説明

プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法

【課題】投写レンズを保護するためのレンズシャッター開閉に連動して排気シャッターを開閉させ、レンズシャッターを閉じたミュート状態では排気シャッターを開放したまま保持するプロジェクターを提供する。
【解決手段】レンズシャッター4が開放位置、閉鎖位置、及びミュート位置のいずれの位置にあるかを検出するレンズシャッター位置検出部15と、プロジェクター1の排気口6を開閉可能に設けられた排気シャッター7と、レンズシャッター4が閉鎖位置にあるときは排気シャッター7を閉鎖し、レンズシャッター4が開放位置にあるときは排気シャッター7を開放し、レンズシャッター4が開放位置または閉鎖位置からミュート位置に移動した場合は排気シャッター7を動かさない排気シャッター開閉バー9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、投写レンズの投写面にスライド式のシャッターを配置しシャッターを閉じることで、使用しないときには投写レンズを保護するとともに、投写中には遮光することにより、画像の投写を一時中断するミュート機能を持たせたものが知られている。
また、プロジェクター筐体内から熱を排気するための排気口にシャッターを設け、プロジェクターを使用しないときにはシャッターを閉じることで、排気口から筐体内へ異物が侵入するのを防ぐものも開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−308826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のプロジェクターでは、使用する度に排気口用のシャッターと、投写レンズ用のシャッターの両方を開放しなければ電源オンできず、使用終了後は両方のシャッターを閉じる必要があるので操作が面倒であった。
両方のシャッターを連動する構造も考えられるが、この場合は、投写レンズ用のシャッターを閉じると、排気口用のシャッターも閉じてしまうので、投写レンズ用のシャッターで投写光を遮断するミュート機能を実現することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、画像情報に応じた画像を表示するプロジェクターであって、光源から射出された光を前記画像情報に応じて変調して投写する画像投写部と、前記画像投写部からの投写光を遮断するレンズシャッターと、前記レンズシャッターが開放位置、閉鎖位置、及びミュート位置のいずれの位置にあるかを検出するレンズシャッター位置検出部と、前記プロジェクターの筐体に設けられた排気口を開閉する排気シャッターと、前記レンズシャッターが前記開放位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を開放し、前記レンズシャッターが前記閉鎖位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を閉鎖する排気シャッター制御部と、を備え、前記排気シャッター制御部は、前記レンズシャッターが前記開放位置または前記閉鎖位置から前記ミュート位置に移動した場合は前記排気シャッターを動かさない、ことを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、レンズシャッターを開放したときは排気シャッターにより排気口も開放し、レンズシャッターを閉鎖したときは、排気シャッターにより排気口も閉鎖し、さらにレンズシャッターをミュート位置にした場合は排気シャッターを動かさない。これにより、電源オン、オフ時はレンズシャッターをそれぞれ開放、閉鎖位置に移動するだけで排気シャッターも連動して排気口を開放閉鎖するので、簡易な操作で投写レンズの保護と排気口からの異物侵入を防止することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記排気シャッター制御部は、前記レンズシャッターが前記開放位置から前記ミュート位置に移動した場合は、前記排気シャッターにより前記排気口を開放したまま保持することを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、レンズシャッターを開放した投写状態から、レンズシャッターをミュート位置に移動した場合、排気シャッターにより排気口を開放したまま保持するので、レンズシャッターで投写光を遮断しても、排気口は画像投写中と同様に開放したままで、画像ミュート状態を実現することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記排気シャッター制御部は、前記レンズシャッターが前記閉鎖位置から前記ミュート位置に移動した場合は、前記排気シャッターにより前記排気口を閉鎖したまま保持することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、レンズシャッターを閉鎖したオフ状態から、レンズシャッターをミュート位置に移動した場合、排気シャッターにより排気口を閉鎖したまま保持する。