御に係る動作を示す。
調光制御部103Cは、可変絞り制御の実行状態を確認し(ステップS11)、入力処理部123によって可変絞り制御の終了を指示するユーザーの操作を検出したか否かを判別する(ステップS12)。可変絞り制御の終了を指示するユーザーの操作が無ければ(ステップS12;No)、調光制御部103Cは記憶部105に格納された設定データ(図示略)を参照し、強制開放制御が有効に設定されているか否かを判別する(ステップS13)。
【0042】
ここで、強制開放制御に関する設定項目について説明する。
図4は、強制開放制御に係る設定項目の例を示す図であり、これらの設定項目に対する設定値は、記憶部105に設定データとして記憶される。
図4に例示する設定項目のうち、強制開放制御の有効/無効フラグは、プロジェクター11における強制開放制御そのものの実行の可否を設定する項目であり、フラグが0(FALSE)に設定されている場合は、調光制御部103Cは強制開放制御を行わない。
入力信号の輝度レベルの閾値は、外部機器I/F48及びI/F101からの画像の入力の有無を判定する閾値である。入力画像検出部103Aは、画像が入力されているか否かを、入力されている信号の輝度レベルが図4に示す閾値以上であるか閾値未満であるかに基づいて判定する。輝度レベルは、輝度が最大の入力信号の輝度レベルを100%として設定される。
【0043】
絞り閉時間タイマーのタイムアウト時間は、可変絞り制御を開始してから強制開放制御に移行するまでの制限時間に相当する。すなわち、調光制御部103Cは、可変絞り制御を開始してから絞り閉時間タイマーのカウントを開始し、カウント値がタイムアウト時間に達すると、調光装置30の過熱を防止するため強制開放制御に移行する。この絞り閉時間タイマーのタイムアウト時間は、調光装置30の温度が、遮光板30aの損傷等が懸念されるような温度にならない範囲で設定されることが好ましい。
強制開放時間タイマーのタイムアウト時間は、強制開放制御を実行する制限時間に相当する。調光制御部103Cは、強制開放制御を開始してから強制開放時間タイマーのカウントを開始し、カウント値がタイムアウト時間に達すると強制開放制御を終了して可変絞り制御に復帰する。この強制開放時間タイマーのタイムアウト時間は、可変絞り制御によって高温になった調光装置30が冷却されるのに要する時間を考慮して設定されることが好ましい。より具体的には、この強制開放時間タイマーのタイムアウト時間が経過した後で可変絞り制御を開始し、上記の絞り閉時間タイマーのタイムアウト時間以内に調光装置30の温度が遮光板30aの損傷等が懸念されるような温度にならない範囲で設定されることが好ましい。
【0044】
また、通常時の絞り開方向の変化量、及び、通常時の絞り閉方向の変化量は、可変絞り制御の実行時に遮光板30aを移動させる移動速度を定める設定値である。本実施形態では、移動部30bはステッピングモーターによって遮光板30aを移動させるので、通常時の絞り開方向の変化量は上記ステッピングモーターの1秒あたりのステップ数で設定される。図4の例では、遮光板30aを光Lの光路に進出させる方向(絞り閉方向)の変化量と遮光板30aを光Lの光路から退出させる方向(絞り開方向)の変化量とを個別に設定可能となっている。
強制開放時の絞り開方向の変化量、及び、強制開放復帰時の絞り閉方向の変化量は、強制開放制御の実行時に遮光板30aを移動させる移動速度を定める設定値であり、通常時の変化量と同様に上記ステッピングモーターの1秒あたりのステップ数で設定される。図4の例では、遮光板30aを光Lの光路に進出させる方向(絞り閉方向)の変化量と遮光板30aを光Lの光路から退出させる方向(絞り開方向)の変化量とを個別に設定可能となっている。ステッピングモーターを用いることにより、1ステップ単位で遮光板30aが移動されるので、強制開放制御においては上述したように残光率を徐々に変化させることができる。
これら図4に例示した設定値を格納した設定データに基づいて、図3の動作が実行される。
【0045】
図3のステップS13で、強制開放制御が有効に設定されている場合(ステップS13;Yes)、調光制御部103Cは、画像処理部107が光変調装置駆動部119に出力する表示信号の輝度を測定し(ステップS14)、可変絞り制御を実行して、測定した輝度に対応して調光装置30の残光率を求めて調光装置30を駆動する(ステップS15)。
ここで、調光制御部103Cは、測定した輝度が予め設定された規定値以下であるか否かを判別する(ステップS16)。表示する画像の輝度が低い場合には調光装置30の残光率が低く、調光装置30によって多くの光を遮る必要がある。これに対し、輝度が高い場合は、残光率が高く、調光装置30による調光を長時間継続しても過熱が懸念されないことがある。ステップS16では、表示する画像の輝度が調光装置30の過熱を招かない程度であるか、過熱を回避するための制御が必要であるかを、規定値に基づいて判定する。この規定値は、例えば、調光装置30による残光率が40%以下となる場合に相当する値である。
そして、表示する画像の輝度が規定値以下の場合(ステップS16;Yes)、調光制御部103Cは過熱を回避する制御を行うため、絞り閉時間タイマーが停止しているか否かを判別し(ステップS17)、絞り閉時間タイマーが停止中であれば(ステップS17;Yes)、カウントを開始する(ステップS18)。また、絞り閉時間タイマーがカウント中であれば(ステップS17;No)、そのままカウントを実行する。この絞り閉時間タイマーは、制御部103を構成するCPUの機能により実現される。
