説明

プロジェクター

【課題】簡素な構成、容易な作業でダイクロイックミラーの傾斜角が調整可能なプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、光源と、光源から射出された光束のうちG光を反射し、R光を透過して入射する光束を分離するG光反射ダイクロイックミラー332と、G光反射ダイクロイックミラー332を収納する光学部品用筐体4と、G光反射ダイクロイックミラー332の一端を保持し、光軸Lに対して略垂直に延びる回転軸6Jを中心にして光学部品用筐体4に回転可能に支持される保持部材6と、G光反射ダイクロイックミラー332にて分離された光束を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する光学装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像光を投写するプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成する光学装置、およびその画像光を投写する投写レンズを備えたプロジェクターが知られている。プロジェクターは、この光学装置や投写レンズに加え、複数の光学部品、およびこれらの光学部品を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体を備えている。光学部品としては、光源から射出された光束を反射および透過によって複数の色光に分離するダイクロイックミラーや、分離された色光を反射する反射ミラー等がある。そして、照度ムラや色ムラ等を抑制し、画質の良好な投写画像を得るために、光学装置に効率良く、均一に光束を導くよう光軸に対する反射ミラーの傾斜角を調整可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、反射ミラーの背面側を保持する保持部材を有している。この保持部材には、反射ミラーの反対側に膨出する球面状の膨出部が設けられている。また、光学部品用筐体には、膨出部が係合する凹部が形成されている。保持部材に保持されている反射ミラーは、膨出部が凹部を摺動するように回動されて傾斜角が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−205716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、反射ミラーに適用することはできるが、反射ミラーの傾斜角を調整することでは、光学装置に効率よく光束を導くことができず、ダイクロイックミラーの調整が必要とされる光学系の場合、保持部材が透過光を遮ってしまうため、ダイクロイックミラーには、適用できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から射出された光束のうち所定の色光を反射し、前記所定の色光と異なる色光を透過して前記光束を分離するダイクロイックミラーと、前記ダイクロイックミラーを収納する光学部品用筐体と、前記ダイクロイックミラーの一端を保持し、前記光束の光軸に対して略垂直に延びる回転軸を中心にして前記光学部品用筐体に回転可能に支持される保持部材と、前記ダイクロイックミラーにて分離された光束を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する光学装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、保持部材は、ダイクロイックミラーの一端を保持しているので、ダイクロイックミラーの光束が入射する領域外を保持部材が保持するように構成することができる。そして、保持部材は、光軸に対して略垂直に延びる回転軸を中心にして光学部品用筐体に回転可能に支持されている。これによって、簡素な構成、およびダイクロイックミラーを回転させるという容易な作業で、光軸に対するダイクロイックミラーの角度を調整し、ダイクロイックミラーが反射する色光、および透過する色光を効率よく光学装置に導くことができる。よって、プロジェクターは、輝度ムラや色ムラ等を抑制し、良好な画質の画像光を投写することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記回転軸は、前記ダイクロイックミラーが前記光軸に対して所定の傾斜角で傾斜した状態における、前記ダイクロイックミラーと前記光軸との交点を通り、前記ダイクロイックミラーに直交する仮想平面上に設けられていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ダイクロイックミラーは、設計上において設定された所定の傾斜角で傾斜した状態を基準状態として回転されることによって、傾斜角が変更される。そして、回転軸は、この基準状態におけるダイクロイックミラーと光軸との交点を通り、ダイクロイックミラーに直交する仮想平面上に設けられている。つまり、ダイクロイックミラーは、基準状態から正逆回転において、仮想平面に対して対称の軌跡を有することとなる。これによって、ダイクロイックミラーによって反射される光束も対称に反射されるので、ダイクロイックミラーの角度調整が行い易くなる。また、回転軸がこの仮想平面上に設けられていない場合に比べ、回転によるダイクロイックミラーの移動量を小さく形成できるので、調整後のダイクロイックミラーを固定する構造の簡素化や、光学部品用筐体の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す模式図。
