説明

プロジェクターおよびプログラム

【課題】ユーザーの嗜好や使用用途に応じて、OSDメニュー画面のスタイルを自由に変更することができるプロジェクター等を提供する。
【解決手段】OSDメニュー画面をスクリーンSC上に投写する投写光学系19と、OSDメニュー画面の画面要素(画面レイアウト,メニュー項目)を複数記憶したOSD用メモリー13と、複数の画面要素の中から、1以上の画面要素を選択するための操作部12と、操作部12による1以上の画面要素の選択結果に応じて、OSDメニュー画面をカスタマイズするOSD処理部14と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種設定値の表示および変更を行うためのOSDメニュー画面を表示可能なプロジェクターおよびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターは、画像調整に関する設定値など各種設定値の表示および変更を行う際、OSD(On Screen Display)メニュー画面をスクリーン上に表示する必要がある。近年、このプロジェクターの使用用途は、プレゼンテーションだけでなく、家庭における映画鑑賞やゲーム画面の投写など、拡大の傾向にある。そのため、プロジェクターの設定も、使用用途に応じて変更される機会が多くなっている。そこで、ユーザー毎の設定値を記憶しておき、これを読み出すことで、ユーザーの嗜好に応じた映像を簡単に投写することができるプロジェクターが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−122651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のとおり、OSDメニュー画面は、プロジェクターの使用には欠かせない要素である。しかしながら、従来のプロジェクターでは、このOSDメニュー画面をユーザーの嗜好に合わせて変更することができなかった。例えば、ユーザーによっては、従来のOSDメニュー画面のスタイルは画一的で親近感が持てないため、カスタマイズしたいといった要望がある。また、OSDメニュー画面のメニュー項目の中には、使用用途に応じて、頻繁に利用されるものとそうでないものとが存在する。このため、不要なメニュー項目を削除したいといった要望もある。しかしながら、そのような要望に応えられるプロジェクターは、未だ存在しない。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、ユーザーの嗜好や使用用途に応じて、OSDメニュー画面のスタイルを自由に変更することができるプロジェクターおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、OSDメニュー画面をスクリーン上に投写する投写手段と、OSDメニュー画面の画面要素を複数記憶した画面要素記憶手段と、複数の画面要素の中から、1以上の画面要素を選択するための選択手段と、選択手段の選択結果に応じて、OSDメニュー画面をカスタマイズするカスタマイズ手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ユーザーが画面要素を選択することにより、ユーザーの嗜好や使用用途に適したOSDメニュー画面に変更することができる。
なお、「画面要素」とは、OSDメニュー画面を構成する構成要素を指すものであり、具体的には、画面レイアウト(画面、アイコン、背景、文字などのデザイン、色およびサイズの他)やメニュー項目などが挙げられる。
【0008】
上記に記載のプロジェクターにおいて、選択手段の選択結果を不揮発に記憶する選択結果記憶手段をさらに備え、カスタマイズ手段は、選択結果記憶手段を参照して、OSDメニュー画面を生成することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ユーザーの選択結果が不揮発に記憶されるため、電源を投入するたびに選択を行う必要が無く、ユーザーの嗜好や使用用途に適したOSDメニュー画面を簡単に投写させることができる。
【0010】
上記に記載のプロジェクターにおいて、画面要素は、OSDメニュー画面のトップメニューとして表示するメニュー項目であることが好ましい。
【0011】
