説明

プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法

【課題】投射型表示装置のレジストレーション調整の、ユーザーによる調整値の設定が容易な表示位置調整方法を提供する。
【解決手段】プロジェクターは、光源から発せられた第1の色成分の光を第1の画像信号に基づいて変調する第1の光変調装置と、光源から発せられた第2の色成分の光を第2の画像信号に基づいて変調する第2の光変調装置と、前記変調された光をスクリーンに投射し、第1の画像、及び第2の画像を表示する投射部と、前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれの補正情報を設定する補正情報設定画像を表示させる表示制御部と、前記補正情報に基づいて、前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれが低減されるように補正された第2の画像信号を前記第2の光変調装置へ供給する補正部とを備え、前記補正情報設定画像は、前記補正情報が示す補正量を数値で示し、前記補正情報が示す補正方向を前記補正量が表示される位置で示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像信号に基づいて光変調装置への入射光を変調し、変調された光を投射することで画像表示を行う投射型表示装置(例えば、プロジェクターなど)が普及している。そうした投射型表示装置は、一般的に、ランプ及び集光鏡を有する光源と、この光源から発せられた光を集光して光変調装置に入射させる照明光学系と、入射する光を変調する光変調装置とを備えており、光変調装置からの光を投射レンズ等の投射光学系によってスクリーン等の投射面に投射するようになっている。
このような投射型表示装置のうち、赤色光(R)、緑色光(G)、及び青色光(B)の各三原色光を合成して投射を行うもの(いわゆる三板式の投射型表示装置)では、光学系(例えば、光変調装置)の位置決めの精度にばらつきが生じる場合がある。このようなばらつきが生じた場合、スクリーン上に投射された表示画像において、各原色光間で位置ずれが生じ、この位置ずれによって色ずれが発生してしまう問題があった。そこで、このような光学機構的な要因で発生する色ずれを低減するため、従来より、色ずれを電気的に補正するレジストレーション調整機構を設けるようにした投射型表示装置が提案されている。
このようなレジストレーション調整を行う際には、ユーザーが調整画面を確認し、調整する場所、調整する色、調整方向、調整量を入力する。調整画面には、ユーザーが入力した調整値が文字と符号により表示される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−33364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、調整画面に表示されるレジストレーション調整の調整値は、調整する色、調整方向(水平方向や垂直方向など)、調整量(正負の符号や数値など)で表示される。調整方向についてさらに詳細に見ると、水平方向の調整には左方向への調整と右方向への調整があり、垂直方向の調整には上方向への調整と下方向への調整があるが、調整方向と調整量の符号の組み合わせにより、左方向への調整は水平方向と「−」符号、右方向への調整は水平方向と「+」符号、上方向への調整は垂直方向と「−」符号、下方向への調整は垂直方向と「+」符号、により表している。
しかしながら、水平方向と「+」符号の組み合わせ、及び水平方向と「−」符号の組み合わせのどちらが左方向、あるいは右方向への調整を表しているのか、垂直方向と「+」符号の組み合わせ、及び垂直方向と「−」の組み合わせのどちらが上方向、あるいは下方向への調整を表しているのか、という点について、全てのユーザーに共通する定義はない。そのため、ユーザーは入力した調整値と実際に調整される方向を関連付けることが難しく、その結果レジストレーション調整が困難になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、
光源と、
前記光源から発せられた光のうち、第1の色成分の光を第1の画像信号に基づいて変調する第1の光変調装置と、
前記光源から発せられた光のうち、第2の色成分の光を第2の画像信号に基づいて変調する第2の光変調装置と、
前記第1の光変調装置、及び前記第2の光変調装置により変調された光を投射面に投射し、前記第1の色成分に対応する第1の画像、及び前記第2の色成分に対応する第2の画像を表示する投射部と、
前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれを低減させるための補正情報を設定するための補正情報設定画像を表示させる表示制御部と、
前記補正情報の入力を受け付ける入力部と、
前記補正情報に基づいて、前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれが低減されるように前記第2の画像信号の補正を行う補正部と、を備え、
前記補正情報設定画像は、前記補正情報に対応する補正量を数値で示し、前記補正情報に対応する補正方向を、前記補正量が表示される位置で示すことを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、前記補正部が用いる補正情報について、補正量を数値で、補正方向を文字の位置で示すため、補正情報に対応する補正方向及び補正量が明瞭となり、これによって、ユーザーによる補正情報の入力操作が容易となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、
前記表示制御部は、前記補正情報を表示画像内の補正対象とする位置の近傍に表示することを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、前記表示制御部は補正情報を表示画像内の補正対象とする位置の近傍に表示するため、補正情報が対象とする表示画像内の位置と、当該補正情報との対応が明瞭となり、これによって、ユーザーによる補正情報の入力操作が容易となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、