【図2】本実施形態のG光反射ダイクロイックミラーを下部筐体に組み込んだ斜視図。
【図3】本実施形態の下部筐体からG光反射ダイクロイックミラーを分解した斜視図。
【図4】本実施形態の基準状態におけるG光反射ダイクロイックミラーを示す平面図。
【図5】本実施形態の保持部材を示す斜視図。
【図6】図4における回転軸近傍の拡大図。
【図7】本実施形態のG光反射ダイクロイックミラーの傾斜角および上下方向に対する傾斜の調整方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、その画像光をスクリーン等に投写する。
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、外装を構成する外装筐体2、光源装置31を有する光学ユニット3、制御部、光源装置31や制御部に電力を供給する電源装置およびプロジェクター1内部を冷却する冷却ファン等(いずれも図示省略)を備えている。
【0013】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
【0014】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源装置31から射出された光束を光学的に処理し、画像情報に応じた画像光を形成して投写する。
図1に示すように、光学ユニット3は、光源装置31に加え、照明光学装置32、色分離光学装置33、光学装置34、投写レンズ35、およびこれらの光学部品31〜35を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体4を備える。
【0015】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311およびリフレクター312等を備える。そして、光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312によって射出方向を揃え、照明光学装置32に向けて射出する。
【0016】
照明光学装置32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、マトリクス状に配列された複数の小レンズを有して構成されており、光源装置31から射出された光束を複数の光束に分割する。第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、光束を後述する反射型の光変調装置342の表面に略重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を光変調装置342で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0017】
色分離光学装置33は、クロスダイクロイックミラー331、G光反射ダイクロイックミラー332、および反射ミラー333,334を備え、照明光学装置32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0018】
クロスダイクロイックミラー331は、B光反射ダイクロイックミラー331B、およびGR光反射ダイクロイックミラー331GRがX字状に配置されて構成されている。クロスダイクロイックミラー331は、照明光学装置32から射出された光束のうち、B光をB光反射ダイクロイックミラー331Bにて反射し、G光およびR光をGR光反射ダイクロイックミラー331GRにて反射して、入射する光束を分離する。
【0019】
B光反射ダイクロイックミラー331Bにて反射されたB光は、反射ミラー333によって反射され、後述する電気光学装置340Bに射出される。一方、GR光反射ダイクロイックミラー331GRによって反射されたG光およびR光は、反射ミラー334によって反射された後、G光反射ダイクロイックミラー332に入射する。
【0020】
G光反射ダイクロイックミラー332は、反射ミラー334によって反射された光束の光軸Lに対して傾斜して配置される。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、反射ミラー334によって反射されたG光およびR光のうち、G光を反射し、R光を透過して入射する光束を分離する。
そして、G光反射ダイクロイックミラー332にて反射されたG光は、後述する電気光学装置340Gに射出され、G光反射ダイクロイックミラー332を透過したR光は、後述する電気光学装置340Rに射出される。
【0021】