上記に記載のプロジェクターにおいて、メニュー項目は、メインメニューと、当該メインメニューの下位階層にあるサブメニューと、から成り、選択手段は、メインメニューおよびサブメニューの中から、1以上のメニュー項目を選択することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザーの嗜好や使用用途に適したメニュー項目のみを、OSDメニュー画面に表示させることができる。また、メインメニューおよびサブメニューの中から、所望のメニュー項目を選択できるため、使用頻度が高いサブメニューを画面要素として選択しておけば、OSDメニュー画面のトップメニューとしてサブメニューを表示させることができ、階層を下るための操作を必要とすることなく、1回の選択操作でそのサブメニューを選択することができる。
なお、メニュー項目が、メインメニューと、複数階層のサブメニューと、から成る場合、選択手段は、第3階層以下のサブメニューからも選択可能であることが好ましい。
【0013】
上記に記載のプロジェクターにおいて、選択結果記憶手段は、複数のユーザーの選択結果を記憶可能であり、各ユーザーの選択結果である1以上のメニュー項目と共に、各メニュー項目の設定値を不揮発に記憶することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ユーザー毎に、各ユーザーが選択した1以上のメニュー項目と、それらの設定値と、を記憶するため、1台のプロジェクターを複数人で共有する場合に便利である。また、一人のユーザーが、使用用途毎に、メニュー項目および設定値を記憶させておきたい場合にも、利用可能である。
【0015】
上記に記載のプロジェクターにおいて、各メニュー項目の使用頻度を計測する使用頻度計測手段と、使用頻度計測手段の計測結果に基づいて、使用頻度の高いメニュー項目を抽出した項目リストを生成する項目リスト生成手段をさらに備え、選択手段は、スクリーン上に表示された項目リストの中から、1以上のメニュー項目を選択することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、使用頻度の高いメニュー項目を抽出した項目リストが表示されるため、ユーザーは、自分に必要なメニュー項目を把握することができ、容易に1以上のメニュー項目を選択することができる。
なお、1台のプロジェクターが複数人で共有される場合は、ユーザー毎に、使用頻度を計測し、各ユーザーに適した項目リストを生成することが好ましい。
【0017】
上記に記載のプロジェクターにおいて、画面要素は、使用目的に対応したOSDメニュー画面の画面レイアウトと、メニュー項目であり、選択手段による画面レイアウトの選択結果に応じて、選択を推奨するメニュー項目を抽出した推奨リストを生成する推奨リスト生成手段をさらに備え、選択手段は、スクリーン上に表示された推奨リストを書き替えることにより、1以上のメニュー項目を選択することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、画面レイアウトの選択結果に応じた推奨リストが表示されるため、ユーザーは、使用用途に適したメニュー項目を把握することができ、容易に1以上のメニュー項目を選択することができる。また、メニュー項目の選択は、推奨リストを書き替えれば良いため、推奨リストどおりで良い場合は選択操作を必要とすることがなく、ユーザーの手間を省くことができる。
【0019】
本発明のプログラムは、コンピューターを、上記のいずれか1項に記載のプロジェクターにおける各手段として機能させるためのものであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、ユーザーの嗜好や使用用途に応じて、OSDメニュー画面のスタイルを自由に変更することができるプロジェクターを実現するためのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクターの構成を示すブロック図である。
【図2】OSDメニュー画面のカスタマイズ処理を示すフローチャートである。
【図3】標準のOSDメニュー画面の表示例と、メニュー項目の階層構成を示す図である。
【図4】OSDメニュー画面をカスタマイズするための選択画面の表示例([ユーザ切替]、[レイアウト])を示す図である。
【図5】OSDメニュー画面をカスタマイズするための選択画面の表示例([項目設定]、[おまかせ設定])を示す図である。
