説明

プロジェクター

【課題】光源から液晶パネルまでの距離を短くして照明光学系のサイズを小さくすることができるプロジェクターを提供すること。
【解決手段】色分離導光部40が、分離ミラーとしての第1ダイクロイックミラー41aで分離された第1色光としての赤色光LRを直接的に第1光変調装置としての第1液晶ライトバルブ50aに入射させるので、照明部10から第1液晶ライトバルブ50aまでの距離を短くすることができ、照明部10の小型化によってプロジェクター100のサイズを小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過型の液晶パネル等を照明することによって形成した画像をスクリーン上に投射するプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターとして、光源からの光束を2枚のダイクロイックミラーで順次3色に分岐するとともに、合成用のダイクロイックプリズムから射出させる3各色の光軸パスを互いに一致させることによってリレーレンズを不要とし、かつ、光束の反射回数を各色間で偶数差にすることによって、各色の合成後の上下左右を一致させたものが存在する(特許文献1参照)。
【0003】
別のプロジェクターとして、光源からの光束を2枚のダイクロイックミラーで順次3色に分岐するとともに、合成用のダイクロイックプリズムに入射させる2光束の光軸パスを一致させ、残りの1光束をリレーレンズによって2度反転させ、かつ、光束の反射回数を各色間で偶数差にすることによって、各色の合成後の上下左右を一致させるものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−237588号公報
【特許文献2】特開平10−206815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1、2に記載のプロジェクターでは、視野角を確保しようとすると光源から液晶パネルまでの距離が長くなって、照明光学系のサイズが大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、光源から液晶パネルまでの距離を短くして照明光学系のサイズを小さくすることができるプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクターは、光源を含む照明部と、照明部から射出された光のうち、所定波長を有する第1色光を、透過によって他の波長を有する第2色光から分離する分離ミラーを有する色分離導光部と、分離された第1色光を変調する第1光変調装置と分離された第2色光を変調する第2光変調装置とを有する光変調部と、変調された第1色光と第2色光とを合成して画像光を形成する色合成部と、形成された画像光を投射する投射光学系とを備える。そして、色分離導光部は、分離ミラーで分離された第1色光を直接的に第1光変調装置に入射させるとともに、分離ミラーで分離された第2色光を2回投影することによって転送するダブルリレー光学系を有し、色合成部は、第1光変調装置を通過した第1色光が入射する第1光入射面と、第2光変調装置を通過した第2色光が入射する第2光入射面と、第1光入射面から入射した第1色光を反射する反射面と、投射光学系に対向する光射出面とを有し、色分離導光部から色合成部までにおいて、第1色光に関する反射による光路の折曲げ回数と、第2色光に関する反射による光路の折曲げ回数との差は、偶数である。ここで、第1色光を直接的に第1光変調装置に入射させるとは、ミラー等の反転を伴う光学素子を介在させないことを意味し、フィールドレンズ等の反転を伴わない光学素子を介在させてもよいものとする。
【0008】
上記プロジェクターによれば、色分離導光部が、分離ミラーで分離された第1色光を直接的に第1光変調装置に入射させるとともに、分離ミラーで分離された第2色光を2回投影することによって転送するダブルリレー光学系を有するので、色合成部の光射出面において、ミラーによる左右反転(ここで、左右とはシステム光軸が存在する基準面における面内方向を意味する)の効果を無視すると、第2色光の像を第1色光の像に対して正立させることができる。さらに、第1色光に関する反射による光路の折曲げ回数と第2色光に関する反射による光路の折曲げ回数との差が、偶数であるので、第2色光の像が第1色光の像に対して鏡像反転されることを防止できる。つまり、第1光変調装置と第2光変調装置とを上下左右を一致させて照明することができるとともに、これらからの画像光を上下左右を一致させて合成することができる。これにより、投射画像の輝度ムラや色ムラを低減することができる。さらに、上記プロジェクターによれば、色分離導光部が、分離ミラーで分離された第1色光を直接的に第1光変調装置に入射させるので、照明部から第1光変調装置までの距離を短くすることができ、照明部の小型化によってプロジェクターのサイズを小さくすることができる。
