説明

プロジェクター

【課題】小型化が図れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、光源装置2と、光源装置2から出射された光束を変調する光変調装置5と、光変調装置5にて変調された光束を投射する投射光学装置7と、一端が光変調装置5に接続されるフレキシブル基板6と、光源装置2、光変調装置5、及び投射光学装置7が収納される筐体8とを備える。筐体8における光変調装置5が配設される位置には、フレキシブル基板6を筐体8外部に引廻すための第1挿通部8L1と、光変調装置5の一部が挿通される第2挿通部8D1とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置と、光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターでは、当該プロジェクターを小型化するために、光源装置として、放電発光型の光源ランプではなく、LED(Light Emitting Diode)光源を採用している。
このLED光源は、LED基板に発光素子(発光部)が実装された構成を有する。
そして、光変調装置(液晶装置)は、当該光変調装置やLED光源の動作を制御する制御基板に対して、フレキシブル基板を介して電気的に接続され、制御基板からフレキシブル基板を介して信号が出力されることで制御される。
また、LED光源も同様に、LED基板に設けられたコネクターと上記制御基板とがフレキシブル基板にて接続され、上記制御基板からフレキシブル基板を介して信号が出力されることで制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−333773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光源装置、光変調装置、及び投射光学装置等の光学部品は、通常、容器状の筐体に収納されるものである。
そして、このような筐体としては、光変調装置に接続されたフレキシブル基板を当該筐体外部に引廻すために、当該筐体の側壁に切り欠きを形成しておくことが一般的である。
また、筐体の側壁としては、光変調装置とフレキシブル基板との接続部分をカバーするために、フレキシブル基板の幅寸法(光変調装置の高さ寸法と略同一)と略同一の高さ寸法を有する必要がある。
ここで、筐体に収納される光学部品(光源装置、光変調装置、及び投射光学装置等)として、光変調装置は、画素数や画素ピッチ等により、サイズが制約される。一方で、他の光学部品は、レンズ等であるため、光変調装置のサイズよりも小さくする(光軸に直交する断面形状を小さくする)ことが可能である。
【0005】
以上のことから、筐体の底部分の厚み寸法に光変調装置の高さ寸法、あるいは筐体の側壁の高さ寸法を加えた寸法が、プロジェクターの略厚み寸法となり、光変調装置の高さ寸法と略同一の寸法程度にまで、プロジェクターを薄型化することが難しい、という問題がある。
特に、当該プロジェクターを、デジタルカメラ、携帯電話、ノートPC(Personal Computer)等の電子デバイスと併用(例えば、当該電子デバイスに組み込む)するピコプロジェクター(マイクロプロジェクターあるいはナノプロジェクターと呼ばれることもある)として構成する場合には、所望の厚み寸法に設計することが難しいものである。
【0006】
本発明の目的は、薄型化が図れるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプロジェクターは、光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターであって、一端が前記光変調装置に接続されるフレキシブル基板と、前記光源装置、前記光変調装置、及び前記投射光学装置が収納される筐体とを備え、前記筐体における前記光変調装置が配設される位置には、前記フレキシブル基板を前記筐体外部に引廻すための第1挿通部と、前記光変調装置の一部が挿通される第2挿通部とが形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、筐体において、光変調装置が配設される位置には、上述した第1,第2挿通部が形成されている。
このことにより、例えば、容器状の筐体の底部分に上述した第2挿通部を形成し、光変調装置の一部を当該第2挿通部に挿通することで、光変調装置を、他の光学部品に対して、筐体の底部分側にオフセットした位置に位置付けることができる。
また、筐体の側壁に上述した第1挿通部を形成することで、当該第1挿通部を介して、フレキシブル基板を筐体の側方から筐体外部に引廻すことができる。
