説明

プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法

【課題】ダイレクトオンモード設定されたプロジェクターが、短時間で商用電源の供給、遮断が行われたとき、次回起動時に警告する。
【解決手段】モード設定部21aにダイレクトオンモードが設定されている状態において、プロジェクター1の起動時に、電源遮断時刻31aから今回電源供給時刻31cまでの時間が時間T1以内の場合、または、前回電源供給時刻31bから電源遮断時刻31aまでの時間が時間T2以内の場合に、画像投写部10に警告メッセージM1、または警告メッセージM2を投写させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、商用電源(AC電源)などの電源から電力が供給されたとき(以下、「商用電源を供給する」と表記することもある。)に、当該プロジェクターの光源を点灯して投写を開始するモード(以降、「ダイレクトオンモード」と呼ぶ)を備えたものが知られている。このようなダイレクトオンモードを備えたプロジェクターによれば、商用電源を供給するだけで投写が開始されるため、電源キーによる電源オン操作が不要になる。よって、例えば、複数のプロジェクターを併用する場合や、プロジェクターを他の機器と併用して使用する場合等に、電源投入や電源切断をシステムとして一括して行うことが可能になるため、有効である。
【0003】
このようなダイレクトオンモードを備えたプロジェクターにおいて、瞬時停電などで商用電源が遮断し、すぐに電源が復帰して、電力の供給が再開された場合や、電源配線の接触不良などの不具合により、短時間の間に電力の供給、遮断が繰り返された場合、光源ランプに負荷がかかり、点灯異常や故障が発生したり、寿命に影響したりする虞があった。
【0004】
特許文献1には、ACオンスタート(ダイレクトオンモード)により起動された場合に、画像入力信号が無信号の状態が所定時間継続すると、光源ランプを消灯して待機状態に移行するパワーマネジメントモードを備えた画像表示装置(プロジェクター)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−72322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなプロジェクターにおいても、プロジェクターに常に画像信号が入力されているような設置環境では、無信号状態にならないのでパワーマネジメントモードにならない。これにより電源がオフされず、ダイレクトオンモード設定が継続しているため、電力が供給されるたびに起動してしまい、短時間の間に電力の供給、遮断が繰り返された場合、光源ランプに負荷がかかり故障が発生したり、ランプ寿命に影響したりする虞があるという問題は解決されなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写部を有するプロジェクターであって、電源から電力が供給されたときに前記光源を点灯して起動するダイレクトオンモード、または、前記電力が供給されたときに前記光源を点灯せずに待機状態に移行する通常モードのいずれかを設定可能なモード設定部と、当該プロジェクターに前記電力が供給された電源供給時刻、および当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断された電源遮断時刻を保存する時刻保存部と、時刻を計時し、前記時刻保存部に記録する計時部と、入力操作を受け付ける入力操作部と、当該プロジェクターの動作を制御する制御部と、を備え、前記計時部は当該プロジェクターに前記電力が供給されたとき、今回、及び前回の2回分の電源供給時刻を前記時刻保存部に保存し、前記計時部は、当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断されたとき、前記時刻保存部に前記電源遮断時刻を保存し、前記制御部は、前記モード設定部に前記ダイレクトオンモードが設定されている状態において、当該プロジェクターの起動時に、前記電源遮断時刻から前記今回電源供給時刻までの時間が第1の時間以内の場合、または、前記前回電源供給時刻から電源遮断時刻までの時間が第2の時間以内の場合に、前記画像投写部に警告メッセージを投写させることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、プロジェクターに対する電源からの電力の供給が遮断されてから、短時間の間に再度電力が供給された場合、及びプロジェクターに電源から電力が供給されてから、短時間の間に電源から遮断された(電力供給を遮断された)場合を検出し、次の起動時に警告メッセージを投写する。これによって、ユーザーに瞬時停電や電源配線の不具合などで短時間での電力供給、遮断が発生したことを通知し、対策を促すことが可能となるため、光源ランプにかかる負荷を低減することができ、故障の発生や、ランプ寿命への影響を低くする事ができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記制御部は、警告メッセージが表示されている状態において、所定時間内に所定の入力操作を検出しなかったら、前記モード設定部を前記通常モードに設定することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、プロジェクターが、電力を遮断されてから短時間の間に再度電力が供給された場合、及びプロジェクターに電力が供給されてから短時間の間に電源から遮断された場合を検出し、次の起動時に警告メッセージを投写した後、所定時間内に所定の操作を検出しなかった場合は、ダイレクトオンモードを解除し、通常モードに設定する。