【図6】カスタマイズされたOSDメニュー画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るプロジェクターおよびプログラムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のプロジェクターは、OSDメニュー画面をスクリーン上に投写して環境設定(各種設定値の設定)が行われる。この場合、ユーザーは、登録しておいたユーザー名を指定することで、自分用にカスタマイズされたOSDメニュー画面を表示できるようになっている。
【0023】
図1は、プロジェクター10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、プロジェクター10は、信号入力部11、操作部12、OSD用メモリー13、OSD処理部14、画像処理部15、中央制御部16、制御用メモリー17、投写制御部18および投写光学系19を備えている。
【0024】
信号入力部11は、パーソナルコンピューターやビデオレコーダ等の外部機器71から画像信号を入力する。すなわち、信号入力部11は、パーソナルコンピューターから出力されたRGB信号やビデオレコーダから出力されたコンポジット信号を受信するインターフェースにより実現される。
【0025】
操作部12は、ユーザーが各種設定および操作を行うためのものであり、プロジェクター10本体に備えられた操作パネルやリモコン(いずれも図示省略)により実現される。請求項における「選択手段」とは、操作部12を指す。本実施形態においては、主にOSDメニュー画面30(図3(a)参照)をカスタマイズするための選択操作や、OSDメニュー画面30の表示指示を行うために用いられる。
【0026】
OSD用メモリー13は、OSDメニュー画面30のカスタマイズ処理に用いられる各種データを不揮発且つ書き替え不能に記憶するものであり、画面レイアウト記憶部13aと、メニュー項目記憶部13bと、を有する。請求項における「画面要素」とは、これら画面レイアウトおよびメニュー項目を指す。また、請求項における「画面要素記憶手段」とは、OSD用メモリー13を指す。
【0027】
画面レイアウト記憶部13aは、OSDメニュー画面30の画面レイアウトを複数種類記憶している。画面レイアウトとしては、「動画用」(図6(a)参照)、「PC用」(図6(b)参照)などがある。前者の場合、設定値表示領域33がフィルム風のスタイルとなり、後者の場合、設定値表示領域33がウィンドウフレーム風のスタイルとなる。つまり、画面レイアウト記憶部13aは、画面レイアウトとして、OSDメニュー画面30の枠、アイコン、背景、文字などのデザイン、色およびサイズを規定した画像データを記憶する。
【0028】
一方、メニュー項目記憶部13bは、OSDメニュー画面30に表示する複数のメニュー項目を記憶している。メニュー項目は、メインメニューと、当該メインメニューの下位階層にあるサブメニューと、から成る。ユーザーは、これらメインメニューおよびサブメニューの中から、OSDメニュー画面30のトップメニュー(トップメニュー表示領域31,図3(a)参照)として表示するメニュー項目を選択可能となっている。
【0029】
OSD処理部14は、中央制御部16からの制御信号に基づき、OSDメニュー画面30のカスタマイズ処理および表示処理を実行する。請求項における「投写手段」とは、OSD処理部14、並びに後述する投写制御部18および投写光学系19を指す。また、請求項における「カスタマイズ手段」とは、OSD処理部14を指す。OSD処理部14は、具体的に、操作部12により選択された画面レイアウトやメニュー項目の選択結果に応じて、OSDメニュー画面30をカスタマイズする。つまり、ユーザーの選択結果に応じて、OSDメニュー画面30のスタイルやメニュー構成を変更する。また、ユーザーの選択結果(OSDメニュー画面30のカスタマイズ結果)は、後述する制御用メモリー17に不揮発に記憶されるため、操作部12の操作によりOSDメニュー画面30の表示指示があった場合、当該制御用メモリー17に記憶された選択結果を参照して、OSDメニュー画面30を生成し、画像処理部15にOSDメニュー画面30を送信する。
【0030】
画像処理部15は、信号入力部11により入力された画像信号に対し、予め記憶されている画像処理プログラムに基づいて、所定の画像処理を実行する。所定の画像処理としては、キーストーン歪補正処理、画質調整処理、画像サイズ調整処理、ガンマ補正処理、画像合成(重畳)処理等を行う。
【0031】