【0009】
また、本発明の具体的な態様又は側面によれば、上記プロジェクターにおいて、照明部が、光源と色分離導光部との間に配置されてシステム光軸に直交する面内における光源から射出された光の照度を均一化する均一化光学系を有し、色分離導光部が、色分離導光部と第1光変調装置との間に配置されて通過する第1色光の状態を調節する射出フィールドレンズを有し、均一化光学系の有効径が、射出フィールドレンズの有効径と略等しい。この場合、照明部が有効径方向に小型化するので、プロジェクターを薄型化することができる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、ダブルリレー光学系が、第1光変調装置の位置に対応する第1共役位置の近傍に配置される第1中間フィールドレンズと、第1共役位置の像を第2共役位置に結像する第1集光レンズとを有する第1リレー系と、第2共役位置の近傍に配置される第2中間フィールドレンズと、第2共役位置の像を第2光変調装置の位置に結像する第2集光レンズとを有する第2リレー系とを有し、第1中間フィールドレンズと第2中間フィールドレンズとの有効径は、射出フィールドレンズの有効径と略等しい。この場合、第2色光による第2光変調装置の照明を第1色光による第1光変調装置の照明に対して等価的にでき、第2色光の損失を抑えることができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、第1集光レンズと第2集光レンズとは、重フリント系の光学ガラスで形成されている。この場合、第1及び第2集光レンズの小型化が可能になり、色分離導光部のサイズを小さくすることができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、色分離導光部が、照明部から射出された光から第1色光及び第2色光とは異なる波長を有する第3色光を分離する第2の分離ミラーと、第2の分離ミラーで分離された第3色光を2回投影することによって転送する第2のダブルリレー光学系とをさらに有し、前記光変調部は、分離された前記第3色光を変調する第3光変調装置をさらに有し、色分離導光部から色合成部までにおいて、第1色光に関する反射による光路の折曲げ回数と、第3色光に関する反射による光路の折曲げ回数との差が、偶数である。この場合、第1光変調装置と第3光変調装置とを上下左右を一致させて照明することができるとともに、これらからの画像光を上下左右を一致させて合成することができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、第1色光が、光源から射出される光強度が相対的に弱い波長の光である。この場合、第1色光の損失を最も抑えた画像光を合成することができ、カラーバランスの調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクターの光学系を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るプロジェクター100について説明する。なお、図1等において、X、Y、及びZは、プロジェクター100における3次元直交座標系を構成する3つの座標軸を意味する。これらのうち2軸によって形成されるYZ面は、プロジェクター100を通過する光束の中心軸であるシステム光軸SAが2次元的に延びる基準面に平行になっている。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るプロジェクター100は、照明部10と、色分離導光部40と、光変調部50と、色合成部60と、投射光学系70とを備える。
【0017】
まず、照明部10は、光源ランプユニット20と、均一化光学系30とを含む照明光学系である。
【0018】
照明部10のうち、光源ランプユニット20は、光源として、ランプ部21aと、凹レンズ21bとを備える。このうち、ランプ部21aは、例えば高圧水銀ランプ等である発光管22aと、発光管22aから射出された光束を反射して前方に射出させる楕円面型の凹面鏡22bとを備える。凹レンズ21bは、ランプ部21aからの照明光LFをシステム光軸SAに略平行にする役割を有するが、例えば凹面鏡22bが放物面鏡である場合には、省略することもできる。
【0019】