これにより、瞬時停電や電源配線の不具合による短時間での電力供給、遮断が発生し、ユーザーが警告メッセージに気がつかない場合でもダイレクトオンモードが解除されるので、次の電源からの電力供給によって、プロジェクターが起動してしまうのを回避することが可能になる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記制御部は、前記警告メッセージが表示されている状態において、所定時間内に所定の入力操作を検出しなかったら、前記モード設定部を前記通常モードに設定した後、当該プロジェクターの電源をオフすることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、プロジェクターが電源から遮断されてから、短時間の間に再度電源から電力が供給された場合、及びプロジェクターに電源から電力が供給されてから、短時間の間に電源から遮断された場合を検出し、次の起動時に警告を行った後、所定時間内に所定の操作を検出しなかったときには、ダイレクトオンモードを解除し、通常モードに設定するとともにプロジェクターの電源をオフする。これにより、瞬時停電や電源配線の不具合による短時間での電力供給、遮断が発生し、ユーザーが警告メッセージに気がつかない場合でもダイレクトオンモードが解除され、電源がオフされるので、瞬時停電や電源配線の不具合などの異常発生後、プロジェクターが投写され続け、ランプが消耗するのを回避することが可能になる。
【0014】
[適用例4]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写部を有するプロジェクターの制御方法であって、電源から電力が供給されたときに前記光源を点灯して起動するダイレクトオンモード、または、前記電力が供給されたときに前記光源を点灯せずに待機状態に移行する通常モードのいずれかを設定可能なモード設定部と、当該プロジェクターに前記電力が供給された電源供給時刻、および当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断された電源遮断時刻を保存する時刻保存部と、時刻を計時し、前記時刻保存部に記録する計時部と、当該プロジェクターの動作を制御する制御部と、を備え、当該プロジェクターに前記電力が供給されたとき、今回、及び前回の2回分の電源供給時刻を前記時刻保存部に保存する電源供給時刻保存ステップと、当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断されたとき、前記時刻保存部に前記電源遮断時刻を保存する電源遮断時刻保存ステップと、前記モード設定部に前記ダイレクトオンモードが設定されている状態において、当該プロジェクターの起動時に、前記電源遮断時刻から前記今回電源供給時刻までの時間が第1の時間以内の場合、または、前記前回電源供給時刻から電源遮断時刻までの時間が第2の時間以内の場合に、前記画像投写部に警告メッセージを投写させる投写ステップ、とを有することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、プロジェクターに対する電力の供給が遮断されてから短時間の間に再度電源から電力が供給された場合、及びプロジェクターに電力が供給されてから短時間の間に電力の供給が遮断された場合を検出し、次の起動時に警告メッセージを投写する。これによって、ユーザーに瞬時停電や電源配線の不具合などで短時間での電力供給、遮断が発生したことを通知し、対策を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】プロジェクターの回路構成を示すブロック図。
【図2】プロジェクターの動作を示すフローチャート。(a)は商用電源供給時、(b)は商用電源遮断時の動作を示す。
【図3】プロジェクターの警告メッセージ。(a)は警告メッセージM1、(b)は警告メッセージM2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、光源制御部22、入力操作部23、画像信号入力部5、画像信号処理部3、OSD処理部4、電源端子6、電源部7、計時部30、時刻保存部31等で構成されており、これらは図示しない筐体の内部に収容されている。
【0019】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bで変調し、投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0020】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R、12G、12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R、12G、12Bに入射する。
【0021】
液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R、12G、12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