中央制御部16は、プロジェクター10全体を統括制御するものであり、使用頻度計測部16aと、項目リスト生成部16bと、推奨リスト生成部16cと、を有する。請求項における「使用頻度計測手段」、「項目リスト生成手段」および「推奨リスト生成手段」とは、中央制御部16を指す。
【0032】
使用頻度計測部16aは、OSDメニュー画面30における各メニュー項目の使用頻度を計測する。当該使用頻度計測部16aの計測結果は、後述する制御用メモリー17に不揮発に記憶される。項目リスト生成部16bは、使用頻度計測部16aの計測結果に基づいて、メニュー項目記憶部13bの中から使用頻度の高いメニュー項目を抽出し、項目リスト49(図5(b)参照)を生成する。また、推奨リスト生成部16cは、使用頻度計測部16aの計測結果と、OSDメニュー画面30のカスタマイズ処理の際にユーザーが選択した画面レイアウトの選択結果と、に基づいて、選択を推奨するメニュー項目を抽出し、推奨リスト55(選択項目,図5(b)参照)を生成する。画面レイアウトは、「動画用」や「PC用」など使用目的に対応しているため、その使用目的において一般に使用頻度が高いと考えられるメニュー項目を優先して、推奨リスト55を生成する。但し、その使用目的において一般に優先度が高いと考えられるメニュー項目であっても、使用頻度計測部16aの計測結果から対象となるユーザーの使用頻度が低いと判定した場合は、そのメニュー項目を除外して、推奨リスト55を生成する。なお、これら使用頻度計測部16a、項目リスト生成部16bおよび推奨リスト生成部16cは、カスタマイズ処理の際、ユーザーが設定方法として「おまかせ設定」を選択した場合に機能するものである。詳細については、後述する。
【0033】
制御用メモリー17は、中央制御部16の制御に用いられる制御データを不揮発且つ書き替え可能に記憶するものであり、選択結果記憶部17aと、使用回数記憶部17bと、を有する。請求項における「選択結果記憶手段」とは、選択結果記憶部17aを指す。
【0034】
選択結果記憶部17aは、操作部12により選択された画面レイアウトやメニュー項目の選択結果を不揮発に記憶する。これにより、ユーザーは、電源を投入するたびに選択操作(カスタマイズ操作)を行う必要が無く、登録しておいたユーザー名を指定するだけで、自分の嗜好や使用用途に適したOSDメニュー画面30を簡単に表示させることができる。また、使用回数記憶部17bは、OSDメニュー画面30における各メニュー項目の使用回数を、ユーザー毎に記憶する。上記の使用頻度計測部16aは、当該使用回数記憶部17bを参照して、各メニュー項目の使用頻度(使用回数の累計または使用割合)を計測する。
【0035】
投写制御部18は、OSD処理部14により処理されたOSDメニュー画面30や画像処理部15により処理された画像を、後述する液晶ライトバルブ23の各画素に対応する階調値を導出することにより、全画素の階調値からなる画像データを生成し、当該画像データに基づいて投写制御を行う。
【0036】
投写光学系19は、スクリーンSC上に、OSDメニュー画面30や映像を投写するものであり、ライトバルブ駆動部21と、光源部22と、3原色に対応した液晶ライトバルブ23(23R,23G,23B)と、投写レンズ24と、を有する。各液晶ライトバルブ23は、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。各透明基板の内面には、液晶に対して微小領域毎に駆動電圧を印加可能な透明電極が、画素としてマトリクス状に形成されている。ライトバルブ駆動部21は、液晶ライトバルブ23の各画素に、画像データに応じた駆動電圧を印加することにより、各画素の光透過率を設定する。つまり、光源部22から射出された照明光は、不図示の光分離光学系によって、R,G,Bの色光に分離された後、各色用の液晶ライトバルブ23を透過することによって変調される。また、変調された画像光は、不図示の光合成光学系(ダイクロイックプリズムなど)により画素毎に合成されてカラー画像化され、当該カラー画像化された画像光が投写レンズ24によって投写されることにより、スクリーンSC上にカラー映像が写し出される。
【0037】
次に、図2のフローチャートを参照し、OSDメニュー画面30のカスタマイズ処理について説明する。なお、同図において、細枠はユーザーの操作を示し、太枠はプロジェクター10の動作を示している。まず、ユーザーは、操作部12を用いて、ユーザー名を選択または新規作成する(S01)。過去に作成したOSDメニュー画面30の変更を行う場合は、ユーザー名を選択して変更を行い、OSDメニュー画面30を新規に作成する場合は、ユーザー名を新規作成する。