前記表示制御部は、複数の前記補正情報設定画像を表示することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、前記表示制御部は複数の前記補正情報設定画像を表示するため、画像に含まれる複数の箇所で容易に補正を行うことができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、
前記補正情報設定画像は、補正対象となる色を指定するための第1の領域、及び前記補正量及び前記補正方向を指定するための第2の領域を含むことを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、補正対象となる色を指定するための第1の領域、及び前記補正量及び前記補正方向を指定するための第2の領域を前記補正情報設定画像が含んでいるため、補正対象となる色の指定や、前記補正量及び前記補正方向の指定を容易に行うことができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2の領域は、第1の数値、第2の数値、第3の数値及び第4の数値を含み、前記第1の数値、前記第2の数値、前記第3の数値、及び前記第4の数値は、他の数値に対する当該数値の相対的な位置が、前記補正方向を表すことを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、前記第2の領域に含まれる数値は、それぞれの相対的な位置が前記補正方向を表しているため、どのような補正が行われるかをユーザーが直感的に把握することができる。
【0016】
[適用例6]また、本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、
光源と、前記光源から発せられた光のうち、第1の色成分の光を第1の画像信号に基づいて変調する第1の光変調装置と、前記光源から発せられた光のうち、第2の色成分の光を第2の画像信号に基づいて変調する第2の光変調装置と、前記第1の光変調装置、及び前記第2の光変調装置により変調された光を投射面に投射し、前記第1の色成分に対応する第1の画像、及び前記第2の色成分に対応する第2の画像を表示する投射部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれを低減させるための補正情報を設定するための補正情報設定画像を表示させ、
前記補正情報の入力を受け付け、
前記補正情報に基づいて、前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれが低減されるように前記第2の画像信号の補正を行い、
前記補正情報設定画像は、前記補正情報に対応する補正量を数値で示し、前記補正情報に対応する補正方向を、前記補正量が表示される位置で示すことを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、前記補正部が用いる補正情報について、補正量を数値で、補正方向を文字の位置で示すため、補正情報に対応する補正方向及び補正量が明瞭となり、これによって、ユーザーによる補正情報の入力操作が容易となる。
[適用例7]上記適用例に記載のプロジェクターの制御方法において、
前記補正情報設定画像を、表示画像内の補正対象とする位置の近傍に表示することを特徴とする。
【0018】
本適用例によれば、補正情報を表示画像内の補正対象とする位置の近傍に表示するため、補正情報が対象とする表示画像内の位置と、当該補正情報との対応が明瞭となり、これによって、ユーザーによる補正情報の入力操作が容易となる。
【0019】
[適用例8]上記適用例に記載のプロジェクターの制御方法において、
複数の前記補正情報設定画像を表示させることを特徴とする。
【0020】
本適用例によれば、複数の前記補正情報設定画像を表示するため、画像に含まれる複数の箇所で容易に補正を行うことができる。
【0021】
[適用例9]上記適用例に記載のプロジェクターの制御方法において、
前記補正情報設定画像は、補正対象となる色を指定するための第1の領域、及び前記補正量及び前記補正方向を指定するための第2の領域を含むことを特徴とする。
【0022】
本適用例によれば、補正対象となる色を指定するための第1の領域、及び前記補正量及び前記補正方向を指定するための第2の領域を前記補正情報設定画像が含んでいるため、補正対象となる色の指定や、前記補正量及び前記補正方向の指定を容易に行うことができる。
【0023】
[適用例10]上記適用例に記載のプロジェクターの制御方法において、
前記第2の領域は、第1の数値、第2の数値、第3の数値及び第4の数値を含み、前記第1の数値、前記第2の数値、前記第3の数値、及び前記第4の数値は、他の数値に対する当該数値の相対的な位置が、前記補正方向を表すことを特徴とする。
本適用例によれば、前記第2の領域に含まれる数値は、それぞれの相対的な位置が前記補正方向を表しているため、どのような補正が行われるかをユーザーが直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る第1実施形態における表示装置の構成例のブロック図。
【図2】レジストレーション調整部による調整処理の動作例のフロー図。
【図3】画像の反転、および、回転がない場合の投射型表示装置の使用例を表す斜視図。
【図4】レジストレーション調整を行う前の表示画像の一例を表す図。
【図5】特定の原色光に位置ずれが生じている場合の表示画像の例を拡大して表す図。
【図6】レジストレーション調整の表示画像、および、調整用メニュー画像の設定例の一例を表す図。
【図7】図4に示した表示画像においてレジストレーション調整を行った後の表示画像を拡大して表す図。
【図8】本発明の第2実施形態における投射型表示装置の使用例を表す斜視図。
【図9】本発明の第2実施形態における、画像反転処理後の投射型表示装置の使用例を表す斜視図。
【図10】本発明の第2実施形態においてレジストレーション調整を行う前の表示画像の一例を表す図。
【図11】本発明の第2実施形態において特定の原色光に位置ずれが生じている場合の表示画像の例を拡大して表す図。
【図12】本発明の第2実施形態におけるにおけるレジストレーション調整の表示画像、および、調整用メニュー画像の設定例の一例を表す図。
【図13】本発明の第2実施形態における画像反転機能の設定例を表す図。
【図14】本発明の第2実施形態における画像反転機能の設定例を表す図。
【図15】本発明の第3実施形態における投射型表示装置の使用例を表す斜視図。
【図16】本発明の第3実施形態において、画像回転処理後の投射型表示装置の使用例を表す斜視図。