また、G光反射ダイクロイックミラー332は、電気光学装置340Gに光束を効率良く導くために、光軸Lに対する傾斜角が調整された後に、光学部品用筐体4に固定される。このG光反射ダイクロイックミラー332の固定構造については、あとで詳細に説明する。
【0022】
光学装置34は、3色の色光毎に備えられた電気光学装置340(R光用の電気光学装置を340R、G光用の電気光学装置を340G、B光用の電気光学装置を340Bとする)、および色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム344を備え、色分離光学装置33で分離された各色光を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する。
【0023】
電気光学装置340は、反射型偏光板341、反射型の光変調装置342および偏光板343を備える。
【0024】
反射型偏光板341は、ガラス基板上にアルミニウム等からなる微細な線状リブを平行に多数配列したワイヤグリッド型の構成になっている。そして、反射型偏光板341は、線状リブの延出方向に対して垂直な偏光方向の偏光光を透過し、線状リブの延出方向に平行な偏光方向の偏光光を反射する。
【0025】
反射型偏光板341は、入射する色光の光軸に対して略45°の傾斜で配置されている。反射型偏光板341は、入射した光束のうち、偏光変換素子323で揃えられた偏光光と略同一の偏光方向の偏光光を透過させ、透過する偏光光に直交する偏光方向の偏光光を反射させる。なお、反射型偏光板341の光路前段側に位相差板を配置し、反射型偏光板341が偏光変換素子323で揃えられた偏光光と異なる偏光方向の偏光光を透過させるように構成してもよい。
【0026】
光変調装置342は、反射型偏光板341を透過した光束の光軸に対して略直交するように配置される。光変調装置342は、対向する基板間に液晶層が挟持された構造を有しており、いわゆるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)で構成されている。そして、一方の基板であるシリコン基板上には、スイッチング素子が接続された反射画素電極がマトリクス状に形成され、他方の基板(透明基板)には、対向電極が形成されている。
【0027】
光変調装置342は、制御部からの駆動信号に応じて反射画素電極と対向電極との間に電圧が印加され、液晶の配向状態が制御される。そして、光変調装置342は、反射型偏光板341を透過した偏光光の偏光方向を変調し、反射型偏光板341に向けて反射する。光変調装置342にて変調され、反射型偏光板341に向けて反射された光束は、偏光変換素子323で揃えられた偏光光に直交する偏光方向を有する偏光光のみが反射型偏光板341にて反射される。
【0028】
偏光板343は、反射型偏光板341にて反射された偏光光と同一方向の偏光方向の偏光光を透過させる。すなわち、偏光板343は、反射型偏光板341にて反射された光束に所望の偏光光以外の偏光成分が含まれた場合であっても、所望以外の偏光成分を除去し、画像のコントラスト向上に寄与する。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム344は、電気光学装置340にて変調された各色光を合成してカラー画像を表す画像光を形成する。クロスダイクロイックプリズム344は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム344は、誘電体多層膜が電気光学装置340R,340Bにて変調されたR光、B光を反射し、電気光学装置340Gにて変調されたG光を透過して、各色光を合成する。
【0030】
投写レンズ35は、複数のレンズを組み合わせた組レンズとして構成され、光学装置34にて形成された画像光をスクリーン上に拡大投写する。
【0031】
光学部品用筐体4は、一方に開口部を有し、前述した光学部品を収納する下部筐体5(図2に一部を示す)と、この開口部を閉塞する図示しない上部筐体とを備えて構成されている。G光反射ダイクロイックミラー332、反射ミラー333,334等の光学部品は、下部筐体5に形成された溝に側端部が挿入されて固定され、光学装置34および投写レンズ35は、保持部材等を介して下部筐体5にネジ固定される。
【0032】
ここで、G光反射ダイクロイックミラー332の固定構造について、詳細に説明する。
G光反射ダイクロイックミラー332は、前述したように、光軸Lに対して傾斜して配置されている。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、設計上において設定された所定の傾斜角で傾斜した状態を基準状態として正逆回転されることによって、傾斜角が変更されるように構成されている。
【0033】
図2〜図4は、G光反射ダイクロイックミラー332および下部筐体5の一部を示す図である。具体的に、図2は、G光反射ダイクロイックミラー332を下部筐体5に組み込んだ斜視図、図3は、下部筐体5からG光反射ダイクロイックミラー332を分解した斜視図、図4は、基準状態におけるG光反射ダイクロイックミラー332を示す平面図である。