【0046】
その後、調光制御部103Cは、絞り閉時間タイマーのカウント値が、記憶部105に記憶された設定データにより定められるタイムアウト時間に達したか否かを判別し(ステップS19)、タイムアウト時間に達していない場合は(ステップS19;No)、絞り閉時間タイマーのカウントを継続して、1つのカウント値に相当する時間だけ待機して、ステップS11に戻る。
また、表示する画像の輝度が規定値より高輝度の場合には(ステップS16;No)、過熱を回避する制御が必要ないので、調光制御部103Cは絞り閉時間タイマーのカウントを停止してカウント値をリセットし(ステップS21)、ステップS11に戻る。
【0047】
これに対し、絞り閉時間タイマーのカウント値がタイムアウト時間に達した場合(ステップS19;Yes)、調光制御部103Cは強制開放制御を開始し、調光装置30を徐々に開いて残光率が100%の位置まで遮光板30aを移動させる(ステップS22)。この動作において、調光制御部103Cは、移動部30bのステッピングモーターを、数ステップずつ段階的に移動させてもよいし、ゆっくりと連続して移動させてもよい。
調光制御部103Cは絞り閉時間タイマーを停止し(ステップS23)、強制開放時間タイマーのカウントを開始する(ステップS24)。そして、強制開放時間タイマーをカウントアップして1つのカウント値に相当する時間だけ待機し(ステップS25)、強制開放時間タイマーのカウント値が、記憶部105に記憶された設定データにより定められるタイムアウト時間に達したか否かを判別する(ステップS26)。
ここで、強制開放時間タイマーがタイムアウト時間に達していない場合(ステップS26;No)、調光制御部103CはステップS25に戻ってカウントを継続し、強制開放時間タイマーがタイムアウト時間に達した場合(ステップS26;Yes)、この強制開放時間タイマーのカウントを停止してカウント値をセットし(ステップS27)、調光装置30を強制開放制御前の状態に復帰させる(ステップS28)。すなわち、調光制御部103Cは、調光装置30の遮光板30aを、表示する画像の輝度に対応した残光率となる位置まで移動させる。この復帰の制御を行った後、調光制御部103CはステップS11に戻る。
【0048】
また、入力処理部123によって可変絞り制御の終了を指示するユーザーの操作を検出した場合(ステップS12;Yes)、調光制御部103Cは、調光装置30を開放位置、すなわち残光率100%となる位置まで移動させ(ステップS29)、絞り閉時間タイマーのカウントを停止してカウント値をリセットし(ステップS30)、本処理を終了する。さらに、強制開放制御の無効フラグが設定されている場合には(ステップS13;No)、ステップS30に移行して、絞り閉時間タイマーのカウントを停止してカウント値をリセットし、本処理を終了する。
【0049】
このように、プロジェクター11は、可変絞り制御を行うことにより表示する画像の輝度に合わせて調光装置30を制御して、残光率を調整することで、高品位の画像を投射できる。そして、調光装置30の過熱が懸念されるような条件が成立した場合には、強制開放制御を行って、残光率が100%となる位置まで遮光板30aを移動させる。具体的には、残光率が所定以下(減光レベルが所定以上)の状態が、絞り閉時間タイマーのタイムアウト時間として設定された時間に達した場合に、強制開放制御を行う。これにより、調光装置30の過熱を回避できる。
【0050】
ところで、上述したAVミュートを行う場合、何も画像を投射しない場合、レンズシャッター42が閉じられた場合には、ランプ2が発した光が液晶ライトバルブ39またはレンズシャッター42によって遮られるので、調光装置30による可変絞り制御を行わなくても投射画像の品位に影響しない。そこで、プロジェクター11は、AVミュートを行う場合、外部機器I/F48またはI/F101から入力されている画像の入力が無くなった場合、及び、レンズシャッター42が閉じられた場合には、可変絞り制御を停止し、調光装置30を残光率100%の完全開放状態とする。これにより、調光装置30の過熱を確実に防止でき、また、不要な可変絞り制御に伴う演算処理を省いて処理の効率化を図ることができる。
【0051】
図5は、レンズシャッター42が閉じられた場合、AVミュートの開始が指示された場合、及び、外部機器I/F48またはI/F101を介した画像の入力が停止した場合の動作を特に示している。
シャッター検出部43がレンズシャッター42の閉鎖を検出したとき、AVミュートを指示する操作が行われ、液晶ライトバルブ39によってAVミュートを開始したとき、及び、入力画像検出部103Aが外部機器I/F48またはI/F101を介した画像の入力の停止(例えば、無信号状態への変化)を検出したときに、調光制御部103Cに対する割り込みが行われ、図5の動作が開始される。
【0052】
この図5の動作で、調光制御部103Cは、可変絞り制御の実行状態を確認し(ステップS41)、可変絞り制御を実行中か否かを判別する(ステップS42)。ここで、可変絞り制御の実行中であれば(ステップS42;Yes)、調光制御部103Cは、ステップS22(図3)と同様に、調光装置30を徐々に開いて残光率が100%の位置まで遮光板30aを移動させ(ステップS43)、本処理を終了する。この動作において、調光制御部103Cは、移動部30bのステッピングモーターを、数ステップずつ段階的に移動させてもよいし、ゆっくりと連続して移動させてもよい。また、可変絞り制御の実行中でなければ(ステップS42;No)、そのまま本処理を終了する。