【図17】本発明の第3実施形態においてレジストレーション調整を行う前の表示画像の一例を表す図。
【図18】本発明の第3実施形態において特定の原色光に位置ずれが生じている場合の表示画像の例を拡大して表す図。
【図19】本発明の第3実施形態におけるレジストレーション調整の表示画像、および、調整用メニュー画像の設定例の一例を表す図。
【図20】本発明の第3実施形態における画像回転機能の設定例を表す図。
【図21】本発明の第3実施形態における画像回転機能の設定例を表す図。
【図22】本発明に係る第4実施形態におけるレジストレーション調整を行う前の表示画像の一例を表す図。
【図23】本発明の第4実施形態における、レジストレーション調整の過程を示す表示画像、および、調整用メニュー画像の設定例の一例を表す図。
【図24】図23から移行したレジストレーション調整の過程を示す表示画像、および、調整用メニュー画像の設定例の一例を表す図。
【図25】図24から移行したレジストレーション調整の過程を示す表示画像、および、調整用メニュー画像の設定例の一例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態に係る投射型表示装置(プロジェクター1)の全体構成を表したものである。このプロジェクター1は、外部から供給される入力画像信号(入力画像データ)Dinに基づいてスクリーン3等の投射面上に画像(表示画像31)を投射し、画像表示を行う。
【0027】
プロジェクター1は、画像表示部10、制御部20及び入力操作部300を有する。画像表示部10は、光源装置110と、光変調部120と、投射光学系(投射部)140とを含む。
【0028】
光源装置110は、光源112と、1対のレンズアレイ114と、重畳レンズ116とを含んで構成される。光変調部120は、ダイクロイックミラー122、124、反射ミラー126、128、130、リレーレンズ132、134、光変調装置としての液晶パネル136R、136G、136B、クロスダイクロイックプリズム138を含む。液晶パネル136R、136G、136Bのそれぞれは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入した透過型の液晶パネルであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスターをスイッチング素子として、入射された光を変調する。ダイクロイックミラー122は、光源装置110からの光を、赤色光(R)とそれ以外の色成分の光(緑色光(G)及び青色光(B))とに分離する。ダイクロイックミラー122によって分離された赤色光は、反射ミラー126によって液晶パネル136Rの入射面に導かれる。ダイクロイックミラー122によって分離された緑色光及び青色光は、ダイクロイックミラー124によって緑色光と青色光とに分離される。ダイクロイックミラー124によって分離された緑色光は、液晶パネル136Gの入射面に入射される。ダイクロイックミラー124によって分離された青色光は、リレーレンズ132、134を介して、反射ミラー128、130によって液晶パネル136Bの入射面に導かれる。
【0029】
液晶パネル136R(第1の光変調装置)は、光源112から発せられた光のうち、赤色成分の色光(第1の色成分の光)を、赤色成分に対応する画像データ(第1の画像信号)に基づいて変調する。液晶パネル136G(第2の光変調装置)は、光源112から発せられた光のうち、緑色成分の光(第2の色成分の光)を、緑色成分に対応する画像データ(第2の画像信号)に基づいて変調する。液晶パネル136B(第3の光変調装置)は、光源112から発せられた光のうち、青色成分の色光(第3の色成分の光)を、青色成分に対応する画像データ(第3の画像信号)に基づいて変調する。これらの液晶パネル136R、136G、136Bによって変調された各色光は、クロスダイクロイックプリズム138によって合成され、投射光学系140によって拡大されスクリーン3上で結像する。このように、投射光学系140は、液晶パネル136R、液晶パネル136G、及び液晶パネル136Bにより変調された光をスクリーンに投射し、赤色成分に対応する画像(第1の画像)、緑色成分に対応する画像(第2の画像)及び青色成分に対応する画像(第3の画像)が投射面上で重畳した状態で観察されるように表示する。
【0030】
このようにプロジェクター1においては、光源装置110から射出された光を、赤色成分の色光(第1の色成分の光)、緑色成分の色光(第2の色成分の光)及び青色成分の色光(第3の色成分の光)に分離して、それぞれの色光を異なる光変調装置によって変調する。そして、各変調装置によって変調された赤色成分の色光、緑色成分の色光及び青色成分の色光をスクリーン3上で重ねて表示することで、カラー画像を表現している。
以下の説明では、スクリーン3上に投射される画像を構成する第1の画像、第2の画像及び第3の画像のいずれかについて、又はこれらを総称して「色成分画像」と称する場合がある。この「色成分画像」は、特定の色成分の色光によって表される画像である。プロジェクター1が投射する画像における位置ずれは、各色成分の色成分画像がスクリーン3上で適切に重畳しないことにより生じる。
【0031】
制御部20は、画像信号処理部210と、レジストレーション調整部220と、液晶パネル駆動部230とを有している。
【0032】
画像信号処理部210は、入力画像信号Dinに対し、画像信号の色温度を調整するホワイトバランス調整といわゆるガンマ補正とを行い、これらの画像処理が行われた画像信号(調整前データ)D1を生成する機能を有している。これにより、表示画像の画質が向上するような調整がなされるようになっている。
【0033】
レジストレーション調整部220は、スクリーン3上に投射された各原色光R、G、Bに対応する色成分画像の間で位置ずれが生じた場合に、ユーザーによる表示画像上の操作によって入力された調整値(補正情報)に応じて、そのような位置ずれが低減されるように画像信号D1を補正して、各原色光R、G、Bに対応する各色用の画像信号(調整後データ)D2を生成する。レジストレーション調整部220は、生成した画像信号D2を液晶パネル駆動部230へ供給する。このレジストレーション調整部220によって行われるレジストレーション調整処理(位置ずれ調整処理)は、各色成分画像の間の位置ずれが低減するように各原色光R、G、Bに対応する画像信号を補正する処理である。このレジストレーション調整処理により、各色成分画像の間の位置ずれが低減されて各色成分画像が適切に重畳する。レジストレーション調整部220は、本発明における表示制御部、及び補正部に相当する。