液晶駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0022】
本実施形態では、光源11としてランプを用いて投写するプロジェクター1を例示したが、本発明は、光源としてLED(Light emitting diode)光源やレーザー光源などを用いて投写するプロジェクターにも適用することができる。
なお、本実施形態では、画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを用いた透過型液晶方式の投写光学系を例示したが、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式の光変調装置を採用しても良い。
【0023】
制御部20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピューターとして機能する。また、制御部20には、時間の計測を行うためのタイマー20aが備えられている。
【0024】
記憶部21は、フラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
本実施形態では設定データとして、モード設定部21aが記憶部21に保存される。モード設定部21aは、プロジェクター1に商用電源が供給されたときに光源11を点灯して起動するダイレクトオンモード、または、商用電源が供給されたときに光源11を点灯せずに待機状態に移行する通常モードのどちらに切り替えられているかを表す情報である。即ち、ダイレクトオンモードの設定が有効となっているか否かについての情報である。モード設定部21aは、制御部20によって設定される。
【0025】
入力操作部23は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための電源キーや、画像信号入力部5に入力される複数の画像入力端子を切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させるメニューキー、メニューからユーザーが設定項目を選択するカーソルキー、決定キー、エスケープキー等がある。ユーザーが入力操作部23の各種操作キーを操作すると、入力操作部23は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。
なお、入力操作部23は、リモートコントローラー(リモコン)信号受信部と遠隔操作が可能なリモートコントローラーを有した構成としてもよい。この場合、リモートコントローラーは、使用者の操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、リモコン信号受信部がこれを受信して制御情報として制御部20に伝達する。
【0026】
画像信号入力部5は、上述したように複数の画像入力端子を備えており、各画像入力端子より、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、外部の画像出力装置から、図示しないケーブルを介して画像情報が入力される。
【0027】
画像信号処理部3は、画像信号入力部5から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R、12G、12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過し射出する光の強弱(階調)が規定される。
【0028】
OSD処理部4は、制御部20の指示に基づいて、投写画像上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部4は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。
制御部20が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理部4は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像信号処理部3から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、液晶駆動部14に出力される。
なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部4は、画像信号処理部3から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動部14に出力する。
【0029】
液晶駆動部14は本実施形態における画像形成部であり、OSD処理部4から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0030】
電源部7には、AC100V等の商用電源が電源端子6を介して外部から供給される。電源部7は、例えば、商用電源など電源としての交流電源(AC電源)からの交流の電力を、所定の電圧の直流に変換して、プロジェクター1の各部に直流の電力を供給する。また、電源部7は、制御部20の指示に基づいて、画像の投写に必要な電力(動作電力)を各部に供給する状態(電源オン状態)と、動作電力の供給を停止して、電源をオンにするための操作を待機する状態(スタンバイ状態)とを切り替えることができる。以下では、「電力の供給」のことを「電源の供給」と表記することもある。
【0031】