さらに、筐体の側壁の高さ寸法としては、上述したように光変調装置がオフセットした位置に位置付けられるため、従来の構成に比較して、小さくしたとしても、光変調装置とフレキシブル基板との接続部分を十分にカバーできる。
以上のことから、プロジェクターの厚み寸法に筐体の底部分の厚み寸法や側壁の高さ寸法が加わってこないため、プロジェクターの厚み寸法を光変調装置の高さ寸法と略同一の寸法程度にまで、プロジェクターを薄型化することができる。
【0009】
本発明のプロジェクターでは、前記筐体は、互いに別体で構成され、互いに組み合わされる第1筐体部及び第2筐体部を備え、前記光変調装置は、前記第1筐体部及び前記第2筐体部の接続位置に配設され、前記第1挿通部及び前記第2挿通部は、前記第1筐体部及び前記第2筐体部が組み合わされることで形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明では、第1,第2挿通部は、上述した第1,第2筐体部が組み合わされることで形成されている。
このことにより、例えば、筐体を一部材で構成した場合と比較して、第1,第2挿通部を容易に形成できる。
また、第1筐体部に光源装置等の照明系を収納し、第2筐体部に投射光学装置を収納すれば、光源装置等を筐体に収納した状態で、光源装置等の照明系と投射光学装置との位置関係の調整(光軸調整)を容易に実施できる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、前記第1筐体部及び前記第2筐体部を一体化する接続部材を備えることが好ましい。
本発明では、プロジェクターが上述した接続部材を備えるので、筐体を互いに別体とされる第1,第2筐体部で構成した場合であっても、接続部材にて第1,第2筐体部を一体化し、筐体の強度を高めることができる。
【0012】
本発明のプロジェクターでは、前記筐体は、前記第1筐体部及び前記第2筐体部が組み合わされることで略直方体形状を有し、前記接続部材は、前記接続位置を跨るように前記筐体の第1側面に取り付けられる接続部材本体と、前記接続部材本体から突出し、前記接続位置を跨るように前記筐体における前記第1側面とは異なる第2側面に対向して配設される補強部とを備えることが好ましい。
【0013】
本発明では、接続部材が上述した接続部材本体及び補強部を備えるので、強度の弱い接続位置を跨るように筐体の異なる2面(第1,第2側面)側から当該接続部材本体及び補強部にて補強することで、筐体の強度を効果的に高めることができる。
【0014】
本発明のプロジェクターでは、前記第1挿通部は、前記第2側面に形成されていることが好ましい。
本発明では、第1挿通部は、第2側面に形成されている。言い換えれば、フレキシブル基板は、第1挿通部を介して筐体外部に引廻される際に、補強部が配設される側に引廻されることとなる。
このことにより、補強部にて筐体を補強しながら、第1挿通部を閉塞して、光変調装置とフレキシブル基板との接続部分に不具合が生じることを防止できる。
【0015】
本発明のプロジェクターでは、前記筐体は、前記第1筐体部及び前記第2筐体部が組み合わされることで略直方体形状を有し、前記接続部材は、前記接続位置を跨るように前記筐体の第1側面に取り付けられる接続部材本体を備え、前記第1側面には、前記光変調装置を前記筐体内部に挿入するための第1開口部が形成され、前記光変調装置は、前記筐体に収納された状態で、一部が前記第1開口部から突出し、前記接続部材本体には、前記第1開口部から突出した前記光変調装置の一部が挿通される第2開口部が形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明では、例えば、筐体として、容器状の開口部分(第1開口部)から光変調装置の一部が突出するように構成する。そして、接続部材を構成する上述した接続部材本体は、筐体の上記開口部分を閉塞するように筐体に取り付けられる。この際、接続部材本体に上述した第2開口部が形成されているため、接続部材本体が筐体に取り付けられた際に、第2開口部に光変調装置の一部が挿通するため、接続部材本体が光変調装置に機械的に干渉することはない。
したがって、接続部材に、筐体の強度を高める機能の他、筐体の開口部分を閉塞する蓋体としての機能を持たせることができる。また、接続部材本体に第2開口部が形成されているので、プロジェクターの厚み寸法に接続部材本体の厚み寸法が加わることがなく、プロジェクターの厚み寸法を光変調装置の高さ寸法と略同一の寸法程度に設定できる。
【0017】
本発明のプロジェクターでは、前記接続部材は、熱伝導性材料で構成され、前記光源装置と熱伝達可能に接続する光源接続部を備えることが好ましい。