つまり、レンズシャッターを閉鎖位置からミュート位置に移動させただけでは排気口が閉鎖したままなので、レンズシャッターがミュート位置にあっても、排気口からの異物の侵入を防止することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、前記制御部は、前記入力操作部より、当該プロジェクターに電源オン操作を受け付けたとき、前記レンズシャッターが前記開放位置にある場合に、当該プロジェクターを起動することを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、レンズシャッターが開放位置にあるときに電源オン操作を受け付けた場合にプロジェクターの電源をオンし、ミュート位置、閉鎖位置にあるときは電源オンしないので、排気口が閉鎖したまま、起動してしまうのを防止することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、警告状態を報知する報知部をさらに備え、前記制御部は、前記入力操作部より、当該プロジェクターに電源オン操作を受け付けたとき、前記レンズシャッターが前記開放位置になかった場合に前記報知部により報知し、所定時間内に前記レンズシャッターが前記開放位置に移動したことを検出した場合に、当該プロジェクターを起動することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、レンズシャッターが開放位置にない状態で電源オン操作を受け付けたときに報知し、所定時間内にレンズシャッターが開放位置に移動したときに起動する。これにより、排気口が開放されていない可能性がある状態でユーザーが電源オン操作しても、レンズシャッターの開放を促し、レンズシャッター開放後は再度の電源オン操作をすることなく起動することが可能となる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記制御部は、当該プロジェクターが投写中において、前記レンズシャッターが前記閉鎖位置に移動したことを検出した場合、所定時間内に前記レンズシャッターが前記開放位置に移動しなかった場合に当該プロジェクターの電源をオフすることを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、投写中にレンズシャッターを閉鎖し、再度開放することなく所定時間経過した場合に電源がオフされるので、投写中にレンズシャッターと排気口の両方が閉鎖された状態が継続するのを防止するともに、誤ってレンズシャッターを閉鎖してしまった場合はすぐに開放することで、再度起動させることなく画像の投写を継続させることが可能となる。
【0018】
[適用例7]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写部と、前記画像投写部からの投写光を遮断するレンズシャッターと、少なくとも前記画像投写を収納する筐体と、前記筐体に設けられた排気口を開閉する排気シャッターと、を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記レンズシャッターが開放位置、閉鎖位置、及びミュート位置のいずれの位置にあるかを検出するレンズシャッター位置検出ステップと、前記レンズシャッターが前記開放位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を閉鎖し、前記レンズシャッターが前記開放位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を開放する排気シャッター制御部ステップと、前記レンズシャッターが、投写中に前記開放位置から前期ミュート位置まで移動して停止したか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップにより、投写中に前記レンズシャッターが、前記ミュート位置に移動して停止したと判断した場合に、前記排気シャッターを停止させたまま、予め設定されたミュート画像を前記画像投写部に投写させるミュートステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、レンズシャッターを開放したときは排気シャッターにより排気口も開放し、レンズシャッターを閉鎖したときは、排気シャッターにより排気口も閉鎖し、さらに投写中にレンズシャッターをミュート位置にした場合は排気シャッターを動かさずにミュート画像を投写する。これにより、電源オン、オフ時はレンズシャッターをそれぞれ開放、閉鎖位置に移動するだけで排気シャッターも連動して排気口を開放閉鎖するので、簡易な操作で投写レンズの保護と排気口からの異物侵入を防止し、画像ミュート時はレンズシャッターをミュート位置にするだけでミュート画像を投写することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プロジェクターの斜視図。
【図2】プロジェクターの平面図であり、(a)はレンズシャッターツマミ周辺、(b)は排気シャッター周辺を部分的に示す図。
【図3】プロジェクターの正面図であり、レンズシャッターの開閉状態と排気シャッターの開閉状態の関係を示す図。(a)はレンズシャッターが閉鎖位置にあるとき、(b)はレンズシャッターが閉鎖位置からミュート位置に移動したとき、(c)はレンズシャッターがミュート位置から開放位置に移動したとき、(d)はレンズシャッターが開放位置からミュート位置に移動したときの状態を示す。
【図4】プロジェクターの回路構成を示すブロック図。
【図5】プロジェクターが電源オン操作を受け付けたときの動作を示すフローチャート。
【図6】プロジェクターが投写中にレンズシャッターの移動を検出したときの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクターの斜視図を示す図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、装置本体が筐体2によって覆われた構成になっている。筐体2は、上面2t、前面2f、右側面2r、左側面、背面、底面によって構成されている。本実施形態においては、前面2f方向を前方とし、前面2fの反対側である背面方向を後方とする。また、右側面2rを右側とし、対向する左側面を左側として説明する。