【0034】
なお、以下では、説明の便宜上、反射ミラー334によって反射された光束の進行方向を+X方向、X方向に直交し、図2の図面視における上方を+Z方向(上方向)、X方向およびZ方向に直交し、図2の図面視における右方を+Y方向として記載する。つまり、±X方向は、光軸L方向となる。
【0035】
G光反射ダイクロイックミラー332は、透明基板上に、G光を反射し、R光を透過する誘電体多層膜が形成された光学部品であり、図2、図3に示すように、平面視矩形状に形成されている。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、下端中央部が保持部材6に保持されて下部筐体5に配置される。
【0036】
図5は、保持部材6を示す斜視図である。
保持部材6は、G光反射ダイクロイックミラー332の光束が入射する領域外を保持するように形成され、図5に示すように、直方体状のガイド部61、およびガイド部61の下面から円柱状に突出する軸部62を有している。ガイド部61の上面には、長手方向に沿って窪む挿入溝611が形成されている。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、端部が挿入溝611に挿入され、接着剤によって保持部材6に固定される。
【0037】
下部筐体5は、図2、図3に示すように、水平面に略沿うように形成された底面部51と、底面部51の端縁から起立する側面部52とを有している。そして、対向する側面部52の内面には、それぞれ上下方向に沿って窪む溝部521が設けられ、対向する溝部521の間の底面部51には、軸穴511が設けられている。溝部521および軸穴511は、それぞれがG光反射ダイクロイックミラー332の側端部、保持部材6の軸部62が遊嵌状態で挿入可能に形成されている。
【0038】
保持部材6が取り付けられたG光反射ダイクロイックミラー332は、側端部が溝部521に挿入され、保持部材6の軸部62が軸穴511に挿入されて下部筐体5に配置される。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、上下方向に延出し、軸部62の中心となる回転軸6Jを中心として回転可能に下部筐体5に支持される。つまり、G光反射ダイクロイックミラー332は、光軸Lに対して略垂直に延びる回転軸6Jを中心として回転可能に支持される。
【0039】
G光反射ダイクロイックミラー332は、基準状態において、図4に示すように、側端部が、溝部521の内面から接着可能な隙間を有して離間し、時計回り(図4の図面視におけるCW方向)、および反時計回り(図4の図面視におけるCCW方向)に回転可能になっている。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、回転軸6Jを中心に側端部が溝部521の内面に当接するまで回転可能となる。
【0040】
図6は、図4における回転軸6J近傍の拡大図である。
回転軸6Jは、図6に示すように、基準状態におけるG光反射ダイクロイックミラー332と光軸Lとの交点Kを通り、G光反射ダイクロイックミラー332に直交する仮想平面VS上に設けられている。
【0041】
G光反射ダイクロイックミラー332は、図6に示すように、基準状態において、回転軸6J方向から見て光軸Lに対して鋭角となる傾斜角θを有して配置される。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、CW方向に回転されると、傾斜角θが大きくなり、CCW方向に回転されると傾斜角θが小さくなる。そして、G光反射ダイクロイックミラー332によって反射される光束は、傾斜角θに応じた方向に反射される。そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、基準状態から正逆回転において、仮想平面VSに対して対称の軌跡を有することとなる。
【0042】
また、図示は省略するが、保持部材6の軸部62は、軸穴511に対して遊嵌状態で挿入されるので、G光反射ダイクロイックミラー332は、撓まない範囲において、上下方向に対する傾斜の調整も可能となる。
【0043】
ここで、G光反射ダイクロイックミラー332が固定される手順について説明する。
G光反射ダイクロイックミラー332は、傾斜角θおよび上下方向に対する傾斜が調整された後に、下部筐体5に接着固定される。
図7は、G光反射ダイクロイックミラー332の傾斜角θおよび上下方向に対する傾斜の調整方法を説明する図である。
【0044】
G光反射ダイクロイックミラー332は、図7に示すように、上端が治具10に保持され、治具10の回転、移動によって傾きが調整される。具体的に、G光反射ダイクロイックミラー332は、反射される光束が観察されながら、治具10が回転軸6Jを中心として回転されることによって、傾斜角θの調整が行われる。
【0045】
同様に、G光反射ダイクロイックミラー332は、反射される光束が観察されながら、治具10がG光反射ダイクロイックミラー332に対して略直交する正逆方向に移動することによって、上下方向に対する傾斜の調整が行われる。