本発明では、接続部材が上述した光源接続部を備えるので、光源装置の点灯駆動により生じた熱を光源装置〜接続部材(光源接続部)の熱伝達経路を辿って外部に放熱できる。このため、光源装置の熱劣化を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【図4】本実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【図5】本実施形態におけるLEDの位置決め構造を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1ないし図4は、本実施形態におけるプロジェクター1の構成を示す図である。具体的に、図1はプロジェクター1を天面側(上側)から見た斜視図であり、図2はプロジェクター1を底面側(下側)から見た斜視図である。図3及び図4は、上側から見たプロジェクター1の分解斜視図である。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
なお、本実施形態のプロジェクター1は、デジタルカメラ、携帯電話、ノートPC(Personal Computer)等の電子デバイス(図示略)に搭載される小型の光学モジュール(ピコプロジェクター)として構成されている。
【0020】
このプロジェクター1は、図1ないし図4に示すように、光源装置2と、第1,第2レンズ3A,3B(図3、図4)と、偏光変換素子4(図3、図4)と、光変調装置としての液晶パネル5と、フレキシブル基板(以下、FPC)6と、投射光学装置としての投射レンズ7と、筐体8と、接続部材9とを備える。
そして、上述した構成により、光源装置2から出射された光束は、第1,第2レンズ3A,3Bにて略平行化された後、偏光変換素子4にて略1種類の直線偏光に変換される。偏光変換素子4を介した光束(直線偏光)は、液晶パネル5にて変調された後、投射レンズ7にてスクリーン(図示略)に投射される。
【0021】
〔光源装置の構成〕
光源装置2は、前記電子デバイス内部に設けられた制御基板(図示略)による制御の下、点灯制御される。
この光源装置2は、図3または図4に示すように、プリント配線基板21と、発光素子としてのLED22とを備える。
本実施形態では、プリント配線基板21は、アルミニウムあるいは銅等の金属をベースとして加工されたメタルコアPCB(Printed Circuit Board)で構成されている。
このプリント配線基板21は、図3または図4に示すように、矩形板状に形成され、筐体8の後述する第6側面8Bに対して、高さ寸法(図3、図4中、上下方向の長さ寸法)が同一で、横寸法(図3、図4中、左右方向の長さ寸法)が長くなるように形成されている。
【0022】
そして、図3及び図4では図示を省略したが、プリント配線基板21には、フレキシブル基板(前記制御基板とプリント配線基板21とを電気的に接続するためのフレキシブル基板)が接続されるコネクターが設けられている。
なお、プリント配線基板21には、液晶パネル5に対して光束を出射するための出射位置にLED22を位置決めするための位置決め構造(以下、LED22の位置決め構造)が設けられているが、当該位置決め構造については後述する。
【0023】
LED22は、プリント配線基板21に実装されている。
そして、光源装置2は、コネクター(図示略)に接続されたフレキシブル基板(図示略)を介して、前記制御基板から点灯用の電力が供給されるとともに、前記制御基板から信号を入力することで、点灯制御される。
【0024】
〔液晶パネルの構成〕
液晶パネル5は、前記制御基板による制御の下、入射した光束を変調する。
本実施形態では、液晶パネル5は、図3または図4に示すように、パネル本体51と、入射側偏光板52と、出射側偏光板53とを備える透過型の液晶パネルで構成されている。
パネル本体51は、図3または図4に示すように、ガラスなどからなる平面視矩形状の一対の基板511,512に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有している。
このうち、基板511は、液晶を駆動するための駆動基板であり、互いに平行に配列形成される複数のデータ線と、複数のデータ線と直交する方向に配列形成される複数の走査線と、走査線及びデータ線の交差に対応してマトリクス状に配列形成される画素電極と、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子と、スイッチング素子を駆動する駆動回路とを有している。
【0025】
また、基板512は、基板511の光入射側において、基板511に対して所定間隔を空けて対向配置される対向基板であり、所定の電圧Vcomが印加される共通電極を有している。