【0034】
レジストレーション調整部220は、各色成分画像の間の位置ずれによって生じる画質の劣化を、画像信号を補正することによって低減する。具体的に、レジストレーション調整部220は、調整前データD1によって表される補正前の画像の画素値に基づいて補間処理を行い、調整後データD2によって表される補正後の画像の画素値を算出する。ここで、位置ずれの大きさは1画素以上であっても良く(例えば、2画素)、1画素未満(例えば、0.5画素)であっても良い。また、整数と小数の組み合わせで表される大きさ(例えば、1.5画素)であっても良い。なお、このレジストレーション調整部220による調整処理の詳細については、後述する。
【0035】
液晶パネル駆動部230は、レジストレーション調整部220より供給される調整後データD2に基づいて、液晶パネル136R、136G、136Bをそれぞれ駆動する。
【0036】
入力操作部300は、プロジェクター1の筐体に設けられた複数の操作ボタンを含む。ユーザー5は、入力操作部300の操作ボタンを操作することで、位置ずれ調整の調整値を入力することができる。レジストレーション調整部220は、入力操作部300を介して入力された調整値に基づいて、レジストレーション調整処理を行う。この入力操作部300が、補正情報の入力を受け付ける入力部に相当する。なお、プロジェクター1を遠隔操作するリモコン等を用いて調整値を入力する構成であっても良い。この場合、ユーザー5はリモコンに設けられた操作ボタンにより、調整値の入力やプロジェクターの操作を行うことができる。リモコンを用いて調整値を入力可能な場合は、入力操作部300及びリモコンのいずれも本発明における入力部に相当する。
【0037】
次に、レジストレーション調整部220による調整処理について詳細に説明する。ここで、図2は、レジストレーション調整部220による調整処理の一例を流れ図で表したものである。また、図3は、プロジェクター1の使用例を表したものであり、図4〜図7は、図3に示したような使用例におけるレジストレーション調整処理の一例について表したものである。
【0038】
例えば図3に示したような使用状況の場合には、以下説明するようにしてレジストレーション調整が行われる。例えばプロジェクター1は、図4に示すようなレジストレーション調整画像(位置ずれ調整画像)32を表示する。レジストレーション調整画像32は、R、G、Bの位置ずれを確認するための画像で、例えば図4に示したような格子状の画像である。R、G、Bの位置ずれを調整しようとする際、ユーザー5は、まずレジストレーション調整画像32内における、調整したい位置を選択する(図2のステップS10)。このレジストレーション調整画像32において、格子点(図4の黒丸)はユーザー5が選択できる調整位置を表している。ユーザー5が選択した調整位置は、例えば格子点が矩形で囲まれることにより画面上で示される。ユーザー5は、入力操作部300のボタンを操作することで表示された矩形を上下左右に移動して、調整対象とする位置を選択することができる。また、矩形が特定の格子点の位置にある状態でユーザー5が入力操作部300の決定ボタン(不図示)を押下すると、矩形に囲まれている格子点が調整位置P1として決定される。
【0039】
図5は、ユーザー5が選択した調整位置P1における位置ずれの量及び方向が表示された例を示している。ユーザー5が選択した調整位置P1において、例えば図5に示したように、赤色光ラインL_R、緑色光ラインL_Gおよび青色光ラインL_Bのうち、緑色光ラインL_G及び青色光ラインL_Bの位置は一致しており、これらに対して赤色光ラインL_Rは右方向に0.6画素分、下方向に1.2画素分位置ずれが生じているものとする。
【0040】
次に、例えば図6に示したレジストレーション調整画像32上の調整用メニュー画像32B(補正情報設定画像)において、ユーザー5によって調整対象(補正対象)となる色(この場合、赤(R))が選択される(図2のステップS12)。同じく調整用メニュー画像32Bにおいて、ユーザー5によって位置ずれの調整方向(補正方向)、および、調整量(補正量)が設定される(図2のステップS14)。図6の例では、調整方向は上方向及び左方向であり、調整量はそれぞれ上方向に1.2画素、左方向に0.6画素である。調整用メニュー画像32Bは、第1の画像、第2の画像及び第3の画像のいずれかに対する、他の画像の位置ずれを低減させるための補正情報を設定するための画像である。また、補正情報には、調整対象となる色、位置ずれの調整方向及び調整量を特定する情報が含まれる。
【0041】
ここで、調整用メニュー画像32Bは、調整対象となる色を指定するための第1の領域(図6の「調整色」の項目)、及び調整量及び調整方向を指定するための第2の領域(図6の「調整値」の項目)を含む。また調整用メニュー画像32Bにおいては、調整方向と調整量を、4箇所に配置された数値(図6の「調整値」の項目に配置された数値)によって表す。「調整値」の項目には、それぞれ異なる位置に4つの数値が配置されている。これらの4つの数値のうち、第1の数値は他の数値よりも上方にあり、第2の数値は他の数値よりも下方にある。また、第3の数値は他の数値よりも右方にあり、第4の数値は他の数値よりも左方にある。これらの数値の配置される位置は位置ずれの調整方向を表し、数値が示す値は位置ずれの調整量を表す。例えば図6に示した例では、4箇所に配置された数値のうち、最も上方に配置された第1の数値には1.2、最も左方に配置された第4の数値には0.6が設定される。また、最も下方に配置された第2の数値、及び最も右方に配置された第3の数値には0が設定される。これは上方向に1.2画素、左方向に0.6画素の調整を行うことを示している。換言すると、「調整値」の項目におけるある数値の、他の数値に対する相対的な位置(例えば、第1の数値の場合は上方)が、位置ずれの調整方向を表している。
【0042】