【0023】
筐体2の上面2tには、ユーザーにより入力操作が行われる複数の操作キーを備えた入力操作部23が備えられ、入力操作部23の近傍には、プロジェクター1の動作状態を報知するための報知部24が備えられている。
【0024】
筐体2の前面2fには、開口部3が形成されている。また、開口部3の筐体内側である後方には、前方に向かって画像光を投写する投写レンズ13が備えられている。
開口部3には、カバー部材としてのレンズシャッター4が開閉可能に備えられており、開口部3をレンズシャッター4で閉塞することによって、投写レンズ13を保護するとともに投写光を遮光することが可能となっている。
【0025】
レンズシャッター4は、合成樹脂製で略矩形の板状体であり、その一辺には、開閉操作を行うための操作ツマミ4aが一体的に形成され、他の一辺には後述する排気シャッター開閉バー9と連結するための開閉フック4bが形成されている(図3参照)。
操作ツマミ4aは、筐体2の上面2tに形成されたスリット5から突出して露出しており、そのスリット5に沿って操作ツマミ4aを左右にスライド操作することによって、レンズシャッター4の開閉を行うことができる。また、操作ツマミ4aは、筐体2の上面2tよりも上方に突出するようになっており、スライド操作を容易にしている。
【0026】
筐体2の右側面2rには筐体内の熱を排気するための排気口6が形成されており、排気口6を閉鎖、開放する排気シャッター7が備えられている。
排気シャッター7は、排気シャッター制御部に相当する排気シャッター開閉バー9を備えており、排気シャッター開閉バー9は、レンズシャッター4が一定以上閉塞された場合に開閉フック4bと連結されるように構成されている。また、排気シャッター開閉バー9は図示しないスライド機構により前面2f内側に沿って横方向に移動し、排気シャッター7を開閉する構造になっている。
【0027】
図2は、プロジェクター1の平面図であり、図2(a)は筐体2の上面2tのスリット5の周辺の部位を部分的に示しており、図2(b)は排気シャッター7の周辺を部分的に示している。
図3(a)〜(d)は、プロジェクター1の正面図の部分断面図であり、レンズシャッター4と、排気シャッター7による排気口6の開閉状態を示している。
【0028】
図2(b)に示すように、排気シャッター7は排気シャッター開閉バー9により動かされることで、排気口6が開閉操作されるようになっている。排気シャッター開閉バー9は、図3に示すように、開閉フック9a、及び開閉フック9bの間にレンズシャッター4の開閉フック4bをはさむように配置されている。
【0029】
図2(a)に示すように、スリット5は、筐体2の前面2fと並行して形成されており、レンズシャッター4は、操作ツマミ4aがスリット5の左端部(前方に向かって左側の端部)5aに接する位置と、操作ツマミ4aがスリット5の右端部(前方に向かって右側の端部)5cに接する位置との間を移動可能になっている。
【0030】
つまり、レンズシャッター4は、不図示のスライド機構によって、前面2fに沿った方向に摺動可能となっており、投写レンズ13を外部に露出させることにより投写光を遮断しない開放位置と、開口部3に配置された投写レンズ13を覆うことにより投写光を遮断する閉鎖位置との間で選択的に移動可能になっている。
【0031】
スリット5には左端部5aと右端部5cの間に位置5bがあり、図3に示すように、操作ツマミ4aをスライド操作して、レンズシャッター4を図3(c)に示すスリット5の右端部5cから図3(d)に示す位置5bに移動させることにより、図3(a)に示す左端部5aまで移動させなくても、レンズシャッター4が開口部3を閉塞し、投写レンズ13を覆って画像光を遮光状態にすることができる。
【0032】
これ以降、操作ツマミ4aをスリット5の左端部5aに移動させたときのレンズシャッター4の位置(図3(a))を「閉鎖位置」と呼び、操作ツマミ4aをスリット5の右端部5cに移動させたときのレンズシャッター4の位置(図3(c))を「開放位置」と呼び、操作ツマミ4aをスリット5の位置5bに移動させたときのレンズシャッター4の位置(図3(d))を「ミュート(mute)位置」と呼ぶ。
【0033】
筐体2の前面2fには、レンズシャッター位置検出部に相当する不図示の複数のセンサーが埋め込まれており、レンズシャッター4が、開放位置、閉鎖位置、及びミュート位置のいずれにあるかを検出することができる。
【0034】
次に、レンズシャッター4を各位置に移動させたときの、排気シャッター7による排気口6の開閉状態を、図3を参照して説明する。
操作ツマミ4aをスライド操作してレンズシャッター4を閉鎖位置に移動させると、図3(a)に示すように、レンズシャッター4は、開口部3を閉塞し、投写レンズ13を覆ってその投写面を保護するとともに遮光状態にする。
このときにレンズシャッター4の開閉フック4bが排気シャッター開閉バー9の開閉フック9aに掛かり、排気シャッター開閉バー9を引っ張ることにより、排気シャッター7で排気口6を閉鎖させる。
【0035】
次に操作ツマミ4aをスライド操作して、レンズシャッター4を閉鎖位置からミュート位置に移動させると、図3(b)に示すように、レンズシャッター4の開閉フック4bは排気シャッター開閉バー9の開閉フック9aから離れ、開閉フック9bに当接または近接した位置まで移動する。このときにレンズシャッター4は開口部3を閉塞したままであり、排気シャッター7も動かさないので排気口6は閉鎖したままである。