【0053】
その後、レンズシャッター42が開かれた場合、AVミュートの終了が指示された場合、及び、外部機器I/F48またはI/F101を介した画像の入力が再開した場合には、調光制御部103Cは図6に示す動作を実行する。すなわち、図5の動作を実行後に、シャッター検出部43がレンズシャッター42の開放を検出したとき、AVミュートの終了を指示する操作が行われ、液晶ライトバルブ39によって通常の表示を開始したとき、及び、入力画像検出部103Aが外部機器I/F48またはI/F101を介した画像の入力の再開を検出したときに、調光制御部103Cに対する割り込みが行われ、図6の動作が開始される。この図6の動作で、調光制御部103Cは、可変絞り制御の実行状態を確認し(ステップS45)、図5のステップS42で可変絞り制御を実行中であったか否かを判別する(ステップS46)。可変絞り制御の実行中であって、この可変絞り制御を図5のステップS43で一時停止していた場合は(ステップS46;Yes)、調光制御部103Cは、図3に示す可変絞り制御を再開する。これに対し、可変絞り制御の実行中でなかった場合は(ステップS46;No)、本処理を終了する。
【0054】
図7は、強制開放制御を行わない場合の調光装置の温度変化の例を示す図表であり、図8は、強制開放制御を実行した場合の調光装置の温度変化の例を示す図表である。
なお、図7に示す温度変化は図8に対する対照例として、調光装置30が過熱する状態を無視した例を示したものであり、本願発明を適用していない装置や強制開放制御を無効に設定した装置において図7のような温度変化が実際に発生することを意味する図表ではない。
【0055】
強制開放制御を行わない場合、調光装置30の残光率が所定値以下となるような可変絞り制御を続けると、遮光板30aがランプ2の光Lのエネルギーを受けることで、調光装置30の温度が徐々に上昇する。特に、調光装置30が最大限に光Lを遮る全閉状態では、図7に示すように、時間の経過とともに調光装置30の温度が上昇し、調光装置30の過熱が懸念される警告温度Twに達する。その後もさらにランプ2が点灯を続け、可変絞り制御を継続すると、ついには調光装置30の損傷の懸念がある異常温度Taまで達してしまう可能性がある。
【0056】
これに対し、調光装置30の可変絞り制御の状態に応じて強制開放制御を行うと、図8に示すように、調光装置30の温度を警告温度Tw以下に保つことができる。すなわち、警告温度Twに達する前に絞り閉時間タイマーのカウント値がタイムアウト時間t1に達して、強制開放制御が行われ、強制開放時間タイマーのタイムアウト時間に達するまで、調光装置30が残光率100%の状態となって温度が低下する。このように、調光装置30の過熱を確実に回避することができる。
【0057】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係るプロジェクター11によれば、光源が発した光を変調して投射するプロジェクター11であって、外部機器I/F48またはI/F101を介して画像を取得する表示制御部103Bと、表示制御部103Bにより取得された画像に基づいて光源が発した光を変調する光変調装置32と、光源から射出される光量を減光する調光装置30と、表示制御部103Bにより取得された画像に基づいて、調光装置30による調光制御を行う調光制御部103Cと、を備え、調光制御部103Cは、当該プロジェクター11の動作状態または表示制御部103Bにより取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合に、調光制御の実行を停止する。これにより、予め設定された条件に該当する場合に調光制御の実行を停止するので、例えば調光制御を行う必要がない場合に不要な調光制御を省き、調光装置30の過熱を防止するとともに、処理効率の向上を図ることができる。
ここで、調光制御部103Cは、予め設定された条件として、表示制御部103Bが取得した外部の装置からの入力画像の入力が停止した場合、レンズシャッター42により光が遮られる場合、AVミュートを実行して光変調装置32によって光量を所定の光量以下に減光する場合に、調光制御を停止するので、調光を行う必要がない場合に、不要な調光制御を停止できる。
【0058】
また、調光制御部103Cは、調光制御の実行を停止する際に強制開放制御を行い、ランプ2が射出する光量を減光しないよう調光装置30を制御するので、より確実に調光装置30の過熱を防止できる。
さらに、調光制御部103Cは、調光装置30が、残光率が40%以下となるような調光状態を継続した場合に、調光装置30による減光レベルを低下させる強制開放制御を行い、調光装置30の過熱を防止できる。
【0059】
なお、上述した実施形態は本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記実施形態では、調光装置30が遮光板30aと移動部30bとを備え、移動部30bのステッピングモーターにより遮光板30aを進退させる構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、回転式のフラップ形状の遮光板を備え、この遮光板が回転することにより光Lの光路に張り出して、光を遮る構成とし、この遮光板の回転角度により残光率を制御する構成としてもよい。また、プロジェクター11は、スクリーンSCの正面側から画像を投射する構成であっても、透過型のスクリーンSCの背面側から画像を投射する構成であってもよい。