均一化光学系30は、第1及び第2レンズアレイ31,32と、偏光変換部材34と、重畳レンズ36とを備える。このうち、第1及び第2レンズアレイ31,32は、それぞれがX方向(すなわちx方向)とY方向(すなわちy方向)とに関してマトリクス状に配置された複数の要素レンズ31a,32aを備えるフライアイレンズである。このうち、第1レンズアレイ31を構成する複数の要素レンズ31aによって、光源ランプユニット20から射出された照明光LFが複数の部分光束に分割される。また、第2レンズアレイ32を構成する複数の要素レンズ32aによって、第1レンズアレイ31から入射した各部分光束が適当な発散角で偏光変換部材34側に射出される。偏光変換部材34は、全体としてXY面に平行な矩形の平板状の部材であり、X方向を長手方向として延びる複数の偏光変換素子34aをY方向に一列に並べて形成されている。各偏光変換素子34aは、PBS、ミラー、1/2波長板等で構成されたプリズム状の部材となっている。偏光変換部材34は、レンズアレイ32から射出された照明光LFを特定方向の直線偏光のみに変換して重畳レンズ36側に射出する。重畳レンズ36は、第2レンズアレイ32から射出され偏光変換部材34を経た照明光LFを全体として適宜収束させることにより、光変調部50に設けた各色の液晶ライトバルブ50a,50b,50cに対する重畳照明を可能にする。ここで、重畳レンズ36は、例えば屈折率1.7以上の高屈折率の材料で形成されており、その焦点距離の調節により、照明部10のFナンバーを2.0以下にしている。
【0020】
色分離導光部40は、第1ダイクロイックミラー41aと、第2ダイクロイックミラー41bと、4つの反射ミラー42a,42b,42c,42dと、3つの中間フィールドレンズ44a,45b,46bと、2つの第1集光レンズ45a,46aと、2つの第2集光レンズ45c,46cと、3つの射出フィールドレンズ43a,43b,43cとを備え、照明部10から射出された照明光LFを赤(R)色、緑(G)色、及び青(B)色の3色に分離するとともに、分離された各色光を略等価な状態で後段の液晶ライトバルブ50a,50b,50cへ導く。ここで、中間フィールドレンズ44a,45bと、第1及び第2集光レンズ45a,45cとは、全体として第1のダブルリレー光学系81を構成し、中間フィールドレンズ44a,46bと、第1及び第2集光レンズ46a,46cとは、全体として第2のダブルリレー光学系82を構成する。
【0021】
この色分離導光部40において、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bによって分離されたRGBの3色のうち、赤色光LRは、直進する第1光路OP1に導かれ、緑色光LGは、迂回する第2光路OP2に導かれ、青色光LBは、迂回する第3光路OP3に導かれる。より詳しく説明すると、まず、第1ダイクロイックミラー41aは、赤色光LRを他の光から分離するための分離ミラーであり、色分離導光部40に入射した照明光LFのうち赤色光LRを透過させ緑色光LG及び青色光LBを反射させる。また、第2ダイクロイックミラー41bは、緑色光LG及び青色光LBを分離するための第2の分離ミラーであり、第1ダイクロイックミラー41aで反射された緑色光LG及び青色光LBのうち緑色光LGを透過させ青色光LBを反射する。すなわち、第1ダイクロイックミラー41aを透過した赤色光LRは、最短の第1光路OP1において、+Z方向に直進する。一方、第1ダイクロイックミラー41aで−Y方向に反射されて第2ダイクロイックミラー41bを透過した緑色光LGは、比較的長い第2光路OP2において、反射ミラー42a,42bによって、一旦+Z方向に折り曲げられ最終的に+Y方向に逆進する。また、第1ダイクロイックミラー41aで−Y方向に反射されて第2ダイクロイックミラー41bで+Z方向に反射された青色光LBは、比較的長い第3光路OP3において、反射ミラー42c,42dによって、一旦+Z方向から+Y方向に折り曲げられ最終的に−Z方向に逆進する。
【0022】
第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41b間、すなわち緑色光LG及び青色光LBが分岐される直前の第2及び第3光路OP2,OP3上には、後述するR色用の液晶パネル51aの位置に対応する第1共役位置C1が存在する。また、反射ミラー42bの光入射側、すなわち緑色光LGが単独で+Z方向に進む第2光路OP2上には、第1のダブルリレー光学系81を設けたことに対応して、上記第1共役位置C1の共役像が形成される第2共役位置C2が存在する。さらに、反射ミラー42cの光入射側、すなわち青色光LBが単独で+Z方向に進む第3光路OP3上にも、第2のダブルリレー光学系82を設けたことに対応して、上記第1共役位置C1の共役像が形成される第2共役位置C2が存在する。
【0023】
緑色光LGの第2光路OP2には、中間フィールドレンズ44aと第1集光レンズ45aとで構成される第1のリレー系81aが配置され、中間フィールドレンズ45bと第2集光レンズ45cとで構成される第2のリレー系81bが配置されている。両リレー系81a,81bは、第1のダブルリレー光学系81として機能している。