計時部30は、図示しないバッテリー等でバックアップされるリアルタイムクロック等で構成され、電源部7に商用電源が供給されたか、または電源部7に対する商用電源の供給が遮断されたかを検出し、その時刻を時刻保存部31に記録する。
【0032】
時刻保存部31は、図示しないRAM等で構成され、計時部30と同様に図示しないバッテリーでバックアップされている。時刻保存部31には、プロジェクター1に対する商用電源の供給が遮断された時刻を示す電源遮断時刻31a、プロジェクター1に前回、商用電源が供給された時刻を示す前回電源供給時刻31b、及びプロジェクター1に今回、商用電源が供給された時刻を示す今回電源供給時刻31cが保存される。
【0033】
光源制御部22は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯及び消灯を切り替える。
【0034】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を図2のフローチャートを用いて説明する。
〔商用電源供給時の動作〕
図2(a)はプロジェクター1に商用電源(AC電源)が供給されたときの動作を示すフローチャートである。
図2(a)に示すように、プロジェクター1に、商用電源(AC電源)が供給されると(ステップS101)、計時部30は、今回電源供給時刻31cに保存されていた時刻を前回電源供給時刻31bに保存する(ステップS102)。次に、現在の時刻を今回電源供給時刻31cに保存し(ステップS103)、ステップS104に移行する。
【0035】
ステップS104において制御部20は、モード設定部21aにダイレクトオンモードが設定されているか否かを調べる。モード設定部21aにダイレクトオンモードが設定されている場合(ステップS104:Y)、ステップS105に移行する。モード設定部21aにダイレクトオンモードが設定されていない場合、即ち通常モードが設定されている場合(ステップS104:N)、スタンバイ状態に移行し(ステップS106)、本フローの動作を終了する。
【0036】
ステップS105において制御部20は、光源制御部22により光源11(光源ランプ11a)を点灯させ、プロジェクター1を起動(電源ON)させて、ステップS107に移行する。
【0037】
ステップS107において制御部20は、今回電源供給時刻31cと電源遮断時刻31aとの差が時間T1(例えば、2秒)以内かどうか調べる。差が時間T1以内の場合(ステップS107:Y)、警告メッセージM1を画像投写部10に投写させ(ステップS110)、ステップS111に移行する。このときの警告メッセージM1を図3(a)に示す。一方、差が時間T1より大きい場合(ステップS107:N)はステップS108に移行する。
【0038】
ステップS108において制御部20は、電源遮断時刻31aと、前回電源供給時刻31bとの差が時間T2(例えば、5秒)以内かどうか調べる。差が時間T2以内の場合(ステップS108:Y)、警告メッセージM2を画像投写部10に投写させ(ステップS109)、ステップS111に移行する。このときの警告メッセージM1を図3(b)に示す。一方、差が時間T2より大きい場合(ステップS108:N)はステップS117に移行する。
【0039】
ステップS111において制御部20は、タイマー20aによる計時を開始し、ステップS112に移行する。
【0040】
ステップS112において制御部20は、入力操作部23が所定の入力操作を検出したか否かを調べる。所定の入力操作を検出した場合(ステップS112:Y)、警告メッセージM1、または警告メッセージM2を消去し(ステップS115)、ステップS116に移行する。一方、所定の入力操作を検出していない場合(ステップS112:N)、ステップS113に移行する。
【0041】
ステップS113において制御部20は、タイマー20aによる計時が時間T3(例えば10秒)を経過したか否かを調べる。タイマー20aが時間T3を経過した場合(ステップS113:Y)、ステップS114に移行する。タイマー20aが時間T3を経過していない場合(ステップS113:N)、ステップS112に移行する。
【0042】
ステップS114において制御部20は、モード設定部21aを通常モードに設定し、ステップS116に移行する。
【0043】
ステップS116において制御部20は、タイマー20aの計時を停止し、ステップS117に移行する。
【0044】
ステップS117において制御部20は、画像信号入力部5から入力される画像信号を画像投写部10に投写させ、本フローを終了する。
【0045】
〔商用電源供給時の動作〕
図2(b)はプロジェクター1に対する商用電源(AC電源)の供給が遮断されたときの動作を示すフローチャートである。
図2(b)に示すように、プロジェクター1に対する商用電源(AC電源)の供給が遮断されると(ステップS201)、計時部30は現在の時刻を電源遮断時刻31aに保存する(ステップS202)。以上で本フローの動作を終了する(ステップS203)。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、プロジェクター1に対する商用電源の供給が遮断されてから短時間の間に再度商用電源が供給された場合、及びプロジェクターに商用電源が供給されてから短時間の間に商用電源の供給が遮断された場合を検出し、次の起動時に警告を行う。これによって、ユーザーに瞬時停電や電源配線の不具合などにより短時間内での電源供給、遮断が発生したことを通知し、対策を促すことが可能となる。