【0060】
さらに、上記各実施形態において記憶部105が記憶していた制御プログラム105Aや設定データ等を、可搬型の記録媒体に記憶した構成とすることも可能であるし、プロジェクター11に通信ネットワークを介して接続された他の装置が、当該装置からダウンロード可能に制御プログラム105Aや設定データを記憶した構成としてもよい。
また、図2に示したプロジェクションシステム10の各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクションシステム10の具体的な細部構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
2…ランプ(光源)、3…投射部、5…画像供給装置(外部の装置)、10…プロジェクションシステム、11…プロジェクター、25…冷却ファン、30…調光装置(調光機構)、30a…遮光板、30b…移動部、31…照明装置、32…光変調装置(変調手段)、33…投射光学系、38…投射レンズ、39…液晶ライトバルブ、42…レンズシャッター(シャッター機構)、43…シャッター検出部、48…外部機器I/F、51…制御部、52…記憶部、52A…制御プログラム、52B…画像データ、101…I/F、103…制御部、103A…入力画像検出部、103B…表示制御部(画像取得手段)、103C…調光制御部(調光制御手段)、105…記憶部、105A…制御プログラム、107…画像処理部、116…調光装置駆動部、117…光源駆動部、118…冷却ファン駆動部、119…光変調装置駆動部、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が発した光を変調して投射するプロジェクターであって、
画像ソースから画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された画像に基づいて、前記光源が発した光を変調する変調手段と、
前記光源から射出される光量を減光する調光機構と、
前記画像取得手段により取得された画像に基づいて、前記調光機構による調光制御を行う調光制御手段と、を備え、
前記調光制御手段は、当該プロジェクターの動作状態または前記画像取得手段により取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合に、前記調光制御の実行を停止すること、
を特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記調光制御手段は、当該プロジェクターの動作状態または前記画像取得手段により取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合に、前記調光制御の実行を停止し、かつ、前記光源から射出される光量を減光しないよう前記調光機構を制御することを特徴とする請求項1記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記調光制御手段は、前記調光機構が所定の調光状態を継続した場合に、前記調光機構による減光レベルを低下させる制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記画像取得手段は、外部の装置から入力される画像を取得するものであり、
前記調光制御手段は、前記外部の装置からの画像の入力が停止した場合に、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記光源が発した光を遮るシャッター機構を備え、
前記調光制御手段は、前記シャッター機構により光が遮られる場合は、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記調光機構は、前記変調手段によって光量を所定の光量以下に減光する場合に、前記調光制御の実行を停止することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記調光制御手段は、前記調光制御において前記調光機構による減光状態を少なくとも複数段階に変化させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のプロジェクター。
【請求項8】
光源と、前記光源から射出される光量を減光する調光機構とを備え、前記光源が発した光を前記調光機構により減光して投射するプロジェクターの制御方法であって、
画像ソースから画像を取得し、
取得した画像に基づいて前記光源が発した光を変調し、
取得した画像に基づいて前記調光機構による調光制御を行い、
前記プロジェクターの動作状態または前記画像取得手段により取得された画像の状態の少なくともいずれかが予め設定された条件に該当する場合には、前記調光制御の実行を停止すること、
を特徴とするプロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50523(P2013−50523A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187271(P2011−187271)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】