【0036】
次に操作ツマミ4aをスライド操作して、レンズシャッター4をミュート位置から開放位置に移動させると、図3(c)に示すように、レンズシャッター4は、投写レンズ13の前方(投写方向)から移動し、開口部3を開放する。この結果、開口部3から投写レンズ13が露出し、画像光の投写が可能な状態となる。このときに、レンズシャッター4の開閉フック4bが排気シャッター開閉バー9の開閉フック9bに当接して、排気シャッター開閉バー9を押し出し、排気シャッター7が動かされることで、排気口6を開放する。
【0037】
次に操作ツマミ4aをスライド操作して、レンズシャッター4を開放位置からミュート位置に移動させると、図3(d)に示すように、レンズシャッター4は開口部3を閉塞し、投写光を遮断する。このとき、レンズシャッター4の開閉フック4bは排気シャッター開閉バー9の開閉フック9bから離れ、開閉フック9aに掛かる位置まで移動するが、排気シャッター開閉バー9は動かさないので排気シャッター7は動かず、排気口6は開放したままである。
【0038】
つまり、レンズシャッター4を開放位置または閉鎖位置からミュート位置に移動したときは排気シャッター7の状態は変化しない為、排気口の状態も変化しない。
排気シャッター7により排気口6を開放、または閉鎖させるには、レンズシャッター4を開放位置、または閉鎖位置に移動させればよい。
【0039】
図4は、本実施形態のプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図4に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、光源制御部25、入力操作部23、報知部24、画像信号入力部18、画像信号処理部17、OSD処理部16、レンズシャッター位置検出部15、電源端子30、電源部31等で構成されており、これらは筐体2(図1、及び図2)の内部に収容されている。
【0040】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bで変調し、投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0041】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R、12G、12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R、12G、12Bに入射する。
【0042】
液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R、12G、12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
【0043】
液晶駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0044】
上記実施形態では、光源11として光源ランプ11aを用いて投写するプロジェクター1を例示したが、本発明は、光源11としてLED(Light emitting diode)光源やレーザー光源などを用いて投写するプロジェクターにも適用することができる。
なお、上記実施形態では、画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを用いた透過型液晶方式の投写光学系を例示したが、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式の光変調装置を採用しても良い。
【0045】
制御部20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピューターとして機能する。また、制御部20は、時間を計時するタイマー20aを備えている。
【0046】
記憶部21は、フラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0047】
入力操作部23は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための電源キーや、画像信号入力部18に入力される複数の画像入力端子を切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させるメニューキー、メニューからユーザーが設定項目を選択するカーソルキー、決定キー、エスケープキー等がある。
【0048】
ユーザーが入力操作部23の各種操作キーを操作すると、入力操作部23は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、入力操作部23は、リモートコントローラー(リモコンとも称する)信号受信部(図示せず)と遠隔操作が可能なリモートコントローラー(図示せず)を有した構成としてもよい。この場合、リモートコントローラーは、使用者の操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、リモコン信号受信部がこれを受信して制御情報として制御部20に伝達する。
【0049】
画像信号入力部18は、上述したように複数の画像入力端子を備えており、各画像入力端子より、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、外部の画像出力装置から、図示しないケーブルを介して画像情報が入力される。
【0050】