【0024】
具体的には、緑色光LG及び青色光LBに共通の分岐前の第1及び第2光路OP2,OP3において、第1共役位置C1に対向して光路上流側の近傍には、第1のリレー系81aの1つの要素である中間フィールドレンズ44aが配置されている。また、緑色光LGが単独で通過する分岐後の第2光路OP2において、第1及び第2共役位置C1,C2の中間位置であって、第2ダイクロイックミラー41bと反射ミラー42aとの間には、第1のリレー系81aの他の要素である第1集光レンズ45aが配置されている。前者の中間フィールドレンズ44aは、第1共役位置C1上の各点からの光束(緑色光LG)について、主光線が互いに略平行になるようにする役割を有する。後者の第1集光レンズ45aは、屈折率1.7以上の高屈折率の材料(例えば重フリント系の光学ガラス等)で形成された非球面レンズであり、第1共役位置C1からの光束を第2共役位置C2に集光させて光の拡散等による光の利用効率の低下を防止する役割を有する。
【0025】
さらに、分岐後の第2光路OP2において、第2共役位置C2に対向して光路上流側の近傍には、第2のリレー系81bの1つの要素である中間フィールドレンズ45bが配置されている。また、分岐後の第2光路OP2において、第2共役位置C2と液晶パネル51bとの中間位置であって、反射ミラー42bの光射出側には、第2のリレー系81bの他の要素である第2集光レンズ45cが配置されている。前者の中間フィールドレンズ45bは、第2共役位置C2上の各点からの光束(緑色光LG)について、主光線が互いに略平行になるようにする役割を有する。また、第2集光レンズ45cは、屈折率1.7以上の高屈折率の材料(例えば重フリント系の光学ガラス等)で形成された非球面レンズであり、第2共役位置C2からの光束をG色用の液晶パネル51bの位置に集光させて光の拡散等による光の利用効率の低下を防止する役割を有する。
【0026】
同様に、青色光LBの第3光路OP3には、中間フィールドレンズ44aと第1集光レンズ46aとで構成される第1リレー系82aが配置され、中間フィールドレンズ46bと第2集光レンズ46cとで構成される第2リレー系82bが配置されている。両リレー系82a,82bは、第2のダブルリレー光学系82として機能している。
【0027】
具体的には、緑色光LG及び青色光LBに共通の分岐前の第1及び第2光路OP2,OP3において、上記した第1リレー系82aの1つの要素である中間フィールドレンズ44aが配置されている。また、青色光LBが単独で通過する分岐後の第3光路OP3において、第1及び第2共役位置C1,C2の中間位置であって、第2ダイクロイックミラー41bに光射出側には、第1リレー系82aの他の要素である第1集光レンズ46aが配置されている。前者の中間フィールドレンズ44aは、第1共役位置C1上の各点からの光束(青色光LB)について、主光線が互いに略平行になるようにする役割を有する。後者の第1集光レンズ46aは、屈折率1.7以上の高屈折率の材料(例えば重フリント系の光学ガラス等)で形成された非球面レンズであり、第1共役位置C1からの光束を第2共役位置C2に集光させて光の拡散等による光の利用効率の低下を防止する役割を有する。
【0028】
さらに、分岐後の第3光路OP3において、第2共役位置C2に対向して光路上流側の近傍には、第2リレー系82bの1つの要素である中間フィールドレンズ46bが配置されている。また、分岐後の第3光路OP3において、第2共役位置C2と液晶パネル51cとの中間位置であって、反射ミラー42cの光射出側には、第2リレー系82bの他の要素である第2集光レンズ46cが配置されている。前者の中間フィールドレンズ46bは、第2共役位置C2上の各点からの光束(青色光LB)について、主光線が互いに略平行になるようにする役割を有する。また、第2集光レンズ46cは、屈折率1.7以上の高屈折率の材料(例えば重フリント系の光学ガラス等)で形成された非球面レンズであり、第2共役位置C2からの光束をB色用の液晶パネル51cの位置に集光させて光の拡散等による光の利用効率の低下を防止する役割を有する。
【0029】
色分離導光部40の出口には、分岐された各色用の光路OP1,OP2,OP3に対応して各色用の射出フィールドレンズ43a,43b,43cが配置されている。各色用の射出フィールドレンズ43a,43b,43cは、第2レンズアレイ32から射出され重畳レンズ36等を通過して光変調部50に入射する各部分光束(各色光LR,LG,LB)が、各液晶ライトバルブ50a,50b,50cを構成する各液晶パネル51a,51b,51c被照射領域上において、システム光軸SAに対して適当な収束度又は発散度となるように入射角を調節している。なお、射出フィールドレンズ43a,43b,43cの有効径D1は、均一化光学系30の有効径D0と略等しくなっている。また、射出フィールドレンズ43a,43b,43cの有効径D1は、色分離導光部40における中間フィールドレンズ44a,45b,46bの有効径D2,D3,D4と略等しくなっている。