選択された調整位置における調整値の設定が終了すると、レジストレーション調整部220は、このような選択処理及び指定処理が完了したか否かを判断する(図2のステップS16)。ユーザー5により、まだ完了していない旨の指示がなされた場合には(図2のステップS16:N)、ステップS10へと戻って再びステップS10〜S14の選択処理及び指定処理を繰り返す。一方、ユーザー5により、選択処理及び指定処理が完了した旨の指示がなされた場合には(図2のステップS16:Y)、次に、選択及び指定された内容に基づいて実際のレジストレーション調整処理が行われる(図2のステップS18)。そして全体の調整処理を終了するか否かの判断がレジストレーション調整部220によりなされ(図2のステップS20)、ユーザー5によって全体調整処理をまだ終了しない旨の指示がなされた場合には(図2のステップS20:N)、ステップS10へと戻って再びステップS10〜S18の処理を繰り返す。一方、例えば、画面全体にわたって、図7に示したように赤光ラインL_Rの位置ずれによる色ずれが低減(解消)された場合には、ユーザー5によって全体の調整処理を終了する旨の指示がなされ(図2のステップS20:Y)、全体の調整処理が終了となる。
【0043】
このようにしてレジストレーション調整部220は、スクリーン3上に投射された各原色光R、G、B間で位置ずれが生じた場合に、ユーザー5によって入力された調整値等に応じてそのような位置ずれが低減されるように各原色光R、G、Bに対応する各色用の画像信号D1の補正を行い(レジストレーション調整を行い)、補正後の画像信号D2が液晶パネル136R,136G,136Bへ供給される。これにより、各原色光R、G、B間の位置ずれによる色ずれの発生が抑えられ、表示画質が向上する。なおこの補正は、位置ずれの原因となる色成分の光に対応する、少なくとも1つの画像信号について行えば良い。例えば本実施形態においては、赤色成分の光が位置ずれの原因となっているため、赤色成分に対応する画像信号について補正を行っている。
このように、レジストレーション調整部220は、第1の画像、第2の画像又は第3の画像のいずれか(例えば、第1の画像)に対する、他の画像(例えば、第2の画像)の位置ずれを低減させるための補正情報を設定するための補正情報設定画像を表示させる表示制御部として機能する。またレジストレーション調整部220は、補正情報に基づいて、第1の画像、第2の画像又は第3の画像のいずれか(例えば、第1の画像)に対する、他の画像(例えば、第2の画像)の位置ずれが低減されるように、当該他の画像に対応する画像信号(例えば、第2の画像信号)の補正を行い、補正後の画像信号を当該他の画像に対応する光変調装置(例えば、第2の光変調装置)へ供給する補正部として機能する。
【0044】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
第1実施形態では、プロジェクター1からスクリーン3上に投射された画像(表示画像31)を、ユーザー5が、スクリーン3に対してプロジェクター1と同じ側から観賞する態様を示した。これに対して本実施態様では、プロジェクター1Aからスクリーン3上に投射された画像(表示画像33)を、ユーザー5がスクリーン3に対してプロジェクター1Aと反対側から観賞するようになっている。
【0045】
例えば図8に示したように、プロジェクター1Aからスクリーン3上に投射された画像(表示画像33)を、ユーザー5が、スクリーン3に対してプロジェクター1Aと反対側から見るような使用状況の場合には、ユーザー5はそのままでは正常な向きの画像を見ることができない(投射された画像は、水平方向に沿って逆向きの画像となる)。このような場合でもユーザー5が適切に画像を鑑賞することができるように、本実施形態では、画像信号処理部210が水平方向の画像反転処理を行うことができる構成となっている。より具体的に、本実施形態において、ユーザー5は、例えば図13から図14に示したようなメニュー画面において、水平方向の画像反転機能を「ON」にするような操作入力を行うことができる。この画像反転処理により、例えば図8の表示画像33を表す入力画像信号Dinに対して、水平方向の画像反転処理がなされ、図9の表示画像34に示したような画像に変換される。この画像反転処理が行われることで、ユーザー5は正常な向きの画像を見ることができるようになる。
以下では、本実施形態における、レジストレーション調整部220による調整処理について詳細に説明する。ここで、図10から図14は、図9に示したような使用例におけるレジストレーション調整処理の一例の中で、ユーザー5の方向から見える画像を表したものである。
【0046】
例えばプロジェクター1Aは、図10に示すようなレジストレーション調整画像(位置ずれ調整画像)35を表示する。ユーザー5は、レジストレーション調整画像35が表示された状態で、調整対象とする位置を選択する(図2のステップS10)。例えば、図10の調整位置P2を、ユーザー5が選択した調整位置とする。調整位置P2は、第1実施形態においてユーザー5が選択した調整位置P1(図4)の水平方向の画像反転後の位置に対応する。この場合、水平方向の画像反転を行っているため、図11に示したように、赤色光ラインL_R、緑色光ラインL_Gおよび青色光ラインL_Bのうち、緑色ラインL_G及び青色光ラインL_Bの位置は一致しており、これらに対して赤色光ラインL_R は、左方向に0.6画素分、下方向に1.2画素分位置ずれが生じている。
【0047】
まず、例えば図12に示したようなレジストレーション調整画像35上の調整用メニュー画像35B(補正情報設定画像)において、ユーザー5によって調整対象となる色(この場合、赤(R))が選択される(図2のステップS12)。同じく調整用メニュー画像35Bにおいて、ユーザー5によって位置ずれの調整方向、および調整量が設定される(この場合、調整方向は上方向及び右方向であり、調整量は上方向に1.2画素、右方向に0.6画素)(図2のステップS14)。ここで、調整用メニュー画像35Bにおいては、第1実施形態と同様に、調整方向と調整量を、4箇所に配置された数値とその位置によって表す。数値は上下左右の4箇所に配置され、数値の配置される位置が調整方向を表し、数値が調整量を表す。例えば今回の例では、4箇所に配置された数値のうち、上に配置された数値には1.2、右に配置された数値には0.6が設定される。そして、設定された位置ずれの調整方向及び調整量に基づいて、レジストレーション調整部220が位置ずれ調整処理を行う。
【0048】
実施形態1では、図3に示すように、ユーザー5が確認できる位置ずれ補正の調整方向とプロジェクター1の位置ずれ補正の調整方向は一致する。しかし、本実施形態では、図9に示すように、ユーザー5が確認できる位置ずれ補正の調整方向とプロジェクター1の位置ずれ補正の調整方向は水平方向に沿って逆になってしまう。これは、画像反転処理を実行している場合においても、各原色光R、G、B間での位置ずれによる色ずれの方向は、色ずれがハードウェア上のものであることから、画像反転をする前と変わらないためである。