【0038】
続いて、ユーザーは、画面レイアウト記憶部13aに記憶されている複数種類の画面レイアウトの中から、好みの画面レイアウトを選択する(S02)。さらに、ユーザーは、「カスタム設定」または「おまかせ設定」のいずれかの設定方法を選択する(S03)。ここで、「カスタム設定」を希望する場合は、後述する[項目設定]ボタン(図5(a)参照)を押下する(S04)。プロジェクター10は、当該[項目設定]ボタンの押下をトリガとして、メニュー項目記憶部13bに記憶されているメニュー項目の一覧を表示する(S05)。ユーザーは、表示されたメニュー項目の一覧の中から、OSDメニュー画面30のトップメニューとして表示させたいメニュー項目を選択する(S06)。
【0039】
一方、設定方法としてユーザーが「おまかせ設定」を希望する場合は、後述する[おまかせ設定]ボタン(図5(b)参照)を押下する(S07)。プロジェクター10は、当該[おまかせ設定]ボタンの押下をトリガとして、項目リスト49および推奨リスト55を生成し(S08)、これらを表示する(S09)。なお、項目リスト49および推奨リスト55は、上記の項目リスト生成部16bおよび推奨リスト生成部16cによって生成されたものである。ユーザーは、表示された推奨リスト55を書き替える(推奨リスト55内のいずれかのメニュー項目を、項目リスト49に表示されたメニュー項目のいずれかと入れ替える)ことにより、OSDメニュー画面30のトップメニューとして表示させたいメニュー項目を選択する(S10)。
【0040】
S06,S10においてメニュー項目の選択を終えると、ユーザーは、後述する[設定終了]ボタンを押下し(S11)、設定を終了する。プロジェクター10は、当該[設定終了]ボタンの押下をトリガとして、OSDメニュー画面30のカスタマイズを行う(S12)。すなわち、ユーザー用にカスタマイズされたOSDメニュー画面30を生成する。また、カスタマイズ後は、ユーザー名と、当該ユーザーの選択結果と、を関連付けて、選択結果記憶部17aに保存する(S13)。
【0041】
次に、図3ないし図6に示す画面表示例を参照し、OSDメニュー画面30の画面要素を選択するための選択操作およびそのカスタマイズ結果について説明する。図3は、標準のOSDメニュー画面30(D01)の表示例と、メニュー項目の階層構成を示す図である。図3(a)に示すように、OSDメニュー画面30には、トップメニュー表示領域31と、画面情報表示領域32と、設定値表示領域33と、が設けられている。
【0042】
標準のOSDメニュー画面30(D01)のトップメニュー表示領域31には、トップメニューとして、映像の画質、明るさ、コントラストなどを調整するための[画質調整]ボタン、入力信号の選択および映像調整を行うための[映像]ボタン、台形補正や音量調整など各種設定を行うための[設定]ボタン、表示設定および設定場所に応じた設置モードなどを設定するための[拡張設定]ボタン、ネットワーク設定を行うための[ネットワーク]ボタン、光源ランプの累積使用時間や入力信号を表示させるための[情報]ボタン、OSDメニュー画面30(環境設定メニュー)の全項目を初期化するための[初期化]ボタン、が表示されている。
【0043】
画面情報表示領域32は、画面レイアウト名と、ユーザー名と、が表示される。また、設定値表示領域33は、選択されたトップメニューの階層下にあるサブメニューと、その設定値と、が表示される。また、表示を前画面に戻すための[戻る]アイコン34が表示される。ユーザーは環境設定を行う場合、まずトップメニュー表示領域31からトップメニューを選択し、設定値表示領域33からサブメニューを選択し、さらに選択した項目の設定値を変更して、操作部12に設けられた決定キー(図示省略)を押下する。
【0044】
図3(b)は、上記に示したトップメニューのうち、[画質調整]および[映像]のサブメニューを示したものである。同図に示すように、[画質調整]および[映像]は、いずれも2階層構成となっている。図3(a)にも示したとおり、トップメニュー[画質調整]が選択された場合は、設定値表示領域33に、[カラーモード]、[明るさ]・・・などのサブメニューと、その設定値が表示される。なお、サブメニュー[色の濃さ]および[色合い]については、現在投写されている映像信号に応じて表示される項目であるため、図3(a)に示したとおり、非表示となる場合がある。また、図3(b)に示すように、トップメニュー[映像]が選択された場合は、設定値表示領域33に、[自動調整]、[トラッキング]・・・などのサブメニューと、その設定値が表示される。