画像信号処理部17は、画像信号入力部18から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R、12G、12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過し投写する光の強弱(階調)が規定される。
【0051】
OSD処理部16は、制御部20の指示に基づいて、投写画像上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部16は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。
【0052】
制御部20が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理部16は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像信号処理部17から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、液晶駆動部14に出力される。
なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部16は、画像信号処理部17から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動部14に出力する。
【0053】
液晶駆動部14は本実施形態における画像形成部であり、OSD処理部16から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0054】
電源部31には、電源端子30を介してAC100V等の電力が外部から供給される。電源部31は、入力した電力(交流電力)を所定の直流電力に変換して、プロジェクター1の各部に電力を供給する。また、電源部31は、制御部20の指示に基づいて、画像の投写に必要な電力(動作電力)を各部に供給する状態(電源オン状態)と、動作電力の供給を停止して、電源をオンにするための操作を待機する状態(スタンバイ状態)とを切り替えることができる。
【0055】
光源制御部25は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯、及び消灯を切り替える。
【0056】
報知部24は、LED(発光ダイオード)を備えたインジケーターであり、制御部20の指示に基づいてその表示状態を切り替えることにより、ユーザーにプロジェクター1の動作状態(電源のオン・オフや異常発生、信号検出等)を報知する。なお、報知部24は、その表示状態、即ち点灯、点滅、消灯、発光色等を適宜切り替えることによって、多数の動作状態を表すことが可能になっている。
本実施形態においては、報知部24は電源オン操作時にレンズシャッター4が閉鎖位置にあった場合に、開放位置に移動するよう警告報知を行う。
【0057】
レンズシャッター位置検出部15は、レンズシャッター4を操作ツマミ4aでスライド移動したときの位置が開放位置、閉鎖位置、ミュート位置のいずれの位置にあるかをセンサーなどにより検出し、その検出結果を制御部20に出力する。
【0058】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を図5、及び図6のフローチャートを用いて説明する。
〔電源オン操作時の動作〕
図5はプロジェクター1が電源オン操作を受け付けたときの動作を示すフローチャートである。
【0059】
図5に示すように、プロジェクター1が、入力操作部23より電源オン操作を受け付けると(ステップS101)、制御部20はレンズシャッター4が開放位置にあるか否かを調べる(ステップS102)。レンズシャッター4が開放位置にある場合(ステップS102:Y)、ステップS109に遷移する。レンズシャッター4が開放位置にない場合(ステップS102:N)、ステップS103に遷移する。
【0060】
ステップS103において制御部20は、報知部24による警告報知(レンズシャッター4が閉鎖位置)を開始し、更に、タイマー20aによる計時を開始(タイマースタート)した後、ステップS104に遷移する。
【0061】
ステップS104において制御部20は、レンズシャッター4が開放位置にあるか否か、つまりレンズシャッター4がミュート位置または閉鎖位置から開放位置に移動したか否かを調べる。レンズシャッター4が開放位置にある場合(ステップS104:Y)、ステップS108に遷移する。レンズシャッター4が開放位置にない場合(ステップS104:N)、ステップS105に遷移する。
【0062】
ステップS105において制御部20は、タイマー20aが所定時間(例えば5秒)経過したか否かを調べる。タイマー20aが所定時間経過した場合(ステップS105:Y)、ステップS106に遷移する。タイマー20aが所定時間経過していない場合、ステップS104に遷移する。
【0063】
ステップS106において制御部20は、報知部24による報知を終了させ、タイマー20aを停止させ、ステップS107に遷移する。
【0064】
ステップS107において制御部20は、プロジェクター1をスタンバイ状態に移行させ、本動作フローを終了する。
【0065】
ステップS108において制御部20は、報知部24による報知を終了させ、タイマー20aを停止させ、ステップS109に遷移する。
【0066】
ステップS109において、排気シャッター開閉バー9により排気シャッター7が動かされることで、排気口6が開放され、ステップS110に遷移する。
【0067】