【0049】
本実施の形態の液晶プロジェクター1では、例えば図12に示したレジストレーション調整画像35上の調整用メニュー画像35Bのように、調整方向と調整量を4箇所に配置された数値によって表す。数値は上下左右の4箇所に配置され、数値が配置される位置が調整方向を表し、数値が調整量を表す。これにより、例えば図12に示したように、レジストレーション調整画像35上でユーザー5から見える調整方向と、プロジェクター1の位置ずれ補正の調整方向と、上記調整用メニュー画像35Bで調整量の数値が配置される位置の方向とが水平方向で一致するため、表示画像内で画像反転がなされるような使用状況(この場合、水平方向の画像反転がなされる使用状況)であっても、レジストレーション調整の際に、ユーザー5による調整値の入力操作が容易となる。
【0050】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態のプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
第3実施形態においては、プロジェクター1Bが、第1実施形態に係るプロジェクター1を90度回転させたような状態で画像を投射するものとする。
【0051】
例えば図15に示したように、プロジェクター1Bは、第1実施形態に係るプロジェクター1を90度回転させたような状態で設置されている。この使用状況では、ユーザー5は、スクリーン3上に90度回転して投射された画像(表示画像36)を見ることとなる。従ってユーザー5は、そのままでは正常な向きの画像を見ることができない(90度回転した画像を見ることになる)。このような場合でもユーザー5が適切に画像を鑑賞することができるように、本実施形態では、プロジェクター1Bが表示する表示画像37の縦と横の比率が、プロジェクター1Bを回転しないで設置する使用状況(図3の使用状況)で表示される画像の横と縦の比率と一致するように、画像信号処理部210が90度の画像回転処理を行うことができる構成となっている。より具体的に、本実施形態において、ユーザー5は、例えば図20から図21に示したような調整用メニュー画像において、画像回転機能を「90°」にするような操作入力を行うことができる。この画像回転処理により、例えば図15の表示画像36に示した表示となる入力画像信号Dinは、縦と横の比率の変更と水平方向の画像反転処理がなされ、図16の表示画像37に示したような画像に変換される。この画像反転処理が行われることで、ユーザー5は正常な向きの画像を見ることができるようになる。
以下では、本実施形態における、レジストレーション調整部220による調整処理について詳細に説明する。
【0052】
例えばプロジェクター1Bは、図17に示すようなレジストレーション調整画像(位置ずれ調整画像)38を表示する。ユーザー5は、レジストレーション調整画像38が表示された状態で、調整対象とする位置を選択する(図2のステップS10)。例えば、図17の調整位置P3を、ユーザー5が選択した調整位置とする。調整位置P3は、第1実施形態においてユーザー5が選択した調整位置P1(図4)の90度の画像回転後の位置に対応する。この場合には90度の画像回転を行っているため、図18に示したような、赤色光ラインL_R、緑色光ラインL_Gおよび青色光ラインL_Bのうち、緑色ラインL_G及び青色ラインL_Bの位置は一致しており、これらに対して赤色光ラインL_Rは、左方向に1.2画素分、下方向に0.6画素分位置ずれが生じている。
【0053】
まず、例えば図19に示したようなレジストレーション調整画像38上の調整用メニュー画像38B(補正情報設定画像)において、ユーザー5によって調整対象となる色(この場合、赤(R))が選択される(図2のステップS12)。同じく調整用メニュー画像38Bにおいて、ユーザー5によって位置ずれの調整方向、および調整量が設定される(この場合、調整方向は上方向及び右方向であり、調整量は上方向に0.6画素、右方向に1.2画素)(図2のステップS14)。ここで、調整用メニュー画像38Bにおいては、第1実施形態と同様に、調整方向と調整量を4箇所に配置された数値とその位置によって表す。数値は上下左右の4箇所に配置され、数値が配置される位置が調整方向を表し、数値が調整量を表す。例えば今回の例では、4箇所に配置された数値のうち、上に配置された数値には0.6、右に配置された数値には1.2が設定される。そして、設定された位置ずれの調整方向及び調整量に基づいて、レジストレーション調整部220が位置ずれ調整処理を行う。
【0054】
実施形態1では、図3に示すように、ユーザー5が確認できる位置ずれ補正の調整方向とプロジェクター1の位置ずれ補正の調整方向は一致する。しかし、本実施形態では、図15に示すように、ユーザー5が確認できる位置ずれ補正の調整方向とプロジェクター1の位置ずれ補正の調整方向は水平方向と垂直方向が入れ替わってしまう。これは、画像回転処理を実行している場合においても、各原色光R ,G、B間での位置ずれによる色ずれの方向は、色ずれがハードウェア上のものであることから、画像回転をする前と変わらないためである。
【0055】
本実施の形態のプロジェクター1Bでは、例えば図19に示した表示画像(レジストレーション調整画像38)上の調整用メニュー画像38Bのように、調整方向と調整量を4箇所に配置された数値によって表す。数値は上下左右の4箇所に配置され、数値が配置される位置が調整方向を表し、数値が調整量を表す。これにより、例えば図19に示したように、表示画像(レジストレーション調整画像38)上でユーザー5から見える調整方向と、プロジェクター1Bの位置ずれ調整の調整方向と、上記調整用メニュー画像38Bで調整量の数値が配置される位置の方向とが一致することになるため、表示画像内で画像回転がなされるような使用状況(この場合、90度の画像回転がなされる使用状況)であっても、レジストレーション調整の際に、ユーザー5による調整値の入力操作が容易となる。
【0056】
(第4実施形態)