そして、FPC6(液晶パネル5の駆動用の信号線)を介して前記制御基板から信号を入力することで、所定の前記画素電極及び前記共通電極の間に電圧が印加され、当該画素電極及び共通電極間に介在する液晶の配向状態が制御され、入射した光束が変調される。
入射側偏光板52は、パネル本体51の光入射面に取り付けられ、所定の直線偏光(偏光変換素子4にて変換された直線偏光)のみを透過させる。
出射側偏光板53は、パネル本体51の光出射面に取り付けられ、偏光変換素子4にて変換された直線偏光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する直線偏光のみを透過させる。
【0026】
〔FPCの構成〕
FPC6は、例えば、ポリイミド等の基材に信号配線(液晶パネル5の駆動用の信号線等)がパターニングされることにより形成されたものであり、前記制御基板と液晶パネル5とを電気的に接続する。
すなわち、FPC6の一端側は、液晶パネル5の端部近傍に形成された外部回路接続端子(図示略)に圧着等により電気的に接続されている。
また、FPC6の他端側には、コネクター(図示略)が設けられ、当該コネクターを介して前記制御基板に電気的に接続する。
【0027】
〔筐体の構成〕
筐体8は、光源装置2、第1,第2レンズ3A,3B、偏光変換素子4、液晶パネル5、及び投射レンズ7が収納されるものである。
本実施形態では、筐体8は、図3または図4に示すように、光源装置2、第1,第2レンズ3A,3B、偏光変換素子4、液晶パネル5、及び投射レンズ7を直線状に配設するように構成されている。
この筐体8は、図3または図4に示すように、互いに別体で構成された第1筐体部81及び第2筐体部82を備え、第1,第2筐体部81,82を互いに組み合わせることで略直方体形状を有する。
【0028】
なお、以下では、説明の便宜上、筐体8の外面において、上側の面を第1側面8U、図3、図4中、投射側から見て左側の面を第2側面8L、下側の面を第3側面8D、図3、図4中、投射側から見て右側の面を第4側面8R、投射側の面を第5側面8P、第5側面8Pに対向する面を第6側面8Bと記載する。
そして、筐体8は、図3または図4に示すように、第1側面8Uに第1開口部8U1を有する容器状に形成されている。
【0029】
第1筐体部81は、光源装置2、第1,第2レンズ3A,3B、及び偏光変換素子4が収納される部分である。
この第1筐体部81において、内面には、図3または図4に示すように、第1側面8U側から第1,第2レンズ3A,3B及び偏光変換素子4を第1筐体部81内部にスライドして配設するための複数の溝部811が形成されている。
また、第1筐体部81において、第6側面8Bには、図3または図4に示すように、第1筐体部81内外を連通するとともに、第1開口部8U1にも連通し、LED22を第1筐体部81内部に配設するための光源用開口部812が形成されている。
なお、第1筐体部81における第6側面8Bには、プリント配線基板21と同様に、LED22の位置決め構造が設けられているが、当該位置決め構造については後述する。
【0030】
第2筐体部82は、投射レンズ7が収納される部分である。
この第2筐体部82において、第1側面8Uには、図3または図4に示すように、当該第2筐体部82及び接続部材9を接続するために、一対の第1固定ネジSc1がそれぞれ螺合される一対の第1ネジ孔821が形成されている。
また、第2筐体部82において、第5側面8Pには、図3または図4に示すように、第2筐体部82内外を連通するとともに、第1開口部8U1にも連通し、投射レンズ7にて投射された光束を通過させるための通過用開口部822が形成されている。
以上説明した筐体8において、液晶パネル5は、第1,第2筐体部81,82を組み合わせた状態で、後述する板金部材10を介して、第1,第2筐体部81,82の間(接続位置)に配設される。
【0031】
そして、第2側面8Lにおいて、第1,第2筐体部81,82の接続位置には、図2または図3に示すように、FPC6を筐体8外部に引廻すための第1挿通部8L1が形成されている。
また、第3側面8Dにおいても、第1,第2筐体部81,82の接続位置には、図2ないし図4に示すように、液晶パネル5の一部が挿通される第2挿通部8D1が形成されている。
具体的に、第1,第2筐体部81,82は、互いに組み合わせた状態で、第2側面8L,側の端部同士が所定間隔、離間するように設定されている。そして、当該離間した部分が上述した第1挿通部8L1として機能する。なお、第2挿通部8D1も同様である。
【0032】