ステップS110において制御部20は、光源制御部25により光源11を点灯させ、更にプロジェクター1を電源オン状態に移行させた後、ステップS111に遷移する。
【0068】
ステップS111において、プロジェクター1は画像の投写を開始し、本動作フローを終了する。
【0069】
〔投写中にレンズシャッターの移動を検出したときの動作〕
図6はプロジェクター1が投写中にレンズシャッター4の移動を検出したときの動作を示すフローチャートである。
【0070】
図6に示すように、プロジェクター1が投写中にレンズシャッター4の位置が変わったことを検出すると(ステップS201)、制御部20はレンズシャッター4がミュート位置にあるか否かを調べる(ステップS202)。
レンズシャッター4がミュート位置にある場合(ステップS202:Y)、ステップS211に遷移する。レンズシャッター4がミュート位置にない場合(ステップS202:N)、ステップS203に遷移する。
なお、ステップS202が判断ステップに相当する。
【0071】
ステップS203において制御部20は、レンズシャッター4が開放位置にあるか否かを調べる。レンズシャッター4が開放位置にある場合(ステップS203:Y)、ステップS212に遷移する。レンズシャッター4が開放位置にない場合(ステップS203:N)、即ち閉鎖位置にある場合、ステップS204に遷移する。
【0072】
ステップS204において、排気シャッター開閉バー9に動かされた排気シャッター7により、排気口6が閉鎖され、ステップS205に遷移する。
【0073】
ステップS205において制御部20は、タイマー20aによる計時を開始し、ステップS206に遷移する。
【0074】
ステップS206において制御部20は、レンズシャッター4が開放位置にあるか否か、即ちレンズシャッター4が閉鎖位置から開放位置に移動したか否かを調べる。レンズシャッター4が開放位置にある場合(ステップS206:Y)、ステップS210に遷移する。レンズシャッター4が開放位置にない場合(ステップS206:N)、ステップS207に遷移する。
【0075】
ステップS207において制御部20は、タイマー20aが所定時間(例えば5秒)経過したか否かを調べる。タイマー20aが所定時間経過した場合(ステップS207:Y)、ステップS208に遷移する。タイマー20aが所定時間経過していない場合(ステップS207:N)、ステップS206に遷移する。
【0076】
ステップS208において制御部20は、光源制御部25により光源11を消灯し、ステップS209に遷移する。
【0077】
ステップS209において制御部20は、プロジェクター1をスタンバイ状態に移行させ、本動作フローを終了する。
【0078】
ステップS210において制御部20は、タイマー20aによる計時を停止し、ステップS212に遷移する。
【0079】
ステップS211において制御部20は、予め設定されたミュート画像(例えば、黒画像)を画像投写部10に投写させ、ステップS214に遷移する。(本ステップがミュートステップに相当する。)
【0080】
ステップS212において、排気シャッター開閉バー9に動かされた排気シャッター7により、排気口6が開放され、ステップS213に遷移する。
【0081】
ステップS213において制御部20は、画像ミュート状態を終了(解除)し、画像信号入力部18から入力される画像を画像投写部10に投写させ、ステップS214に遷移する。
【0082】
ステップS214において、制御部20はプロジェクター1を投写状態にし、本動作フローを終了する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、レンズシャッター4を開放したときは排気シャッター7により排気口6も開放し、レンズシャッター4を閉鎖したときは、排気シャッター7により排気口6も閉鎖する。
これにより、電源オン、オフ時はレンズシャッター4をそれぞれ開放、閉鎖位置に移動するだけで排気シャッター7も連動して排気口6を開放、閉鎖するので、簡易な操作で投写レンズ13の保護と排気口6からの異物の侵入を防止することが可能となる。
【0084】
また、レンズシャッター4が開放位置にある投写状態から、レンズシャッター4をミュート位置に移動した場合、排気シャッター7により排気口6を開放したまま保持するので、レンズシャッター4で投写光を遮断しても、排気口6は画像投写中と同様に開放したままの、画像ミュート状態を実現することが可能となる。
【0085】
また、レンズシャッター4が閉鎖にある電源オフ状態から、レンズシャッター4をミュート位置に移動した場合、排気シャッター7により排気口6を閉鎖したまま保持する。つまり、レンズシャッター4を閉鎖位置からミュート位置に移動させただけでは排気口6が閉鎖したままなので、レンズシャッター4がミュート位置にあっても、排気口6からの異物の侵入を防止することができる。
【0086】
また、レンズシャッター4が開放位置にあるときに電源オン操作を受け付けるとプロジェクター1の電源をオンし、レンズシャッター4がミュート位置にあるときは電源オン操作を受け付けてもプロジェクター1の電源をオンしない。
また、レンズシャッター4が閉鎖位置にあるときに電源オン操作を受け付けると、所定時間内にレンズシャッター4が開放位置に移動した場合にプロジェクター1の電源をオンするので、排気口6が閉鎖したまま起動してしまうのを防止することが可能となる。
【0087】
(変形例1)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