第1実施形態では、レジストレーション調整の際、調整用メニュー画像をレジストレーション調整画像上の画面中央付近に1箇所表示し、その中に調整色、および、調整値を表示していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る第4実施形態における投射型表示装置の構成は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略するが、第4実施形態では、上記調整用メニュー画像をユーザー5が選択した調整対象とする位置の近傍に表示する。さらに、現在の調整対象とする位置に調整用メニュー画像を表示するだけでなく、それまでに調整対象とした位置の近傍にも、その位置に対応する調整色、および、調整値を表示する。
【0057】
第4実施形態における、レジストレーション調整部220による調整処理について詳細に説明する。
例えば第1実施形態の図3に示したような使用状況の場合には、以下説明するようにしてレジストレーション調整が行われる。例えば図22に示したレジストレーション調整画像39を表示する。ユーザー5は、調整対象とする位置を選択する(図2のステップS10)。ユーザー5が選択した調整位置は、例えば格子点が矩形で囲まれることにより示される。ユーザー5は、表示された矩形を上下左右に移動して、調整対象とする位置を選択する。ユーザー5が選択した調整位置P4において、例えば図5に示したように、赤色光ラインL_R、緑色光ラインL_Gおよび青色光ラインL_Bのうち、赤色光ラインL_Rが右方向に0.6画素分、下方向に1.2画素分位置ずれが生じているものとする。
【0058】
ここで、ユーザー5が調整対象とする位置を選択すると、選択された位置の近傍に例えば図22に示した調整用メニュー画像39A(補正情報生成画像)が表示される。ここで、選択された位置の近傍とは、レジストレーション調整画像39において、ユーザー5が選択した調整位置(例えばこの例では調整位置P4)と、選択された調整位置(調整位置P4)に隣接する選択可能な調整位置(図23の格子点PR)の間の領域であることが望ましい。
【0059】
次に、例えば図23に示した調整画面39上の調整用メニュー画像39B(補正情報生成画像)において、ユーザー5によって調整対象となる色(この場合、赤(R))が選択される(図2のステップS12)。同じく調整用メニュー画像39Bにおいて、ユーザー5によって調整方向、および、調整量が設定される(この場合、調整方向は上方向及び左方向であり、調整量は上方向に1.2画素、左方向に0.6画素)(図2のステップS14)。ここで、調整用メニュー画像39Bにおいては、調整方向と調整量を4箇所に配置された数値によって表す。数値は上下左右の4箇所に配置され、数値の配置される位置が調整方向を表し、数値が調整量を表す。例えば今回の例では、4箇所に配置された数値のうち、上に配置された数値には1.2、左に配置された数値には0.6が設定される。
選択された調整位置の調整値の設定が終了すると、例えば図24に示された調整画像39上の調整用メニュー画像39Bに、この調整位置に対応する調整色、および、調整値が表示される。
【0060】
次に、レジストレーション調整部220では、このような選択処理及び指定処理が完了したか否かを判断する(図2のステップS16)。ユーザー5により、まだ完了していない旨の指示がなされた場合には(図2のステップS16:N)、ステップS10へと戻って再びステップS10〜S14の選択・指定処理を繰り返す。
ユーザー5は、次の調整対象とする位置を選択する(図2のステップS10)。図24に示されるように、ユーザー5が選択した調整位置P5は、例えば格子点が矩形で囲まれることにより示される。
ユーザー5が調整対象とする位置を選択すると、例えば図24に示すように選択された調整位置P5の近傍に調整用メニュー画像39C(補正情報生成画像)が新たに表示される。ユーザー5が選択した調整位置P5において、赤色光ラインL_R、緑色光ラインL_Gおよび青色光ラインL_Bのうち、緑色ラインL_G及び青色ラインL_Bの位置は一致しており、これらに対して赤色光ラインL_R が左方向に0.4画素分、下方向に0.6画素分位置ずれが生じているものとする。
【0061】
次に、例えば図24に示した調整用メニュー画像39Cにおいて、ユーザー5によって調整対象となる色(この場合、赤(R))が選択される(図2のステップS12)。同じく調整用メニュー画像39Cにおいて、ユーザー5によって調整方向、および、調整量が設定される(図2のステップS14)。例えば今回の例では、4箇所に配置された数値の内、上に配置された数値には0.6、右に配置された数値には0.4が設定される。
【0062】
さらに、ユーザー5により、まだ、このような選択処理及び指定処理が完了していない旨の指示がなされた場合には(図2のステップS16:N)、ステップS10へと戻って再びステップS10〜S14の選択・指定処理を繰り返す。例えば、図25に示すように、次に調整対象とする位置P6の選択、調整用メニュー画像39D(補正情報生成画像)において調整色、調整方向、調整量が設定される。
【0063】
一方、ユーザー5により、完了した旨の指示がなされた場合には(図2のステップS16:Y)、次に、選択及び指定された内容に基づいて実際のレジストレーション調整処理が行われる(図2のステップS18)。そして全体の調整処理を終了するか否かの判断がレジストレーション調整部220によりなされ(図2のステップS20)、ユーザー5によって全体調整処理をまだ終了しない旨の指示がなされた場合には(図2のステップS20:N)、ステップS10へと戻って再びステップS10〜S18の処理を繰り返す一方、例えば、画面全体にわたって、図7に示したように赤光ラインL_Rの位置ずれによる色ずれが低減(解消)された場合には、ユーザー5によって全体の調整処理を終了する旨の指示がなされ(図2のステップS20:Y)、全体の調整処理が終了となる。
【0064】
本実施の形態のプロジェクター1では、例えば図25に示した位置ずれ調整画像39上の調整用メニュー画像39Bのように、調整方向と調整量を4箇所に配置された数値によって表す。さらに、調整用メニュー画像は、調整対象とする位置の近傍に表示されるため、ユーザー5は調整用メニュー画像の中に表示された調整色、および、調整値が対象としている調整位置を簡単に対応付けることができる。
また、調整用メニュー画像は、ユーザー5が調整を行った1箇所以上の調整点にそれぞれ表示される。これによって、ユーザー5は既に選択及び指定が終了している調整対象の調整位置、調整色、および、調整値を参照しながら、効率的に新しい調整対象の選択・指定を行うことができ、ユーザー5による調整値の入力操作が容易となる。
【0065】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0066】