【0045】
図4および図5は、OSDメニュー画面30をカスタマイズするための選択画面40の表示例を示す図である。図4(a)は、ユーザー名を選択するための選択画面40(D11)の一例を示したものである。当該画面D11には、設定項目表示領域41と、ユーザー名表示領域42と、ヘルプ表示領域43と、が設けられている。設定項目表示領域41において、[ユーザー切替]ボタンが押下されると、ユーザー名表示領域42に、登録済みのユーザー名が表示される。なお、ユーザー名でなく、使用目的や使用場所を登録するようにしても良い。また、ヘルプ表示領域43には、選択方法についての説明が表示される。
【0046】
図4(b)は、画面レイアウトを選択するための選択画面40(D12)の一例を示したものである。当該画面D12には、設定項目表示領域41と、画面レイアウト表示領域44と、ヘルプ表示領域45と、が設けられている。設定項目表示領域41において、[レイアウト]ボタンが押下されると、画面レイアウト表示領域44に、画面レイアウトのイメージ図と、その説明が表示される。同図は、画面レイアウト「動画用」のイメージ図が表示された状態を示している。また、ヘルプ表示領域45には、選択方法についての説明が表示される。
【0047】
図5(a)は、「カスタム設定」によりメニュー項目を選択するための選択画面40(D13)の一例を示したものである。当該画面D13には、設定項目表示領域41と、項目リスト46と、選択項目表示領域47と、ヘルプ表示領域48と、が設けられている。設定項目表示領域41において、[項目設定]ボタンが押下されると、項目リスト46には、メニュー項目記憶部13bに記憶されているメニュー項目の一覧を表示する。ここでは、標準のOSDメニュー画面30(D01,図3(a)参照)のトップメニュー表示領域31に表示されるトップメニューのメニュー項目に続き、トップメニュー[画質調整]のサブメニューのメニュー項目が表示される(図3(b)参照)。他のトップメニューのサブメニューについては、操作部12のカーソルキーの操作により、も表示可能となっている。なお、項目リスト46には、画面D12における画面レイアウトの選択結果に関わらず、全てのメニュー項目(項目一覧)が表示される。選択項目表示領域47は、項目リスト46に表示された項目リストの中から、ユーザーが選択したメニュー項目を表示する。また、ヘルプ表示領域48には、選択方法についての説明が表示される。
【0048】
図5(b)は、「おまかせ設定」によりメニュー項目を選択するための選択画面40(D14)の一例を示したものである。当該画面D14には、設定項目表示領域41と、項目リスト49と、選択項目表示領域50(推奨リスト55)と、ヘルプ表示領域51,52と、が設けられている。設定項目表示領域41において、[おまかせ設定]ボタンが押下されると、項目リスト49には、使用頻度の高いメニュー項目が、その使用頻度の高い順に列記される。なお、図4(a)に示した画面D11において、ユーザー名が新規作成された場合は、ユーザー名に関わらず、当該プロジェクター10における各メニュー項目の使用回数に応じて、表示順序が決定される。また、画面D11において、登録済みのユーザー名が選択された場合は、当該ユーザー名が作成したOSDメニュー画面30における各メニュー項目の使用回数に応じて、表示順序が決定される。一方、選択項目表示領域50には、使用頻度計測部16aの計測結果と、図4(b)に示した画面D12において選択された画面レイアウトの選択結果と、に基づいて抽出した推奨リスト55が表示される。つまり、ユーザーは、推奨リスト55の書き替えが不要の場合は、そのまま決定キーを押下すればよく、選択項目の選択操作の手間を省くことができる。なお、ヘルプ表示領域51には、項目リスト49および選択項目表示領域50の補足説明が表示され、ヘルプ表示領域52には、選択方法についての説明が表示される。
【0049】