ここで、板金部材10は、図3または図4に示すように、板状の第1板部11及び第2板部12が段差を有して互いに平行となるように形成された部材である。
そして、第1板部11は、偏光変換素子4が第1筐体部81に収納された状態で、偏光変換素子4と第1筐体部81の底部との間に挟持される。
また、第2板部12は、図2に示すように、第2挿通部8D1を介して、筐体8外部に引き出され、液晶パネル5が載置固定される。
なお、液晶パネル5は、図1に示すように、板金部材10を介して筐体8に収納された状態で、一部が第1開口部8U1から突出する。また、第2挿通部8D1に挿通された液晶パネル5の一部は、図2に示すように、第3側面8Dと略面一となる。
【0033】
〔接続部材の構成〕
接続部材9は、第1,第2筐体部81,82に接続し、第1,第2筐体部81,82を一体化する部材であり、図3または図4に示すように、接続部材本体91と、補強部92とを備える。
接続部材本体91は、図3または図4に示すように、筐体8の第1側面8Uと略同一の平面形状を有する板状の蓋部911と、筐体8の第6側面8Bと略同一の平面形状を有する板状の光源接続部912とを備える。
蓋部911は、筐体8に接続部材9が接続された状態で、第1側面8Uに当接して第1開口部8U1を閉塞する蓋体として機能する。
【0034】
この蓋部911において、液晶パネル5の配設位置に対応する位置には、図1、図3または図4に示すように、筐体8に接続部材9が接続された状態で、第1開口部8U1から突出した液晶パネル5の一部が挿通される略矩形状の第2開口部911Aが形成されている。
また、蓋部911において、筐体8の一対の第1ネジ孔821に対応する位置には、第2筐体部82及び接続部材9を接続するために、一対の第1固定ネジSc1がそれぞれ挿通される一対の固定用孔911Bが形成されている。
さらに、蓋部911において、投射レンズ7の配設位置に対応する位置には、筐体8に接続部材9が接続された状態で、投射レンズ7の一部を外部に露出するための略矩形状のレンズ用開口部911Cが形成されている。
【0035】
光源接続部912は、蓋部911における第6側面8B側の端縁から略垂下し、筐体8に接続部材9が接続された状態で、第6側面8Bとの間でプリント配線基板21を挟持する。
なお、光源接続部912には、プリント配線基板21及び第1筐体部81と同様に、LED22の位置決め構造が設けられているが、当該位置決め構造については後述する。
補強部92は、蓋部911における第2側面8L側の端縁から略垂下する矩形状の板体で構成され、図1または図2に示すように、筐体8に接続部材9が接続された状態で、第1,第2筐体部81,82の接続位置を跨るように第2側面8Lに所定の間隔を空けて対向して配設される。
以上説明した接続部材9は、銅等の熱伝導性材料から構成されている。
【0036】
〔LEDの位置決め構造〕
図5は、LED22の位置決め構造を説明するための図である。具体的に、図5は、第1筐体部81、光源装置2、及び光源接続部912を第6側面8B側から見た分解斜視図である。
先ず、プリント配線基板21に設けられた位置決め構造について説明する。
プリント配線基板21において、LED22が実装された実装位置Cを中心として互いに対向する位置には、図5に示すように、表裏を貫通し、一対の第2固定ネジSc2がそれぞれ挿通される一対の第1固定用孔211が形成されている。
また、一対の第1固定用孔211を避けた位置には、実装位置Cを中心として互いに対向するように、一対の位置決め用孔212が形成されている。
【0037】
次に、第1筐体部81に設けられた位置決め構造について説明する。
第1筐体部81の第6側面8Bにおいて、一対の第1固定用孔211に対応する位置には、図5に示すように、当該第1筐体部81及び接続部材9を接続するために、一対の第2固定ネジSc2がそれぞれ螺合される一対の第2ネジ孔813が形成されている。
また、第6側面8Bにおいて、一対の位置決め用孔212に対応する位置には、一対の位置決め用孔212にそれぞれ嵌合する一対の位置決め突起814が形成されている。
【0038】
次に、光源接続部912に設けられた位置決め構造について説明する。
光源接続部912において、一対の第1固定用孔211に対応する位置には、図5に示すように、接続部材9及び第1筐体部81を接続するために、一対の第2固定ネジSc2がそれぞれ挿通される一対の第2固定用孔912Aが形成されている。
【0039】
そして、一対の位置決め用孔212に一対の位置決め突起814をそれぞれ嵌合させることで、LED22は、液晶パネル5に光束を出射する出射位置に位置決めされることとなる。