【0046】
そして、G光反射ダイクロイックミラー332は、傾斜角θおよび上下方向に対する傾斜が調整された後、側端部が溝部521に接着されて下部筐体5に固定される。
このように、G光反射ダイクロイックミラー332は、一端が保持部材6に保持されて回転可能に光学部品用筐体4に配置され、光軸Lに対する傾斜が調整される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)保持部材6を備えるという簡素な構成、およびG光反射ダイクロイックミラー332を回転させるという容易な作業で、光軸Lに対するG光反射ダイクロイックミラー332の傾斜角θを調整し、G光反射ダイクロイックミラー332が反射するG光、および透過するR光を効率よく電気光学装置340に導くことができる。よって、プロジェクター1は、輝度ムラや色ムラ等を抑制し、良好な画質の画像光を投写することが可能となる。
【0048】
(2)G光反射ダイクロイックミラー332は、基準状態から正逆回転において、仮想平面VSに対して対称の軌跡を有している。これによって、G光反射ダイクロイックミラー332によって反射される光束も対称に反射されるので、傾斜角θの調整が行い易くなる。また、回転軸6Jがこの仮想平面VS上に設けられていない場合に比べ、回転によるG光反射ダイクロイックミラー332の移動量を小さく形成できるので、溝部521を形成して接着固定するという簡単な構造で、調整後のG光反射ダイクロイックミラー332を固定することができると共に、光学部品用筐体4の小型化が図れる。
【0049】
(3)G光反射ダイクロイックミラー332は、軸部62が軸穴511に遊嵌状態で挿入されているので、上下方向における傾斜においても、調整が可能となる。よって、G光反射ダイクロイックミラー332が反射するG光、および透過するR光をさらに効率よく電気光学装置340に導くことができる。
【0050】
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態では、凸部となる軸部62が保持部材6に形成され、凹部となる軸穴511が下部筐体5に形成されているが、保持部材6に凹部を形成し、この凹部に係合する凸部を下部筐体5に形成し、保持部材6が回転可能に下部筐体5に支持されるように構成してもよい。
【0051】
前記実施形態のプロジェクター1は、反射型の光変調装置342を用いているが、透過型の光変調装置を利用したものであってもよい。
【0052】
保持部材6と同様に、反射ミラー333を保持する部材を設け、この部材が下部筐体5に回転可能に支持されるように構成してもよい。
【0053】
前記実施形態の光源装置31は、放電型の光源311を採用しているが、レーザーダイオード、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子などの各種固体発光素子で構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…プロジェクター、3…光学ユニット、4…光学部品用筐体、5…下部筐体、6…保持部材、6J…回転軸、34…光学装置、62…軸部、311…光源、332…G光反射ダイクロイックミラー、340,340R,340G,340B…電気光学装置、341…反射型偏光板、342…光変調装置、343…偏光板、344…クロスダイクロイックプリズム、511…軸穴、521…溝部、K…交点、L…光軸、VS…仮想平面、θ…傾斜角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光束のうち所定の色光を反射し、前記所定の色光と異なる色光を透過して前記光束を分離するダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーを収納する光学部品用筐体と、
前記ダイクロイックミラーの一端を保持し、前記光束の光軸に対して略垂直に延びる回転軸を中心にして前記光学部品用筐体に回転可能に支持される保持部材と、
前記ダイクロイックミラーにて分離された光束を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する光学装置と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記回転軸は、前記ダイクロイックミラーが前記光軸に対して所定の傾斜角で傾斜した状態における、前記ダイクロイックミラーと前記光軸との交点を通り、前記ダイクロイックミラーに直交する仮想平面上に設けられていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−186284(P2011−186284A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52829(P2010−52829)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】