図6は、カスタマイズされたOSDメニュー画面30の表示例を示す図である。図6(a)は、画面レイアウト「動画用」が選択された場合であって、選択項目表示領域47,50において、[画質調整]、[映像]、[初期化]が選択された場合のOSDメニュー画面30(D21)の一例を示したものである。この場合、同図に示すように、トップメニュー表示領域31には、選択された上記3つのメニュー項目が表示され、画面情報表示領域32には、画面レイアウトの種類[動画]と、ユーザー名と、が表示される。また、設定値表示領域33は、選択された画面レイアウトの種類「動画用」に合わせて、フィルム風のスタイル(表示枠およびデザイン)となっている。また、選択項目表示領域47,50において選択されたメニュー項目には、全てサブメニューが存在するため、同画面D21でトップメニュー[画質調整]、[映像]、[初期化]のいずれかが選択されると、設定値表示領域33には、そのサブメニューが表示される。なお、選択項目表示領域47,50において選択されたメニュー項目にサブメニューが存在しない場合(選択項目表示領域47,50においてサブメニューが選択された場合など)は、その項目名と設定値のみが、設定値表示領域33に表示されることとなる。また、[戻る]アイコン34も、画面レイアウトの種類「動画用」に応じたデザインとなる。
【0050】
図6(b)は、画面レイアウト「PC用」が選択された場合であって、選択項目表示領域47,50において、[設定]、[ネットワーク]、[映像]、[初期化]が選択された場合のOSDメニュー画面30(D22)の一例を示したものである。この場合、同図に示すように、トップメニュー表示領域31には、選択された上記4つのメニュー項目が表示され、画面情報表示領域32には、画面レイアウトの種類[PC]と、ユーザー名と、が表示される。また、設定値表示領域33は、選択された画面レイアウトの種類「PC用」に合わせて、ウィンドウフレーム風のスタイルとなっており、[戻る]アイコン34も、画面レイアウトの種類「PC用」に応じたデザインとなる。
【0051】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、ユーザーが画面要素を選択することにより、ユーザーの嗜好や使用用途に適したOSDメニュー画面30を生成することができる。また、画面要素として、メニュー項目を選択できるため、ユーザーの嗜好や使用用途に適したメニュー項目のみを、OSDメニュー画面30に表示させることができる。また、メインメニューおよびサブメニューの中から、所望のメニュー項目を選択できるため、使用頻度が高いサブメニューを画面要素として選択しておけば、OSDメニュー画面30のトップメニューとしてサブメニューを表示させることができ、階層を下るための操作を必要とすることなく、1回の選択操作でそのサブメニューを選択することができる。
【0052】
また、選択結果記憶部17aは、複数のユーザーの選択結果を記憶可能であり、各ユーザーの選択結果である1以上のメニュー項目と共に、各メニュー項目の設定値を不揮発に記憶するため、1台のプロジェクター10を複数人で共有する場合に便利である。また、一人のユーザーが、使用目的や使用場所毎に、メニュー項目および設定値を記憶させておきたい場合にも、便利である。
【0053】
また、「おまかせ設定」の場合は、使用頻度の高いメニュー項目を抽出した項目リスト49が表示されるため、ユーザーは、自分に必要なメニュー項目を把握することができ、容易に1以上のメニュー項目を選択することができる。また、選択項目として、各メニュー項目の使用頻度と、画面レイアウトの選択結果に応じた推奨リスト55が表示されるため、ユーザーは、自分のニーズと使用目的に適したメニュー項目を把握することができ、容易に1以上のメニュー項目を選択することができる。また、メニュー項目の選択は、推奨リスト55を書き替えれば良いため、推奨リスト55どおりで良い場合は選択操作を必要とすることがなく、ユーザーの手間を省くことができる。
【0054】
なお、上記の実施形態では、「おまかせ設定」の場合に、使用頻度の高いメニュー項目を抽出した項目リスト49を表示するものとしたが、「カスタム設定」の場合も、使用頻度が高いと考えられる順に、項目リスト46(項目一覧)を表示しても良い。また、「カスタム設定」の場合も、画面レイアウトの選択結果に応じた項目リスト46を表示するようにしても良い。つまり、「動画用」や「PC用」などの画面レイアウトの選択結果に応じ、その使用目的において一般に使用頻度が高いと考えられるメニュー項目を優先して、項目リスト46を生成するようにしても良い。
【0055】