また、各孔911B,912A,211を介して、各第1,第2固定ネジSc1,Sc2を各第1,第2ネジ孔821,813に螺合することで、接続部材9にて第1,第2筐体部81,82が一体化されるとともに、プリント配線基板21が第6側面8Bと光源接続部912との間に挟持される。
そして、この状態では、光源接続部912は、光源装置2(プリント配線基板21を介してLED22)と熱伝達可能に接続する。また、第1開口部8U1から突出した液晶パネル5の一部は、図1に示すように、蓋部911の上面と略面一となる。
【0040】
上述した本実施形態によれば、以下に示す効果がある。
本実施形態では、筐体8において、液晶パネル5が配設される位置には、第1,第2挿通部8L1,8D1が形成されている。
このことにより、液晶パネル5の一部を第2挿通部8D1に挿通することで、液晶パネル5を、他の光学部品2,3A,3B,4,7に対して、第3側面8D(筐体8の底部分)側にオフセットした位置に位置付けることができる。
また、筐体8の第2側面8Lに第1挿通部8L1を形成することで、第1挿通部8L1を介して、FPC6を筐体8の側方から筐体8外部に引廻すことができる。
さらに、筐体の側壁(第2,第4側面8L,8R)の高さ寸法としては、上述したように液晶パネル5が第3側面8D側にオフセットした位置に位置付けられるため、従来の構成に比較して、小さくしたとしても、液晶パネル5とFPC6との接続部分を十分にカバーできる。
以上のことから、プロジェクター1の厚み寸法(図1、図2中、上下方向の高さ寸法)に筐体8の底部分の厚み寸法や側壁(第2,第4側面8L,8R)の高さ寸法が加わってこないため、プロジェクター1の厚み寸法を液晶パネル5の高さ寸法と略同一の寸法程度にまで、プロジェクター1を薄型化することができる。
【0041】
また、第1,第2挿通部8L1,8D1は、第1,第2筐体部81,82が組み合わされることで形成されている。
このことにより、例えば、筐体8を一部材で構成した場合と比較して、第1,第2挿通部8L1,8D1を容易に形成できる。
また、第1,第2挿通部8L1,8D1同士が互いに連通しているので、筐体8への液晶パネル5の組み込みも容易に実施できる。
さらに、第1筐体部81に照明系2,3A,3B,4を収納し、第2筐体部82に投射レンズ7を収納することで、これら光学部品を筐体8に収納した状態で、照明系2,3A,3B,4と投射レンズ7との位置関係の調整(光軸調整)を容易に実施できる。
【0042】
また、プロジェクター1が接続部材9を備えるので、筐体8を互いに別体とされる第1,第2筐体部81,82で構成した場合であっても、接続部材9にて第1,第2筐体部81,82を一体化し、筐体8の強度を高めることができる。
さらに、接続部材9が接続部材本体91及び補強部92を備えるので、強度の弱い第1,第2筐体部81,82の接続位置を跨るように異なる2面(第1,第2側面8U,8L)側から接続部材本体91及び補強部92にて補強することで、筐体8の強度を効果的に高めることができる。
【0043】
また、第1挿通部8L1は、第2側面8Lに形成されている。言い換えれば、FPC6は、第1挿通部8L1を介して筐体8外部に引廻される際に、補強部92が配設される側に引廻されることとなる。
このことにより、補強部92にて筐体8を補強しながら、第1挿通部8L1を閉塞して、液晶パネル5とFPC6との接続部分に不具合が生じることを防止できる。
【0044】
さらに、筐体8は、容器状の開口部分である第1開口部8U1から液晶パネル5の一部が突出するように構成され、接続部材本体91は、筐体8の第1開口部8U1を閉塞するように第1側面8Uに取り付けられる。この際、接続部材本体91に第2開口部911Aが形成されているため、接続部材本体91が筐体8に取り付けられた際に、第2開口部911Aに液晶パネル5の一部が挿通するため、接続部材本体91が液晶パネル5に機械的に干渉することはない。
したがって、接続部材9に、筐体8の強度を高める機能の他、筐体8の開口部分を閉塞する蓋体としての機能を持たせることができる。また、蓋部911に第2開口部911Aが形成されているので、プロジェクター1の厚み寸法に蓋部911の厚み寸法が加わることがなく、プロジェクター1の厚み寸法を液晶パネル5の高さ寸法と略同一の寸法程度に設定できる。
【0045】
また、接続部材9が光源接続部912を備えるので、LED22の点灯駆動により生じた熱をLED22〜プリント配線基板21〜接続部材9(光源接続部912)の熱伝達経路を辿って外部に放熱できる。このため、光源装置2の熱劣化を効果的に抑制できる。
さらに、接続部材9には、第2開口部911Aが形成されているので、光源装置2から接続部材9に伝達された熱が液晶パネル5に伝達されることを抑制できる。