【0030】
光変調部50は、照明光LFから分離された3色の照明光すなわち赤色光LR、緑色光LG、及び青色光LBによって照明される3つの光変調装置として、3色の照明光すなわち各色光LR,LG,LBがそれぞれ入射する3つの液晶ライトバルブ50a,50b,50cを備える。第1光変調装置である第1液晶ライトバルブ50aは、中央に配置される赤色光LR用の液晶パネル51aと、これを挟むように配置される光路上流側の入射側偏光フィルター52aと、光路下流側の射出側偏光フィルター53aとを備えている。第2光変調装置である第2液晶ライトバルブ50bは、中央に配置される緑色光LG用の液晶パネル51bと、これを挟むように配置される光路上流側の入射側偏光フィルター52bと、光路下流側の射出側偏光フィルター53bとを備えている。第3光変調装置である第3液晶ライトバルブ50cは、中央に配置される青色光LB用の液晶パネル51cと、これを挟むように配置される光路上流側の入射側偏光フィルター52cと、光路下流側の射出側偏光フィルター53cとを備えている。各液晶ライトバルブ50a,50b,50cにそれぞれ入射した各色光LR,LG,LBは、各液晶ライトバルブ50a,50b,50cに電気的信号として入力された駆動信号或いは制御信号に応じて、画素単位で強度変調される。ここで、各液晶パネル51a,51b,51cは、いずれも透過型の液晶パネルであり、図示による説明を省略するが、透明電極等を有する光透過性の入射側基板と、画素電極等を有する光透過性の駆動基板と、入射側基板及び駆動基板間に密閉封入される液晶層とを備える。
【0031】
色合成部60は、カラー画像を合成するためのクロスダイクロイックプリズムであり、その内部には、R光反射用の第1ダイクロイック膜61と、B光反射用の第2ダイクロイック膜62とが、平面視X字状に配置されている。この色合成部60は、液晶ライトバルブ50aからの赤色光LRを、第1光入射面60aから入射させて反斜面としての第1ダイクロイック膜61で反射して進行方向右側の光射出面60dから射出させる。また、色合成部60は、液晶ライトバルブ50bからの緑色光LGを、第2光入射面60bから入射させて両ダイクロイック膜61,62を介して直進させ光射出面60dから射出させる。さらに、色合成部60は、液晶ライトバルブ50cからの青色光LBを、第3光入射面60cから入射させて反斜面としての第2ダイクロイック膜62で反射して進行方向左側の光射出面60dから射出させる。
【0032】
ここで、色分離導光部40から色合成部60までの各光路OP1,OP2,OP3における反射回数について考える。第1光路OP1において、赤色光LRは、第1ダイクロイック膜61によって計1回反射され、左右に鏡像反転される。第2光路OP2において、緑色光LGは、第1ダイクロイックミラー41aと反射ミラー42a,42bとによって計3回反射され、左右に鏡像反転される。第3光路OP3において、青色光LBは、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bと反射ミラー42c,42dと第2ダイクロイック膜62とによって計5回反射され、左右に鏡像反転される。よって、第1光路OP1における反射による光路の折曲げ回数と、第2光路OP2における光路の折曲げ回数との差は、偶数になっている。また、第1光路OP1における反射による光路の折曲げ回数と、第3光路OP3における光路の折曲げ回数との差も、偶数になっている。つまり、各光路OP1,OP2,OP3における鏡像反射の結果は、色合成部60の光射出面60dで一致しており、色相互間の反転が防止されている。
【0033】
投射光学系70は、投射レンズとして、色合成部60で合成された画像光をスクリーン(不図示)上にカラー画像として投射する。
【0034】
以上の説明から明らかなように、本実施形態のプロジェクター100によれば、色分離導光部40が、分離ミラーとしての第1ダイクロイックミラー41aで分離された第1色光としての赤色光LRを直接的に第1光変調装置としての第1液晶ライトバルブ50aに入射させるので、照明部10から第1液晶ライトバルブ50aまでの距離を短くすることができ、照明部10の小型化によってプロジェクター100のサイズを小さくすることができる。
【0035】