上述した実施形態においては、排気シャッター7は、レンズシャッター4に連結された排気シャッター開閉バー9により動かされて排気口6を開閉していたが、電気的開閉機構(例えば、電磁シャッターなど)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…プロジェクター、2…筐体、3…開口部、4…レンズシャッター、4a…操作ツマミ、4b…開閉フック、5…スリット、6…排気口、7…排気シャッター、9…排気シャッター開閉バー、9a,9b…開閉フック、15…レンズシャッター位置検出部、17…画像信号処理部、16…OSD処理部、18…画像信号入力部、30…電源端子、31…電源部、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…記憶部、25…光源制御部、23…入力操作部、24…報知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に応じた画像を表示するプロジェクターであって、
光源から射出された光を前記画像情報に応じて変調して投写する画像投写部と、
前記画像投写部からの投写光を遮断するレンズシャッターと、
前記レンズシャッターが開放位置、閉鎖位置、及びミュート位置のいずれの位置にあるかを検出するレンズシャッター位置検出部と、
前記プロジェクターの筐体に設けられた排気口を開閉する排気シャッターと、
前記レンズシャッターが前記開放位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を開放し、前記レンズシャッターが前記閉鎖位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を閉鎖する排気シャッター制御部と、を備え、
前記排気シャッター制御部は、前記レンズシャッターが前記開放位置または前記閉鎖位置から前記ミュート位置に移動した場合は前記排気シャッターを動かさない、
ことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、前記排気シャッター制御部は、前記レンズシャッターが前記開放位置から前記ミュート位置に移動した場合は、前記排気シャッターにより前記排気口を開放したまま保持することを特徴とする、プロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、前記排気シャッター制御部は、前記レンズシャッターが前記閉鎖位置から前記ミュート位置に移動した場合は、前記排気シャッターにより前記排気口を閉鎖したまま保持することを特徴とする、プロジェクター。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力操作部より、当該プロジェクターに電源オン操作を受け付けたとき、前記レンズシャッターが前記開放位置にある場合に、当該プロジェクターを起動することを特徴とする、プロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターであって、
警告状態を報知する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力操作部より、当該プロジェクターに電源オン操作を受け付けたとき、前記レンズシャッターが前記開放位置になかった場合に前記報知部により報知し、所定時間内に前記レンズシャッターが前記開放位置に移動したことを検出した場合に、当該プロジェクターを起動することを特徴とする、プロジェクター。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記制御部は、当該プロジェクターが投写中において、前記レンズシャッターが前記閉鎖位置に移動したことを検出した場合、所定時間内に前記レンズシャッターが前記開放位置に移動しなかった場合に当該プロジェクターの電源をオフすることを特徴とする、プロジェクター。
【請求項7】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写部と、
前記画像投写部からの投写光を遮断するレンズシャッターと、
少なくとも前記画像投写を収納する筐体と、
前記筐体に設けられた排気口を開閉する排気シャッターと、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記レンズシャッターが開放位置、閉鎖位置、及びミュート位置のいずれの位置にあるかを検出するレンズシャッター位置検出ステップと、
前記レンズシャッターが前記開放位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を閉鎖し、前記レンズシャッターが前記開放位置にあるときは前記排気シャッターにより前記排気口を開放する排気シャッター制御部ステップと、
前記レンズシャッターが、投写中に前記開放位置から前期ミュート位置まで移動して停止したか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより、投写中に前記レンズシャッターが、前記ミュート位置に移動して停止したと判断した場合に、前記排気シャッターを停止させたまま、予め設定されたミュート画像を前記画像投写部に投写させるミュートステップと、
を有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215756(P2012−215756A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81702(P2011−81702)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】