【0046】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、液晶パネル5を透過型の液晶パネルで構成していたが、これに限らず、反射型の液晶パネルで構成しても構わない。
また、液晶パネル5において、適宜、カラーフィルターを設け、画素毎に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を表示してカラー画像を形成するように構成しても構わない。
前記実施形態では、筐体8は、互いに別体で構成された第1,第2筐体部81,82の2体で構成されていたが、これに限らず、1部材で構成しても構わない。
前記実施形態では、光源装置2をLEDで構成していたが、これに限らず、例えば、レーザーダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の他の発光素子を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、光源装置と、光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・プロジェクター、2・・・光源装置、5・・・液晶パネル(光変調装置)、6・・・FPC(フレキシブル基板)、7・・・投射レンズ(投射光学装置)、8・・・筐体、8U・・・第1側面、8U1・・・第1開口部、8L・・・第2側面、8L1・・・第1挿通部、8D1・・・第2挿通部、9・・・接続部材、81・・・第1筐体部、82・・・第2筐体部、91・・・接続部材本体、92・・・補強部、911A・・・第2開口部、912・・・光源接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターであって、
一端が前記光変調装置に接続されるフレキシブル基板と、
前記光源装置、前記光変調装置、及び前記投射光学装置が収納される筐体とを備え、
前記筐体における前記光変調装置が配設される位置には、
前記フレキシブル基板を前記筐体外部に引廻すための第1挿通部と、
前記光変調装置の一部が挿通される第2挿通部とが形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記筐体は、
互いに別体で構成され、互いに組み合わされる第1筐体部及び第2筐体部を備え、
前記光変調装置は、
前記第1筐体部及び前記第2筐体部の接続位置に配設され、
前記第1挿通部及び前記第2挿通部は、
前記第1筐体部及び前記第2筐体部が組み合わされることで形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記第1筐体部及び前記第2筐体部を一体化する接続部材を備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターにおいて、
前記筐体は、
前記第1筐体部及び前記第2筐体部が組み合わされることで略直方体形状を有し、
前記接続部材は、
前記接続位置を跨るように前記筐体の第1側面に取り付けられる接続部材本体と、
前記接続部材本体から突出し、前記接続位置を跨るように前記筐体における前記第1側面とは異なる第2側面に対向して配設される補強部とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1挿通部は、
前記第2側面に形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記筐体は、
前記第1筐体部及び前記第2筐体部が組み合わされることで略直方体形状を有し、
前記接続部材は、
前記接続位置を跨るように前記筐体の第1側面に取り付けられる接続部材本体を備え、
前記第1側面には、
前記光変調装置を前記筐体内部に挿入するための第1開口部が形成され、
前記光変調装置は、
前記筐体に収納された状態で、一部が前記第1開口部から突出し、
前記接続部材本体には、
前記第1開口部から突出した前記光変調装置の一部が挿通される第2開口部が形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記接続部材は、
熱伝導性材料で構成され、前記光源装置と熱伝達可能に接続する光源接続部を備える
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−3551(P2013−3551A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137999(P2011−137999)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】