上記実施形態のプロジェクターでは、光変調装置として、透過型の液晶パネルを用いているが、反射型の液晶パネル等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0067】
上記実施形態のプロジェクターでは、光変調装置である液晶パネルを3つ用いているが、光変調装置の数はこれに限られない。プロジェクターが備える光変調装置の数は2つでも良く、4つ以上であっても良い。プロジェクターが備える光変調装置の数が2つ以上であれば、各光変調装置が対応する色成分画像の間で生じる位置ずれを低減するために本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…プロジェクター、3…スクリーン、5…ユーザー、10…画像表示部、20…制御部、110…光源装置、112…光源、114…1対のレンズアレイ、116…重畳レンズ、120…光変調部、122、124…ダイクロイックミラー、126、128、130…反射ミラー、132、134…リレーレンズ、136R、136G、136B…液晶パネル、138…ダイクロイックプリズム、140…投射光学系、210…画像信号処理部、220…レジストレーション調整部、230…液晶パネル駆動部、Din…入力画像信号、D1…画像信号(調整前)、D2…画像信号(調整後)、R…赤色光、G…緑色光、B…青色光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から発せられた光のうち、第1の色成分の光を第1の画像信号に基づいて変調する第1の光変調装置と、
前記光源から発せられた光のうち、第2の色成分の光を第2の画像信号に基づいて変調する第2の光変調装置と、
前記第1の光変調装置、及び前記第2の光変調装置により変調された光を投射面に投射し、前記第1の色成分に対応する第1の画像、及び前記第2の色成分に対応する第2の画像を表示する投射部と、
前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれを低減させるための補正情報を設定するための補正情報設定画像を表示させる表示制御部と、
前記補正情報の入力を受け付ける入力部と、
前記補正情報に基づいて、前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれが低減されるように前記第2の画像信号の補正を行う補正部と、を備え、
前記補正情報設定画像は、前記補正情報に対応する補正量を数値で示し、前記補正情報に対応する補正方向を、前記補正量が表示される位置で示すことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記表示制御部は、前記補正情報を表示画像内の補正対象とする位置の近傍に表示する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記表示制御部は、複数の前記補正情報設定画像を表示する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記補正情報設定画像は、補正対象となる色を指定するための第1の領域、及び前記補正量及び前記補正方向を指定するための第2の領域を含む、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2の領域は、第1の数値、第2の数値、第3の数値及び第4の数値を含み、
前記第1の数値、前記第2の数値、前記第3の数値、及び前記第4の数値は、他の数値に対する当該数値の相対的な位置が、前記補正方向を表す、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
光源と、前記光源から発せられた光のうち、第1の色成分の光を第1の画像信号に基づいて変調する第1の光変調装置と、前記光源から発せられた光のうち、第2の色成分の光を第2の画像信号に基づいて変調する第2の光変調装置と、前記第1の光変調装置、及び前記第2の光変調装置により変調された光を投射面に投射し、前記第1の色成分に対応する第1の画像、及び前記第2の色成分に対応する第2の画像を表示する投射部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれを低減させるための補正情報を設定するための補正情報設定画像を表示させ、
前記補正情報の入力を受け付け、
前記補正情報に基づいて、前記第1の画像に対する前記第2の画像の位置ずれが低減されるように前記第2の画像信号の補正を行い、
前記補正情報設定画像は、前記補正情報に対応する補正量を数値で示し、前記補正情報に対応する示す補正方向を、前記補正量が表示される位置で示すことを特徴とする、プロジェクターの制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターの制御方法において、前記補正情報設定画像を、表示画像内の補正対象とする位置の近傍に表示する、
ことを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のプロジェクターの制御方法において、
複数の前記補正情報設定画像を表示させる、
ことを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載のプロジェクターの制御方法において、
前記補正情報設定画像は、補正対象となる色を指定するための第1の領域、及び前記補正量及び前記補正方向を指定するための第2の領域を含む、
ことを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載のプロジェクターの制御方法において、
前記第2の領域は、第1の数値、第2の数値、第3の数値及び第4の数値を含み、
前記第1の数値、前記第2の数値、前記第3の数値、及び前記第4の数値は、他の数値に対する当該数値の相対的な位置が、前記補正方向を表す、
ことを特徴とするプロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−105170(P2013−105170A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251340(P2011−251340)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】