【0047】
また、上述した警告を行った後、所定時間内に所定の操作を検出しなかった場合は、ダイレクトオンモードを解除し、通常モードに設定する。これにより、瞬時停電や電源配線の不具合による短時間での電源供給、遮断が発生し、ユーザーが警告メッセージに気がつかない場合でもダイレクトオンモードが解除されるので、次の商用電源供給によって、プロジェクター1が起動してしまうのを回避することが可能となる。
【0048】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
上記実施形態において、警告メッセージM1、または警告メッセージM2を表示した後、所定時間内に所定の操作がない場合、モード設定部21aに通常モードを設定した後、にプロジェクター1の電源をオフし、スタンバイ状態に移行するようにしてもよい。これにより、警告に対して応答がない場合、電源をオフさせ、ランプの消耗を防ぐことが可能になる。
【0049】
なお、上述では電源として商用電源を用いて説明したが、これに限らず、例えば、蓄電池や、自家発電装置などの電源からの電力を用いても良い。
【符号の説明】
【0050】
1…プロジェクター、3…画像信号処理部、4…OSD処理部、5…画像信号入力部、6…電源端子、7…電源部、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…記憶部、21a…モード設定部、23…入力操作部、30…計時部、31…時刻保存部、31a…電源遮断時刻、31b…前回電源供給時刻、31c…今回電源供給時刻。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写部を有するプロジェクターであって、
電源から電力が供給されたときに前記光源を点灯して起動するダイレクトオンモード、または、前記電力が供給されたときに前記光源を点灯せずに待機状態に移行する通常モードのいずれかを設定可能なモード設定部と、
前記電力が供給された電源供給時刻、および前記電力の供給が遮断された電源遮断時刻を保存する時刻保存部と、
時刻を計時し、前記時刻保存部に記録する計時部と、
入力操作を検出する入力操作部と、
動作を制御する制御部と、
を備え、
前記計時部は前記電力が供給されたとき、今回電源供給時刻、及び前回電源供給時刻の2回分の電源供給時刻を前記時刻保存部に保存し、
前記計時部は、当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断されたとき、前記時刻保存部に前記電源遮断時刻を保存し、
前記制御部は、前記モード設定部に前記ダイレクトオンモードが設定されている状態において、起動時に、前記電源遮断時刻から前記今回電源供給時刻までの時間が第1の時間以内の場合、または、前記前回電源供給時刻から電源遮断時刻までの時間が第2の時間以内の場合に、前記画像投写部に警告メッセージを投写させることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記制御部は、前記警告メッセージが表示されている状態において、所定時間内に所定の入力操作を検出しなかった場合、前記モード設定部を前記通常モードに設定することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記制御部は、前記警告メッセージが表示されている状態において、所定時間内に所定の入力操作を検出しなかった場合、前記モード設定部を前記通常モードに設定した後、当該プロジェクターの電源をオフすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写部を有するプロジェクターの制御方法であって、
電源から電力が供給されたときに前記光源を点灯して起動するダイレクトオンモード、または、前記電力が供給されたときに前記光源を点灯せずに待機状態に移行する通常モードのいずれかを設定可能なモード設定部と、
当該プロジェクターに前記電力が供給された電源供給時刻、および当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断された電源遮断時刻を保存する時刻保存部と、
時刻を計時し、前記時刻保存部に記録する計時部と、
当該プロジェクターの動作を制御する制御部と、
を備え、
当該プロジェクターに前記電力が供給されたとき、今回、及び前回の2回分の電源供給時刻を前記時刻保存部に保存する電源供給時刻保存ステップと、
当該プロジェクターに対する前記電力の供給が遮断されたとき、前記時刻保存部に前記電源遮断時刻を保存する電源遮断時刻保存ステップと、
前記モード設定部に前記ダイレクトオンモードが設定されている状態において、当該プロジェクターの起動時に、前記電源遮断時刻から前記今回電源供給時刻までの時間が第1の時間以内の場合、または、前記前回電源供給時刻から電源遮断時刻までの時間が第2の時間以内の場合に、前記画像投写部に警告メッセージを投写させる投写ステップと、を有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−173450(P2012−173450A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34285(P2011−34285)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】