なお、本実施形態のプロジェクター100では、色分離導光部40が、分離ミラーとしての第1ダイクロイックミラー41aで分離された第2色光としての緑色光LGを2回投影することによって転送する第1のダブルリレー光学系81と、第3色光としての青色光LBを2回投影することによって転送する第2のダブルリレー光学系82とを有するので、色合成部60の光射出面60dにおいて、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bと、反射ミラー42a,42b,42c,42dと、ダイクロイック膜61,62とによる効果を無視するならば、第2及び第3色光としての緑色光LG及び青色光LBの像を第1色光としての赤色光LRの像に対して正立させることができる。さらに、第1色光としての赤色光LRに関する反射による光路の折曲げ回数と、第2及び第3色光としての緑色光LG及び青色光LBに関する反射による光路の折曲げ回数との差が、偶数であるので、緑色光LG及び青色光LBの像が赤色光LRの像に対して鏡像反転されることを防止できる。つまり、3つの液晶ライトバルブ50a,50b,50cを上下左右を一致させて照明することができるとともに、これらからの画像光を上下左右を一致させて合成することができる。これにより、投射画像の輝度ムラや色ムラを低減することができる。
【0036】
さらに、上記プロジェクターによれば、赤色光LRを第1ダイクロイックミラー41aで透過によって分離するとともに、色合成部60の第1ダイクロイック膜61で折り曲げて合成するので、照明部10におけるシステム光軸SAと、投射光学系70におけるシステム光軸SAとが直交する。このため、投射光学系70の傾斜角度を調節して変化させても、照明部10におけるシステム光軸SAを水平に保つことができ、照明部10の動作を安定させて温度上昇等を防ぐことができる。
【0037】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0038】
上記実施形態のプロジェクター100では、第1集光レンズ45a,46aと第2集光レンズ45c,46cとを1枚のレンズで構成したが、これら集光レンズを2枚以上のレンズで構成することもできる。この際、いずれかのレンズのいずれか1つ以上の面を非球面とすることもできるが、すべてを球面とすることもできる。
【0039】
上記実施形態のプロジェクター100では、光源としての光源ランプユニット20が高圧水銀ランプ等で形成されているため、光強度が最も弱い赤色光LRを、直進する損失の少ない第1光路OP1に導いているが、光源が異なり光強度が最も弱い色光が緑色光LGや青色光LBである場合、これらの色光を第1光路OP1に導くこともできる。
【0040】
上記実施形態のプロジェクター100では、射出フィールドレンズ43a,43b,43cの有効径D1を均一化光学系30の有効径D0と略等しくしているが、射出フィールドレンズ43a,43b,43cの有効径D1を均一化光学系30の有効径D0よりも大きくすることもできる。
【0041】
上記実施形態のプロジェクター100では、光源ランプユニット20からの光を複数の部分光束に分割するため、一対のレンズアレイ31,32を用いていたが、このようなレンズアレイに代えてロッドインテグレーターを用いることができる。
【0042】
また、上記実施形態のプロジェクター100では、光源ランプユニット20等からの光を特定方向の偏光とする偏光変換部材34を用いていたが、この発明は、このような偏光変換部材34を用いないプロジェクターにも適用可能である。
【0043】
また、プロジェクターとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面投射型のプロジェクターと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面投射型のプロジェクターとがあるが、図1に示すプロジェクター100の構成は、いずれにも適用可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、3つの液晶ライトバルブ50a,50b,50cを用いたプロジェクター100の例のみを挙げたが、本発明は、2つのライトバルブを用いたプロジェクターにも適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10…照明部、 20…光源ランプユニット、 21a…ランプ部、 30…均一化光学系、 31,32…レンズアレイ、 34…偏光変換部材、 36…重畳レンズ、 40…色分離導光部、 41a,41b…ダイクロイックミラー、 42a,42b,42c,42d…反射ミラー、 43a,43b,43c…射出フィールドレンズ、 44a,45b,46b…中間フィールドレンズ、 45a,45c,46a,46c…集光レンズ、 50…光変調部、 50a,50b,50c…液晶ライトバルブ、 51a,51b,51c…液晶パネル、 52a,52b,52c…入射側偏光フィルター、 53a,53b,53c…射出側偏光フィルター、 60…色合成部、 