また、上記の実施形態では、「おまかせ設定」の場合に、使用頻度計測部16aの計測結果と、画面レイアウトの選択結果と、に基づいて抽出した推奨リスト55を表示するものとしたが、画面レイアウトの選択結果のみに基づいて抽出した推奨リスト55を表示しても良い。つまり、項目リスト49に使用頻度が反映され、推奨リスト55に画面レイアウトの選択結果が反映される、といった構成でも良い。
【0056】
また、上記の実施形態に示したプロジェクター10における各部をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをプロジェクター10の各部として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
10…プロジェクター 11…信号入力部 12…操作部 13…OSD用メモリー 14…OSD処理部 15…画像処理部 16…中央制御部 17…制御用メモリー 18…投写制御部 19…投写光学系 30…OSDメニュー画面 40…選択画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OSDメニュー画面をスクリーン上に投写する投写手段と、
前記OSDメニュー画面の画面要素を複数記憶した画面要素記憶手段と、
前記複数の画面要素の中から、1以上の画面要素を選択するための選択手段と、
前記選択手段の選択結果に応じて、前記OSDメニュー画面をカスタマイズするカスタマイズ手段と、を備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記選択手段の選択結果を不揮発に記憶する選択結果記憶手段をさらに備え、
前記カスタマイズ手段は、前記選択結果記憶手段を参照して、前記OSDメニュー画面を生成することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記画面要素は、前記OSDメニュー画面のトップメニューとして表示するメニュー項目であることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記メニュー項目は、メインメニューと、当該メインメニューの下位階層にあるサブメニューと、から成り、
前記選択手段は、前記メインメニューおよび前記サブメニューの中から、1以上のメニュー項目を選択することを特徴とする請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記選択結果記憶手段は、複数のユーザーの選択結果を記憶可能であり、各ユーザーの選択結果である1以上のメニュー項目と共に、各メニュー項目の設定値を不揮発に記憶することを特徴とする請求項3または4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
各メニュー項目の使用頻度を計測する使用頻度計測手段と、
前記使用頻度計測手段の計測結果に基づいて、使用頻度の高いメニュー項目を抽出した項目リストを生成する項目リスト生成手段と、をさらに備え、
前記選択手段は、前記スクリーン上に表示された前記項目リストの中から、前記1以上のメニュー項目を選択することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記画面要素は、使用目的に対応した前記OSDメニュー画面の画面レイアウトと、前記メニュー項目であり、
前記選択手段による前記画面レイアウトの選択結果に応じて、選択を推奨する前記メニュー項目を抽出した推奨リストを生成する推奨リスト生成手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記スクリーン上に表示された前記推奨リストを書き替えることにより、前記1以上のメニュー項目を選択することを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
コンピューターを、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプロジェクターにおける各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169986(P2010−169986A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13762(P2009−13762)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】