60a…第1光入射面、 60b…第2光入射面、 60c…第3光入射面、 60d…光射出面、 61…第1ダイクロイック膜、 62…第2ダイクロイック膜、 70…投射光学系、 81…第2のダブルリレー光学系、 81a…第1リレー系、 81b…第2リレー系、 82…第1のダブルリレー光学系、 82a…第1リレー系、 82b…第2リレー系、 100…プロジェクター、 C1…第1共役位置、 C2…第2共役位置、 LF…照明光、 LB…青色光、 LG…緑色光、 LR…赤色光、 LR,LG,LB…色光,照明光、 OP1,OP2,OP3…光路、 SA…システム光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を含む照明部と、
前記照明部から射出された光のうち、所定波長を有する第1色光を、他の波長を有する第2色光から透過によって分離する分離ミラーを有する色分離導光部と、
分離された前記第1色光を変調する第1光変調装置と、分離された前記第2色光を変調する第2光変調装置とを有する光変調部と、
変調された前記第1色光と前記第2色光とを合成して画像光を形成する色合成部と、
形成された前記画像光を投射する投射光学系とを備え、
前記色分離導光部は、前記分離ミラーで分離された前記第1色光を直接的に前記第1光変調装置に入射させるとともに、前記分離ミラーで分離された前記第2色光を2回投影することによって転送するダブルリレー光学系を有し、
前記色合成部は、前記第1光変調装置を通過した前記第1色光が入射する第1光入射面と、前記第2光変調装置を通過した前記第2色光が入射する第2光入射面と、前記第1光入射面から入射した前記第1色光を反射する反射面と、前記投射光学系に対向する光射出面とを有し、
前記色分離導光部から前記色合成部までにおいて、前記第1色光に関する反射による光路の折曲げ回数と、前記第2色光に関する反射による光路の折曲げ回数との差は、偶数である、プロジェクター。
【請求項2】
前記照明部は、前記光源と前記色分離導光部との間に配置されてシステム光軸に直交する面内における前記光源から射出された光の照度を均一化する均一化光学系を有し、
前記色分離導光部は、前記色分離導光部と前記第1光変調装置との間に配置されて通過する前記第1色光の状態を調節する射出フィールドレンズを有し、
前記均一化光学系の有効径は、前記射出フィールドレンズの有効径と略等しい、請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記ダブルリレー光学系は、前記第1光変調装置の位置に対応する第1共役位置の近傍に配置される第1中間フィールドレンズと、前記第1共役位置の像を第2共役位置に結像する第1集光レンズとを有する第1リレー系と、前記第2共役位置の近傍に配置される第2中間フィールドレンズと、前記第2共役位置の像を前記第2光変調装置の位置に結像する第2集光レンズとを有する第2リレー系とを有し、
前記第1中間フィールドレンズと前記第2中間フィールドレンズとの有効径は、前記射出フィールドレンズの有効径と略等しい、請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第1集光レンズと前記第2集光レンズとは、重フリント系の光学ガラスで形成されている、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記色分離導光部は、前記照明部から射出された光から前記第1色光及び前記第2色光とは異なる波長を有する第3色光を分離する第2の分離ミラーと、前記第2の分離ミラーで分離された前記第3色光を2回投影することによって転送する第2のダブルリレー光学系とをさらに有し、
前記光変調部は、分離された前記第3色光を変調する第3光変調装置をさらに有し、
前記色分離導光部から前記色合成部までにおいて、前記第1色光に関する反射による光路の折曲げ回数と、前記第3色光に関する反射による光路の折曲げ回数との差は、偶数である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1色光は、前記光源から射出される光強度が相対的に弱い波長の光である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のプロジェクター。

【図1】
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【公開番号】特開2011−191480(P2011−191480A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57153(P2010−57153)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】